北朝鮮“美女軍団”の秘められたミッションが発覚!? 「平昌五輪で“アレ”をアピールせよ」

“微笑み外交”の象徴として北朝鮮が平昌冬季五輪へと送り込んだ美女軍団に秘められたミッションの存在が浮上してきた。どこへ行ってもスマホのカメラで撮影される美女たちは、これ見よがしにブランド名入りのポーチやショップ袋を持ち歩いているのだ。

 南北が融和すると巨大市場となり得る韓国で、彼女たちは自国の運動服をPRしてるんじゃないか!? 接近して美女軍団のファッションチェックを試みてみた。

 美女軍団は複数パターンの服装を南に持参したが、競技が始まってからはスキーウェアが基本となっている。紅白のニット帽を着用し、上半身は赤いスキーウェア、青のジャージ、白いセーターという“三層構造”だ。日本から派遣されたメディア関係者は「開会式会場ではニット帽やブランケットなど防寒6点セットを主催者側が配布したが、美女軍団は使わず、その場に置いて帰った」と振り返る。寒さ対策は万全なのか、それとも南の物をもらうとバチが当たるという、厳しい掟を守っているのかは不明だ。

 注目は小物だ。美女軍団は、ピンクないし紺色の肩掛けかばんを持って移動する。遠目にはアディダスのロゴのように見えるが、よ~く見ると朝鮮語で「大城山(テソンサン)」と読める。これは、金正恩党委員長が肝いりで建設を指示した平壌体育機材工場のブランドだ。2016年6月に正恩氏が現地指導した際は、サッカーボールの製造工程ばかりが映し出された。現在は競技服や、こうした小物まで製造する総合スポーツ製品企業に成長した可能性がある。

 美女軍団は、ひと昔前の女子高生のようにショップ袋をカバンの代わりにしている。きちんと電話とFAX番号まで印字されているが、ロゴ自体は「ネゴヒャン(わが故郷)合作会社」とプリントされている。ネゴヒャンも北朝鮮では超有名なスポーツブランドで、平壌市中心部に専門店があり、こちらはユニホームやジャージといったアパレル部門が強い総合スポーツメーカーだ。北朝鮮国内で開催される国際大会では競技場内に広告を出すことで知られ、北の中ではかなりの大企業だ。

 かつて、北朝鮮は五輪ウェアを外国に依存していた。2000年のシドニー五輪では、当時イタリアに本社があったFILA(フィラ、現・韓国)、04年のアテネ五輪は韓国側が提供するユニホームを着る予定が、ドタキャンしてさまざまなメーカーのウェアを着用した。08年北京五輪は中国「鴻星ERKE(アーク)」社を採用。12年のロンドン五輪も中国の有名スポーツメーカー「361°」になった。最高指導者の代替わりで自国のメーカーを育てようと、14年秋に韓国・仁川で開催されたアジア大会で初めて自国製のユニホームを採用。リオ五輪と今回の平昌冬季五輪も自国製を貫いている。

 ブランドの宣伝か、国威発揚なのかは不明だが、自国ブランドを生真面目にアピールする美女軍団の純真さに気付いた韓国人はほとんどいないだろう。
(文・写真=金正太郎)

北朝鮮“美女軍団”の秘められたミッションが発覚!? 「平昌五輪で“アレ”をアピールせよ」

“微笑み外交”の象徴として北朝鮮が平昌冬季五輪へと送り込んだ美女軍団に秘められたミッションの存在が浮上してきた。どこへ行ってもスマホのカメラで撮影される美女たちは、これ見よがしにブランド名入りのポーチやショップ袋を持ち歩いているのだ。

 南北が融和すると巨大市場となり得る韓国で、彼女たちは自国の運動服をPRしてるんじゃないか!? 接近して美女軍団のファッションチェックを試みてみた。

 美女軍団は複数パターンの服装を南に持参したが、競技が始まってからはスキーウェアが基本となっている。紅白のニット帽を着用し、上半身は赤いスキーウェア、青のジャージ、白いセーターという“三層構造”だ。日本から派遣されたメディア関係者は「開会式会場ではニット帽やブランケットなど防寒6点セットを主催者側が配布したが、美女軍団は使わず、その場に置いて帰った」と振り返る。寒さ対策は万全なのか、それとも南の物をもらうとバチが当たるという、厳しい掟を守っているのかは不明だ。

 注目は小物だ。美女軍団は、ピンクないし紺色の肩掛けかばんを持って移動する。遠目にはアディダスのロゴのように見えるが、よ~く見ると朝鮮語で「大城山(テソンサン)」と読める。これは、金正恩党委員長が肝いりで建設を指示した平壌体育機材工場のブランドだ。2016年6月に正恩氏が現地指導した際は、サッカーボールの製造工程ばかりが映し出された。現在は競技服や、こうした小物まで製造する総合スポーツ製品企業に成長した可能性がある。

 美女軍団は、ひと昔前の女子高生のようにショップ袋をカバンの代わりにしている。きちんと電話とFAX番号まで印字されているが、ロゴ自体は「ネゴヒャン(わが故郷)合作会社」とプリントされている。ネゴヒャンも北朝鮮では超有名なスポーツブランドで、平壌市中心部に専門店があり、こちらはユニホームやジャージといったアパレル部門が強い総合スポーツメーカーだ。北朝鮮国内で開催される国際大会では競技場内に広告を出すことで知られ、北の中ではかなりの大企業だ。

 かつて、北朝鮮は五輪ウェアを外国に依存していた。2000年のシドニー五輪では、当時イタリアに本社があったFILA(フィラ、現・韓国)、04年のアテネ五輪は韓国側が提供するユニホームを着る予定が、ドタキャンしてさまざまなメーカーのウェアを着用した。08年北京五輪は中国「鴻星ERKE(アーク)」社を採用。12年のロンドン五輪も中国の有名スポーツメーカー「361°」になった。最高指導者の代替わりで自国のメーカーを育てようと、14年秋に韓国・仁川で開催されたアジア大会で初めて自国製のユニホームを採用。リオ五輪と今回の平昌冬季五輪も自国製を貫いている。

 ブランドの宣伝か、国威発揚なのかは不明だが、自国ブランドを生真面目にアピールする美女軍団の純真さに気付いた韓国人はほとんどいないだろう。
(文・写真=金正太郎)

北朝鮮経営のホテル閉鎖で、最強媚薬“セックス・トニック”とも、もう会えない……?

 平昌冬季五輪に芸術団や選手団を派遣して、平和ムードを演出する北朝鮮。親北の文在寅政権から援助を引き出そうとする下心がミエミエだが、その背景には国連制裁による外貨稼ぎの分断が深刻なダメージを与えている現実があるようだ。中国・瀋陽で北の企業が経営していたホテルも1月初めに閉鎖となり、併設の売店で販売されていた伝説の媚薬も今や入手困難となってしまった。

 閉鎖した北朝鮮資本のホテルは、朝鮮族の多い中国東北部・瀋陽市にある「七宝山(チルボサン)ホテル」。2000年に北朝鮮が約22億円を投じて建設した14階建て。シティホテルっぽい近代的な客室、朝鮮式の婚礼もできる宴会場、美女軍団が給仕するレストランといった設備があるほか、北朝鮮のフラッグキャリア「高麗航空」の瀋陽支店や旅行会社、正体不明の北朝鮮企業のオフィスも入っていた。

 北系といってもネットの宿泊サイトで普通に予約が可能で、ツインは1泊5,000~8,000円ほどと中国のホテル相場からは少し高いが、北朝鮮から来た人たちのほか、外国人も普通に宿泊していた。

 特に、部屋のテレビでは朝鮮中央テレビの視聴が可能だったり、ロビーには朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」があったり、フロントの女性も美女軍団だったりと、その手の趣味がある人には至れり尽くせり。20万円以上という高額の旅費を払って訪朝せずとも、北朝鮮特有の微妙な緊張感を味わえるという、世界的にも希有な空間を楽しもうと、北朝鮮マニアならば一度は宿泊したことのある登竜門的な存在だった。

 だが、国連制裁を受けて中国商務省が北朝鮮企業を1月9日までに閉鎖するようお達しを出した結果、中朝合弁という経営形態だった七宝山ホテルは営業継続を断念し、完全撤退してしまった。

 特に惜しまれるのが、1階ロビーにあった北朝鮮グッズの売店だ。

 朝鮮人参をはじめ、漢方由来の生薬が名産の北朝鮮では、古くから精力剤の製薬が活発だった。2000年代に入って中国でのマーケット拡大を狙い、大胆な媚薬を次々と発売していった。数ある北朝鮮媚薬の中でも、一番過激だったのが、件の売店に堂々と置いてあった「セックス・トニック」(朝鮮語・強精補養酒)だ。酒に媚薬を溶かすのは、昭和から続く、やりチンの常套手段だが、この商品はひと味違う。酒自体が媚薬なのだ。

 七宝山ホテル売店のショーウィンドーで発見し、即買いすればよかったが、なぜかこの時、買わずに写真だけ撮影して帰った。しかし、もうホテルは復活しそうにない。「セックス・トニック」、もう会えないかもしれない。
(文・写真=金正太郎)

編集方針は金正恩へのゴマすり……北朝鮮謹製! 2018年「自慢の逸品カレンダー」が味わい深い

 傍若無人なミサイル発射を繰り返す北朝鮮が、2018年新作カレンダーを発行した。平壌の高層マンション街や映画俳優、朝鮮料理といった複数のジャンルが確認されているが、新テーマ「自慢の逸品」が出現し、マニアや研究者の間で話題になっている。缶ビールや革靴、シャンプー&リンスといった西側諸国ではあり得ないモチーフをドーンと掲載するあたり、「さすがは北朝鮮だ!」とマニアを唸らせているのだ。

 企業の粗品として重用されるカレンダー。北朝鮮では国営企業の朝鮮出版物輸出入社が一括してカラー印刷し、国内外で販売される。わずかだが外貨稼ぎの足しになる上、1年にわたって国力をアピールできるため、毎年、変に気合いの入った仕上がりになる。

 新テーマ「自慢の逸品」は縦長サイズで、1月は「開城(ケソン)高麗人参加工品」というオーソドックスな特産物からスタートする。故・金正日総書記の誕生日が赤字で図太く印字された2月は、松茸加工品だ。チンコケースみたいなガラス容器に入った松茸酒が異様に目立つ。その手前には「松茸抗がん免疫復活薬」……。日本だと薬事法か何かですぐに逮捕されそうな、詐欺っぽいネーミングだ。そもそも、秋が旬なのに、2月にくるセンスが不思議過ぎる。

 3月は「春の香り」化粧品のセット。伝統的に美肌の多い北朝鮮女性が愛用する数少ないお役立ちアイテムだ。4月は「電子製品」。スマホや薄型テレビが北朝鮮にもあると必死にアピールする。

 5月になって「平壌体育機材工場の製品」と、いきなり具体的な工場名が出てサッカーボールやユニホームが並ぶ。金正恩党委員長が肝いりで建設を指示した工場で、正恩氏も2016年6月に現地指導するため足を運んでいる。

 6月は「龍岳山(リョンアクサン)石鹸工場製品の品々」で、シャンプーやリンスがどーんと出ている。7月の「靴」は元山(ウォンサン)にある靴工場が製造したモノだ。どちらの工場も近年に正恩氏が現地指導した報道があり、奇妙なアイテムが続々と登場する背景には「正恩氏への“ゴマすり”」という編集方針を読み取ることができる。

 8月は海外輸出の実績もある大同江(テドンガン)ビール。瓶が主流で、中国への輸出実績もあるブランドだが、17年にようやく缶ビールが新発売となり、ここぞとばかりに缶をアピールする。

 9月の「健康時計」は、着用するだけで皮下の血液を浄化して健康になるというサイキックな効能が売りだ。同様の技術(?)で血液浄化できる指輪やネックレスも写っている。プラシーボ(思い込み)効果だけはありそうだが、血液浄化の効能は、北朝鮮に行って確認するしかない。

 10月はフルーツ入り菓子、11月は酒、12月は銅製の酒器という、割と普通のアイテムで締めくくっている。

 カレンダーで「自慢の逸品」をアピールしたまではいいが、12月の国連安全保障理事会制裁決議で、多くの製品が禁輸品に……。2018年は北挑戦にとって厳しい1年となりそうだ。

編集方針は金正恩へのゴマすり……北朝鮮謹製! 2018年「自慢の逸品カレンダー」が味わい深い

 傍若無人なミサイル発射を繰り返す北朝鮮が、2018年新作カレンダーを発行した。平壌の高層マンション街や映画俳優、朝鮮料理といった複数のジャンルが確認されているが、新テーマ「自慢の逸品」が出現し、マニアや研究者の間で話題になっている。缶ビールや革靴、シャンプー&リンスといった西側諸国ではあり得ないモチーフをドーンと掲載するあたり、「さすがは北朝鮮だ!」とマニアを唸らせているのだ。

 企業の粗品として重用されるカレンダー。北朝鮮では国営企業の朝鮮出版物輸出入社が一括してカラー印刷し、国内外で販売される。わずかだが外貨稼ぎの足しになる上、1年にわたって国力をアピールできるため、毎年、変に気合いの入った仕上がりになる。

 新テーマ「自慢の逸品」は縦長サイズで、1月は「開城(ケソン)高麗人参加工品」というオーソドックスな特産物からスタートする。故・金正日総書記の誕生日が赤字で図太く印字された2月は、松茸加工品だ。チンコケースみたいなガラス容器に入った松茸酒が異様に目立つ。その手前には「松茸抗がん免疫復活薬」……。日本だと薬事法か何かですぐに逮捕されそうな、詐欺っぽいネーミングだ。そもそも、秋が旬なのに、2月にくるセンスが不思議過ぎる。

 3月は「春の香り」化粧品のセット。伝統的に美肌の多い北朝鮮女性が愛用する数少ないお役立ちアイテムだ。4月は「電子製品」。スマホや薄型テレビが北朝鮮にもあると必死にアピールする。

 5月になって「平壌体育機材工場の製品」と、いきなり具体的な工場名が出てサッカーボールやユニホームが並ぶ。金正恩党委員長が肝いりで建設を指示した工場で、正恩氏も2016年6月に現地指導するため足を運んでいる。

 6月は「龍岳山(リョンアクサン)石鹸工場製品の品々」で、シャンプーやリンスがどーんと出ている。7月の「靴」は元山(ウォンサン)にある靴工場が製造したモノだ。どちらの工場も近年に正恩氏が現地指導した報道があり、奇妙なアイテムが続々と登場する背景には「正恩氏への“ゴマすり”」という編集方針を読み取ることができる。

 8月は海外輸出の実績もある大同江(テドンガン)ビール。瓶が主流で、中国への輸出実績もあるブランドだが、17年にようやく缶ビールが新発売となり、ここぞとばかりに缶をアピールする。

 9月の「健康時計」は、着用するだけで皮下の血液を浄化して健康になるというサイキックな効能が売りだ。同様の技術(?)で血液浄化できる指輪やネックレスも写っている。プラシーボ(思い込み)効果だけはありそうだが、血液浄化の効能は、北朝鮮に行って確認するしかない。

 10月はフルーツ入り菓子、11月は酒、12月は銅製の酒器という、割と普通のアイテムで締めくくっている。

 カレンダーで「自慢の逸品」をアピールしたまではいいが、12月の国連安全保障理事会制裁決議で、多くの製品が禁輸品に……。2018年は北挑戦にとって厳しい1年となりそうだ。

ミサイル飛ばしてる場合じゃない!? 日本海漂着物の「ネコ耳カット歯磨きチューブ」と北朝鮮の生活ぶり

 北朝鮮の木造船漂着が相次いでいる。海上保安庁によると今年1月から12月18日までに95件も発生。首相官邸は通信アプリ「LINE]を通じて木造船漂着への警戒を発令するなど、物々しい事態となっている。

 12月の某日、新たな木造船を発見しようと、日本海沿岸を半日かけて捜索した。結論からいうと木造船はなかったが、北朝鮮の貧しい庶民生活を物語るセコいアイテムを発見。大金をつぎ込んでミサイルを飛ばしている場合じゃなさそうだ。

 今シーズンの木造船は秋田、青森といった東北地方に集中している。これは東北地方のはるか沖にある大和堆まで北朝鮮漁船が遠征して操業した影響とみられる。今秋から12月18日現在までに確認された木造船のうち、最も西で見つかったのは福井県坂井市だといい、いかに大和堆の“遠洋漁業”に北の漁船が集中しているかが見て取れる。

 一方、日本海沿岸の広い地域で、北朝鮮から出た生活ゴミが漂着している。12月、半日かけて日本海に面した某県にある4つの海岸で木造船を探し回った際、北朝鮮の歯磨き粉チューブ3個、「梨ジュース」のラベルがあるペットボトル1本を発見した。無数に押し寄せる韓国、中国の漂着ゴミに比べればごくごくわずかだが、北の人民も、ゴミを海洋投棄する“癖”があるらしい。

 歯磨き粉チューブはいずれも中国との国境の街・新義州市にある化粧品工場が製造したものだった。3本のうち2本は「白鶴」というブランド。チューブを凝視すると、ネコ耳のような人為的にカットした跡があった。

 これまでの調査で、複数の「白鶴」チューブを日本海沿岸で発見してきた。一部にチューブ中央部分がちぎれたような跡があり、素材が粗悪で漂流しているうちに破れてしまったものだという見立てだった。だが、今回はっきりした「ネコ耳カット」の発見から、これまでに見つかった歯磨き粉チューブの傷も、人為的なものだった可能性が濃厚となってきた。

 それではなぜ、北の庶民は歯磨き粉チューブに「ネコ耳カット」を入れるのか。ズバリ、チューブに残った歯磨き粉を最後まで使い切るためだ。日本でも昭和の賢い母ちゃんが、歯磨き粉チューブの尾部をカットする習慣があった。「ネコ耳」状にカットすることで、さらに隅々まで歯磨き粉をゲットできるのではないだろうか。

 なんとも慎ましい庶民の知恵が、漂着ゴミから明るみになった。北の経済はわずかながらも発展しているという観測もあるにはあるが、ミサイルや核武装による「強盛大国」が、庶民生活に還元される日はまだ先のようだ。
(文・写真=金正太郎)

「おもしろ人間図鑑」か「先にやってきた未来」か──“脱北YouTuber”が語る北朝鮮のリアル

 こんにちは。安宿緑です。「脱北YouTuber」をご存じでしょうか?

 文字通り、脱北者がYouTuberとして番組を配信しているのです。正確には、「アフリカTV」というチャット機能付きの動画配信サイトからYouTubeにも転載をしている形です。韓国では脱北BJ(配信者)と呼ばれています。

 彼ら脱北YouTuberが台頭してきたのは2016年頃からで、現在多くのチャンネルがあるのを確認できます。とはいえ元庶民ですから政情には詳しくないようで、もっぱら恋愛や食べ物などの生活ネタ、北朝鮮に対する質問に答えるのを主なコンテンツとしているようです。

 その中から、特徴的なYouTuberをピックアップしてみました。

「脱北ブローカーが『国境を越えたら、北斗七星の方向を目指していけ』と言った。内モンゴルの砂漠をひたすら走り、国境警備隊を避けるために、夜の砂漠の真ん中で息を潜めた時は、心臓が凍りつくように寒かった」

 BJイピョンさん(23歳)が語る脱北時の様子は、映画のワンシーンのようです。

●BJイピョン
https://www.youtube.com/channel/UCBiFOp2g0ER25Tb5OA0G0kg

 アフリカTVの累積視聴者数は3カ月で28万人超、YouTubeに上げた脱北経緯についての動画は120万アクセスを記録。端正な容姿にピアスに刺青という、韓流アイドルのような容姿も人気の理由のようです。

 彼が放送を始めたきっかけは、「脱北者が“アカ”呼ばわりされたり、貧しい人間扱いされるのが嫌だったから」とのこと。

「北朝鮮の人は本当に人肉を食べるのか」「全員が暗殺術を習うのか」などの質問を受けることもあり、自身の放送を通じて、こうした偏見を取り除き、北朝鮮へのイメージを正したいと話しています。

 脱北したとはいえ、好き放題言われるのは我慢ならんということでしょうか。

 続いて、容姿端麗といえばイ・ソユルさん(30歳)。30歳とは思えぬ美貌とスタイルが人気で、自らフィッティングモデルを務める洋服の通販サイトを運営しています。しかしこんな美人でありながら、放送内容がえぐいのが彼女の特徴であります。

●ソユル 脱北女子 イ
https://www.youtube.com/channel/UC9jMdW7ZEnPBYhQ-sIksoDw

 先日、軍事境界線を乗り越えてきた脱北兵士の体内から回虫が発見された件についても、彼女はこのようにコメントしました。

「回虫くらい当然のこと。驚きませんでした」

 そういって、寄生虫エピソードを次々と披露します。

・北朝鮮では年に1回、駆虫剤を飲む
・回虫は最大でボールペンくらいの太さ
・シラミもわくので洗濯用洗剤で全身を洗っていた
・一度、洗濯用洗剤で洗ったら余計シラミがわいて「この洗剤は安企部(安全企画部=現:韓国国家情報院)が流布したものだ」という噂が出回った
・脇毛にシラミがわいた人がいた

 さらには「私は女性なので話すのは迷ったのですが……話しちゃいます!」と照れながら、喉に違和感を覚え、引っ張り出したら回虫だったという話まで披露。満面のスマイルで「もう10年前の話なんで、汚く思わないでくださいね★ ウフフッ★」と締めます。

 いや、全然笑えないんだが……という感じですが、壮絶な体験をサラリと話してしまうのも脱北YouTuberの魅力といえましょう。

 笑えないはずだが、一周回って笑える動画といえば、「脱北女子ソニー」。

●NorthKorean Sunny
https://www.youtube.com/channel/UCiIBRxfi5PspgJSTcvi-pHg

「私たちはお金がなかったので」と生々しい前置きをし、北朝鮮で自作していた化粧品の作り方という、ある意味「誰得」な動画をアップしています。ラインナップは、どれもDIY精神を感じさせるものになっております。

 赤いクレヨンを油で溶きながら「北にいる時は、ごま油でやってて臭かった」と言ったり、「描けない!」「痛い!」などと言いながら木串のアイラインを解説する姿は、笑っていいのかダメなのか微妙なところです。そうやってさんざん詳細に語っておきながら、最後は「体に悪いからやめたほうがいいです」と視聴者にアドバイス。いや、作らないから安心してほしい。

 そして真打ちとも言える存在が彼女、ソン・ポムヒャンさん(31歳)です。YouTube登録者数は約14万人と、桁違い。

●ソン・ポムヒャンTV
https://www.youtube.com/channel/UCuUPV5b6jt3d4B4u8a_8XNg

 彼女が他のYouTuberと違うのは、積極的に「炎上スタイル」を取っていく点です。よどみないマシンガントークと、ディスられたら「お前、バカだろ?」と2倍、3倍にしてディスり返す姿勢は意図せずして朝鮮中央通信、北朝鮮スタイルそのものです。

 アフリカTVのチャットでは、彼女に対し「アカ女」「北朝鮮に帰れ」など挑発的なコメントをするユーザーも多く、そのたびに直接対決を繰り広げております。中には、不埒なコメントをしたユーザーに18分間キレ続けるという動画もあります。

 彼女の名を知らしめたのは、2012年に出演した、脱北者を紹介する番組『今、会いにゆきます』(チャンネルA)でした。彼女が半生を語った回は大きな反響を呼び、一部では「神回」として語り継がれているようです。

 北朝鮮の最北端、咸鏡北道穩城郡の貧村に生まれたソン・ポムヒャンさん。

 当時は「苦難の行軍」と呼ばれる大飢饉が起きた時代。村では食料そのものが存在せず、常に飢えていたといいます。そんな中、ポムヒャンさんは、病弱な姉が意識混濁状態で壁の土を食べている姿を発見してしまいます。その2日後に、姉は16歳で死亡しました。

 父親はアルコール中毒で頼れず、母親はこれ以上、子どもたちを死なせないためにと、出稼ぎに中国へ渡ります。しかし待てど暮らせど、母親からの知らせはなく、母を追う決心をしたポムヒャンさんは妹を連れて、一週間かけて中朝国境まで歩き、国境線となる川・豆満江にたどり着きました。

 しかし、いざ川を渡る段階になると妹がぐずり出してしまいます。ポムヒャンさんは泣く泣く妹を川辺の林に隠し、一人で川を渡りました。

 中国で最初に頼った民家では、生まれて初めてのご馳走を振る舞ってくれましたが、そこは人身売買の拠点で、ポムヒャンさんは、そのまま中国人夫婦の養子として売られてしまったのでした。

 そして5年がたつ頃にはすっかり朝鮮語を忘れ、中国人として生きていましたが、ある日、夢の中に亡くなった姉が出てきて、このように言いました。

「お母さんとお姉ちゃんが待ってるから、北朝鮮に帰りなさい」

 夢に従い、ポムヒャンさんは養父母に置き手紙をして出奔。警察に「私を北朝鮮に帰してください」と直談判をしにいきました。そして3カ月の調査を受け、身元が確認されると、延辺の刑務所に移送されることになりました。

「なぜ、罪を犯したわけでもないのに、刑務所に行かなくてはならないの」

 ポムヒャンさんが泣きながら女子房に入ると、そこにいた脱北女性たちの中に一人だけ、中国語を理解する人がいました。ポムヒャンさんが身の上を話すと、その中で一人の女性が自分をじっと見つめていることに気づきました。女性はポムヒャンさんに近づき、言いました。

「ポムヒャンなの?」

 そう、なんとポムヒャンさんは亡き姉が夢で導いたとおり、刑務所で10年ぶりに母親と再会したのでした。朝鮮語も、自分の本名すら忘れていたポムヒャンさんは、その時、初めて自分の名前を知ることになったといいます。

 その後、北朝鮮に戻るも、母親とともに再脱北し延辺に行きますが、母親に「ここではもう暮らせない。韓国に行きなさい」と促され、偽造旅券を持って飛行機で韓国へ。韓国の存在も、それまで知らなかったとか。

 ほどなくして母親も韓国に到着し、紆余曲折を経て妹も召喚することに成功。晴れて、自由社会での生活をスタートさせようとした矢先に、さらなる悲劇が襲います。

 妹が、渡韓してたった2カ月後に交通事故に遭ってしまうのです。音楽プレイヤーを拾おうと車から頭を出したところを、後続車に轢かれてしまうという痛ましい事故でした。

 意識不明となった妹は幸い8カ月後に目を覚ましましたが、神経を破壊され片目が開かない状態の上、母やポムヒャンさんを識別できなくなっていました。唯一残っていたのは、北朝鮮で苦労した記憶だけだったといいます。

 10歳で脱北して朝鮮語と自分の名前を忘れることがあるのか、また妹は豆満江からどうやって自宅まで戻ったのかなど、いろいろとツッコミどころはあるのですが、ストーリーの出来としては100点満点でございましょう。

 ポムヒャンさんは当初は警察官を目指していましたが、妹の事故をきっかけに看護助手となります。しかし幼い頃の栄養失調がたたり、虚弱体質で、持病の貧血で突然倒れることがしばしばあり、そのせいで仕事をクビになることが相次ぎました。そんな中、自宅で暇つぶしに始めたのがアフリカTVの配信だったといいます。

 韓国では、脱北者を「先にやってきた未来」と呼ぶ場合もあります。南北統一し、両国の住民が忌憚なく交流する未来を先取りした存在という意味です。

 これまで脱北者は韓国人が持つ北朝鮮へのマイナスイメージを一身に受け、差別の対象になったり不可侵民の扱いを受けることがしばしばありましたが、脱北YouTuberの登場は、そうした偏見を取り払う一定の役割があると期待されています。

 確かに、脱北YouTuberは朝鮮人民同様、人間として興味を惹かれる存在であることは間違いありません。死線をくぐってきた経験談はどの映画、小説よりも訴求性があります。

 一方で、彼らを材料に北朝鮮の全てを論じるのは早計であるといえます。彼らが話す北朝鮮の現状はおよそ10~20年前のものであるため、鵜呑みにすることはできません。むしろ、彼らが韓国に順応し生活が長くなるとともにその希少性と情報は色あせていくでしょう。個人的には、あくまで「おもしろ人間図鑑」としてウォッチしていきたいと思っています。

●やす・やどろく
ライター、編集者。元朝鮮青年同盟中央委員。 政治や民族問題に疲れ、その狭間にある人間模様の観察に主眼を置く。しばしば3重スパイ扱いされるのが悩み。日朝和平、北朝鮮のGDP向上、南北平和統一を願う一市民。ペンネームは実家が経営していたラブホテルの屋号(※とっくに倒産)。<http://blog.livedoor.jp/yasgreen/>

「おもしろ人間図鑑」か「先にやってきた未来」か──“脱北YouTuber”が語る北朝鮮のリアル

 こんにちは。安宿緑です。「脱北YouTuber」をご存じでしょうか?

 文字通り、脱北者がYouTuberとして番組を配信しているのです。正確には、「アフリカTV」というチャット機能付きの動画配信サイトからYouTubeにも転載をしている形です。韓国では脱北BJ(配信者)と呼ばれています。

 彼ら脱北YouTuberが台頭してきたのは2016年頃からで、現在多くのチャンネルがあるのを確認できます。とはいえ元庶民ですから政情には詳しくないようで、もっぱら恋愛や食べ物などの生活ネタ、北朝鮮に対する質問に答えるのを主なコンテンツとしているようです。

 その中から、特徴的なYouTuberをピックアップしてみました。

「脱北ブローカーが『国境を越えたら、北斗七星の方向を目指していけ』と言った。内モンゴルの砂漠をひたすら走り、国境警備隊を避けるために、夜の砂漠の真ん中で息を潜めた時は、心臓が凍りつくように寒かった」

 BJイピョンさん(23歳)が語る脱北時の様子は、映画のワンシーンのようです。

●BJイピョン
https://www.youtube.com/channel/UCBiFOp2g0ER25Tb5OA0G0kg

 アフリカTVの累積視聴者数は3カ月で28万人超、YouTubeに上げた脱北経緯についての動画は120万アクセスを記録。端正な容姿にピアスに刺青という、韓流アイドルのような容姿も人気の理由のようです。

 彼が放送を始めたきっかけは、「脱北者が“アカ”呼ばわりされたり、貧しい人間扱いされるのが嫌だったから」とのこと。

「北朝鮮の人は本当に人肉を食べるのか」「全員が暗殺術を習うのか」などの質問を受けることもあり、自身の放送を通じて、こうした偏見を取り除き、北朝鮮へのイメージを正したいと話しています。

 脱北したとはいえ、好き放題言われるのは我慢ならんということでしょうか。

 続いて、容姿端麗といえばイ・ソユルさん(30歳)。30歳とは思えぬ美貌とスタイルが人気で、自らフィッティングモデルを務める洋服の通販サイトを運営しています。しかしこんな美人でありながら、放送内容がえぐいのが彼女の特徴であります。

●ソユル 脱北女子 イ
https://www.youtube.com/channel/UC9jMdW7ZEnPBYhQ-sIksoDw

 先日、軍事境界線を乗り越えてきた脱北兵士の体内から回虫が発見された件についても、彼女はこのようにコメントしました。

「回虫くらい当然のこと。驚きませんでした」

 そういって、寄生虫エピソードを次々と披露します。

・北朝鮮では年に1回、駆虫剤を飲む
・回虫は最大でボールペンくらいの太さ
・シラミもわくので洗濯用洗剤で全身を洗っていた
・一度、洗濯用洗剤で洗ったら余計シラミがわいて「この洗剤は安企部(安全企画部=現:韓国国家情報院)が流布したものだ」という噂が出回った
・脇毛にシラミがわいた人がいた

 さらには「私は女性なので話すのは迷ったのですが……話しちゃいます!」と照れながら、喉に違和感を覚え、引っ張り出したら回虫だったという話まで披露。満面のスマイルで「もう10年前の話なんで、汚く思わないでくださいね★ ウフフッ★」と締めます。

 いや、全然笑えないんだが……という感じですが、壮絶な体験をサラリと話してしまうのも脱北YouTuberの魅力といえましょう。

 笑えないはずだが、一周回って笑える動画といえば、「脱北女子ソニー」。

●NorthKorean Sunny
https://www.youtube.com/channel/UCiIBRxfi5PspgJSTcvi-pHg

「私たちはお金がなかったので」と生々しい前置きをし、北朝鮮で自作していた化粧品の作り方という、ある意味「誰得」な動画をアップしています。ラインナップは、どれもDIY精神を感じさせるものになっております。

 赤いクレヨンを油で溶きながら「北にいる時は、ごま油でやってて臭かった」と言ったり、「描けない!」「痛い!」などと言いながら木串のアイラインを解説する姿は、笑っていいのかダメなのか微妙なところです。そうやってさんざん詳細に語っておきながら、最後は「体に悪いからやめたほうがいいです」と視聴者にアドバイス。いや、作らないから安心してほしい。

 そして真打ちとも言える存在が彼女、ソン・ポムヒャンさん(31歳)です。YouTube登録者数は約14万人と、桁違い。

●ソン・ポムヒャンTV
https://www.youtube.com/channel/UCuUPV5b6jt3d4B4u8a_8XNg

 彼女が他のYouTuberと違うのは、積極的に「炎上スタイル」を取っていく点です。よどみないマシンガントークと、ディスられたら「お前、バカだろ?」と2倍、3倍にしてディスり返す姿勢は意図せずして朝鮮中央通信、北朝鮮スタイルそのものです。

 アフリカTVのチャットでは、彼女に対し「アカ女」「北朝鮮に帰れ」など挑発的なコメントをするユーザーも多く、そのたびに直接対決を繰り広げております。中には、不埒なコメントをしたユーザーに18分間キレ続けるという動画もあります。

 彼女の名を知らしめたのは、2012年に出演した、脱北者を紹介する番組『今、会いにゆきます』(チャンネルA)でした。彼女が半生を語った回は大きな反響を呼び、一部では「神回」として語り継がれているようです。

 北朝鮮の最北端、咸鏡北道穩城郡の貧村に生まれたソン・ポムヒャンさん。

 当時は「苦難の行軍」と呼ばれる大飢饉が起きた時代。村では食料そのものが存在せず、常に飢えていたといいます。そんな中、ポムヒャンさんは、病弱な姉が意識混濁状態で壁の土を食べている姿を発見してしまいます。その2日後に、姉は16歳で死亡しました。

 父親はアルコール中毒で頼れず、母親はこれ以上、子どもたちを死なせないためにと、出稼ぎに中国へ渡ります。しかし待てど暮らせど、母親からの知らせはなく、母を追う決心をしたポムヒャンさんは妹を連れて、一週間かけて中朝国境まで歩き、国境線となる川・豆満江にたどり着きました。

 しかし、いざ川を渡る段階になると妹がぐずり出してしまいます。ポムヒャンさんは泣く泣く妹を川辺の林に隠し、一人で川を渡りました。

 中国で最初に頼った民家では、生まれて初めてのご馳走を振る舞ってくれましたが、そこは人身売買の拠点で、ポムヒャンさんは、そのまま中国人夫婦の養子として売られてしまったのでした。

 そして5年がたつ頃にはすっかり朝鮮語を忘れ、中国人として生きていましたが、ある日、夢の中に亡くなった姉が出てきて、このように言いました。

「お母さんとお姉ちゃんが待ってるから、北朝鮮に帰りなさい」

 夢に従い、ポムヒャンさんは養父母に置き手紙をして出奔。警察に「私を北朝鮮に帰してください」と直談判をしにいきました。そして3カ月の調査を受け、身元が確認されると、延辺の刑務所に移送されることになりました。

「なぜ、罪を犯したわけでもないのに、刑務所に行かなくてはならないの」

 ポムヒャンさんが泣きながら女子房に入ると、そこにいた脱北女性たちの中に一人だけ、中国語を理解する人がいました。ポムヒャンさんが身の上を話すと、その中で一人の女性が自分をじっと見つめていることに気づきました。女性はポムヒャンさんに近づき、言いました。

「ポムヒャンなの?」

 そう、なんとポムヒャンさんは亡き姉が夢で導いたとおり、刑務所で10年ぶりに母親と再会したのでした。朝鮮語も、自分の本名すら忘れていたポムヒャンさんは、その時、初めて自分の名前を知ることになったといいます。

 その後、北朝鮮に戻るも、母親とともに再脱北し延辺に行きますが、母親に「ここではもう暮らせない。韓国に行きなさい」と促され、偽造旅券を持って飛行機で韓国へ。韓国の存在も、それまで知らなかったとか。

 ほどなくして母親も韓国に到着し、紆余曲折を経て妹も召喚することに成功。晴れて、自由社会での生活をスタートさせようとした矢先に、さらなる悲劇が襲います。

 妹が、渡韓してたった2カ月後に交通事故に遭ってしまうのです。音楽プレイヤーを拾おうと車から頭を出したところを、後続車に轢かれてしまうという痛ましい事故でした。

 意識不明となった妹は幸い8カ月後に目を覚ましましたが、神経を破壊され片目が開かない状態の上、母やポムヒャンさんを識別できなくなっていました。唯一残っていたのは、北朝鮮で苦労した記憶だけだったといいます。

 10歳で脱北して朝鮮語と自分の名前を忘れることがあるのか、また妹は豆満江からどうやって自宅まで戻ったのかなど、いろいろとツッコミどころはあるのですが、ストーリーの出来としては100点満点でございましょう。

 ポムヒャンさんは当初は警察官を目指していましたが、妹の事故をきっかけに看護助手となります。しかし幼い頃の栄養失調がたたり、虚弱体質で、持病の貧血で突然倒れることがしばしばあり、そのせいで仕事をクビになることが相次ぎました。そんな中、自宅で暇つぶしに始めたのがアフリカTVの配信だったといいます。

 韓国では、脱北者を「先にやってきた未来」と呼ぶ場合もあります。南北統一し、両国の住民が忌憚なく交流する未来を先取りした存在という意味です。

 これまで脱北者は韓国人が持つ北朝鮮へのマイナスイメージを一身に受け、差別の対象になったり不可侵民の扱いを受けることがしばしばありましたが、脱北YouTuberの登場は、そうした偏見を取り払う一定の役割があると期待されています。

 確かに、脱北YouTuberは朝鮮人民同様、人間として興味を惹かれる存在であることは間違いありません。死線をくぐってきた経験談はどの映画、小説よりも訴求性があります。

 一方で、彼らを材料に北朝鮮の全てを論じるのは早計であるといえます。彼らが話す北朝鮮の現状はおよそ10~20年前のものであるため、鵜呑みにすることはできません。むしろ、彼らが韓国に順応し生活が長くなるとともにその希少性と情報は色あせていくでしょう。個人的には、あくまで「おもしろ人間図鑑」としてウォッチしていきたいと思っています。

●やす・やどろく
ライター、編集者。元朝鮮青年同盟中央委員。 政治や民族問題に疲れ、その狭間にある人間模様の観察に主眼を置く。しばしば3重スパイ扱いされるのが悩み。日朝和平、北朝鮮のGDP向上、南北平和統一を願う一市民。ペンネームは実家が経営していたラブホテルの屋号(※とっくに倒産)。<http://blog.livedoor.jp/yasgreen/>

脱北兵士“寄生虫感染”の原因は、北朝鮮の「汚トイレ」事情!? 水洗化進まず、人糞を肥料に……

 南北の軍事分界線、板門店から脱北した北朝鮮の兵士は危篤だったが、意識が回復して「南朝鮮(韓国)の歌が聴きたい」と語っているという。ただ、体内に残った寄生虫が臓器の縫合跡を破き、合併症を招く恐れがあり、危険な状態に変わりはない。この寄生虫感染の背景には、北の劣悪な“汚トイレ”事情が影響しているようだ。

 韓国メディアによると、ソウル郊外の大学病院で治療を受けている兵士について、主治医の教授は記者会見で「小腸などから数十匹の寄生虫が出てきた」と明かした。多くが回虫とみられ、中には27センチに成長した個体がいたという。

「不衛生な便所と、そこから集めた人糞を肥料に使っているのが原因だろう」と語るのは、毎年のように祖国訪問で訪朝しているという在日朝鮮人の男性。男性によると“革命の首都”と呼ばれる平壌市内でさえ、まともに機能している水洗便所は少ない。

 

「『水洗』とは名ばかりで、常に断水している。用を足したら、トイレの手洗い近くにある大きな樽やバケツまで桶を持って水を汲みに行かなければならない。紙が置いてないので、ケツも拭かずにだよ。不衛生極まりない」と、同男性は苦笑いする。

 地方に行けばさらに深刻で、穴を掘った上に板を敷いただけの小屋という、原始的なトイレが一般的になるという。

「春先になると、たまった人糞を肥料にするため供出する必要がある。しかも供出量にノルマがあり、『大変だ』と親戚が嘆いていた」(同)

 回虫をはじめ寄生虫の卵は、畑に撒かれた人糞を通じて野菜に付着し、新たな感染者を増やしている。

 北の保健当局はかつて、若年層にもわかるよう、寄生虫予防のための啓発マンガを出版したことがある。

 それによると、回虫だけでなくギョウ虫とサナダムシの感染も深刻だとか。漫画は、トイレの肥溜めが外に漏れ出さないよう注意を促すほか、白菜のような野菜をタワシでこすって寄生虫の卵を落とすよう呼び掛けており、寄生虫感染の深刻さを物語っている。

 工業を中心に、実は微妙な経済成長を遂げているという北朝鮮だが、前出の在日朝鮮人の男性は「なぜか衛生的なトイレの改修や設置は遅々として進まない。日本に住んでいると、不思議でしょうがないが、向こうは、下のことは後回しという意識が根強い」と嘆いている。

板門店で北朝鮮兵士に銃弾40発! 脱北行為の裏に“観光客からのワイロ激減”あった?

 北朝鮮と国連軍が管理する板門店で北の兵士1人が脱北した。フェンスや地雷原といった障害物がなく、最も脱北しやすい共同警備区域を守る北の警備隊は、思想と肉体の両面で最精鋭とされる。そんな最強部隊でも離反を許してしまったのは「緊迫した朝鮮半島情勢の影響で激減した“ワイロ”が背景にある」と、警備隊に漂う黒い霧を指摘する声が上がっている。

 韓国側の報道によると、兵士は共同警備区域の西側にある詰め所まで車で乗り付け、そこから走って南側に脱走した。北側からは40発近い銃弾が浴びせられ、腹部など5カ所の銃創により危篤状態だという。

 そもそも板門店の軍人は、南北ともに厳しい選抜を受けたエリートしかいない。北側の人選は、家系を何代もたどって思想的に問題がないか調査した上で、テコンドーといった武道、射撃の腕もピカ一でないと選ばれないという。

 

 現時点で脱北の理由は不明だが、民間研究者は「観光客がらみのワイロが減って景気が悪くなったのが影響しているのではないか?」と、不穏な雰囲気が警備隊内に漂っていた可能性を指摘する。

 板門店は南北ともに観光地となっている。訪朝経験者によると、北側の板門店観光は平壌からの日帰りがほとんどで、メインは中国人観光客だという。

 

「警備隊の兵士らはとてもフレンドリーで、会談場や警備状況の説明板を熱心に解説してくれる。将校は思想的に赤く染まっているので、日本の安倍政権に苦言を呈したり、日米安保について批判的な意見を求めたりする」(訪朝経験者)と、ちょっとクセのある人が多いそうだ。そんなクセ者もいるにはいるが、韓国を望む共同警備区域にある「板門閣」という建物内では、北の兵士が笑顔で記念撮影に応じてくれる。というのも、観光客は外国製タバコやお菓子を兵士に渡すのが暗黙のルールとなっているからだ。

 朝鮮人民軍隊内では、喫煙率ほぼ100%で、その中でも外国タバコの付加価値は高く、吸わずに転売している兵士もいるという。

 また、統制区域の手前には土産物屋があり、一時期は中国人観光客を満載した観光バスが10台近く乗り付け、高価な高麗人参などを爆買いしていった。こうした土産物店の利益の一部が、警備隊の懐に入っているという。

 

 だが、折からの朝鮮半島危機で観光客は激減した。こうした流れに拍車をかけたのが中国当局による旅行規制だ。中国当局はトランプ米大統領の訪中に合わせ、今月8日から中国の旅行社に北朝鮮旅行の販売中止を指示している。このため、北側の板門店観光は窮地に追い詰められている。

 前述の研究者は「利権を失った警備隊内で、人間関係のもつれがあったのではないか」と勘ぐっているが……。