六代目山口組と池田組が「特定抗争指定暴力団」指定、山口組の統一はますます難しく……元極妻が語る師走のヤクザ事情

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

宮台真司さん切りつけ事件に驚き

 びっくりしましたね、東京都立大学教授の宮台真司さんの切りつけ事件。お会いしたことはないのですが、宮崎学さんと親しく、『突破者の遺言』(ケイアンドケイプレス)のオビ文を書いてらっしゃいますし、ご高名は存じ上げております。

 命に別条はないそうですが、重傷とのことで心配です。この場をお借りしてご回復をお祈り申し上げます。この原稿を書いている12月1日現在、まだ犯人は捕まっていません。監視カメラにばっちり映っているはずですが、何なんですかね。

六代目山口組と池田組が「特定抗争指定暴力団」に指定

 12月になると、少し前まではヤクザの「事始め」が話題になっていましたが、この数年は静かですね。今年も各組織とも静かに執り行うようです。

 以前も書かせていただきましたが、お正月の準備を始める12月13日の事始めは、もともとは庶民の行事でもありました。

 地域によっても違いますが、お歳暮も13日から1週間くらいの間に届けるのが一般的ですよね。それだけ重要な慣行だったのです。

 今年は、事始めを前にした12月8日から、六代目山口組と、神戸山口組から独立した池田組が「特定抗争指定暴力団」に指定されることになりました。両組織とも指定についての意見聴取会を欠席したことが大きく報道されていました。ちなみに池田組の聴取予定日が、報道機関によって「11月30日」と「12月1日」に分かれてたのが、ちょっと気になりましたけどね。

 暴対法第5条では、指定の時には「指定する側」の県の公安委員会が、「暴力団」側から「意見」を聞く機会を作っているのですが、まあほとんど出席しませんね。出席したところで指定されないわけはないのですが、昔はけっこう出席していた気がします。

 今はムリでしょうが、あの工藤會も昔は出席していて、なんと報道も残っていました。2012年の「特定危険指定暴力団」の指定の聴取会で、「他の団体よりどう危険なのか立証できなければ、指定は納得できない」と反論していたことが「日経新聞」に出てるんですよ。これは歴史的にも興味深いと思っています。

 話がそれましたが、六代目山口組、神戸山口組に加えて池田組が指定されたことで、「特定抗争指定暴力団」が一つ増えることになり、山口組の統一はますます難しくなります。

 池田組は資金力の高さで知られていますし、「六代目山口組には戻らない」と公言しているそうですから、もしも神戸山口組に何かあっても、池田組は池田組として残ります。しばらくは「三つ巴」が続くのでしょうか。

 池田組といえば、10月に池田孝志組長が床屋さんで散髪中、六代目山口組系の組員に襲撃され、4人のボディーガードが反撃したという事件が記憶に新しいところです。床屋さんという「アウトローの定番的襲撃場所」ですが、裏に小学校があったことなどで、ヤクザへの批判はますます高まってしまいました。

 こういうこともあっての「特定抗争指定暴力団」指定なのですが、今後も注目です。

08年の事件で道仁会の幹部が逮捕

 あと、もう一つ気になっているのは、道仁会に対する警察の動きです。関係者の逮捕が続いていて、12月1日には傘下組織が大阪府警の捜索を受けました。ニュース動画を見ると、相変わらずどっちがマル暴だかわかりませんね。

 10月には、道仁会から独立した九州誠道会(現・浪川会)系組長が08年に射殺された事件をめぐって、道仁会の幹部が逮捕されています。

 ヒットマンはすでに服役しているのですが、今さらの「指示役」逮捕で、いろいろと臆測が流れています。報道によると「関係者の供述」が逮捕につながっているようで、誰かが指示を明かしたようですから、これもひと波乱あるかも……と気になっています。

「床屋での奇襲」はヤクザの定番! 元極妻が語る、山口組分裂抗争の行方

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

餃子の王将事件で工藤會ヒットマンが逮捕されたワケ

 想定内ではありますが、餃子の王将の社長さんの殺害容疑で逮捕されていた工藤會のヒットマン氏が、11月18日に起訴されましたね。

 報道によりますと、ヒットマン氏は「実行役」で、指示役が存在する組織的犯行として、背景を捜査していくそうです。

 この件に関しては、ネット上にもいろいろ情報が出ていますが、このヒットマン氏はしっかりしていて、口も堅いようです。ぜんぶ否認で公判が維持できるかどうかですよね。所属している石田組もちゃんとしてると聞いてますので、組としていい弁護士さんをつけると思いますよ。

 ヒットマン氏は黙って長い懲役に行かれるおつもりでしょうから、「懲役=俠(おとこ)の花道」的な美学はありますね。オットが生きていたらうらやましがること、この上なしですよ。いわゆる「ええ仕事したな」ということです。

 って、まだ犯人とは限りません。「近くにタバコが落ちてたから、射殺もしたやろ」では苦しすぎます。

 これに対して、京都府警と福岡県警の合同捜査本部は、証拠の「隠し玉」を持っているとのうわさも出ていますが、どうですかねえ。あるならとっくに逮捕していたはずです。「なぜ今」なのかは、検察の人事の都合だけのような気がしますね。五代目工藤會の野村悟総裁を起訴した剛腕検事さんが大阪高検の刑事部長になったからだけ、の気がします。

黒幕とされる元ゴルフ場経営者に注目

 それより元極妻的には、黒幕とされる元ゴルフ場経営者さんの立ち位置が気になります。

 めちゃくちゃメディアに出ておられますが、大丈夫なんでしょうか? わざわざ「真っ黒の印象」をつくられてますよね。私なら絶対、取材になんか応じませんよ。黙っていてもメディアがうるさいから、先に出て自分から話してしまおうということなのでしょうか?

 昭和の裁判官さんは新聞や雑誌を読まず、事件について余計な印象を持たないようにしていたそうですが、最近はそういった報道やテレビを見ているという説もあります。知り合いの弁護士さんからお聞きしました。そうなると、この元ゴルフ場経営者さんは心配。これからも注目です。

 もう一つ気になるのは、分裂した山口組の動きですよね。

 車両特攻やガラス割り(拳銃で事務所や住宅を撃って、窓ガラスなどを割る脅し的なアレ)も続いていますが、やはり大きいのは、10月26日、神戸山口組から独立組織になった池田組・池田孝志組長が襲撃された事件ですよね。その現場は、床屋さんでした。 

 床屋さんといえば、奇襲の定番。映画『仁義なき戦い』『ゴッドファーザー』でも描かれましたが、リアルでも山口組直参だった中野太郎会長が襲撃されています。無防備な状態を狙うだけならお風呂屋さんでもいいんですが、床屋さんはお店の構造的にヒットマンが撃ってすぐ逃げられるからでしょうね。

 とはいえカタギさんも使うところですから、「また暴力団か!」となるのは当たり前です。

 しかもヒットマン氏はボディーガードさんたちに返り討ちに遭ってますし、夜にはリベンジ的に自動車を撃つ事件もありました。世間的な批判はますます高まっちゃいますよ。

かつての同志を撃ちに行かせる非情さ

 あと、ヒットマン氏が所属組織の若頭だったのも気になりました。ヒットマン氏は、神戸山口組から六代目山口組に戻った山健組傘下の妹尾組若頭です。ネットでは「なぜ若い衆に行かせないのか」という話も出ていますね。事実上のナンバー2にかつての同志を撃ちに行かせるって、まんま映画です。

 池田組長も、山健組の皆さんも、六代目山口組体制を批判。離脱して神戸山口組を結成したのですが、まとまることができずに、今こうなっているわけです。年内も車両特攻やガラス割りは続くと思う一方、大きな事件は起こらない気がします。気がするだけですけど。

「餃子の王将」事件の被疑者は青学出身! 「高学歴ヒットマンは結構いる」元極妻語る

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

「餃子の王将」社長射殺事件で工藤會関係者が逮捕

 10月28日、「餃子の王将」社長さんの射殺事件について服役中の工藤會関係者がヒットマンの疑いで再び逮捕されました。いろんな意味でびっくりしましたね。

 一つは「なぜ今?」ということです。事件は9年前の2013年12月のことで、工藤會の関与は早くから疑われていたんです。現場近くに落ちていたタバコについていたDNAが同じーーとかもわかっていました。新証拠が出てきたならともかく、なぜ当時は逮捕できなかったのでしょうか。

 ていうか、タバコが落ちてただけで犯人にされたらかなわないですけどね。あと、「被疑者から『(京都で車に)乗ったことがわからないようにしてくれ』と依頼された」という知人さんの証言も決め手になっているようですが、これって、いつの話なんでしょうか?

 でも、一番気になるのは、当時注目された女性ヒットマン「抱きつきのリン」嬢の行方です。どこ行っちゃったんですかね。

 何が言いたいかというと、「警察もメディアもテキトーすぎるのではないか」ということです。

「餃子の王将」社長射殺事件、ムダに高学歴なヒットマン

 NHKは、「今回の急展開について複数の捜査関係者は『今になって決定的な証拠が新しく出てきたわけではないが、背後関係も含めて事件の解明を進めたい』と話している」と報じています。あと、「検察の体制」が変わったから「有罪に持ち込める」と判断して逮捕に踏み切ったという報道もありました。

 これって、「特に新証拠はないけど、工藤會だからパクっとけ(逮捕しとけ)」ということですよね。工藤會の人たちが悪くないとは言いませんが、アリなんでしょうか?

 この「体制」とは、今まで工藤會をどんどん起訴してきた検事さんが大阪高検に異動してきたからではないか、というのが「週刊文春」(11月10日号/文藝春秋)のご指摘です。そうですよね多分。

 ちなみにこの号では、被疑者氏の出身大学も明記していました。青学だそうですが、他誌はどこも書いていないですよね。私は聞いてましたけどね(自慢)。

 文春の記事では「有名大学を中退してサラリーマンのち稼業入り」という経歴を珍しいように書いていますが、結構いますよ。被疑者氏は80年代バブル期に20歳前後ですから、就職先はいくらでもあったはずです。

 就職活動で苦労してないと、かえって簡単に不良になっちゃうのかもしれません。あの頃は不良も今ほど排除されていないし、さすがに東大は見たことないですが、国立大中退も割といます。

 細かくは書きませんが、「あの有名な抗争事件のあのヒットマンは地域で一番の高校卒業」とかもあります。勉強はできても家庭の事情で大学へ行かずに就職して、何かの流れで不良になっちゃうパターンです。

 今回逮捕された被疑者氏は射撃もうまいようですね。 

 これに反論はしませんし、得意だと思います。でも、かなり寄って撃ってるようですから、仮にヘタでもイケたかなとも思います。こういう不意打ち的な襲撃こそ「喧嘩の極意」なんですよ。

 ところで、ヒットマンの射撃のお稽古はどうしているのかを編集者さんから聞かれましたが、昔は海外の射撃場にみんなで行っていました。タイとかフィリピン、グアムなんかに結構あるんです。日本でもちょっと地方だと、夜中に国道をクルマで走りながら山に向かって撃ってました。

 海外では昼間は射撃かゴルフ、夜はカジノがだいたいセットでしたが、今は難しいでしょうね。被疑者氏が20代の頃は行けていたと思います。

 それにしても「餃子の王将」という、ほとんどの人が知っているメーカーの社長さんが亡くなられたことで大騒ぎですが、問題はこれからですよね。仮に被疑者氏が真犯人でも、誰に頼まれたかは絶対に言わないでしょう。状況証拠と推認だけで、「有罪」ですね。

 なお被疑者氏は別件で服役中でしたが、こういう重大事件で逮捕された場合は、前の刑については執行停止処分を受けて取り調べを受けます。停止されるだけですから、刑期が短くなるわけではないです。

 この逮捕の2日前、10月26日には、山口組の「割って出たほう」の池田組関係者が襲撃されて緊張状態が続いていますね。池田組は豊富な資金力で知られていますから、やっぱりそういうところが関係あるようです。 

 カエシ(報復)は、原稿を書いている11月3日現在はないようですが、注目しています。とはいえ「山一抗争」の再来はないと思いますよ、さすがに。こちらもメディアのあおりっぷりがイヤですね。

「池袋半グレ100人大乱闘事件」を元極妻が解説! 「準暴力団」には何の規制もない

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

100人大乱闘でも被害届は出されていない

 10月16日、東京・池袋の高層ビルのレストランで「半グレ100人による大乱闘事件」があったことが報道されていますね。

 でも、報道をよく読むと、「100人」とはレストランの貸し切りの人数で、実際にケンカをしたのは、報道機関にもよりますが十数人程度のようです。

 だいたいガチで100人がケンカしたらお店が壊れちゃいますが、お店はすぐ営業を再開していますし、救急搬送されたのは1人だけです。しかもこの方は軽傷で、病院からずらかっているそうです。ほかにも何人かケガをされているとの目撃談がありますが、いずれにしろ軽傷でしょう。

 そして、店員さんにケガがなかったのはよかったですが、お店が被害届を出していないんですね。それって、「たいした事件ではない」ということですよね。テーブルがひっくり返ってたとか、ビール瓶が割れてたとか報道されていますが、逆に言えばそれだけで、「捜査には協力するけど、それ以上は……」みたいなところですかね。

 ビール瓶を割るくらいなら、ヤクザでなくてもやってるのに、なぜこんなに大きく報道されてしまったのでしょうか?

 やはり貸し切りにしていた団体が半グレで、暴対法上の「準暴力団」指定を受けている怒羅権(ドラゴン)だと報道されているからでしょう。

同じ組織でもみんな仲悪い

 怒羅権の関係者の放免祝い(=刑務所の出所祝い)が行われているところに、何人かの男が入ってきてケンカになったとしている記事もあります。

 要するに宴会中のケンカということで、こんなの昔はヤクザでも普通にありました。同じ組織でもみんな仲悪いですから、お酒が入れば「テメー、コノヤロー」になってしまいます。もともと品行方正な人たちではないですしね。「代紋」のもとに集結する美学みたいなものはあったんで、同じ組織にいるんですけど、シノギやカノジョを盗った盗られたと、いろいろあるわけです。

 今は、山口組などは放免祝いどころか5人以上で集まることもダメなので、レアな「100人で放免祝い」はニュースバリューがあったということかなと思います。

 作家の宮崎学さんは、「『暴力団』として排除しても、すぐに『より悪いもの』が出てくる」と指摘されていましたけど、まさにそういうことではないでしょうか。

 インターネット上では、怒羅権について「中国へ強制送還しろ」みたいな意見も目立ちますが、大半のメンバーの親御さんが中国残留孤児で、日本人ですよ。

 中国では「日本人は日本に帰れ」と言われ、日本に来たら「中国に帰れ」とか言われて、ずっと差別されてきた人たちです。これで「不良になるな」ってほうがムリなんです。

 差別と貧困がこういうグループやヤクザを生んできたってのは、元極妻が書くまでもないことですが、怒羅権については、創設メンバーの一人である汪楠(ワン・ナン)さんのご本をぜひ読んでください。

 とはいえ怒羅権の構成員の正確な人数やプロフィールは、誰にもわかりません。警察も把握しきれないので、「準暴力団」指定団体なのに、何の規制もできないのです。

 怒羅権に限らず、半グレは日本の指定団体のように盃を交わして警察にもあいさつに行くようなことはしないので、把握のしようがないんですね。

 今となってはヤクザも盃はあまりやってないようですが、「俺は怒羅権だ」と言ったら、その人はもう怒羅権のメンバーだそうです。

 あと、ヤクザは一応「18歳以上」ですが、怒羅権にはそういうのもないようです。これも半グレと呼ばれるグループの特徴で、犯罪のためだけに集まってくるので、未成年や女性が加わることもあるのだとか。

 ヤクザを排除したことで、警察も実態を把握しにくいモンスターのようなグループが出てきたといっても過言ではないかなと思います。これからはもっとすごいのが出てくるかもしれませんよ。

「正義」の人なのに黒いから、ヤクザより怖い! 元極妻が考える最近の警察不祥事

 今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

ヤクザも国葬は休戦

 安倍元総理の国葬は、反対の声もありながら無事に終わりましたね。報道では「警察に恥をかかせないために」六代目山口組トップから自粛命令が出ていたとありましたが、どうなんでしょうか。

 ほぼ例外なく、ヤクザは自民党と国家イベントが好きなので、みんな協力的ですよ。これまでも1964年の東京オリンピックの時に外出を控えたり、あの史上最大のヤクザ抗争「山一抗争」時にも、学生の国際総合競技大会「夏季ユニバーシアード神戸大会」(1985年8月24日〜9月4日)の期間は「休戦」したりしてました。いわゆる「ユニバーシアード休戦」ですね。

 なので、今回もわりと純粋に「安倍さんを静かに送ってやろうじゃねえか」と思っていた気がします。

最近はヤクザより警察の不祥事のほうが目立つ

 ヤクザと警察の関係でいうと、最近は警察不祥事のほうが目立つ気がします。不祥事自体は昔からあったんですが、なぜか積極的に報道されてますよね。

 たとえば福岡県警の巡査長は「俺、捜査情報を流せます」とお小遣い目当てでヤクザにもちかけて、情報漏えいして起訴されています。

 かばうわけではありませんが、これはどこでも聞く話です。「情報流せます」と持ちかける「相手」も先輩からの申し送りです。まあ、この方はやりすぎたんでしょうかね。

 警察官は、人生経験もあまりない、若いうちから拳銃を持てて社会的信用もありますから、なんかつい上から目線になるのかもしれません。

 この9月には、警視庁新宿署の留置場に勾留されていた20代の男性が「パンイチ」で拘束され、トイレにも行かせてもらえなかったとして、東京都に慰謝料など165万円を求める裁判を東京地裁に起こしています。

 報道によりますと、原告男性は勾留中だった今年7月、「保護室」と呼ばれる別室に連れていかれてパンイチにされた上、「両手首にベルト手錠をきつく巻き付け、捕縄(ほじょう)で両腕と腰を固定し、さらに背後から男性を捕縄で吊り下げる体勢をとらせた。捕縄が身体に食い込んだ状態で背中も捕縄で縛った。両足首も縛られ、寝転がされた」そうです。見たことないですが、SM系AVですか。もちろんトイレは「垂れ流し」です。

 こんなことをされた理由は、当時同房の男性が39度近い熱を出したので「毛布を貸してあげて」と言ったから、だそうです。このコロナ禍で高熱者放置もなんだかなですが、さらに新宿署側には留置場内を録画した動画が「人為的ミス」(=録画ボタン押し忘れ)で「存在しない」そうで、いろいろ闇が深いんですよ。

 この男性が起こした裁判は民事の賠償請求ですが、公務員がこういうことをすると刑事裁判では「特別公務員暴行陵虐罪」に問われることになります。刑法第195条では「裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、7年以下の懲役又は禁錮に処する」としています。

 懲役と禁錮刑はこれからなくなりますが、まあそんなところですね。ちなみに暴行罪(第208条)は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金」なので、それに比べてかなり重い印象がありますね。

 この舌をかみそうな特別公務員暴行陵虐罪は実はけっこう報道されていて、最近では、警視庁の元警部さんが懲役2年の実刑判決を受けています。 

 現役時代からコワモテで薬物捜査では有名な方だったそうですが、警視庁本部で薬物依存の相談に乗っていた女性の胸を触り、裸を撮影したそうです。絶対余罪ぼろぼろありますね。

 とはいえ証拠はほとんどなく、携帯電話に女性の画像があったんですね。でも元警部さんは認めず、「職務に従事中に突然衣服を脱いだ女性に写真を撮るよう求められ、断れずに応じた」と言い張ったそうです。もちろん裁判官は信じなかったから実刑になったわけですが、物的証拠がないと、なかなか危ないですよね。

 警察官だけでなく刑務官の事件もときどき報道されます。9月には「男性収容者の陰部を触っていた男性看守」が特別公務員暴行陵虐容疑で東京地検に書類送検されています。

 依願退職していますし、起訴されるかはわかりませんが、これまたいろんな意味で怖いです。「元・極妻のくせに怖がるな」といわれてしまいそうですが、ヤクザは自分たちが悪いと自覚していて悪いことをするのに対して、警察官や刑務官は「正義」の人たちなのに黒い、というのが問題なんだと思います。

「正義」の人なのに黒いから、ヤクザより怖い! 元極妻が考える最近の警察不祥事

 今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

ヤクザも国葬は休戦

 安倍元総理の国葬は、反対の声もありながら無事に終わりましたね。報道では「警察に恥をかかせないために」六代目山口組トップから自粛命令が出ていたとありましたが、どうなんでしょうか。

 ほぼ例外なく、ヤクザは自民党と国家イベントが好きなので、みんな協力的ですよ。これまでも1964年の東京オリンピックの時に外出を控えたり、あの史上最大のヤクザ抗争「山一抗争」時にも、学生の国際総合競技大会「夏季ユニバーシアード神戸大会」(1985年8月24日〜9月4日)の期間は「休戦」したりしてました。いわゆる「ユニバーシアード休戦」ですね。

 なので、今回もわりと純粋に「安倍さんを静かに送ってやろうじゃねえか」と思っていた気がします。

最近はヤクザより警察の不祥事のほうが目立つ

 ヤクザと警察の関係でいうと、最近は警察不祥事のほうが目立つ気がします。不祥事自体は昔からあったんですが、なぜか積極的に報道されてますよね。

 たとえば福岡県警の巡査長は「俺、捜査情報を流せます」とお小遣い目当てでヤクザにもちかけて、情報漏えいして起訴されています。

 かばうわけではありませんが、これはどこでも聞く話です。「情報流せます」と持ちかける「相手」も先輩からの申し送りです。まあ、この方はやりすぎたんでしょうかね。

 警察官は、人生経験もあまりない、若いうちから拳銃を持てて社会的信用もありますから、なんかつい上から目線になるのかもしれません。

 この9月には、警視庁新宿署の留置場に勾留されていた20代の男性が「パンイチ」で拘束され、トイレにも行かせてもらえなかったとして、東京都に慰謝料など165万円を求める裁判を東京地裁に起こしています。

 報道によりますと、原告男性は勾留中だった今年7月、「保護室」と呼ばれる別室に連れていかれてパンイチにされた上、「両手首にベルト手錠をきつく巻き付け、捕縄(ほじょう)で両腕と腰を固定し、さらに背後から男性を捕縄で吊り下げる体勢をとらせた。捕縄が身体に食い込んだ状態で背中も捕縄で縛った。両足首も縛られ、寝転がされた」そうです。見たことないですが、SM系AVですか。もちろんトイレは「垂れ流し」です。

 こんなことをされた理由は、当時同房の男性が39度近い熱を出したので「毛布を貸してあげて」と言ったから、だそうです。このコロナ禍で高熱者放置もなんだかなですが、さらに新宿署側には留置場内を録画した動画が「人為的ミス」(=録画ボタン押し忘れ)で「存在しない」そうで、いろいろ闇が深いんですよ。

 この男性が起こした裁判は民事の賠償請求ですが、公務員がこういうことをすると刑事裁判では「特別公務員暴行陵虐罪」に問われることになります。刑法第195条では「裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、7年以下の懲役又は禁錮に処する」としています。

 懲役と禁錮刑はこれからなくなりますが、まあそんなところですね。ちなみに暴行罪(第208条)は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金」なので、それに比べてかなり重い印象がありますね。

 この舌をかみそうな特別公務員暴行陵虐罪は実はけっこう報道されていて、最近では、警視庁の元警部さんが懲役2年の実刑判決を受けています。 

 現役時代からコワモテで薬物捜査では有名な方だったそうですが、警視庁本部で薬物依存の相談に乗っていた女性の胸を触り、裸を撮影したそうです。絶対余罪ぼろぼろありますね。

 とはいえ証拠はほとんどなく、携帯電話に女性の画像があったんですね。でも元警部さんは認めず、「職務に従事中に突然衣服を脱いだ女性に写真を撮るよう求められ、断れずに応じた」と言い張ったそうです。もちろん裁判官は信じなかったから実刑になったわけですが、物的証拠がないと、なかなか危ないですよね。

 警察官だけでなく刑務官の事件もときどき報道されます。9月には「男性収容者の陰部を触っていた男性看守」が特別公務員暴行陵虐容疑で東京地検に書類送検されています。

 依願退職していますし、起訴されるかはわかりませんが、これまたいろんな意味で怖いです。「元・極妻のくせに怖がるな」といわれてしまいそうですが、ヤクザは自分たちが悪いと自覚していて悪いことをするのに対して、警察官や刑務官は「正義」の人たちなのに黒い、というのが問題なんだと思います。

幽霊よりも怖い! 究極の事故物件「マル暴物件」の行く末を元極妻が解説

 今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

屋根の修復工事もヤクザの守備範囲だった

 台風シーズンですね。各地の被害が伝えられています。

 ちょっと前までは、屋根が飛んだ家に応急処置としてブルーシートをかけたり、雨が落ち着いたら修復工事をしたりするのもヤクザの守備範囲だったのですが、こうした活動は表立ってはできなくなりました。昔を知っている身としては寂しいものがあります。

 皆様、ご無事で。

五代目工藤會の本部跡地は福祉施設に

 この夏で山口組は分裂から7年となりましたが、9月に入って六代目山口組を離脱した神戸山口組と池田組、絆會が「反・六代目山口組連合」ともいうべき三派連合を結成して話題になっていますね。

 とはいえ、以前のような「街なかの大抗争」にはならないと思います。「市民の皆様のご安全のため」というよりは、誰も長い懲役に行きたくないからです。特に当代の懲役は痛手となります。ピラミッド型組織なので、トップダウンの意思決定ができないと大変なのです。

 トップの不在で思い出されるのは、五代目工藤會の本部です。

 すでに解体されている本部の跡地利用について、福祉関係の施設の建設が進められていることが報道されています。地元の北九州市が窓口となって、費用を捻出するためのクラウドファンディングも行われているようです。

 福祉施設運営を目指すNPOは、以前からホームレスの支援などで知られる団体で、このプロジェクトが「暴力団事務所の跡地利用」の成功例として注目されています。最近は自治体が「暴力団事務所」を買い取って一般に売却する例も増えていますが、このNPOのように評価されるのは珍しいですよね。

「銃弾痕」がある物件の値段は?

 そして、ワタクシ的に気になっているのは、尼崎市の物件です。組事務所ではなく幹部さんのご自宅だそうです。

 2022年5月から買受申込を受け付けていますが、10月末の締切を前にまだ売れていないようです。尼崎市の公式サイトによると、棟続きの3階建てで約73平米、土地と建物を合わせて2,434万円だそうです。報道では、尼崎市はこれを1,800万円で買っているらしく、500万円も上乗せしてますね。アコギと思わないでもないですね。

 とはいえ、知り合いの不動産屋さんによると「かなり割安」らしいです。お値段もですが、この物件が話題なのは「事故物件としてすごい」から。尼崎市のサイトにある「注意事項」がゴツいんですよ。

 まず20年10月に銃撃を受けているので、玄関ドアに「銃弾痕」があること。これはかなり引きますよね。カタギさんはもちろんですが、不良も手は出したくないでしょう。

 例えば昨年3月には、運送会社の社員寮のシャッターに銃弾が撃ち込まれましたが、報道によれば、この社員寮は10年近く前、神戸山口組系組織の組事務所だったそうです。

 犯人側の単なるリサーチ不足なのか、今も社員寮に関係者がいたのかはわかりませんが、こういうこともありますからね。

 さらに雨漏り、床のきしみがけっこうある上に、お隣さんとの境界線もあいまい。増改築も繰り返されていて、登記簿と整合しないところや現行の建築基準法に抵触する可能性のあるところも多いようです。

 あとはアスベスト調査もやってないんですね。こういうのを全部含めて「あとは買った人ヨロシク」ということです。これって、むしろ銃弾痕よりめんどくさいですよね。10月までに買い手がつかなかったから、どうなるんですかね。

 ちなみに自殺や殺人事件などがあった物件については売り手に説明義務がありますが、単に「ヤクザが住んでいた」という事実に関する説明義務はないらしいです。いままでそういう裁判がなかったからだけじゃないですかね。

 でも、「いま現在も近所に暴力団事務所がある物件」というのは、「前に自殺や殺人があった物件」 とはちょっと違いますよ。いわゆる「ワケあり物件」が、「特に何かがあるというわけではないが、心理的に気持ち悪い」という話であるのに対して、「ご近所のヤクザ事務所」は、誤爆や流れ弾という実害の問題なのです。

 もちろん、いまどきは大抗争に至るようなことはまずないと思いますが、幽霊より人間のほうがコワいということです。

元ヤクザは、なぜ銀行口座を持てないのか? 金融機関から締め出されるワケを元極妻が解説

 今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

現役ヤクザだけでなく、元ヤクザも銀行口座を開設できない

 以前から書きたいと思っていたのですが、難しいので放置していた「元ヤクザの銀行口座開設問題」について、「AERA dot.」に出ていたので、私も書かせていただきたいと思います。

 現役の暴力団組員は口座開設ができませんが、一方で、すでにやめた元組員についても、金融機関の口座開設を支援する取り組みがあるものの、実際に口座を開設するのは難しい現実があります。

 私の周囲に限らず、なりたくてヤクザになった人は、まずいないんですが、金融機関からの締め出しは、まさに「『ヤクザは息をするな』ということ」(宮崎学さん)でしたね。

 この締め出しの経緯を改めて見てみますと、やはり2011年秋までに全都道府県で施行された暴力団排除条例の存在が大きいです。でも、それ以前から全銀協(一般社団法人全国銀行協会)は、契約の際の暴排条項の「参考例」をたびたび出してきました。つまり条例の施行前から、銀行的には「暴力団員にはカネを貸すな」的な話があったんですよ。

 さらに、13年9月に発覚した「みずほ銀行がヤクザに融資していた件」が大問題となって、金融機関における暴排は進んでいきます。

 今思えば、みずほ銀ではなくて、むしろ子会社のオリエントコーポレーションの問題でしょう。でも、オリコだって窓口に来た人に「暴力団員ですか?」とは聞けないでしょうし、今どきのヤクザは見た目ではわからない人がほとんどですから、「ヤクザかどうか見抜け」というのはムリですね。という主旨のことを宮崎学さんが書いておられました。

 みずほ銀はトラブル続きですが、それはさておき、当初規制されていたのは「融資」や「貸金庫」、「当座預金」で、生活に必要な普通預金口座は対象ではなかったそうですが、どんどん厳しくなっていきました。「ある日突然、口座が解約されて、数千万円の現金が書留で送り返されてきた」というようなお話もけっこう聞いております。没収じゃなくてよかったですね……(そういう問題じゃないですが)。

 一方で、警察庁は今年の2月に更生の支援策として「暴力団離脱者の口座開設支援について」として通達を出しました。「暴力団から離脱した者が、就労先から給与を受け取るための預貯金口座の開設を申し込んだ場合において、過去に暴力団員であったことを理由として排除されることがないよう、暴力団離脱者の預貯金口座の開設に向けた支援策を策定」したそうです。

 東京の3つの弁護士会は18年から支援してきましたが、県内に指定組織が5団体もある福岡も検討が求められているようです。

 ぼちぼちとはいえ更生のための支援が続いているのですから、いっそ条例の“ヤクザをやめてから5年間はヤクザとみなす”という「みなし規定」とか、いらないんじゃないかと思います。

 ちなみに警視庁の元暴力団対策課長などを歴任した中林喜代司さんは、座談会「暴力団離脱者の預金口座開設の問題について」で、「暴力団を離脱してから5年を経過していないからといって、一律に普通預金口座開設を断らなければならないわけではなく、離脱者個々の信用を判断し、真に覚悟をもって離脱を志す者に対しては、普通預金口座を開設すべきなのです」と力説されていました(「銀行法務21」20年10月号、経済法令研究会)。

 「でも、銀行関係者の皆さんは「『元』でも『現役』でも、具体的なリスクにかかわらず総合的に判断して断りたいことに変わりはない」とバッサリ。世間様は冷たいなあと思うことしきりですが、これが現実なのでしょう。

 毎度同じオチですみませんが、銀行口座すらない元ヤクザは、どうやって生活できると思いますか? かなりの確率で新たな犯罪に手を染めます。被害者が読者の皆様やご家族様でないという保証はどこにもないのです。

山口組がいつの間にか5派に! 元極妻が「神戸山口組ナンバー2の電撃独立」と、さらなる分裂を解説

 今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

山口組分裂から7年

 8月の終わりは、2015年の山口組分裂から7年、21年の五代目工藤會・野村悟会長の死刑判決(福岡地裁)から1年ということで、不良の世界も様変わりしているなあと、しみじみしていました。少し前なら、大組織のこんなに長期の分裂状態や、指定団体の当代の死刑求刑など、ありえませんでしたからね。

 私のオットは、いろんな意味で長生きできると思ってはいませんでしたが、生きていたらかなり困惑していたと思います。

神戸山口組の若頭が独立!

 それにしても、分裂からもう8年目に入るのですね。

 15年に分裂した時は、数年で解決するといわれていましたが、お互いトップに責任が及ばないようにすることで、かえって長引いてしまっているのでしょう。

 また、溝口敦御大が指摘されているように、これまで六代目山口組と神戸山口組との間で起こった事件については、「ほとんど実行犯のみの逮捕・起訴に終わり、上部の指揮命令権者が野放しになった」点が特徴ですね。

 「野放し」という言い方は微妙ですが、警察と検察がこの状況を放置していたからで、これは今後も変わらないでしょう。つまり、決着も遠いということになります。

 などと考えておりましたら、8月22日に神戸山口組の若頭だった俠友会・寺岡修会長が「離脱」を表明、なんと独立組織を立ち上げることが報道されました。

 実は、わりと前から会長の引退説は出ていました。「デイリー新潮」などは若頭が「メンタルヘルス関連の病気」とか書いていて、そこまで書いちゃうかなと話題になっていました。

 ところが、いつ頃からでしたか「寺岡若頭は引退しないで独立する説」も出てきて、「これ以上群雄割拠になってどうするんだ」みたいな話をオットの元若い衆としていたんです。

 寺岡会長は、神戸山口組発足当初からのメンバーで、井上邦雄組長の信頼も厚いはずです。狙ったのかどうかはわかりませんが、8月22日は組長のお誕生日だったそうで、臆測が臆測を呼んでいます。

 「週刊実話WEB」によると、俠友会の会合の席上で離脱を発表したそうで、関係者はかなりショックを受けたそうです。映画みたいですね。

 寺岡会長に限らず、一切「カエシ(報復)」をさせない方針の井上体制に不満が出ている、というのは前からあるようです。やられたらやり返すのがヤクザですから、組織防衛のためとはいえ「カエシは一切禁止」と言われたら、不満は募りますよね。

 ちなみに寺岡会長は事務方としても優秀で、組織の運営にかなり貢献していたそうですから、神戸山口組としてはすごいダメージだそうです。

 寺岡会長の離脱に先駆けて、20年7月には、池田組を率いる池田孝志組長も神戸山口組を離脱、一本独鈷(いっぽんどっこ=大組織に所属せず独立を維持している組織)となりました。

 豊富な資金力を誇る池田組長は、神戸山口組の金庫番として資金面を支えてきましたから、この時も大騒ぎでしたね。この池田組長の離脱で山口組再統合は一気に進むといわれていましたが、そうもいきませんでしたね。思えば、もう2年前です。

 俠友会の独立で、山口組をルーツとする六代目山口組、神戸山口組、絆會、池田組と5派が乱立する構図となりました。まあ五代目山口組時代までも「全・山口組関係者が仲良し」ということはありえませんでしたが。

 最初は2つに分かれた山口組が、いつの間にか5派! ってすごいことになってますが、当分の間は様子見になりそうです。

工藤會トップの「死刑」判決を、元極妻が考える――「ほかの組織もざわつく」理由とは?

 特定危険指定暴力団「工藤會」の総裁・野村悟被告と、ナンバー2・田上不美夫被告に極刑が下されてから1年がたった。

 1件の殺人既遂と3件の殺人未遂について、「共謀共同正犯」として起訴された工藤會トップの2人。2021年8月24日に福岡地裁で行われた判決公判では、検察の求刑通り、野村被告に死刑、田上被告に無期懲役が言い渡され、特に日本の刑事裁判史上、指定暴力団最高幹部への死刑判決はこれが初めてとあって、世間に大きな衝撃を与えた。

 なお、野村被告は同判決を不服として、翌25日に福岡高等裁判所へ控訴。今年7月には、野村被告と田上被告が弁護士全員を解雇していたこともわかり、今月24日付の「西日本新聞」によれば、「いまだ控訴審の日程は決まっておらず、裁判は長期化する見通し」だという。

 裁判のゆくえは、今後も世間の注目を集めそうだが、サイゾーウーマンで「『元極妻』芳子姐さんのつぶやき」を連載中の待田芳子氏によれば、工藤會トップ2人の判決については、「ほかの組織もざわつく事態」になっていたとか。その理由は、「推認で死刑判決」という点にあるというが、一体どういうことなのだろうか? 衝撃の判決から1年、同記事をあらためて掲載する。
(編集部)


今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

ヤクザにも使用者責任?

 前回も少し書かせていただきましたが、北九州を拠点にしている五代目工藤會のトップである野村悟総裁に対する死刑判決は、ほかの組織もざわつく事態となっています。 

 今までは、事件が起こるとまず実行犯が逮捕され、供述などからその親分が逮捕される「こともある」的な流れがほとんどでした。そもそもトップが枝(傘下組織)の若い衆の顔と名前など覚えているわけもなく、明確に指示しているかどうかを立証するのは難しいので、そういう流れだったのだと思います。

 一方で、トップに民事的な責任を問うケースは、前からあります。いわゆる「使用者責任」ですね。ヤクザ組織は会社じゃないのに、カタギさんの会社の 「使用者」の概念を持ってきたところで、手段を選ばない感じが伝わってきます。

 2004年には最高裁が山口組のトップである五代目山口組・渡邉芳則組長の使用者責任を認定、「国内最大の暴力団トップに傘下団体組員の使用者責任を認めた初の判断」と報道されました。これが心労になって五代目は引退されたのではないかとまでいわれています。

 この裁判では、抗争相手と間違われて射殺された京都府警巡査部長の遺族が渡邉組長と実行犯に損害賠償を請求、一審大阪地裁はトップの責任は認定しませんでしたが、二審大阪高裁と最高裁は認定しました。

 今回の工藤會の野村総裁の裁判は、民事ではなく刑事裁判での認定です。若い衆に犯行を指示したとして、総裁に死刑、田上文雄会長に無期懲役の判決を言い渡しました。指示したことを示す直接証拠はなく、総裁や会長の組織内の存在感から「事件への関与を強く推認できる」という判断ですから、そりゃ、ほかの組織もざわつきますよね。

 この「推認で死刑判決」は、識者の間でも判断が分かれるようですが、問題視すれば「暴力団をかばっている」と言われてしまうので、なかなか指摘しづらいのだと思います。

 こうした緊張感の下で出された山口組の9月1日付の通達が、ネットでも話題になっています。通達は、「六代目山口組総本部」名で、傘下組織の構成員に口頭で「公共の場で銃器を使わないように」指示しているそうです。

 朝日新聞は、8月24日の工藤會判決を受けて「最高幹部の刑事責任を認める判決を福岡地裁が言い渡したことを受けた対応とみられる」としています。若い衆が事件を起こした時に、「組織としては銃器の使用を禁じていたのに、若い衆が勝手にやった」と言うためのアリバイ作りということでしょう。

 ちなみにオレオレ詐欺(特殊詐欺)については、山口組に限らず各組織が禁止する通達を以前から出しています。

 この「公の場での銃器使用禁止」について、ネットには「公の場じゃなくても、銃を持ってちゃダメだろう」「単なるアリバイ作り」などと批判の声が上がっていますね。その通りなのですが、それだけ「推認で死刑」は、ヤクザ組織にとって深刻な問題なのだと思います。

 ていうか、そもそもなぜ銃を持っているのかというと、まあいろんなルートがあるわけです。四方を海に囲まれた日本では洋上取引が多いですが、在日米軍から不正に入手されたものも多いです。たとえば19年11月の神戸山口組幹部の射殺事件では、米軍の銃が使用された可能性が指摘されています。

 ぶっちゃけ米兵もお小遣い欲しさに売りさばいているようですが、在庫管理はどうなってるんですかね? 九州・沖縄で流通している手りゅう弾は、ほぼ沖縄の米軍から流れたものと聞いています。とはいえ最近は、ほとんど摘発されていないようですね。あとは部品で持ち込んで組み立てるとかもあります。

 知り合いの刑事さんによると、隠し方は「巧妙としか言いようがない」そうですが、そういう職人さん的な「密輸のプロ」も減っている気がしますね。

 さて、「推認で死刑判決」と「武器使用禁止通達」は、今後の犯罪捜査にどのくらい影響するでしょうか? 私は、それほど影響はないと思います。工藤會の捜査は一罰百戒的に行われただけで、全指定組織に行うつもりはないんじゃないでしょうか。それこそアリバイ作り的に「日本の捜査当局は、ヤクザの取り締まりをちゃんとやっている」アピールだった気がします。

※2021年9月12日初出の記事に追記、編集を加えています。