親分が認知症に! ヤクザ社会の介護要員は「若い衆」、「介護苦」で逮捕か?

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

ヤクザの大事件が起こらない状態は続く

 8月27日は「山口組分裂記念日」ですが、大きな事件はありませんでしたね。「文春オンライン」は「白昼に人々が行き交う街中で発砲などの危険な対立抗争事件が起きないとの保証はない。警察は情勢の注視を続けている」とか、めちゃ煽ってましたが、ないと思ってました。

 やっぱり「重罰化」と「トップの責任問題」がヤクザの事件の抑止力になっているのでしょう。

 トップの逮捕は組織の運営に影響が出ますし、親分は顔もよくわからない枝(下部組織)の若い衆の事件まで責任など持てないというのが本音です。それに、組織のために事件を起こして長い懲役に行く若い衆には、それに見合った報奨(お金とか昇進とか)が必要です。

 今は過剰な暴排(暴力団排除条例)のせいで組織の金庫も寂しくなっていますし、そういうもろもろの事情の結果として、大事件が起こらないようになってきているのでしょう。この状態は続くと思います。

ヤクザ社会の少子高齢化はカタギ社会より深刻

 ヤクザに限りませんが、逮捕の時は大きく報道するのに、「不起訴」とか「起訴猶予」になると扱いが小さくなったり、あるいは報道しなかったり、というのは昭和の時代からあったと思います。

 9月1日、「自分の親分をどついた若頭氏」の不起訴がひっそりと報じられました。逮捕の時は名前も顔もじゃんじゃん出てましたが、不起訴報道は「『若頭』の男性」でした。「若頭の男性」って、なんかちょっとアレですね。こういう時は「暴力団幹部」でいいのではないでしょうか。

 「不起訴の理由」が明らかにされないのは、ここ20年くらいかと思いますが、なぜ隠すのか、教えていただきたいです。

 それはさておき、この事件は、介護が原因だったらしいことをネットニュースが伝えて話題になりました。路上でボコられていたところを通行人さんに通報されたそうです。被害者が六代目山口組の中核組織である弘道会の傘下組織の親分で、認知機能が低下していたことがわかり、関係者やネット民はざわつきました。若頭の破門説もありましたが、不起訴でしたし、今のところ動きはないようです。

 何回か書いてますが、ヤクザ社会はカタギ社会の鑑(かがみ)なんですよね。しかも、なぜか問題は増幅されます。景気がいい時はめちゃくちゃいいし、悪い時はめちゃくちゃ悪いんです。少子高齢化もカタギ社会より深刻です。

昭和のヤクザは社会保険加入も普通

 そもそもヤクザが認知症になるまで長生きするって、昭和では考えられませんでした。33歳で射殺された夜桜銀次氏は極端としても、三代目山口組の田岡一雄組長は、晩年は病床で過ごして没年68歳でした。亡くなるにはお若いですが、当時にしては長命だったと思います。

 それと意外かもしれませんが、平成の初めくらいまでは合法的な企業の社長だったり従業員だったりで、社会保険に入っているヤクザは珍しくなかったですよ。知り合いの親分衆も、みんな健康保険で病院に行ってました。そういうのを推進してきたのも田岡三代目ですね。「正業に就け」と、いつもおっしゃっていたそうです。

 田岡三代目などが力を入れていた港湾荷役関連の仕事は労働災害も多かったので、労災保険は必須ですよね。もちろん雇用保険・年金も大事ですが、介護保険法がスタートしたのは2000年でした。

 それまでは、介護とは社会的に「お嫁さん」が「家でするもの」でした。介護を苦にした挙げ句の悲劇はけっこうありましたが、50代以上の方なら「在宅介護」はうれしくはなくても「任務」みたいな感じもありますよね。ヤクザ社会でも「お嫁さん」がいなければ、「若くない若い衆」が介護をするのは当たり前という流れですかね。

 なので、想定外に長生きするヤクザ、合法的ビジネスからの排除の結果としての介護保険ナシ、からの「介護苦」はこれからも増えると思います。今回は、たまたま通行人さんに目撃されて事件になっただけで、実際にはいろいろ起こっているかもしれません。

 仲のよかったご夫婦でも、介護していたご主人が奥様を殺しちゃうような事件がありますから、他人にはわからないことも多いです。

加護亜依「ヤクザと韓国旅行」、元極妻が解説! 現地合流した謎すぎる人物とは?

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

ヤクザも海外旅行できる?

「ヤクザって、海外渡航できるんですか?」

 編集者さんから聞かれました。加護亜依さんの「ヤクザとの韓国旅行」の件ですね。

 結論から言うと、ヤクザも紛争地とかでなければだいたい行けますよ。アメリカはヤクザというか「犯罪歴」にうるさいので難しいようですが、渡航例もありますし、アジアはほぼOKのようです。

 たとえば元山口組幹部の後藤忠政親分は、現役時代の2001年にアメリカで肝臓移植手術を受けてますし、組織を除籍になった後にはカンボジアの国籍も取得してます。ベストセラーになった自叙伝『憚りながら』(宝島社)の印税を、カンボジアの地雷被害者支援のNGOなどに寄付したことも話題になりました。

 また、田中森一弁護士のベストセラー『反転 闇社会の守護神と呼ばれて』(幻冬舎)によると、山口組の宅見勝若頭は1992年、肝臓手術のために渡仏しましたが、どこで漏れたのかフランスのマスコミが騒いだので、入国できずにそのまま帰国しました。日本を出国できたのは安倍晋太郎さん(安倍晋三元総理の父)の尽力だそうですよ。

 ていうか、そもそも国内外に「日本のヤクザの渡航を禁ずる」という法律はないのです。

 海外への移住や渡航の自由は憲法(第22条)で認められてますし、数万人のために新しく法律を作るのは税金のムダです。

 海外渡航の問題でいうと、最近ではガーシーさんでしょうね。すごい重大事件並みに連日報道されて、あのインターポール(国際刑事警察機構、ICPO)から国際手配されました。

 あと紛争地を取材しているジャーナリスト氏がシリアへの入国を「危険だから」と禁止されてパスポートを取り上げられましたね。

 旅券法では、「生命の危険」がある場合はパスポートを返納させることができるからで、「犯罪で訴追されている者」や「日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがある」人とかも該当します(旅券法13条)。

 ガーシーさんはともかく、ジャーナリスト氏の渡航は自由にしてもいいかなとは思いますが、まあ危ないですからね。

ヤクザを紹介した「ママ友」の謎

 皆様がこのコラムをお読みになる頃は「加護ちゃん騒動」は収まってると思いますが、少し考えたいと思います。

 加護さんのYouTubeとインスタグラムの説明によりますと、ニュースサイト「SmartFLASH」の記事には「事実と異なることが多い」そうですが、版元に対する名誉棄損など法的措置については触れられていないようです。今後はどうなるのでしょうか? 

 説明では、もともと親友と2人の「女子旅」に、ある「ママ友」が現地で合流することになり、その方が「問題の男性お2人」(刺青&指欠損)を連れてこられたそうです。

 元極妻の私が言うのもアレですが、このお2人が来たら普通はドン引きするのではないでしょうか? このママ友さんは謎すぎます。

 でも、加護さんは報道される前に自らインスタで「楽しい韓国旅行」の様子を発信されてて(現在は削除)、本当に楽しかったようですし、一緒に写っていらっしゃる方も流出するとは思ってなかったかもしれませんね。

「韓国に加護ちゃん来てたから、一緒に撮ってもらった」→「誰かに見せたら流出」な感じでしょうか?

 ネットでは、擁護論とともに「子どもを置いて海外旅行?」「ヤクザと気づかないのはおかしい」「説明の動画で目が泳いでる」などと指摘されてましたね。

 正直いろいろワキが甘いと思わないでもないですが、加護さんはローティーンの頃から芸能界にいて、喫煙問題で事務所から解雇を言い渡された時に「カイコって何ですか?」と聞いちゃうような方だそうですから、「お気の毒」が先に立ってしまいます。

 しばらく地上波のテレビでは干されるかもしれませんが、負けずにがんばってほしいです。

山口組分裂から8年、「再統合」が進展しないワケを元極妻が解説

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

山口組の再統合が進展しないワケ

 既に立秋も過ぎましたが、毎日暑いですね。この時期の定番テーマになってしまった感のある山口組の分裂問題ですが、これからどうなるのでしょうか?

 分裂当初は「長くて2〜3年で元サヤ」と言われてたんですが、「まさか〇年も決着がつかないとは……」と毎年書いてますよね。今年8月で8年です。

 進展しない理由はいくつもあるのでしょうが、過剰な暴力団排除も大きな原因だと思います。ヤクザも身動きが取れないのです。多くの組織の事務所が使えないどころか、どんどん売却されて解体されていますしね。しかも住吉会本部事務所だったビルはとっくに売却されて6月から解体工事も始まっているのに、「移転先不明」で「暴対法に基づく事務所の公示」ができない状態だそうですよ。

 事務所を特定できないと、抗争があっても「事務所使用禁止命令」は出せませんし、オレオレ詐欺の損害賠償とかの裁判もできませんから、警察的には困るんですよね。でもそれってヤクザのせいじゃないですし。

山口組、常に「最終局面」の背景

 微妙に話がそれましたが、山口組の分裂問題です。結論から申し上げますと、当分動きはないでしょうね。

 そもそも「再統合」って、どういう状態なのかというと、神戸山口組が解散するか、あるいは六代目山口組に復帰するかしかないですよね。神戸山口組も人数が減っているとはいえ、まだ警察発表で760人はいますから、けっこうな大所帯です。

 報道も「ついに最終局面」とか、しょっちゅうあおってますが、「最終」とはいつなんですかね? 特にお盆や年末年始は誰が決めたわけでもなく「停戦」な感じです。

 暴排と人材不足と重罰化で、昭和の頃のように街中でドンパチというわけにもいきません。たまに事件は起こっていますが、お互いの致命傷になるようなことはないですね。

 産経新聞OBの尾島正洋さんは「文春オンライン」で、六代目山口組の人数と神戸山口組の人数比較などから「山口組分裂抗争がついに最終局面へ」と去年の1月に書かれてますが、尾島さんほどのキャリアでも予測は難しいということです。

 警察庁「令和4年における組織犯罪の情勢」(3頁)によりますと、分裂した2015年の年末時点の神戸山口組の構成員は約2,800人・準構成員は約3,400人で合計約6,100人(「約」だから誤差が出るそうです)でした。昨年22年末時点では構成員約330人・準構成員約430人の合計約760人ですから、まあほぼ1割まで減っています。

 神戸山口組も割って出た時はそれなりに支持を得ていたのですが、六代目山口組側の「切り崩し」があり、17年にさらに分裂して任俠団体山口組(現・絆會)ができるなどして減っていったようです。

 これに対して六代目山口組の人数は、15年末で構成員約6,000人・準構成員約6,000人の合計約1万4,000人、昨年末は構成員約3,800人・準構成員約4,300人、合計で約8,100人と、神戸山口組ほどではないですが減少しています。

 尾島さんは、分裂時の中心的存在だった山健組が六代目山口組に戻ったこと、資金力のある池田組が神戸山口組から脱退して独立したことなどを理由に「神戸山口組の劣勢」を伝えながら、「神戸山口組の解散やトップの引退はない」という警察関係者の分析を紹介しています。そういうところですかね。

今「ヤクザとして生きる」という選択は厳しい

 解散も引退も当事者が決めることですから、元極妻ごときが何も申し上げることはないのですが、山口組に限らず、今「ヤクザとして生きる」という選択は厳しいですよね。銀行口座もつくれなければクルマも買えず、合法ビジネスからは締め出されてメリットなんか何もないですから。「メリットを求めてヤクザしとるんちゃう」と言い切れる人は少ないでしょう。

 ヤクザも10人いれば10通りの考え方があり、ヤクザをやめたくない、やめられない事情もそれぞれです。やめたところで日本がいい社会になるとも思えないですしね。

 もう亡くなられた大親分が、「ほとんどが実の親の言うことを聞かずにヤクザになったんですから、他人の言うことはなかなか聞けないもんです」とおっしゃっていたのを思い出しました。

みずほ銀行VS「元ヤクザ」裁判のポイントを元極妻が解説! 「犯罪に手を染めない保証」のありかは?

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出所を機に引退するヤクザが増加

 亡きオットの元兄弟分が少し前に出所したのですが、ヤクザを引退したそうです。

 「死んでもヤクザとして生きる」みたいな人だったので、ちょっとびっくりしましたが、これもご時世ですね。もう若くないし、ムショ帰りで「元・暴力団員」ですから、これから大変だと思いますが、健康なのでなんとかがんばるそうです。

 出所を機に引退……というのは珍しくないんですが、最近は多い気がします。でも、ヤクザが減ったからって、治安がよくなるわけはないですよ。むしろ半グレとか「より悪いもの」が出てきます。ていうか、すでにそうなってきてますね。

 「元ヤクザ」の更生支援は、ぜひ国家プロジェクトで進めていただきたいのですが、なかなかそうもいかないようです。

「元ヤクザ」は一生口座をつくれない? 反社の5年条項とは

 前から時々書かせていただいてますが、いわゆる「5年条項」の裁判がもうすぐ始まります。

 元ヤクザが「組織を離脱して5年以上たっているのに口座を開設できないのは不当な差別」として、みずほ銀行に対して損害賠償を請求している件です。みずほ銀行は「契約自由の原則」を主張する方針だそうです。

 7月18日の弁論準備手続きで、みずほ銀行は「契約自由の原則が妥当」「(口座開設の)申し込みに応諾する義務はない」「反社会的勢力の排除は社会的要請で、拒絶に違法性はない」という方針を出してました。

 そうはいっても、警察庁は2022年2月1日に「暴力団離脱者の口座開設支援について」という通達を出してますけどね。

「暴力団の壊滅のためには、暴力団員を一人でも多く暴力団から離脱させ、その社会復帰を促すことが重要」で、「暴力団から離脱した者が、就労先から給与を受け取るための預貯金口座の開設を申し込んだ場合において、過去に暴力団員であったことを理由として排除されることがないよう」「暴力団離脱者の預貯金口座の開設に向けた支援策」も策定してます。

 これについて、みずほ銀行側は「拒絶時点で原告の離脱を把握しておらず、離脱情報を得る方法はない」と主張する方針だそうです。

 要するに「知るか、そんな通達」というわけですが、把握できないことはないと思うんですよ。そんなにたくさんある案件じゃないでしょうし、そもそも離脱は「茨城県警様」が支援してるんですし。

元ヤクザが一生犯罪に手を染めないという保証は?

 とはいえ、私も経営者ならそう考えるかもしれません。「この人が一生犯罪に手を染めないという保証がどこにある?」と思うでしょう、普通。

 もともとみずほ銀行はヤクザに対する「融資」で炎上したこともありますから、ナーバスにもなるってもんでしょう。将来、何かトラブルがあっても、茨城県警様が謝罪や弁償をする保証はない以上、わざわざリスクを取ることもないですし。

 そんなわけで、この裁判は「元ヤクザの更生を支援しないと犯罪者が増えるし……」という意見と、「元ヤクザなんか信用できない。口座なんか誰がつくらせるか!」という意見がぶつかるので、とても注目しています。すごく根本的な問題ですよね。

 判決文だけじゃなくて、準備書面も公開していただきたいくらいです。更生支援が進むような説得力のある判決を期待しておりますので、裁判所におかれましてはナニトゾでございます。

獄中のキャバクラ経営者が逮捕! 元極妻が考える、ムショでの犯罪は可能か?

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アメリカの刑務所で殺人未遂事件

「アメリカの刑務所で殺人未遂だそうですが、日本では聞いたことないですよね」

 編集者さんから聞かれました。「治療」と称して若い選手をレイプしてたアメリカ体操連盟のラリー・ナサール元医師の事件ですね。

 元医師は、7月9日にフロリダの連邦刑務所で首や背中などを10回刺されたそうですが、なんと容体は安定してるとか。原因はムショ仲間との口論のようで、受刑者が刃物を持ってるところがアメリカのクオリティです。

 元医師に対しては約160人が被害を告発して大炎上、禁錮175年の刑を受けてます。これもアメリカではありがちですよね。今59歳で、刑が確定したのは54歳の時ですが、そこからの175年ですよ。これもアメリカらしいですが、刑期の途中で獄死したら残りの刑期は消滅します。

 日本のムショでは性犯罪者はイジメの対象ですが、暴行は陰湿ですね。キズやアザが残らないように寝てる時に顔に放尿するとか、ごはんに体液をかけるとか。

 もちろん、懲役(受刑者)同士でどつくくらいなら日常的ですが、刑務官に「ムカついて」どつくこともあります。

歴史的といえる少年院での事件

 7月5日には、新潟刑務所で刑務官にグーパンした懲役が書類送検されたことがニュースになってました。

 報道によりますと、5月に新潟刑務所の工場で作業中だった受刑者が「刑務官の言動に立腹して」げんこつを一発かまして全治10日間のケガをさせてます。不良ならなんてことないレベルですが、相手は刑務官さんですからね。

 ちなみにけっこう前ですが、歴史的といえるのは少年院の事件です。「説教ばかりで頭にきた」から、お箸を教官のアゴに突き刺した事件です。貫通して1カ月の大ケガだったそうですが、こういうのはなかなかないです。

 逆にメイケイ(名古屋刑務所)のように刑務官が暴行することもありますから、刑務官へのボディカメラ着用のテスト導入を始めてるそうです。メイケイでは昨年、刑務官22人による受刑者3人への暴行が問題になって、このうち13人の刑務官が特別公務員暴行陵虐容疑などで書類送検されてます。このまま起訴されないかもですね。

 ボディカメラは女子刑務所では前から導入してるところもあるそうで、賛否ありますが、カメラを増やせば「不適切」な行動も防げるので、私はアリだと思います。

服役中の逮捕で懲役刑の執行は停止に

 服役中に別の事件を起こして、逮捕勾留されたらどうなるでしょうか。

 一人で「受刑者」と「未決拘禁者」の立場になります。法律(「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」第109条)では、「未決の者としての地位を損なわない限度」で、「拘禁の期間を考慮して可能な範囲で」刑務作業などをさせるとしています。捜査を受けながらも刑務作業は続けて、刑期を「消化」していくということですね。

 でも、これもちょっとどついたくらいならいいですが、大事件の場合は、懲役刑の執行が停止されて拘置所や留置場に移されて取り調べを受けることになります。

 服役中にほかの事件でパクられる(逮捕される)のは、しょっちゅうではないですが、珍しくもないです。最近では、獄中(なか)から手紙でキャバクラ経営を指示した懲役がパクられて移送されてましたね。

 未成年も働かせて、お金の管理もしてたそうです。そんな商才あるのに生かせないのはもったいないし、手紙や面会で指示を出してるのに刑務官は気づかないのか――とかいろんなことを考えてしまいました。

令和のヤクザはより悪い形に進化する? 「家出少女が売春の餌食にされる」と元極妻が予言

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

服役している組員への差し入れや出所祝いは禁止

 6月も終わりに近づいてきたところで、なぜか「ヤクザの賞揚禁止」のニュースが目立ちましたね。抗争で走った(功績を上げた)ことで服役している組員さんに対し、刑務所への差し入れや出所祝いをするな、ということです。

 前からやめるよう命令したり、逮捕したりすることはあったんですよ。例えば2010年には、当時の六代目山口組のナンバー3だった入江禎総本部長が「慰労目的で組員に金品を与えていた」として逮捕されてます。しかもトップの司忍組長は収監中、高山清司若頭が逮捕されたばかりのタイミングでしたから、まあ警察による「脅し」ですね。

 この賞揚の規制は、08年に改正された暴対法(第30条の5)に盛り込まれています。対立抗争で事件を起こした組員を対象に、慰労金や出所祝い金など金品の授受は禁止するということです。罰則は「3年以下の懲役または250万円以下の罰金」(同第47条)で、刑は軽いですし、ヤクザにとって逮捕は仕事みたいなもんですが、報道が続くと「なんかウラにあるのかな?」と思ってしまいます。

 そもそも賞揚がなければ、組のために懲役なんかまず行きません。賞揚を厳しく取り締まったら、抗争で走る組員がいなくなるので、組織の存続も危ぶまれることになります。その結果として抗争が減れば、市民が巻き添えになることもありませんから、警察の狙いはそこかもですね。

昭和の暴力団は北欧みたいな「高負担・高福祉」スタイル

 昭和の頃は、どこの組織もヒットマンになった組員には、裁判費用や刑務所への差し入れ、家族の生活費、出所した時のお祝い金や組織での昇進とかをキッチリやってました。

 大きな組織になると、家を買ってあげるのも普通で、そのために会費(いわゆる上納金)を高くしてる組も昔はありました。プールしておいて、みんなの賞揚のために使うんですね。今はそんなに会費も高くできないと思いますが、北欧みたいな「高負担・高福祉」スタイル(笑)。

 たいていの組員は、貧困や差別、家庭環境の問題でヤクザになりますから、家族との安定した生活は憧れです。抗争でカラダを張り、組織で地位とお金を保証されて、家庭を築くのはヤクザの出世の王道だったのです。

 セコい親分は暴対法の規制を理由に差し入れをしなくなったという説もありましたが、そんなに多くはないと思います。このご時世ですから、金額は減ってるでしょうが、本人がダメなら家族に渡せばいいだけですし、放免(出所)祝いもやってるところはあります。

 でも禁止命令や逮捕の報道が続くと、どうでしょうか? 「賞揚はアカン」というムードが世間的にできてしまうかもしれません。微罪とはいえ、タイトに取り締まられると結構きついですよ。トップが逮捕されて「最長で社会に3年不在」となったら、組織は慎重にならざるを得ません。

 抗争で相手のシマを取り上げて勢力を拡大するのは昭和の話ですが、功労者を慰労できなければ組織としての存在意義がないですよね。それより金融機関の口座も作れず、クルマも買えない人間の集まりで組織を運営するって、もうムリでしょう。

 とはいえ「ヤクザは終わった」とか「絶滅する」とかは思いません。亡くなった宮崎学さんの受け売りなんですが、「より悪い形」に進化すると思います。昭和どころか平成のヤクザは、確かに「終わって」ますが、令和のヤクザは余裕のあるトップを除けば、「より悪い形」になるしかないです。

 今までもあった偽装脱退や半グレとのコラボが主流になり、違法薬物の密売やお年寄りを狙った詐欺や強盗も、ますます広まります。

 全然「ビジネス」じゃない「貧困ビジネス」も増えます。ホームレスや家出少年・少女たちが生活保護の不正受給や臓器売買、売春の餌食にされるとかですね。ホームレスを劣悪な環境のアパートを住まわせて作った住民票や預金口座を使えば、ヤクザをやめなくても合法ビジネスができますし、運転免許証やパスポートを取ったことのあるホームレスなら、再発行させて取り上げればいいのです。

 昭和のほうが過激といえば過激でしたが、なんか単純でしたよね。殺人事件は多くて、1954年の約3,000件から少しずつ減りながら2013年に初めて1,000件を切って以降は、だいたい1,000件前後で推移してます。ちなみに、ヤクザより家族間の殺人のほうが多い傾向が続いていましたが、これからはどうなるかわかりません。

みずほ銀行、元ヤクザの口座開設を拒否――元極妻がツッコミたいポイントは?

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元ヤクザ、「総合的判断」で銀行口座開設できず

 「暴力団」を離脱して5年以上たっているのに、口座開設を拒否された元組員さんが「精神的苦痛を受けた」として、みずほ銀行に対して10万円の損害賠償請求訴訟を起こしていたことが報道されましたね。

 報道によると、原告の元組員さんは2017年5月1日に「県警の支援」で「指定暴力団」を離脱、現在は建設関連の会社で働いているそうです。今年の4月に「みずほ銀行水戸支店」で口座開設を申し込んだら、「総合的判断」の末に開設はできないといわれたとか。

 いろいろツッコミどころはあるんですが、まずはいわゆる「5年条項」ですね。ほとんどの自治体の暴力団排除条例には、組織を離脱してから5年は暴力団員とみなす、という「5年条項」(「みなし暴力団員」ともいいます)の規定があります。

 例えば、今回の茨城県の暴力団排除条例では、条例が適用される「暴力団員等」の定義を「暴力団員及び暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者をいう」としています。文言はどこもだいたい同じですね。

 企業も「5年条項」はまず入れてます。みずほ銀行の場合は「反社会的勢力の排除に係る規定」として、「お客さまが、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロまたは特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という。)に該当し、また次の各号のいずれかに該当したことが判明した場合」としています。

 今どき「総会屋」や「社会運動標榜ゴロ」とかいたら見てみたいもんですが、これらは法務省が使っている表現で、いわゆる「19年指針」(犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」平成19年6月19日)に書かれていて、いろんなところで登場します。

 ちなみに前から謎なんですが、東京都の暴排条例には、この「5年条項」がありません。東京でヤクザしてると脱退後5年でもダメということなのでしょうか?

 そもそも離脱してから5年をどう生きるのかも大変なのに、5年がたってもダメ……とは意味がわからないです。

「5年条項」は、あくまで目安?

 原告の元組員さんは県警の支援を受けて離脱しているのに、ダメというのも謎ですね。元組員さんは、「(元暴力団員という過去)自らの意思によって克服することのできない属性」で、口座開設拒否は「就労の機会を奪い、社会復帰を阻害する不合理な差別」と主張しています。

 ひどい話なんですが、ありがちといえばありがちなんですよね。「5年条項」はあくまでも目安でしかないようです。雇う側としては「5年たったからといって、すぐに信用できるわけがない」ということですね。

 例えば、司法書士や行政書士の試験にパスして開業されている「元・山口組」の甲村柳市先生も、離脱されてから15年以上たっているのに、クルマのディーラーが契約を断ってきたそうです。

 ディーラーの名前を公表してもいいレベルだと思います。先生は、ニュースサイト「ビジネスジャーナル」への特別寄稿の中で「更生できない者たちは、死ぬまで罪を重ね続けるだろう。次の被害者は、今この記事を読んでいるあなたや、その家族かもしれない」と書かれています。ほんとその通りです。甲村先生はご本を出されるそうで、楽しみですねー。

更生を「民暴弁護士」が支援

 冒頭の訴訟の話に戻りますが、個人的には、代理人弁護士さんがいわゆる「民暴弁護士」さんというところも気になりました。ていうか茨城県の民暴委員会(茨城県弁護士会民事介入暴力対策委員会)が支援してるんですね。

 「ミンボー」というと、暴力団を排除する側のイメージしかないのは私だけでしょうか。最近は「暴力団排除」もビジネスとしてもうかるといううわさです。社内に「コンプライアンス委員会」を置く会社も多く、弁護士さんが顧問やアドバイザーに就任しています。この顧問料だけでも結構いくようです。あくまでうわさですけどね。

 今回の訴訟の代理人弁護士さんは、「暴力団排除」で茨城県から表彰されていて、単に排除するのではなく、「その後」も支援されているということなんでしょうか?

 この弁護士さんは、「毎日新聞」の取材に対して「口座開設を拒否されたことを理由に、元組員が金融機関を相手取り訴訟を起こしたケースは全国で初めてではないか」とコメントしています。

 請求額は10万円と「お金が目当てじゃない」アピールもあって、この裁判をきっかけにこうした支援が進むといいですね。

 一方のみずほ銀行広報室は、「事実関係や当社の主張は裁判で明らかにする」とコメントしていますから、どんな主張をされるのか、楽しみです。みずほ銀行といえば一時期続いてたシステム障害の改善について、社長さんが「東京新聞」のインタビューに対し、半笑いのような顔&タメ口で答えたことが話題になったのも思い出しました。

ヤクザが「ETCパソカ使わせないのは違法」と国を提訴! 元極妻が「世知辛い」と語るワケ

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

「ETCパソカを使わせないのは違法」とヤクザが提訴

 以前から注目していたヤクザのETCパーソナルカード(パソカ)の使用禁止問題について、5月17日にヤクザが名古屋地裁に提訴したことが報道されましたね。

 「朝日新聞」によると、訴えたのは六代目山口組傘下組織の50代の組幹部の方だそうです。「六代目山口組」ではなく、あくまでも「傘下組織」なんですね。これはかなり珍しいと思います。

 この組幹部氏は、国とNEXCO東日本など6社に対して、パソカを使わせないのは違法として、「会員資格の取り消し無効」の確認と、精神的苦痛の損害賠償として143万円を請求したそうです。パソカが使用できないことで事実上高速道路が使えなくなること、公共性の高いインフラから「暴力団」を排除するのは不合理な差別であることが「公序良俗に反する」としています。

 話はそれますが、こういう報道で毎回おかしいなーと思うのは、被告側のコメントですね。「NEXCO東日本の広報担当者」さんは「訴状が届いておらず、コメントは控える」としたそうですが、こういうコメントをされた方が、訴状が届いてからコメントされたことはあったのでしょうか。

 その点、「国土交通省高速道路課の担当者」さんは「とくにコメントはない」としていて、ある意味潔いですね。「お役人としては正しい態度」だと思いました。褒めてはいないです。

「高速を車で走るのに、やましいことは何もしていない。身分を偽るウソをつくような『ヘタうち』もしていない。それでも暴力団員であることだけを理由にETCを使わせないというなら、徹底的に争うことになる」

 昨年の12月7日付の「朝日新聞」は、現役ヤクザの「闘争宣言」を紹介していて、国賠(国家賠償訴訟)だなと思っていました。過剰な暴力団排除がまかり通る中での法廷闘争となるでしょうから、とても興味があります。

代理人弁護士は弁護士が選ぶ弁護士5位!

 また代理人の弁護士さんがすごいんですよね。「弁護士が選ぶ弁護士ランキング」の刑事部門5位の金岡繁裕先生だそうです。

 先生はブログで、最近のヤクザの微罪逮捕は「やり過ぎというか、馬鹿げている」としていて、「所属する団体の属性や、来し方行く末の違いで、人権保障に差があってはならない。そのこと自体に異論はないはずであり、この種の事案の、弁護士層の受け皿が限られ(限られているから、うちに持ち込まれるわけである)、受け皿が限られるが故に被害者が司法救済を求める声を上げづらくなる、という悪循環共々、上記のような行きすぎを抑止することが、弁護士の職責であろう」と書かれています。

 「行きすぎを抑止することが、弁護士の職責」とおっしゃるまっとうな弁護士さんがなぜ少ないのか、というのも含めて、いろんな議論が出てくるといいですね。

他人名義のETCカードで280円騙し取って逮捕

 ちなみに以前も書いてますが、「パソカ」は銀行口座から高速道路の利用料を引き落とすサービスで、保証金を納めて登録すればクレジットカードがなくても使えます。前は暴排条項もありませんでした(今はあるそうです)。これに対して、クレカ決済の「ETCカード」は暴排条項があるのでヤクザは使えないんですよ。

 提訴当日の5月17日には「他人名義のETCカードを使い、高速道路を割引料金で走行した」として「暴力団関係者」の逮捕も報じられています。

 ちなみにインチキした割引料金は「280円」だそうで、まあ日常的に使っていれば結構な額にはなるんでしょうけど、今回はあくまで「280円」です。この一件のために、どれだけの税金が使われるのでしょうか?

 去年は似たような事件が不起訴となりましたが、今回は起訴されるようです。個人的には「世知辛いなあ」という感想しかないです。

銀座のロレックス強盗事件、元極妻が「逮捕された子はこれから大変」と語るワケ

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

銀座のロレックス強盗事件で逮捕された4人は全員20歳未満

 連休明けの5月8日に起こった銀座の強盗事件、後追い記事がけっこう出てますね。夕方の銀座で仮面をつけた犯人たちが高級腕時計店のショーケースを割ってロレックスを強奪、クルマで逃走するところまで通りすがりの人たちに撮影されて、ネットで出回ってるんですから、驚きましたね。しかも逮捕された4人はみんなハタチ未満。高校生もいましたから、「闇バイト」の可能性を含めて「指示役」の存在が指摘されていました。

 でも、逮捕された4人はお互いを「知らない」と言っているのに住所は同じ横浜市内なので、おかしいなと思ってましたら、やっぱり知り合い説が出てきました。「週刊新潮」(新潮社)によると、「元・暴走族」の先輩的な人がいるようです。

稚拙さばかりが目立つ事件

 今までのいわゆる闇バイト系の事件も、高齢の女性に執拗に暴力を振るうとか、いかにもプロっぽくない感じでしたが、銀座の事件も稚拙さばかりが目立ちましたね。

 ハッカー集団「アノニマス」のトレードマーク「ガイ・フォークス・マスク」や、YouTuberのラファエルさんがつけてるような白いマスク姿はシュールとしかいえませんでしたが、アメリカならソッコー射殺案件でしょう。

 すでに報道でいろんな方が指摘されてることですが、クルマで逃走中に赤信号で止まるのもあり得ないですし、盗品は独自のルートがないと売れないし、そもそもソッチ系の業者からは買い叩かれますし、謎が多すぎ。しかし、「若い子の思いつき」と言われれば納得です。

 今回は死傷者が出なくてよかったですが、逮捕された子たちはこれから大変ですよ。少年法の改正により、18歳・19歳が厳罰化されていますし、執行猶予はつかないで刑務所行きの可能性もあります。もちろん奪ったモノやお金が回収されても、窃盗罪や強盗罪はそのままです。

 18歳から19歳の犯罪は、少年法改正で「20歳以上」と同じ扱いになる可能性が高くなってますから、普通の刑法の強盗(第236条)が適用されます。「5年以上の有期刑」、有期刑の最高刑は20年までなので「5年から20年」ということです。

 まあ初犯ですし、さすがに20年てことはないでしょうけど、問題はその後です。出所後の仕事はまずないし、今回犯罪を指示したらしい「コワイ先輩」との縁が切れなければ、また犯罪に手を染めるかもしれません。

 4人のうち16歳の容疑者は少年院か保護観察処分で、親御さんが損害賠償責任を問われる可能性もありますが、盗まれたものはほとんど戻ってきてるみたいなので、これは大丈夫かも。

「強盗」は超・割に合わない

 任俠(=弱きを助ける)を自称するヤクザも強盗(タタキ)をやらないわけではないのですが、罪が重くて「間尺に合わん(=割に合わない)仕事」といわれています。

 例えば、「組織のために」「親分のために」とか、「本当はイヤだけどやらなくちゃ的な殺人」とかは、昔なら褒賞的な組織内の昇進とかがありましたが、今はそういうのもないですしね。

 毎度同じ結論で申し訳ないですが、今回の事件や闇バイトなど「ヤクザ以外の勢力の事件」が起こっているのは、ヤクザの存在感が弱まっているからです。「暴力団」を排除すれば、「ヤクザ以外の悪い人」が出てくるのは当たり前で、現場の警察官はちゃんとわかってます。わかってないのは「暴力団員」と話したことすらないエリートの警察官僚ですね。

 排除したところで、今みたいに半グレはどんどん出てくるし、事務所を取り上げたら捜査がしにくくなるしで、いいことはないんじゃないかなと思います。相次ぐヤクザ事務所の閉鎖で捜査が難しくなっている問題も気になっているので、また書かせてくださいね。

「現役組長ラーメン店主射殺事件」を元極妻が解説! ヤクザをやめたくてもやめられないワケとは?

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

ヤクザウォッチャーからラーメン好きまで注目の事件

 連休前に、いきなりすごい事件が起こりましたね。4月22日に神戸市内のラーメン屋さんの大将が射殺されたのですが、この方が現役のヤクザ、しかもあの「弘道会」の傘下組織の組長だったことで、結構な騒ぎになってしまいました。

 弘道会とは、今の山口組のトップ(六代目山口組・司忍組長)の出身母体で、山口組の中核組織です。暴力団排除が厳しい昨今、三次団体とはいえ、山口組の傘下組織の組長がラーメン屋さんを経営できるのがまず驚きですね。

 しかも「口に拳銃を入れて撃たれた」(!)というマフィア映画みたいな話、地元やネットでは評判の「安くておいしいラーメン屋さんだった」説、「みんなに慕われるやさしい大将だった」説など、情報が多すぎて、ヤクザウォッチャーからラーメン好きさんまでいろんな人から注目されています。

「銃をくわえさせて」撃ったとは思えない

 報道によりますと、被害者の余嶋学さんは、ランチタイム前の仕込み中にお店で撃たれています。パートさんが出かけていて、1人の時を狙われたようです。防犯カメラには、黒い服の男性らしき映像も残っているんですね。

 余嶋さんのご遺体には目立った外傷はなかったそうですから、いきなりお店に入って「ズドン」だったのではないでしょうか。それが、たまたま頭に当たったのだと思います。

 パートさんが出た隙を狙ったのは、パートさんまで殺したら確実に死刑だからでしょう。「一人殺害」なら有期刑の望みもあります。つまり、あっという間の「仕事」でした。

 司法解剖で余嶋さんの頭から銃弾が出て、死因は脳損傷とされましたが、発見当初は頭から血を流していて病死も疑われたそうです。

 県警は「頭に弾丸をキチッと入れるなら、口から撃ったのだろう 」と判断したようですが、どうですかね。

 すでにいろんな臆測が飛び交ってますが、私は懲役太郎さんの説を取りたいです。

 普通(というのもアレですが)、銃口をこめかみや口に当てるのは、「脅し」なんですよ。さんざんヤキを入れてから、銃口を向けて「どうする?」と聞くんです。それで金庫の鍵の隠し場所とか親分の居場所とかを「吐かせる」んです。

 ボコられた段階でかなりメンタル弱ってますから、聞きたいことを聞ければ、わざわざ殺すことまではしないと思います。

ヒットマンは「六代目山口組関係者」?

 いろんなメディアがいろんなことを書いてますが、余嶋さんがラーメンの研究に熱心で、人柄がよかったというのは共通していますね。そして、ヤクザのシノギは厳しくて、ヤクザをやめたいけどやめられない……と周りに言っていたようです。

 やめられない理由はいくつかあったと思いますが、山健組系の多い神戸市内で唯一の弘道会系ということも理由のようです。山健組は弘道会と対立関係にあります。

 ラーメン屋さんは生活のために始めたようで、「神戸新聞」は 「すぐに開けられるから、ラーメン屋やってるやくざはけっこう多い」「ヤクザや警察関係者は余嶋組長の店と知っていた」「けっこううまいと話題になっていた」 などと「捜査関係者」の話を紹介しています。

 これが事実なら、余嶋さんはかなりムリしてましたね。調理器具の調達はともかく、定期的な食材の仕入れ、お店の賃貸契約や確定申告は現役ではできませんから、ほかの誰かの名義にしなくてはなりません。お店の前には黒塗りの高級車が長時間止まっていたり、車両特攻があったりしたようですから、まあいろいろあったのでしょう。

 また、弘道会が組葬を行ったことも報道されていますが、なぜか弘道会はこの件は様子見で、「待機」を指示しているとか。 本来は、自分たちの身内を殺されたので、すぐに犯人探しとカエシをすべきなんですが、なぜか待機指示なので、これまた臆測が飛び交っているようです。

 そして犯人ですが、もうネットでは同じ六代目山口組系組織の名前が出てますね。

 これが本当なら山口組同士という「身内の犯行」ですから、誰が責任を取るかでモメそうです。理由は「怨恨説」が強いようですが、どうでしょうか。

 引き続き、事件の行方を見守りたいですね。そして余嶋さんのお店のラーメンは安くておいしかったそうで、いろいろ残念です。衷心よりお悔やみ申し上げます。