坂口杏里の迷走はいつ始まったのか? 大女優の娘に生まれ、「コネで芸能界入り」のリスク

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「お金にならない」坂口杏里
『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系、6月30日)

 前回、カラテカ・入江慎也を例に、「人脈はビジネスのメリットになり得るのか」について書いたが、6月30日放送の『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)を見て「コネで仕事を得ることはトクなのか?」について考えてみたくなった。

 学生時代の評価は、原則として「テストの点数」でなされる。テスト範囲も日程も全員に告知されているという意味で、平等である。しかし、この原則が崩れ始めるのが、就活あたりからではないだろうか。親の社会的ポジションによって「別のルート」を経る人とがいることを、知ってしまう。とりたてて優秀と思われていない人が人気企業に内定し、その後で「お父さんが有力者だったから」というウワサを聞くのは、今も昔もあることではないだろうか。

 例えば、元フジテレビアナウンサー・高橋真麻。父親が大物俳優・高橋英樹であることから、ネットで「コネ入社」だとバッシングされた。『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)に出演した真麻は、当時を振り返って「ラーメンの麺2本くらいしか食べられない」ほど、精神的に追い詰められていたことを告白する。局内の立場も微妙だったようだ。「態度が悪い」とウワサを流されて上司に怒られたり、仕事は顔の見えないナレーションしかない時期もあったと『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)で明かしていた。

 しかし、真麻は父・英樹から「誰がやってもいい仕事こそ、頑張りなさい」というアドバイスを受けて、地道に信用を築いていく。時代が、“非リア充ウケ”――リア充は疎まれ、非リア充が親近感を抱かれるようになってきたこともあって、バラエティで芸人のような仕事をこなし、自虐ネタで笑いも取れる“女子アナらしくない女子アナ”真麻に注目が集まることに。そして、フリーになっても仕事が途切れない勝ち組女子アナとなった。真麻が本当にコネ入社なのかそうでないかはわからないが(フジテレビは民間企業なので、縁故採用をしても法律違反ではないはずだ)、「コネ」とみなされることで、ほかの人の何倍も苦労をしたと言えるのではないだろうか。

 しかし、真麻のようにコネ疑惑を払しょくできる、もしくはコネを使ったとしても、それを上回る結果を出せる人は、本当に稀だろう。

 明石家さんまと大竹しのぶの娘で、「芸能界最強の二世」とも呼ばれたIMALUは、親のご威光で、デビュー直後から、モデル、製菓会社のCM、『おしゃれイズム』(日本テレビ系)のメインゲスト、『A-studio』(TBS系)のアシスタントMCといった具合に、「いい仕事」を獲得するが、アシスタントMC は1年以内にクビを切られるなど、いずれも結果を出せず。コネを使えばデビューすることはできても、コネで仕事をつなぎとめることはできない。芸能界は実に厳しい世界と言えるのではないだろうか。

 IMALUは親も健在で、本人も事務所を立ち上げるなど、裏方の仕事に活路を見いだしているからよい。こうなると、心配なのが、坂口杏里のように後ろ盾(親)もおらず、けれど、芸能界にいた日々を忘れられないというタイプではないだろうか。

 大女優・坂口良子さんを母に持つ杏里は17歳で芸能界入りし、おバカキャラとしてバラエティで活躍した。しかし、良子さんを病気で亡くしたことでホストクラブにはまり、遺産を使い果たすだけでなく、借金まで作ってしまう。返済のために、AV女優に転身するが、ホストへの恐喝で警察のお世話にもなった。その後、風俗店での勤務を公表する一方、芸能界に復帰したいという希望を明らかにしているものの、具体的な成果は出ていないようだ。『ザ・ノンフィクション』では、そんな杏里の姿を追う。

 2018年6月、浅草ロック座でストリップデビューすると発表された杏里だが、本番直前のリハーサルでもフリは頭に入っておらず、太ってしまったために衣装が着られない。ステージでの立ち位置すらわからない。ロック座名物・早着替えもこなせず、「私、プロじゃないもん」と文句を言う。とうとう、ロック座は「諸事情により、出演を見送ることになりました」と杏里の降板を発表する。「降板なんて私は言っていない」と杏里は言うが、番組での様子から考えると、「踊れないので、クビになった」と推察することもできるだろう。

 いまだ借金が1000万円以上残る杏里は、「夜の仕事」を続けざるを得ない。番組のディレクターが「フツウのバーでバイトすれば?」と質問すると、「お金にならない」と即答していた。確かに“フツウ”のバイトでは、1000万円以上の借金を完済するには気の遠くなるような時間がかかるだろう。

 さて、それでは「お金になる仕事」とは何かを、杏里は考えたことがあるだろうか。「お金になる仕事」は、フツウの人ができないこと、もしくはフツウの人がやりたくないことを生業にすることではないだろうか。前者の場合、高いギャラを受け取る分、結果に責任を負わなくていけないし、後者であればお金のためと割り切って我慢する強さが必要になる。

 杏里にとって、ロック座の仕事はやりたい仕事ではなかったのかもしれない。しかし、彼女はほかのダンサーを従えて踊る“主役”である以上、結果を出せば自分の業績になるし、お金にもなる。ストリップは興行だから、評判が良ければまた声がかかるだろう。うまくいけば借金返済も夢でない。杏里にとって、ロック座公演は汚名をすすぐためにも、借金返済の意味でも踏ん張り時だったのではないだろうか。

 何がチャンスで、いつが頑張り時なのか。杏里はそれがわかっていないように見える。一般人であれば、こういう人は芸能界に入れないが、杏里の場合、コネがあるので芸能界に入れてしまい、キラキラした経験までしてしまった。ゆえに、あきらめることができないというジレンマに陥っているのではないか。

 地上波のテレビが彼女に思い出したように声をかけるのは、ゆっくりと転落していく若い女性への興味からだろうが、芸能界復帰を目指す杏里は、これをチャンスと捉えてしまっているようにも思える。取材されることは、芸能界の復帰を確約するものではないものの、「もしかしたら芸能界に復帰できるのかもしれない」とポジティブ変換しているように感じられるのだ。

 杏里の迷走は、元をただせば、芸能界向きとは言えないぼんやりとした少女が、大女優の娘に生まれ、コネで芸能界に入ってしまったことに始まっているのではないだろうか。コネで仕事を得るとは、実はものすごくリスクの高いことに思えて仕方がない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

カラテカ・入江慎也、「闇営業で吉本解雇」に考える「人脈」なるものの脆弱さ

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「人脈は金で買えないしね」関ジャニ∞・村上信五
『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系、6月24日)

 6月24日放送『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)で、「若い時の自分に伝えたいことランキング」を紹介していた。第1位は「外国語を学べ」、第2位は「海外旅行に行け」、第3位は「人脈を広げておけ」といった結果だった。

 同番組司会の関ジャニ∞・村上信五は「人脈を広げておけ」に同調したのだろう、「人脈は金で買えないしね」と発言していた。

 人脈とは、金で買えない貴重なものであって、ゆえに若いときから、人脈を広げるように心がけておかねばならない。推測だが、村上発言を補強すると、このような意味になるだろう。

 そういえば、かなり昔の話になるが、村上が所属するジャニーズ事務所の先輩・少年隊が一世を風靡していた頃、『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)に出演したことがある。その際、演歌の女王・小林幸子が彼らを「ジャニーズ事務所の子は礼儀正しくて、如才ない」と感心していた。ジャンルを問わず、大御所の懐に飛び込み、かわいがってもらうのは“人脈”を広げるのに有効な手段なのかもしれない。

 一般人でも、「〇〇さんを知っている」「××さんと飲んだ」といった具合に、有力者の名前を口にする人がいるが、これも人脈というのが得難いものであると認識されているから、自慢になるのだろう。異業種交流会というものが昔からあるのも、「人脈によって成功の突破口が開ける」と思っている人が多いことを物語っているように感じる。しかし、人脈があればオールOKかというと、ちょっと違うのではないだろうか。

 5月20日放送の『女が女に怒る夜』(日本テレビ系)では、社長や著名人などと親しくなることで、利益を得ようとする“人脈女”3人が登場した。ジョニー・デップなどの海外セレブと親しいモデル、不動産業など会社社長と交遊がある女優、お笑い芸人と親しいグラドルが出演したが、失礼ながら、彼女たちはいずれもドラマや雑誌の常連ではなく、知名度としては発展途上だろう。彼女たちが人脈(主に男性)から得たものは、食事をごちそうになることや、渡航費や滞在地での生活費、お小遣いまでもらえる海外旅行だと話していた。テレビで話しても差し障りがないネタに絞ったのかもしれないが、「幅広い人脈」が生み出すものとしては、ちょっとスケールが小さくないだろうか。人脈によって得られる利益ではなく、「食事や旅行程度はプレゼントしてもらえるけれど、仕事の直接的なメリットにつながるわけではない」というビジネスの厳しさが、かえって浮き彫りにされたように私には感じられた。

 このように人脈があったところで、仕事でプラスになるとは限らないというのが私の個人的な考えだが、才能に恵まれた人は、人脈をビジネス化できるようだ。「友達5000人」を豪語していたお笑い芸人・カラテカ入江慎也は、株式会社入江コネクションを設立。昨年8月に『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)に出演した際、副業の月収が350万円であり、お笑いでの収入をはるかに上回っていることを明かしていた。

■入江の「人脈」はもう通用しない?

 しかし入江は今月、「フライデー」(講談社)に、事務所である吉本興業を通さずに仲介した営業、いわゆる闇営業の相手が大規模詐欺グループであったことを報じられた。雨上がり決死隊・宮迫博之やロンドンブーツ1号2号・田村亮などの人気芸人も参加していたそうだ。入江をはじめとして全員が「反社会的集団とは知らなかった」「ギャラはもらっていない」と説明し、入江は吉本興業を解雇、宮迫らは当初は厳重注意という処分を下されていた。しかし、その後、金銭の授受があったと認められ、宮迫らも、当面の間謹慎することになった。

 芸人としての活動はできなくなっても、副業としての「イリエコネクション」があるから、大丈夫。そう考える人もいるだろう。しかし、「イリエコネクション」に価値があるのは、入江が吉本興業に所属している現役の芸人の場合ではないだろうか。ビジネスの基本は信用だが、「イリエコネクション」に仕事を頼む人は、入江が知名度のある芸人であることを信用の担保にする人もいるだろう。加えて吉本興業という大きな組織に属しているのであれば、トラブルがあったときに、そこに駆け込むこともできる。

 また、お笑いの世界は、先輩を立てるのが鉄則だというので、入江を助ける後輩が出てくるのではと思う人もいるかもしれない。が、その論理が生きるのは、先輩後輩双方が現役の時ではないだろうか。それに、先輩を常に立てるというお笑いの世界の掟から言うと、今回の騒動は「入江が相手先の素性も確かめずに、先輩に迷惑をかけた。ヘタしたら、先輩の芸人生命にかかわる事件を起こした」とみることもできるだろう。そんなトラブルメーカー入江と現役の芸人が交流を持つかと言われると、首をかしげざるを得ない。

 結局、人脈をビジネスにつなげるために必要不可欠なこととは、大企業など信用されている機関に所属し、自分もそれなりに結果を出す、つまり実力があることではないだろうか。人脈があるから成功したのではなく、それなりに成功すると人脈がついてくる、ということだと思う。「知り合い」や「友達」だからおいしい仕事が回ってくるほど、ビジネスの世界は甘くない。

 冒頭で触れた「人脈は金で買えない」発言の村上は、ポスト中居正広とも言われるMC力で、今、伸び盛りだろう。ここまでの地位を築けたのはもちろん自分の実力だが、大前提として、ジャニーズ事務所所属であることが“信用”を与えてくれていることは、疑う余地はないのではないか。

 つまり、どんなに人脈を築いたとしても、入江のように解雇になっては元も子もない。かつて興行は反社会的勢力が取り仕切ることが多く、ゆえに芸能界とはずぶずぶな関係であった。しかし、時代は変わり、コンプラインス的にそれが許されなくなっている。週刊誌の記者でなくても、スマホさえあれば、証拠の音声や画像が録れて拡散できる時代であるため、自分にとって不都合な話をもみ消すことはできない。 

 安全第一。人脈を広げることより、工事現場でよく見るあの標語を、芸能人のみなさんは今一度かみ締めた方がいいのかもしれない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

カラテカ・入江慎也、「闇営業で吉本解雇」に考える「人脈」なるものの脆弱さ

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「人脈は金で買えないしね」関ジャニ∞・村上信五
『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系、6月24日)

 6月24日放送『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)で、「若い時の自分に伝えたいことランキング」を紹介していた。第1位は「外国語を学べ」、第2位は「海外旅行に行け」、第3位は「人脈を広げておけ」といった結果だった。

 同番組司会の関ジャニ∞・村上信五は「人脈を広げておけ」に同調したのだろう、「人脈は金で買えないしね」と発言していた。

 人脈とは、金で買えない貴重なものであって、ゆえに若いときから、人脈を広げるように心がけておかねばならない。推測だが、村上発言を補強すると、このような意味になるだろう。

 そういえば、かなり昔の話になるが、村上が所属するジャニーズ事務所の先輩・少年隊が一世を風靡していた頃、『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)に出演したことがある。その際、演歌の女王・小林幸子が彼らを「ジャニーズ事務所の子は礼儀正しくて、如才ない」と感心していた。ジャンルを問わず、大御所の懐に飛び込み、かわいがってもらうのは“人脈”を広げるのに有効な手段なのかもしれない。

 一般人でも、「〇〇さんを知っている」「××さんと飲んだ」といった具合に、有力者の名前を口にする人がいるが、これも人脈というのが得難いものであると認識されているから、自慢になるのだろう。異業種交流会というものが昔からあるのも、「人脈によって成功の突破口が開ける」と思っている人が多いことを物語っているように感じる。しかし、人脈があればオールOKかというと、ちょっと違うのではないだろうか。

 5月20日放送の『女が女に怒る夜』(日本テレビ系)では、社長や著名人などと親しくなることで、利益を得ようとする“人脈女”3人が登場した。ジョニー・デップなどの海外セレブと親しいモデル、不動産業など会社社長と交遊がある女優、お笑い芸人と親しいグラドルが出演したが、失礼ながら、彼女たちはいずれもドラマや雑誌の常連ではなく、知名度としては発展途上だろう。彼女たちが人脈(主に男性)から得たものは、食事をごちそうになることや、渡航費や滞在地での生活費、お小遣いまでもらえる海外旅行だと話していた。テレビで話しても差し障りがないネタに絞ったのかもしれないが、「幅広い人脈」が生み出すものとしては、ちょっとスケールが小さくないだろうか。人脈によって得られる利益ではなく、「食事や旅行程度はプレゼントしてもらえるけれど、仕事の直接的なメリットにつながるわけではない」というビジネスの厳しさが、かえって浮き彫りにされたように私には感じられた。

 このように人脈があったところで、仕事でプラスになるとは限らないというのが私の個人的な考えだが、才能に恵まれた人は、人脈をビジネス化できるようだ。「友達5000人」を豪語していたお笑い芸人・カラテカ入江慎也は、株式会社入江コネクションを設立。昨年8月に『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)に出演した際、副業の月収が350万円であり、お笑いでの収入をはるかに上回っていることを明かしていた。

■入江の「人脈」はもう通用しない?

 しかし入江は今月、「フライデー」(講談社)に、事務所である吉本興業を通さずに仲介した営業、いわゆる闇営業の相手が大規模詐欺グループであったことを報じられた。雨上がり決死隊・宮迫博之やロンドンブーツ1号2号・田村亮などの人気芸人も参加していたそうだ。入江をはじめとして全員が「反社会的集団とは知らなかった」「ギャラはもらっていない」と説明し、入江は吉本興業を解雇、宮迫らは当初は厳重注意という処分を下されていた。しかし、その後、金銭の授受があったと認められ、宮迫らも、当面の間謹慎することになった。

 芸人としての活動はできなくなっても、副業としての「イリエコネクション」があるから、大丈夫。そう考える人もいるだろう。しかし、「イリエコネクション」に価値があるのは、入江が吉本興業に所属している現役の芸人の場合ではないだろうか。ビジネスの基本は信用だが、「イリエコネクション」に仕事を頼む人は、入江が知名度のある芸人であることを信用の担保にする人もいるだろう。加えて吉本興業という大きな組織に属しているのであれば、トラブルがあったときに、そこに駆け込むこともできる。

 また、お笑いの世界は、先輩を立てるのが鉄則だというので、入江を助ける後輩が出てくるのではと思う人もいるかもしれない。が、その論理が生きるのは、先輩後輩双方が現役の時ではないだろうか。それに、先輩を常に立てるというお笑いの世界の掟から言うと、今回の騒動は「入江が相手先の素性も確かめずに、先輩に迷惑をかけた。ヘタしたら、先輩の芸人生命にかかわる事件を起こした」とみることもできるだろう。そんなトラブルメーカー入江と現役の芸人が交流を持つかと言われると、首をかしげざるを得ない。

 結局、人脈をビジネスにつなげるために必要不可欠なこととは、大企業など信用されている機関に所属し、自分もそれなりに結果を出す、つまり実力があることではないだろうか。人脈があるから成功したのではなく、それなりに成功すると人脈がついてくる、ということだと思う。「知り合い」や「友達」だからおいしい仕事が回ってくるほど、ビジネスの世界は甘くない。

 冒頭で触れた「人脈は金で買えない」発言の村上は、ポスト中居正広とも言われるMC力で、今、伸び盛りだろう。ここまでの地位を築けたのはもちろん自分の実力だが、大前提として、ジャニーズ事務所所属であることが“信用”を与えてくれていることは、疑う余地はないのではないか。

 つまり、どんなに人脈を築いたとしても、入江のように解雇になっては元も子もない。かつて興行は反社会的勢力が取り仕切ることが多く、ゆえに芸能界とはずぶずぶな関係であった。しかし、時代は変わり、コンプラインス的にそれが許されなくなっている。週刊誌の記者でなくても、スマホさえあれば、証拠の音声や画像が録れて拡散できる時代であるため、自分にとって不都合な話をもみ消すことはできない。 

 安全第一。人脈を広げることより、工事現場でよく見るあの標語を、芸能人のみなさんは今一度かみ締めた方がいいのかもしれない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

熊田曜子、夫と義母の愚痴連発――タレントとして「プラスにならない」と感じるワケ

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「食べるって言ってたのに」熊田曜子
(6月12日、インスタグラムより)

 芸能人を指して「あの人は、〇〇キャラ」と言うことがある。これは、その芸能人が「〇〇という役回りを背負っています」ということだろう。つまり、ある種の演技なわけだが、そうは言っても、そのキャラを、はっきり覆されるとなんとなく変な感じがするのはどうしてだろうか。

 例えば、タレントのLiLiCo。スウェーデン人の父と日本人の母のダブルで、もともとは演歌歌手。ブレークのきっかけは『王様のブランチ』(TBS系)の映画コメンテーターになったことだった。「肉食系」と公言してはばからなかったLiLiCoは、レギュラー出演中の『ノンストップ』(フジテレビ系)で、ゲストとして登場したムード歌謡グループ・純烈の小田井涼平に出会う。初対面の時から縁を感じていたというLiLiCoだが、別の番組で共演したことをきっかけに交際をはじめ、結婚。いいなと思ったら、すぐに行動するのは“肉食キャラ”にふさわしいと言えるだろう。

 しかし、結婚後のLiLiCoは変わった。夫を“主人”と呼び、『ノンストップ』によると「夫をキッチンにいれない(料理はLiLiCoの担当という意味)」「夜中2時に起きて、主人の朝ごはんを作っている」といった具合に、もはや“肉食キャラ”ではなく、梨園妻のようなキャラの変化を遂げている。それが彼女の考え方、生き方だから他人がとやかく言うことではないが、「キャラとして」考えるなら、視聴者が違和感を抱いたり、多少混乱することは否めないだろう。

 このように、キャラというのは難しい。安易に変えるのはNGだが、ずっと同じキャラでは生き残れないのもまた事実だろう。特にママタレ業界は飽和状態が続いているので、何かキャラが必要になる。

 ママタレ業界で頭ひとつ抜け出した存在と言えば、ゆうこりんこと小倉優子ではないだろうか。夫から褒められたエピソードを語るなど、愛され妻キャラだったゆうこりんだが、妊娠中に夫が自分の後輩と不倫していたことを「週刊文春」(文藝春秋)にすっぱ抜かれ、離婚を選択する。ひと昔前、離婚といえば不幸でしかなく、家庭用洗剤などファミリー向け商品のCMには出られないと考えられていた時期もあったものの、ゆうこりんは離婚後、オリコン調査の「好きなママタレ」ランキングで1位を獲得し、P&Gの柔軟剤入り洗剤「ボールド」のCMに出演するなど、高い好感度を誇ることに。それは、シングルマザーとして、子育てと仕事にまい進するというキャラが好感をもたらしたということだろう。

 このように、かつては「みっともない」「隠したい」とみなされていたことが、今は「それもあり」と受け入れられるようになっている。それをビジネスチャンスと思っているのか、単にいろんなことがユルいのか、定期的に話題になっているのが、タレント・熊田曜子ではないだろうか。

 結婚前はおバカキャラとしてバラエティに出演することもあった熊田は、現在3人の子どもを育てるママタレント。以前、子どもたち3人を児童館に連れて行ったが、「大人1名につき、子ども2名までなので入れない」という注意を受け、中に入れなかったとブログに書いて、物議を醸した。安全性確保のための規則なので、施設、熊田、どちらに非があるという話ではないだろう。しかし、児童館の名前をはっきり書くあたりに、疑問が残る。子育て施設のお粗末さは、少子化にも関わる問題なので明らかにされてしかるべきだが、児童館の名前をあげれば、ネットの時代、少数ではあっても、そちらに抗議する人がいるということは、想像がつくのではないだろうか。3児を育てる社会派ママっぽいようにも思えるが、熊田は「やられたら、やり返す」といわんばかりのトゲを持っているのではないだろうか。

 そんな熊田、今度はインスタグラムのストーリーズに「朝起きて一番にする家事が、一口も食べてもらえなかったご飯の処理」と夫に対する愚痴をアップした。児童館の抗議と同じように「食べるって言ったのに」「このパターンもう100回は経験してるけど、かなりのダメージ」といった具合で、「言われたから用意した(押しつけではない)」「1~2回のことではない」というように、自分の正当性を匂わせるかのような文章も添えている。

 そのほかにも、義母との確執(義母に食事を誘われて断ったら、義母が熊田の母に電話して、熊田の不心得をなじったり、怒りのLINEが長文で来たこと)や、夫が父の日にもかかわらず外出しようとしたが、頼んだら家にいてくれたなど、不安定な結婚生活を匂わせるものが多い。

 「結婚生活のささいないら立ちを隠さないキャラ」でいくのか、それとも、離婚のために今から自分に否がないイメージをつけようとしているのかはわからないが、どちらにしてもあまりプラスにはならないのではないだろうか。

 夫婦間のことで世間が同情してくれるとしたら、ゆうこりんのような“妊娠中の不倫”をはじめ、モデル・亜希(元夫である清原和博氏は覚せい剤取締法違反で逮捕された)のように、法に触れる案件で、100対0で夫側が悪くないと、意見が割れてバッシングの矛先が熊田に向くこともあるだろう。中途半端な揉め事はダメで、「そりゃ、夫が悪い」と10人中9人に言われるようでないと、自分のイメージだけが落ちて終わってしまう可能性がある。

 料理の件でいえば、幼い子どもが3人もいる中で、きちんと食事を準備したのにもかかわらず、必ず「メニューが悪い」「まずいから、夫が食べない」という人が出てくるだろう。義母の件も、熊田はブログで「義母に子どもを預けた」などのエピソードを書いていることから、「育児を手伝ってもらってるんだから、我慢しろ」という攻撃がないとは限らない。

 昨年4月に『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)に出演した熊田が、「夫が無断で会社をやめ、自分で仕事を始めていた」と語っていた。となると、「自営業の夫が、いつのまにか私の稼いだお金を全部使って事業に失敗した」くらいのインパクトがあるネタを放り込めないと、世間の同情を得るのは厳しいのではないか。

 芸能人が、きらびやかな世界に住む、手の届かない人物だった時代は終わり、今やいかに「あなた(一般人)と一緒」と思わせるかが人気のカギとなっているように思う。もしそうだとするならば、思わず視聴者が絶句するような不幸を引く力と、それをキャラとしてうまく見せる力が、これからの芸能界では求められるのかもしれない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

Mattが美容家として成功しそうなワケ――叶姉妹、IKKOに通じる才能と「嫉妬買わない」戦略

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「お金のことは話しちゃいけないって、お父さんに言われてる」Matt
『ダウンタウンDX』(日本テレビ系、5月30日)

 美のエキスパートである美容家。美に詳しいことは当然だが、美容家として名をなしていくには、インパクトと滑稽さに似た「面白さ」が必要になってくるのではないだろうか。

 例えば、「25ans」(ハースト婦人画報社)の読者モデルから、世に出た叶姉妹。大きなバストとヒップという肉感的なボディーは、好き嫌いはあろうものの、インパクトがものすごかったことは間違いない。美肌のためにすっぽんを丸ごと1匹食べるという美容法は、どこかコミカルで注目を集めた。

 美容家・IKKOも同様である。ヘアメイクとしての実力は折り紙付きで、檀ふみ、余貴美子、相田翔子など女優陣から絶大な信頼を誇っているIKKOだが、美容家としてブレークするきっかけとなったのは、2006年に始まった『おネエMANS』(日本テレビ系)で、インパクトのあるキャラがウケたからだろう。

 今でこそLGBTの人たちを毎日テレビで見かけるが、当時はそういう時代ではなく、目新しさがあった。LGBTの人たちが押し付けられる偏見として、「女性より女性らしい」とか「芸術的な才能にあふれている」というものがあるが(性格や才能は個人の資質なので、性別に関係ない)、ヘアメイクとして高い技術力を誇り、超きれい好きで料理上手なIKKOは、偶然にも、このステレオタイプのおネエ像とマッチして(もしくはIKKO自身がマッチさせて)、人気を博していく。数年前、『そうだ旅(どっか)に行こう。』(テレビ東京系)に出演したIKKOに対し、共演の土田晃之が「このおじさんのどこがいいの?」とその人気を不思議がっていたが、女性にとって問題なのは性別ではなく、腕前やキャラだからではないだろうか。

 IKKOはタレント業と美容家を両立して、今も高い人気を誇っているが、IKKOとは違うアプローチで人気美容家のポジションに立てるような気がするのは、元読売巨人軍・桑田真澄氏の次男で、タレントのMattだと私は思う。

■Mattの強みとは何か?

 Mattのテレビ初出演は、17年1月の『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)である。ブライダルモデルをしているというMattは髪を金に染め、カラーコンタクトをつけ、顔の彫りを強調するメイクをするなど、白人に寄せたかのような装いで、インパクトは大きかった。美容に思い入れがあることは一目瞭然で、本人いわく「お小遣いはもらっていなくて、カードで支払う」「月に100万円使ってしまったこともある」とけろっとしたものだった。

 父である桑田氏と言えば、Mattとは反対に苦労人として知られている。子どもの頃、桑田氏の父が事業を興しては失敗し、家は貧乏だったという。息子の才能に気づいたのか、それともたまたまなのか、父は桑田氏をプロ野球選手にするために、小さい時から猛練習を開始する。プロ野球選手になるには体づくりも大切だが、桑田家にはおカネがない。そのため、母親は「私はおなかいっぱいなの」とウソをついて、桑田氏に肉を食べさせていたそうだ。そのせいか、桑田氏は「プロ野球選手になって、お母さんにラクをさせてあげたい、家を建ててあげたい」という夢を持っており、巨人軍入団早々、母親に家をプレゼントしたという。しかし、その桑田氏の息子は親のお金で贅沢三昧。ネットでは「桑田は子育てに失敗した」という書き込みも見られた。

 最近はMattをテレビで見ることがなくなっていたが、5月30日放送の『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)に半年ぶりに出演し、久しぶりにお茶の間に姿を現した。ダウンタウン・松本人志は、出演者の中では群を抜いて肌の白いMattを「外国人の子どもが遊ぶおもちゃ」、勝俣州和は「トイ・ストーリーに出てくる」と、やんわり人工的だと描写するが(余談だが、叶姉妹も出始めの頃は人工的と言われていた)、当のMattはネガティブにとらえた様子はない。整形については否定しつつ、今後も自分の目指す美に向かって、ひた走ることを宣言したのだ。

 Mattの強み、それは豊富な資金力による体験的な美容が語れることではないだろうか。充電期間、Mattが試したのは、まつエク(450本)、ケミカルピーリング、エレクトロポーション、ビタミン注射、白玉点滴、ヒーライト、ジェルネイルだそうだ。運動してダイエットをするというような自力美容ではなく、Matt美容は医療の力を積極的に借りるものが多い。自費診療にあたるものが多いので、ある程度の資金力がなくては無理だ。タレントとしてのMattの収入ではまだこれらの美容代をねん出できるかどうか疑問ではあり、桑田氏というスポンサーがいればこそできる技だろう。「お金のことは話しちゃいけないって、お父さんに言われてる」と、Mattは美容代について直接的な金額を明かさなかったが、「親のお金で贅沢している」という嫉妬を買わないために、有効な対策と言えるだろう。

 一般人の中にも、これらに挑戦したいという気持ちを持つ人は多いだろうが、値段が高いので、そう簡単に手は出せないし、だからこそ効果のあるものだけに挑戦したいと思うのではないか。その場合、Mattのように、実際に試して効果を見せられる人というのは、重宝されるだろう。IKKOは化粧品や美容法は語っても、こういった美容医療についてはコメントしないので、領域がかぶらないのもよい。

 さらにMattは、コミカルな部分も持ち合わせている。美容に気を使うわりには、朝から唐揚げ15個とご飯を食べ(サラダなどの野菜は食べない)、食後のデザートとしてチョコレートをたっぷり塗ったレーズンパンを食すなど、脂質・糖質が多めの食生活を送っている。あれだけ肌に気を使いながら、食生活はいいんかい! とつっこめる部分は、特に若い世代にコミカルに映るのではないか。

 また、Mattが最高に女性向けだなと思うのが、スピリチュアルが好きなところである。インスタグラムのストーリーズでは、“波動”について触れている。「地球と宇宙には、約1週間の時差がある」「自分が1ミリでも思ったことは大体1週間後に結果として出てきて、あなたにたくさんのミッションを与え、そこに人間は対応しています」といった具合に、もともとスピリチュアルが好きな人、もしくは悩みを抱えている人が惹きつけられるであろう内容を公開しているのだ。今後、Mattがタレントとして露出が増えれば、この波動説を証明したとされ、ファンはもとより、スピリチュアル界隈からのオファーも増えるだろう。

 二世タレントは多いが、芸能界は厳しいので、親の名前を抜きにして活躍できている人というのは、ごく少数である。Mattが二世チームのトップに立つ日は、案外遠くない気がする。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

Mattが美容家として成功しそうなワケ――叶姉妹、IKKOに通じる才能と「嫉妬買わない」戦略

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「お金のことは話しちゃいけないって、お父さんに言われてる」Matt
『ダウンタウンDX』(日本テレビ系、5月30日)

 美のエキスパートである美容家。美に詳しいことは当然だが、美容家として名をなしていくには、インパクトと滑稽さに似た「面白さ」が必要になってくるのではないだろうか。

 例えば、「25ans」(ハースト婦人画報社)の読者モデルから、世に出た叶姉妹。大きなバストとヒップという肉感的なボディーは、好き嫌いはあろうものの、インパクトがものすごかったことは間違いない。美肌のためにすっぽんを丸ごと1匹食べるという美容法は、どこかコミカルで注目を集めた。

 美容家・IKKOも同様である。ヘアメイクとしての実力は折り紙付きで、檀ふみ、余貴美子、相田翔子など女優陣から絶大な信頼を誇っているIKKOだが、美容家としてブレークするきっかけとなったのは、2006年に始まった『おネエMANS』(日本テレビ系)で、インパクトのあるキャラがウケたからだろう。

 今でこそLGBTの人たちを毎日テレビで見かけるが、当時はそういう時代ではなく、目新しさがあった。LGBTの人たちが押し付けられる偏見として、「女性より女性らしい」とか「芸術的な才能にあふれている」というものがあるが(性格や才能は個人の資質なので、性別に関係ない)、ヘアメイクとして高い技術力を誇り、超きれい好きで料理上手なIKKOは、偶然にも、このステレオタイプのおネエ像とマッチして(もしくはIKKO自身がマッチさせて)、人気を博していく。数年前、『そうだ旅(どっか)に行こう。』(テレビ東京系)に出演したIKKOに対し、共演の土田晃之が「このおじさんのどこがいいの?」とその人気を不思議がっていたが、女性にとって問題なのは性別ではなく、腕前やキャラだからではないだろうか。

 IKKOはタレント業と美容家を両立して、今も高い人気を誇っているが、IKKOとは違うアプローチで人気美容家のポジションに立てるような気がするのは、元読売巨人軍・桑田真澄氏の次男で、タレントのMattだと私は思う。

■Mattの強みとは何か?

 Mattのテレビ初出演は、17年1月の『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)である。ブライダルモデルをしているというMattは髪を金に染め、カラーコンタクトをつけ、顔の彫りを強調するメイクをするなど、白人に寄せたかのような装いで、インパクトは大きかった。美容に思い入れがあることは一目瞭然で、本人いわく「お小遣いはもらっていなくて、カードで支払う」「月に100万円使ってしまったこともある」とけろっとしたものだった。

 父である桑田氏と言えば、Mattとは反対に苦労人として知られている。子どもの頃、桑田氏の父が事業を興しては失敗し、家は貧乏だったという。息子の才能に気づいたのか、それともたまたまなのか、父は桑田氏をプロ野球選手にするために、小さい時から猛練習を開始する。プロ野球選手になるには体づくりも大切だが、桑田家にはおカネがない。そのため、母親は「私はおなかいっぱいなの」とウソをついて、桑田氏に肉を食べさせていたそうだ。そのせいか、桑田氏は「プロ野球選手になって、お母さんにラクをさせてあげたい、家を建ててあげたい」という夢を持っており、巨人軍入団早々、母親に家をプレゼントしたという。しかし、その桑田氏の息子は親のお金で贅沢三昧。ネットでは「桑田は子育てに失敗した」という書き込みも見られた。

 最近はMattをテレビで見ることがなくなっていたが、5月30日放送の『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)に半年ぶりに出演し、久しぶりにお茶の間に姿を現した。ダウンタウン・松本人志は、出演者の中では群を抜いて肌の白いMattを「外国人の子どもが遊ぶおもちゃ」、勝俣州和は「トイ・ストーリーに出てくる」と、やんわり人工的だと描写するが(余談だが、叶姉妹も出始めの頃は人工的と言われていた)、当のMattはネガティブにとらえた様子はない。整形については否定しつつ、今後も自分の目指す美に向かって、ひた走ることを宣言したのだ。

 Mattの強み、それは豊富な資金力による体験的な美容が語れることではないだろうか。充電期間、Mattが試したのは、まつエク(450本)、ケミカルピーリング、エレクトロポーション、ビタミン注射、白玉点滴、ヒーライト、ジェルネイルだそうだ。運動してダイエットをするというような自力美容ではなく、Matt美容は医療の力を積極的に借りるものが多い。自費診療にあたるものが多いので、ある程度の資金力がなくては無理だ。タレントとしてのMattの収入ではまだこれらの美容代をねん出できるかどうか疑問ではあり、桑田氏というスポンサーがいればこそできる技だろう。「お金のことは話しちゃいけないって、お父さんに言われてる」と、Mattは美容代について直接的な金額を明かさなかったが、「親のお金で贅沢している」という嫉妬を買わないために、有効な対策と言えるだろう。

 一般人の中にも、これらに挑戦したいという気持ちを持つ人は多いだろうが、値段が高いので、そう簡単に手は出せないし、だからこそ効果のあるものだけに挑戦したいと思うのではないか。その場合、Mattのように、実際に試して効果を見せられる人というのは、重宝されるだろう。IKKOは化粧品や美容法は語っても、こういった美容医療についてはコメントしないので、領域がかぶらないのもよい。

 さらにMattは、コミカルな部分も持ち合わせている。美容に気を使うわりには、朝から唐揚げ15個とご飯を食べ(サラダなどの野菜は食べない)、食後のデザートとしてチョコレートをたっぷり塗ったレーズンパンを食すなど、脂質・糖質が多めの食生活を送っている。あれだけ肌に気を使いながら、食生活はいいんかい! とつっこめる部分は、特に若い世代にコミカルに映るのではないか。

 また、Mattが最高に女性向けだなと思うのが、スピリチュアルが好きなところである。インスタグラムのストーリーズでは、“波動”について触れている。「地球と宇宙には、約1週間の時差がある」「自分が1ミリでも思ったことは大体1週間後に結果として出てきて、あなたにたくさんのミッションを与え、そこに人間は対応しています」といった具合に、もともとスピリチュアルが好きな人、もしくは悩みを抱えている人が惹きつけられるであろう内容を公開しているのだ。今後、Mattがタレントとして露出が増えれば、この波動説を証明したとされ、ファンはもとより、スピリチュアル界隈からのオファーも増えるだろう。

 二世タレントは多いが、芸能界は厳しいので、親の名前を抜きにして活躍できている人というのは、ごく少数である。Mattが二世チームのトップに立つ日は、案外遠くない気がする。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

原田龍二、ファンとの不倫スキャンダルに見る「有名人の妻」という窮屈すぎる立場

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「『原田、アウト』と言ってくださいました」原田龍二
(記者会見、5月31日)

 食傷気味な感があるが、不倫ネタというのは、なくなりそうでなくならない。

 6月2日放送『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、ダウンタウン・松本人志が「不倫ネタを扱うのはやめよう」とスタッフに提案したことを明かし、それでも放送する理由について「ないと番組が締まらない」と発言していた。確かに不倫ネタが、取り上げやすいことは確かだろう。人命が失われたわけでもなく、今の日本には姦通罪がないので警察のお世話になるという話でもないわけだから、面白おかしく話せる格好のネタとなる。

 最近で言えば、俳優・原田龍二の不倫を「週刊文春」(文藝春秋)がスクープした。原田はSNSで知り合ったファンの女性を車でピックアップして郊外の公園に移動し、車中で行為に及んだという。その時間わずか10分。性欲の処理係的な扱いに女性が憤慨、女性が「文春」にリークする形で取材が始まったそうだ。

 原田は釈明記者会見を開き全面的に謝罪したが、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)で「変態仮面」として出演した“実績”があるからだろうか、記者たちからは「性欲が強いのか?」とか「車内での性行為は好きか?」とおちょくっているとしか思えない質問もあった。謝罪という許しを請う立場だからか、言われたい放題になった気もするが、こうした「失礼な質問」が「あるコト」と組み合わさると、男性芸能人の贖罪を早めるのではないか。

 「あるコト」とは、妻のユーモアある返し、である。

 原田夫妻の場合、不倫がバレた際、妻は『ガキ使』にちなんで、「原田、アウト」と言ったそうだ。「アウト」という言葉は否定的なニュアンスを含んでいるが、絶対に許さないという激しい怒りは感じない。「何やっているんだか」という達観も含まれているように、私には感じられる。

 不倫は夫婦の問題であるので、配偶者が許せばそれで終わる。妻がユーモアのある返しで不倫という失敗を“容認”すれば、外野は何も言う権利はない。しかし、こうした妻が「できた奥さん」と褒められると、夫の不倫を許せない妻が「できてない妻」のように扱われてしまう。

 しかし同じ不倫された配偶者でも、男性の場合は違う。女優・藤吉久美子の不倫疑惑が持ち上がったとき、夫である俳優・太川陽介は不倫を否定する藤吉の言い分を聞き、「僕は信じる」と発言した。つまり、太川は「不倫はない」とする立場を取ったわけだから、許すも許さないもないのだ。

 また、元モーニング娘。・後藤真希の不倫が発覚した場合、一般人である夫は、不倫相手に慰謝料請求の裁判を起こしている。これは夫としての権利を行使しているだけだが、太川・ゴマキ夫の判断に、「ユーモア」や「許し」のニュアンスはまったく含まれていない。

 訴訟と言えば、今回リークした女性は原田のファンであることを考えると、原田が既婚者だと知っていた可能性は高い。となると、原田の妻は相手の女性を訴えることも、法律的には可能だろう。しかし、それをすると「原田を許していない」ととられかねず、「よくできた妻」の範疇から外れてしまうので、心理的には不可能ではないだろうか。

 夫の芸能人人生と生活を考えたら、妻は、本心は別として、許したようなことを言わなければ、自分と子どものクビが締まる。それに加えて、夫の芸能人としてのイメージを考えれば、ゴマキの夫のように慰謝料請求という権利を行使することもできず、一人で耐えるしかない。

 「有名人の妻」というポジションは、昔ならあこがれる女性も多かったかもしれない。しかし、スマートフォンとSNSを使って一般人が情報を拡散できるようになり、かつ情報をもみ消すのが難しい時代になると、実は発言や行動に制限がある立場と言ってもいいのではないだろうか。

 窮屈な立場であるのは、有名人の妻だけではない。ベッキーや矢口真里の例を見てもわかる通り、不倫をした女性は男性と比べてバッシングが激しく、長い低迷を余儀なくされる。

 『女が女に怒る夜』(日本テレビ系)という番組をご存じだろうか。「イヤなオンナ」のネタを出演者が挙げていくバラエティーだが、男性を叩く番組がないことから推察するに、テレビにとって女性は叩いていいネタなのではないだろうか。

 だとすると、女性がしてもされても地獄の不倫報道がなくならないのは、当たり前だという気がしないでもない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

元KAT-TUN・田口淳之介、大麻に手を染めたのは「小嶺麗奈が悪い」という論調に思うこと

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「この女の人が悪い」上沼恵美子
『上沼・高田のクギヅケ』(関西テレビ、5月26日)

 元KAT-TUNの田口淳之介が5月22日、所属事務所のスタッフであり、内縁関係にあった元女優・小嶺麗奈と共に大麻所持で現行犯逮捕された。

 押収された大麻について、田口は「二人のもの」、小嶺は「私だけのもの」と供述しており、小嶺が田口をかばうような発言をしていると伝えられている。小嶺の「男気」を称える声もあるが、5月26日放送『上沼・上田のクギヅケ』(関西テレビ系)で、司会の上沼恵美子は「この女の人が悪い」とバッサリ。その理由について、「マネージャーとしても、恋人してもアウト」「どんな力があっても、ジャニーズ事務所辞めたらあかんわ」「小嶺は持ってない星、引きずり下ろす星」と、田口のキャリアは小嶺に足を引っ張られたと取れるような発言をした。推測だが、上沼は“いい彼女”なら、事務所から独立させるようなことをさせず、間違っても薬物などしない、させないはずだと考えているのかもしれない。

 人気芸能人、カップル、薬物と聞いて思い出されるのが、2009年の酒井法子の覚せい剤取締法違反による逮捕である。人気アイドルと覚せい剤という想像もつかない組み合わせもさることながら、酒井の逃走劇も話題を集めた。

 事件を簡単に振り返る。酒井の夫(当時)が職務質問を受け、下着の内側に覚せい剤を隠していたことで現行犯逮捕。職務質問中に夫が酒井を呼び出したため、酒井もその場に居合わせたが、逮捕の際は泣き崩れていたという。警察から任意同行と尿検査を求められた酒井は、「絶対に嫌です」と拒否。「子どもがいるから」と酒井はその場を去ったが、それ以降、消息を絶ってしまう。 

 夫の不祥事を気に病んで、自殺もしくは親子心中でも図るのではないか心配になったのだろう、所属事務所(当時)が酒井親子の捜索願を出すが、子どもは知人宅で保護されていることが判明。ということは、酒井は一人で行動していることになる。このあたりから、ネットでは自称・薬物経験者による「クスリを体内から抜くために、逃げているのでは?」という説を見かけるようになった。

 警察が自宅で、酒井の唾液が付着した覚せい剤吸引機を発見し、逮捕状が請求された。その翌日に酒井が知人を伴って、自首してきた。こうして逮捕された酒井だが、「昨年夏、夫に勧められて数回吸った」と供述。一方の夫は「(酒井は)4~5年前から吸っていた、数回どころじゃない」「やりすぎるなよと注意していた」と酒井の依存が深刻であることをほのめかす供述をしていた。

 『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)で、この供述の食い違いについて取り上げた際、出演者であるビートたけしが「俺が古いのかもしれないけど、俺なら自分が泥をかぶる。元はと言えば、自分のせいなんだから」という趣旨のコメントしていたことが印象的だった。それ以上掘り下げて語らなかったが、恐らくたけしは、芸能人であり、また妻でもある酒井を「守る」ために、自分なら酒井が覚せい剤を使用したことは胸のうちに留めておくという意味だろう。

 若い世代にはぴんと来ないだろうが、昭和世代には「男性が女性を守る」という考え方が根付いていた。雅子さまが婚約記者会見で、天皇陛下から「雅子さんのことは、僕が一生、全力でお守りします」というお言葉があり、それがとてもうれしかったとお話になったのも、そういう価値観がベースにあったからである。

 たけしの「自分のせい」という言葉は、酒井に覚せい剤を勧めたことだけでなく、夫が普段から「酒井を守っていなかったこと」も含まれるのではないか。酒井の夫は仕事もせず、家のこともやらず、愛人まで作っていたと言われている。

 今でこそ、こういうダメ夫はよく話題に上り、バラエティー番組でも取り上げられるが、私の体感としていうならば、10年前の当時「ダメな夫」はまったく笑えない話だった。「ダメな夫と結婚してしまったことは、恥ずべきこと」であり、「夫がダメなのは、妻の操縦が悪いから」という考えが強かったからである。しかし、精神的に追い詰められた時に、人がマイナスのカードをあえて引くことは珍しくない。たけしはそういった世間の風潮を踏まえた上で、覚せい剤を吸引したのは酒井だが、「そうしてもおかしくない環境を作ってしまったのは、オトコのせい」「オンナが悪いわけではない」と考え、さらに夫に酒井を思う気持ちがあれば、ぺらぺらと彼女の立場を悪くするような発言はできないと思ったのではないだろうか。

 「この女が悪い」と、女が男を引きずり落としたと考える上沼。ずいぶん前の出来事なので、今はまったく違う意見の可能性も大だが、「自分(オトコ)のせいなんだから、自分(オトコ)が泥をかぶる」と発言したたけし。二人とも、「相手を愛しているのなら、相手のためになることをする」という信条を持っているといえるだろう。

 しかし、現実はそう甘くないようだ。

 知り合いの弁護士によると、カップルの片方が違法薬物に手を染めた場合、もう片方が「私の力で辞めさせる」と張り切ることはよくあるそうだ。しかし、薬物事件の再犯率の高さからわかるように、薬物をやめるということは簡単なことではない。やめさせるつもりで接していた方も、いつのまにか薬物に取り込まれてしまうことも珍しくないという。

 上沼やたけしクラスの社会的地位と収入があれば別だが、「朱に交われば赤くなる」という諺の通り、人は悪い方に流れやすい。もしかしたら、相手のために何かできると思うこと自体、傲慢なのかもしれない。それはさておき、相手がオトコだろうがオンナだろうがヤバいことをしていたら、関わり合いにならずに全力で逃げること。これからは、自分を「守る」ことがパートナーシップの基本になるのではないだろうか。そんなことを思わせた田口と小嶺の事件だった。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

小泉今日子、「かっこいい」から「かわいそう」な女に……豊原功補との不協和音報道に思うこと

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「いい加減にしてくれ!」豊原功補
「女性自身」(光文社、5月21日発売号)

 小泉今日子は「かっこいい」芸能人の代名詞的存在のように思う。アイドルとして芸能界入りしてから、ずっと小泉今日子は過剰なまでに崇められ、批判されることのないポジションにいたのではないだろうか。

 アイドルでありながらヘアスタイルを刈り上げにしたときも、俳優・永瀬正敏との結婚の際、当時の芸能人にありがちな披露宴をテレビ局に中継させることをせず“地味婚”にしたときも、小泉のやることなすこと全ては、スタイリッシュで「かっこいい」とみなされてきた。

 「かっこいい」の最高潮は、当時40歳の小泉が、20歳年下のKAT-TUN・亀梨和也と交際していたことではなかったか。年下の男性と堂々と交際できるオトナの女性はかっこいいと、一般人女性は嘆息した。

 そんな風向きを変えてしまったのが、小泉本人による俳優・豊原功補との不倫宣言だろう。芸能人の不倫が週刊誌によって暴かれることはあっても、自ら「私、不倫しています」と宣言する人はいない。「常識にとらわれない小泉らしい」という好意的な意見もネットで見たが、「不倫のような褒められないことを、自分で明らかにするのは、どういう神経をしているのだ」といった意見の方が、はるかに多かったように感じた。

 なぜ小泉が「言わなくてもいいこと」を明かしたかというと、小泉がデビューしてからずっと所属していた事務所から独立したことと関係しているようだ。小泉が不倫宣言をする前から、「女性セブン」(小学館)は二人の交際をキャッチし、記事にもしていたが、「バツイチ同士のオトナの恋愛」といった具合に好意的に書いていた。

 しかし、実は豊原はバツイチではなく、妻子がいた。小泉が業界に影響力のある大手事務所に所属していることから、マスコミが忖度をし、豊原を勝手に独身にしてしまったということらしい。小泉が大手の事務所から独立すれば、マスコミがこれまでのように手心を加えてくれる保証はない。なので、マスコミにすっぱ抜かれて、あることないこと書かれるよりは、自分の状況をはっきり言ってしまった方がいいと判断したのではないだろうか。

 小泉の不倫宣言を受けて、豊原も記者会見し、「どんな石でも投げつけたい方は、僕に向けて投げてください」とかっこよく見栄を切ったものの、実は豊原は妻と離婚に向けての具体的な話をしていないことも判明。一世を風靡した国民的アイドル・小泉を恋人にしたいが、妻子も捨てたくないという、ありがちな“男のズルさ”が滲んでいるようで、本当に離婚する気はないと私は感じた。

 独立後、自分の事務所を立ち上げた小泉は、2019年まで女優業は休業し、舞台のプロデュースなど裏方に回ることを宣言した。小泉プロデュースの舞台に、豊原は演出家として携わるなど、公私ともに深い関係で、交際は順調なようだ。

 しかし、5月21日発売号の「女性自身」(光文社)によると、状況は少し変わってきたようだ。小泉のマンションで同棲していた二人だが、豊原は、小泉が仕事や私生活に口を出すことに嫌気が差し、「いい加減にしてくれ!」とキレ、徒歩10分の距離に“仕事部屋”を借りたそうだ。

 これは、二人の仲に微妙な距離感が生まれてきたとも読めるわけで、小泉のイメージを“下げた記事”だと思う人もいるだろうが、私にはむしろ小泉を“応援する記事”に思えた。

 日本には姦通罪はないので、不倫や略奪婚をしたからといって、罪人扱いされる謂れはない。が、道義的には胸を張れるものではないだろう。しかし、芸能界には「売れたら、無名時代を支えてくれた妻を捨て、芸能人と結婚する」といった具合に、不倫略奪婚も掃いて捨てるほどある。彼らがみんな非難されるかといえば、そうとも限らない。

 バッシングされない略奪婚に条件があるとしたら、

1.略奪の過程(つまり不倫)がバレていない
2.(不倫がバレても)「そこまでするか!」というほどの犠牲(金銭や仕事)を払う

の2つではないだろうか。

 ぼっこぼこに叩かれたベッキーとゲスの極み乙女。川谷絵音の不倫を思い出してほしい。既婚者である川谷は妻と離婚しようとしており、ベッキーと川谷が「離婚話をいかにして進めているのか」についてLINEでやりとりする様子が「週刊文春」(文藝春秋)に掲載され、二人の計画が明るみとなったのだ。略奪婚は胸を張れる行為ではないのだから、証拠は完ぺきに隠滅する必要がある。「あれ? いつのまにか離婚と再婚していた?」となるのがベストだろう。

 不倫が世間バレしても略奪婚をしたい。そう思うなら、大きな犠牲を払うことも有効だろう。沢田研二はザ・ピーナッツの伊藤エミさんと結婚している最中に、女優・田中裕子と不倫関係に陥る。結局、沢田は18億1800万円という高額の慰謝料を払うことで、離婚にこぎつけた。ウッチャンナンチャン・内村光良は既婚者だったテレビ朝日・徳永有美アナウンサー(当時)との不倫がバレたことで、テレ朝での仕事を失い、以降出禁になっていると「女性セブン」は報じている。沢田や内村のように、不倫のためにここまでの犠牲を払うなら、世間サマも「そこまでして結婚したいなら、しょうがない」という気持ちになるのではないか。

 豊原も本当に小泉と結婚する気があるのなら、離婚するまで不倫関係を隠し通すべきだったし、不倫が明るみになったのなら、全財産を妻子に渡して、身一つで小泉のところに転がりこめばよかったのだ。それをしないのは、やはり小泉と結婚する気がないのではないからと思えて仕方がない。

 仏教が思想のベースに根付いた日本には、「因果応報」を信じている人がたくさんいる。説明するまでもなく、「因果応報」とは善行を積めば善いことが起こり、悪い行いをすれば悪いことが起きるという意味である。この考え方をベースにするならば、不倫という悪行を積んだ小泉は、何らかの報いを受けないとオチがつかない。これまで、マスコミが小泉の所属事務所に遠慮していたため、小泉のネガティブニュアンスの記事が出回ることはなかったようだが、独立した小泉はもはや“聖域”ではないから、いろいろな記事が世に出ることになるだろう。しかし、それが小泉にとっては大きなチャンスではないだろうか。

 「女性自身」の記事は、「不倫をしても幸せになれない」という結末を連想させるものであり、大衆心理に沿うものだと感じる。豊原との不協和音や、手痛い別れ、裏切りを予想させる記事が出れば、それが「因果応報」の「応報」部分となり、一種のみそぎの役目を果たすのではないか。そのうち「小泉、かわいそう」という声も出てくるはずだ。その結果、世代を問わず、恋愛で痛い目に遭った女性たちが、小泉の支持に回る可能性は大いにあるのではないだろうか。

 小泉に向かって「いい加減にしてくれ!」と言ったという豊原。しかし、全ての元凶は妻子を取るか、小泉を取るかはっきりしない自分のせいだと自覚しているのだろうか。その言葉、そっくりそのまま、あなたにお返ししますと言いたい気持ちになる。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

上原多香子、母の日ツイート大炎上で露呈した「忘却力の高さ」と「夫・コウカズヤ氏の弱さ」

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「どんどん叩いてくれて結構です」コウカズヤ
(コウカズヤTwitter、5月14日)

 人間はそう簡単に変われないし、悪癖ほど繰り返すのではないだろうか。

 例えば、2017年に一般人男性との不倫を「週刊文春」(文藝春秋)に撮られた女優・斉藤由貴。彼女は既婚者となって急によろめいたわけでなく、独身時代に尾崎豊さん、川崎麻世、渡辺謙とも不倫していた“実績”がある。

 タレント・山本モナは、独身時代、既婚男性である衆議院議員・細野豪志氏との旅行&路チューを「フライデー」(講談社)と「フラッシュ」(光文社)にスクープされ、『筑紫哲也のNEWS23』(TBS系)を降板するはめになる。『サキヨミLIVE』(フジテレビ系)で復帰を果たしたが、今度は既婚のプロ野球選手(当時)・二岡智宏とラブホテルに入る姿を「女性セブン」(小学館)に撮られ、再度降板に追い込まれた。

 悪癖を繰り返す人を、「自制心が効かない」と見る人は多いだろう。が、私に言わせると、こういう人は「辛抱できない」のではなく、尋常ではなく忘却力が高い(故にバッシングされた痛みも忘れてしまう)か、「自分はバレないと思っている」という変な自信のようなものがあるのではないか。

 モナは二度の不倫騒動の後に結婚し、一時は芸能界を引退したが、個人事務所を立ち上げ、芸能界に復帰している。現在は、第3子を妊娠中だが、子どもを持つ母親となり、家庭円満の大事さを知った今なら、自分がしてきた不倫という行為が、不倫相手の妻たちをどれほど傷つけたかわかるはず。にもかかわらず、モナは知人のブログで妊婦アピールをしており、この行為が、不倫相手の妻たちに「なぜ人の家庭をめちゃくちゃにするようなことをしておいて、幸せそうにしているんだ」と受け取られかねないことに気づいていない。モナの中で二度の不倫は、もう「なかったこと」になっているのではないだろうか。

 それでは、上原多香子はどうだろう。

 前夫・TENNさんが自殺し、“悲劇の妻”だった上原だが、三回忌が過ぎた頃、TENNさんのご遺族が「女性セブン」で遺書を公開。そこにはTENNさんが子どもを望めない体質であったこと、また上原がある俳優と不倫していたことが記されていた。また同誌では、上原が俳優と「2人の子供作ろうね」などとやりとりしており、TENNさんがそのことを知っていたとも伝えられたのだ。

 悲劇の妻から、「夫を死に追いやった妻」へ――。大バッシングを受けた上原は、芸能活動休止に追い込まれる。不倫相手とは切れたようで、演出家のコウカズヤ氏と結婚、念願の出産を果たした。

 このまま静かに暮らしていればいいものの、上原は母の日に、鍵のかかったTwitterアカウントで、「母の日。母と呼ばれた日。感謝」とツイートしている。どこからか、このツイートが漏れて、再び炎上した。

 このツイートを見て、やはり上原は「忘れちゃった」と言わざるを得ない。母となった喜びを素直にツイートしたのだろうし、それが悪いと言うつもりはないが、母親だからこそ、息子に先立たれたTENNさんの母に対して、何か思うところはないのか。上原はTENNさんと前回の結婚にまつわる一切を忘却の彼方におしやってしまったのではないだろうか。また、Twitterには、「いいね!」の数を稼ぐ性質があることから考えると、あえて人を不愉快にさせる内容を投稿する人は稀だろう。となると、上原は自分という存在や、自分のツイートに不快感を示す人がいる可能性にも気づいていないようだ。

 上原はTENNさんに自殺を強要したわけでも、ほう助したわけでもないので、法的な責任は問われないだろう。しかし、そこに至る要因の一つを作ったという意味で、道義的には、行動にある程度制限がかかるのは仕方がないことではないか。しかし、それは上原のような忘却力が高すぎる人には、最も理解しがたいことのように思うのだ。

 以前「誰がなんと言おうと、僕は妻と生まれてくる子どもを守りたい」とツイートしていた現在の夫・コウ氏は、今回の炎上から妻を守るために立ち上がり、「どんどん叩いてくれて結構です」とネット上のアンチに宣戦布告した。しかし、結果的にコウ氏の「弱さ」だけが露呈されたように、私は感じた。

「鍵アカウントにして、特定の人にしか見れないはずのうちの嫁のツイートが、週刊誌のネットニュースに晒されて、また蚊の大群がウジャウジャ湧いてきました。鬱陶しい。実に鬱陶しい」と憤ったコウ氏。「匿名の方のコメントには、屁でしか返しませんので」とした上で、上原を責めるリプライに対しては、文尾に全て「プー」をつけている。恐らく、これが「屁で返す」ということだろう。なんというか、いい年して何やってんだという感想に加えて、この人の小心さと、うかつさがよく表れているように感じる。

 「自殺するような子どもになったら、親の責任」とツイートした後に、「もしも僕自身の子どもが自殺をしたら、僕は親である自分自身の責任だと思うということ」と釈明し、最終的には「今後は何を言われても、貝にならせてもらいます」と締めくくって、上原に関するツイートを全て削除した。

 一人で騒いでおき、世のお子さんに自殺された親御さんを冒涜するとも取れる発言をする。上原もだが、自身のイメージも著しく下がったのではないだろうか。

 ネットでしつこくコウ氏に絡んでいた人たちは、単に誰かを攻撃したいだけで、本当に夫妻を恨んでいるとは思わないが、用心するに越したことはないだろう。「フラッシュ」によると、不倫騒動の余波を受けて、上原は月200万円あった収入はほぼゼロ、夫妻はオートロックがない2LDKのマンションに住んでいるという。本当に妻子を守りたいなら、Twitterなんてしていないで、セキュリティーのしっかりしたマンションに住むことを目標に、仕事に励んだらどうか。

 上原は独身時代から恋多きオンナとして知られ、DA PUMPのISSAや赤西仁など、イケメンと浮名を流している。また、所属事務所も大手で力があり、SPEED時代の貢献が認められたからか、多額の給料をもらっていた。そんな恵まれてきた上原が今の生活、そしてコウ氏で満足できるのか、はなはだ疑問である。

「母親になれたことをこんなに喜んでいるのだから、それはない」と思う人もいるかもしれない。しかし、上原の超忘却力を甘く見てはならない。自分の言ったことなど、とっくに忘れてしまって「私、そんなこと言った?」と言えるのが、このテのタイプだと思うからだ。

 ある日突然、コウ氏のもとから上原と子どもが消えて、違うオトコと暮らし始めた――。そんな出来事があったとしても、私はまったく驚かない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。