『刑事ゼロ』“超絶逆回転誘拐”の大風呂敷をキレイに畳めずガッカリな結末に……

 沢村一樹が20年分の記憶を失ってしまった刑事役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第3話が24日に放送され、平均視聴率11.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.4ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 今回、京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)が追うのは誘拐事件。といっても、普通の誘拐事件とは異なり、“逆回転”で展開します。

 事の発端は、ある夜、貴金属買取チェーンの会長・夏富輝一郎(竜雷太)の娘婿の武臣(佐伯新)が不審な電話を受け取ったところから。加工した声の主は、「身代金は受け取った。息子は解放する」とのメッセージを寄越してきたのですが、高校1年生の息子・輝(中島凱斗)は在宅だったため、武臣はいたずら電話とみなしてスルーしてしまいます。

 ところがその翌日、輝一郎が商談相手との取引のため、1億円が入ったアタッシェケースを搬送していたところ、何者かに強奪されてしまう事件が発生。そして、通報を受けた時矢と相棒の新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)が夏富家を訪ねたところ、郵便受けから1万円札ととともに、「現金1億円を夏富会長に持たせて駐車場まで来い」とのメッセージが書かれたメモと、縮れ毛が入った袋が見つかります。

 その後、その1万円札が奪われた1億円の中の1枚であることが発覚。さらに武臣には、子に恵まれなかったため養子として迎え入れた、永久(ながひさ)という長男がいることが判明します。

 しかし永久は、輝が誕生した後は輝一郎から邪魔者扱いされてしまい、長らく引きこもり状態が続いているとのこと。時矢が彼の部屋に踏み入ったところ、パソコンの画面には「夏富永久は誘拐した」の文字が。また、1万円札と一緒に送られて来た縮れ毛は、永久のものであることが判明します。

 時矢は、通常の誘拐と真逆の順序で進行していることから、この事件を“超絶逆回転誘拐事件”と名づけ捜査を開始。家庭内での恵まれない立場からまずは永久の自演を疑い、実の父親が経営する工場を訪ねることにします。

 ところが工場はすでに潰れ、永久の実父は1カ月前に交通事故がもとで他界してしまったことが判明。永久の叔母にあたる女性から、その葬式の際、永久らしき青年ともう1人、少年の姿を見かけたと知らされ、時矢は輝も共犯なのではないかと疑います。

 その矢先、輝の誘拐事件が発生。時矢が夏富家に駆け付けた時にはすでに、輝一郎が身代金3億円を手に出発した後でした。しかし、武臣が機転を利かせ、アタッシェケースにGPS発信機を忍ばせていたため、時矢は急いで輝一郎の後を追います。

 そして辿り着いた先は夏富家の別荘地。そこで監禁されていた輝を救出したところ、“逆回転誘拐”は、家庭で居場所を失った永久の存在感を示すために共謀したことが判明。ところが、輝一郎の側近の茂木潤三(大浦龍宇一)が身代金を横取りしたというのです。その説明を受けている最中、発砲音が轟き、時矢は慌てて現場へ向かいます。

 するとそこには、輝一郎に猟銃を向け、今まさに3億円を奪い取ろうとする茂木の姿が。しかし、時矢の先輩刑事・福知市郎(寺島進)らが駆け付け、最後は智佳が茂木に強烈な回し蹴りを決めたところで一件落着となったのでした。

“超絶逆回転誘拐事件”というキャッチーなフレーズを用いた今回。特にミステリー好きの関心を引く効果は抜群だったのではないでしょうか。筆者も前回終了後に流れた予告動画を見て期待感が高まり、今回の途中までワクワクしながら見ていました。通常どおりの犯行でも困難な誘拐を真逆の順序で行うという、とんでもない手間をかけるぐらいですから、余程の動機があるのだろうなと。なんらかの必然性があっての犯行なのだろうなと予想したのです。

 ところが犯人たちの動機は、金の亡者の祖父・輝一郎に永久の存在を認めさせることにあり、そのためにわざと奇をてらった犯行に及んだと、輝の回想シーンで明らかになった途端、「はぁ?」と脱力してしまいました。その説明を受けて時矢は、“たしかに異常性があるから輝一郎の関心を引ける”みたいな感じで納得した様子を見せましたが、こちらとしてはかなり肩透かしをくらった感が否めません。

 おまけに、最後に漁夫の利を狙った茂木は、それまでほとんど画面に登場していなかったため、「誰だっけ、こいつ?」状態。大風呂敷を広げるだけ広げておいてキレイに畳めないガッカリな結末となってしまいました。

 初回は犯人探しに源氏物語を絡め、前回は密室モノ。本格ミステリー風の流れが続いていましたが、今回でバッサリ断ち切られたように感じました。時矢が“通常の誘拐事件”の順序を説明した際に挿入されたイラストの雰囲気などを含め、かつて同局放送で人気を博した『トリック』シリーズのようなB級サスペンス路線を狙っているようにも思えます。同作での仲間由紀恵&阿部寛のコンビ同様、沢村と滝本のボケとツッコミの関係性はおもしろいのですが、本格刑事モノを期待していただけに今回の路線変更はちょっと残念でした。

 次回は“透明人間の殺人犯”が登場とのことで、また荒唐無稽な話となってしまうのか、あるいは驚きのトリックを繰り出すことになるのか注目です。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』視聴率急落! 沢村一樹、絶妙な演じ分けも“記憶喪失の設定”を活かしきれず……

 沢村一樹が主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第2話が17日に放送され、平均視聴率10.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から4.2ポイントの大幅ダウンとなってしまいました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回、ビル屋上からの落下事故がもとで刑事生活20年分の記憶を失ってしまった京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)。今回は、7年前に自身が逮捕した建築士の芹野泰夫(中村靖日)が仮釈放され、再審請求の準備をしていると知り、新人刑事の佐相智佳(瀧本美織)とともに再調査に乗り出します。

 7年前の事件とは、芹野がリフォームの相談に訪れた直後、ファイナンス会社社長・逢沢省三(剣持直明)が自身の別荘の階段から転落死したというもの。ドアや窓はすべて施錠され、勝手口のドアだけはノブのボタンをプッシュしながら外に出ればカギがかかるタイプのものではあったけれど、そのすぐ近くの別荘に住む出版社社長・円城明日香(いしのようこ)が当時、犯人を目撃していないと捜査時に証言したため、いわゆる密室状態だったのです。

 しかし、それならばなぜ芹野が逮捕されることになったのか。さらに、時矢の元妻で、芹野の弁護人を務めた奥畑記子(財前直見)によれば、芹野は7年前は控訴を拒んだということで、裏に何か隠された事実があるのではないかと時矢は推測します。

 そして円城のもとを訪れたところ、実は事件当時、勝手口から出てくる芹野を目撃したものの、口外したら殺すと脅されたために捜査の段階では偽証したことが判明。ところがそれを見抜いた時矢によって出廷直前に説得されたため、公判では証言を撤回し、芹野が逮捕に至ったということが発覚します。

 ではなぜ、芹野は7年前に控訴しなかったのか。時矢はまず、円城の身元を調査し直します。その結果、出版社が倒産寸前であったことや、7年前に夫・公昭が失踪し、その死が認められて保険金1億円がもうすぐおりるタイミングであることなどが発覚。また、逢沢が脱税して別荘に隠していた1億円が何者かに盗まれたことも判明します。

 そんな折、仮釈放されたばかりの芹野が失踪。時矢は智佳を引き連れて円城の別荘へ向かいます。するとそこには、壁の中に隠した公昭の遺体を掘りだそうとする芹野と、それを見守る円城の姿があるのです。

 実は2人は共犯者で、早急に経営資金が必要になった円城が芹野を焚きつけ、公昭殺しを命令。睡眠薬で眠らせた公昭を首つり自殺に見せかけようとしたものの途中で目覚めてしまい、円城が慌てて撲殺してしまったのです。

 その後、逢沢の別荘から1億円を盗み出してくるよう円城に命じられた芹野は、犯行が見つかったために逢沢を階段から突き落としてしまい、とっさに密室工作をしたのでした。

 ところが出廷直前、時矢から偽証することを止められた円城は、公昭殺しもいずれ見抜かれてしまうのではないか、そうなれば自身も逮捕され、2件の殺人に絡んだ芹野は死刑が確定してしまうのではないかと恐れ、ギリギリになって証言を覆したのです。そして円城の意図を組み、芹野は控訴しなかったというわけだったのです。7年前の事件を、“アフター・時矢”が無事に決着させたところで今回は終了となりました。

 今回のように、ただ1つの逃走ルートに第3者がいたという密室事件の場合、その人物が共犯者かあるいは弱みを握られていたであろうことは容易に想像がつきます。それをどうにか奥行きのあるミステリーに仕立てようとしたのでしょうけれど、円城と芹野の関係性や事件時の状況をこねくり回した結果、糸がもつれあいすぎてワケがわからない状態となってしまった印象を受けました。

 そもそも早急に1億円を欲していた円城が、自殺に見せかけて夫を殺そうとするのが理解できません。確実に疑われますし、睡眠薬なんか飲ませている時点で計画がずさんすぎます。また、芹野のことを本当に愛していたのか、あるいは夫殺しのために利用していただけなのか、イマイチはっきりしませんでした。

 そのため、芹野が死刑になることを回避しようと、ギリギリで証言を撤回したというくだりがどうにも腑に落ちませんでした。そんな彼女の意図を察して芹野が控訴をしなかったという心理も、2人の結びつきの強さが見えないだけに説得性に欠けました。また、公昭の遺体をなぜ掘り起こそうとしたのかも意味不明でした。

 記憶を失ったことで刑事としてまっさらな状態になった時矢が、事件発生当時の捜査メモをバトンリレーのようにして過去の謎を追う。しかも、それが冤罪だったかもしれないというキャッチーな設定だったのですが、それを活かしきれていなかったのが残念であり、もったいなく感じました。

 ただ、記憶を失う前のスマートさと、現在のうだつのあがらない時矢を絶妙に演じ分けている沢村の演技力の高さには脱帽でした。あまりに違いすぎるので、記憶を失ったことを同僚たちが怪しまないのが不思議なくらいです。というより、記憶を失うと性格まで変わるものなんですかね? 

 前回のレビューでも触れましたが、時矢の言動はまるで子どものようであり、それを注意する智佳のツッコミは我が子を叱る母親のようでもあります。夫婦ならぬ親子漫才のようなコミカルな関係性は魅力的なので、これに事件解決の面白みがプラスされれば視聴率は取り戻せるのではないでしょうか。次回は“逆回転誘拐”という、なんだかトリッキーな事件を追うとのことで楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』視聴率急落! 沢村一樹、絶妙な演じ分けも“記憶喪失の設定”を活かしきれず……

 沢村一樹が主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第2話が17日に放送され、平均視聴率10.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から4.2ポイントの大幅ダウンとなってしまいました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回、ビル屋上からの落下事故がもとで刑事生活20年分の記憶を失ってしまった京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)。今回は、7年前に自身が逮捕した建築士の芹野泰夫(中村靖日)が仮釈放され、再審請求の準備をしていると知り、新人刑事の佐相智佳(瀧本美織)とともに再調査に乗り出します。

 7年前の事件とは、芹野がリフォームの相談に訪れた直後、ファイナンス会社社長・逢沢省三(剣持直明)が自身の別荘の階段から転落死したというもの。ドアや窓はすべて施錠され、勝手口のドアだけはノブのボタンをプッシュしながら外に出ればカギがかかるタイプのものではあったけれど、そのすぐ近くの別荘に住む出版社社長・円城明日香(いしのようこ)が当時、犯人を目撃していないと捜査時に証言したため、いわゆる密室状態だったのです。

 しかし、それならばなぜ芹野が逮捕されることになったのか。さらに、時矢の元妻で、芹野の弁護人を務めた奥畑記子(財前直見)によれば、芹野は7年前は控訴を拒んだということで、裏に何か隠された事実があるのではないかと時矢は推測します。

 そして円城のもとを訪れたところ、実は事件当時、勝手口から出てくる芹野を目撃したものの、口外したら殺すと脅されたために捜査の段階では偽証したことが判明。ところがそれを見抜いた時矢によって出廷直前に説得されたため、公判では証言を撤回し、芹野が逮捕に至ったということが発覚します。

 ではなぜ、芹野は7年前に控訴しなかったのか。時矢はまず、円城の身元を調査し直します。その結果、出版社が倒産寸前であったことや、7年前に夫・公昭が失踪し、その死が認められて保険金1億円がもうすぐおりるタイミングであることなどが発覚。また、逢沢が脱税して別荘に隠していた1億円が何者かに盗まれたことも判明します。

 そんな折、仮釈放されたばかりの芹野が失踪。時矢は智佳を引き連れて円城の別荘へ向かいます。するとそこには、壁の中に隠した公昭の遺体を掘りだそうとする芹野と、それを見守る円城の姿があるのです。

 実は2人は共犯者で、早急に経営資金が必要になった円城が芹野を焚きつけ、公昭殺しを命令。睡眠薬で眠らせた公昭を首つり自殺に見せかけようとしたものの途中で目覚めてしまい、円城が慌てて撲殺してしまったのです。

 その後、逢沢の別荘から1億円を盗み出してくるよう円城に命じられた芹野は、犯行が見つかったために逢沢を階段から突き落としてしまい、とっさに密室工作をしたのでした。

 ところが出廷直前、時矢から偽証することを止められた円城は、公昭殺しもいずれ見抜かれてしまうのではないか、そうなれば自身も逮捕され、2件の殺人に絡んだ芹野は死刑が確定してしまうのではないかと恐れ、ギリギリになって証言を覆したのです。そして円城の意図を組み、芹野は控訴しなかったというわけだったのです。7年前の事件を、“アフター・時矢”が無事に決着させたところで今回は終了となりました。

 今回のように、ただ1つの逃走ルートに第3者がいたという密室事件の場合、その人物が共犯者かあるいは弱みを握られていたであろうことは容易に想像がつきます。それをどうにか奥行きのあるミステリーに仕立てようとしたのでしょうけれど、円城と芹野の関係性や事件時の状況をこねくり回した結果、糸がもつれあいすぎてワケがわからない状態となってしまった印象を受けました。

 そもそも早急に1億円を欲していた円城が、自殺に見せかけて夫を殺そうとするのが理解できません。確実に疑われますし、睡眠薬なんか飲ませている時点で計画がずさんすぎます。また、芹野のことを本当に愛していたのか、あるいは夫殺しのために利用していただけなのか、イマイチはっきりしませんでした。

 そのため、芹野が死刑になることを回避しようと、ギリギリで証言を撤回したというくだりがどうにも腑に落ちませんでした。そんな彼女の意図を察して芹野が控訴をしなかったという心理も、2人の結びつきの強さが見えないだけに説得性に欠けました。また、公昭の遺体をなぜ掘り起こそうとしたのかも意味不明でした。

 記憶を失ったことで刑事としてまっさらな状態になった時矢が、事件発生当時の捜査メモをバトンリレーのようにして過去の謎を追う。しかも、それが冤罪だったかもしれないというキャッチーな設定だったのですが、それを活かしきれていなかったのが残念であり、もったいなく感じました。

 ただ、記憶を失う前のスマートさと、現在のうだつのあがらない時矢を絶妙に演じ分けている沢村の演技力の高さには脱帽でした。あまりに違いすぎるので、記憶を失ったことを同僚たちが怪しまないのが不思議なくらいです。というより、記憶を失うと性格まで変わるものなんですかね? 

 前回のレビューでも触れましたが、時矢の言動はまるで子どものようであり、それを注意する智佳のツッコミは我が子を叱る母親のようでもあります。夫婦ならぬ親子漫才のようなコミカルな関係性は魅力的なので、これに事件解決の面白みがプラスされれば視聴率は取り戻せるのではないでしょうか。次回は“逆回転誘拐”という、なんだかトリッキーな事件を追うとのことで楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』は、まるで逆『名探偵コナン』? 沢村一樹&瀧本美織の“新人刑事”コンビが魅力的

 沢村一樹が20年分の記憶を失ってしまう刑事役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第1話が10日、2時間の拡大版で放送され、平均視聴率14.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進しました。

 京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)は、“京都府警に時矢あり”といわれるほどの逸材。しかし、連続殺人犯の能見冬馬(高橋光臣)を追跡中、ビルの屋上から貯水プールに落下し、刑事生活20年分の記憶をごっそり失ってしまいます。

 そんな折、見舞いにやって来た元相棒の福知市郎(寺島進)から、新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)の教育係を託されることに。刑事職を解かれることを恐れた時矢は、記憶喪失になったことを隠し、佐相と共に女性府議会議員・椎名蒼が刺殺された事件を追うことになります。

 その蒼が殺された現場では、あみだくじの一部分を切り取ったような奇妙な記号が書かれた紙が見つかるのですが、その直後に発生したフリーライター・今宮賢の殺害事件では、遺体そのものが同じような記号に見えるように、公園の鉄棒に粘着テープで吊るされた状態で発見。時矢は、そのテープと蒼の殺害現場に落ちていた紙から同じニオイがすることに気づきます。

 その後、今宮の父親・隆二(大澄賢也)と継母のもとを訪れた時矢は、応接室に置いてある香炉(香木を入れる器)が妙に気になり、直感を信じて香木の販売店へ足を運ぶことに。するとその店の主人から、殺人現場に残されていた奇妙な記号が、源氏香(5種の香を各5包ずつ計25包作り、任意に取り出した5包のニオイを嗅ぎ分ける組香の一種)で用いる香の図であることを指摘されます。この香の図には、源氏物語54帖のうち最初と最後の帖以外の巻名ひとつひとつが附されているというのです。

 さらに以前、蒼と今泉夫妻、小説家の鳴島恭三(小林稔侍)とその妻・桜子(富田靖子)が、同じお香のサークルに通っていたことが発覚。また、桜子のもとを訪れた時矢は、息子・芳孝(百瀬朔)が初めて書いた小説を恭三に焼かれてしまたっため、逆上して家出してしまったことを知るのでした。

 捜査を進めていくと、芳孝は隆二が桜子を襲った際にできた子であることや、その背景には、『郭公の庭』という小説を書くためだけに、恭三が自分の妻を隆二に襲うよう命じたこと、議員になる前に産婦人科医をしていた蒼が芳孝の出産を担当したことや、それらの事実をネタに賢が金を脅し取ろうとしていたことなどが判明します。

 蒼と賢の殺害現場に残された香の図がそれぞれ、源氏物語中で“不義の子”をテーマにした話であることから、時矢は一連の事件を芳孝の犯行による見立て殺人だと推測。そんな中、隆二がワイヤーで首を吊られ殺される第3の事件が発生してしまいます。

 芳孝を逮捕するべく、時矢は捜査に夢中になるのですが、ふとしたきっかけで記憶喪失したことが佐相にバレてしまいます。しかし、今回が刑事生活最後の事件ということで見逃してもらい、捜査を続行することに。そんな中、桜子が神社の階段で何者かに突き落とされる事件が発生します。

 ところがこれは桜子の狂言だったのです。桜子は、隆二を殺害した際に傷を負って死んでしまった芳孝の遺志を継ぎ、第5の事件を計画。かつて家族3人で暮らした家もろとも焼死すべく、恭三をスタンガンで気絶させて部屋中にガソリンを撒き散らすという凶行に及んだのです。

 そこへ駆けつけた時矢は、「人間は2度死ぬ」として、1度目は肉体が滅びる時、2度目は生きている人たちの記憶から忘却される時だと話し、息子の記憶をこの世に留めるためにも生き続けるべきだと説得。桜子がこれを聞き入れたことで事件解決となりました。

 その後、約束通り退職届を用意した時矢。しかし佐相は、今回の活躍から“新・時矢”も刑事として必要な素養を備えていることを認め、記憶喪失したことは誰にも漏らさないと約束。“旧・時矢”の捜査データを網羅していることから、彼の「取扱説明書」として支えていくことを表明したところで終了となりました。

 ベテラン刑事が20年間の記憶を失くすというトリッキーな設定や、沢口靖子・主演の人気シリーズ『科捜研の女』の“谷間”に差し込まれるカタチでの放送ということで、箸休め的な作品かと侮っていましたが、開始早々からかなり惹きこまれるものがありました。

 正直、源氏物語を見立てに用いた設定は複雑すぎるため映像作品には不向きで、被害者たちの関係性もごちゃごちゃしていてミステリー的には少し難ありかなぁ、という部分はありました。

 しかしそれを補って余りあるぐらい時矢が魅力的でした。記憶を失ったことで内面が20年前、つまり31歳の時に戻ってしまったという設定なのですが、今宮夫妻のもとを訪れた際には、妻と顧問弁護士との関係が怪しいと見て、「おふたり、デキてます?」と直球で訊いてしまうなど、その言動はまるで子どものよう。アニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)のオープニングでの名セリフ「見た目は子ども、頭脳は大人」の真逆のようなキャラクターなのです。

 それでいて、捜査に必要な観察力や記憶力、優れた五感、調査力、信念みたいなものは残っているんですね。証拠品が見つかれば夢中になって調べ、直感が働けば即座に行動する姿は、大人少年探偵とでもいうようなコミカルな雰囲気が漂っていました。

 そしてその時矢を支える佐相役を滝本が好演。佐相は庶務係に在籍時、たまたま目にした時矢の姿に憧れ、彼が関わった事件データすべてを記憶したという熱烈な信奉者なんですね。

 だからこそ、時矢とのバディが決まり張り切るわけですが、その活き活きとした様子を滝本が実直に演じていました。また、傍目からはベテラン刑事と新人なのですが、視聴者からすれば新人同士のコンビ、という設定も観ていてユニークでした。佐相は、他の先輩刑事と組んでいれば恐らく、「お前は引っ込んでろ」と言われかねないほど積極的すぎる面があるのですが、実はぺーぺーの時矢と組むからこそ持ち味を活かせているのだろうな、と思います。

 その佐相いわく、時矢は以前は理論派、記憶を失ってからは直感派になったということですが、次回は7年前に関わった事件に再び挑むということで、どんな展開が待ち受けているのか楽しみです。敏腕刑事時代の粗を自ら掘り起こしていくことになってしまうのですかね。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』は、まるで逆『名探偵コナン』? 沢村一樹&瀧本美織の“新人刑事”コンビが魅力的

 沢村一樹が20年分の記憶を失ってしまう刑事役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第1話が10日、2時間の拡大版で放送され、平均視聴率14.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進しました。

 京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)は、“京都府警に時矢あり”といわれるほどの逸材。しかし、連続殺人犯の能見冬馬(高橋光臣)を追跡中、ビルの屋上から貯水プールに落下し、刑事生活20年分の記憶をごっそり失ってしまいます。

 そんな折、見舞いにやって来た元相棒の福知市郎(寺島進)から、新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)の教育係を託されることに。刑事職を解かれることを恐れた時矢は、記憶喪失になったことを隠し、佐相と共に女性府議会議員・椎名蒼が刺殺された事件を追うことになります。

 その蒼が殺された現場では、あみだくじの一部分を切り取ったような奇妙な記号が書かれた紙が見つかるのですが、その直後に発生したフリーライター・今宮賢の殺害事件では、遺体そのものが同じような記号に見えるように、公園の鉄棒に粘着テープで吊るされた状態で発見。時矢は、そのテープと蒼の殺害現場に落ちていた紙から同じニオイがすることに気づきます。

 その後、今宮の父親・隆二(大澄賢也)と継母のもとを訪れた時矢は、応接室に置いてある香炉(香木を入れる器)が妙に気になり、直感を信じて香木の販売店へ足を運ぶことに。するとその店の主人から、殺人現場に残されていた奇妙な記号が、源氏香(5種の香を各5包ずつ計25包作り、任意に取り出した5包のニオイを嗅ぎ分ける組香の一種)で用いる香の図であることを指摘されます。この香の図には、源氏物語54帖のうち最初と最後の帖以外の巻名ひとつひとつが附されているというのです。

 さらに以前、蒼と今泉夫妻、小説家の鳴島恭三(小林稔侍)とその妻・桜子(富田靖子)が、同じお香のサークルに通っていたことが発覚。また、桜子のもとを訪れた時矢は、息子・芳孝(百瀬朔)が初めて書いた小説を恭三に焼かれてしまたっため、逆上して家出してしまったことを知るのでした。

 捜査を進めていくと、芳孝は隆二が桜子を襲った際にできた子であることや、その背景には、『郭公の庭』という小説を書くためだけに、恭三が自分の妻を隆二に襲うよう命じたこと、議員になる前に産婦人科医をしていた蒼が芳孝の出産を担当したことや、それらの事実をネタに賢が金を脅し取ろうとしていたことなどが判明します。

 蒼と賢の殺害現場に残された香の図がそれぞれ、源氏物語中で“不義の子”をテーマにした話であることから、時矢は一連の事件を芳孝の犯行による見立て殺人だと推測。そんな中、隆二がワイヤーで首を吊られ殺される第3の事件が発生してしまいます。

 芳孝を逮捕するべく、時矢は捜査に夢中になるのですが、ふとしたきっかけで記憶喪失したことが佐相にバレてしまいます。しかし、今回が刑事生活最後の事件ということで見逃してもらい、捜査を続行することに。そんな中、桜子が神社の階段で何者かに突き落とされる事件が発生します。

 ところがこれは桜子の狂言だったのです。桜子は、隆二を殺害した際に傷を負って死んでしまった芳孝の遺志を継ぎ、第5の事件を計画。かつて家族3人で暮らした家もろとも焼死すべく、恭三をスタンガンで気絶させて部屋中にガソリンを撒き散らすという凶行に及んだのです。

 そこへ駆けつけた時矢は、「人間は2度死ぬ」として、1度目は肉体が滅びる時、2度目は生きている人たちの記憶から忘却される時だと話し、息子の記憶をこの世に留めるためにも生き続けるべきだと説得。桜子がこれを聞き入れたことで事件解決となりました。

 その後、約束通り退職届を用意した時矢。しかし佐相は、今回の活躍から“新・時矢”も刑事として必要な素養を備えていることを認め、記憶喪失したことは誰にも漏らさないと約束。“旧・時矢”の捜査データを網羅していることから、彼の「取扱説明書」として支えていくことを表明したところで終了となりました。

 ベテラン刑事が20年間の記憶を失くすというトリッキーな設定や、沢口靖子・主演の人気シリーズ『科捜研の女』の“谷間”に差し込まれるカタチでの放送ということで、箸休め的な作品かと侮っていましたが、開始早々からかなり惹きこまれるものがありました。

 正直、源氏物語を見立てに用いた設定は複雑すぎるため映像作品には不向きで、被害者たちの関係性もごちゃごちゃしていてミステリー的には少し難ありかなぁ、という部分はありました。

 しかしそれを補って余りあるぐらい時矢が魅力的でした。記憶を失ったことで内面が20年前、つまり31歳の時に戻ってしまったという設定なのですが、今宮夫妻のもとを訪れた際には、妻と顧問弁護士との関係が怪しいと見て、「おふたり、デキてます?」と直球で訊いてしまうなど、その言動はまるで子どものよう。アニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)のオープニングでの名セリフ「見た目は子ども、頭脳は大人」の真逆のようなキャラクターなのです。

 それでいて、捜査に必要な観察力や記憶力、優れた五感、調査力、信念みたいなものは残っているんですね。証拠品が見つかれば夢中になって調べ、直感が働けば即座に行動する姿は、大人少年探偵とでもいうようなコミカルな雰囲気が漂っていました。

 そしてその時矢を支える佐相役を滝本が好演。佐相は庶務係に在籍時、たまたま目にした時矢の姿に憧れ、彼が関わった事件データすべてを記憶したという熱烈な信奉者なんですね。

 だからこそ、時矢とのバディが決まり張り切るわけですが、その活き活きとした様子を滝本が実直に演じていました。また、傍目からはベテラン刑事と新人なのですが、視聴者からすれば新人同士のコンビ、という設定も観ていてユニークでした。佐相は、他の先輩刑事と組んでいれば恐らく、「お前は引っ込んでろ」と言われかねないほど積極的すぎる面があるのですが、実はぺーぺーの時矢と組むからこそ持ち味を活かせているのだろうな、と思います。

 その佐相いわく、時矢は以前は理論派、記憶を失ってからは直感派になったということですが、次回は7年前に関わった事件に再び挑むということで、どんな展開が待ち受けているのか楽しみです。敏腕刑事時代の粗を自ら掘り起こしていくことになってしまうのですかね。
(文=大羽鴨乃)