こんにちは。北朝鮮ライターの安宿緑です。
最近、自宅の本棚を整理していたら、以前、北朝鮮で買った冊子を発見しました。

北朝鮮の料理レシピ本『有名な平壌料理』。
いったいどんなメニューが載っているのかといえば、トップバッターはやはり平壌冷麺。北朝鮮といえばコレ、といって過言ではありません。説明には「人民が祝祭日、休日に楽しむ平壌特産料理」とあります。

しかし……。

材料に、「そば粉」という文字が。
つまり麺から打て、と。いやいや、ご冗談を……。あるいは、平壌ではイタリアのように一家に一台、ヌードルメーカーでも置いてあるんでしょうか? そんな話は、一度も聞いたことがありません。その他のメニューも、すべからく無慈悲な難易度で、庶民には到底対応できないと思われる内容に仕上がっておりました。この頑張りすぎな感じ、幼き頃の授業参観に張り切りすぎて、司忍みたいな風貌で現れた私の父を思い出させます。関係ないのですが……。
しかし、ここまでで皆さんの脳裏によぎっている言葉はただ一つ、
「そもそも庶民は食えてんのかよ?」
だと思います。
もちろん地域格差はありますが、参考までに平壌の中流家庭の食卓がこちら。

一番手前の、油揚げに包まれた謎メニューは人民がやたらと推してきたのですが、ギトギトな見た目に引いてしまい、結局、箸をつけられませんでした。韓国にも「ユブチョバプ」という、いなり寿司のようなものがありますが、それとは似て非なるものの気がしました。どちらかというと、日朝折衷な感じがします。
今回は腕慣らしとして、この「油揚げ辛味噌いなり」(勝手に命名)を見よう見まねで作ってみたいと思います。
まずは赤い部分の、ヤンニョムソースを作ります。
唐辛子 適当
長ネギ 1/2本
リンゴ 1/4個
にんにく 2個
生姜 1片
もち粉 大さじ1杯
ハチミツ 大さじ4杯
イカの塩辛 1/2袋(アミの塩辛でも)
ヤンニョムは作る人によって少しずつレシピが変わるといわれますが、こちらは基本の材料です。実は、私は北朝鮮料理を作ったことがまったくと言っていいほどなく、クックパッドで必死に検索しました。どんなものでもキムチを入れれば、なんちゃって北朝鮮料理になりますからね。粘りを出すためのもち粉がないので、今回は上新粉で代用。

それらを全部フードプロセッサーにぶっ込んで、スイッチオン!

完成です。見た目に青が欲しい人は、青ネギを後から刻んで加えるといいと思います。

お次に、私はパリっとしたほうが好きなので、油揚げをごま油で焼く。

同じくご飯も、ごま油で軽く炒めます。

油揚げは三角形に切り分け、ご飯が入る形にします。

ご飯をややキツめに詰めて、ヤンニョムを入れる。粘りがあるので、載せるだけでも大丈夫なようです。

はい、出来上がり。所要時間10分! どうでしょうか? 色と盛り付けは、オリジナルのほうがいいですね……。やはり、青ネギを加えればよかったです。

さて、気になるお味のほうは……。ルームメイトに試食してもらうと、「なかなかおいしい! サッパリしていて、韓国のとなんとなく違う」との感想。おそらく、適当なヤンニョムのおかげかもしれません。
私も一口食べてみたところ、自分で言うのもなんですが、美味でした。ヤンニョムの香味と爽やかさが、油揚げのギトギト感を打ち消しています。見た目ほど、くどくありません。
余ったヤンニョムは、ラーメンやサラダに転用しましょう。今回は、旬の生牡蠣(生食用)を漬け込んで、牡蠣キムチにします。

以上、北朝鮮の庶民の食卓を再現してみました。
今後も定期的に、無慈悲な料理本『有名な平壌料理』のレシピにチャレンジしていきたいと思います。
●やす・やどろく
ライター、編集者。元朝鮮青年同盟中央委員。政治や民族問題に疲れ、その狭間にある人間模様の観察に主眼を置く。しばしば3重スパイ扱いされるのが悩み。日朝和平、北朝鮮のGDP向上、南北平和統一を願う一市民。ペンネームは実家が経営していたラブホテルの屋号(※とっくに倒産)。<http://blog.livedoor.jp/yasgreen/>