米ABC、英BBCもヤクザが好き! 現役からうどん店主人、司法書士まで、大人気の理由を元極妻が考察

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

海外のメディアもヤクザが好き

 未見ですが、8月に公開されたヤクザ映画『孤狼の血LEVEL2』が、11月に入ってもまだロングランヒット中だそうです。

 リアル暴力団は排除されても、ヤクザ映画は人気があるんですね。悲しいようなうれしいようなフクザツな気持ちです。ちなみに前作『孤狼の血』は拝見しましたが、一緒に行った亡きオットの兄弟分たちは、帰りに寄った喫茶店で「姐さん、あの映画、よう取材してますね」「取り調べは、昭和の大阪府警とかそのまんまですわ」と大声で話していて、微苦笑していました。

 今度は時間を作って一人で行こうと思います。

 さて、本題。映画もですが、海外のメディアもヤクザが好きなのはご存じです? 山口組は、平成の初めくらいまでは海外のメディアの取材にも応じることがあったようです。阪神・淡路大震災の時のボランティアについてニューヨーク・タイムズが取材した記事がまだネットにありました。

 最近は、国内外関係なく出ていませんね。2011年秋に、産経新聞に司忍組長が登場されたくらいです。まあ大所帯は意見の統一も難しくて、トラブルの元になるかもしれませんしね。

 でも、山口組以外は海外メディアの取材をわりと受けていて、海外メディアも日本のYAKUZAには興味津々のようです。特にアメリカのABCイギリスのBBCは五代目工藤會・野村悟総裁の死刑判決はソッコー報道していて、

 ドイツやフランスのテレビ局も、たびたびヤクザを紹介しています。よくできているなと思ったのは、カタールの衛星テレビ局アル・ジャジーラによる工藤會の特集です。タイトルが「中国~」になっているのが謎ですが、おもしろいです。日本語字幕付きはこちら

 あと、極妻に取材したBBCの番組もありました(笑)。

 ほんと極妻にもいろんな人がいます。まさに十人十色ですが、気が強いのは同じだと思います。皆さんお好きなんですねえ、という印象しかありませんが、好きなら排除しないでほしいんですけど……ダメ?

 現役はもちろんですが、元ヤクザが報道されることも多いです。

 有名なのは、元工藤會関係者で「よもぎうどん」のお店を開いている中本隆さんですね。『ヤクザの幹部をやめて、うどん店はじめました。 極道歴30年中本サンのカタギ修行奮闘記』(新潮社、2018年)という長いタイトルの本も出ています。なんでこんなに長いタイトルなのかなとか、なんで中本「サン」なのかなとか、いろんな疑問はなきにしもあらずですが、先日はワシントン・ポストでも紹介されていました。

 この記事では、もうおひとり、元山口組で司法書士になった甲村柳市さんが紹介されています。こちらもすごい方です。でもなぜか写真は「中本サン」ばっかりであらら?と思っていたら、ビジネスジャーナルには、なかなかオトコマエなお写真が出ていました。

 中卒、ヤクザ、懲役からの超難関突破です。人生、いつでも再チャレンジはできるというお手本ですね。

 ビジネスジャーナルのインタビューには、「できないのは周囲のせいではなく、自分のせい」とあってドキッとしました。「この私ができたんだから、可能性は誰にでもありますよ。一番悪いのは、最初から『ムリ』と決めつけたり、失敗を恐れたりして何もしないこと」だそうです。

「『合格』とか目指したものが手に入らなくても、その努力は無駄になりません。きっと何かを手に入れられます。若くなくても、司法書士試験ではなくても、好きなことに勇気と希望を持って挑戦してみてはどうですか?」

 なるほどそうですね。お金をかけずにできることもあるでしょうし、私も何か挑戦したくなってきました。

死刑は犯罪抑止にはならない? 元極妻が考える「極刑」の重み

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

死刑になりたくて無差別殺人

 最近、電車の中や駅構内での無差別襲撃が目立ちますね。被害者や関係者の皆様にお見舞い申し上げます。

 10月31日には、青年が電車の中でライターのオイルをまいて火をつけ、17人に切りつけるという事件がありました。現行犯逮捕された青年は、取り調べで「死刑になりたかった」と答えているそうです。

 死刑や無期懲役の刑を受けたくて無差別殺人を起こすというのは、昔はあまり聞きませんでしたね。たとえば2001年に8人の小学生を殺した宅間守(2004年に死刑執行)は、精神鑑定で「事件の前に自殺に失敗して、誰かを殺そうと思ったら元気が出た」と話したそうで、「死刑になりたくて」起こした事件ではないことがわかります。「早くオレを死刑にしろ」とかは言っていたようですが、なんだか強がりにしか聞こえませんでしたしね。

 「人生がツラいけど自殺できないから誰かを殺す」というのは、元極妻はサッパリ共感できませんが、思えばヤクザになるのも、たいていは人生がツラいからですけどね。まあ人を殺す時は、ヤクザは常に損得ずくですし、いわゆる過激派やカルト教団は自分なりの「正義」を掲げています。最近は、SNSなどから、こうした無差別殺人犯に共感する人たちが結構いる印象を受けます。

 死刑は、「悪いことをしたら死刑になる」という抑止力の意味もありますが、「死刑になりたい」という人には意味がないですね。また同じような事件は起こるのでしょうか?

 死刑については、もっといろんな議論があっていいと思います。特に直接証拠のない死刑は、問題が多いですしね? なんて考えていたら、ちょっとかっこいい記事を見つけました。

 産経新聞の東京社会部長・酒井孝太郎さんが五代目工藤會・野村悟総裁の死刑判決について「暴力団の水面下でのマフィア化」を懸念されていたのです。

 記事には、死刑を含む厳罰化で「暴力団」の存在が見えにくくなる懸念とともに、「警察庁によると、平成27年から令和元年にかけて、支援を 受けて暴力団を離脱したのは3090人で、このうち各都道府県の『社会復帰対策協議会』を通じて就職できたのは149人。わずか5%弱だ。残りはどうしているのか。定職に就いたとしても順調に仕事を続けているのか。残念ながらデータはない」という指摘がありました。

 ほんとそれです。排除されて路頭に迷ったヤクザたちが、さらに悪いことをするのは想像がつきますよ。

 「暴力団の動向だけを追っていればよかった時代はとうに過ぎ去り、われわれは不穏の中にいる」というシメのお言葉にはしびれました。半グレは「暴力団」と違って明確な親分子分関係はなく、少年や女の子もいるけど常に決まったメンバーがいるわけではないので、実態が把握しにくいのです。

 これに対して、ヤクザは悪いですが、堂々とカミングアウトしていましたし、地元の警察とは、まあまあいい関係でしたからね。そのほうが便利だったと思いますよ。

 それにしても産経新聞は保守のイメージしかないですが、実際はそうでもないのですね。少し前には、同じグループの夕刊フジが1面トップに「マスク2枚 ふざけるな!! 今こそ減税」と大きく出して安倍政権を批判していて驚きました。ツイッターでは「日刊ゲンダイと区別がつかない」ってなっていました。

 話がそれてしまいましたが、ワルモノを排除したところで、いい方向には行かないと思いますよ――という、いつもながらの結論です。

社長がヤクザと食事したら会社が倒産! 元極妻が考える「過剰な暴力団排除」の影響

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

「野田聖子の夫は元暴力団員」は真実か

 自民党の総裁選が終わって、あっという間に総選挙ですね。当初は「10月26日公示・11月7日投開票」といわれていましたが、1週間早まって「10月19日公示・10月31日投開票」となり、関係者は大慌てのようです。

 暴力団排除条例(暴排条例)が施行されるまでは、ヤクザが選挙を手伝うのは普通でしたから、今もご縁をいただいているんですよ。

 総選挙もいろいろ気になるところですが、総裁選では、やはり野田聖子さんのお連れ合いの件が気になりましたね。「週刊新潮」(新潮社)のウェブ版「デイリー新潮」は、「上半期ベスト15」の記事として、「野田聖子の夫は『元暴力団員』」と延々と報じています。これって、どなたかの「お願い」か「忖度」か、あるいは両方っぽいですが、どうでしょうか?

 この報道に対して、野田さんはブログで否定されていますし、お連れ合いが提訴した名誉棄損訴訟で「週刊文春」(文藝春秋)は敗訴しています。

 報道には、「『夫は元暴力団員』とした部分は『真実と信じる相当な理由がある』とし、名誉毀損は成立しないとした」とありますが、野田さんのブログによると「暴力団員であるという事実認定」まではされていないようです。

 「週刊新潮」の報道については、取材に応じた「元暴力団組長」も偽証罪で刑事告発されているそうです。裁判で「自分の子分だった」と証言した元・組長ですね。警察もすでに動いているそうで、こちらも注目です。

 この「元・組長氏」は、証拠(一緒に写っている写真とか)を提出されたのでしょうか? 「アレはワシの子分やった」と言っただけで、裁判所が「子分認定」するとは思いたくないですね。それだと、なんでもアリになってしまいます。以前も書かせていただいていますが、そもそも「元暴力団員」であったとしても20年も前の話ですしね。

 大切なのは、更生されている方や更生しようとされている方を見守ることであって、叩くことではないと思います。

 そんなことを考えていたら、アメリカ・カリフォルニア州の矯正更生局と州立大学が提携して刑務所内での大学教育プログラムを進めているというニュースを見つけました。今年が1期生で25人が卒業だそうです。

 大学を出ればいいというものでもないですが、何かで結果を出せると自信を持てます。アメリカは黒人差別とか問題も多い一方で、いい面もありますね。10月9日付の日刊ゲンダイは、「過去にやってしまったことを変えることはできません。私にできることは、これから自分が行うことを変えることだけなんです」という卒業生の言葉を紹介しています。

 日本にも自分を変えられるチャンスがもっとあったらいいのですが、過剰な暴力団排除など、残念な事例しかありません。

 たとえば、この夏に倒産した九州の設備工事会社はお気の毒すぎました。

 会社の社長さんが暴力団関係者と密接交際をしていたと福岡県警が公表したことで、メインバンクが口座を凍結、それから2週間で倒産しています。従業員さん76人が路頭に迷い、取引先約200社に対する負債は約30億円だそうです。県警としては、「暴力団員と付き合うからだ」ということなのでしょうが、ちょっと被害が大きすぎますよね。

 また、社長さんは「相手が暴力団関係者とは知らなかったが、警察の取り調べに知っていたと答えてしまった」と釈明しているそうです。もう少しソフトランディングは図れなかったのでしょうか?

 再就職先を探そうにも、「ハンシャ(反社会的勢力)の会社の人」に認定されてしまうとアウトですから、十数社に断られた方もいるそうです。元従業員さんたちが元社長さんに文句を言っても、「泣き声で謝るばかり」だったとか。

 「ヤクザとごはんを食べたっていいじゃないか」とは申しませんが、死屍累々すぎます。これこそ国会で問題にしていただきたいレベルです。排除する前に更生を支援し、更生している元ヤクザの皆さんを温かい目で見守る体制づくりが必要だと思います。

ヤクザの家はガスも止められる時代に! 元極妻が考える、どんどん進む排除と「ライフライン」

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

東京ガスが暴力団の契約を解除できる

 この10月で、全都道府県に暴力団排除条例が整備されて10年を迎えました。以前も書かせていただきましたが、過剰な暴排が奏功してか(?)、2020年のヤクザの数は過去最小、半グレの検挙数は過去最多になっていますね。

 さらに、この10月からは東京ガスなど都市ガスの約款に「反社会勢力の排除条項」が設けられたことが報道されています。

 東京ガスの公式サイトによりますと、約款には、「お客さまおよび当社は、ガス需給契約成立時において、自己または自己の役員が、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業・団体、総会屋等その他これらに準ずる者(略)にも該当しないことを表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを表明し、保証するものとします。違反した場合はガス需給契約を解約することがあります」とあります。

 まあ想定内ではありましたが、やっぱりちょっと怖くなりました。ライフラインを断たれるというのは、すごいことです。それにしても総会屋って、今も190人はいるんですね。

まず「暴力団事務所」が対象に?

 この都市ガスの供給停止については、反社会勢力そのものでなく「同居する家族の人権」に同情するメディアも多いです。

 たとえば「デイリー新潮」は、「奥さんや子供までにも不利益をかぶせてしまうのは、ちょっと可哀そうだなと同情してしまいます」とか「果たしてガスの供給が反社会的勢力への利益供与や活動の助長と言えるのか、唐突感が拭えず、さすがに驚きましたね」などと、警察幹部やOBのコメントを紹介しています。

 ちなみに、上の記事には「反社認定されれば、生命保険や車の保険が契約できない」とありますが、事故の被害者救済策として暴力団員であっても自賠責(自動車損害賠償責任)保険への加入は義務づけられています。念のため。

 あと、細かいところですが、警察官時代に配られた「暴力団組織図」を天下り先の民間企業で使うのは問題ないのでしょうかね。ちょっと気になりました。

 話がそれましたが、いきなりガスが止められることは、まずないと思います。多くの方が指摘されている通り、いきなり個人宅のガスが止められることはなく、事務所の規制からでしょうね。そもそも枝(末端)の組員の自宅までチェックするのは、数が多すぎてムリですし。

 そして、やっぱり「排除第1号」は山口組の本部事務所の可能性が高いですが、「特定抗争指定暴力団」の指定により、同事務所はすでに使えなくなっていますから、意味あるのかなとも思います。むしろ指定を受けていない組織の事務所は、若い衆が住んでいる場合もあるので、けっこう大変だと思います。

 今から10年前の11年といえば、六代目山口組・司忍組長が産経新聞の取材に応じて話題になった年でもあります。山口組のトップのインタビューは、まさに「何十年ぶり」のレベルでした。

 現在は公開されていないようですが、このインタビューに関する報道はまだ読めます。六代目の一人称が「俺」なのは、意外な気がしたのを思い出しました。なんかカジュアルですよね。

 「山口組を解散する考えはないか?」という記者さんのどストレートな質問に、六代目は「今、解散すれば、うんと治安は悪くなるだろう」と、きっぱり。「若い者は路頭に迷い、結局は他の組に身を寄せるか、ギャングになるしかない」と分析しています。

 過剰な暴力団排除で生活できなくなった若い衆たちは、半グレと組んでいるようですし、分析通りになってきていますよね。一方で、「俺にできることは、これまで以上の任侠道に邁進する組織にすることだ」と話したことは、ネット上などで「そうなっていない」という指摘も目立ちました。六代目の出身母体である弘道会は、けっこう事件を起こしていますしね。

 でも、六代目が「オレオレ詐欺やクスリ(違法薬物)をやめろ」と言えば、やめる子分さんはいるはずなんですよ。やめられないのは、ほかにシノギがないから。そもそもやめたところで、ほとんどの暴排条例は「『暴力団』をやめてから5年」は「みなし暴力団員」としてますしね。この5年間は、どうすればいいんでしょうか?

 それに、「更生」の受け皿も、報道ではたくさんあるように見えますけど、実はそんなにないし、あっても建設業とか肉体労働がメインですよね。ヤクザだって肉体労働が向いている人ばかりではないですし、年齢も限られます。

 ガスの供給停止だけではなく、これからもさらにヤクザは排除されていくでしょう。「ヤクザは悪いから排除していい」という気持ちはわかりますが、排除された人たちは、どこへ行くと思われますか?

3つに分裂した「山口組」が再統一!? 元極妻が注目する、神戸山口組と絆會の動き

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

五代目山健組が六代目山口組に合流

 お彼岸の前のニュースには驚きましたね。山口組(六代目山口組)から分裂した神戸山口組の中核組織である五代目山健組が六代目山口組に合流するというのです。

 報道などによると、9月16日に五代目山健組幹部らが会合を開いて復帰の方針が決められ、22日には六代目山口組の高山清司若頭に面会して傘下組織になることが正式に承認されたようです。 

 復帰する人数は不明のようですが、かなりの数であることは間違いありません。「神戸山口組」の存続に直結するお話です。復帰の背景には、山口組の看板で生きていくために「六代目山口組」に戻ろうという思いがあったようですが、神戸山口組への会費(警察用語の「上納金」)の不満もあったことを報じるメディアもありますね。

 すごい急展開ですが、2015年の分裂直後から「いずれは再統合される」といわれてはいましたし、この7月から復帰の「うわさ」は聞こえていました。

 六代目山口組から四代目山健組(当時)を中心にした直参13団体・傘下組員約3,000人が離脱して神戸山口組を旗揚げしたのは、2015年8月27日のことです。この年は、山口組の創設100周年の年でもありました。

 13団体が離脱した六代目山口組の構成員数は約7,000人で、当初は大抗争も懸念されましたが、街なかの銃撃戦のような事件はないまま6年を迎えました。以前から、六代目山口組側は統一に向けて調整を続けていたことが伝えられていて、今年の8月26日には、六代目山口組と五代目山健組の幹部が会合を持ったことも報道されています。

 とはいえ、五代目山健組のトップ・中田浩司組長は、六代目山口組の傘下組員に対する銃撃の実行犯として逮捕されて収監中で、公判はこれからです。

 また、五代目山健組の一部の関係者は、20年7月に神戸山口組を離脱していて、今回復帰したのはこの「離脱組」のほうです。「五代目山健組」が2つあることも事態をフクザツにしていますね。

 神戸山口組に残った「残留組」で、現在も山健組若頭を務める與(あたえ)組・與則和組長が二度も襲撃されたことも記憶に新しいです。一度目は19年4月で、この事件では六代目山口組傘下組員が自首して有罪判決を受けていますが、今年の8月の事件は実行犯もわかっていません。

 以前は、これらのことが「再統合」のネックになっているという指摘もあったんです。それが、いきなりの展開ですから、何があったんでしょうかね? また、獄中の中田組長は接見禁止が続いていて、意思疎通が難しいともいわれていますしね。

 スケジュール的に予測困難だったとはいえ、離脱者の復帰は最初から既定路線でした。となると、これからは神戸山口組に残留している五代目山健組と、2017年春に神戸山口組から離脱していた絆會(任俠団体山口組→任侠山口組)の動きにも注目です。

 残留組の意向については、いろいろうわさも出ていますが、神戸山口組の存続がかかっていますから、簡単ではないでしょうね。

 絆會は、結成当初はあくまでも「山口組」として正統派の任俠団体を目指していましたが、20年1月に「絆會」に改称して「山口組」の名称を外しています。絆會については、最近は目立った動きは報じられていませんでしたが、この9月に関連事務所の解体が始まることがニュースになっています。

 やっぱり三代目山口組・田岡一雄組長が目指した「ヤクザが博奕でなく正業を持つこと」が禁じられている現在、生活も大変ですからね。子どもの進学などを理由に奥様から離婚を言い渡される若い衆も多いし、ヤクザ封じ込め作戦は奏功しているということになります。

 私も知り合いの若い衆から脱退の相談を受けたりもしていますが、相談してくるのは脱退後の生活にある程度のめどが立っている青年たちで、私には背中を押してほしいだけです。やめても生活できない青年(と中高年)たちは、組織にいるしかありません。

 これから合法的にヤクザ組織がお取りつぶしになったとしても、組織しか居場所のない彼らはどこへ行くのでしょうか? すでに報じられているように、半グレと組んだり、あるいは半グレにこき使われたりして「より悪い存在」になっていきます。そうなると、正業はムリなんで、オレオレ詐欺や強盗の被害者が増えるし、覚醒剤などの違法薬物をカタギさんに売ってシノギにする例も増えることになりますが、それでも「暴力団員のいない社会」がいいのでしょうか?

証拠がなくてもヤクザが「死刑」になる理由――元極妻が考える、工藤會トップの「推認で死刑」判決の波紋

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

ヤクザにも使用者責任?

 前回も少し書かせていただきましたが、北九州を拠点にしている五代目工藤會のトップである野村悟総裁に対する死刑判決は、ほかの組織もざわつく事態となっています。 

 今までは、事件が起こるとまず実行犯が逮捕され、供述などからその親分が逮捕される「こともある」的な流れがほとんどでした。そもそもトップが枝(傘下組織)の若い衆の顔と名前など覚えているわけもなく、明確に指示しているかどうかを立証するのは難しいので、そういう流れだったのだと思います。

 一方で、トップに民事的な責任を問うケースは、前からあります。いわゆる「使用者責任」ですね。ヤクザ組織は会社じゃないのに、カタギさんの会社の 「使用者」の概念を持ってきたところで、手段を選ばない感じが伝わってきます。

 2004年には最高裁が山口組のトップである五代目山口組・渡邉芳則組長の使用者責任を認定、「国内最大の暴力団トップに傘下団体組員の使用者責任を認めた初の判断」と報道されました。これが心労になって五代目は引退されたのではないかとまでいわれています。

 この裁判では、抗争相手と間違われて射殺された京都府警巡査部長の遺族が渡邉組長と実行犯に損害賠償を請求、一審大阪地裁はトップの責任は認定しませんでしたが、二審大阪高裁と最高裁は認定しました。

 今回の工藤會の野村総裁の裁判は、民事ではなく刑事裁判での認定です。若い衆に犯行を指示したとして、総裁に死刑、田上文雄会長に無期懲役の判決を言い渡しました。指示したことを示す直接証拠はなく、総裁や会長の組織内の存在感から「事件への関与を強く推認できる」という判断ですから、そりゃ、ほかの組織もざわつきますよね。

 この「推認で死刑判決」は、識者の間でも判断が分かれるようですが、問題視すれば「暴力団をかばっている」と言われてしまうので、なかなか指摘しづらいのだと思います。

 こうした緊張感の下で出された山口組の9月1日付の通達が、ネットでも話題になっています。通達は、「六代目山口組総本部」名で、傘下組織の構成員に口頭で「公共の場で銃器を使わないように」指示しているそうです。

 朝日新聞は、8月24日の工藤會判決を受けて「最高幹部の刑事責任を認める判決を福岡地裁が言い渡したことを受けた対応とみられる」としています。若い衆が事件を起こした時に、「組織としては銃器の使用を禁じていたのに、若い衆が勝手にやった」と言うためのアリバイ作りということでしょう。

 ちなみにオレオレ詐欺(特殊詐欺)については、山口組に限らず各組織が禁止する通達を以前から出しています。

 この「公の場での銃器使用禁止」について、ネットには「公の場じゃなくても、銃を持ってちゃダメだろう」「単なるアリバイ作り」などと批判の声が上がっていますね。その通りなのですが、それだけ「推認で死刑」は、ヤクザ組織にとって深刻な問題なのだと思います。

 ていうか、そもそもなぜ銃を持っているのかというと、まあいろんなルートがあるわけです。四方を海に囲まれた日本では洋上取引が多いですが、在日米軍から不正に入手されたものも多いです。たとえば19年11月の神戸山口組幹部の射殺事件では、米軍の銃が使用された可能性が指摘されています。

 ぶっちゃけ米兵もお小遣い欲しさに売りさばいているようですが、在庫管理はどうなってるんですかね? 九州・沖縄で流通している手りゅう弾は、ほぼ沖縄の米軍から流れたものと聞いています。とはいえ最近は、ほとんど摘発されていないようですね。あとは部品で持ち込んで組み立てるとかもあります。

 知り合いの刑事さんによると、隠し方は「巧妙としか言いようがない」そうですが、そういう職人さん的な「密輸のプロ」も減っている気がしますね。

 さて、「推認で死刑判決」と「武器使用禁止通達」は、今後の犯罪捜査にどのくらい影響するでしょうか? 私は、それほど影響はないと思います。工藤會の捜査は一罰百戒的に行われただけで、全指定組織に行うつもりはないんじゃないでしょうか。それこそアリバイ作り的に「日本の捜査当局は、ヤクザの取り締まりをちゃんとやっている」アピールだった気がします。

「あんた、生涯後悔するぞ」は素で出たセリフ!? 元極妻が考える、工藤會トップの“死刑判決”

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

工藤會トップに死刑判決

 出ましたね、工藤會最高幹部の判決宮崎学さんが以前に指摘されていたように、求刑通りトップの野村悟総裁に死刑、ナンバー2の田上文雄会長(稼業名)に無期懲役の判決となりました。

 ときどき小雨の降る中で、23席に対して475人が傍聴券を求めて並んだそうです。ちなみに今年1月14日の求刑では、たった6席の一般傍聴席を求めて127人が抽選会場に来ています。いずれにしろ、すごい倍率ですよね。自慢じゃないけど、傍聴券が当たったことは一度もありません。以前は、親分がパクられ(逮捕され)た時など、親分のご家族の分の傍聴券を確保するためによく並びましたが、お役に立てませんでした。

 傍聴券が当たった方は、宝くじも買われるといいかもですよ。

間接証拠だけで「死刑」に

 この裁判については、実行犯と共に組織のトップが逮捕されて、間接証拠だけで関与を「推認」されて「死刑に相当する」と判断されたことが、最も重要な点です。

 経緯については以前も書かせていただいていますが、元漁協組合長射殺(1998年)、元福岡県警の警部銃撃(2012年)、看護師刺傷(13年)、歯科医師刺傷(14年)の4つの事件について、野村総裁と田上会長による指示があったかどうかが争われ、お2人とも一貫して関与を否定し、無罪を主張されてきました。

 元漁協組合長の事件は、以前に判決が確定しているにもかかわらず、再び起訴したことについては、マスコミも「禁じ手」と認めています。たとえば、西日本新聞は「(不起訴とされていた会長の田上被告を再び逮捕、起訴する)『禁じ手』も使った。異例の捜査を重ねた壊滅作戦が、トップの極刑判決を導いた」としています。でも、これは免罪符みたいな感じですよね。「異例の捜査」や「禁じ手」も、「悪い工藤會をやっつけるには必要だった」ということなのでしょう。

 事件については、本当のところは当事者しかわかりませんが、私も直接的な指示はなかったと思いますね。ただ、指示はなくとも、親分が「あいつは許せん」とか言ったのを聞いた若い衆がソンタクして……というのはアリではあります。いわゆる「ヤクザの行動原理」ですが、いずれにしろ証拠はないんですから、死刑判決は厳しすぎますよね。

「あんた、生涯後悔するぞ」

 この判決をめぐっては、亡きオットの元兄弟分情報によると、他の組織もけっこうざわついているようです。「こんな『推認判決』が前例になると、他組織も危機感を持つだろう。証拠がなくても『工藤會のようにしてやるぞ』という警察の脅しということ。まあ効き目はあるか」との分析を聞きました。

 もっとも「工藤會はやりすぎ」という声は、前からありましたね。それを裏づけるように、野村総裁と田上会長が裁判長に対してタンカを切ったこともニュースになりました。閉廷後に野村総裁が「(判決内容が)公正やないね」「あんた、生涯後悔するぞ」とスゴんだそうです。

 これは、言われたほうはビビりますよね。でも、不良として最後まで悪態をつくのは重要です。若い衆に示しがつかない、というよりは素で出たのだと思います。とはいえ、裁判所とマスコミの心証は最悪になったでしょうから、控訴審はさらなる苦戦を強いられるでしょう。弁護団の先生方は、頭を抱えていらっしゃると思います。

オリンピック開催中に発砲事件! 「山健組若頭銃撃」は大抗争への号砲の可能性も

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

オリンピック開催中の発砲に警察は大騒ぎ

 久々に「音」がしましたね。「音」とは銃声、つまり発砲事件のことです。

 8月5日朝、神戸市内の路上で神戸山口組の中核組織である五代目山健組の與(あたえ)則和若頭が銃撃されたのです。場所は若頭の自宅前でした。若頭が自宅を出ようとしたところ、バイクと軽自動車が近づいてきて発砲、すぐに走り去ったそうです。若頭は太ももに軽いけがをした程度でした。

 大事件とまではいいませんが、オリンピック開催中の発砲に警察は大騒ぎのようです。外国の方がたくさん見えているのに「街なかで発砲」ですからね。「ジャパンは危ない国です」と宣伝したようなものです。

 以前も書かせていただいていますが、これまではオリンピックなど大きなイベントが開催されている時は、ヤクザは抗争を控えていました。あの山一抗争でもユニバーシアード(1985年の夏季ユニバーシアード神戸大会、大学生の国際総合競技大会)の期間中は休戦しています。

 そもそも「休戦」の理由は、警備に当たる警察のメンツをつぶしたら面倒なことになるからというのが主な理由ですが、「カタギに迷惑をかけたくない」というのもあります。不良も普通にオリンピックとか大好きなんですよ。

 なので、報道も「この期間にまさかの発砲」的な書き方が多いですが、亡きオットの兄弟分は「『休戦』たって、何か約束でもあったのか? あったら報道されると思うよ」と冷静な分析。たしかに、これまでは山口組の休戦をめぐっては、事前に本部の「通達」が流出するなど、わかりやすかったですね。今回は、そうした通達もなかったようです。

 この事件については、いくつかの「謎」があります。

 まず、若頭の襲撃は2回目でした。2019年4月に六代目山口組の中核組織である弘道会系の組員に刺されて若頭は重傷を負っています。この時の実行犯と運転手役は出頭して殺人未遂などで起訴されており、今年の7月に懲役11年(実行犯)と懲役9年(運転手役)の一審判決を受けたばかりでした。ちなみに2人は控訴しています。

 なぜ若頭ばかり2度も狙われたのでしょうか? しかも、よりによってオリンピックの時期に? 

 また、銃撃してきたバイクのライダーは、炎天下になぜかダウンジャケット(しかも茶色)を着ていたそうです。目撃された市民の方の印象に残ったそうですが、そりゃ残りますよね。まったく意味がわかりません。そもそも暑いし、目撃者が覚えやすい服装はヒットマンとしては微妙すぎますし、これも謎です。

 そしてもうひとつ、最大の謎は、まだ実行犯がわからないことです。前回の若頭襲撃では、すぐに実行犯が出頭していますし、過去の事件でも六代目山口組側の実行犯はだいたい出頭しています。

 今回も六代目山口組関係者がすぐに出頭するとみられていましたが、この原稿を書いている8月12日現在、事件から1週間なのに実行犯はわかっていません。これは、とても珍しいことだと思います。

 仮に実行犯が弘道会の関係者だったとして、今回だけ、なぜ出頭しないのでしょう? そこで、出頭しないのは、「実行犯が六代目山口組関係者ではないから」だともいわれ始めています。

 では、六代目関係者でなければ、誰でしょうか?

五代目山健組は2つある

 ちょっとわかりにくいのですが、五代目山健組は昨年の7月に分裂していて、現在、「五代目山健組」は2つあります與若頭は残留したほうの山健組です。

 分裂に至るにはいろいろあったでしょうから、この流れでの銃撃も可能性としてはある、というわけです。謎は深まるばかりです。

 この事件が起こるまでは、「オリパラが終わったら、山口組再統一に向けて大きな動きがある」といわれていましたが、その前に起こってしまったことで、「オリパラを待たずに動きだすかも」という話もあります。

 山一抗争みたいな大抗争にはならないでしょうが(と思いたい)、何かあるのでしょうかね。ひとまず今回は死者や重傷者が出ていないので、よかったです。

ヤクザには“元いじめられっ子”も少なくない!?  元極妻が考える「いじめ」問題

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

オリンピックのツケが国民に

 オリンピックが始まりましたね。選手の皆さんのすばらしいご活躍で、それまでの不祥事がみんな忘れられていますね。

 不祥事だけでなくコロナによる延期や観戦チケットの払い戻しなどの出費もあって、過去最大の赤字となるようです。誰がどうやってこの大赤字の責任を取るのでしょうか?

 オリンピックの赤字は都民の負担ですが、コロナ関連の損失は国民が負担を強いられますから、これから大増税時代がやってくることは元極妻にだってわかります。結局、ツケは国民に回されるのです。やれやれですね。

いじめを経験しているヤクザは多い

 オリンピックの不祥事の中でも、特に気になったのは、やはり小山田圭吾さんの「いじめ問題」による開会式の作曲担当辞任問題です。

 意外に思われるかもしれませんが、子どもの頃にいじめを経験しているヤクザはけっこういます。もちろんいじめる側だった子もいますが、むしろいじめられて強くなろうとした結果としての「不良デビュー」は珍しくないんです。

 亡きオットの若い衆の中にも、「ずっといじめられてたけど、ある日の図工の時間にハサミを突きつけたら、いじめっ子が泣いて謝ってきて、形勢が逆転したが、かえってクラスで浮いてしまった」とか「いじめられっ子が強くなるマンガ(『はじめの一歩』など)にハマってボクシングジムに通い、いじめっこをしばき倒してジムにも学校にもいられなくなった」とか話す子たちがいました。

 いじめを克服しようとしたのに、かえって居場所がなくなってしまい、行きついたのがヤクザの組だったんですね。今は居場所としてのヤクザ組織も絶滅危惧ですけど、かつてはセーフティネットでもあったのです。

 一方で、作家の天藤湘子さんは、「ヤクザの娘だから」いじめられていたと、著書『極道(ヤクザ)な月』で明かされています。

 もっとも「ヤクザの子は『親の仕返し』が怖いから、いじめたことはない」と白状する「元いじめっ子」の若い衆もいたので、一概には言えないようです。

 ちなみに作家の宮崎学さんは、ヤクザの組長だったお父様が指名手配されたことを理由に、級友の父兄から遊ばないように言われたそうです。

 こういう話を日常的に聞いてきましたから、いじめ問題は気になってしまいます。私は結婚するまでは普通のOLでしたし、子どもたちも大きな問題はありませんでしたが、いじめの経験は一生を左右することもありますからね。

 では、小山田さんの場合は、どうでしょうか? 「週刊新潮」(新潮社)のニュースサイトでは、小山田さんが、他人が苦しむのを見て楽しむ「サディスト」や思いやりや良心がない「ゲミュートローゼ(情性欠如者)」の可能性があるという精神科医の分析を紹介しています。

 普通の人とは違う、ということなのでしょうか。こういうタイプは小山田さんに限らず、セレブにもけっこういる気がします。世の中にはいろんな性癖の方がいますから、それを医療や教育でどうカバーしていくかということなんだと思います。

 まあ昭和というか平成の初めくらいまでは、コワい地元の親分に相談すれば、いじめ問題もだいたい片づいたんですけど、今は「自称・山口組幹部」氏が子どものいじめ問題で学校に乗り込んで父兄を土下座させる時代ですから、子どもたちも気の毒ですね。

 ちなみに宮崎学さんも、息子さんがいじめられていると聞いて、担任の先生といじめっ子のお宅に乗り込み、いじめっ子に「お前がうちの子をいじめるなら、おっちゃんはお前の父ちゃんをいわしたる(殴る)」と言って、担任に止められたそうです。もちろん本当に殴る気はなく、「本気で子どもを守ってるアピール」が重要なのだそうですが、普通の父兄にはムリですね。

 それにしても、小山田さん以外でも、オリンピックはメイン会場の国立競技場の建設からコケてましたね。オットたちが無邪気にトト(賭け事)でアツくなっていた昔のオリンピックが懐かしいです。特に新体操に目が釘づけでした(苦笑)。刺青の入ったいいトシのオッサンたちがルーマニアとかの美人選手を見て喜んでいるのは、おもしろかったです。

 いじめ問題から新体操に飛んでしまいましたが、コロナ感染者が増え続ける中での開催は、賛成できませんでした。ムダなお金をかけずにスポーツを心から楽しめる時代にしたいものですね。

ヤクザは“寂しがり屋”――映画『すばらしき世界』から元極妻が考える、今も1万人以上いるといわれる「無戸籍」問題

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

ヤクザは寂しがり屋

 前回ご紹介した映画『すばらしき世界』で気になった無戸籍問題について考えてみたいと思います。

 役所広司さん演じる主人公の三上正夫には戸籍がありませんでした。無戸籍が問題になっていますが、今も1万人以上はいるといわれているようです。

 亡きオットの若い衆の中には、「自分は戸籍がない」と言っている子も何人かいましたが、実際には戸籍が何なのか、わかっていないだけのようでした。逮捕されて初めて自分の本名を知るなんていうのも都市伝説的にはありましたが、実際にはそういう感じの子たちは組織になじめず、いつの間にかいなくなっていました。

 いろいろな理由で学校に行けず、集団生活を経験していない子どもは、ヤクザのようなタテ型の組織は難しいかもしれませんね。

 かつてヤクザは、基本的に寂しがり屋さんでした。三代目山口組の田岡一雄組長は、自著『山口組三代目 田岡一雄自伝』(徳間書店)で、ヤクザ組織について「子供のときのわたしがそうであったように、みんなもわたし同様、暗い、悲しい環境に生まれ育った者ばかりである」とし、山口組を「そういう愛情に飢えた者同士が肩寄せ合い、心を温め合う」集団としました。

 もっとも寂しさは「支配欲」も生みますね。組によっては、盃を交わす前に本人や関係者の写真を何枚も撮っておいて、「逃げてもどこまでも追っかける。親族もひどい目に遭わせる」と脅す親分もいました。昭和の話ですけど、「親分や組織からは逃げられない」と、「心まで支配下に置く」のがヤクザなんですよ。愛されたことがないので、相手を束縛することしかできないのでしょうね。

 オットは、いなくなる子に対してはゆるかったですね。「来る者は拒まず、去る者は追わず」的な感じでした。単に面倒だったのかも(笑)。

 報道によりますと、子どもが生まれた時に出生届を出さず戸籍を作らないのは、「お母さんが子の父親とトラブっているから」という理由がほとんどのようです。出生届を出すと子の存在がわかってしまい、不倫がバレたり、DV被害を受けたりする可能性があるんですね。

 『すばらしき世界』の三上は、「芸者さんが産んだ私生児」という設定でした。これはモデルになった山川一こと田村明義さんがそうだったんですが、お母さんについては結局よくわからなかったそうです。映画の原作である佐木隆三さんの『身分帳』に収録されている「行路病死人」に書かれていました。

 ちなみに菅田将暉さん、YOSHIさん、仲野太賀さんなどが出演する映画『タロウのバカ』(大森立嗣監督、2019年)は、無戸籍で名前もなく学校にも行かない「タロウ」と呼ばれる子ども(YOSHIさん)とその友だちのお話でした。

 豊田エリーさん演じるタロウのお母さんは、「ワケあり」というよりは単に深くは考えていない印象でしたね。実際にはそういう例のほうが多いんじゃないかなあ、とも思いました。まさに「今どきの子ども」です。

 ていうか、戸籍なんかなければ作ればいいのにと思いますが、簡単ではないんですね。新たに戸籍を作るとなると、「いつ頃生まれたか」の証明などがけっこう面倒くさいそうで、手続きを変える法改正も進められていますね。

 でも、そもそも戸籍って必要なんでしょうかね。世界では中国と日本と、日本の植民地だった台湾だけですよね。韓国も日本の植民地だったので以前はありましたが、2007年に廃止されたそうです。

 健康保険や生活保護などの行政サービスは、戸籍がなくても受けられるそうですし、今はマイナンバーもありますから、特に困らない気もします。「戸籍がない=かわいそうな人」的な報道は見ていてつらいです。

 戸籍がないというだけでひっそりと生きて、最期は餓死したおばあさんの事件をテレビで見ましたが、もっと早くなんとかできなかったのでしょうか? 戸籍なんかなくても大丈夫な世の中にしたいものです。