宗教団体の内部で起きた「窃盗未遂」事件――“手かざし”では救えなかった、50代女性の深い闇

 殺人、暴行、わいせつ、薬物、窃盗……毎日毎日、事件がセンセーショナルに報じられる中、大きな話題になるわけでもなく、犯した罪をひっそりと裁かれていく人たちがいます。彼らは一体、どうして罪を犯してしまったのか。これからの生活で、どうやって罪を償っていくのか。傍聴席に座り、静かに(時に荒々しく)語られる被告の言葉に耳を傾けると、“人生”という名のドラマが見えてきます――。

【#008号法廷】

罪状:有印私文書偽造、同行使、窃盗未遂
被告人:Y子(58歳)

<事件の概要>

 入信している新興宗教団体の道場で、同じ信者女性の財布を拾得したY子。しかし、団体関係者に知らせたり、警察に届けたりすることはせず、そのまま所持していた。Y子はその財布の中から、被害者名義のクレジットカードを使用し、U銀行Y支店のATMで10万円の借り入れを試みるも、すでに利用停止届が出されており失敗。被害者名義のキャッシュカードでも払い戻しを試みたが、暗証番号がわからず未遂に終わる。

 ここで思いとどまるどころか、Y子はそのキャッシュカードと被害者の運転免許証をわざと銀行のゴミ箱に捨て、そばにいた清掃員に「見つかったら連絡ちょうだい」と自分の電話番号を教えた。後日、実際に連絡を受け、そのキャッシュカードを受け取るため同じU銀行Y支店に出向き、被害者本人になりすまして「印鑑と暗証番号を変えたい」と申し出る。キャッシュカードの再発行を勧められて手続きに入ったものの、被害者の名前を間違え、免許証の写真(被害者)とY子が別人だったことで怪しまれ、銀行員が通報、逮捕。なお、被告は生活保護受給者で精神科通院歴あり。平成18年と28年に有罪判決を受けており、前科2犯。

“国会答弁”のような、ぼんやりした回答

 まるで“不条理芝居”を見ているような法廷でした。見終わっても、「なぜ、財布を拾ったときに道場へ届けなかったのか?」「なぜ他人のキャッシュカードをATMに入れて操作したのか?」「暗証番号も知らないのに、なぜ金が引き出せると思ったのか?」などなど、「そもそもどうして?」という疑問が多数残りました。一般常識を凌駕した被告の行動からは、動機となったはずの“欲”なども全く見えてきません。

 被告人質問の回答をピックアップすると、Y子の“人となり”が見えてくるような気がします。

「クレジットカードは使っていません。ATMに入れ(て操作し)ただけ」
「キャッシュカードは、きっぷ売り場に置いてありました。ほかの人が持って行ったのを見たので、『私も持って行っていいのかな?』と思い持ってきました」(さっぱり意味不明)
「(被害者に)なりすまそうとは思ってなかったけど、(被害者の名前を)書いてしまったのは事実」
「ウソの電話番号を書こうとしたけど、思いつかなかったので自分のを書きました」
「(虚偽の届け出をしても)銀行が処理してくれると思いました」

 「結果としてそうなった」というニュアンスの回答が多く、Y子に反省の色はほとんど見えません。さらに、「そう言うなら、そうだったんだと思う」「記憶はないけど、記録があるなら私がやったと思う」など、まるで国会中継の答弁を見ているようなシュールな答えまで。なりゆきで犯罪を犯してしまった、ということなのでしょうか? Y子は「印鑑を買うために百均へ出向き、すぐ銀行に戻る」といった行動も取っていたようで、冷静になれるタイミングはあったはずなのですが……。とにかくうすぼんやりした回答が続き、頭がクラクラしてしまいました。

 しかし、ただ一点だけ、Y子が自ら具体的に話したことがありました。「財布を拾ったとき、なぜ警察に届けなかったのか?」という質問です。

Y子 元夫のDVで、(自分が)通報したり、よく警察には行っていたけど、放置されたり脅されたりと真剣に取り合ってくれなかったので、行くのが怖かった。

 なぜかここだけ、必要以上に詳しく理由を話していたのです。しかも、今回はその元夫(と思われる人)から、Y子を減刑してもらうための“嘆願書”も出ていました。Y子は過去、警察にどんなひどいことをされたのか? Y子と元夫の間に何があったのか? このあたりに、被告人のバックグラウンドを読み解くヒントがあるような気がします。ちなみに、裁判中はY子が入信している新興宗教の名前も出ました。「“手かざし”では救えないこともある」と学んだ事案でした。

認知症の女性から1900万円奪った訪問介護員――「家族に相談できない」一人で抱えた悩みとは

 殺人、暴行、わいせつ、薬物、窃盗……毎日毎日、事件がセンセーショナルに報じられる中、大きな話題になるわけでもなく、犯した罪をひっそりと裁かれていく人たちがいます。彼らは一体、どうして罪を犯してしまったのか。これからの生活で、どうやって罪を償っていくのか。傍聴席に座り、静かに(時に荒々しく)語られる被告の言葉に耳を傾けると、“人生”という名のドラマが見えてきます――。

【#007号法廷】

罪状:常習累犯窃盗
被告:M子(57歳)

<事件の概要>
 訪問介護員(ホームヘルパー)の被告・M子は、日頃から出入りしていた利用者の80代女性・Aさん宅から銀行と信用組合のキャッシュカード2枚を無許可で持ち出し、2017年7月〜18年4月の間に4回、ATMから計124万円を不正に引き出していた。Aさんは認知症を患い家族と同居中で、記帳を行った息子が気づき、事件が発覚。また、追起訴(余罪)として、Aさんの口座から同じ手法で11回、計516万円を不正に引き出し、着服していたことも判明。報道によれば、Aさんの通帳からは合計1900万円が引き出されており、本件との関連を調べている。M子は16年にも、別宅にて同様の手口で金を引き出し逮捕されており、今回は保釈中の犯行だった。

再犯をした被告、「二つの誤算」とは?

 介護が必要な高齢者の預金を、何度も勝手に引き出していたM子。生活費と、16年に逮捕された際の被害者に月20万円の賠償金を支払うため、金が欲しかったのだといいます。示談がスムーズに進むことだけを考えて、賠償金の額を支払い能力上限ギリギリまで上げるも、のちにM子の家族が2人続けて入院するという想定外のできごとが起こり、あえなく机上の弁済計画は破綻したそうです。

 検察官と弁護士からの質問にか細い声で答えるM子は、体つきも小柄。このときは、杢スウェットの上下を着用していました(拘留中の被告は、この杢スウェット着用率が異様に高いです。ちなみに、保釈中でシャバから出廷できる被告は、スーツなど“襟付き”の服が多いです)。裁判所で見る被告は誰でもそうですが、映画やドラマのような“悪者っぽい人”って、あまり見たことがないんですよね。いつ自分の身近で起こるかわからないリアルさが、裁判傍聴の醍醐味なんだと再確認します。

 16年の段階では、初犯だったことや賠償金をきちんと支払ったことなど、もろもろの情状を酌量され、保釈にこぎ着けたらしいM子。それなのにまた、同じ訪問介護員の仕事に戻ってしまったのが、M子の「誤算その一」といえるでしょう。犯行前と生活環境を変えることは、再犯を防ぐ上ではマストだと聞きます。なるべく早く金を稼ぐには、なじんだ仕事が一番だとは思うものの、同じ罪を犯して逮捕されているのですから、結果的には「戻っちゃダメだった」としか言えません。

 それと「誤算その二」。陳述を聞いていると、どうもM子は自身の家族から、更生のための真剣な協力を得られなかったようなのです。ざっくり話をまとめると、

・16年の逮捕でM子は実姉から「縁を切る」と言われ、パニックに陥ってしまった。
・八方ふさがりになっていて、誰にも相談できなかった。それでも賠償金の支払いは毎月やってくるため、誘惑に負けてしまった。
・家族に相談しなかったのは、自分の問題だし、これ以上迷惑はかけたくなかったから。しかし、つらかった。

 16年の事件後、頼れる人が誰もいないまま、M子は一人で思いつめて、精神的にも負のスパイラルに陥っていたことがわかります。

認知症の女性から1900万円奪った訪問介護員――「家族に相談できない」一人で抱えた悩みとはの画像2

 さらに、弁護側証人としてM子の夫が登壇したのですが……。

検察官 前回の逮捕では、夫が「監督する」と言っていたが?
M子の夫 (M子を)監督できなかった、悔しい。そばで見守りたい。家族で支えたい。

と、一見“妻を支える良き旦那”のようなことを言いつつ、別の場面では

M子の夫 金の管理は女房に任せていた。前回の保釈金をどう(工面)したのかは把握していない。

と話していました。他人の金を盗んだM子が一番悪いのは当然ですが、こうした家族の“非協力的”な部分が、彼女をそうさせてしまったとも感じます。しかしその一方で、検察官がM子に「自尊心とプライドと傲慢なところが(事件の)原因」とバッサリ切り捨てていたので、遊興費などあまり同情できないものに使うため、金を盗んでいた可能性も。傍聴席で話を聞いているだけだと、そのへんの詳しいことがわからず、モヤモヤが残ってしまいました。

 裁判長の「訪問介護は信頼されてこそなのに、あなたは裏切ってしまいました。今回の処遇についても、周りに相談していないことが、むしろ不審に思われるのでは?」という言葉は、この裁判のまとめとして、とても的確だったと思います。他人に迷惑をかけたくない気持ちは誰しも持っているでしょうが、やましいことを隠せば隠すほど、自分の信頼は失われていく。2度目の逮捕で、M子がそれに気づいたと信じたいものです。

 高齢化で今後ますます需要が高まるだろう、訪問介護。実際に利用中で助けられている方や、訪問介護員として働いている方のためにも、もう二度と起きてほしくない事件でした。

自宅を燃やした弟は、ADHDだった――「もっと早くわかっていれば」兄が法廷で語った後悔

殺人、暴行、わいせつ、薬物、窃盗……毎日毎日、事件がセンセーショナルに報じられる中、大きな話題になるわけでもなく、犯した罪をひっそりと裁かれていく人たちがいます。彼らは一体、どうして罪を犯してしまったのか。これからの生活で、どうやって罪を償っていくのか。傍聴席に座り、静かに(時に荒々しく)語られる被告の言葉に耳を傾けると、“人生”という名のドラマが見えてきます――。

【#006号法廷】

罪状:現住建造物等放火
被告:Y男(54歳)
逮捕に至る経緯:2018年9月15日午後3時ごろ、都内にある築40年の2階建木造スレートの借家から出火。午後4時半ごろには鎮火したものの、2階の柱などが焼失。住人である兄弟のうち、弟(Y男)が1階風呂場より救出されたが(兄は出勤していたため無事)、「自殺を試みて火を放った」と自供、逮捕。

 ADHD、社会不安障害、回避性パーソナリティ障害、社交不安障害、境界性知能などのため、仕事に就いても長続きしなかったという被告・Y男。勤務していたスーパーを17年末に退職したと、同居する兄(57歳)に言い出せず、9カ月間、貯金を切り崩して生活費の月6万円を入れていた。しかし、ついに支払いができなくなったことから、退職が発覚。それまでもY男は、詐欺に引っかかって借金を作るなどしていたため、兄からきつく叱責される。Y男はこれを機に、焼身自殺しようと思い立ち、ライターで室内に点火。弁護側によると、「犯行時、Y男は心神耗弱状態にあった」という――。

「死ぬしかない」Y男を追い詰めた生活費

 黒いスーツ、豊かなシルバーヘアのY男が手錠と腰縄をつけられて入廷。背が高く手足も長いのに、背中を丸めているので、どこかおどおどした感じでした。「生きづらさを抱えながら都会の片隅で孤独に暮らす男」といえば、どうしても映画『ジョーカー』の主人公、アーサー・フレックを重ねてしまいます。アーサーはダークサイドに堕ちてしまいましたが、Y男には兄という支えがあったので、辛うじて踏みとどまれたのでしょう。

 事件の1週間前、兄から生活費を請求されたものの、すでに蓄えが尽きていたY男。証人として出廷した兄によると、事件のきっかけになったのは「仕事を探したのか?」「ずっと寝てたのか?」と、Y男を責めたことだったといいます。「これでなんとかしてくれー!」と、「尋常じゃない様子で弟が500円玉貯金箱を差し出した」という兄の証言は、不謹慎ですが、映画のワンシーンのようでした。

 他人から見れば、たった1カ月だけ生活費を入れられないという些末なことでも、Y男は「自分はダメな人間、死ぬしかない」とまで思いつめていたわけで……。その空気の重さがヒシヒシと伝わってきます。実際に起きた事象には、フィクションを超えるものが時々あります。報道ではカットされるディテールがあらわになり、人々の思いに息が詰まる。これがたまらなくて、傍聴に足を運んでしまうんですよね。

 兄によると、10年ほど前、借金をつくった父親が実家を立ち退くことになり、Y男と一緒に自宅へ受け入れたのが、同居のきっかけだったといいます(母親はY男が30歳のときに死去)。その後、病に倒れた父親の介護をしつつ、兄は正社員として働きながら借金を返済。今から5年前に父親が死去し、兄弟2人だけの生活になったそうです。転職や無断欠勤を繰り返すY男を、兄は自分が勤める会社に入社させるなど、かなりがんばってサポートしてきたよう。証言台で淡々と語る言葉の端々から、兄の苦労がうかがえます。

 Y男は2歳の時、全身がけいれん・硬直し、白目をむいて口から泡を吹く「引きつけ」を起こしたそう。家族はこれにショックを受け、それ以来、Y男とは「腫れ物に触るように接してきた」とのこと。引っ込み思案で、人付き合いが苦手だったというY男。小学校ではいじめられていたものの皆勤賞で、性格はまじめだったといいます。

 兄は、Y男が40歳の時に「しゃべることが幼稚でおかしい」と気がついたそう。無断欠勤を叱ると幼児のように泣き、「人と会うのが怖くて、店頭にも出られない」との理由でスーパーの仕事を辞めたというY男。「早く(Y男の障害が)わかっていれば、もっと楽に生きられたのでは……と思います」と後悔を語る兄の姿は切なかったです。

 今回の事件がきっかけで精神鑑定を受け、Y男に診断が下されたことで、仕事が続かなかったり、人間関係がうまくいかなかったりなど、「モヤモヤしていたものが(わかって)ちょっとホッとした」と述べた兄。「出所後は施設に入れて、別々に住むことになるが、できるだけのことはしたい。(事件については)親戚にも言わない」といい、Y男はソーシャルワーカーのサポートを受けて、自立を目指すそうです。

 事件以来、久しぶりに会ったY男について、兄は「健康的になった。当時は気になるぐらい顔色が悪かったのでホッとした」と語り、心から安堵した様子を見せていました。この2人はきっと、これからも支え合って生きていくのでしょう。

「裁判員裁判」は傍聴初心者にオススメ

 ちなみに、今回は「裁判員裁判」でした。「裁判を傍聴してみたいけど、周囲に詳しい人がいない」という方には、裁判員裁判の事案がオススメです。普段は裁判官や検察官、弁護士といった法曹関係者のみでやりとりをするため、専門用語がわからなかったり、傍聴し慣れていなかったりすると、チンプンカンプンな点が多々あります。でも彼らは、裁判員がいると一般人にもわかるよう、きちんと説明しながら裁判を進行してくれるのです。いつもはものすごい早口でしゃべる検察官や弁護士も、ゆっくり話してくれますよ(笑)。

 また、普段は裁判長に提出するだけで中身は見られない証拠書類を、大きなモニターに映し出すなんていう優しさも。いつ・どんな裁判員裁判が開かれるのかは、裁判所に電話で問い合わせれば教えてくれますので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

アラサー独女、5つの罪で逮捕――裁判で明らかになった「移住した離島の特殊な環境」とは

 殺人、暴行、わいせつ、薬物、窃盗……毎日毎日、事件がセンセーショナルに報じられる中、大きな話題になるわけでもなく、犯した罪をひっそりと裁かれていく人たちがいます。彼らは一体、どうして罪を犯してしまったのか。これからの生活で、どうやって罪を償っていくのか。傍聴席に座り、静かに(時に荒々しく)語られる被告の言葉に耳を傾けると、“人生”という名のドラマが見えてきます――。

【#005号法廷】

罪状:道路交通法違反、有印私文書偽造、同行使、私印偽造、同使用
被告人:S子(27歳)

 東京都下の離島で生活する被告人・S子は、2018年10月、居酒屋から原動機付自転車を運転して自宅に向かっていたところ、検問で止められてしまいます。S子は無免許&酒気帯びだったため、警察官が事情聴取。その際、「酒酔い・酒気帯び鑑識カード」と供述調書に、偽名(姉の名前)を署名してしまったことが判明し、後に逮捕となりました。いつになく罪状が多いですが、すべて一度に犯した罪でした。

 海に魅せられ、海のそばで働くため、17年春に東京23区から離島に単身で移り住んだS子。調べてみたら、その島は住民が4ケタしかいませんでした。裁判長に「なぜやってしまったか」と尋ねられたS子が、「離島という特殊な環境に甘えてしまった」と話していたのが印象に残っています。

 離島で原付を運転するようになったのは、18年1月頃からだったそうで、それまでは徒歩か自転車で移動していたとのこと。一応、公共のバスも動いているようですが、平日も休日も1時間に1本、午後7時前には運行が終わってしまうため、島内を自由に行き来するのは難しそうです。

 島の最大幅は約6kmで、S子が酒を飲んだ居酒屋と家の間の距離も、これと同じぐらい離れていたそう。つまりS子はこの日、島を横断してまで居酒屋に行っていたということです。実際S子は、「移動が6kmあって、徒歩や自転車で(移動するの)は厳しかった」と証言しています。普通に歩いても1時間以上かかると思われるので、酔っ払っていたら、きちんと家にたどり着けるか怪しいでしょう。

 S子は全面的に罪を認めており、争う姿勢もない様子。単なる“うっかり”が大ごとになってしまった感じもしますが、「離島という特殊な環境」という言葉が、どうも引っかかりました。

被告が語る、離島の隠れた不便さ

 17年春に移り住み、現在まで免許を持っていないS子。“離島”と聞いて、電車やタクシーが都内並みに走っていると考える人は少ないでしょうし、島に住み始めてからでも、「免許がないと不便」と気付くきっかけは山ほどあったはずです。それなのになぜ、S子は免許を取得しなかったのでしょうか?

 警視庁に直接聞いてみたところ、離島では年3回(2、6、10月)だけ、島内で原付講習をしているそう。つまり、筆記・適性試験を受けるには、内地に出向く必要があるわけです(なんだその“逆・合宿免許”!?)。この情報は、島民以外は知らない“特殊な事情”だと思われます。原付講習は島内で年3回あるとはいえ、1回機会を逃すとまた数カ月待つ……と考えると、億劫になるのもわからなくはないです。

 そもそも、S子がなぜ6kmも離れた居酒屋にいたのかも気になります。確かに、地図で見ると飲食店があるエリアは島の一部ですが、それに加えて逮捕当日の夜、S子は居酒屋近くの友人宅に泊まる予定だったそう。ではなぜ、自宅に向かっていたのかというと、居酒屋で持病の軽い発作が出てしまい、急きょ薬を取りに戻らざるを得なかったといいます。

 だったら、飲食店があって、便利なエリアに家を借りればよいのでは? とも思いましたが、住民がなかなか引っ越さず流動性が低いため、繁華街のそばに住みたくても、借りられる物件が非常に少ないのだそう。S子の言う「離島という特殊な環境」の意味が、おぼろげながらに見えてきます。

 法に抵触する行為はいけませんが、S子は決して悪いことをしようと思っていたのではなく、離島のおおらかな空気に「甘えていた」だけだったのだと感じました。裁判中、裁判長の言葉を聞き逃すまいと、まっすぐに視線を向けていたS子。このあと、懲役1年4月・執行猶予3年という判決が下りました。この期間でしっかりと反省し、きちんと免許を取得してから、島で元の暮らしに戻ってほしいと願います。

 さて、裁判傍聴の楽しみのひとつに、“法廷戦術ウォッチング”があります。

 敏腕弁護士が絶妙なタイミングで証拠や証人を出し、被告が涙を流す中で裁判長が減刑……といった場面を、ドラマや映画で見たことがあるかもしれません。これは「公判前整理手続」といって、裁判の“見どころ”のひとつでもあったのですが、現在は非公開の「事前調整制度」というものができてしまった関係で、こうした熱いシーンはほとんど見られなくなってしまいました。

 一方、今回のように、被害者がいなくて、被告が罪を全面的に認めている事案では、検察がどこをネチネチと突っ込んでくるのかが、個人的なお楽しみポイントです。彼らは“アラ探し”をするのが仕事ですから、相手に少しでもダメージを与えられると判断すれば、臆面もなく突っ込んできます。

 S子の裁判では、若い女性検察官が1人いるだけでした。キャリアが浅くてもなんとかなる事案、ということで任されたのでしょうか。しかしこの検察官、事件に全く関係がない、S子の婚姻歴や恋人の有無まで陳述書に書いていて、非常にネチネチしておりました。“ふしだらな女”という印象でもつけて、「異性関係が派手だと交通違反しがちなんです!」とでも言いたかったのでしょうか……? それならそれで、明確なエビデンスを示してほしいものです。

 さらに気になったのは、S子が発作を起こした時、「なぜ救急車を呼ばなかったのですか?」という質問。さすがの私も「うわ、愚問!」と驚き。そうです、S子が答えていたように、「島には救急車がないから」です。この検察官、被告が暮らしている環境すら、何も調べてないんだなあ~、あんたの印象の方が悪くなるよ~と、あきれてしまいました。

 ……とか偉そうに言いましたが、検察というのは非常に大変なお仕事です。彼女にこそ、離島でのんびりとした時間を過ごしてもらいたいですね。
(オカヂマカオリ)

“ハプニングバー”好き有名人と不倫――「紅白歌手・Xに会える」と信じたアラフォー女の「ストーカー裁判」

 殺人、暴行、わいせつ、薬物、窃盗……毎日毎日、事件がセンセーショナルに報じられる中、大きな話題になるわけでもなく、犯した罪をひっそりと裁かれていく人たちがいます。彼らは一体、どうして罪を犯してしまったのか。これからの生活で、どうやって罪を償っていくのか。傍聴席に座り、静かに(時に荒々しく)語られる被告の言葉に耳を傾けると、“人生”という名のドラマが見えてきます――。

【#004号法廷】

罪状:ストーカー行為等の規制等に関する法律違反、脅迫
被告人:A美(アラフォー?)

 女性が起こしたストーカー事件……まさにサイゾーウーマン読者が興味津々なテーマじゃないですか!? どうしても席を確保したくて(満席になると法廷に入れません。立ち見不可)、開廷より30分も早く傍聴席へ着席。待ったかいあって、ゴシップ好きにはたまらない“特ダネ”まで仕入れることができました。

<事件の概要>

 被告・A美と原告の「彼」が初めて会ったのは、平成19年(詳細時期不明……)。銀座でホステスをしていたA美のクラブへ、タニマチに連れられて来店した“有名人”が「彼」だった(珍しく原告の名前が伏せられていたのは、なんと「彼」が“芸能人”だから……らしい!)。

 出会ったその夜、アフターでいきなり“ハプニングバー”に連れて行かれ、「彼」にレイプされたA美(過去にも別の男にレイプされたことがあり、それが原因でPTSDを発症したとのこと)。「(A美の)婚約者に(俺たちが付き合っていることを)バラす」と脅されたため、2カ月に1度の頻度で「彼」と会うことに。

 同年12月にA美は結婚、なぜか披露宴には「彼」を招待した。結婚後も、平成24年頃まで「彼」からメールで呼び出され、「招待状で住所を知られていたので、しぶしぶ」年に数回会う関係が続く。「タニマチと『彼』のY県ツアーに同行したら、打ち上げが乱交パーティーになっていてびっくりした」など、A美からは「彼」が音楽関係者であることを匂わせるエピソードがチラホラ。

 平成25年から3年ほど、A美と「彼」は会うことがなかったが、平成28年、A美は愛犬の死をきっかけに、「彼」との連絡を再開。そのとき、お互い既婚者だったものの、A美は「家庭を壊さず、恋人として思いやりながら過ごせたら」という気持ちだったとか。一方「彼」は行きつけの店で、「俺たちダブル不倫なんだ」と堂々と公言していたという。

 この頃は月に3〜4回のペースで「彼」と会い、デート先はハプニングバーやカラオケ、居酒屋、パチスロなどだったと明かすA美。ちなみに、弁護側が提出した証拠には「ハプニングバーの会員証」が6枚もあるとか。A美の証言によると、「彼」は「自分の女がほか(の男)とヤッていて興奮する性癖だから」ハプニングバーによく行く、とのこと。

 さらに「彼」は、A美がハプニングバーで一晩のうちに5人の男とセックスしたら「X(『NHK紅白歌合戦』に出演したこともある国民的ミュージシャン)の楽屋に連れていってやる」と、約束したそう。A美はXの大ファンで、証言台では「Xさんは神様のような存在です!」とハイテンションに。A美は頑張って「彼」からの“課題”をこなし、Xに会うため、「彼」と一緒にわざわざF県まで遠征。しかし、結局Xには会わせてもらえず……。A美は証言台で「ファンレターまで書いたのに……あぜんとしました」と、肩を落とした。

 平成31年(令和元年)に入ってから、A美と「彼」はケンカが増えたそう。「彼」の金払いの悪さや、ハプニングバーでのプレイ強要、ラブホテルから1人で帰ってしまう(当然、料金は出さない)など、ケンカの原因はいろいろあったようだが、A美の中では「Xに会わせてもらえない問題」が尾を引いていた。

 この頃、「彼」とのケンカで泣いてばかりいたというA美は、気分障害で通院。しかし、証言台で「優しいところはありました。メールにいっぱい“ハート”をつけてくれるところとか……」と、「彼」のことをノロケるA美。「(自分が有名人だからといってA美を)捨てませんよ」「ダメ人間だけどずっと一緒にいたい」といったメールを、「彼」はハート付きで送ってきたという。

 そこはかとない“クズ男”感が漂う「彼」ですが、ここまでされても「優しい」と評するA美。どっぷりと“2人だけの世界”に浸かっているようでした。しかし、関係が悪化したことにより、A美は「彼」に“ストーカー”として扱われることに……。

 令和元年5月31日、待ち合わせていたパチスロ店に「彼」が来ない。A美は怒りのメールを送り、「彼」のマンション近くにある「日高屋」で朝まで待つも、返信はナシ。怒りのあまり、以前プレゼントされた白い腕時計を、「彼」の自宅ポストに投げ入れて帰る。6月1日、「彼」は酔いつぶれて昼まで寝ていたとわかり、仲直り。

 6月3日、「彼」が「見たこともないぐらいの暗い顔をしていたので」A美が理由を聞いたところ、「6月1日から妻に口を聞いてもらえない」とのこと。このあたりから、「彼」がよそよそしくなったとA美。メールの“ハート”が減ったどころか、返信そのものが激減したそう。

 6月10日、まもなく行われるXのライブに備え、オールで“一人カラオケ”をしていたが、A美は彼との関係が不安になってマンションの前まで行ってしまう。連絡をしたところ、「彼」からは「帰ってください」という返信が。ショックのあまり、今度は「富士そば」で返信を待っていたら、「彼」から「怖くてもう2人では会えません。警察を呼びますよ」とメールが届く。

 「警察」というワードにさらなるショックを受けたA美は、「『彼』に騙されていた?」と思い至る。ハプニングバーでの痴態など、今まで受けた辱めがよみがえり、A美は「消えたい」という思いにとらわれる。いったん帰宅して数珠と睡眠薬を持ち、再びカラオケの個室にこもって遺書を書いたA美。そして、タクシーで「彼」のマンションへ向かったところ、エントランスで待っていた警官に身柄を確保、勾留された。A美いわく、「別れるなら会って話し合いたいと思っただけ」だったそう。

有名人だから「“お咎め”なし」なのか

 A美は証言台で、「別れ話の代わりに警察に突き出して逃げるのは、有名人だから? 守られて何のお咎めもない」「ペナルティが不釣り合いでは?」と主張していました。この10年間、「彼」が“有名人”であることを配慮して事を公にすることはなかったし、「彼」が街なかで囲まれた時には「違いますよ!」と言って、ファンから守ったこともあったというA美。確かに、傍聴している限りでは、「女性加害者のストーカー事件」というより、「恐妻家のクズ男がセフレ切りに失敗してヘタ打った事案」としか思えません。

 それに、A美の証言がすべて真実であるならば、そもそも「彼」は“レイプ犯”であり、裁かれるべき“被告”ではないでしょうか。「ペナルティが不釣り合いでは?」というA美の素直な疑問に対し、司法はどのような答えを出すのか。芸能ゴシップニュースとしてだけではなく、身近な問題の一つとして、よく考えねばならないと感じます。

 自ら通報したことで裁判になり、“ハプバー好き”が公文書に残されてしまった「彼」。裁判の中で正体が明かされることはありませんでしたが、近いうち、ビッグニュースが舞い込むかもしれませんね。
(オカヂマカオリ)

“ハプニングバー”好き有名人と不倫――「紅白歌手・Xに会える」と信じたアラフォー女の「ストーカー裁判」

 殺人、暴行、わいせつ、薬物、窃盗……毎日毎日、事件がセンセーショナルに報じられる中、大きな話題になるわけでもなく、犯した罪をひっそりと裁かれていく人たちがいます。彼らは一体、どうして罪を犯してしまったのか。これからの生活で、どうやって罪を償っていくのか。傍聴席に座り、静かに(時に荒々しく)語られる被告の言葉に耳を傾けると、“人生”という名のドラマが見えてきます――。

【#004号法廷】

罪状:ストーカー行為等の規制等に関する法律違反、脅迫
被告人:A美(アラフォー?)

 女性が起こしたストーカー事件……まさにサイゾーウーマン読者が興味津々なテーマじゃないですか!? どうしても席を確保したくて(満席になると法廷に入れません。立ち見不可)、開廷より30分も早く傍聴席へ着席。待ったかいあって、ゴシップ好きにはたまらない“特ダネ”まで仕入れることができました。

<事件の概要>

 被告・A美と原告の「彼」が初めて会ったのは、平成19年(詳細時期不明……)。銀座でホステスをしていたA美のクラブへ、タニマチに連れられて来店した“有名人”が「彼」だった(珍しく原告の名前が伏せられていたのは、なんと「彼」が“芸能人”だから……らしい!)。

 出会ったその夜、アフターでいきなり“ハプニングバー”に連れて行かれ、「彼」にレイプされたA美(過去にも別の男にレイプされたことがあり、それが原因でPTSDを発症したとのこと)。「(A美の)婚約者に(俺たちが付き合っていることを)バラす」と脅されたため、2カ月に1度の頻度で「彼」と会うことに。

 同年12月にA美は結婚、なぜか披露宴には「彼」を招待した。結婚後も、平成24年頃まで「彼」からメールで呼び出され、「招待状で住所を知られていたので、しぶしぶ」年に数回会う関係が続く。「タニマチと『彼』のY県ツアーに同行したら、打ち上げが乱交パーティーになっていてびっくりした」など、A美からは「彼」が音楽関係者であることを匂わせるエピソードがチラホラ。

 平成25年から3年ほど、A美と「彼」は会うことがなかったが、平成28年、A美は愛犬の死をきっかけに、「彼」との連絡を再開。そのとき、お互い既婚者だったものの、A美は「家庭を壊さず、恋人として思いやりながら過ごせたら」という気持ちだったとか。一方「彼」は行きつけの店で、「俺たちダブル不倫なんだ」と堂々と公言していたという。

 この頃は月に3〜4回のペースで「彼」と会い、デート先はハプニングバーやカラオケ、居酒屋、パチスロなどだったと明かすA美。ちなみに、弁護側が提出した証拠には「ハプニングバーの会員証」が6枚もあるとか。A美の証言によると、「彼」は「自分の女がほか(の男)とヤッていて興奮する性癖だから」ハプニングバーによく行く、とのこと。

 さらに「彼」は、A美がハプニングバーで一晩のうちに5人の男とセックスしたら「X(『NHK紅白歌合戦』に出演したこともある国民的ミュージシャン)の楽屋に連れていってやる」と、約束したそう。A美はXの大ファンで、証言台では「Xさんは神様のような存在です!」とハイテンションに。A美は頑張って「彼」からの“課題”をこなし、Xに会うため、「彼」と一緒にわざわざF県まで遠征。しかし、結局Xには会わせてもらえず……。A美は証言台で「ファンレターまで書いたのに……あぜんとしました」と、肩を落とした。

 平成31年(令和元年)に入ってから、A美と「彼」はケンカが増えたそう。「彼」の金払いの悪さや、ハプニングバーでのプレイ強要、ラブホテルから1人で帰ってしまう(当然、料金は出さない)など、ケンカの原因はいろいろあったようだが、A美の中では「Xに会わせてもらえない問題」が尾を引いていた。

 この頃、「彼」とのケンカで泣いてばかりいたというA美は、気分障害で通院。しかし、証言台で「優しいところはありました。メールにいっぱい“ハート”をつけてくれるところとか……」と、「彼」のことをノロケるA美。「(自分が有名人だからといってA美を)捨てませんよ」「ダメ人間だけどずっと一緒にいたい」といったメールを、「彼」はハート付きで送ってきたという。

 そこはかとない“クズ男”感が漂う「彼」ですが、ここまでされても「優しい」と評するA美。どっぷりと“2人だけの世界”に浸かっているようでした。しかし、関係が悪化したことにより、A美は「彼」に“ストーカー”として扱われることに……。

 令和元年5月31日、待ち合わせていたパチスロ店に「彼」が来ない。A美は怒りのメールを送り、「彼」のマンション近くにある「日高屋」で朝まで待つも、返信はナシ。怒りのあまり、以前プレゼントされた白い腕時計を、「彼」の自宅ポストに投げ入れて帰る。6月1日、「彼」は酔いつぶれて昼まで寝ていたとわかり、仲直り。

 6月3日、「彼」が「見たこともないぐらいの暗い顔をしていたので」A美が理由を聞いたところ、「6月1日から妻に口を聞いてもらえない」とのこと。このあたりから、「彼」がよそよそしくなったとA美。メールの“ハート”が減ったどころか、返信そのものが激減したそう。

 6月10日、まもなく行われるXのライブに備え、オールで“一人カラオケ”をしていたが、A美は彼との関係が不安になってマンションの前まで行ってしまう。連絡をしたところ、「彼」からは「帰ってください」という返信が。ショックのあまり、今度は「富士そば」で返信を待っていたら、「彼」から「怖くてもう2人では会えません。警察を呼びますよ」とメールが届く。

 「警察」というワードにさらなるショックを受けたA美は、「『彼』に騙されていた?」と思い至る。ハプニングバーでの痴態など、今まで受けた辱めがよみがえり、A美は「消えたい」という思いにとらわれる。いったん帰宅して数珠と睡眠薬を持ち、再びカラオケの個室にこもって遺書を書いたA美。そして、タクシーで「彼」のマンションへ向かったところ、エントランスで待っていた警官に身柄を確保、勾留された。A美いわく、「別れるなら会って話し合いたいと思っただけ」だったそう。

有名人だから「“お咎め”なし」なのか

 A美は証言台で、「別れ話の代わりに警察に突き出して逃げるのは、有名人だから? 守られて何のお咎めもない」「ペナルティが不釣り合いでは?」と主張していました。この10年間、「彼」が“有名人”であることを配慮して事を公にすることはなかったし、「彼」が街なかで囲まれた時には「違いますよ!」と言って、ファンから守ったこともあったというA美。確かに、傍聴している限りでは、「女性加害者のストーカー事件」というより、「恐妻家のクズ男がセフレ切りに失敗してヘタ打った事案」としか思えません。

 それに、A美の証言がすべて真実であるならば、そもそも「彼」は“レイプ犯”であり、裁かれるべき“被告”ではないでしょうか。「ペナルティが不釣り合いでは?」というA美の素直な疑問に対し、司法はどのような答えを出すのか。芸能ゴシップニュースとしてだけではなく、身近な問題の一つとして、よく考えねばならないと感じます。

 自ら通報したことで裁判になり、“ハプバー好き”が公文書に残されてしまった「彼」。裁判の中で正体が明かされることはありませんでしたが、近いうち、ビッグニュースが舞い込むかもしれませんね。
(オカヂマカオリ)

中国人女性との“偽装結婚”を手助け――「誰からも好かれる人」が「被告」になった理由

 殺人、暴行、わいせつ、薬物、窃盗……毎日毎日、事件がセンセーショナルに報じられる中、大きな話題になるわけでもなく、犯した罪をひっそりと裁かれていく人たちがいます。彼らは一体、どうして罪を犯してしまったのか。これからの生活で、どうやって罪を償っていくのか。傍聴席に座り、静かに(時に荒々しく)語られる被告の言葉に耳を傾けると、“人生”という名のドラマが見えてきます――。

【#003号法廷】

罪状:電磁的公正証書原本不実記録 同供用幇助
被告人:会社役員S(60歳・男性)

 裁判傍聴をする際にまず確認するものと言えば、その日に行われる裁判がズラリと書かれた「開廷表」。東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎では、ロビーでこれを確認できるのですが、罪状を見ただけでは何がなんだかわからなかったので、こちらの事件を傍聴してみることに。

 双方に結婚の意思が無いのに、虚偽の婚姻届を出して(不実記録)、新しい戸籍(公正証書)を作ったので、この罪名になった模様。ちなみに、紙の台帳に記録されていた公文書の原本が、現在はデータベース(デジタル)化されているため、“電磁的”という言葉がついているようです。簡単に言えば、「偽装結婚の手助けをした」ということなのですが、何ともややこしい罪名ですよね。今回は正直、軽い感じの裁判を予想していたのですが、なかなか濃いドラマが展開されました。罪名はデジタルですが、内容はコテコテの“アナログ人情劇”だったのです。

<事件の概要>

 平成27年、被告Sは行きつけの中華料理店・店主夫婦の中国人妻Wから、「甥の元妻Cが日本に来たいと言っているけど、どうかな?」「(偽装結婚で相手に支払う報酬の)“相場”はいくら?」と、軽い調子でCの“相手探し”を持ちかけられた。被告Sはあまり深く考えずに「中国人女性が日本に来たいだけ」だと思い、前に勤めていた会社で懇意にしていた、自身の元部下Hを紹介。この時被告Sは、Hが天涯孤独であることを案じていて、「いずれは本当の夫婦になれるかも」と気遣う気持ちもあったとか。そして、報酬としてHに月々6万円ずつ支払うということで、話がまとまった。

 平成28年7月、店主夫妻の招待で、被告SとHは中国旅行に赴く。訪問したのは店主妻Wの故郷で、そこで偽装結婚を望む甥の元妻・中国人女性CとHが引き合わされ、親族を呼んで“結婚祝賀パーティー”まで催された。被告SとHの渡航費を含め、一切の費用は店主夫婦持ちだったそうで(被告Sは支払いの意志を見せたものの、店主夫婦に拒否された)、結局、おとなしく接待にあずかることに。被告Sは偽装結婚に関する仲介手数料も受け取らなかったそうだが、次第に「このままだと、犯罪に関わってしまうのでは?」と感じるように。

 「配偶者ビザ」を入国管理局に申請するため、「(偽装結婚した2人は)長野県の国民休暇村で出会った」という、“嘘の馴れ初め”まで考えたという被告S。元部下Hと中国人女性Cは、帰国後に東京S区に婚姻届を提出し、書類上“夫婦”となった。しかし、2人はこの事件が発覚するまで、同居もせず、肉体関係もなかったという。のちに、被告Sは店主妻Wに「偽装結婚あっせん」の“前科”があったことを知るのだった。

 ……と、ここまでが検察による冒頭陳述(事件のあらすじ)で、このあと弁護側の証人が登場しました。弁護側の基本的な法廷戦術には、裁判官の“情”に訴え、少しでも心証を良くしようと「情状証人」を連れてくることがありますが、今回の裁判では、まさにこの情状証人が登場。とにかく被告Sを褒めまくるという、ちょっと不思議な光景を目の当たりにしました。

 情状証人には、被告の本質は善良であり、深く反省していて、再犯の可能性は絶対になく、出所後も支えてくれる身元引受人がおり……などなど、「被告は本来“いい人”で、罪を犯すに至らしめた不幸な環境があった」という内容を語らせるケースが多いです。今回の事件で、被告Sに重い判決が下される可能性は極めて低いと思われますが、それでも証人が2人も現れたことに鑑みると、彼にはよっぽど人徳があるのでしょう。

 1人目の証人は、被告Sと30年の付き合いがある共同経営者。「頼まれると親身になって相談に乗る人」「誰からも好かれる」という素敵な人物像を語ったかと思えば、つい最近、被告Sと起業したばかりなので「勾留留時には(運営に)困った」との本音も。

 続く2人目の証人は、被告Sの妻。2人は学生時代からの付き合いだそうで、「あまり深く考えずに引き受けてしまったのでは」「とても反省している」などと、「自分がサポートして一緒に罪を償っていく」決意を語りました。法廷では、事実と違う証言をしたら「偽証罪」に問われる可能性があります。その危険を冒してまで出て来てくれる妻がいることに、少し安堵。途中から、石井ふく子プロデュースのドラマを見ているような気分になってしまいました。

 被告Sが罪を犯したことは事実だとしても、情状証人の話を聞いていると、つい「本当はいい人なんだな」と心が動きます。自分の部下として働いてくれた仲間であり、身寄りのない中年の友人でもあるHを結婚相手として紹介したのも、彼の老後を思いやった上のことなのだろうと、納得できてしまうんですよね。「最初は偽装だけど、いずれは本当の夫婦になれるかもと思った」という被告Sの一言にも、ちょっとウルっときてしまいました。

 面倒見が良すぎて一線を越えてまったこの事案は、「“悪意”がなくても犯罪者になってしまうことがある」という教訓を、私たちに提示してくれた一件だったと言えるでしょう。

<ぶらり東京地裁なび>

 法廷の傍聴席入口に下げられた「満員」の札。傍聴は基本的に先着順で立ち見はできないため、この札がかかってしまっていたら、すごすご退散するしかありません。逆に定数に達していない時は、係員の人が入口で「あと○席ありますよ~!」と、路上のキャッチのように“呼び込み”している、なんてことも。
(オカヂマカオリ)

「“商社のノリ”を教えてあげる」と誘って強姦……“勝ち組”被告の卑劣な手口「準強制性交裁判」

 殺人、暴行、わいせつ、薬物、窃盗……毎日毎日、事件がセンセーショナルに報じられる中、大きな話題になるわけでもなく、犯した罪をひっそりと裁かれていく人たちがいます。彼らは一体、どうして罪を犯してしまったのか。これからの生活で、どうやって罪を償っていくのか。傍聴席に座り、静かに(時に荒々しく)語られる被告の言葉に耳を傾けると、“人生”という名のドラマが見えてきます――。

【#002号法廷】

罪状:公然わいせつ、準強制性交等
被告:T男(当時24歳)
逮捕に至る経緯:平成31年3月、就職活動のため有名商社にOB訪問していた女子大学生・Aを、当時社員だったT男が就業時間外に居酒屋とカラオケに誘う。無理に酒を飲ませ、Aが意識を失ったところで強姦。

 今年に入り取り沙汰されるようになった、いわゆる「就活セクハラ・パワハラ」事案です。日本労働組合総連合会が今年5月に行ったアンケート調査によると、「就職活動中にセクシュアル・ハラスメントを受けたことがあるか」という質問に対し、「ある」と答えた人は10.5%で、全体の1割に達していたとのこと。その中で、被害を受けた割合がもっとも多いのは「20代男性」で21.1%、次いで「30代女性」が15.5%、「20代女性」が12.5%という結果でした。

 「就職活動中に受けたことのあるセクシュアル・ハラスメント」についての質問では、被害を受けた男性の半数近くが「性的な冗談やからかい」と答えたのに対し、女性は「食事やデートへの執拗な誘い」「必要のない身体への接触」「性的な関係の強要」と、さまざまな種類の被害を受けているよう。もちろん、どの行為も断じて許してはならないという前提で、女性が受けやすいセクハラは、今回のような“強姦”という最悪のケースにつながる可能性が高いように思えます。

 さて、今回は初公判なので、まずは検察による冒頭陳述からスタート。ざっくり言うと、事件の「あらすじ」みたいなものが、法廷で読み上げられるのです。「被告はこんなに悪いことをしたし、証拠もきっちりあるので、罰するべき!」と、検察が立証するわけです。そんな冒頭陳述は、以下の通り。

 就活中の女子大学生・Aさんによると、被告の第一印象は「軽いノリで、苦手なタイプ」。OB訪問で被告の会社を訪れた際、一緒にランチをしただけでなく、就業時間後も被告は「もっと仕事のことを教えてあげる」などと、Aさんを飲みに誘っていたといいます。被告の同僚も同席するという安心感から、飲み会へ行くことにしたAさんは、居酒屋でも“仕事モード”を崩さずに、ウーロン茶を飲んでいたそう。しかし、被告に「酒飲まないの? それじゃ商社じゃやっていけないよ?」と飲酒を促された揚げ句、「二次会で“商社のノリ”を教えてあげる」とカラオケに連れ出されてしまいます。

 そして、Aさんは否応なしに「このフレーズを歌ったら酒を一気飲みしなくてはいけない」というゲームに強制参加。結果的に、Aさんはアルコールを6杯も飲まされ、気分が悪くなって1人トイレへ。混濁した意識の中で用を済ませ、個室を出ようとしたところ、被告が薄笑いでドアの前に立ち、Aさんを待ち構えていたのです。そしていきなり胸を揉まれ、下着の中に手を入れられて「ここが気持ちいい?」などと陰部を触ってきたそう。Aさんは意識ははっきりしていたものの、ショックのあまり体が硬直、まったく抵抗ができない状態に陥ります。

 その後、被告とその同僚は、Aさんがあらかじめ予約していたビジネスホテルへ彼女を送っていくことに。2人でAさんをベッドに寝かせ、部屋を出て行く際、同僚から「これで手を出したら“強姦”だからな」と言われたにもかかわらず、被告は部屋のキーをこっそり持ち出し、1人でホテルに戻ったそう。そして、昏睡状態のAさんを強姦。痛みで目を覚ました時には、鼻息を荒くしてニヤニヤしている被告がAさんに覆いかぶさっていたといいます。何とか逃げてトイレに駆け込んだものの、Aさんの震えは止まらず。被告はそんなAさんに向かって、トイレの外から「俺の(ペニス)硬いままなんだけど、どうしてくれる?」などと威嚇。逮捕の決め手となったのは、このホテルの防犯カメラに1人でAさんの部屋から出て行く被告が写っていたからだそうです。

 現役バリバリのOBから「もっと仕事のことを教えてあげる」と誘われて、キッパリ断れる就活生は、一体どれくらいいるのか。多くの就活生が「ここで断ったら就職に不利になる」と考え、OB・OGに従わざるを得なくなると、被告は知っていて“利用”したとしか思えません。「商社のノリ」などという謎のローカルルールを行使されればなおのこと、「会社とはこういうものだ」と就活生が錯覚してしまっても無理はない。就活セクハラ・パワハラの卑劣さとは、「自分より圧倒的に弱い立場の人間に向けられる」という点ではないでしょうか。

 それと気になるのは、ホテルから出る時に被告の同僚が「これで手を出したら“強姦”だからな」と声をかけていたこと。こうやって釘を打っておかないと、「強姦する可能性があった」とも考えられます。告発されていないだけで、実は常習犯だったのかもしれません。

 財閥系商社の正社員という“勝ち組人生”を送っていた被告は、24歳の若さですでに妻帯者。そのせいもあってか、目の当たりにすると30代半ばにも見える貫禄がありました。大学を出て、いきなり人生のすべてを手に入れてしまったことで生まれた過剰なまでの自意識が、被告の風体を作っていたように思えます。

“マッチョイズム”が「#MeToo」を阻む?

 この事件と同じ時期に、20代の大手ゼネコン社員による、就活生への「強制わいせつ事件」が明るみに出ました。なぜ今、彼らはこんなことをしてしまったのか。商社と建築、どちらも「男らしさ」「たくましさ」といった“マッチョイズム”が幅を利かせているイメージのある業界ですが、そこで彼らに何が起こっていたのか……。かなり気になるところではありますが、いずれの被告にも病識がなく、情状酌量の余地もなし、さらに罪状をすべて認めているため、引き換えに被告の背景について明らかにされない可能性が高くなりました。

 「#MeToo」運動などで世界的潮流になっているセクハラ撲滅の機運は、まだまだ一部の盛り上がりに過ぎないのかもしれません。この出来事がフラッシュバックし、日々の生活もままならないというAさん。想像して余りある苦痛です。前述の大手ゼネコン社員による強制わいせつ事件は、すでに「不起訴」の判決が出ていますが、今回の事件でも、弁護側は示談を申し込んでいるそう。「魂の殺人」とも呼ばれる強姦。被告にはどうか、厳しい判決が下ることを願います。

<ぶらり東京地裁なび>

 民事裁判を起こされた場合、呼び出し状は必ず「特別送達郵便」で送られてきます。聞き慣れない言葉ですが、東京地裁の地下にある郵便局には、“専用受付”まで設置。それだけ利用頻度が高いということで、裁判所らしさを感じさせてくれる光景です。ちなみに、裁判所を騙ったハガキは「普通郵便」で送られてきますから、詐欺を簡単に見破るテクニックとしても覚えておいて損はないでしょう。
(オカヂマカオリ)

「“商社のノリ”を教えてあげる」と誘って強姦……“勝ち組”被告の卑劣な手口「準強制性交裁判」

 殺人、暴行、わいせつ、薬物、窃盗……毎日毎日、事件がセンセーショナルに報じられる中、大きな話題になるわけでもなく、犯した罪をひっそりと裁かれていく人たちがいます。彼らは一体、どうして罪を犯してしまったのか。これからの生活で、どうやって罪を償っていくのか。傍聴席に座り、静かに(時に荒々しく)語られる被告の言葉に耳を傾けると、“人生”という名のドラマが見えてきます――。

【#002号法廷】

罪状:公然わいせつ、準強制性交等
被告:T男(当時24歳)
逮捕に至る経緯:平成31年3月、就職活動のため有名商社にOB訪問していた女子大学生・Aを、当時社員だったT男が就業時間外に居酒屋とカラオケに誘う。無理に酒を飲ませ、Aが意識を失ったところで強姦。

 今年に入り取り沙汰されるようになった、いわゆる「就活セクハラ・パワハラ」事案です。日本労働組合総連合会が今年5月に行ったアンケート調査によると、「就職活動中にセクシュアル・ハラスメントを受けたことがあるか」という質問に対し、「ある」と答えた人は10.5%で、全体の1割に達していたとのこと。その中で、被害を受けた割合がもっとも多いのは「20代男性」で21.1%、次いで「30代女性」が15.5%、「20代女性」が12.5%という結果でした。

 「就職活動中に受けたことのあるセクシュアル・ハラスメント」についての質問では、被害を受けた男性の半数近くが「性的な冗談やからかい」と答えたのに対し、女性は「食事やデートへの執拗な誘い」「必要のない身体への接触」「性的な関係の強要」と、さまざまな種類の被害を受けているよう。もちろん、どの行為も断じて許してはならないという前提で、女性が受けやすいセクハラは、今回のような“強姦”という最悪のケースにつながる可能性が高いように思えます。

 さて、今回は初公判なので、まずは検察による冒頭陳述からスタート。ざっくり言うと、事件の「あらすじ」みたいなものが、法廷で読み上げられるのです。「被告はこんなに悪いことをしたし、証拠もきっちりあるので、罰するべき!」と、検察が立証するわけです。そんな冒頭陳述は、以下の通り。

 就活中の女子大学生・Aさんによると、被告の第一印象は「軽いノリで、苦手なタイプ」。OB訪問で被告の会社を訪れた際、一緒にランチをしただけでなく、就業時間後も被告は「もっと仕事のことを教えてあげる」などと、Aさんを飲みに誘っていたといいます。被告の同僚も同席するという安心感から、飲み会へ行くことにしたAさんは、居酒屋でも“仕事モード”を崩さずに、ウーロン茶を飲んでいたそう。しかし、被告に「酒飲まないの? それじゃ商社じゃやっていけないよ?」と飲酒を促された揚げ句、「二次会で“商社のノリ”を教えてあげる」とカラオケに連れ出されてしまいます。

 そして、Aさんは否応なしに「このフレーズを歌ったら酒を一気飲みしなくてはいけない」というゲームに強制参加。結果的に、Aさんはアルコールを6杯も飲まされ、気分が悪くなって1人トイレへ。混濁した意識の中で用を済ませ、個室を出ようとしたところ、被告が薄笑いでドアの前に立ち、Aさんを待ち構えていたのです。そしていきなり胸を揉まれ、下着の中に手を入れられて「ここが気持ちいい?」などと陰部を触ってきたそう。Aさんは意識ははっきりしていたものの、ショックのあまり体が硬直、まったく抵抗ができない状態に陥ります。

 その後、被告とその同僚は、Aさんがあらかじめ予約していたビジネスホテルへ彼女を送っていくことに。2人でAさんをベッドに寝かせ、部屋を出て行く際、同僚から「これで手を出したら“強姦”だからな」と言われたにもかかわらず、被告は部屋のキーをこっそり持ち出し、1人でホテルに戻ったそう。そして、昏睡状態のAさんを強姦。痛みで目を覚ました時には、鼻息を荒くしてニヤニヤしている被告がAさんに覆いかぶさっていたといいます。何とか逃げてトイレに駆け込んだものの、Aさんの震えは止まらず。被告はそんなAさんに向かって、トイレの外から「俺の(ペニス)硬いままなんだけど、どうしてくれる?」などと威嚇。逮捕の決め手となったのは、このホテルの防犯カメラに1人でAさんの部屋から出て行く被告が写っていたからだそうです。

 現役バリバリのOBから「もっと仕事のことを教えてあげる」と誘われて、キッパリ断れる就活生は、一体どれくらいいるのか。多くの就活生が「ここで断ったら就職に不利になる」と考え、OB・OGに従わざるを得なくなると、被告は知っていて“利用”したとしか思えません。「商社のノリ」などという謎のローカルルールを行使されればなおのこと、「会社とはこういうものだ」と就活生が錯覚してしまっても無理はない。就活セクハラ・パワハラの卑劣さとは、「自分より圧倒的に弱い立場の人間に向けられる」という点ではないでしょうか。

 それと気になるのは、ホテルから出る時に被告の同僚が「これで手を出したら“強姦”だからな」と声をかけていたこと。こうやって釘を打っておかないと、「強姦する可能性があった」とも考えられます。告発されていないだけで、実は常習犯だったのかもしれません。

 財閥系商社の正社員という“勝ち組人生”を送っていた被告は、24歳の若さですでに妻帯者。そのせいもあってか、目の当たりにすると30代半ばにも見える貫禄がありました。大学を出て、いきなり人生のすべてを手に入れてしまったことで生まれた過剰なまでの自意識が、被告の風体を作っていたように思えます。

“マッチョイズム”が「#MeToo」を阻む?

 この事件と同じ時期に、20代の大手ゼネコン社員による、就活生への「強制わいせつ事件」が明るみに出ました。なぜ今、彼らはこんなことをしてしまったのか。商社と建築、どちらも「男らしさ」「たくましさ」といった“マッチョイズム”が幅を利かせているイメージのある業界ですが、そこで彼らに何が起こっていたのか……。かなり気になるところではありますが、いずれの被告にも病識がなく、情状酌量の余地もなし、さらに罪状をすべて認めているため、引き換えに被告の背景について明らかにされない可能性が高くなりました。

 「#MeToo」運動などで世界的潮流になっているセクハラ撲滅の機運は、まだまだ一部の盛り上がりに過ぎないのかもしれません。この出来事がフラッシュバックし、日々の生活もままならないというAさん。想像して余りある苦痛です。前述の大手ゼネコン社員による強制わいせつ事件は、すでに「不起訴」の判決が出ていますが、今回の事件でも、弁護側は示談を申し込んでいるそう。「魂の殺人」とも呼ばれる強姦。被告にはどうか、厳しい判決が下ることを願います。

<ぶらり東京地裁なび>

 民事裁判を起こされた場合、呼び出し状は必ず「特別送達郵便」で送られてきます。聞き慣れない言葉ですが、東京地裁の地下にある郵便局には、“専用受付”まで設置。それだけ利用頻度が高いということで、裁判所らしさを感じさせてくれる光景です。ちなみに、裁判所を騙ったハガキは「普通郵便」で送られてきますから、詐欺を簡単に見破るテクニックとしても覚えておいて損はないでしょう。
(オカヂマカオリ)