ドラマ『極主夫道』に現役ヤクザも注目! 元極妻が聞いた「元ヤクザの専業主夫」の評判

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

現役ヤクザも面白がるドラマ

 10月から元ヤクザの専業主夫が主人公のテレビドラマ『極主夫道』(日本テレビ系)が始まりましたね。毎回楽しく見ています。

 玉木宏さん演じる主人公「不死身の龍(タツ)」は、もともとは武闘派ヤクザで、結婚を機に足を洗った専業主夫のイケメンさんという設定です。玉木さんはとてもとても素敵で、ワタクシ的には「こんなイケメンの不良はいないけどな」と思いながら、見とれています。

 ちなみにイケメンかどうかはともかく、家事が得意なヤクザは珍しくありません。若い頃に事務所や親分の自宅で「部屋住み」として家事全般や礼儀作法を叩き込まれるからです。もちろん性格的に向いてないとか、部屋住みがつらくて逃げ出したり、懲役に行ったりして家事修業(?)の機会を失うこともあるので、全員というわけではないです。

 また、たいてい勉強が嫌いなので、進学しないで板前修業→先輩や板長とケンカ→不良のコースも王道です。刑務所では調理も懲役(受刑者)がするのですが、部屋住みや板前修業の経験者がいる施設は「結構おいしい」そうですよ。

 オットの元兄弟分(現在はカタギ)によると、なんと『極主夫道』は「現役ヤクザ」の間でもなかなか評判がいいのだそうです。もともとテレビや芸能界が大好きなヤクザは多く、この作品に限らず、ヤクザをテーマにした作品はけっこう人気があります。

 「不良がヨガに行くとかありえないけど、『組長に木刀でどつかれた時のポーズ』とかおもろかった。“ヤクザあるある”やな」とか、「細かいところは気になるが、ファンタジーとして見れば普通におもしろい」とか言われているようです。

 あと竹中直人さん演じる親分の姐さんが稲森いずみさんなのですが、「この夫婦もありえないけど好き」という声もありました。姐さんの名前「江口雲雀(ひばり)」さんは、江口寿史さんの漫画『ストップ!!ひばりくん!』からでしょうね。実は読んでました。ひばりくんはヤクザの親分の息子で、トランスジェンダーの美人さんという設定ですよね。

 原作のある作品が「原作と違う!」ってなるのはありがちですが、『極主夫道』もいろいろあるようです。

 ネットニュースでは、原作は「ボロアパートに2人暮らし」なのに、ドラマは「一戸建てに奥さんと連れ子と暮らしている」ことなどにがっかりしているファンの声が紹介されています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5ce4ad0e1d3be882cd32eacb13c4cf3cf615224b?page=1 

 なぜわざわざそんな設定に変更したのか謎ですが、元極妻として気になったところもありましたね。畏れながらダメ出しさせていただきますと、たとえば昭和の暴走族じゃあるまいし、ステゴロ(=素手で戦うこと)の集団乱闘などはありえないです。これも原作にはないシーンだそうで、ネットには「いらない」との指摘もありました。私もそう思います。

 また、町の交番勤務のおまわりさんが、いちいちヤクザの動向をチェックして抗争を警戒することもないです。それと玉木さんがナイフのことを「武器」と言っていましたが、この場合は「道具」ですね。ま、普通は「道具」といえば拳銃なんですけどね。

 あと、登場人物が多すぎて正直入ってきませんでしたが、これはトシのせいか(苦笑)。玉木さんはかっこいいし、竹中さんみたいな親分もいないけど、普通におもしろくて、猫ちゃんもかわいいので、次回も楽しみです。

山口組の「ハロウィン」が禁止に! 元極妻が考えるお菓子配りの問題点

山口組の「ハロウィン」が禁止に! 元極妻が考えるお菓子配りの問題点の画像1今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

山口組のハロウィン禁止条例可決

 10月5日、兵庫県議会が「ハロウィン禁止令」を可決しましたね。昭和の時代から続く「山口組のハロウィンのお菓子配り」を、ついに暴排条例で禁止したのです。しかも罰則付き……。以前から「暴力団はハロウィンをやるな」とか漫画みたいな警察主導の反対運動をしても、子どもたちはうれしそうにお菓子をもらいに本家に入っていくので、いろいろな面で許せなかったのでしょう。

 まだ議会の公式サイトにも載っていないので、全文を読むことはできませんが、報道によると施行は10月26日。「正当な理由がある場合」(ご家族ってことでしょうかね)を除いて、子どもを事務所に立ち入らせたり、「支配下に置く目的」で会ったり連絡したりすることを禁止して、反すれば「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」だそうです。

もともとヤクザはお祭り好き

 以前も書かせていただいていますが、山口組のハロウィンのお菓子は、カリスマといわれた三代目・田岡一雄親分(1913‐81)の時代から始まったといわれています。

 神戸には外国人の住民も多く、子どもたちがオバケの格好をして、そうとは知らずに山口組の本家まで入ってきては「trick or treat」と言っていたようです。最初は意味がわからないのでお小遣いをあげていて、そのうちにお菓子になったんですね。去年までは一人当たり約2,000円のお菓子が配られていたようです。ハロウィンをイメージした絵柄入りのトイレットペーパーは、子どもを連れてくるママたちにも人気なのだとか。

 もともとヤクザはお祭り好きなので、おもしろがっているだけだと思います。阪神・淡路大震災の時の炊き出しボランティアもそうですが、一部でいわれているような「イメージアップ戦略」ではありません。ハデなことが好きなだけだと思います。

 ていうか大前提として、ハロウィンでお菓子を配った程度で、街の皆さんのヤクザに対するイメージが良くなるわけがないことは、ヤクザもわかっています。それでも、小さい子どもたちや引率の若いママたちに「ありがとうございます」とか言われると、うれしいでしょうしね。ヤクザはキホン寂しがり屋ですから。

 同列に語って失礼ですけど、スギ様こと俳優の杉良太郎さんは、被災地などでのボランティアについて「(俺のボランティアは)偽善で売名行為」とおっしゃっているのを思い出しました。

 スギ様はもともと有名人なんですから、別に被災地に行って活動を報じられたところで、「さらに知名度アップ」とかは別にないですよね。人気取りなどではなく、単純に困っている人に何かしたいと思うのがスギ様で、お祭り騒ぎをしたいのがヤクザなんです。

 山口組によるハロウィンお菓子配りを問題にしている人たちは、「暴力団員は、人を泣かせたカネで調達したお菓子を近所の子どもたちにあげている」→「子どもたちは『山口組のおじさんたちは、たくさんお菓子をくれるいい人だ』と思う」→「若いママたちにも人気があるのは許せない」→「将来は、子どもたちも山口組に入りたいと思うかもしれない」→「ヘタすると、若いママも山口組を好きになってしまうかもしれない」といったところでしょうが、なんとも世知辛い気がします。

 それにしても、「暴力団」と「ハロウィン」の組み合わせっておもしろすぎますよね。海外のマフィアではありえないお話で、日本のいいところだと思いますが、いかがでしょうか?

神戸山口組脱退で「神戸山健組」発足!? 元極妻が考える半グレの台頭と「ネオヤクザ」

神戸山口組脱退で「神戸山健組」発足!? 元極妻が考える半グレの台頭と「ネオヤクザ」の画像1今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

神戸山口組から「神戸山健組」が脱退

 この原稿を書いている9月23日午後、「神戸山健組」発足のうわさが流れてきました。詳しいことがわかったら、また書かせてくださいね。ネットでも「令和二年八月」付で、「五代目山健組々長 中田浩司」として神戸山口組脱退表明の「御挨拶」を見ることができますね。さすがの達筆です。

 以前も書かせていただいていますが、中田組長は獄中で接見禁止処分を受けていて、弁護士さんしか面会できないので、真意が伝わりにくいといわれていました。なので、私もあまり先走らないように(これでも)しております。

 まあ神戸山口組からの離脱勢は、以前から「これからは(山健組として)イッポン(いっぽんどっこ=大組織に所属せず、独立を維持している組織)で行く」とは言っていたので、意外というわけでもないのですが、時代は変わっていくものなのですね。

 国内最大組織である山口組が変化を続ける一方で、犯罪集団としての半グレは相変わらず注目されていますね。

 9月にはテレビ朝日系のドキュメンタリー番組『テレメンタリー2020』で半グレに取材した「コロナ禍 闇に溶ける半グレ」が放映されました。特に目新しい企画ではなかったのですが(失礼)、半グレ集団のトップとしてタタキ(強盗)の要員をいわゆる闇サイトで募集する「元山口組組員」氏などがインタビューに応じていました。

 ご承知のようにヤクザは組織として厳しくまとまっているのに対して、半グレは犯罪のためのゆるい集まりです。強盗や詐欺などのために離合集散を繰り返すだけなので、参加する若者は束縛されないからラクだし、警察も把握できないので、取り締まりが難しいといわれています。半グレには女の子も入れますしね。

 「今のヤクザには任俠の心などない」と言われて久しいですが、さすがに(単なる犯罪集団の)半グレよりはいいんじゃないの……と思いながら見ていたら、この「元山口組組員」氏が、気になることをおっしゃっていました。

「(半グレ集団のメンバーは)『手下』じゃなくて、『仲間』なんですよ」

 なるほど。みんな「仲間」を求めているんですね。これまでは戦後の貧しい時代を中心に、頼りがいがあって男がほれる「親分」や「兄貴分」に人気があったと思うんですが、もっとラクでゆるいヨコのつながりがいいんですね。山口組時代に、親分に恵まれなかったのかな。

 でも、だからっつって、独り暮らしのおばあさんのところにタタキに入っちゃダメよ(笑)。もはや任侠の心が「ない」といわれてるヤクザの中にも、ヤクザには「オレオレ詐欺とか、年寄りを泣かせるようなことはしない」という矜持を持ってる人はまだいると思いますよ。

 もっと言っちゃうと、半グレの台頭は、戦後のGHQの支配の時と似ています。GHQは、国家神道の廃止や警察権力の弱体化とともにヤクザ組織の解散を内務省に指示したわけですが、これによって「愚連隊」が強くなっていったんですね。まあ今は不況や暴排のせいで半グレもヤクザも犯罪をやるしかないのでしょうが、昔の愚連隊はスター的な存在でした。万年東一さんや、安藤昇さんですね。半グレの「グレ」には、「愚連隊」の意味もあるようですしね。

 宮崎学先生によると、万年さんは「ヤクザは、窮屈でいけないよ」と口癖のように言っていたそうですが(小説『万年東一』角川書店、絶版)、亡きオットの兄貴分の兄貴分的なレジェンドヤクザ氏(故人)は、「万年さんも安藤さんも、愚連隊というより立派な親分だった」そうですから、どうですかね。

 万年さん的には、ヤクザ社会が上下関係やしきたりに厳しいことをやんわりと批判されていたのでしょうか。テレビに出ていた半グレ氏にはまったく共感できませんでしたが、「手下より仲間が欲しい」というのは、万年さんと共通してるかもしれません。

「ヤクザでも誰でも等しく人権はある」元極妻が考える工藤會の“死刑判決”

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6年間の接見禁止が解除

 勾留中の工藤會の親分衆の接見禁止が、6年もたってようやく解除されたことがニュースになりましたね。6年間ずっと独房で、弁護人さん、刑務官としか話せなかったんですよ。すごくないですか?

 報道などによると、五代目工藤會(北九州)の野村悟総裁と田上不美夫会長は、殺人や組織犯罪処罰法違反(組織的殺人未遂)などの罪で起訴されていて、お2人とも否認しています。9月3日に被告人質問が終わり、証拠調べがぜんぶ終わったので、「罪証隠滅のおそれ」がなくなったので接見禁止も解除ということのようです。もちろんそれはタテマエで、単なるイヤガラセでしょうね。

 6年もの接見禁止は、いろんな意味で問題だと思いますが、そもそも被告人ですから「無罪推定」の原則があります。

 弁護士さんのサイトなどを見ても、接見禁止は、普通は起訴されたら、あるいは初公判が始まったら解除されますし、その後も続くのは「否認して罪証隠滅のおそれがある」とされた場合のようですよ。私の周囲でもそうでした。

 6年は聞いたことがないですね。もっとも工藤會については警察庁が力を入れているので、「刑が確定するまで接見禁止」とのうわさもありましたけど。

 野村総裁と田上会長の求刑は来年1月で、おそらく死刑が求刑されるとみられています。過去には「現役ヤクザのトップの死刑」はなかったので、警察庁はやる気満々らしいです。とはいえ、お2人とも高齢なので、実際には執行はされないともいわれています。要するに「死刑判決」という事実があればいいのでしょう。

 こんなことを書くと、「ヤクザに人権なんかない。接見禁止は当然。さっさと死刑になれ」とか言われそうですね。まあ、しょうがない部分はあるんですが……。それで、少し前に、テレビで弁護士の三輪記子さんが「だれにでもひとしく人権がある」とおっしゃっていて、とてもうれしかったです。

 横浜刑務所の受刑者が、HIVの血液検査で陽性だったのに放置されてエイズを発症してしまった事件があったのですが、それについて、「人権は『あるかないか』ではなく、すべての人に保障されるもの。たとえ受刑者であっても、その大原則は変わりません。一般の方同様に、治療を受ける権利ももちろんあります。これを機会に、こうした原則がもっと社会に周知されるようになってほしいと思います」とおっしゃっていました。

 もう三輪先生の大ファンになってしまいました。東大法学部卒の美人さん、そして自他共に認めるヤリマ〇て、最高のキャラですよね。私が逮捕されたら、ぜひ弁護をお願いしたいです。今のところ思い当たるフシはないのですが、どこからどうタマが飛んでくるか、わかりませんからね。

「留置場お泊まりセット」とガサ入れ対策

 ちなみにオットが生きていた頃は、オットの分と共に私の分も「留置場お泊まりセット」を、いつも用意していました。スーツケースに新品のパンツとか靴下とかを入れておいて、いざとなったら、そのまま差し入れてもらうんです。オットは何度も使う機会がありましたが、おかげさまで私は使うことがないまま終わりました。もちろん、夏物や冬物に入れ替えたりはしていましたよ。今となっては懐かしい思い出です。

 そういえば、以前取材を受けた女性ライターさんは、ガサ入れ(家宅捜索)対策として、下着を入れてある引き出しに100均で買ったゴムのゴキブリやゲジゲジのおもちゃを入れているとおっしゃっていました。ヤクザの裁判などを取材しているので、警察にはかなりマークされているそうです。

 たしかにガサ入れの時って、刑事さんたちは下着とか生理用品をマジマジと見るんですよ。「男ってやあね」という感想しかないんですけど、「下着がゴムくさくなるのでツラい」そうです(笑)。ライターさんは、今も逮捕されずにがんばっておられます。

山口組“再分裂”で「元さや」は絶望的? 元極妻が語る「神戸山口組」の5年、やくざの「プライドと金」

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

分裂の原因は「プライドとカネ」?

 今年は、コロナ禍と長梅雨のせいで、夏を満喫できないまま秋になっちゃって、寂しいですね。

 8月末に分裂から5年を迎える六代目山口組と神戸山口組も「特定抗争指定暴力団」指定は受けたままですが、静かな状態が続いていて、秋の寂しさをより感じるのは……私だけですかね。

 報道などによると、5年前の8月27日未明、当時の六代目山口組の直参だった約10人が神戸市内に集まり、ひそかに「神戸山口組」を結成して盃を交わしたそうです。この年は山口組が設立100周年を迎えた年でもあって、まるで映画のようです。

 神戸山口組のトップに就いたのは四代目山健組の井上邦雄組長で、当時は六代目山口組の若頭補佐という要職にありました。山健組は、約1万人といわれていた六代目山口組の中で約2,000人を占めており、最も大きい二次団体でした。ちなみに六代目山口組・司忍組長の出身母体である弘道会は当時約1,000人です。

 5年前の8月末に井上組長から盃を受けたのは、二代目宅見組の入江禎組長、侠友会の寺岡修会長など12人で、入江組長は舎弟頭、寺岡会長は舎弟でした。神戸山口組では、入江組長は副組長、寺岡会長は若頭に就いています。

 もちろん六代目山口組側は激怒、離脱者13人を特定すると、井上組長ら主要メンバー5人を絶縁処分(永久追放)、残る8人は破門処分(復帰の可能性もアリ)としたことを公表しています。

 分裂の原因は、もちろんお金もあるでしょうが、まずはプライド的なところだともいわれています。

 インターネット上には、分裂当時、神戸山口組が友好団体などに配布した「御挨拶」の内容が公開されています。それによると、司忍六代目組長について「利己主義甚だしく 歴代親分 特に三代目親分の意を冒涜する行為多々あり」と非難しています。また、山口組の七代目、八代目の「候補者」に弘道会関係者の名前が出ていたこともあり、弘道会への不満が強かったことは明らかです。それとともに、高い「会費」やミネラルウォーター、トイレットペーパー、ラーメンなどの共同購入を強要されたことも理由として挙げられていましたね。

 何回か書かせていただいていますが、本来の組織の「会費」(警察用語の「上納金」)とは、抗争などで組のために戦った者の裁判と懲役、入院費あるいは葬儀、家族のケアなどのためにプールしているものです。親分がカノジョと高級車で高級フレンチに行くためのお金ではないのですが、まあそういうところでもめることもあるわけです。

 この神戸山口組の「御挨拶」に対して、司忍組長は直参への「手紙」という形で心情を吐露しています。

「今回の不幸(=神戸山口組の結成)も新生山口組の時代の始まりととらえ、公私共に柔軟に対応し『道無き道を歩く』、道を切り開くんだという心意気で前向きに歩むことを望む」とあり、離脱者が出たことを「不幸」としながらも、新しい山口組のためにポジティブに行こうと呼びかけました。

 まあ実際には、この後に対立抗争が始まるわけですが、事務所にトラックで突っ込む車両特攻など罪が軽いものが多く、さすがに死傷者100人クラスの「山一抗争」(1984〜89年)のようにはなりませんでした。

 理由はいくつか考えられますが、やはり厳罰化で懲役が長くなっていること、長期刑を務めるヒットマンを経済的に支える資金や人的サポートが難しいことがあるでしょうね。もちろん何人かは射殺されていますし、これからも起こるかもしれません。そうはいっても、山口組が分裂したあとに誕生した組織からも離脱者が出るのは、前代未聞と言っていいでしょうね。

 この離脱も、六代目側からの襲撃への報復(カエシ)をしていないことや会費の高さが原因とされています。やっぱりプライドとお金なんでしょうね。

 さて、神戸山口組を出た山健組は、「山口組」という名を使わず、一本独鈷(いっぽんどっこ=大組織に所属せず独立を維持している組織)で行くそうですから、六代目山口組に復帰することはないようです。まあこれからは、地域に根差した一本独鈷が求められるかもしれません。「お盆明けに大きな動きがある」との予想もありましたが、特に何もなく、なんか静かですよね。とりあえず静かなほうがいいと思います。いろんな意味で。

山口組“再分裂”で「元さや」は絶望的? 元極妻が語る「神戸山口組」の5年、やくざの「プライドと金」

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

分裂の原因は「プライドとカネ」?

 今年は、コロナ禍と長梅雨のせいで、夏を満喫できないまま秋になっちゃって、寂しいですね。

 8月末に分裂から5年を迎える六代目山口組と神戸山口組も「特定抗争指定暴力団」指定は受けたままですが、静かな状態が続いていて、秋の寂しさをより感じるのは……私だけですかね。

 報道などによると、5年前の8月27日未明、当時の六代目山口組の直参だった約10人が神戸市内に集まり、ひそかに「神戸山口組」を結成して盃を交わしたそうです。この年は山口組が設立100周年を迎えた年でもあって、まるで映画のようです。

 神戸山口組のトップに就いたのは四代目山健組の井上邦雄組長で、当時は六代目山口組の若頭補佐という要職にありました。山健組は、約1万人といわれていた六代目山口組の中で約2,000人を占めており、最も大きい二次団体でした。ちなみに六代目山口組・司忍組長の出身母体である弘道会は当時約1,000人です。

 5年前の8月末に井上組長から盃を受けたのは、二代目宅見組の入江禎組長、侠友会の寺岡修会長など12人で、入江組長は舎弟頭、寺岡会長は舎弟でした。神戸山口組では、入江組長は副組長、寺岡会長は若頭に就いています。

 もちろん六代目山口組側は激怒、離脱者13人を特定すると、井上組長ら主要メンバー5人を絶縁処分(永久追放)、残る8人は破門処分(復帰の可能性もアリ)としたことを公表しています。

 分裂の原因は、もちろんお金もあるでしょうが、まずはプライド的なところだともいわれています。

 インターネット上には、分裂当時、神戸山口組が友好団体などに配布した「御挨拶」の内容が公開されています。それによると、司忍六代目組長について「利己主義甚だしく 歴代親分 特に三代目親分の意を冒涜する行為多々あり」と非難しています。また、山口組の七代目、八代目の「候補者」に弘道会関係者の名前が出ていたこともあり、弘道会への不満が強かったことは明らかです。それとともに、高い「会費」やミネラルウォーター、トイレットペーパー、ラーメンなどの共同購入を強要されたことも理由として挙げられていましたね。

 何回か書かせていただいていますが、本来の組織の「会費」(警察用語の「上納金」)とは、抗争などで組のために戦った者の裁判と懲役、入院費あるいは葬儀、家族のケアなどのためにプールしているものです。親分がカノジョと高級車で高級フレンチに行くためのお金ではないのですが、まあそういうところでもめることもあるわけです。

 この神戸山口組の「御挨拶」に対して、司忍組長は直参への「手紙」という形で心情を吐露しています。

「今回の不幸(=神戸山口組の結成)も新生山口組の時代の始まりととらえ、公私共に柔軟に対応し『道無き道を歩く』、道を切り開くんだという心意気で前向きに歩むことを望む」とあり、離脱者が出たことを「不幸」としながらも、新しい山口組のためにポジティブに行こうと呼びかけました。

 まあ実際には、この後に対立抗争が始まるわけですが、事務所にトラックで突っ込む車両特攻など罪が軽いものが多く、さすがに死傷者100人クラスの「山一抗争」(1984〜89年)のようにはなりませんでした。

 理由はいくつか考えられますが、やはり厳罰化で懲役が長くなっていること、長期刑を務めるヒットマンを経済的に支える資金や人的サポートが難しいことがあるでしょうね。もちろん何人かは射殺されていますし、これからも起こるかもしれません。そうはいっても、山口組が分裂したあとに誕生した組織からも離脱者が出るのは、前代未聞と言っていいでしょうね。

 この離脱も、六代目側からの襲撃への報復(カエシ)をしていないことや会費の高さが原因とされています。やっぱりプライドとお金なんでしょうね。

 さて、神戸山口組を出た山健組は、「山口組」という名を使わず、一本独鈷(いっぽんどっこ=大組織に所属せず独立を維持している組織)で行くそうですから、六代目山口組に復帰することはないようです。まあこれからは、地域に根差した一本独鈷が求められるかもしれません。「お盆明けに大きな動きがある」との予想もありましたが、特に何もなく、なんか静かですよね。とりあえず静かなほうがいいと思います。いろんな意味で。

消えた「二代目神戸山口組」と新団体設立の可能性――元極妻が考える山健組分裂問題続報

消えた「二代目神戸山口組」と新団体設立の可能性――元極妻が考える山健組分裂問題続報の画像1今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

クーデター失敗で消えた?「二代目神戸山口組」

 思えば、六代目山口組から二次団体の四代目山健組(井上邦雄組長)ほかいくつかの組織の脱退のうわさは、2015年のお盆あたり……つまり今頃から流れていました。その前からゴタゴタはしょっちゅうだったので、私も最初は「まさかあ」という感じだったのですが、オットの兄弟分の「元重鎮」から「割れるで」とだけ短いメールが来て、マジだと悟ったのでした。

 あれから5年。誰がこんな展開を想像したでしょう? 井上組長たちが旗揚げした神戸山口組は、8月に入って脱退の動きが続々と報じられています。東スポのように「お盆明けに大きな動き」と煽る新聞もありますが、どうなんでしょう? 離脱者の新団体設立かなとも思いますが、プロレスっぽくなってきましたね。

 もうネットにも出ているので書いちゃいますけど、実は、7月の終わりくらいまでは「神戸山口組の井上邦雄組長引退→二代目神戸山口組発足」のうわさが流れていました。18年に中田浩司組長が襲名した五代目山健組が、先代の「井上派」と当代の「中田派」に分かれてしまうことも前代未聞でしたが、いつの間にか「このままだと神戸山口組がなくなる。井上さんに引退してもらって、またひとつになろう」という話になっていたようです。

 要するにお金の問題で、井上組長に不満があってこうなったのだから、引退か総裁職かを選ぶよう幹部が迫ったそうです。でも井上組長は断って、「クーデター失敗」となりました。非常におこがましいですけど、同じ立場なら私も断りますね。引退した途端にズドン(と撃たれる)でしょう。

 クーデターに失敗した幹部はもはや引退しかありませんから、どんどん引退していて、神戸山口組は自然消滅とまでいわれています。まったく想定外でしたが、「いずれは(四代目山口組の襲名に不満を持った離脱者で結成された)一和会のようになる(=解散する)」とは、神戸山口組の結成当初からいわれていました。まあ、それは冷静な分析というよりは「ケッ。ふざけやがって」的な感じかなと思っていたのですが。

 さて、これからどうなるのでしょうか?

 「確定情報」とされているもののひとつに、神戸山口組を「円満に」脱退したと表明している池田孝志組長率いる池田組と、17年に神戸山口組を離脱して現在の絆會を結成した織田絆誠(よしのり)代表の合流があります。

 池田組は資金力で定評があり、神戸山口組設立の際にも相当お金を出したといわれていますが、六代目山口組との抗争でカエシ(報復)をさせない井上組長に不満があったといわれています。池田組は、六代目山口組のヒットマンから16年5月に当時の若頭を射殺され、今年の5月にも若頭が銃撃されていますから、怒り心頭ですよね。

 一方で、織田代表はもともと井上体制に不満があって割って出たのですから、「敵の敵は友」となったのでしょう。そのほかの五代目山健組の離脱者の中にも、合流がうわさされている関係者もいるようです。

 もちろんこうした動きを六代目山口組が容認するわけもなく、これからは新団体も抗争のターゲットと十分なりえます。すでに「山口組分裂抗争の長期化」がいわれていますが、これはどうでしょうね? マスコミも煽りすぎの気がします。

神戸山口組から山健組が分裂! 元極妻が考える2つの「五代目山健組」の行方

神戸山口組から山健組が分裂! 元極妻が考える2つの「五代目山健組」の行方の画像1今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

神戸山口組の分裂は五代目山健組の分裂

 報道などによれば、7月22日に正式に神戸山口組から山健組が分裂したようです。この日の会合で正式に表明されたと報じられています。かつての山口組は、五代目である渡邉芳則組長時代には下部組織を含めて「4万人軍団」を誇っていました。その多くを二次団体である山健組の関係者が占めていたので、「ヤマケンにあらねばヤマグチにあらず」といわれたのは、つい15年前ですわよ。

 神戸山口組の中でも山健組は中核組織ですから、そこが割れるというのはかなりの衝撃です。しかも、神戸山口組の井上邦雄組長は四代目山健組の組長でしたから、今回は「神戸山口組の分裂」であると同時に、「五代目山健組の分裂」でもあるのです。

 わかりにくいのですが、今回離脱したのは五代目山健組のうち「反井上派」ということになります。なので、私が原稿を書いている7月30日現在は「五代目山健組」が2つある状態で、一部報道では離脱した側を「新生五代目山健組」などと表現していますね。

 さらに、7月28日付で神戸山口組の立ち上げ時から参画し、資金力でも評価されている池田組の池田孝志組長が「神戸山口組を円満に脱退致しました」とする「御挨拶」を関係者に送っていたことも報道されて、さらなる衝撃です(字がきれいでびっくり)。

 「円満」の意図はこれからわかるのでしょうが、いろいろあって驚きますね。そもそも現在、六代目山口組と神戸山口組は「特定抗争指定暴力団」に指定されていますから、警察もかなり緊張感を持っているようです。

「近々、(離脱した側の)山健組はこっち(六代目山口組)に戻ってくる。そういう話ができている。だから、応援してやってくれよ」

 すでにこういうウワサが出回っていることも報道されています。真偽のほどはわかりませんが、中田浩司組長の「復帰工作」は以前から指摘されてきたことではありますね。でも、中田組長は去年8月に六代目山口組の中核組織である弘道会系の組員を銃撃したことで逮捕・起訴されていますから、復帰は難しいんじゃないですかねえ。仮に復帰したくても、弘道会は受け入れるんでしょうか?

 そもそも今回の離脱騒動は、勾留・接禁中の中田組長ときちんと連絡ができていなかったこともモメる要因だったと聞いています。わざとなのか、心配のあまりなのか、いろんなウワサが飛び交って、記者さんたちも大変ですね。

「本当は、コウベ(神戸山口組)はひとつでいたいはず。だが、最近はシノギが厳しいから、みんな自分のことしか考えられない。昔みたいな一枚岩には戻れないだろう」とオットの元兄弟分が教えてくれました。まあ一枚岩といっても、山口組の「看板」でそれぞれがシノギをしてきただけで、全員が仲良しということではないですよね。

 ネットなどでは、「このまま『井上派』からさらに離脱者が出て、神戸山口組自体がなくなる」とか、無責任なウワサはさらに増えているようです。こういうデマは「誰得」なんでしょうかね? 警察だって、団体がひとつ減れば予算もそれだけ減るんですから、本当はうれしくないはずです。新たな合流や離脱は、まだまだ収まりそうにありません。

神戸山口組に「再分裂問題」が浮上! 元極妻が考える、金に困ったヤクザの行く末

神戸山口組に「再分裂問題」が浮上! 元極妻が考える、金に困ったヤクザの行く末の画像1今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

山口組分裂をめぐって、いろんな情報が錯綜中

 7月にコロナの「第二波」が来る件は、以前に元ヤクザのガクさんが予言していました。当時は「このままじゃ第二波は絶対に来るに決まってるから、そんなの占いじゃないわよ」と思ったものですが、まさか本当に占い通りになるとは……。皆様も、お気をつけくださいね。

 そんなことを考えていたら、突如として井上邦雄組長率いる神戸山口組の「再分裂問題」が浮上しました。

「10日にヤマケンがコウベ(神戸山口組)を脱退するらしい」

 オットの元兄弟分たちから連絡があったのは、7月8日のことです。「ヤマケン」とは、神戸山口組の中心である五代目山健組のことです。トップの中田浩司組長は、現在は発砲事件の実行犯として逮捕起訴されて勾留中です。

 今回の離脱に関して中心的に動いているのは、山健組の中でも名門の西川良男組長率いる六代目健竜会だとか。健竜会は、中田組長や井上組長がトップを務めたことのある「保守本流」つまり「山口組の中でも最も山口組らしい」組織といわれてきました。

 この健竜会が、10日に滋賀県内で会合を開いて「離脱」を表明したようです。ところが、その後の動きが伝わってきません。この原稿を書かせていただいている7月16日現在、離脱しているのかどうなのか、関係者も警察もわからない状況が続いているのです。

原因は、やっぱり「お金」……

 16日現在でわかっていることをまとめますと、そもそもは、中田組長が獄中から「会費(いわゆる上納金)が高すぎるから、神戸山口組を脱退しろ」と言ったとか言わないとかのあたりが発端ともいわれています。つまり、同じ山健の中で、井上組長を支持する「組長派」と中田組長を支持する「反組長派」に分かれているんですね。

 中田組長は接見禁止中で、弁護人である弁護士さんしか面会できないので、本人から意見を聞けないこともあり、判断は難しそうです。10日からは共同通信をはじめとして主要メディアがこの問題を報道し始めました。11日と14日には神戸山口組が緊急会合を開いていますが、分裂するかどうかはまだわからないようです。

 それにしても、なぜ「今」、分裂なのでしょうね? もうすぐ8月ですが、六代目山口組が分裂したのは2015年の8月末でした。この時に、四代目山健組を中心とする勢力が脱退して、神戸山口組を旗揚げしたのです。

 あの時は、お盆あたりから「菱(山口組の代紋)が割れるらしい」というウワサが広まり、「どうかねえ」と言っていたら本当に分裂してしまいました。分裂の背景にはお金の問題があったといわれていますが、今回もそうですね。要するに「会費が高い」ということです。

 さらに、その後の17年4月には神戸山口組から織田絆誠(よしのり)若頭代行を中心とするグループが脱退、新組織「任俠団体山口組」(その後に組織名を任侠山口組、現在の絆會)を立ち上げます。この時にヤクザとしては異例の記者会見を開いたので、ご記憶の方も多いのではないでしょうか。ここでも「会費が高い」ことを理由にしていましたね。「六代目山口組の会費が高いから割って出たのに、やっぱり高かった」ということです。これは会見で言っていたので、事実関係はともかく、本人たちはそういうつもりです。ちなみに絆會は組員の流出に歯止めがかからず、解散のウワサがあります。このページを皆さんがご覧になるころには、もう解散しているかもしれません。

 ところで、本来の「会費」とは、抗争など組のために動いてパクられた(逮捕された)時の裁判費用や家族のサポート、友好団体などを含めた関係者の冠婚葬祭費などに使われます。親分の生活費やカノジョとのデートには使わない(ハズ)なのですが、まあいろいろあるわけです。もっともこんな話は昔からあったのですが、ヤクザの看板でシノギ(ビジネス)ができて、お金が回っていた時は、なんとかなっていたのです。今は過剰な暴排でヤクザも本当に苦しいので、ギスギスしてしまうのでしょう。

山口組と吉本興業の関係、「闇営業」問題――元ヤクザの妻が読む『吉本興業史』

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

吉本興業の「謝罪マスター」の著書

 世の中、本当にいろんな、ヤクザに関する本が出ていますね(自分も出してますけど)。書評が続くのもどうかと思いましたが、やはり『吉本興業史』(竹中功著、KADOKAWA)は書かせていただくことにしました。核心的なところはスルーかなと思ってましたが(失礼)、わりとディープでしたね。まあ中田カウスさんについては、報道された事実とかを淡々と書かれている印象でしたが。

 著者は、現在は退職されていますが、吉本興業の伝説の広報マンで、所属芸人の謝罪会見の仕切りなど「謝罪マスター」としても知られる方なのだそうです。

初代吉本興業社長は、山口組三代目の葬儀に列席

「ええか、今日のいまこの時をもって、ヤクザとはいっさい関わってはならん!」

 主だった所属芸人さんたちを前に、吉本興業初代社長の林正之助さんが突然言いだしたのは、バブル前夜の1981年夏のこと。三代目山口組・田岡一雄組長が亡くなる7月23日の少し前だったそうです。

 本書などによると、正之助さんは創業者の吉本せいさんの弟さんで、十代の頃から姉夫婦の仕事を手伝っていました。兵庫県警の内部資料『広域暴力団山口組壊滅史』に「山口組準構成員」と書かれるほどヤクザとの関係は知られていましたが、91年に亡くなられた後も、吉本興業を大きくした「やり手の興行師」としてレジェンドになっていますね。

 ちなみに吉本興業のホームページによると、「吉本吉兵衛(通称・泰三)・せい夫婦が、天満天神近くの寄席『第二文芸館』で、寄席経営の第一歩を踏み出」したのは1912年。初代山口組・山口春吉親分が神戸に山口組の看板を掲げたのは1915年ですから、まったく同じ時代を歩んでいます。

 この正之助さんは二代目山口組・山口登組長とも親しかったそうで、そんな人から急に「ヤクザと付き合うな」と言われても、周囲は困惑しますよねえ。

 そもそも昭和までは、ヤクザの親分が芸人さんをひいきにするのは当たり前で、飲食の面倒はもちろん、用心棒的なこともしていました。うちの亡きオットも芸人さんをスナックなんかで見かけると、お会計をしてあげたりしてましたよ。あと、うちはやってません(と思いたい)が、シャブ屋のパシリ(使い走り、配達係)にしてお小遣いをあげることも珍しくありませんでした。

 ていうか昔の芸人さんたちは、たいていは大酒飲みで女(男)癖も悪く、コンプライアンス的に問題がある人ばかりでしたが、それでも親分の言うことは聞くので、興行師も助かっていたと思います。それに、正之助さん本人は、田岡組長が亡くなった時に葬儀に参列していて、週刊誌に撮られてますしね。記事を見せてきたカウスさんに「あれは双子の弟や」とシレッと釈明するあたり、さすが「吉本の人」です。

 「ヤクザと付き合うな」と言いだしたのは、三代目亡き後の「いろいろ」を考えてのことだったと思います。

現在の社長への愛ある批判も

 本書は、少し前の所属芸人さんの「闇営業」問題についてもページが割かれています。記者会見した現在の社長さんに対する批判もあって、ナルホドと思いました。ラクなお商売はないわけですが、本や服を作る会社とは違うこともよくわかります。約6,000人もの芸人さんを抱える大所帯の経営幹部は「守り」に入ってしまって、もはやファミリーとは呼べないということですね。ヤクザの組織も、そんな感じです。

 それにしても、こういう本って「誰得」なんでしょうね? 今さら「吉本にヤクザが関わってたなんて、ショックゥ」なんて方はいらっしゃらないでしょうし。「オレのこと書いてねえだろうな」って慌てて買っちゃう“関係者”も少しはいるかもですが(笑)、まあ「薄々わかってはいたけど、詳しく知りたい」方々向けなのでしょうか。いずれにしろ、著者さんの古巣への「愛」はよくわかる労作といえます。