国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
7月27日は、政治関係者のいろいろなニュースが飛び込んできて、“ちらされて”しまった報道がたくさんあった残念な1日でした。「ちらされる」というのは、たぶん永田町用語ですかね。意味としては、「ビッグニュースが多くて、衝撃が分散されてしまった」とか「メインのニュースに時間が取られてしまい、「その他」のニュースが扱ってももらえず、せっかく時間をかけて準備して記者会見までやったのにムダだった」とか、ちょっと残念な印象で使います。
26日には、2025年万博の大阪誘致を目指す超党派の国会議員連盟が府内で初会合を開いたのに、ちっとも注目されませんでした。
■ 永田町ではすでに浮いていた存在
朝一番のニュースは、今井絵理子参議院議員の「ロマンス」でした。実は、自民党の秘書の会合では、半年くらい前から「今井議員が“関西の議員”とお付き合いをしているらしい」という話はよく出ていました。でも、特に関心を持つ秘書たちは少なかったです。
「ふーん、だから出馬時に話題になった『例の同棲していた彼』とは別れたわけね……」くらいの反応でした なぜなら秘書たちにとって、今井議員とは正直「いてもいなくてもいい存在」という位置づけだったからです。抜群の知名度と、聴覚障害児をシングルマザーとして苦労して育てているという美談しか売りがないですからね。なので、まさかそれを自から壊すようなことはしないだろう、と思っていたのです。
確かに知名度は高いので、都議会議員選挙の応援要請はたくさんあったようですが、自民党もそれほど頼りにしていたわけでもなさそうです。なんと今井議員は、親しい議員たちに「都議選の応援、大変。正直、めんどー」などと言っていたそうで、それが自民党の幹部たちにも聞こえてたんですね。当然、長老たちはお怒りです。
今井議員に限らず、党本部がすべてお膳立てしてくれた選挙を戦った方たちは、黙って党本部の指示に従って、他候補の応援などに走り回るのが「永田町の掟」なのです。今井議員は、この掟に従わず自分勝手なので、党内では以前から浮いていたようです。不倫は、そういう寂しさもあったのかもしれません。
さて、お相手とされる橋本健神戸市議会議員とは、どんな方なのでしょうか? 実は、地元の有権者の評判はとっても良かったのです。2015年の神戸市議会議員選挙では6,604票を獲得、神戸市中央区選挙区でトップ当選しています。爽やかなルックスと、わかりやすい言葉で有権者に訴える演説スタイルが支持されたのでしょう。
外見がいい人は、選挙では本当に得をするものです。現在3期目(11年目)で、07年に初当選した時から、同僚議員たちには「俺は国政を目指す。国会議員こそ俺に適している」と公言していたそうですから、自己顕示欲は相当だったと思われます。今井議員も、近いうちに彼が同僚国会議員になれると信じていたのかもしれません。
でも、いくら層が厚い自民党とはいえ、3期目でもまだ市議会議員ということは、「国会議員としての適性はない」と自民党県連から判断されていたのだと思われます。さらに同僚議員によると、橋本議員はすでに自民党内で離党やむなしという雰囲気に追い詰められているとか。不倫報道のせいかどうかは不明ですが、急に政務活動費の返還を求められたり、踏んだり蹴ったりのようです。いつまで彼が持ちこたえるかですね。
■不倫よりも重い「罪」
いいか悪いかは別にして、永田町の不倫は目立ちます。身近な例で言うと、ベテラン政策秘書と新人秘書がそういう関係になったという話はよく聞きます。
最近だと、中川俊直議員の重婚ウェディングや前川恵議員との不倫騒動もありますが、今回の件で思い出されるのは、船田元議員と元アナウンサーで元参議院議員の畑恵さんの、不倫の末の結婚ですかね。
そして、秘書たちは往々にしてこのような不倫のお手伝いをさせられてしまうこともあります。今回の「手つなぎ新幹線」のチケットも秘書が用意しているハズです。なぜなら、航空券を含めチケットを多忙な国会議員自らが買うことはほとんどなく、たいていはJTB国会内支店で秘書が申し込みをして購入するからです。
この騒動で、今井事務所のドアは閉じたままなので、秘書に真相を聞くことはできませんでしたが、不倫旅行のためのチケットを用意させられたのだとしたら、秘書が気の毒ですよね。でも、女性秘書など永田町の住人たちの怒りを買ったポイントは、実はそこではありませんでした。
「客室に備え付けのガウンで、ボサボサの頭で部屋を出てエレベーターに乗るなんて、議員とか公人とか以前の問題!」「人としてダメダメ」ということです。報道後は、永田町の秘書仲間たちはその話でもちきりです。「関係ないのに、陳情者に叱られた」という秘書もいました。
ホテルには、「ガウンのまま廊下に出ないでください」とか、注意書きもあるはずですけどね。永田町の掟では、「自己責任の不倫」よりも、ガウンで廊下に出るほうが罪は重いのです。
不倫が割り切った「大人の関係」ではいられず、のめりこんでしまうこともあります。今井議員は、のめりこんじゃったんでしょうね。でも、相手が格下の市議とは微妙としか言いようがありません。
会見で今井議員が「離婚していなかったとは知りませんでした。結婚歴はあるけど、今は独身だと聞いていたので好意を持ちましたが、騙されていたことがわかりましたので、今後一切、橋本市議とは会いません!」と宣言すれば、少しは政治家として評価が上がったのではないかと思います。
でも、本気だったというウワサもありますね。あくまで報道の情報ですが、参議院の自民党会派の公用車が、今井議員が借りている千代田区三番町のマンションへお迎えもしていたようですから、都内の宿舎として、そのマンションを自民党本部へ届けていたのだと思います。
参議院の議員宿舎は、同じ千代田区の麹町と紀尾井町にあります。希望すれば、その宿舎を利用することもできたのに、すぐ近くの三番町の賃貸マンションにするなんて、「お金だけはあったのですね」と秘書たちからは冷ややかに見られています。さすがに議員宿舎では、お相手を招き入れることなどできませんから、彼女の本気度がうかがえると思います。
いずれにせよ、この件で自民党は今井議員に辞職はさせないでしょうが、ますます居場所はなくなるでしょうね。
世間には「こんな騒ぎを起こしているのに、なぜ辞職させないのか」という声もありますが、もともと永田町では不倫程度では辞職させません。せっかく選挙で勝たせたのですから、これからも「人寄せパンダ」として働いてもらうつもりです。過去に不倫で辞めたのは「イクメン議員」こと宮崎謙介さんくらいですが、党に相談せずに辞意を公表してしまったので、本当に大騒ぎでした。
今井議員はこれに懲りて、党本部の命令を聞く議員にならざるを得ないと思います。
(神澤志万)


