「母が家庭を壊した」母親の死期を知った息子が語った、屈折した愛

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 火災が多い。宍戸錠氏の状況も心配だが(被害妄想に幻覚だろうか?……認知症の症状に酷似)、長崎のグループホーム火災も胸が痛む。テレビの画面から聞こえた、「中にまだ人がいます」という職員らしき女性の悲痛な叫び声がまだ耳に残っている。グループホームは、認知症の人が少人数の家庭的な環境の中で暮らす施設だ。入居者9人に夜勤職員は1人。報道では、定員オーバーしていたとの話もある。火災という非常時に、職員1人で何ができるというのか。出火原因となった加湿器は、入居者の風邪予防だったのだろうと思うと一層悲しい。犠牲者のご冥福を祈りたい。

<登場人物プロフィール>
石田 雄一(43) ウェブデザイナー。東京で事務所を運営している。
石田 勝(80) 石田さんの実父。一人暮らし。
大野 敏子(75) 石田さんの実母。50代で夫と離婚後、再婚している。

「私のベッドくらい置ける部屋があったわね」母の言葉が聞こえないふりをした

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 すごくよかった、と紹介されていたので、『おかんの昼ごはん―親の老いと、と本当のワタシと、仕事の選択』(山田ズーニー著、河出書房新社)を読んだ。親を思う気持ちの“王道”というような読者のエピソードも満載。確かにいい話だ。切なくて鼻の奥がツンとする。でもそんないい話に、居心地の悪い思いをしている子どもも少なくないだろう。だって、母親が重い、なんて決して人には言えないから。母親が年老いて弱くなってしまうと、なおさらだ。しかし、年老いても、弱くなっても、重いものは重い。

<登場人物プロフィール>
木村知恵(40) 夫、小学生の子ども二人と東京都内に暮らす
伊藤道彦(43) 木村知恵の兄。独身、東京在住
伊藤好子(72) 木村知恵の母

財産を盗む犯人は、悪徳商法や詐欺ではない――「親の金は自分の金」と思う子ども

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 麻生太郎副総理の「さっさと死ねるように」発言が物議を醸している。発言は撤回されたが、終末期の延命治療に関しては麻生サンに共感する声も聞こえてくる。一方、ほぼ同時期に放送されたNHKスペシャル『終の住処はどこに 老人漂流社会』。妻に先立たれ、自分も体調を壊して一人暮らしができなくなった90歳近い男性。数カ月おきにショートステイ(短期入所)をくり返し、ようやく入れる低額の施設が見つかった。「延命措置を希望されますか?」という施設職員の問いに、その男性は即答したのだ。「そうですね。命ある限りは、延命を、お願いします」と。介護や終末期のあり方に、正解はない。というわけで、今回は法律というある種の“正解”を持っている弁護士に話を聞いた。

<登場人物プロフィール>
猪狩光彦(55)弁護士歴30年。東海地方で開業している。バツ1独身

■弁護士・猪狩さんにとっても介護は人ごとではない

 待ち合わせ場所に現れた弁護士の猪狩さんは、いかにも弁護士らしい知的な紳士だ。しかし、開口一番「介護について聞きたいって?介護の案件は儲からないんだよね」……正直な先生だ。「弁護士ってすごく儲かってると思われてるかもしれないけど、それはほんの一部。弁護士も不景気でね。友人の弁護士事務所はボーナスも出なかったらしい」。

 今日は介護についてのお話を聞きたいんですが。

「小さな石ころの波紋ですべて崩れる」義母からの電話に怯える長男の嫁

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 実の親の介護と、夫の親の介護とは、そりゃやっぱりどうしても気持ちの入り方は違う。同居していようがいまいが、一歩引いているというか、ちょっと冷めてるというか、よくいえば客観的に見られるというか。自分を産んでくれた親とは、その感覚は違って当たり前なのだが、それでもまったく他人事というわけにはいかないのが嫁の立場ってもんだろう。他人事としてまったく関知しない! という猛者もいるが、猛者にはなれない一般嫁としては、親戚の目やら世間体やらも気になるし、一応夫の手前ってのもある(ポーズともいう)。自分の親なら覚悟を決めるしかないが、夫の親にはなんで自分が? という気持ちは拭えない。今回は、そんな嫁から見た話をお送りしよう。

<登場人物プロフィール>
松田圭子(45)パート勤務。四国の県庁所在地に夫、小学生の子ども2人と暮らす
松田孝一(48)松田圭子の夫。県庁に勤務している
松田勝則(80)松田孝一の父
松田頼子(77)松田孝一の母

「あとは死ぬだけの母親がうらやましい」独身の一人息子が見た介護

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 親の介護に直面するのは、娘や嫁ばかりではない。息子だって同じだ。息子が母を思う気持ちは、娘のそれとはかなり違う、と思う。ママが大好きな息子たちは、小さい頃から男らしさを要求されて育てられてきているから、ママ大好きな気持ちを隠しつつ、それでもママのためならなんでもしてあげたいという気持ちの狭間で苦悩している、ような気がする。でも、ママ大好きじゃない息子だってたくさんいる。これは断言できる。そんな息子が介護をするとなると、娘の場合とは違う苦悩があるようだ。今回はそんな息子の話をしてみたいと思う。

<登場人物プロフィール>
小田 誠(48) 首都圏で猫3匹と暮らす。結婚歴はない
小田 マサ子(78) 小田誠の母

「廃人になっても家にいられるよりはマシ」父との食事が苦痛となった

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 誰にでも平等に訪れるもの、「老い」。そして自分の老いより先に、必ずやってくるのが親の老いです。いつかくる介護という現実に向け準備をしても、いざ現実となった時、感情面での葛藤を乘り越えられるのか――。今回からは、「突撃・隣の愛憎劇」とも言える介護をめぐる人間模様をお送りします。共感するのも、この家よりはまだマシと安心するのも自由。でもいずれは自分も辿る道、であることだけはお忘れなきよう。

<登場人物プロフィール>
林 恵美(45) 夫と2人の娘の4人家族。中国地方在住。大阪に弟がいる。
坂井 秀雄(81) 林恵美の実父