“炎上絵本作家”のぶみが総長だった「池袋連合」って実在したの? 瓜田純士に聞いてみた!

 人気絵本作家・のぶみ氏(39)が作詞した「あたし、おかあさんだから」をめぐる騒動(記事参照)が収まらない。当初は歌詞の内容に関する炎上だったが、そこから延焼する形で真偽を取りざたされているのが、のぶみ氏の「池袋連合という暴走族を束ねる総長だった」とのプロフィールだ。果たして池袋連合という暴走族は実在したのか? この手の疑問は、あの男に聞くのが一番だ。のぶみ氏の1つ年下で、都内の有名不良だった“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士(38)に緊急電話取材!

――ちょっとお尋ねしたいことがあり、お電話しました。

瓜田 なんでしょう?

――「池袋連合」という暴走族をご存知ですか?

瓜田 聞いたことないですね。いつの時代の話ですか?

――瓜田さんが16歳か17歳の頃だと思われます。

瓜田 ってことは1990年代後半、俺がちょうど稼業入りした頃ですね。

――はい。「池袋連合」は、瓜田さんの1つ年上の「のぶみ」という方がリーダーで、彼が18歳になる直前まで、中池袋公園を根城に160~200人の勢力を誇っていたそうです。

瓜田 初耳ですね。俺の記憶が正しければ、池袋界隈の暴走族だと、古くは「群龍會」「龍神會」あたりが有名です。あと、これは暴走族じゃなくてチーマーだけど、俺の3つ4つ上くらいの世代だと、「変態倶楽部」っていうチームが90年代後半に幅を利かせてましたね。で、そのあと彗星の如く現れたのが「全日本TC連盟」という暴走族です。

――聞いたことがあります。

瓜田 「全日本TC連盟」は昔からある有名な暴走族で、しばらく休眠状態だったんですが、俺の1つ上の世代が、90年代後半に短期間だけ復活させたんですよ。その中には「巣鴨麗心愚(とげぬき麗心愚)」とかいう、なかなかボキャブラリーセンスのあるチームもあって、池袋、巣鴨、大塚あたりでよく走ってました。

――そのほか、90年代の池袋界隈で有名だった暴走族は?

瓜田 「ワード」ってのもいたし、「豊島連合」ってのもいました。あとこれは暴走族じゃないけど、「Florence13」っていう赤ギャングもいましたね。石田衣良原作のクドカンのドラマ『池袋ウエストゲートパーク』のモデルになったとウワサのカラーギャングです。そんなところでしょうか、池袋と聞いて、俺がパッと思い出せる不良グループは。

――つまり、「豊島連合」は存在したけど、「池袋連合」は存在しないんですね?

瓜田 いや、そうとも言い切れません。というのも俺は当時、都内の第一線で不良をやってたつもりだけど、自分が一番だと思って周りが見えない状態だったから、もしかしたら俺が勉強不足で知らないだけで、そういう活動を行ってる奴らが、どこかに実在したのかもしれない。だから、俺が見た世界だけで「ない」と言い切るのは失礼かな。

――なるほど。

瓜田 ただ、仮にそういう奴らがいたとしたなら、当然、俺の存在は知ってたはずだし、俺の目の前に現れて挑発したりケンカを売ってきたりは、まずありえないことです。そういう接触がなかったら知らないわけで。あったら当然、知ってますから。それが答えです。で、その“池袋連合のなんちゃら”ってのが、どうしたんですか?

――この人なんですが(と言って、のぶみ氏の騒動を報じる記事をメール送信)。

瓜田 届きました。

――この顔に見覚えは?

瓜田 いや、まったく。(記事を読みながら)ふ~ん、絵本作家なんだ。すごいな、『情熱大陸』(TBS系)にも出てるんだ。この人が今、叩かれてるんですか?

――そうなんですよ。

瓜田 そいつの過去がなんであれ、ほじくり返すのは野暮ってもんでしょ。大切なのは、過去よりも今だから。子ども相手に本を作るなんて、素晴らしいことじゃないですか。こいつに限らず、昔ワルかった奴ら全員について思うことだけど、そいつが改心や更生をしたんなら、そこだけを見てあげたいし、見てほしいと思いますね。俺は自分も更生中の身だから、特にそう思いますよ。

――「池袋連合」がウソだとしても許容できますか?

瓜田 暴走族じゃなくて妄想族だったとしても、そういう妄想力があるからこそ、子ども向けの作品をたくさん作れるのかもしれないじゃないですか。絵本だかなんだか知らないけど、見栄晴みたいな顔して頑張って作ってるんだから、成功してるんだったらそれはすごいことだし、応援してあげたいと思いますよ。

――添付した歌詞が今、世の中の多くのママを怒らせているのですが。

瓜田 今ざっと読んだけど、そいつにとってのお母さんがこう、ってことを歌詞にしただけでしょ。そんなの十人十色。「何が正しいお母さんか」なんてことに、正解はないわけで。これを不特定多数が見たり聞いたりするところに投げ込んじゃったからたくさん反感を買ったみたいだけど、寄ってたかって叩くようなことでもないでしょ。個人的にはどうでもいい問題というか、まったく興味ないですね。

 * * *

 不良の世界の話だけに、ムキになって糾弾するかと思いきや、意外と優しい瓜田であった。さすが“キング・オブ・アウトロー”!
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。
http://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/

※瓜田純士公式ブログ
http://junshiurita.com

※瓜田純士&麗子Instagram
https://www.instagram.com/junshi.reiko/

“炎上絵本作家”のぶみが総長だった「池袋連合」って実在したの? 瓜田純士に聞いてみた!

 人気絵本作家・のぶみ氏(39)が作詞した「あたし、おかあさんだから」をめぐる騒動(記事参照)が収まらない。当初は歌詞の内容に関する炎上だったが、そこから延焼する形で真偽を取りざたされているのが、のぶみ氏の「池袋連合という暴走族を束ねる総長だった」とのプロフィールだ。果たして池袋連合という暴走族は実在したのか? この手の疑問は、あの男に聞くのが一番だ。のぶみ氏の1つ年下で、都内の有名不良だった“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士(38)に緊急電話取材!

――ちょっとお尋ねしたいことがあり、お電話しました。

瓜田 なんでしょう?

――「池袋連合」という暴走族をご存知ですか?

瓜田 聞いたことないですね。いつの時代の話ですか?

――瓜田さんが16歳か17歳の頃だと思われます。

瓜田 ってことは1990年代後半、俺がちょうど稼業入りした頃ですね。

――はい。「池袋連合」は、瓜田さんの1つ年上の「のぶみ」という方がリーダーで、彼が18歳になる直前まで、中池袋公園を根城に160~200人の勢力を誇っていたそうです。

瓜田 初耳ですね。俺の記憶が正しければ、池袋界隈の暴走族だと、古くは「群龍會」「龍神會」あたりが有名です。あと、これは暴走族じゃなくてチーマーだけど、俺の3つ4つ上くらいの世代だと、「変態倶楽部」っていうチームが90年代後半に幅を利かせてましたね。で、そのあと彗星の如く現れたのが「全日本TC連盟」という暴走族です。

――聞いたことがあります。

瓜田 「全日本TC連盟」は昔からある有名な暴走族で、しばらく休眠状態だったんですが、俺の1つ上の世代が、90年代後半に短期間だけ復活させたんですよ。その中には「巣鴨麗心愚(とげぬき麗心愚)」とかいう、なかなかボキャブラリーセンスのあるチームもあって、池袋、巣鴨、大塚あたりでよく走ってました。

――そのほか、90年代の池袋界隈で有名だった暴走族は?

瓜田 「ワード」ってのもいたし、「豊島連合」ってのもいました。あとこれは暴走族じゃないけど、「Florence13」っていう赤ギャングもいましたね。石田衣良原作のクドカンのドラマ『池袋ウエストゲートパーク』のモデルになったとウワサのカラーギャングです。そんなところでしょうか、池袋と聞いて、俺がパッと思い出せる不良グループは。

――つまり、「豊島連合」は存在したけど、「池袋連合」は存在しないんですね?

瓜田 いや、そうとも言い切れません。というのも俺は当時、都内の第一線で不良をやってたつもりだけど、自分が一番だと思って周りが見えない状態だったから、もしかしたら俺が勉強不足で知らないだけで、そういう活動を行ってる奴らが、どこかに実在したのかもしれない。だから、俺が見た世界だけで「ない」と言い切るのは失礼かな。

――なるほど。

瓜田 ただ、仮にそういう奴らがいたとしたなら、当然、俺の存在は知ってたはずだし、俺の目の前に現れて挑発したりケンカを売ってきたりは、まずありえないことです。そういう接触がなかったら知らないわけで。あったら当然、知ってますから。それが答えです。で、その“池袋連合のなんちゃら”ってのが、どうしたんですか?

――この人なんですが(と言って、のぶみ氏の騒動を報じる記事をメール送信)。

瓜田 届きました。

――この顔に見覚えは?

瓜田 いや、まったく。(記事を読みながら)ふ~ん、絵本作家なんだ。すごいな、『情熱大陸』(TBS系)にも出てるんだ。この人が今、叩かれてるんですか?

――そうなんですよ。

瓜田 そいつの過去がなんであれ、ほじくり返すのは野暮ってもんでしょ。大切なのは、過去よりも今だから。子ども相手に本を作るなんて、素晴らしいことじゃないですか。こいつに限らず、昔ワルかった奴ら全員について思うことだけど、そいつが改心や更生をしたんなら、そこだけを見てあげたいし、見てほしいと思いますね。俺は自分も更生中の身だから、特にそう思いますよ。

――「池袋連合」がウソだとしても許容できますか?

瓜田 暴走族じゃなくて妄想族だったとしても、そういう妄想力があるからこそ、子ども向けの作品をたくさん作れるのかもしれないじゃないですか。絵本だかなんだか知らないけど、見栄晴みたいな顔して頑張って作ってるんだから、成功してるんだったらそれはすごいことだし、応援してあげたいと思いますよ。

――添付した歌詞が今、世の中の多くのママを怒らせているのですが。

瓜田 今ざっと読んだけど、そいつにとってのお母さんがこう、ってことを歌詞にしただけでしょ。そんなの十人十色。「何が正しいお母さんか」なんてことに、正解はないわけで。これを不特定多数が見たり聞いたりするところに投げ込んじゃったからたくさん反感を買ったみたいだけど、寄ってたかって叩くようなことでもないでしょ。個人的にはどうでもいい問題というか、まったく興味ないですね。

 * * *

 不良の世界の話だけに、ムキになって糾弾するかと思いきや、意外と優しい瓜田であった。さすが“キング・オブ・アウトロー”!
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

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実証!!“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士に取材を申し込んで、記者が「遅刻」したらどうなる……?

“キング・オブ・アウトロー”こと作家の瓜田純士(38)が、森羅万象を批評する不定期連載。今回のお題は、松岡茉優が映画初主演を務め、第30回東京国際映画祭で観客賞を受賞した『勝手にふるえてろ』(綿矢りさ原作、大九明子監督)だ。瓜田の苦手なラブコメ分野ゆえ、ただでさえ怒り出す危険性大なのに、記者が上映開始時刻に遅刻する失態まで犯してしまい、ふるえが止まらない取材となった。

 19歳で芥川賞作家になった綿矢りさの恋愛小説を実写映画化した『勝手にふるえてろ』は、「恋愛に臆病で妄想力が強いOLのヨシカ(松岡茉優)が、タイプの異なる男性イチ(北村匠海)とニ(渡辺大和)の間で揺れながら、傷だらけの現実を突き抜ける暴走ラブコメディ」との触れ込みだ。

 アウトローとラブコメ。そのギャップを楽しむ企画趣旨だったが、取材当日はまったく笑えない状況になってしまった。

「とっくにロビーに着いてますけど、どこにいるんすか……?」

 そんな瓜田からのメールの着信音で目が覚めたのだ。時計を見ると18時22分。映画が始まるのは18時30分。ヤバい! 記者は顔面蒼白になった。

 相手が普通の人なら「すいません、寝坊しました。予約番号と暗証番号を伝えますから、機械で発券して先に入場してください」で済むのかもしれないが、相手が瓜田となると、そうはいかない。「なんで寝坊した人間の指図で、俺がそんな面倒くせえ作業をしなきゃならないんだ!」と怒り出し、帰ってしまうのは確実だからだ。

 自宅から映画館までの距離は約800メートル。急げばまだ間に合うかもしれない。いや、間に合わなかったら大変な目に遭う。焦った記者は、「至急向かいます」とだけ返信し、靴下と靴を履く間を惜しみ、裸足にサンダルで氷点下の街へ飛び出した。

 到着したのは18時32分。ロビーに仁王立ちし、鬼の形相で待ち構えていた瓜田から、さっそく雷を落とされた。

「なんだ、その寝癖は! 呼び出しといて寝坊かよ。最低最悪な野郎だな!」

 同伴の麗子夫人もブンむくれだ。

「もう映画始まってんで。ウチ、途中から見るの嫌いやねん!」

 そんな2人に平謝りしつつ、オンライン予約していたチケットを急いで発券し、場内へ滑り込む。のちに劇場スタッフに聞いたところ、「チケットは毎回完売が続いている」とのことで、この日も実質的には満席状態。

 しかし記者は、瓜田の隣に座るのが怖かったため、そして反省の態度を示すため、座席には座らず、通路に座って鑑賞を開始した。どうか面白い映画でありますように……。

 以下は、上映終了後に近所のしゃぶしゃぶ屋で行ったインタビューである。

 * * *

――改めてお詫びいたします。本日は大変失礼いたしました!

瓜田純士(以下、純士) 来なかったらハイキックとパウンドでブッ殺すところでしたよ。

――危ないところでした。

純士 「危なかった」ってのは間に合った人間の言うセリフだろ! 結局、何分か遅刻してるじゃねえか!

――誠に申し訳ございません!

純士 俺はラブコメが嫌いだし、しかも遅刻までされて爆裂ムカついてたから、「よし、ボロクソにけなしてやろう!」と思って映画を見始めたんですよ。序盤はふざけた感じのシーンが多かったから、「こんなもんあと2時間も見なきゃなんないのかよ。ざけんなバカ野郎!」と思った。で、斜め前の通路を見たら、遅刻したバカが座ってる。まさに“蹴りたい背中”でしたよ。ところが悔しいことに、主演の女の子の絶妙なこじらせ具合とか、ニって男の絶妙なイタい間(ま)とかが、嫉妬しちゃうレベルの面白さで。原作がいいのか監督の見せ方が上手いのか、途中からグイグイと物語に引き込まれてしまいました。本物のこじらせ女子には書けない作品というか、本物のこじらせ女子を客観的に見ることができる人のみが書ける作品という印象ですね。すっげえ面白かったです。

――楽しんでいただけて何よりです。『蹴りたい背中』という言葉が出たということは、綿矢りさをよくご存知なんですか?

純士 20代半ばの頃、刑務所に入ってるときに『蹴りたい背中』を官本(編注:刑務所が無料で受刑者に貸し出す本)で読んだんですよ。内容はあまり覚えてないけど、若いのにすごいな、と思ったことだけは覚えてます。あと『インストール』も途中まで読んだけど、今回の『勝手にふるえてろ』は未読です。でもきっと、原作がめちゃくちゃ面白いから映画も面白いんだと思いますね。

瓜田麗子(以下、麗子) ウチはこの映画を見て、ヒロインマジックってすごいな、と思った。あの主役の女の子は最初、アジアンの隅田にしか見えへんかったのに、それが吉高由里子になり、最後は満島ひかりになってたから、すごいよね。どんどん可愛くなっていくねんもん。

純士 その視点なんだな、女子は。俺の視点は違う。あのヨシカっていう主人公は、釣りのおっちゃんに向かって「SNSに何かを書くのは恥」とか言ってたけど、なりすましてた別人のSNSでは自殺をほのめかしたりしてましたよね。そのへんの複雑な人間心理にも焦点を当ててるあたりに感心した。やっぱ俺も物書きだから、原作者の文章はすごかったんだろうな、ってところをまず想像しちゃうんです。ヒロインのビジュアルよりも、これを表現するには原稿用紙を何枚使ったんだろう? ってことを、まず考えちゃう。作者に対する尊敬の念を抱きながら映画を見てました。もちろん、ヨシカを演じた女優もすっごく上手かったですけどね。俺は原作を読んでないけど、きっとあの子は原作を隅々まで読んで、原作者の意図を汲み取って、自分なりに咀嚼して、演じ切ったんだと思う。

――あの子、松岡茉優という売れっ子なんですが、ご存知なかったですか? 映画は今回が初主演ですが、ドラマでは何度も主役を張っていますよ。

麗子 全然知らへんかった。ウチ、ドラマはあんま見ぃへんから。

純士 俺も初めて見たけど、いい女優だね。

麗子 演技が自然やから、肩の力を抜いて見れたわ。

純士 あと、監督の手腕もすごいと思いましたね。

――具体的にはどういう点が?

純士 信号機のメロディや卓球の音を効果的に使ったり、弱ったヨシカがオフィスの廊下を歩きながら壁に向かってアンモナイトを撫でるような仕草を見せたり。とにかく終始気の利いた、飽きさせない描写があったじゃないですか。芸が細かいし面白いなぁ、と感心しましたよ。あと、ヨシカとニが変なクラブで初デートしたとき、ニが反復横跳びを始めるでしょ。それをヨシカが「おいおいマジかよ」といった感じで冷めた目で見てる。ああいう、観客まで恥ずかしくなって冷や汗をかいちゃうような場面が多々あったじゃないですか。そのあたりの表現方法も巧みでしたね。

麗子 ウチも序盤は遅刻の件でイライラして、なかなか集中できへんかったけど、反復横跳びのあたりから作品の世界に入り込むことができた。でもヨシカは、あの男とは幸せにはなれへんと思ったわ。あの男は、追いかけてる自分が好きなだけやから。

純士 結局、出てくる人間はどいつもこいつも身勝手で自己中極まりないんですよ。こじらせた奴って、絶対に自己中なんですよ。それが今回わかったことですね。うちの嫁が言う通り、ニは相手が好きというより、自分が好きだから自分の恋愛を成功させたいだけ。だから相手の迷惑を顧みない。

麗子 ニみたいな男は絶対、相手が振り向いた瞬間に、浮気はするわ、連絡はおろそかになるわ、亭主関白になっていくわ、ってタイプやと思うわ。

純士 ヨシカはヨシカで、常に相手のことなんか考えてなくて、ニのことも最初は「私の世界に勝手に現れやがって!」ぐらいに思ってる感じだった。小さな頃から見下されて育ってきたせいか、「自分のこんなちっちゃい脳内世界を私なりに守って生きてきたのに、その暮らしを脅かす奴が勝手に現れやがって!」という被害者意識を持ってて、相手の心中を読もうとしない。ぶっちぎりで自分脳なんですよ。でもそこが面白かった。

――面白い、というのはどういう意味で?

純士 滑稽であると同時に、共感できるんですよ。火事になりかけたシーンなんかは、結構グッときました。あんな小さなライフスタイルだけど、この生活を壊されてたまるかとばかりに飛び起きて、必死で消火するところの奮闘ぶりがよかった。ああいう子たちほど、自分の生活をすごく大切にしてるんだという、生への執着が微笑ましかったですね。

麗子 あの子はあの子で不幸を演じてても、それをすごく楽しんでるんやろうなと思ったわ。

純士 10年間思い続けてたというわりに、おまえの好きってその程度のもんなの? と思えるシーンもあったじゃないですか。現実のショックのほうが、相手を思う気持ちよりもデカかった。つまりあの子は、自分のほうが可愛いんですよ。思い通りにならないことには首を突っ込まないようにしてるだけで、すべて思い通りにいくことだけに手を出す。それが、こじらせた奴の法則なんです。

麗子 ニと一緒やねんな。

純士 そうそう。似た者同士なんです。相手のことを考えずに勝手に変なプレゼントを贈ったり。だいたいやってることは一緒です。それを客観的に描けてる作品だから面白かった。

――そういうタイプの人々を、瓜田さんは毛嫌いするかと思ったのですが。

麗子 確かに。純士が私以上にケラケラ笑ってるから、ビックリしたわ。こういう映画、一番苦手なはずやったのに。

純士 こじらせ女子とか腐女子とかオタクのことを、これまでさんざんバカにしてきたけど、今はそういう気にはなれないですね。ああいう子たちは自分を基準に生きてるから、自分の基準値を上回る面倒な出来事や人に対しては、生理的に受け付けないような態度を取る。「ああ、やだやだ」とか言って。たとえば、このクソ寒い時期に、街頭で上半身裸になって踊ってる外国人がいたら、ポジティブな人や普通の女子は「なんかのお祭りかな? 楽しそう!」となる。でも、こじらせ女子はそうならない。「え、マジないわ」と、いきなり否定するんですよ。その脳が、俺にはものすごくわかるんですよ。

――それはなぜですか?

純士 最近気付いたんだけど、俺も似たような人種だからです。俺は不良の世界で一等賞クラスで輝いてきたんだ、おまえらこじらせ女子や腐女子やオタクどもとは、まったく違うんだ、と自分に言い聞かせてきたけど、実はそいつらに限りなく近かったという(笑)。

――そうなんですか。

純士 身の丈を知って夢を早い段階で諦めてサラリーマンになったりする人が多い中、俺はずっと中2脳でここまできちゃってる。夢を諦めるなんてまっぴらご免だ、俺は結構いい線いってるじゃないか、と。この映画の主人公らはルックスが地味だから妄想だけでとどまってる人たちだったかもしれない。俺も同じ自己中妄想タイプだけど、俺の場合、現実世界でも結構いい線いけちゃったりするから、より分別がつかなくなってるというか、より一層こじれてるんですよ。

麗子 純士はルックスがええから、アウトローのカリスマとか呼ばれるようになったしな。

純士 そういうことなんですよ(笑)。子どもの頃はヤクザを見て憧れてるだけだったのに、俺はルックスがよくてハッタリも効くもんだから、気付いたら街を歩いてる人たちから「そっちの人だよね?」と思われるようになっちゃった。でも元を辿れば単なるアウトローに憧れた子どもでしかなく、ただのアウトローオタクだったんです。俺も奴らも似たような脳内なんですよ。

麗子 純士はオタクっぽい上、人との距離感を測るのが苦手で、すぐ人を拒絶するとこもあるもんな。

純士 そういうこじらせ脳の奴らってのは「初恋の相手を振り向かせたい」とかいう、めちゃくちゃ自分勝手で図々しい願い事を平気で脳内に持ってたりする。しかも、何事も自分の思い通りに行くと思ってるフシがあるんですよ。ジャニオタがジャニーズのメンバーと付き合えるかもしれないとうっすら思ってるようにね。卑下してるようでいて、案外イケてると思ってる。その優越感で生きてるんですよ。だから自分らの考えに反するものたちを、この映画の主人公のように「え、ないでしょ。マジで無理無理!」と平気で排除しようとする。俺もそうだけど、擦れてるんですね。素直じゃないんです。

――なるほど。

純士 だけど映画の最後のシーンで、ヨシカがとうとう人間としての本能的な行動に出たじゃないですか。途中でも何度かそういうシーンがあったかな。「付き合おうか」と言ってみたり、屋上で抱きついてみたり。計3回ぐらい、本能的な行動に出た。こじらせ女子ぶってても、あれが絶対、人間の最終的な行動というか、本音の行動なんですよ。その「普段は自信がないから妄想の世界に逃げ込んでるけど、たまに本音が出てしまう」ところに人間臭さを感じ、同時にシンパシーも感じました。

麗子 こないだ一緒にDVDで見た『モテキ』には全然ハマらへんかった純士が、ここまでこの作品にハマるとはなぁ。どっちも似たような作品やと思うけど。

純士 いや、まったく別物のクオリティーでしょ。『モテキ』は幼稚臭くて耳が痛くなった。でも今日のは、釣り人とか駅員とか隣人とか、ヨシカの周辺人物の描写も出てくるじゃないですか。それが劇団ひとり原作の映画『陰日向に咲く』にちょっと近いタッチだと思った。劇団ひとりは文学的な人だから、周辺人物を上手く描けるんでしょう。ただ、映画の『陰日向に咲く』は面白いか面白くないかで言えば、面白くなかったんですよ。原作はどうだか知らないし、監督の意図も知らないけど、映画の『陰日向に咲く』に関しては、一人称の物語という印象を受けて物足りなさを感じた。「僕は、私は」の世界ね。でも映画の『勝手にふるえてろ』に関しては、登場人物の心を神視点で捉えてるような雰囲気を個人的には感じた。そこが面白くてハマりました。

――松岡茉優が歌うシーンは、いかがでしたか?

麗子 歌唱力がすごかった。あの子がストリートミュージシャンやったら、思わず立ち止まってまうわ。上手いだけやなく、声に哀愁ある。

純士 最大の見せ場というか、伝えたいものが一番出てたシーンだったと思います。脳内妄想の世界が、リアルによって歪められて動揺し、葛藤する。妄想と現実の距離感の違い。そこがこの作品の肝のように俺は感じました。

――石橋杏奈が演じた、くるみはどうでしたか?

純士 秘密を平気でバラしておきながら、相手が怒ると、「私だけは心配してる」「私のせいだったら謝る。本当にごめん」とか重たいことを留守電に残したりする最低な女。ああいう奴って、実際いますよね。特に女子に多くない?

麗子 多い! ええ人ぶって、実は優越感にひたってるタイプ。ウチが今通ってるジムにも1人おるわ。

純士 下手したら女子の5人に1人はああいうタイプなんじゃないかな。あの手の女は嫌いだけど、それをやりすぎない感じでナチュラルに演じた女優はよかったと思います。

麗子 林真須美系女子やな。お日様みたいな顔して人を傷つけるタイプや。くるみ役もそうやけど、全体的にキャスティングが絶妙やったな。

純士 主役の子が地味じゃないですか。昔の深津絵里みたいな。それがよかった。あれ以上垢抜けちゃうと、モテないというのがウソ臭くなる。あと、イチに関してはイケメンで無口だったら誰でもOKかもしれないけど、ニに関してはブサイクでもイケメンでもないあの彼だからこそハマったのかも。身勝手に自分の思いを押し付けすぎるおっちょこちょいなところとかが、すごくよかった。片桐はいりだけは大御所で顔が売れすぎてて少々浮いちゃってた感があるけど、配役は全体的にフレッシュで素晴らしかったと思います。

――今のところほぼベタ褒めですが、気に食わなかった点はありますか?

純士 古代生物についてイチまで詳しいことがあとで判明するというのは、いくらなんでも無理があるかなと思った。学生時代の理科の授業でどっちもアンモナイトへの関心を示した過去があり、そのことをイチもちょっと覚えてた、とかならまだしもね。まあでもそれも全然気にならないレベルです。邦画のラブコメはつまんないと決めつけちゃってるところがあったけど、そういう先入観を持っちゃダメだな、いいものはいいんだなと今回素直に思いました。

――いやぁ、瓜田さんの批評も素晴らしかったですよ。予習せずに1回見ただけでここまで語れる人も珍しいのではないでしょうか。

純士 こうやって俺を褒めるときは、たいてい裏があるんですよ。遅刻の件をチャラにしようとしてヨイショしてるだけだろ? 何事もなかったような顔して鍋をつついてるけど、おまえ、待ち合わせ時間に起きてんじゃねえよ!

――いやいやいやっ、本当にすいませんでした!

純士 「裸足で帰ると風邪ひくから、そこのタカキューで靴下買って帰ったらどう?」と言おうと思ったけど、やめた。おまえみたいな奴は、勝手にふるえながら帰れ!

――ひぃぃっ!

(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

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※瓜田純士の最新刊『熱帯夜』(Kindle版)
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“元アウトローのカリスマ”瓜田純士、激動の年末年始を語る! 今後は「キング・オブ・アウトロー」に!!

 2018年の幕開けと同時に、作家・瓜田純士(38)の称号が変わった。“元アウトローのカリスマ”改め、今年からは“キング・オブ・アウトロー”で行くという。新称号に込められた意味を本人に問うと、「野暮なことを聞くな!」と一喝された。

――あけましておめでとうございます。

瓜田純士(以下、純士) (サングラスを外しながら)おめでとうございます。

――今日は瓜田さんに新年の抱負をお聞きしたいのですが、その前に、昨年末の“あの出来事”について触れないわけにはいきません。大晦日にAbemaTVで生放送された『朝青龍を押し出したら1000万円』に、瓜田さんが“伝説のアウトロー”として映っていたのでビックリしました。

純士 ネットでたまたま対戦相手を募集してるのを知って、応募したんですよ。書類審査に合格したあと、二次審査(東京予選)の会場に行ったんですが、AbemaTVに映ったのは、そのときの映像ですね。面接は突破して、最後の20人くらいまでは生き残ったんですが、結局そのあとの最終審査で落ちてしまいました。最終オーディションの会場にいたのは、新宿二丁目で奪い合いになるようなゴリマッチョばかりで、体格的に勝負になりませんでしたね。

――しかし、800以上の応募があった中、東京予選で最後の20人まで残ったのはすごいことですよ。

純士 いい経験になりました。うれしかったのが、撮影終了後に田舎のゴリマッチョどもが「瓜田さん、一緒に写真を撮ってください」と言って寄って来てくれたことですね。AbemaTVのスタッフも、ほぼみんな俺のことを知ってくれてたみたいで、「こんな企画に参加するような方だとは思わなかった」と言われました。「伝説の不良の方なのに、人前で恥をかくようなこういう場所に来るっていうのが意外でした」と。

――不良の世界から足を洗って何年も経つ瓜田さんですが、世間のイメージは今でも「アウトロー」のままなんですね。

純士 「もう俺の時代は終わった。俺は過去の人だ」と勝手にふさぎ込んでた時期もあったけど、今でもそう思ってくれる人たちがこんなに大勢いるんなら、その期待に応えるためにも、ツッパってるキャラをあんま崩しちゃいけないのかもな、なんてことも思いました。あ、不良に戻るという意味じゃないですよ。不良っぽいキャラを大事にしていこうという意味です。だから今年からは“元アウトローのカリスマ”の“元”を取ろうと思ってます。

――“アウトローのカリスマ”に戻しますか?

純士 いや、“キンブ・オブ・アウトロー”で行きましょう。

――キング!? その心は?

純士 言わせないでくださいよ。それを聞くのは野暮ってもんでしょう。

――えっ?

純士 この称号を名乗れる人間が、他にいますか?(と言って椅子に踏ん反り返る)。

――失礼しました。そういえば今日の出で立ちは、アウトローの貫禄がたっぷりですね

純士 大みそかに自分が映ってる番組を見て、反省した部分もあるんですよ。髪型も体型も気が抜けてたし、服装も着のみ着のままだったし、肌も徹夜明けで青白くむくんでて“紅の白豚”といった感じでした。やっぱああいう場には、頭も服もビシッと決めて、サウナできっちりむくみを取って、健康的に肌を焼いてから行かないとダメですね。普段からそういう部分をきっちり尖らせて光らせてる人のほうが、絶対にいろんなチャンスをつかめますから。というわけで新年早々、中核派の大学生みたいだった髪の毛を短く刈り込んで、日サロにも行って来ました。このサイドの刈り上げの部分から頭皮のタトゥーが透けるのがシブイでしょ?

――正直、怖いです。現役当時の瓜田さんに戻ったような印象です。

純士 普段から強そうでいようと思って。そしたら方向性を間違えて、髪型や服装が当番の不良(編注:事務所当番をするヤクザの若い衆)みたいになっちゃった(笑)。俺の「強そう」ってのは結局、こういうのなんですよ(笑)。

妻の瓜田麗子(以下、麗子) 「瓜田純士、おかえり」って感じやな。

純士 まあ見た目ばっかり強そうで中身が伴わないのはダサいんで、今年は格闘技にも本腰を入れて取り組もうと思ってます。元日からジムに行って来ましたから。

――総合格闘技のジムに通い始めて5カ月ほど経ちますが、成果はどうでしょう?

純士 まだまだですね。でも、今年からはプロ練にも参加させてもらえることになりそうなので、頑張って練習についてって、できれば40歳までにプロの格闘家としてデビューしたいです。ジムではホント、真面目に練習してるだけなので、面白い話は何もないですね。ウチの嫁のジムデビューの話のほうが笑えますよ。

――奥様もジムに通い始めたんですか?

麗子 はい。ボクササイズとかをやる普通のスポーツジムに通い始めたばかりなんですけど、そこの重鎮っぽいおばちゃんのジム生の挨拶を無視したとかなんとかが原因で、ピリピリした状態になってるんです(笑)。こっちは無視したつもりはなくて、声をかけられたことに気付いてへんだけやったのに……。謝ろうとして顔を見ても、目も合わせてもらえへん状況なんですよ。

純士 話を聞いてると、毎日が戦場で(笑)。そのババアと他のババアが結託して「ババア連合」みたいなのを作って、ウチの嫁を目の敵にしてるらしいんです。「そろそろケンカになるで、ホンマ。ぷんぷんぷん!」みたいなLINEが嫁からたまに届くんですけど、俺、それを読みながら笑ってますよ。一体何しにジムに行ってんだ、と(笑)。

麗子 ババアだけちゃうで。実はジジイも敵やねん。給水所でお代わりをしようとしたら、後ろに並んでたジジイにメンチ切られて舌打ちされた。めっさ怖い(笑)。

純士 そんなこんなでストレスがタマったのか、嫁はこの1カ月で3キロも太ったらしいです。ますます何のためにジムに通ってるんだかわからないですよね(笑)。

麗子 おそらく最初のババアが怒ってる理由は、挨拶のこと以外にもあるんちゃうかな。入会すると30分無料券をもらえるんやけど、男性のインストラクターがみんなの前で私に向かって「その券を使って、よかったら僕を指名してくださいね」と言うたんが、面白くなかったんやと思うんですよ。自分は言われてへんから。

純士 ウチの嫁は、すぐにそういう錯覚を起こすんです。「自分だけが声をかけられた」「私だけがモテていた」みたいなことを突然言い出すから困ったもんです。

麗子 たまに言うけど、今回のはちゃうねん!

純士 まあ、おめでたい奴なんですよ。

麗子 やかましわっ! 夫も敵やっ!

――新年早々、夫婦ゲンカに巻き込まれたくないので、そろそろお開きとしますが、何か言い残しはありますか?

純士 今年はもしかしたらYouTuberデビューするかもしれません。タイトルはもう決めてあるんです。『仁義なき晩酌』。今さらYouTubeかよって思われそうだけど、その今さら感が逆にいいかな、と。あと、作家業では新作のプロットを固めつつあり、タイミングを見ながら執筆に着手しようと思ってますので、今年も応援をよろしくお願いします。
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

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自称「半端な勘違い野郎」が雌伏2年──“元アウトローのカリスマ”瓜田純士、新作小説『熱帯夜』への思いを激白!

 2年間の沈黙を破り、入魂の新作をリリース!――“元アウトローのカリスマ”こと作家の瓜田純士(37)がこのほど、2015年以来となる新刊『熱帯夜』(Kindle版)を発表した。新宿署の刑事が、国際指名手配犯の潜伏先と目されるマニラへ飛び、魑魅魍魎をかき分けながら驚愕の真相を知るクライム・フィクションだ。未来に怯え、酒に溺れ、「俺は半端な勘違い野郎」と自覚した瓜田が、再起をかけて臨んだ一作。創作の苦労や、作品の見どころを著者に聞いた。

 

――『熱帯夜』を拝読しましたが、「“本気の瓜田”はこんなにもすごいのか!」と舌を巻きました。これは、新宿で生まれ育った元極道の瓜田さんだからこそ書けた生々しいフィクションと言えるでしょう。歌舞伎町、フィリピン、酒、タバコ、刑事、ヤクザ、犯罪組織……そういった言葉が好きな人であれば、必ずや引き込まれ、最後までワクワクドキドキが止まらない内容だと思います。

瓜田 ありがとうございます。これ、絶対の自信作なんですよ。警察が主人公ではあるけども、警察小説じゃない。「新宿発のエンターテインメント」だと思っています。

――事件や登場人物に、モチーフはありますよね?

瓜田 あったにせよ、明らかに変えています。一個一個、好きなようにアレンジして、別人格として描いている。北野武監督の『アウトレイジ』に対して、「花菱会のモデルは山口組だろ!」と突っ込むのは野暮ってもんでしょ。それと同じです。あくまでもフィクションのエンタメとして楽しんでほしいですね。

――刑事モノにした理由は?

瓜田 ストーリーの設定上、対立構図が必要だっただけで、特に刑事にこだわりがあったわけじゃない。それよりもむしろ、犯罪者にとっての「旬」をなるべく入れることにこだわりました。そのほうが読んでいる人がわかりやすいでしょう。でもそれは物語に引き込むための手法に過ぎない。結局どこが肝なのかというと、東南アジアと日本を股にかけた、追う側と逃げる側の執念のぶつかり合い。そして、ぶつかり合った末のドラマチックなケリの付け方ですね。

――謎解き要素や、掛け合いの妙も素晴らしかった。スタイリッシュなだけじゃなく、実はサービス精神旺盛で、ユーモラスな部分もある瓜田さんの持ち味が、いいバランスで出ていたと思います。

瓜田 ユーモアってことでいうと、俺ね、西村京太郎の十津川警部シリーズが好きなんですよ。十津川警部と亀さんみたいな、どこか息抜きになる会話っていうのかな。切れ者の刑事と、おっちょこちょいな奴のコンビものを書いてみたかったんです。同職同士だとそのままになっちゃうので、本作では刑事とフリーライターを組ませることにしました。

――一昨年の秋に『國殺』が刊行されてからしばらく経った頃、「今は書きたいことが何もない。書きたいことが現れるまで待つしかない」と語っていた瓜田さん。しかし、昨年の秋頃から執筆のために自宅へ篭り始めましたよね。それが今回の『熱帯夜』だったんですか?

瓜田 そうです。江戸川乱歩賞にもともと興味あって、前回(2017年1月末日締め切り)の賞に応募してみよう、ここで一旗上げようと思い立って、去年の10月ぐらいから急ピッチで書き始めました。制作期間は、3カ月程度。物語の構想は以前からうっすらあったのですが、クライマックスを含め、書きながらどんどん軌道修正していった。慣れないパソコンを使って、締め切りから逆算した「1日何枚」というペースを死守しながら、早寝早起きで執筆しました。ちなみにこの作品には酒とタバコがよく出てくるんですが、自分は禁酒禁煙で制作に取り組んだ。俺は根が真面目なので、そういうストイックな生活にも順応できましたが、可哀想なのは急にそんな生活に巻き込まれることになった嫁ですね。去年のクリスマスは彼女のことを、近所のイトーヨーカドーにしか連れて行けなかったですから。

――執筆に取り掛かった直後、「ワープロソフトってなんだ?」とか「バックアップの取り方がわからないから、原稿を少し書き終える度にお袋のパソコンにメールで送っている」とかおっしゃっていたので、大丈夫かなぁ……と心配していたのですが、パソコンには慣れましたか?

瓜田 いや、最後までおっかなびっくりでした。実は「コピーペースト」という機能も最近知った(笑)。もっと早くに知っていれば、あんなに苦労することはなかったのに……。

――結局、江戸川乱歩賞の応募には間に合ったんですか?

瓜田 間に合いましたが、今年の受賞作は1作もありませんでした。自信作だったけど、何かが足りないんだろうと思い、そのあと何度も読み直してテコ入れをしてから、今回の出版にこぎつけました。

――Kindleからの発売となりましたが、電子書籍を選択した理由は?

瓜田 俺の作家活動を振り返ると、自叙伝的な『遺書』(太田出版)が売れて注目を集めて、世相を斬る『國殺』(竹書房)も出すことができた。でも本心を言えば、「30代のうちに作家としての名刺がわりになるようなちゃんとした小説を書きたい」という思いがかねてからあったんです。江戸川乱歩賞への応募は、そのいいきっかけになりましたね。受賞は逃したけど、せっかくなのでこれを友人の作家らの意見も聞きつつブラッシュアップしてから世に出したいと思った。でも、出版社との付き合いもないし、どこかに持って行ってどうこうするエネルギーもなくて。そんな折、Kindleを使えば、自分で書いたものを自分で売り出すことができると知ったんです。

――自力で書籍を出すことに不安はなかったですか?

瓜田 友人の作家に『熱帯夜』を見せたところ、出版社を紹介してくれるという話や、漫画の原作としてどうかとか、あるいは違う公募に出してみたらどうか、などの話が広がりかけたこともあった。だけど、俺の中で決めていたんです。よくわからない奴から「ここをこう直せ」と言われないで済む、登場人物のキャラクターを殺さないで済む方法で出したい、と。あのストーリー、あのキャラのままでいきたいという絶対的な自信がありましたから。

――編集者不在で書籍を出したかったんですか?

瓜田 格好よく聞こえちゃうかもしれないけど、そういうことです。だって、自分が間違いなく面白いと信じている作品を、頭をペコペコ下げながら売り込んだり、トンチンカンな奴に「ここをこう直せ」と言われて、泣く泣く言うことを聞いたり、さんざん文句を言われた末に「やっぱ出せない」と言われたりする悔しさを味わいながら何年も過ごすのなんて、俺には耐えられませんよ(笑)。

――瓜田さんは人一倍せっかちで、人一倍負けず嫌いですからね。

瓜田 それに、コンプライアンスにうるさい昨今、黙って待っていても、自分のような人間に出版の話なんか舞い込んでこない。一応、自分の身分をわかっているつもりなんで。さて、どうしたものかと悩みましたが、「自分が絶対に面白いと思うのなら、出版社を通す必要はなく、全部自分の責任でやればいいじゃないか。だったらKindleだな」という簡単なことに気付いて、気持ちがラクになりました。

――前作を出した直後の瓜田さんは、気性が荒くて危なっかしい印象でした。でも2年経った今は、お酒をやめたせいもあるでしょうが、だいぶ落ち着きましたね。内面の変化や成長が、『熱帯夜』の文体にも表れていたように感じます。

瓜田 あの頃は人間として落ちていた時期で、酒に溺れていましたね。自分が将来どうしていきたいのか、地に足を着けて考えることにビビっていたんですよ。理想ばかりが高くて、現実の自分を直視したくなくて、ずっと酒でごまかしていたんです。起きるトラブルはすべて自分のせいなのに、それを直視できずにヤケクソになっていた。たとえば酒の勢いでケンカになって死んだら、それはそれで構わないと思っていました。それぐらい当時は、生きることに必死じゃなかったんですよ。でも今はちゃんと生きていきたいと思う。ちゃんと生きていくためには、何事にも中途半端だった過去の自分を捨て去るしかない。そう気付かされたんです。

――何によって気付かされたんですか?

瓜田 嫁がじっくり時間をかけて教えてくれました。それまでの自分は、人生のすべてが半端だったし、そしてラッキーだった。ラッキーだったせいで、半端な気持ちのまま半端な少年が半端な青年になり、不良時代の威光で持ち上げられたりして、ある程度のことが通用しちゃっていたんです。だから、そのまま肩で風切って生きていけるんじゃないか、って勘違いしちゃった。人のことをしょっちゅう「この勘違い野郎!」と罵っていたけど、自分が一番の勘違い野郎だったという(笑)。

――(笑)。

瓜田 そうじゃないんだ。誰も彼もが石橋を叩いて一生懸命生きている。それってすごく格好いいな、自分はめちゃくちゃ格好悪いな、ってことに気付いてからは、自分を変えるために生活環境も生き方も改めました。酒とタバコをやめたのも、そういう理由からです。今は誰ともケンカなんかしたくないし、もし何かあっても嫁を守れるように数カ月前から格闘技の道場にも通い始めました。地下格闘技に出ていた時代に通っとけよ、って話ですが(笑)。

――再生の裏には、内助の功があったんですね。

瓜田 ドン底の状態で振り回したのに、振り回されながらついてきてくれた。その恩を返すためにも、半端なことはもうできないです。今回の執筆も、これをやり遂げなかったら、今後の人生、何もかもが中途半端に終わるという覚悟で臨みました。受かる受からない、売れる売れないはさておいて、絶対に最後までやり切ってやるという思いで書いた。正直、途中で何度も心が折れかかりましたよ。だって、掲載が約束されていない長文を書くのって、面倒っちゃ面倒ですもん(笑)。でもこの山を越えないと、今後も面倒から逃げるだろうし、そんな自分がどうしても許せなかったんですよ。

――ひと山越えた感想は?

瓜田 こういうことを死ぬまで続けたいですね。作家活動に限らず、練習中の格闘技や、今やっている石膏ボード運びのバイトも一緒です。誰かに何かを教わったら「ありがとうございます」と感謝しながら、ちゃんと覚えてやり遂げる。今までいろんなことを疎かにした分、何事も近道せずにコツコツと続けていきたい。今回の『熱帯夜』は生まれ変わるための挑戦の一つでしたから、すごくうれしいですよ。発売までたどり着けたのは。

――おめでとうございます。

瓜田 今回の作業を通じて、編集者を介さないメリットもデメリットもよくわかったので、今後の糧にしていきたいです。あと今回、改めて気付きましたが、やっぱ俺、書くのが好きみたいですね。何時間もかけて文章を考えたり直したりする作業が全然苦じゃない。寝るのがもったいないとすら感じちゃう。早く次の作品を書きたいですもん。

――すでに次回作の構想が?

瓜田 シリーズ化も視野に入れつつ、いろいろと構想を練っています。まぁ、楽しみにしていてください。
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。
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※瓜田純士公式ブログ
http://junshiurita.com

※瓜田純士&麗子Instagram
https://www.instagram.com/junshi.reiko/

自称「半端な勘違い野郎」が雌伏2年──“元アウトローのカリスマ”瓜田純士、新作小説『熱帯夜』への思いを激白!

 2年間の沈黙を破り、入魂の新作をリリース!――“元アウトローのカリスマ”こと作家の瓜田純士(37)がこのほど、2015年以来となる新刊『熱帯夜』(Kindle版)を発表した。新宿署の刑事が、国際指名手配犯の潜伏先と目されるマニラへ飛び、魑魅魍魎をかき分けながら驚愕の真相を知るクライム・フィクションだ。未来に怯え、酒に溺れ、「俺は半端な勘違い野郎」と自覚した瓜田が、再起をかけて臨んだ一作。創作の苦労や、作品の見どころを著者に聞いた。

 

――『熱帯夜』を拝読しましたが、「“本気の瓜田”はこんなにもすごいのか!」と舌を巻きました。これは、新宿で生まれ育った元極道の瓜田さんだからこそ書けた生々しいフィクションと言えるでしょう。歌舞伎町、フィリピン、酒、タバコ、刑事、ヤクザ、犯罪組織……そういった言葉が好きな人であれば、必ずや引き込まれ、最後までワクワクドキドキが止まらない内容だと思います。

瓜田 ありがとうございます。これ、絶対の自信作なんですよ。警察が主人公ではあるけども、警察小説じゃない。「新宿発のエンターテインメント」だと思っています。

――事件や登場人物に、モチーフはありますよね?

瓜田 あったにせよ、明らかに変えています。一個一個、好きなようにアレンジして、別人格として描いている。北野武監督の『アウトレイジ』に対して、「花菱会のモデルは山口組だろ!」と突っ込むのは野暮ってもんでしょ。それと同じです。あくまでもフィクションのエンタメとして楽しんでほしいですね。

――刑事モノにした理由は?

瓜田 ストーリーの設定上、対立構図が必要だっただけで、特に刑事にこだわりがあったわけじゃない。それよりもむしろ、犯罪者にとっての「旬」をなるべく入れることにこだわりました。そのほうが読んでいる人がわかりやすいでしょう。でもそれは物語に引き込むための手法に過ぎない。結局どこが肝なのかというと、東南アジアと日本を股にかけた、追う側と逃げる側の執念のぶつかり合い。そして、ぶつかり合った末のドラマチックなケリの付け方ですね。

――謎解き要素や、掛け合いの妙も素晴らしかった。スタイリッシュなだけじゃなく、実はサービス精神旺盛で、ユーモラスな部分もある瓜田さんの持ち味が、いいバランスで出ていたと思います。

瓜田 ユーモアってことでいうと、俺ね、西村京太郎の十津川警部シリーズが好きなんですよ。十津川警部と亀さんみたいな、どこか息抜きになる会話っていうのかな。切れ者の刑事と、おっちょこちょいな奴のコンビものを書いてみたかったんです。同職同士だとそのままになっちゃうので、本作では刑事とフリーライターを組ませることにしました。

――一昨年の秋に『國殺』が刊行されてからしばらく経った頃、「今は書きたいことが何もない。書きたいことが現れるまで待つしかない」と語っていた瓜田さん。しかし、昨年の秋頃から執筆のために自宅へ篭り始めましたよね。それが今回の『熱帯夜』だったんですか?

瓜田 そうです。江戸川乱歩賞にもともと興味あって、前回(2017年1月末日締め切り)の賞に応募してみよう、ここで一旗上げようと思い立って、去年の10月ぐらいから急ピッチで書き始めました。制作期間は、3カ月程度。物語の構想は以前からうっすらあったのですが、クライマックスを含め、書きながらどんどん軌道修正していった。慣れないパソコンを使って、締め切りから逆算した「1日何枚」というペースを死守しながら、早寝早起きで執筆しました。ちなみにこの作品には酒とタバコがよく出てくるんですが、自分は禁酒禁煙で制作に取り組んだ。俺は根が真面目なので、そういうストイックな生活にも順応できましたが、可哀想なのは急にそんな生活に巻き込まれることになった嫁ですね。去年のクリスマスは彼女のことを、近所のイトーヨーカドーにしか連れて行けなかったですから。

――執筆に取り掛かった直後、「ワープロソフトってなんだ?」とか「バックアップの取り方がわからないから、原稿を少し書き終える度にお袋のパソコンにメールで送っている」とかおっしゃっていたので、大丈夫かなぁ……と心配していたのですが、パソコンには慣れましたか?

瓜田 いや、最後までおっかなびっくりでした。実は「コピーペースト」という機能も最近知った(笑)。もっと早くに知っていれば、あんなに苦労することはなかったのに……。

――結局、江戸川乱歩賞の応募には間に合ったんですか?

瓜田 間に合いましたが、今年の受賞作は1作もありませんでした。自信作だったけど、何かが足りないんだろうと思い、そのあと何度も読み直してテコ入れをしてから、今回の出版にこぎつけました。

――Kindleからの発売となりましたが、電子書籍を選択した理由は?

瓜田 俺の作家活動を振り返ると、自叙伝的な『遺書』(太田出版)が売れて注目を集めて、世相を斬る『國殺』(竹書房)も出すことができた。でも本心を言えば、「30代のうちに作家としての名刺がわりになるようなちゃんとした小説を書きたい」という思いがかねてからあったんです。江戸川乱歩賞への応募は、そのいいきっかけになりましたね。受賞は逃したけど、せっかくなのでこれを友人の作家らの意見も聞きつつブラッシュアップしてから世に出したいと思った。でも、出版社との付き合いもないし、どこかに持って行ってどうこうするエネルギーもなくて。そんな折、Kindleを使えば、自分で書いたものを自分で売り出すことができると知ったんです。

――自力で書籍を出すことに不安はなかったですか?

瓜田 友人の作家に『熱帯夜』を見せたところ、出版社を紹介してくれるという話や、漫画の原作としてどうかとか、あるいは違う公募に出してみたらどうか、などの話が広がりかけたこともあった。だけど、俺の中で決めていたんです。よくわからない奴から「ここをこう直せ」と言われないで済む、登場人物のキャラクターを殺さないで済む方法で出したい、と。あのストーリー、あのキャラのままでいきたいという絶対的な自信がありましたから。

――編集者不在で書籍を出したかったんですか?

瓜田 格好よく聞こえちゃうかもしれないけど、そういうことです。だって、自分が間違いなく面白いと信じている作品を、頭をペコペコ下げながら売り込んだり、トンチンカンな奴に「ここをこう直せ」と言われて、泣く泣く言うことを聞いたり、さんざん文句を言われた末に「やっぱ出せない」と言われたりする悔しさを味わいながら何年も過ごすのなんて、俺には耐えられませんよ(笑)。

――瓜田さんは人一倍せっかちで、人一倍負けず嫌いですからね。

瓜田 それに、コンプライアンスにうるさい昨今、黙って待っていても、自分のような人間に出版の話なんか舞い込んでこない。一応、自分の身分をわかっているつもりなんで。さて、どうしたものかと悩みましたが、「自分が絶対に面白いと思うのなら、出版社を通す必要はなく、全部自分の責任でやればいいじゃないか。だったらKindleだな」という簡単なことに気付いて、気持ちがラクになりました。

――前作を出した直後の瓜田さんは、気性が荒くて危なっかしい印象でした。でも2年経った今は、お酒をやめたせいもあるでしょうが、だいぶ落ち着きましたね。内面の変化や成長が、『熱帯夜』の文体にも表れていたように感じます。

瓜田 あの頃は人間として落ちていた時期で、酒に溺れていましたね。自分が将来どうしていきたいのか、地に足を着けて考えることにビビっていたんですよ。理想ばかりが高くて、現実の自分を直視したくなくて、ずっと酒でごまかしていたんです。起きるトラブルはすべて自分のせいなのに、それを直視できずにヤケクソになっていた。たとえば酒の勢いでケンカになって死んだら、それはそれで構わないと思っていました。それぐらい当時は、生きることに必死じゃなかったんですよ。でも今はちゃんと生きていきたいと思う。ちゃんと生きていくためには、何事にも中途半端だった過去の自分を捨て去るしかない。そう気付かされたんです。

――何によって気付かされたんですか?

瓜田 嫁がじっくり時間をかけて教えてくれました。それまでの自分は、人生のすべてが半端だったし、そしてラッキーだった。ラッキーだったせいで、半端な気持ちのまま半端な少年が半端な青年になり、不良時代の威光で持ち上げられたりして、ある程度のことが通用しちゃっていたんです。だから、そのまま肩で風切って生きていけるんじゃないか、って勘違いしちゃった。人のことをしょっちゅう「この勘違い野郎!」と罵っていたけど、自分が一番の勘違い野郎だったという(笑)。

――(笑)。

瓜田 そうじゃないんだ。誰も彼もが石橋を叩いて一生懸命生きている。それってすごく格好いいな、自分はめちゃくちゃ格好悪いな、ってことに気付いてからは、自分を変えるために生活環境も生き方も改めました。酒とタバコをやめたのも、そういう理由からです。今は誰ともケンカなんかしたくないし、もし何かあっても嫁を守れるように数カ月前から格闘技の道場にも通い始めました。地下格闘技に出ていた時代に通っとけよ、って話ですが(笑)。

――再生の裏には、内助の功があったんですね。

瓜田 ドン底の状態で振り回したのに、振り回されながらついてきてくれた。その恩を返すためにも、半端なことはもうできないです。今回の執筆も、これをやり遂げなかったら、今後の人生、何もかもが中途半端に終わるという覚悟で臨みました。受かる受からない、売れる売れないはさておいて、絶対に最後までやり切ってやるという思いで書いた。正直、途中で何度も心が折れかかりましたよ。だって、掲載が約束されていない長文を書くのって、面倒っちゃ面倒ですもん(笑)。でもこの山を越えないと、今後も面倒から逃げるだろうし、そんな自分がどうしても許せなかったんですよ。

――ひと山越えた感想は?

瓜田 こういうことを死ぬまで続けたいですね。作家活動に限らず、練習中の格闘技や、今やっている石膏ボード運びのバイトも一緒です。誰かに何かを教わったら「ありがとうございます」と感謝しながら、ちゃんと覚えてやり遂げる。今までいろんなことを疎かにした分、何事も近道せずにコツコツと続けていきたい。今回の『熱帯夜』は生まれ変わるための挑戦の一つでしたから、すごくうれしいですよ。発売までたどり着けたのは。

――おめでとうございます。

瓜田 今回の作業を通じて、編集者を介さないメリットもデメリットもよくわかったので、今後の糧にしていきたいです。あと今回、改めて気付きましたが、やっぱ俺、書くのが好きみたいですね。何時間もかけて文章を考えたり直したりする作業が全然苦じゃない。寝るのがもったいないとすら感じちゃう。早く次の作品を書きたいですもん。

――すでに次回作の構想が?

瓜田 シリーズ化も視野に入れつつ、いろいろと構想を練っています。まぁ、楽しみにしていてください。
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。
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