11月18日に放送された『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の第6話は、オープニングからムロツヨシ扮する椋木先生が大フィーチャーされた回。ストーリーは、原作で言うところの「レプリカヤクザ編」である。
■ムロツヨシをメインにしたいがために選ばれた地味なエピソード
まずは、今回のストーリーをざっと説明する。気の弱い教師・坂本(じろう/シソンヌ)は道でヤクザの剛田(勝矢)に激突。偶然そこに落ちてきた電光看板から自分を救った“命の恩人”坂本に、剛田は感謝した。
ヤクザの事務所が潰れ、無職になってしまった剛田に、坂本は生徒指導専門の実習生の仕事を紹介。翌日から剛田は生徒指導の教師として軟高にやって来た。強力な用心棒を手に入れ気が大きくなった坂本は突然強気な教師にキャラ変し、三橋貴志(賀来賢人)をはじめとした不良たちに圧力を掛けていく……という内容である。
まず意外だったのは、原作に数ある秀逸なエピソードの中で、比較的地味な「レプリカヤクザ編」が選ばれたことだ。はっきり言って、特にドラマでやるべき話ではない。ほかにドラマ向けのエピソードは数多いものの、ムロをメインにしたいがために教師を中心に据えた話が選ばれただけのような気がしてならない。話の回数は限られているのに、この1週分が本当にもったいない。
しかも、原作版「レプリカヤクザ編」のいいところをことごとく改悪しているのが解せない。例えば、屋上から三橋と伊藤真司(伊藤健太郎)が飛び降りた場面。ドラマでは剛田が三橋らを追いかけるだけで終わったが、原作では「世の中の役に立とうと思っていたのに、青少年を死に追いやってしまった」と剛田はショックを受けている。
これがあるとないとでは、全然違う。ただの荒くれ者なのか、良かれと思ってやってしまっていることなのか、剛田に対する印象がまったく異なるのだ。
話の着地点も、原作のいいところがバッサリ削除された。三橋のワル知恵でみんなから「剛田先生!」と慕われ、暴力で生徒を屈服させていた剛田は「俺はオマエらの味方だー」と改心。こうして坂本の恐怖政治は終焉し、剛田は生徒に愛される教師を目指して猛勉強を始める。これが原作でのエンディングだった。しかしドラマ版では、教育者を目指すはずの剛田が、ただの悪い輩で終わってしまっている。赤坂哲夫(佐藤二朗)らの無駄なコント部分がなければ、それくらい描写できたはずなのに! 特に今回、原作にはないドラマオリジナルのくだりがことごとく足を引っ張っている。完全に失くせとは言わないが、もう少し自重してもいいのでは……。
このドラマが批判されるとしたら、その大部分はムロと佐藤のコント部分に原因がある。福田組作品にとってドラマの筋に関係ない2人のユーモラスなくだりはマストかもしれないが、冷める時だってある。
ムロが出演中のドラマ『大恋愛』(TBS系)では、彼のアドリブが作品のいいスパイスになっている。そう、スパイスでいいのだ。程々だからいい。1話丸々のムロは、正直キツかった。椋木先生は主役を張るようなキャラじゃない。今回はスピンオフ辺りでやるべき話だったと思う。
前回のレビューでもチラッと触れたが、ならば原作版の重要キャラである中野誠や高崎秀一を登場させてほしい。こういう1週分が本当にもったいないのだ。
■次回「廃ビル編」と太賀への大いなる期待値
しかし、最後の最後でテンションが上がった。第6話のクライマックスは次週予告にあった。ついに、今井勝俊(太賀)が廃ビルに閉じ込められる原作の伝説エピソードが選ばれたのだ。「廃ビル編」は、ドラマでも愛されキャラとして人気急上昇中の今井の最大の見せ場のひとつ。原作を知らない視聴者の反応が今から楽しみで仕方ない。
YouTubeで公式の次回予告では、以下のような解説が記されている。
「原作伝説のエピソード解禁!! 三橋と今井の仁義なき、そして世界一ムダな闘いが幕を開ける…!」
「原作ファンの皆様、お待たせしました!ついにあの伝説のエピソードが解禁!!原作を知らない皆様、逆に何も情報いれずに見ても滅茶苦茶おもしろいですよ!!」
「三橋を罠にかけた今井。だが今井は忘れていた…三橋はやられたら100倍にして返す男だということを…。三橋と今井の仁義なき、そして世界一ムダな闘いが幕を開ける…!」
正直、あの面白さを実写で表現するのは至難の業だと思う。しかし、もし成功したならば脱帽だ。元は背が高かったはずの今井を、決して長身ではない太賀は好演していると思う。しかし、「廃ビル編」の今井はとりわけハードルが高い。逆に言うと、これをうまく演じられたならば、ドラマ版『今日から俺は!!』の英雄になれる。三橋にしてやられた瞬間の今井のあの表情をどこまで演じきれるのか? 純粋に期待しながら、第7話を待ちたいと思う。
(文=寺西ジャジューカ)