羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の有名人>
「頭、おかしいんちゃいますか?」ハイヒール・リンゴ
『ノンストップ!』(フジテレビ系、11月14日放送)
三遊亭円楽が、一般人女性と錦糸町のラブホテルに入る姿を「フライデー」(講談社)に撮られ、不倫を認めて謝罪したのが昨年の6月。今度は「フラッシュ」(光文社)が、円楽主催の博多でのゴルフコンペに、例の女性が参加している写真を掲載した。不倫関係が続いていたのかについて記者が尋ねると、円楽はきっぱり否定。説明によると、円楽主催の「博多・天神落語まつり」が開かれ、円楽周辺が20数人のツアーを組んで博多を訪問、ゴルフコンペは打ち上げであり、女性は単なる仲間の1人であることを強調した。
不倫を肉体関係と仮定するのなら、一緒にゴルフをしていることイコール不倫ではない。しかし、昨年の謝罪会見のプレッシャーにあらゆる意味で凝りていたら、誤解を招くような行動は取らないはず。ゆえに、やはり不倫は続いているとみる人もいるだろう。
円楽の味方をするつもりはないが、昨年の謝罪会見時に、女性とは仲間として今後も会うと明言していたし、「フラッシュ」も不倫をはっきり裏付けるような写真が撮れたら、そちらを掲載するだろうから、関係が続いているかどうかは写真を見る側の判断によるだろう。そんな中、この件に怒りを露わにしたのが、ハイヒール・リンゴである。
11月14日放送の『ノンストップ!』(フジテレビ系)に出演したリンゴは、「(相手の女性は)頭、おかしいんちゃいますか?」と女性有責論を唱えた。かつての不倫相手が、妻の目の届かない旅先で夫のそばをちょろちょろしていたら、いい気分はしないという妻側の立場に立った意見だろう。
しかし、誘われもしないのに、女性がゴルフコンペに押しかけるとは考えにくい。仮に女性が行きたいと頼んだとしても、円楽が拒否すれば終わる話である。ということは、女性だけが悪いということはなく、どっちもどっちなのではないだろうか。
円楽は夫人に対し、事前に女性を含めての博多訪問についてを説明し、許可を取っていたそうだが、リンゴの怒りはなかなか収まらない。「奥さん、怒ってもいいんちゃう?」としつこく首をかしげていたが、ここで思い出すのは、リンゴが今年9月、デイリースポーツの取材に「不倫たたき、一度立ち止まって考えませんか?」と提言していることである。リンゴは山尾志桜里議員の不倫騒動を例に挙げ、「パートナーが怒るのは当然だけど、世間になぜ謝らなきゃいけないのか。そもそも、不倫に社会的な制裁は必要なのか?」と、山尾議員に対する報道を不当なものだと主張した。
政治家である山尾議員は公人だし、宮崎謙介元議員の不倫が発覚した際、先頭を切って責めていただけに、巨大なブーメランとなって返ってきたのは致し方ないことだと私は思うが、リンゴは、そこはスルーである。
それに、リンゴの「パートナーが怒るのは当然だけど、世間になぜ謝らなきゃいけないのか」論で言うのなら、妻が納得している円楽の不倫再燃疑惑にリンゴが怒るのもおかしな話なのである。リンゴは山尾議員について「私が会った中で1、2を争う優秀な人という印象」と述べていた。山尾議員の不倫は擁護し、円楽の相手を叩くのは、輝かしい美貌と経歴を誇る山尾議員にあこがれを感じる一方、円楽の相手の女性は一般人なので、軽く見ているだけの話ではないだろうか。
円楽に話を戻そう。
「フラッシュ」によると、もともと円楽は女性の父親と付き合いがあり、そこから女性と知り合ったそうだ。有名な噺家がその辺にいる普通のオジサンと親しくするとは考えにくいので、女性の父親は円楽の後援者と考えることができるのではないだろうか。
だとすると、思い浮かぶのが、梅沢富美男である。梅沢夫人が「女性自身」(光文社)に語ったところによると、夫人の実家は家族全員で梅沢の後援会に入っていて、それがきっかけとなって交際が始まった。夫人の父親は、海外公演にも同行するなどのひいき筋らしく、梅沢を支えるだけでなく、梅沢の最初の離婚の際に慰謝料を貸したりと身内のような付き合いをし、梅沢に「娘をもらってくれないか」と頼んだこともあったらしい。つまり、梅沢は大恩人の娘と結婚したわけだ。大衆演劇も落語も、切符をさばけないと始まらないという意味では同じだろう。円楽の相手女性の父親が後援者だと考えると、週刊誌に写真を撮られたくらいで交際を絶つわけにはいかないし、夫人も文句は言えないはずだ。
リンゴは相手の女性を「頭おかしいんちゃいますか?」と強い言葉でなじったが、女性が後援会関係者の娘だと仮定するならば、遊びで済まされない女性に手を出した円楽の方が、よっぽどおかしいんちゃいますか? と思うのだが。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、最新刊は『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
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