元極妻が見た映画『すばらしき世界』――「出所したヤクザのつらさ」がわかります、カタギの皆様に見てほしい

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

『すばらしき世界』はカタギの皆様に見てほしい

 やっと見てきましたよ、話題の映画『すばらしき世界』!

 正直見ていてツラいだけでしたが、カタギの皆様には、ぜひご覧いただきたいです。「社会復帰は大変なんだな」と、わかっていただけたらうれしいです。

 原作は、佐木隆三さんの小説『身分帳』(1990年)だそうです。出所したヤクザが社会復帰しようとがんばって空回りするお話ですが、主人公には実在のモデルがいたそうです。これを読んだ西川美和監督が、主人公の「ひたすら瑣末で、面倒で、時に馬鹿げてさえ見える『生きていくための手続き』」に驚き、「こんなにも退屈かつ切実な物語があるだろうか」と思って映画化を決意されたそうです。

 「退屈かつ切実」だから、見ていてツラいのです。かつて「『ミンボーの女』(伊丹十三監督、1992年)を見て怒らないヤクザはいない」と言われていました。実際に伊丹監督襲撃事件も起こっていますが、『すばらしき世界』を見て「ツラくないヤクザはいないんじゃないか」と思いましたね。「ヤクザにならなければいい」とか「ムショに行くようなことをしなければいい」と言われるのはわかりますが、主人公がなぜそうなったのかは、映画に出てきます。

旭川刑務所はビジネスホテルよりいい?

 切ないばかりではつまらないので、元極妻な視点から解説をしてみたいと思います。物語は、役所広司さん演じる三上正夫が大雪の中を刑務官に見送られて旭川刑務所を出所する少し前から始まります。

「これがうわさの新しい旭川刑務所ね~」

 ロケに使われた近代的なムショを見て、声が出そうになりましたよ。キホン個室だそうで、「ヘタなビジホより全然いい」と、リニューアル当時はかなり話題だったんです。

 ちなみに豆知識ですが、男子刑務所ではキホン長さ2ミリの丸刈り(「原型刈り」といいます)で、出所の2~3カ月前から「蓄髪(ちくはつ)」といって髪を伸ばすことが認められます。

 出所する時の役所さんが坊主頭ではないのはそのせいですが、ガリ(散髪)も懲役(受刑者)がするので、たいていは微妙な仕上がりのようです。シャバで理容師さんや美容師さんだった人がいればいいのですが、そんなにたくさんはいませんしね。

 六代目山口組の司忍組長がボルサリーノをかぶっていたのも、ガリ屋(散髪担当者)の微妙な仕上がりを隠すためだったと思います。

 役所さんがバスに乗ると、2人の刑務官が雪の中をバスが見えなくなるまで見送ってくれますが、あとは独りぼっち。でも、上野駅に着くと、橋爪功さん演じる弁護士さんが迎えに来てくれていて、おうちですき焼きをごちそうしてくれます。この奥様が梶芽衣子さんなのにはびっくりしました。『女囚さそり』シリーズのイメージしかなかったので(苦笑)。

 そして、役所さんは『孤狼の血』(白石和彌監督、2018年)では広島弁(呉弁?)で「そうじゃのー」とかニコニコしてたのに、今回は博多弁を操っておられました。さすがです。

 久々のシャバでいろんなことに驚き、戸惑う役所さんはチャーミングですらあり、萌えましたね。ていうか、役所さんがイケメンだからアリなのであって、「極悪人顔」だったら成り立たない設定です。

 あと細かいことを言っちゃうと、出所の少し前に職員と外出して買い物をしたり、駅で切符を買ったりして社会復帰の練習をする「釈放前指導」(釈前教育ともいいます)が行われるので、映画のようにおどおどすることはないと思いますよ。

 ただ釈前指導は1994年に基準が統一されていて、それまでは施設によってマチマチだったので、作品のモデルになった山川一こと田村明義さん(1986年2月出所)は指導を受けていなかった可能性が高いです。そして、この田村さんが亡くなられた時は、佐木さんが喪主までされてるんですね。

 西川監督によると、『身分帳』が刊行された頃、田村さんは話題の人で、ラジオ番組にも出ています。ドラマ化の話もあって、自分の役は大照れしながら「高倉健さん希望」と言ったとかナイスなエピソードもあったそうです。健さんでなくても役所さんならうれしいですよね、きっと。

 そして、田村さんは今も問題になっている「無戸籍」の人でもありました。無戸籍については、ちょっと考えたいので、次回に書かせてくださいね。

人気の「任侠カフェ」を元極妻が斬る! “ファンタジーとしてのヤクザ”は現役も大好き

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

元ヤクザがプロデュースする名古屋の任侠カフェが人気

「名古屋で『任侠カフェ』が人気だそうですが、どう思います?」

 編集者さんから聞かれました。そんなのあるんですか……。検索したら、たくさん報道されていますね。今年の5月にオープンしているそうです。

 プロデューサーはバーチャルユーチューバーの「懲役太郎」氏だそうです。獄中の懲役太郎さんに代わって、チャンネルの管理人さんである漫画家の「俺太郎」氏が実務を担当されているそうです。

 ウィキペディアによりますと、懲役太郎氏はかつてリアルヤクザだったそうで、その経験をもとに「服役しながら篤志面接委員(トクメン)の許可を得て、職業訓練の一環としてYouTube活動を始める」という設定になっています。

 チャンネルを拝見したら、おもしろくてびっくりしましたね。スナックで人気者になりそうな(褒め言葉です)話し上手。こういう方は、もともと頭がいいから、引退されてもやっていけるのでしょう。

 まあ更生のための相談相手みたいなトクメンに、そんな「許可」は出せないと思いますが、そこはバーチャルの設定ですからね。ちなみにトクメンになる方は、元警察官や元教師、お坊さんなど、地元の名士が多いですが、落語家の桂才賀師匠もそうですね。

 最近は「元不良」がYouTubeチャンネルを開設するのも流行しているようで、それぞれ人気がありますね。どれも、とてもおもしろそうです。サイゾーウーマンで連載中の中野瑠美さんのチャンネルも発見しました。そういえば、少し前にテレビ局で偶然お会いして、お互いに「えーっ!」ってなったんですよ(笑)。

 それにしてもカフェの激戦地、そして某大組織のお膝元の名古屋で「任侠」をテーマにしたカフェ……。大きく出ましたね。機会があれば伺いたいです。

 コンセプトは、「あくまでもファンタジーとしてのカタギさんが想像する事務所」だそうです。でも、リアル事務所もこんな感じのところはありますね。

 懲役太郎さんは「ファンの交流の場」として思いつき、なんとクラウドファンディングで約1,000万円を集められています。さすがですね。内装は、ゲームの『龍が如く』のほかいろいろな漫画や映画をヒントにしていて、Vシネやテレビドラマに出てきそうな「あの感じ」の事務所ですね。壁には「任侠道」の額。これは実際に置いてる事務所が多いです。お客様がそれっぽい恰好をできるコスプレもあるそうです。

 店内へは面会室をイメージした「受付」から入り、ショバ代893円のかかる事務所調のお部屋のほか、飲食代のみの普通のお部屋も選べます。事務所調のお部屋は、組長席・若頭席と通常席に分かれていて、組長席はショバ代込みでなんと10倍の8,930円。ちょっとお高い気もしますが、ネットで見る限り、皆さん楽しそうです。

 組長席にはクリスタル風の灰皿が(笑)。実際の事務所でクリスタルの灰皿を組長席に置くところは、まずないですね。ガチで殴ることもあるので、ヘタしたら死ぬからです。応接室にはありますよ。

 店員さんが部屋住みの若い衆のような感じでオーダーを聞いてくれて、ケーキとドリンクのセットも「893円」。スイーツはどれもおいしそうですね。コーヒーは、更生支援をしているNPO法人マザーハウスが販売している「マリアコーヒー」で、元受刑者が製造から販売まで手がけ、収益金は受刑者の更生・社会復帰支援などに使われています。これはすばらしいアイデアですね。

 オススメは、このマリアコーヒーと「鉄管ビール」だそうです。これは(水道管から出てくる)水道水のことなんですが、ムショ用語というよりは、私の祖父とか昔の年寄りが使っていた言葉です。ムショは明治時代の監獄からはだいぶマシになりましたが、やっぱり昔の言葉が生きているようです。

 この「任侠カフェ」について、亡きオットの元兄弟分たちに意見を聞きましたが、みんなミーハーだし、「ファンタジーとしてのヤクザ社会」も好きなので、クラファンにも興味津々でした。「俺も集めようかなー」的な(笑)。いや、懲役太郎氏のYouTubeチャンネルの登録者数は31万人以上で、コンセプトもおもしろいから、それほどの額を集められるのであって、単なる「元ヤクザ」じゃ難しいと思うんですけどね。

34歳年下のガールズバー店員にフラれて脅迫! 逮捕された組員を元極妻がかばうワケ

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ガールズバーの店員を脅した組員が逮捕

 なぜかあっという間にネットニュースがなくなったのですが、5月にガールズバーの女性店員(20歳)を脅したとして54歳の大手組織系組員が逮捕されました。

 当時の配信記事などによりますと、組員氏は去年の暮れに電話で女性店員に組員であることを告げ、「もう会わないから、これまで渡したものを全て返せ。俺の仲間は過去に人を殺している。東京湾に沈める」と脅したそうです。

 組員氏は、このガールズバーに事件の2カ月くらい前からお客さんとして来ていて、女性とは外で食事もしていたようです。

 恐喝の理由は「服をプレゼントしたら『彼氏とのデートに着ていく』と言われたのでキレてしまった」そうで、ネット住民からは「いいトシして何?」的な批判が目立っていました。まあ年齢差34歳ですからね。でも、ここはひとつ組員氏をかばってみたいと思います。

 ヤクザになるような人は、だいたい成育環境に問題があります。学校に行かず、勉強の仕方や対人関係について何も学ばないまま大人になってますから、こういうトラブルは珍しくありません。学校や家庭などで学ぶべきことを学べなかった「元・子どもたち」を「このロクデナシが!」と批判するのは簡単ですが、それで解決するでしょうか?

 この「ロクデナシ」たちが犯罪を企んだとき、次のターゲットはあなたかもしれませんよ? 実際に、この組員氏も別の事件に関与していたことがネットに出回っていますね。

 今回の少年法の改正も、早くから少年たちに「ロクデナシ」のレッテルを貼ることで、ますます更生は望めなくなります。 

 以前は、親や教師の言うことを聞かない子どもたちを叱るのも、町の顔役の仕事でした。2011年に暴排条例が全国の都道府県で出そろうあたりまでは、素行の悪いカタギの若者を行儀見習い的に預かるヤクザも珍しくなかったんたんです。

 たとえばフランスのジャン=ピエール・リモザン監督が日本のヤクザに密着したドキュメンタリー映画『Young Yakuza』(ヤング・ヤクザ、2008年公開)は、母親が持て余したナオキ青年を預かるところから始まります。

 受け入れ先は熊谷正敏組長率いる稲川会系の碑文谷一家熊谷組。熊谷組長は32歳で稲川会専務理事、39歳で稲川会直参というヤクザ世界のエリートとして知られています。

 カメラは、ナオキ青年が「部屋住み」としても文字通り事務所の部屋に住んで、お辞儀の仕方から家事全般まで、いろいろ教えてもらうところを追います。熊谷組長は青年に「(部屋住みで体験する)いいことや悪いことは、全部勉強だ。自分の判断で悪いことは切り捨てろ」と青年に諭します。この作品は、もう少し字幕が詳しいとよかったですが、記録映像としても、とても価値があります。

 ただ、ほかの組はもっと厳しかったと思います。どつかれたり、灰皿が飛んできたりするのも普通ですからね。もしヤクザにならなくても、教えてもらったことは一生モノですよ。

 もっとも部屋住みで修業をしたからといって、全員がきちんとできるかというと、そういうことでもないのですが……。

 ちなみに若い方にはなじみはないかもしれませんが、あの清水の次郎長親分のノンフィクション『東海遊俠傅(ゆうきょうでん)』を書いた天田愚庵(あまだ・ぐあん)も、何かと困った若者だったようです。

 心配した周囲の人から次郎長親分に預けられ、親分と意気投合して養子にもなっています。その頃に親分から聞いたお話をまとめて本にしたんですね。これをもとに浪曲や講談も作られました。

 愚庵がノンフィクションを書かなかったら、次郎長親分も語り継がれなかったかもしれません。いろいろなご縁があるものです。

最近、「職務質問」が増えたワケとは? 元極妻が教える、職質される基準と対応策

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

東京オリンピック対策で職務質問を推進

 連休明けあたりから職務質問が増えた気がしますが、それって私だけでしょうか?

 そんなことを考えていたら、やっぱり東京オリンピック対策として推進しているようです。

 「目前に控えた東京五輪・パラリンピック。不測の事態に備え、不審者の早期発見は不可欠で、職務質問の役割は重要になる」そうです。少なくない人が「もうオリンピックは無理じゃね?」と考えている中で、がんばっておられるんですね。

 報道によると、「職質のプロ集団」である「警視庁自動車警ら隊」には、「犯罪者は浮いて見える」そうですが、そうですかねえ。

 以前も書かせていただきましたが、元国家公安委員長の故白川勝彦先生は、渋谷で二度も職質を受けています。失礼ながらぶっちゃけ「こぎれいなナイスミドルではない感」は否めませんが、そういう問題ではありません。

 警察庁は、国家公安委員会の監督下にありますから、ヤクザでいえば、「枝(傘下団体)の若い衆が親分の顔を知らなかった」ということになり、一大事ですよ。白川先生は亡くなられて本当に残念です。この問題は、もっと論じていただきたかったです。

 仮にオリンピックが中止でも職質はなくならないので、対策を考えてみたいと思います。これも以前も書かせていただきましたが、女性はよっぽどラリってるとか「不審全開」でなければ、まず職質はされません。

 でも、おまわりさんには裁量があり、それを悪用する不届き者もいます。たとえば2013年には、大阪府警の巡査が女子高校生に職質を装って声をかけてカバンを開けさせ、隙を見て携帯電話で太ももを盗撮した事件がありました。

 この巡査は、府迷惑防止条例違反(卑わいな言動)と公務員職権乱用の罪で起訴されて懲戒免職処分にされていますが、今頃どこで何をされているのでしょうね?

 不審に思った女子高生のご家族の通報でめくれた(発覚した)ようです。報道によりますと、巡査のケータイからは女子高校生の太もも写真など画像460枚が見つかり、うち350枚は勤務中に撮ったものらしく、「JKの太もも大好きおまわりさん」はかなりインパクトがありました。

しつこい所持品検査で警察が敗訴

 そもそも女性は、同性であっても他人に見られたくない持ち物が男性よりあるから職質されないのかなと思うんですが、いましたね、カバンの中の「大人のおもちゃ」を見られた男性。執念で国賠を起こして警察に勝っているのもすごいです。

 なぜそんなものを持ち歩いているのか疑問といえなくもないですが、報道によりますと、男性は「検査に応じる選択肢しかないような状況に追い込まれた」そうで、これはダメですよね。そもそも男性は、車のトランクの検査には応じていました。「カバンはちょっとカンベンして」ということだったんですね。

 それでも、おまわりさんたちはしつこかったわけですが、具体的に男性のどこが「あやしかった」のか、裁判の時には覚えていませんでした。そんな程度なのに、しつこかったのはどういうわけなのでしょうね?

 裁判所は、「(男性から職質の)承諾が得られなかった段階で検査を終え、男性を解放すべきだった」としています。「真意の承諾」がなく、必要性や緊急性も欠いていたことと「プライバシー侵害の高い行為で、相当と認められる限度を逸脱している」ということで、県に3万円の賠償を命令しています。県警も控訴せず、確定しました。

 「勝っても3万円じゃねえ」と思われるかもしれませんが、国家権力に勝ったんですから、すごいことですよ。もちろん警察側は「職質ができないと国民を守れない」というスタンスですから、この判決には納得できていないようです。

 これらはレアなケースですが、現場の裁量でなく、きちんとガイドラインを作らないと、似たようなことはまた起こると思います。あまりにも納得できないときは、動画で記録しておくことをお勧めしますが、勝手にネットとかで流すのは控えたほうがよさそうです。あくまで記録ですね。

 あとは、オリンピック問題が落ち着くまで、他人様に見られると微妙なものは持ち歩かないでおきましょうか。

20年以上前に辞めてもヤクザはヤクザ? 「野田聖子議員の夫が元暴力団員」に元極妻が苦言

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野田聖子衆議院議員の夫が「元暴力団員」認定

 蒸し返すのもアレかなーと思ったのですが、野田聖子衆議院議員のおつれあいが「元暴力団員」だった件について書かせていただきたいと思います。

 「『野田聖子』夫は『元暴力団員』…裁判所が異例の認定」という「週刊新潮」(2021年5月6・13日号/新潮社)のニュースだけが目立っていますが、そもそも野田議員のおつれあいのプロフィールについては、「週刊文春」(文藝春秋)が先に書いていて、「週刊新潮」はそれをマゴビキで記事にしています。そして、2誌そろって野田議員のおつれあいから名誉棄損の損害賠償請求訴訟を起こされていて、文春は一部敗訴。

野田氏夫への名誉毀損認定 文芸春秋に賠償命令」(2021.3.24付・産経新聞) 

 似たような内容なんですが、「見出し」でだいぶ印象が違いますね。とはいえ「元ヤクザ」は事実のようで、2000年3月に解散した会津小鉄会傘下の昌山(まさやま)組に10年ほど在籍、解散前にカタギになっているそうです。てことはカタギになってから21年以上はたっているわけです。自治体の暴排条例だって、「暴力団員」とするのは「辞めてから5年」までですよ。

 もちろん「元ヤクザ」がいいわけないですが、今どきは「更生支援」もプチブームなんで、ことさらに書くのはどうなんでしょうか? まあ、カタギになってからも、交通違反や経営していたアダルトサイトのスパムメールによる通信障害で有線電気通信法違反容疑で逮捕されて50万円の罰金刑を受けてるとか、しょうもない前科はありますね。

 問題になっていたのは、このおつれあいが「野田議員による『金融庁への圧力』に関与しているのではないか」という疑惑でした。野田聖子事務所側は「夫が元暴力団員で、総務相に働き掛けて金融庁に圧力をかけたという記事は、原告の名誉を著しく毀損するもので、真実と異なる」としていましたが、昌山組の元組長が「ウチの組員でした」的なことを証言したことで、裁判所は「元暴力団員認定」をしたわけです。「元暴力団員」以外の部分は、文春は負けてますが、新潮はセーフらしいです。

 この問題は、いろいろ問題があると思います。

 金融庁への圧力疑惑はネタがそろえば書いてもいいかなと思いますが、そもそもここは裁判所が「事実と認められない」としています。文春側は、ちゃんと調べて書いてないということなのではないですか? あくまで私見ですが、「金融庁問題に自信ないから『元ヤクザ』を出してきた」印象しかないです。

 もうひとつ、「元ヤクザ」だって「ヤクザ」ですが、そんなことを言っていたら、政治家とヤクザの関係は昔からありますよね。たとえば安倍晋三元総理だって、政府主催の「桜を見る会」に反社会的勢力を招待したとか、選挙妨害を工藤會に頼んだとか、いろいろあるじゃないですか。

 森喜朗元総理の「暴力団」との関係は、海外メディアでも紹介されているそうですよ。あと、小泉進次郎環境相のひいおじいちゃんは刺青で有名でしたよね。

 文春は、更生支援についても「職親プロジェクト」や「元・半グレ」の汪楠(ワン・ナン)さんなどの記事を載せていますが、結局は「おもしろければいい」のでしょうね。

 現役のヤクザならともかく「昔の話」で、しかも本人ではなくおつれあいの問題なのですから、政治家については政策面を報道されてはいかがでしょうか?

 ちなみに野田議員の「公選法違反」については、擁護記事もありました。

 たいていのヤクザは地元政治家の選挙協力をしてますので、公選法には詳しいのですが、亡きオットも「公選法は難しくて、どこにトラップがあるかわからない」と、よく言っていましたよ。報道でも「細かすぎる選挙違反」をたまに見かけるので、この際、報道機関も見直されるのがいいかもですね。

「古きよきヤクザの時代」の終わり――引退した神戸山口組幹部が語る“いい話”

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

神戸山口組の奥浦清司元顧問の回想

 ワタクシ的には「週刊実話」さん、大スクープですね。神戸山口組の元幹部・奥浦清司元顧問の独占インタビューです。

 奥浦元顧問は、「伝説のヤクザ」といわれたボンノ(「煩悩」が語源だそうです)こと菅谷政雄親分から盃をもらい、「最後の博徒」と呼ばれた波谷守之親分から弟のようにかわいがってもらったそうです。

 元顧問は、1943年の東大阪生まれで、今の若い人は知らない「ギブミー・チョコレート」をリアルに体験された世代。「ヒロポンも新聞紙に包んで売られていた」と(苦笑)。ご両親はなんと学校教師で、いつも叱られていたそうです。お母さまが40代で亡くなられて不良の道を進むことになりますが、不良仲間と狭い部屋で雑魚寝したりと、「いい思い出ばかり」だそうです。

 これは、記者さんの前だからサービスでおっしゃったのかもしれませんが、その時代の話を「いい思い出ばかり」とは、なかなか言えないですよね。誰にも言えないご苦労はあったと思います。あと、19歳からご一緒の奥様は、泊まり込む不良仲間にごはんとたくあんを用意されていたそうで、これも大変だけど、いいお話です。

「波谷親分がいちばん好きやった

 ボンノこと菅谷政雄氏は、友達の中国人や台湾人、朝鮮人たちと「国際ギャング団」を結成していました。「親分」と呼ばれることをいやがり、「ボス」と呼ばせていたそうで、のちに三代目山口組傘下で菅谷組を結成します。

 奥浦元顧問も菅谷組の所属でしたが、「ボス」は1977年に絶縁処分を受けてしまいます。当時菅谷組の舎弟だった波谷組長は、奥浦元顧問に「辛抱するしかない」と言って慰めてくれたそうです。

 「波谷親分が、いちばん好きやった」とインタビューにあって、「ああやっぱりそうなんだ」としみじみしましたね。波谷親分は、一審で死刑を言い渡されていた蒔絵職人さんの裁判を応援したり、「いいお話」が多いんです。

 この裁判の経緯については、『蒔絵職人・霜上則男の冤罪―山中温泉殺人事件』(正延哲士/東京法経学院出版、1985年)という本にもなっています。波谷親分と霜上さんは、たまたま同じ拘置所だっただけなんですが、親分が「死刑を戦っている重み」を知って応援してあげたのだそうです。

 あと、個人的にすごく好きなのは、『続・最後の博徒 波谷守之外伝』(正延哲士/幻冬舎、1984年)にあるホラーなエピソードです。波谷親分は1945年に渡辺組の渡辺長次郎組長の盃をもらうのですが、その渡辺組にいた古田義行さんが賭場を開くために借りたおうちが「出る物件」でした。1937年頃のようです。

 古田さんが体験したかどうかは書かれていないのですが、前に住んでいた店子さんたちは「毎晩不気味な物音がして怖くて住めない」と、みんな出て行ってしまったそうです。困った家主さんが「住んでくれる人にはお家賃はタダで、さらに当時で100円(今なら20万円くらい?)をあげる」という新聞広告を出したんですね。古田さんは暴れん坊で有名だったので、親分も「お前なら大丈夫だろう」となりました。

 そのおうちの庭に入り口をふさがれた土蔵があったので、古田さんがハシゴをかけて2階から中をのぞくと、なんと女物の着物をまとった骸骨さんが2体……。警察の検証のあと、古田さんがお坊さんに頼んで丁寧にお弔いをして、梅と桜の鉢をお供えしたら、お正月にきれいに花をつけたのだそうです。「むしろ縁起がいい」ということで、賭場も繁盛したそうです。

 波谷親分と直接は関係ないんですけど、正延先生の「取材の過程で聞いたちょっといい話」は、いつもおもしろいです。

 菅谷組も波谷組も最後は残念なことになるのですが、菅谷組が解散した1981年、奥浦元顧問は三代目山口組直系・長谷組の舎弟として山口組に復帰、奥浦組を率いて、生まれ育った東大阪を拠点にしていました。

 1989年には渡邉芳則組長が五代目山口組を襲名、奥浦元顧問は直参に昇格して奥浦組は560人を擁する組織になります。

「三代目の田岡(一雄)の親分は、終戦後の日本の治安を守るために組織を成長させてくれた。雲の上の人やった。四代目(竹中正久組長)は、ええ、悪いがハッキリしとって、例えるなら桜の花のような人やった。見事で、きれいで、ほんまに邪念のない…。五代目は、いろんなことがあっても組織を固めてくれた」

 元顧問は「週刊実話」のインタビューに、こう答えています。神戸山口組や山口組の分裂については、「残っとるもんもおるから…」と多くは語られていませんが、「山口組を潰すために出たわけではないから、『神戸』の名前を付けた。山口組が少しでも正しいほうに向かって、悪やなしに善のほうが多いというのを示してくれればええと思う」と、やはり「反社会的勢力」と批判されていることに心を痛めているようです。

 今年78歳になられるそうですが、まだまだお元気そうで何よりです。神戸山口組設立も、古希を過ぎてからのご決断ですから、心労は多かったと思います。これからは愛国的な活動をされるようで、注目ですね。

 ちなみに報道によりますと、警察は「神戸山口組の幹部がどんどん辞めている」とうれしそうですが、六代目山口組だって構成員の人数は減っています。

 それに、どこの組織でも「在籍組員」は減っているけど、「不良」は減っていないでしょう。偽装脱退かもしれませんし、辞めた兄弟分や半グレとコラボして、すでに犯罪に手を染めているかもしれません。

 ちなみに神戸山口組は、人数は減っても「敵は弘道会」とか「終生、六代目山口組に戻ることはない」という方針は変わらないそうですから、山口組の分裂問題が落ち着くのは、まだ先のようです。

ヤクザの数は過去最小、半グレの検挙数は過去最多! 元極妻が考える貧困と居場所

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

ヤクザにはならなくても、半グレを選ぶ若い人は増えている

 2020年に大阪府警が摘発した「半グレ」の数は約350人と、過去最多となったことが報じられました。大阪府警では同年4月から捜査4課に半グレを取り締まる専従班を設置、捜査しているそうです。

 報道によりますと、半グレの検挙数は年々増加しており、以前は「オレオレ詐欺」など特殊詐欺の事件が目立ちましたが、最近はキャバクラなど飲食店の経営にも乗り出し、違法な客引きをしたり泥酔させた客から金品を盗んだりと、いろいろやっているようです。

 でも、この統計は大阪府内のデータなんですよね。そもそも半グレはメンバーが流動的で、警察庁は実態を把握できていないようです。「怒羅権(ドラゴン)」など暴対法で「準暴力団」に指定されている組織もありますが、ヤクザと違って組織加入の要件などは特になく、ましてや盃もありません。メンバーに女性や未成年がいるのも特徴です。オレオレ詐欺の出し子など、仕事(犯罪)がある時だけ声をかけられて参加するんですね。

 そうした中で、大阪は有名なグループも多く、警察は比較的把握しやすかったようです。

 また、半グレは増えていますが、ヤクザの数は減少しています。警察庁『令和2年における組織犯罪の情勢【確定値版】』によりますと、国内の暴力団構成員・準構成員の数は05年以降減少を続けており、構成員の数は令和2年(20年)末現在で2万5900人(前年比2300人減)で、過去最少となっています。

 ヤクザ「には」ならずに、半グレを選ぶ若い人が増えているということです。もちろん若者だけではありません。生活できずに組織を脱退した「元構成員」たちも、半グレと行動を共にすることがあると聞いています。

 半グレが増えている理由は、過剰な暴排のほか、ヤクザ社会の人間関係の厳しさなどが指摘されていますが、やはり背景には差別と貧困があるようです。

 以前も少しご紹介しましたが、「怒羅権」の創設期メンバーの汪楠(ワン・ナン)さんの著書『怒羅権と私 創設期メンバーの怒りと悲しみの半生』(彩図社、2021年)には、「怒羅権」という半グレ組織の成立の過程とともに、汪さんが経験したイジメや貧困などが詳細につづられています。 

 中国の裕福な家庭で生まれ育った汪さんは、中国人のお父さんが中国残留孤児1世の日本人女性と再婚したことで日本にやってきました。

 ところが生活は苦しく、編入した日本の中学校では壮絶なイジメを受け、中国人の仲間と自衛組織を結成します。この自衛組織が「怒羅権」として暴走族となり、犯罪組織になるのに時間はかからず、最強の半グレ集団として恐れられるようになります。

 日本のヤクザが半グレの若いメンバーを求めていたことから、お互いに協力関係を持つようになり、汪さんも17歳で大手組織に所属していたそうです。事務所に寝泊まりして掃除などもする「部屋住み」になるんですが、その理由が「昭和の不良少年」と同じで、驚くと同時に「やっぱりなあ」と思いましたね。

「怒羅権が誕生したときに暴走族になりたかったわけではないように、ヤクザになりたいわけではありませんでした。しかし、組事務所には温かい食事があり、ベッドがあって、組員には『寝るところがなければ遊びに来い』と誘われます。当時、盗みをして得た金でサウナに泊まることが唯一の幸せだったような私ですから、布団の上で眠れるというのは幸福で、出入りするうちに仕事が与えられるようになり、部屋住みという形になったのです」

 汪さんはこう明かしています。事務所には、当時流行していたコンピューター・ゲーム機の「ファミコン」(ファミリーコンピュータ)もあったそうです。

 つまり組事務所とは、「普通のおうちにあるもの」がない子たち、家にいられない子たちの「居場所」でもあるのです。

 田岡一雄組長率いる三代目山口組の事務所も、戦後の混乱期にもかかわらず食事を出すことで知られていて、組員でもないのにおなかをすかせた若者が絶えず来ていたそうです。姐さんは大変ですけどね。

 戦後の混乱期も、1972年生まれの汪さんの子ども時代も、さらには今も、組事務所は「居場所」です。組や組事務所がなければ、半グレに流れるだけです。

 一方で、汪さんが更生できたのは、育ちがいいからだとも思います。テレビでインタビューを拝見しましたが、日本語もほぼ完璧です。

 本当の「恵まれない家庭環境」で育ったら、汪さんのようにはいきません。「悪い子」のまま大人になって、犯罪にも手を染めます。元極妻として、そんな人をたくさん見てきました。過剰な暴排によってヤクザはこれからも減り続け、抗争事件も減るでしょうが、半グレのグループに参加する居場所のない若者は増えるでしょう。そして、お年寄りを狙った詐欺や強盗は増えていくのです。

“山口組一強”はさらに進む? 元極妻が考える「ヤクザの勢力図2021」

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

伊勢崎の大乱闘の手打ちは済んでいる

 前回お伝えした3月4日未明の「群馬・伊勢崎の大乱闘」は、3月25日現在も捜査が続いているようです。16日には稲川会系組員が六代目山口組系組長らに発砲した件で、稲川会の関係事務所が家宅捜索を受けたことも報じられています。

 一方で、当事者間の手打ち(和解)は済んでいるそうです。稲川会は六代目山口組に「お見舞い」に行き、トラブル再発防止を約束したと聞いています。

 13日には、稲川会総本部名で「理由の如何を問わず火器、銃器等の所持使用を一切認めず些細な事故トラブルなど絶対に無き様侠道に邁進する事」など組員のトラブルを禁止する「御告知」を関係者に配布したことが報道されました

 まあ読者の皆様におかれましては、「銃器はどこで使ってもダメなのでは……」と思われるでしょうけどね。この乱闘は、もとはといえば地元の稲川会と住吉会双方の傘下関係者のトラブルだったようです。稲川会と住吉会は関東の組織で、いろいろと地域的にシノギもかぶっていますからね。

 ところが、そこに今回は六代目山口組・司忍組長の出身母体である弘道会系の組長が仲介に入ってハジかれた(銃で撃たれた)というのですから、大問題になったわけです。

 そして、3月4日は、もうひとつニュースがありました。2019年1月に神奈川・川崎で稲川会系組長とその関係者がヒットマンに銃撃されて重傷を負う事件があったのですが、その犯人逮捕が報じられたのです。 

 この事件は、とっさに組長を守ろうと姐さんが犯人にタックルしているところが動画で配信されて話題になりました。しかも、ご自分は撃たれながらヒットマンを追いかけてるんですよ。そして組長はご無事だったとのこと。まさに「極妻の鑑」ですよ。私には絶対に無理です。※見にくいですが、最後に逃げるヒットマンを追いかけている人です。この時はすでに肩を撃たれていたそうです。

 この事件は、いろいろ微妙でご紹介しないほうがいいかなと思っていたのですが、2年もたって犯人グループが逮捕されて、しかもそのうちの1人は住吉会でも武闘派で知られる幸平一家系の組長ですから、またもや「業界激震」となったので、少し考えてみたいと思いました。

 報道では5人が逮捕されていますが、幸平一家系の組長以外の4人は不起訴、釈放されているようで、これも謎ですね。ヒットマンは組長ではないでしょうし。同じ日に報道されているのでわかりにくいのですが、オットの元兄弟分によりますと、「伊勢崎(『稲川会vs山口組』)は手打ちが済んでるけど、川崎の件(『住吉会vs稲川会』)は名門の幸平一家の関係者がパクられ(逮捕され)たから、関係者は大騒ぎだった」だそうです。

 この原稿を書いている3月25日現在、この幸平一家系の組長の破門状がネット上に出回り、手打ちが済んだというウワサも出ています。関係者の処分(とお金)で手打ちというのは王道ですね。

 住吉会と稲川会は、それこそ葬儀場を銃撃した四ツ木斎場事件(2001年)をはじめ、たびたび歴史的な対立を繰り返してきました。そして、警察と山口組は、今の対立を喜んでいるという説もあります。山口組は、分裂による内部(分裂したので厳密には「内部」ではないですが)抗争的なところで「特定抗争指定暴力団」の指定を受けていますから、住吉会と稲川会が指定されれば主要団体すべて指定となります。

 警察的には「お手柄」ですし、以前から指定を受けている山口組としては、ほかの二大組織も指定されて行動を制限されたほうがいいですからね。そこで、警察は主に予算獲得、山口組は他団体の勢力を削ぐことを目的に、「住吉vs稲川」の対立をもっと煽りたい……というんですね。それはどうですかね。

 報道には、「『「特定抗争』指定で六代目山口組が科された事務所の使用禁止や5人以上の集会禁止などの不利益が早急に解消されると見込めない以上、他団体も同じような目に遭うことが望ましい。六代目山口組だけが不利益をこうむれば後れを取る」ともありましたが、どうでしょうか。このまま山口組が勢力図を塗り替えていくのでしょうか。

未明の伊勢崎で山口組と稲川会が大乱闘! 元極妻が語る、ヤクザが抗争を起こすワケ

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

稲川会系組織が、六代目山口組二次団体・弘道会の傘下組織を襲撃

 3月4日未明、群馬・伊勢崎で日本ではちょっと珍しい大乱闘がありました。Twitterなどで動画も拡散されていますね。

 報道などによると、加害者は地元の稲川会系組織、被害者は六代目山口組二次団体・弘道会の傘下組織の組長と息子さん、そして組員さんの3人だそうで、すでに稲川会幹部が弘道会へ「お見舞い」に行ったとのうわさです。

 東京スポーツは、乱闘の状況を「約20人ほどの集団に対抗勢力と思われる車が突っ込んだ。この車を全員でボコボコに。さらに一人を取り囲んで金属バットのようなもので殴り、蹴り飛ばした。ここに対抗勢力のものとみられる別の車が“加勢”に登場。取り囲んでいた男たちに突っ込んだのだ。誰のものかは分からないが、銃撃したような音まで聞こえる。さらにもう一台、別の車が現れ、何人も跳ね飛ばした」と伝えていますが、すごいですね。

 被害者はいずれも重傷ですが、命に別状はないそうです。とはいえ、山口組の中でも有力組織の弘道会傘下ですから、「関係者激震」といったところでしょうか。

 現場は、JR伊勢崎駅から南に約800mの繁華街で、キャバクラや居酒屋が並んでいます。一説には、以前からキャバ嬢の引き抜きをめぐってトラブルなどもあったようですが、真相はまだわかりません。

 東スポは、「捜査関係者」の話として、「組関係者はほかの組関係者と飲んでいたようだ。その後、以前から険悪な関係だった半グレ勢力ともめごとになったようだ」と捜査関係者の声を紹介していました。

 日刊ゲンダイでは、溝口敦さんが「本来なら(稲川会と山口組の)両組織がぶつかるなどあってはならないことだが、今回は稲川会側が弘道会側に手ひどく攻撃を加えたようだ。早晩、両組織の首脳部は話し合い、手打ちに持ち込むとみられている」と分析しています。このニュースが配信される頃は、もう実行犯は逮捕されて、一件落着していると思いますけどね。

 連載100回を記念して、「元極妻だけど何か質問ある?」みたいなのをやってみようかと編集者さんに思いつきでお話ししたら、採用されてしまいました。

 冷静に考えると、わりと大それたことをしていますね。1通も来なかったらヤラセで応募しようとかわりと本気で考えていたところ、すでにご質問をいくつかいただいているようで、本当にありがとうございます。

 今回は先着順で、2つお答えさせていただきます。

――NHKの朝ドラ『おちょやん』で主人公・千代の弟ヨシヲは、家出して孤独だったところ、神戸のヤクザの親分らしき人に拾われて面倒を見てもらっていたようで、その組織の命令で千代の劇団を潰そうとしに来たという描写がありました。結局潰されなかったんですが、潰すとヤクザの利益になるんですか? ヤクザと興行が昔から関係が深いのはなぜですか?

 おお、そんな話があるんですね、『おちょやん』。見てないからアレなんですけど、「潰しに来た」のは、自分の意思でなく誰かに頼まれたからですね。頼んだ人に「利益」があったのでしょう。

 おそらくですが、千代さんのライバルの劇団の関係者が頼んだのではないでしょうか。多分モデルは吉本興業ですね。Wikipediaによりますと、『おちょやん』のモデルは松竹新喜劇の方ですが、松竹芸能と吉本興業の歴史的な対立は、ヤクザの間ではよく知られた話です。これもWikipediaに出ています。

 ヤクザは自分から暴れることも少なくはないですが、誰かに頼まれて暴れることのほうが多いですよ。もちろん、お金になるからです。

 次に、ヤクザと興行の関係ですが、これはかつてのヤクザは「興行中止のリスクを負える人」だったからだと思います。昔は、通信とか交通機関とか損害保険とかもろもろのインフラが整っていなかったので、興行の「雨天中止」はシャレになりませんでした。今ならコンサート中止などには専門の保険がありますが、昔はそんなものないですからね。ヤクザはそういうときのリスクも負っていたんです。

 たとえば神社やお寺の境内で相撲の興行を打つときに、雨や力士のケガで「中止するかどうか」を考えなきゃいけない場合、「コワい人」が決めないと、モメる確率が高いです。テキヤさんはイベント会場で売る物も準備してますし、できるだけ苦情や損害が出ないように仕切るのが「親分の器量」というわけです。

 松竹と吉本のような「引き抜き問題」なども優しい人じゃダメで、コワい人同士で話し合うんです。あと、そもそもいわゆる「芸人さん」はサラリーマンじゃないので、職場のルールを守れないとか時間にルーズだとかいろいろあるようです。そこをビシっと叱れるコワい人の存在は不可欠なのでしょう。

――映画『すばらしき世界』で、キムラ緑子演じる姐さんが、「やめたいと思っていないヤクザはいない」という内容のセリフを言っていました。これは現実のヤクザにとっても本当なのでしょうか? いまだに抗争が起きているのを見ると、結局、ヤクザはドンパチ好きなだけなんじゃないかと思います。

 話題の映画ですよね。見たいんですが、ちょっとバタバタしておりまして……。ヤクザはたしかに粗暴ですが、ヤクザになるのは、ほかに居場所がないからです。ほかに居場所があれば、ヤクザにはなりません。

「誰がなりたくてヤクザになるだろうか」

 ヤクザの親分の息子として育った作家の宮崎学さんは、2011年に暴力団排除条例が全国の都道府県で出そろった時に出版されたブックレット『あえて暴力団排除に反対する』(同時代社)で、こう問いかけられています。生まれた時から実家が組事務所を兼ねていて、いろんなヤクザを見てこられたそうです。

 性格が粗暴だから居場所がないのか、居場所がないから粗暴になるのか、これは鶏と卵の問題みたいなもので、微妙なところではあります。というか誰にでもいろんな「衝動」はあるんですが、普通は小さい頃から家庭や学校で少しずつ「ガマンすること」を覚えていきますよね。

 ヤクザになる人というのは、たいてい貧困など成育環境に問題があります。そういう環境では「ガマン強いよい子」として育つ可能性は限りなく低く、暴力衝動を抑えられないまま大人になるんです。でも、本当は本人も寂しいんだと思います。

「ヤクザの裁判」は死刑もアリ! 重罰化がますます進む時代を元極妻が考える

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

連載が100回に

 おかげさまをもちまして、この連載が100回を迎えました。読者の皆様と、私のような立場の者に書かせてくださる編集部の皆様に、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。

 ヤクザはもう絶滅危惧……といわれながら、何かとお騒がせ案件も続いているので、元極妻として思うことはたくさんあります。今しばらくお付き合いいただけますと幸甚です。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

殺人事件でスピード判決

 さて、記念すべき第100回は、私のテーマでもある、ヤクザの裁判です。以前ちらっと書かせていただいた兵庫・尼崎での神戸山口組幹部の射殺事件の実行犯の初公判は、2月8日に即日結審、19日が判決と、スピード裁判でしたね。

 実行犯が起訴内容を認めているということで早かったようですが、まあちょっと早すぎる気もしましたね。しかも公判では「俠(おとこ)として死にたかった」と言ってたのに、即日控訴しましたから、カタギさん的には「アレレ?」かもしれません。

 でも、これは全然アリだと思います。未決勾留のほうがラクだから。未決囚なら、差し入れ屋からお菓子や缶詰などを差し入れてもらったり、自分で買ったりして食べられるし、私服だし、原則として手紙と面会も毎日1回ずつOKです。

 刑が確定してしまうと、自由がまったくなくなります。刑務所から支給される物しか食べられなくなり、手紙や面会の回数も制限されます。男性は丸刈り&舎房着(囚人服)ですしね。特に、獄中(なか)では食べることはすごく重要です。シャバでは甘い物を食べない人でも、「自由に食べられない」ってなると、食べたくなるようです。

 今回の事件は、一審が短かったので、二審、最高裁も長くはかからないのでしょうが、未決囚として過ごす時間が少しでも長いといいですね。

 この事件については、先に書いた通り実行犯の「偽装破門説」があるほか、高価な自動小銃の入手法をめぐって疑問も報道されています。偽装じゃないとしても、破門された組員が「個人的に」数百万円の自動小銃を買えるのか、ということですね。

 銃の入手法や組織的関与については、一審公判廷でも検察側が追及していましたが、裁判官は認定しませんでした。被告人が「言えない」と言っている以上、確認は難しいからです。当たり前ですが、裁判所は、起訴された内容を審理します。この場合は「人殺し」の裁判で、そこは弁護側とも争いがないので、銃の入手法の解明とか細かいところはやりたくないのでしょう。

「ヤクザなら推認でも死刑」

 21世紀に入ってしばらくは、尼崎の事件のような裁判が大半でした。いいか悪いかは別にして、実行犯が罪を認めれば、裁判長も「ほんとは兄貴分がやったんじゃないの?」「親分の命令じゃないの?」とかは聞かずに審理していたんです。刑期も短かったですしね。ところが、最近は「親分の指示」を強引に結びつけることが増えている気がします。もちろん明確な殺人教唆は別ですが、直接的な証拠がなくても、組織的な犯行と結論づけたいようです。

 たとえば、今年1月の工藤會のトップの裁判ですね。構成員による殺人事件の関与を裏づける直接証拠はなかったのに、「推認」だけで総裁に対して死刑が求刑されたのです。もともと警察と検察は、最初から死刑を求刑する気満々でしたから、たくさんの間接証拠を出して「ヤクザだからやってるに決まってる」と「推認」したんですね。

 さすがに死刑は初めてでしたが、この裁判をきっかけに「推認でも死刑」と「より重罰化」が普通になっていくかもしれません。日本の刑事裁判は、「日本国憲法の下、被告人の人権保障を全うしつつ、適正かつ迅速な裁判を実現するための様々な規定が設けられて」いるそうですが、「ホンマかいな?」と思う裁判のほうが多いなとは思っておりました。これからも増えるかもしれませんね。