「改元お祭り騒ぎ」の同調圧力を弱める、タモリの一言

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(4月28日~5月4日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします

ますだおかだ・岡田「令、ワオ!」

 昭和から平成に移行したときはレンタルビデオ店が繁盛した、という話がある。天皇崩御に伴う当時のテレビの「自粛ムード」を象徴するエピソードとして、よく聞く。

 対して、今回の改元時のテレビは、おおむね「祝賀ムード」が基調だったように思う。で、Twitterなどを見ていると、そんなテレビに対しては「またお祭り騒ぎをやってる」みたいな批判的な声もあるようだ。バカみたいにはしゃいでるだけでつまらない、というような。今回はレンタルビデオ店ではなく、動画配信サービスが人気だったのではないか、みたいなツイートも目にした。

 なるほど、そういう「お祭り騒ぎ」の面はあったかもしれない。30日の夜、年越しならぬ時代越しの前後には、NHKをはじめ複数の番組は渋谷のスクランブル交差点にカメラを構え、集まった群衆を映していた。改元をまたいで深夜まで行われた岐阜県の盆踊りや、ジュリアナ東京を彷彿とさせるようなディスコからの中継も見た。阿部知代が踊っていた。

「令和ギャグ」もいくつか見かけた。チョコレートプラネット・松尾はIKKOのモノマネで「令和~」といい、ますだおかだ・岡田は「令、ワオ!」と叫んでいた。芸人ではないけれど、DAIGOは平成を「KZN(絆)」と振り返り、令和を「RW(ロックでワイルド)な時代にしたい」と展望していた。

 平成最終日の30日は、民放でどちらかというとマジメ路線の番組が多かった。バラエティ色が強めの番組は、むしろNHK総合で放送されていた(『ゆく時代くる時代~平成最後の日スペシャル~』)。90年代のフジテレビの看板番組だった『料理の鉄人』の“鉄人”たちが、『きょうの料理』とコラボして制限時間内に料理をする企画もあった。福井謙二を実況アナとして迎えるなど、あの“キッチンスタジアム”の雰囲気がNHKで再現されていた。平成の途中までバラエティ番組を中心に元気だったフジテレビと、近年はバラエティ方面でも『チコちゃんに叱られる!』など、民放っぽい人気番組を出すようになっているNHK。そんな平成の31年間を通したバラエティ番組の趨勢を象徴するような場面だった。

 こういった状況を見ると、なるほど確かに、テレビは今回「お祭り騒ぎ」に興じていたみたいな批判も、わからないではない。同調圧力に感じる人も、いたりするのだと思う。個人的には、特に『料理の鉄人』と『きょうの料理』のコラボなど、楽しかったけれど。各シェフが趣向を凝らした料理を作るなか、陳建一が土井善晴の握ったシンプルな塩むすびを、「うまぁい!」と満面の笑みで頬張っていたのが最高だった。

 ただ、実際にテレビが「お祭り騒ぎ」一色だったかというと、そういうわけでもない。

 たとえば、30日夜に放送された『NHKスペシャル』(NHK総合)では、女系天皇や女性天皇の可能性をめぐる過去の議論の経緯が振り返られていた。男性皇族が減り、皇位継承者が限られている現在。このままだと象徴天皇制の存続も懸念されるわけだけれど、どうするのか。「お祭り騒ぎ」の真っただ中、令和になる直前の問題提起だった。

 報道番組の中では、4日放送の『上田晋也のサタデージャーナル』(TBS系)が、今後の象徴天皇制の存続のあり方に関し、短い時間で複数の論点を取り上げていた。番組の冒頭、街頭インタビューで「“国民の象徴”とは?」と街ゆく人に問いかけ、そもそも私たちの多くが明確な答えを持っていない現状を浮き彫りにしていたのが印象的だった。

 ドキュメンタリー番組や報道番組が「お祭り騒ぎ」から距離を取るのは、ある意味で当然かもしれない。では、バラエティ番組はどうか。29日放送の『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)では、改元発表とは無関係に4月1日の正午前後を過ごす人々にカメラを向けたVTRが流された。エステサロンに行っていた女性は、「(新元号は)全然興味ない。興味ないっていうか、頭いい人たちがみんなで頑張って決めてるんで、従います」と、施術台の上でうつ伏せになりながら答えていた。孫と一緒に釣り堀に来ていた男性の声は、さらに冷ややかだ。

「なんか、マスコミだけが騒いでるような感じがする」

 先週も通常営業だったのが、『5時に夢中!』(TOKYO MX)だ。令和になった感想を聞かれた美保純は、特に話す内容がないとでもいうように「んー(笑)」とほほえみ、新しい元号が何か問われた岩井志麻子は「絶倫元年だろ?」と答えた。ロシア出身の小原ブラスは、今日は警察官が多いので局に来るまでに職質されたと話し、視聴者からは次のようなメッセージが届いた。

「令和の初日には働いていた職場が倒産し無職になり、昨日は付き合っていた彼女に逃げられ、今日は毎日連絡をこっそり取っていた別の女性と連絡が取れなくなり、すべてが令和になってから私から去っていきます」

 そして、30日の夜、フジテレビで放送された『平成の“大晦日”令和につなぐテレビ』。総合司会のタモリは番組の最後、令和はどんな時代になってほしいと思うか問われ、次のように答えた。

「ちょっといいですか? さっき平成とか漢字がいっぱい出てきましたけども、何年か前に省庁が合併したりなんかしまして、看板があるんですね。あの漢字の中で、いかがなものかというのがかなりあるんで、この際どうですかね。ちゃんとあれをこう、漢字をやればいいんじゃないかと思いますけども」

 平成はどんな時代だったか。令和はどんな時代であってほしいか。数々の有名無名の人々が、先週のテレビでこの問いに答えていた。そんな中、日本で最も有名な人といっても過言ではないタモリが、約6時間半に及ぶ放送の最後に発した言葉が、省庁の看板をキレイに書き直したほうがいい、である。そのメッセージすら、「ちゃんとあれをこう、漢字をやればいいんじゃないか」とあやふやに。

 これまでにもさまざまな現象に茶々を入れ、権威的なものを脱力させてきたタモリ。今回もまた、「ちょっといいですか?」と一拍おいて、「お祭り騒ぎ」の同調圧力の気圧を、少し抜いていた。そんな場面も、このたびの改元前後のテレビの中にはあった。

 話の角度を変えて、最後に短めのエピソードを2つ。

 1つ目。1日放送の『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)で、有吉弘行がこんな話をしていた。年齢を重ねれば重ねるほど、自分は変態になると思っていた。たとえば、森繁久彌のように。けれど、芸能界はもう変態が生息しにくい場所になってしまった。

「あんまりにも芸能界の人もキレイすぎてさ、大吉さんと赤江さんの野っ原座ってるやつ、デートっていわれてさ。かわいそうに。あんなんがそういうふうに言われちゃうぐらい、クリーンだよ」

 2つ目。29日放送の『テレビ千鳥』(同)で、千鳥の2人が海を見に湘南へドライブしていた。車はノブが先日購入した1000万円超のベンツ。屋根をオープンにしたベンツの助手席に座る大悟は、ライターで炙ったスルメを食べ、缶ビールを飲み、タバコを吸いながら語る。

「口ん中にイカがあって、イカの臭いがグダーっとつくやろ? その臭いをビールで、この出てきたイカの汁をビールでいくんよ。口がむちゃくちゃなっとるとこを、タバコの煙で。いま3つ口ん中で混ざって、これが一番うまい」

 ノブはそんな大悟に、「きったねぇ人間!」とツッコむのだった。

 芸能界は「クリーン」になってきている。けれど同時に、タバコをテレビで普通に吸う「きったねぇ人間」が人気者になったりもしている。どちらか一方が誤りというわけでもないだろう。

 平成から令和へ時代がまたいだ先週も、テレビは多面的にお送りされていた。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

「改元お祭り騒ぎ」の同調圧力を弱める、タモリの一言

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(4月28日~5月4日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします

ますだおかだ・岡田「令、ワオ!」

 昭和から平成に移行したときはレンタルビデオ店が繁盛した、という話がある。天皇崩御に伴う当時のテレビの「自粛ムード」を象徴するエピソードとして、よく聞く。

 対して、今回の改元時のテレビは、おおむね「祝賀ムード」が基調だったように思う。で、Twitterなどを見ていると、そんなテレビに対しては「またお祭り騒ぎをやってる」みたいな批判的な声もあるようだ。バカみたいにはしゃいでるだけでつまらない、というような。今回はレンタルビデオ店ではなく、動画配信サービスが人気だったのではないか、みたいなツイートも目にした。

 なるほど、そういう「お祭り騒ぎ」の面はあったかもしれない。30日の夜、年越しならぬ時代越しの前後には、NHKをはじめ複数の番組は渋谷のスクランブル交差点にカメラを構え、集まった群衆を映していた。改元をまたいで深夜まで行われた岐阜県の盆踊りや、ジュリアナ東京を彷彿とさせるようなディスコからの中継も見た。阿部知代が踊っていた。

「令和ギャグ」もいくつか見かけた。チョコレートプラネット・松尾はIKKOのモノマネで「令和~」といい、ますだおかだ・岡田は「令、ワオ!」と叫んでいた。芸人ではないけれど、DAIGOは平成を「KZN(絆)」と振り返り、令和を「RW(ロックでワイルド)な時代にしたい」と展望していた。

 平成最終日の30日は、民放でどちらかというとマジメ路線の番組が多かった。バラエティ色が強めの番組は、むしろNHK総合で放送されていた(『ゆく時代くる時代~平成最後の日スペシャル~』)。90年代のフジテレビの看板番組だった『料理の鉄人』の“鉄人”たちが、『きょうの料理』とコラボして制限時間内に料理をする企画もあった。福井謙二を実況アナとして迎えるなど、あの“キッチンスタジアム”の雰囲気がNHKで再現されていた。平成の途中までバラエティ番組を中心に元気だったフジテレビと、近年はバラエティ方面でも『チコちゃんに叱られる!』など、民放っぽい人気番組を出すようになっているNHK。そんな平成の31年間を通したバラエティ番組の趨勢を象徴するような場面だった。

 こういった状況を見ると、なるほど確かに、テレビは今回「お祭り騒ぎ」に興じていたみたいな批判も、わからないではない。同調圧力に感じる人も、いたりするのだと思う。個人的には、特に『料理の鉄人』と『きょうの料理』のコラボなど、楽しかったけれど。各シェフが趣向を凝らした料理を作るなか、陳建一が土井善晴の握ったシンプルな塩むすびを、「うまぁい!」と満面の笑みで頬張っていたのが最高だった。

 ただ、実際にテレビが「お祭り騒ぎ」一色だったかというと、そういうわけでもない。

 たとえば、30日夜に放送された『NHKスペシャル』(NHK総合)では、女系天皇や女性天皇の可能性をめぐる過去の議論の経緯が振り返られていた。男性皇族が減り、皇位継承者が限られている現在。このままだと象徴天皇制の存続も懸念されるわけだけれど、どうするのか。「お祭り騒ぎ」の真っただ中、令和になる直前の問題提起だった。

 報道番組の中では、4日放送の『上田晋也のサタデージャーナル』(TBS系)が、今後の象徴天皇制の存続のあり方に関し、短い時間で複数の論点を取り上げていた。番組の冒頭、街頭インタビューで「“国民の象徴”とは?」と街ゆく人に問いかけ、そもそも私たちの多くが明確な答えを持っていない現状を浮き彫りにしていたのが印象的だった。

 ドキュメンタリー番組や報道番組が「お祭り騒ぎ」から距離を取るのは、ある意味で当然かもしれない。では、バラエティ番組はどうか。29日放送の『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)では、改元発表とは無関係に4月1日の正午前後を過ごす人々にカメラを向けたVTRが流された。エステサロンに行っていた女性は、「(新元号は)全然興味ない。興味ないっていうか、頭いい人たちがみんなで頑張って決めてるんで、従います」と、施術台の上でうつ伏せになりながら答えていた。孫と一緒に釣り堀に来ていた男性の声は、さらに冷ややかだ。

「なんか、マスコミだけが騒いでるような感じがする」

 先週も通常営業だったのが、『5時に夢中!』(TOKYO MX)だ。令和になった感想を聞かれた美保純は、特に話す内容がないとでもいうように「んー(笑)」とほほえみ、新しい元号が何か問われた岩井志麻子は「絶倫元年だろ?」と答えた。ロシア出身の小原ブラスは、今日は警察官が多いので局に来るまでに職質されたと話し、視聴者からは次のようなメッセージが届いた。

「令和の初日には働いていた職場が倒産し無職になり、昨日は付き合っていた彼女に逃げられ、今日は毎日連絡をこっそり取っていた別の女性と連絡が取れなくなり、すべてが令和になってから私から去っていきます」

 そして、30日の夜、フジテレビで放送された『平成の“大晦日”令和につなぐテレビ』。総合司会のタモリは番組の最後、令和はどんな時代になってほしいと思うか問われ、次のように答えた。

「ちょっといいですか? さっき平成とか漢字がいっぱい出てきましたけども、何年か前に省庁が合併したりなんかしまして、看板があるんですね。あの漢字の中で、いかがなものかというのがかなりあるんで、この際どうですかね。ちゃんとあれをこう、漢字をやればいいんじゃないかと思いますけども」

 平成はどんな時代だったか。令和はどんな時代であってほしいか。数々の有名無名の人々が、先週のテレビでこの問いに答えていた。そんな中、日本で最も有名な人といっても過言ではないタモリが、約6時間半に及ぶ放送の最後に発した言葉が、省庁の看板をキレイに書き直したほうがいい、である。そのメッセージすら、「ちゃんとあれをこう、漢字をやればいいんじゃないか」とあやふやに。

 これまでにもさまざまな現象に茶々を入れ、権威的なものを脱力させてきたタモリ。今回もまた、「ちょっといいですか?」と一拍おいて、「お祭り騒ぎ」の同調圧力の気圧を、少し抜いていた。そんな場面も、このたびの改元前後のテレビの中にはあった。

 話の角度を変えて、最後に短めのエピソードを2つ。

 1つ目。1日放送の『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)で、有吉弘行がこんな話をしていた。年齢を重ねれば重ねるほど、自分は変態になると思っていた。たとえば、森繁久彌のように。けれど、芸能界はもう変態が生息しにくい場所になってしまった。

「あんまりにも芸能界の人もキレイすぎてさ、大吉さんと赤江さんの野っ原座ってるやつ、デートっていわれてさ。かわいそうに。あんなんがそういうふうに言われちゃうぐらい、クリーンだよ」

 2つ目。29日放送の『テレビ千鳥』(同)で、千鳥の2人が海を見に湘南へドライブしていた。車はノブが先日購入した1000万円超のベンツ。屋根をオープンにしたベンツの助手席に座る大悟は、ライターで炙ったスルメを食べ、缶ビールを飲み、タバコを吸いながら語る。

「口ん中にイカがあって、イカの臭いがグダーっとつくやろ? その臭いをビールで、この出てきたイカの汁をビールでいくんよ。口がむちゃくちゃなっとるとこを、タバコの煙で。いま3つ口ん中で混ざって、これが一番うまい」

 ノブはそんな大悟に、「きったねぇ人間!」とツッコむのだった。

 芸能界は「クリーン」になってきている。けれど同時に、タバコをテレビで普通に吸う「きったねぇ人間」が人気者になったりもしている。どちらか一方が誤りというわけでもないだろう。

 平成から令和へ時代がまたいだ先週も、テレビは多面的にお送りされていた。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

千鳥、超売れっ子なのに冠番組が「まさかの深夜2時台」テレビ業界的にはありがたい事情って?

 お笑いコンビ・千鳥の冠番組『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)が4月2日にスタートした。超がつくほどの売れっ子芸人である千鳥だが、その冠番組の放送時間は深夜1時59分から30分間。まさかの“ド深夜”なのだ。

「千鳥は、視聴者からの人気も高いし、関係者の間での評価もすごく高い。ゴールデンタイムでの冠番組とは言わなくても、せめて夜11時台でもよかったのではないかという意見は多いです」(テレビ局関係者)

 待望の冠番組が深夜2時台になったことについて、ある放送作家はこんな話をする。

「千鳥は昨年に関西テレビ・フジテレビ系で月曜夜10時台に放送されていた『世界の村のどエライさん』という番組にレギュラーMCで出演していたんですが、視聴率が振るわず、8カ月で終わってしまったんです。千鳥の良さが出るタイプの番組ではなかったとはいえ、本人たちとしては、『まだプライムタイムは早い』と感じた部分もあったのかもしれません」

 テレビ東京では、2016年から断続的に『NEO決戦バラエティ キングちゃん』という千鳥MCのバラエティ番組が放送されている。こちらの放送時間も深夜帯だ。

「『キングちゃん』はいろいろな芸人ゲストを呼んで、大喜利的なロケをやるという番組。相当むちゃな形で体を張ることも多いので、深夜でないと難しい。『テレビ千鳥』についても、攻めた内容にするには、深い時間しかなかったのではないかと思います」(同)

 一方で、ほかのバラエティ番組にしてみれば、『テレビ千鳥』が深夜であることはありがたいのだという。前出のテレビ局関係者は言う。

「千鳥がゴールデンで冠を持ったら、どうしてもその番組中心のスケジュールになって、ほかの番組にゲスト出演する機会が減ってしまいます。今はまだまだ千鳥を出したいという番組はたくさんあるわけで、ほかの番組のスタッフは助かっていると思います」

 冠番組が深夜であるため、千鳥としてもフットワーク軽く、さまざまな番組で活躍できるということ。そのうえ『テレビ千鳥』では自分たちのやりたい笑いを追求できるというのだから、“深夜2時台の冠番組”という選択は大正解だったといえるのかもしれない。

飲みたい芸人ランク1位は千鳥・ノブ! でも、2位の出川と3位のサンド・伊達は……

 リクルートが発行するクーポンマガジン「HOT PEPPER」が発表した「飲みたい有名人ランキング」が話題だ。今年1月に調査を実施し、全国の20~30代の男女約2,000人から回答を得た。このうち芸人部門で1位に輝いたのは、千鳥のノブ。2位に出川哲朗、3位にはサンドウィッチマンの伊達みきおが続くのだが……。

「出川は下戸芸人として知られていますね。数々の無謀なチャレンジをさせられてきた出川ですが、酒に関するネタがないのはそのためです。あの肥満体体形は、無類のコーラ好きによるもの。1日にコーラを2リットルは飲み、さらにマヨラーとしても知られ、食事には大量のマヨネーズをかけます。この偏った食生活が影響したらしく、17年には暴飲暴食が原因とみられる胆管炎でも入院していますね」(芸能関係者)

 さらに、サンドウィッチマンはコンビそろっての下戸として知られる。

「サンドウィッチマンは高校のラグビー部のチームメイトとして知られていますから、双方ともに恰幅のよい体形です。それに伊達はあの暴力団風のルックスのため、当然お酒を飲みそうなものですが、まったく飲めないようです。芸人仲間のU字工事が飲み会に同席した時にも、上座に座った2人が『メロンソーダを飲んでいた』ので驚いたとか。それでも伊達は付き合いがよく、飲み会は三次会まで参加し、その間は『ひたすらメシを食い続ける』ようです」(同)

 ともすれば、飲酒よりも体に悪そうな食習慣ではある。ただ出川、伊達ともに柔和なイメージもあるだけに、一緒に「飲みたい」と思う人は多そうだ。

(文=平田宏利)

ミキ「東京完全進出」は大丈夫? かまいたち、千鳥、中山功太の場合は……

 兄弟お笑いコンビとして『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)の活躍でもその名を知られるミキが、本格的に東京進出を果たすため、3月いっぱいで関西でのレギュラー番組から卒業するという。

 関西芸人にとって東京進出はひとつの目標といえるが、「実質的に芸歴がリセットされる」ともいわれており、実力派のミキといえども不安要素が残るのは確かだ。関西芸人の東京進出は、タイミングによっては大失敗に終わってしまう可能性もある。

「ピン芸人の中山功太は『R-1ぐらんぷり2009』(フジテレビ系)で優勝を果たすも、関西で帯レギュラー番組が入っていたため、いわゆる『お披露目期間』に東京進出を果たせませんでした。そのため、上京後はまったく仕事がなく、現在はもっぱらアルバイト生活のようですね」(芸能関係者)

 退路を完全に断った東京進出には、リスクが伴うといえる。そのため、拠点を大阪に残すパターンもある。

「『キングオブコント2017』(TBS系)で優勝したかまいたちは、翌18年4月より東京進出を果たします。ただ関西でのレギュラー番組を残しており、現在も東京と大阪を行き来する生活を送っています。岡山弁と島ネタの素朴なキャラでブレークを果たした千鳥も、当初は大阪に家族を残したまま、単身赴任での東京進出を果たしました。やはり『東京にハマらない』懸念があったのかもしれません。しかし、現在は仕事が安定したため、2人とも家族と共に東京へ移り住んでいます」(同)

 関西芸人にとっての東京進出は、まさに「ひとつの大きな賭け」であるといえよう。

(文=平田宏利)

ローカル番組なのに人気は全国区! 千鳥のニッチな視点を視聴者と共有する『相席食堂』の構造

 昨年4月よりレギュラー放送が始まった『相席食堂』(朝日放送)が評判だ。といっても、知らない人もいるかもしれない。この番組は関東圏では放送されていない。なのに、評判なのだ。

 1月2日放送『新春テレビ放談2019』(NHK総合)で、広告付き無料配信サービス「TVer」の話題になったとき、テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行はTVerの意義を伝える一例として『相席食堂』の評判の高さに言及していた。配信によってひそかに全国区になったのが、この番組である。

『相席食堂』の内容だが、芸能人が週替わりでリポーターに選ばれ、田舎町にロケへと繰り出す。そして、その町の食堂で地元の人にいきなり相席をお願いし、触れ合う。そのVTRをスタジオにいる千鳥の2人が見守る。言わば、“芸能人と地元民のガチ交流バラエティー”である。

 ここまでだったらほっこりする番組に仕上がりそうだが、スタジオにいる千鳥がクセモノなのだ。気になる箇所があると、即座に手元の“待てぃボタン”を押してVTRを中断。そして、これでもかとツッコむ。こうして彼ら独特の視点を視聴者に紹介し、面白ポイントを共有する。

 この説明だけだとなかなかわかりにくいと思うので、2月3日放送分を振り返りながら解説していきたい。この回のレポーターは松崎しげるであった。

 

■松崎しげるの「黒」を無視して「赤」を柱にする千鳥

 松崎が降り立ったのは富山県南砺市。雪が降り積もり、辺りは白銀の世界だ。そんな場所の真ん中に立っているのが松崎。スタッフはきっと雪の「白」と松崎の肌の「黒」のコントラストを強調し、見どころとして提供するつもりだったはず。何しろ、スタート時の松崎に白のダウンを着せていたし、笑顔になったときの松崎の歯の白さは異常だ。

 しかし、千鳥はそれに捕まらない。2人が前のめりになったのは、松崎が私服に着替えてからだった。松崎は赤のダウンを羽織っていた。しばらく2人は見ていたのだが、耐え切れずにノブがボタンを押した。

ノブ「赤が目が痛いよ」
大悟「今までにない赤やわ。地球上にない赤なんよ」
ノブ「シャアぐらい赤いよ」

 スタッフも予想外だったはずだ。作り手の意図そっちのけで「赤」を柱にし始める千鳥。こうなると、ただの町の景色が面白くて仕方なくなる。向こう側にいる若者は赤い服を着ているし、歩道に設置された棒は赤と白の縞模様だ。松崎が町をただ歩いているだけなのに、千鳥は黙っていられなくなった。

ノブ「ちょいちょい赤が飛び込んでくるの。ごめんごめんごめん、今回ちょっと見れない。うしろの走ってくるお兄ちゃんが赤なのよ」
大悟「棒も赤やしな」
ノブ「今日は黒を言いたいのよ!」
大悟「赤が勝っちょんよ」

 今までの人生で、こんなに赤に注目したことはなかった。実は、町にはたくさんの赤がある。自動車を誘導する標示の矢印は赤だし、工事現場にあるコーンは赤だ。それらが視界に入っただけで笑いがこみ上げてしまう。

松崎「向こうで雪かきやってんな」

松崎が町の人に声を掛けようとすると、その人は赤いダウンを着ていた。

ノブ「赤やん! また赤がいる!」

大悟「全身の赤ロングダウンがおるやん。ロケ中に赤を探せっていう企画なの、今回?(笑)」

ノブ「(ディレクターに向かって)スピルバーグなん、君は? スピルバーグ演出してるやん。白黒で赤を要所要所入れて」

 企画も演出も何も、赤に笑いのツボを仕掛けたのは千鳥自身のツッコミのはずなのだが。

■赤と青と白が出てきて笑いが止まらなくなる千鳥

 松崎と赤ダウンの町の人が出会うと、そのツーショットは面白すぎた。

ノブ「赤! 赤と赤や。白と黒やろ、今日の遊びは(笑)」

大悟「ロケしてるときに気にならんかった? 『これではスタジオが赤一辺倒になってしまう』って。気付けよ!(笑) 」

 いや、なかなか気付かない。この面白ポイントは、千鳥のツッコミありきだと思う。

 千鳥のいじりは続き、暴走する。雪かきを手伝った松崎はそのままお宅へお邪魔して、熱燗にした富山の地酒「三笑楽」をいただいた。松崎は酒好きだ。ちょっと引くぐらいにグビグビいく。

大悟「顔を赤にしようとしてるコントじゃないよな?」

ノブ「そういうことか(笑)」

 こんな角度からまで“赤いじり”をする千鳥! 1つの方法論、必勝パターンができた以上、どんなやり方で赤を絡ませても絶対面白くなる。

 松崎は、このお宅で「三笑楽」を一升瓶ごといただいた。以降、これを町の人と一緒に飲んで相席しようと松崎は考えた。まずは、通りにあった写真店へ飛び込みで入る松崎。この店のご主人と意気投合し、松崎は振る舞い酒をする。ちなみに、ご主人の年齢は85歳だった。

松崎「まだ俺なんか、やっぱりケツ青いんだよなあ」

大悟「服が赤いやん!」

ノブ「ケツは青いかもしれんけど服が赤いんよ」

「白」「黒」「赤」に、今度は「青」まで絡ませる千鳥。ここまできたら、もう無双状態である。単に「色」を話題にするだけで笑えてきてしまうのだ。

 酒をしこたま飲んだ松崎は、今度は町を歩いた。そして、地元の温泉を発見する。千鳥足で松崎はその温泉に入浴することにした。褐色の裸で露天風呂に入る松崎。そのお風呂に地元のお客さんも入りにきた。1人ではなく、いきなり3人のお客さんがやって来たようだ。

ノブ「誰か来た。……おい、多いな! 白い尻が多いぞ!」

「黒」「白」「赤」「青」と来て、また新たに「白」を追加する千鳥!

 おそらく、千鳥のツッコミがなければ、『相席食堂』は既存の番組と大差なくなる。よくあるタレントの旅番組だ。千鳥がVTRをいじり倒すことで、視聴者も彼らの視点を共有することになる。

 問題は、千鳥の面白がり方である。彼らは“裏笑い”的な視点に終始することも決して少なくない。例えば、今回のVTRを素材だけ見て、その後に2人の“赤いじり”を知らされれば“裏笑い”の印象を受けると思う。でも“待てぃボタン”を導入したことによって、ニッチな印象は皆無になる。ニッチな笑いを王道っぽく見せている 。だから、『相席食堂』の間口は普通に広い。変に凝った構造にしているわけでもないのに、奇跡的にこの番組ってめちゃめちゃ新しいと思うのだ。
(文=寺西ジャジューカ)

志村けん、肉布団批判で窮地の『バカ殿』後継者に千鳥・大悟を指名し存続へ

「志村さんと夫婦コントやったときに、収録が柴田理恵さんも一緒だったんだけど。二人で泣いちゃった」

 1月16日に放送された『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)で、マツコ・デラックスが志村けんとの思い出を語った。子どもの頃から見ていたスターとの共演に、「胸、詰まっちゃって」とのことだった。

 言うまでもなく、志村は昭和から現在まで、お笑いの最前線に立ち続ける、お笑い界の生けるレジェンド。マツコが感激するのもよくわかる。

 だが、現在の志村は、非常にシビアな状況に置かれている。

「フジテレビの特番でおなじみの、『志村けんのバカ殿様』と『志村けんのだいじょうぶだぁ』が打ち切りの危機にあります。全体的に低視聴率のフジの中にあっては、悪目立ちしない水準にはありますが、大勢のゲスト出演者のギャラ、大掛かりなセットの制作費などを考えると、通常の倍ほどの予算がかかっている。もう数年前から打ち切り候補の筆頭として、何度も挙がっています」(フジ関係者)

 志村も、当然ながら、そんな気配を感じているのだろう。周辺からは、こんな話が伝わってくるのだ。

「最近、志村は千鳥の大悟がお気に入りで、週に何度も呼び出しては飲み歩いています。この大悟を『バカ殿』の後継者にしようと、水面下で調整を進めているそうです。自分が作り上げてきたテレビコントの王道が番組終了や自身の引退で完全に消えてしまわないようにと、この数年、あとを継がせることができる後輩を探していたそうですからね。人気と実力があり、二代目となったときにフジや世間が納得する人材となると、そうはいませんが、現在の大悟なら、まさに適任。相方のノブを、東八郎、桑野信義に続く、三代目家老役にすれば、収まりもいい。昨年10月から大悟を、『志村でナイト』(同)のレギュラーに引き入れたのは、このバカ殿引き継ぎへの布石だと言われているんです」(番組関係者)

 1月9月の放送では、水着姿の女性たちが肉布団となって志村に覆いかぶさったシーンが「性差別」と批判を受けた。また、老いが目立つ志村の白塗りもいいかげんキツイという意見もネット上には多い。

 確かに、完全に世間が「NO!」の判断を下す前に、後進に道を譲るのが賢明だろう。

 正直、大悟の『バカ殿』の方が面白そう! 今から期待したい。

志村けん、肉布団批判で窮地の『バカ殿』後継者に千鳥・大悟を指名し存続へ

「志村さんと夫婦コントやったときに、収録が柴田理恵さんも一緒だったんだけど。二人で泣いちゃった」

 1月16日に放送された『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)で、マツコ・デラックスが志村けんとの思い出を語った。子どもの頃から見ていたスターとの共演に、「胸、詰まっちゃって」とのことだった。

 言うまでもなく、志村は昭和から現在まで、お笑いの最前線に立ち続ける、お笑い界の生けるレジェンド。マツコが感激するのもよくわかる。

 だが、現在の志村は、非常にシビアな状況に置かれている。

「フジテレビの特番でおなじみの、『志村けんのバカ殿様』と『志村けんのだいじょうぶだぁ』が打ち切りの危機にあります。全体的に低視聴率のフジの中にあっては、悪目立ちしない水準にはありますが、大勢のゲスト出演者のギャラ、大掛かりなセットの制作費などを考えると、通常の倍ほどの予算がかかっている。もう数年前から打ち切り候補の筆頭として、何度も挙がっています」(フジ関係者)

 志村も、当然ながら、そんな気配を感じているのだろう。周辺からは、こんな話が伝わってくるのだ。

「最近、志村は千鳥の大悟がお気に入りで、週に何度も呼び出しては飲み歩いています。この大悟を『バカ殿』の後継者にしようと、水面下で調整を進めているそうです。自分が作り上げてきたテレビコントの王道が番組終了や自身の引退で完全に消えてしまわないようにと、この数年、あとを継がせることができる後輩を探していたそうですからね。人気と実力があり、二代目となったときにフジや世間が納得する人材となると、そうはいませんが、現在の大悟なら、まさに適任。相方のノブを、東八郎、桑野信義に続く、三代目家老役にすれば、収まりもいい。昨年10月から大悟を、『志村でナイト』(同)のレギュラーに引き入れたのは、このバカ殿引き継ぎへの布石だと言われているんです」(番組関係者)

 1月9月の放送では、水着姿の女性たちが肉布団となって志村に覆いかぶさったシーンが「性差別」と批判を受けた。また、老いが目立つ志村の白塗りもいいかげんキツイという意見もネット上には多い。

 確かに、完全に世間が「NO!」の判断を下す前に、後進に道を譲るのが賢明だろう。

 正直、大悟の『バカ殿』の方が面白そう! 今から期待したい。

“ポスト千鳥”は「かまいたち」で決まり? テレ朝・加地倫三Pの猛プッシュが始まる!

 ここ数年で最もブレークしたお笑いコンビとして思い出されるのが千鳥。今では各局のバラエティー番組で活躍する彼らだが、その足がかりとなったのが、テレビ朝日の加地倫三プロデューサーによる起用だったといわれている。

「『ロンドンハーツ』や『アメトーーク!』を手がける加地Pは、『これだ!』と思った芸人を信用して、ブレークするまでしっかり使い続ける傾向がある。千鳥は、まさにそのパターンです」(バラエティー番組関係者)

 千鳥は、2012年にフジテレビ系『ピカルの定理』のレギュラーに抜擢され、そのまま全国区の芸人になるかと思いきや、13年に同番組が終了。東京での仕事が激減するなか、起用し続けていたのが加地Pだった。

「『アメトーーク!』の枠で、千鳥の冠番組『千鳥の大クセ写真館』が単発ながらも放送されましたし、千鳥は確実に加地Pのお気に入り芸人として、ブレークを果たしたということです」(同)

 千鳥をブレークさせた加地Pだが、現在はまた別の芸人にお熱を上げているという。別のテレビ局関係者は言う。

「今、加地Pが推しているのは、かまいたちです」

 17年のキングオブコント王者であるかまいたち。翌18年には活動の拠点を東京に移転し、17・18年と『M-1グランプリ』決勝にも進出している。

「ネタでの評価が高いのはもちろんですが、エピソードトークもいけるし、ロケなんかもうまい。ルックス的にはちょっと地味ですが、だからこそのいぶし銀な雰囲気が加地Pの好みのようで、実際に昨年くらいから、加地Pが手がける番組によく出ています。本気でかまいたちをブレークさせたいようで、今後はもっとプッシュされるのではないでしょうか」(テレビ局関係者)

 そんなかまいたちの評価について、前出のバラエティー番組関係者はこう話す。

「世間的な注目度や人気という意味では、3年連続『M-1』準優勝の和牛のほうが上でしょう。ただ、和牛はやはりネタのイメージが強く、通常のバラエティー番組ではちょっと物足りなさがある。その点、かまいたちはオールマイティーにできる芸人だという評価で、テレビ的には使いやすいのでしょうね。ちょっと気になるのが、ボケの山内の私生活。与沢翼氏などと遊んでいるとのことで、本業に影響が出ないことを願うばかりです」

「ポスト千鳥」として、テレ朝のプッシュが始まりそうなかまいたち。私生活のほうも要注目といえそうだ。

旅番組『相席食堂』で牛のフンに狼狽、勝手にロケを終了……長州力は取り扱い注意!

 最近は、テレビでの露出も多い長州力。バラエティ番組でのみ長州と接する層には意外かもしれないが、プロレスファンの間で彼は“名言メーカー”だと広く認知されている。強くてキャラが面白いだけでなく、その独特の言語感覚がどれだけファンの心を震わせてきたか。

 

■右手を勇ましく上げながら旅番組に登場

 田舎の食堂に有名人が現れ、地元の人にいきなり相席をお願いする、行き当たりばったりの旅番組『相席食堂』(ABCテレビ)。この番組の5月20日と27日、2週にわたって長州が出演した。

 もう、キャスティングの時点で奇跡を期待する。まともなロケができなさそうな人が、垣根なしで一般人と接触するシチュエーション。素材をぶっ込んで立ち上るケミストリーをそのまま楽しもうという魂胆のはずだ。

 かつては、新日本プロレスの現場監督としてマット界全体ににらみを利かせていた長州も、今ではめっきり円くなった。北海道・猿払(さるふつ)村 に降り立った長州は、勇ましく右手を上げながら自己紹介する。

「こんちはー、皆さん! 今日は日本で最北端の町ではなく村、猿払村にやってきました。すごいですよ、ここは!」

 想像してみてほしい。長州がいきなり右手を上げながら「こんちはー!」と現れる光景を。「パワーホール」が聴こえてきそうだ。スタジオでVTRを見る千鳥の2人は、これだけで笑いが止まらなくなってしまった。

 繰り返すが、長州は円くなった。90年代の天下人・長州は、町行く人へ気軽に声を掛ける。番組のコンセプトにのっとり「横に座って食べてもいいですか?」と、飲食店で地元の人とコミュニケーションを図るのだ。しかし、いかんせんあの図体。突然の襲来を怖がる人がいても無理はないだろう。

 事実、この時に声を掛けられた女性2人組は、あからさまな拒否反応を示している。まるで会話を盛り上げようとしないし、長州に背中を向けながら食事をしているし。全然、相席に見えない。そして、長州の存在感に我慢できなくなった2人組は、「帰ってもいいですか?」と発言。まぎれもないギブアップ宣言だ。サソリ固めばりの相席だったか。

■ホタテの貝柱を食べて、「飛ぶぞ」

 筆者は、子どもを対象に長州が開講したレスリング教室を取材したことがある。その時の長州は、目尻が下がりっぱなしであった。実は、子どもも好きなのだ。

 子どもたちを発見した長州が、声を掛けた。

「ボク、ちょっと来てごらん!」

 念のため言うと、長州が声を掛けたのは女の子である。見間違えて「ボク!」と呼んでしまっているが、無邪気な子どもたちは気にせずに寄ってくる。……が、長州の姿を確認し、きびすを返して逃げ出した。

「なんで逃げんだよ」

 これには、スタジオにいる千鳥・大悟が、長州のことを“悲しきモンスター”と例えているくらいだ。いくらなんでも、ひどすぎるんじゃないだろうか。

 番組のコンセプトを拡大解釈した長州は、おままごと中の子どもたちにも「相席していい?」と尋ねる。だが、それはもはや相席ではない。すると、この子たちの親御さんがやって来た。お父さんの職業は漁師だそう。長州はホタテの貝柱をごちそうになった。

「あぁ、うまい。(スタッフに向かって)食ってみな? 飛ぶぞ」

 言い方がヤバい。「トリップするほどうまい」という意味なのだろうけど、ボキャブラリーがキナ臭すぎるのだ。この言語感覚から、長州の名言メーカーっぷりがうかがえるはずだ。

 

■牛のフンの被害に遭い、カタくなる

 時にボキャブラリーがアナーキーな長州だが、態度はすっかり円くなっている。「キレてないですよ」の名言を出すまでもなく、今ではめったにキレることもない。相席できる食事処を探す長州は、道行く3人組に声を掛けた。

長州「すいません。ちょっと聞きたいことがあるんですけど、食事ができるとことってあります? 食堂とか、この近くに」

3人組「……」(無言で立ち去る)

長州「ちょっ……(笑)」

 大人3人からあからさまに無視され、苦笑いで立ちすくむ長州。マット界で豪腕を振るったかつての天下人も、猿払村ではこんな対応をされるのか。

 悲しみのステージは続く。地元のカフェに長州が入ると、そこでは父母娘の3人家族が食事していた。相席した長州は女の子に話しかける。しかし、この子は長州を完全無視! きっと、迫力におびえているのだろう。

 テーブルに着いた長州は、いきなりビールを注文する。ゴクゴク飲んだ。続けざまに、顔を背ける女の子に長州は声を掛けた。

「ねえ、(こっちを)見て。……ヴァッ!」

 女の子を振り向かせて何をするのかと思いきや、ゲップを放つ長州。彼にとってはほんのいたずら心だろうが、少女にとってプロレスラーのゲップはものすごいインパクトだったはず。インパクトにこだわる長州らしいといえば、らしいが。

 長州のゲップを出しやすくしたビールだったが、ゲップ以外の影響も及ぼしている。ちなみに、カフェで出会ったファミリーは酪農一家だった。牛を見たくなった長州は、ご家族が所有する牧場へ行くことにした。……が、ビールのせいで眠くなる長州。牧場へ向かう車中で堂々と寝た。よく飲み、よく眠る長州。

 しばらくして、牧場に到着。向こうからは、ファミリーの飼う大きなセントバーナードがやって来た。長州の周りを駆け、はしゃぐワンちゃん。たまらず、長州が口を開いた。

「におうなあ」

 初対面の家族が飼っている犬と遭遇し、いきなり臭さを指摘する長州。さすがの言語感覚である。

 とにもかくにも、長州は厩舎にお邪魔することにした。このご家族のお父さんは、偶然にもプロレスファンである。お父さんは、長州にプロレスの質問をし続ける。そして、その後ろには、異常な勢いでフンを出し続ける牛が……。長州もファンのためにリキラリアットの話をしようとするのだが、あまりにもな量のフンを見て、ついに絶句する。

 このフンが、後に凶器と化すのだ。厩舎の中を行き来する長州が、不意に声を上げた。

「うわっ、いやぁ」

 どうやら牛がしっぽでお尻を払い、その勢いで跳ねたフンが長州の顔に付 いた模様。一気にテンションがダダ落ちする長州。

「俺、着替えがない。本当にやばい。俺、無理だぞ、これ。どうするんだよ」

 狼狽しながら厩舎を退出した長州。顔からは笑顔が消え、フンがついてないか、靴の裏を調べ始めた。

 そして、カタくなる。番組スタッフは、長州に乳搾りをリクエストする。バラエティ番組が牧場へ来たならば、絶対に欲しい絵だろう。

「ということは、あの牛と牛の間に入んなきゃいけないってこと? 必要? これは中に入ってまでやらなきゃいけないアレ?」

 結局、長州は乳搾りを最後までやらなかった。厩舎の牛を前にしながら乳搾りしないバラエティ番組を見たのは初めてである。

■トークの不調を察し、急にロケを切り上げる

 いまやバラエティの常連となった長州だが、テレビ関係者は長州が“取り扱い注意”だと認識しなければならない。丸 くなりはしても、“天下の長州力”だ。

 その辺り、ロケVTRを締めようと長州が展開したエンディングトークに、よく表れていた。

「あぁ、ようやっと終わりました。いやぁ~、疲れました。正直言って」

 充実し、満足した感想を述べるのではなく、いの一番にしんどさをアピールした長州。この時の表情は満面の笑みで、ロケから解放されるうれしさに満ちている。

 とはいえ、長州は弁の立つ男。最後はきっちり締めるはずだ。

「今まで知らないことがたくさんあったんですけど、今日はこの農家に来て、最後は農家の牛乳ですか? 牛が、牛から採る……あっ、すいません。うまくしゃべれない、今。いいですか? あの……編集してください」

 いびつな形でロケを終了させた長州。うまくしゃべれていたと思うのだが、思い通りにアゴが動かない体調を本人は自覚してしまったらしい 。

 この回の長州のロケっぷりはSNSでかなり話題となっており、「笑いすぎて死ぬかと思った」「吐くほど面白い」などと、好事家たちを存分に笑わせている。

“取り扱い注意”ではあるものの、結果はきっちり出す。長州力がバラエティ番組から解放されることは、当分の間なさそうだ。

(文=寺西ジャジューカ)