絶対にやってはいけない!? 「定期券でキセル」過去には1000万円以上請求された例も

 大阪府警は12月9日、約4年間にわたってキセル通勤していた男性会社員を書類送検。男は容疑を認めているという。不正乗車はもちろん犯罪で、見つかればペナルティを受けるのは当然だが、これが通勤で恒常的にやっていたとなると、受ける罰は極めて大きくなる。

 男性会社員のやり口は非常に単純なものだ。男は入場時には入場券を購入し、出口では前の乗客にピッタリくっつくことで、自動改札を突破。正規の運賃が710円のところを入場券分の120円で済ませ、往復で1日あたり1,180円浮かせていた。週刊誌の社会部記者がいう。

「通常であれば、キセルは3倍払いなので、710円の3倍の2,130円を支払わされますが、男は『4年前からほぼ毎日やっていた』と述べており、過去に遡って請求されることになります。男は勤務先から交通費も受け取っていたようで、会社は当然クビでしょうし、こちらも返還を求められるでしょう。しかもこのケースは、仮に自己破産などをしても免責されない可能性があります」(週刊誌記者)

 不正を行っていたのだから同情の余地はゼロ。まさに自業自得だが、定期を使ってキセルをすると、いよいよ地獄が待っている。鉄道に詳しいフリーライターがいう。

「かつて群馬県から都内まで通っていた会社員は、『自宅⇔隣駅』『会社⇔その近くの駅』という2枚の定期を使い分けるという手口で4年間通勤していました。自動改札ではなかった時代だからこそできるやり方です。男はこの手法で年間40万円近く浮かせていましたが、定期の場合、その定期を使っていたすべての期間で不正をしていたものとみなされ、定期の購入期間×正規料金×3で、男はおよそ1,500万円の支払いを命じられました。こちらは定期購入データから発覚したものと見られています。

 一方、“人力”で見つけられたのは千葉県の男性会社員のケースです。こちらも自動改札が普及する前の話です。男は初乗り運賃の切符で乗って、降りる時は定期で出るというやり方でキセルしていましたが、毎朝、早朝に初乗り料金の切符を買う男を駅員が不審に思い、尾行したところキセルが発覚しました。この男はキセル期間が長く、やはり1,000万円以上を請求されています。こういった大掛かりなキセルになると、鉄道会社側も慎重にことを進めるので、結果的にはしばらく“泳がされる”ことになり、その分、請求額も上がります」(フリーライター)

 たかだか1日数十円か数百円で、これほど大きなリスクを背負うほどバカバカしいことはない。くれぐれ気の迷いなど起こさぬよう、ご注意を。

決定的写真を入手! GPIF理事長の”特別な関係”処分を巡ってリーク合戦

 

 まずは当サイトが入手した写真を見ていただこう。

 頭がハゲ上がり、ネクタイをキッチリしめた真面目そうな紳士と、それに寄り添う白いコートの女性。プライバシー上の理由で顔を隠したが、清楚系の和風美人である。

 嫁入り前の娘と父親の仲睦まじい姿、に見えなくもないが、夜に撮られた粗い画像、クリスマス直前の日付からは、危険な香りのする年の差カップルのようだ。

 厚労省担当記者が解説する。

「10月18日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の高橋則広理事長が、部下の女性との”特別な関係”が疑われたとして、減給(20%)6カ月の処分を下されました。プレスリリースによれば、昨年12月から、両者の”特別な関係”を指摘するメールや文書が高橋理事長の元に届き始めた。今年9月、GPIFを監督する経営委員会が調査に乗り出し、高橋理事長が女性職員と複数回食事し、公用車に同乗したと判断され、女性の”情実採用”も疑われるとしました。ただし高橋理事長は女性との関係を『相談を受けていたにすぎない』と”情実”であることを否定しています」

 告発文書には、昨年12月21日の両人のデート現場とされる6枚の写真が同封されていた。当サイトはそれらを入手し、上記写真はその一部である。

 この処分を各紙はニュースにし、日本経済新聞は社説で「GPIF理事長は襟を正せ」と糾弾、「週刊文春」(文藝春秋)も小さな記事で「リリースを出しただけで、記者会見も行なっていない」と指摘した。GPIFは、160兆円もの国民の年金資金を運用する極めて公益性の高い組織。そのトップのスキャンダルとなれば、厳しいトーンになるのは当然のことだ。

 実はこの時点では、写真は外部に流出していない。忘れ去られるのも時間の問題と思われた。ところがここへ来て、この騒動が蒸し返しされ始めたのである。

 11月21日には『現代ビジネス』で伊藤博敏氏、『東洋経済オンライン』で元FACTA編集長・阿部重夫氏が立ち上げた「チームストイカ」が立て続けに報じ、翌22日には、ヤフーニュースで山本一郎氏が参戦。いずれもジャーナリズム界では知らぬ者のいない腕っこきの書き手だ。

 これらの記事に共通しているのは、告発文やデート写真を「怪文書」と斬り捨て、「高橋理事長はハメられた」と分析。山本氏は写真を「フォトショップで加工したと思しき痕跡があり、素人が頑張ったんだろうなあという印象」とおちょくった。確かに上記2枚の写真では、男性と女性の背丈の差が違うように見える。

 記事を読んだ記者はこう感想を漏らす。

「9月末での退任が確実視されていた三石博之理事と水野弘道理事兼最高投資責任者(CIO)は、10月、急転直下で再任が決まりました。記事は、その裏でこの『怪文書』を巡り、安倍官邸と近い関係にある水野氏らによる『謀略』があったのではと疑義を唱えたスクープといえます。ただリリースに沿って書かれた日経の社説にまで『謀略』と噛みついており、高橋理事長に寄り添った印象を受けました」

 これらの記事に水野氏は怒り心頭。「私が謀略の主導者のように誘導する記事は、悪意があり完全に名誉毀損」とツイートした。

 それにしても処分から1カ月たった今、なぜこうした記事が書かれたのか。

「GPIF内で週刊誌に写真がリークされたらしいと話題になったからです。焦った高橋理事長サイドが著名ジャーナリストらを使って巻き返しを図ったのでは、疑われています。写真が加工されたとしても、探偵など”プロ”に尾行されるような行動をとったのは事実でしょうし、高橋氏が処分を甘んじて受けたのは、身に覚えがあったからでしょう。ハメられたと感じたのなら、すぐに記者会見で自らの口で潔白を訴えるべきでした」(GPIF関係者)

 真相は藪の中だが、国民の虎の子資産を預かるトップたちに、こんな内ゲバを繰り広げる暇などないはずである。

2020年大学受験に異変!? 少子化が進む中で人気爆上げ気配の大学とは?

大学進学率が50%を超える一方で、少子化もグングンと進行。大学間で生徒の激しい奪い合いが展開されているが、様々な追い風が吹いたことにより、来年の入試で受験生が飛躍的に伸びそうな大学があるという。

 予定されていた英語民間試験が直前になって延期され、大人の思惑に翻弄される今年度の受験生たち。2021年の入試で導入が予定されている記述式問題についても、受験を控えた現役高校生や関係者から問題点を指摘する声が噴出し、ドタバタが続くなか、2020年の受験には大きな特徴があるという。大学関係者がいう。

「今年度の入試は、現在行われているセンター試験が最後の年となり、来年度から試験問題の傾向が変わるため、浪人を極端に嫌う傾向が強く出ています。そのため、志望校をワンランクもツーランクも下げて受ける予定の受験生が多く、とにかく安全志向で志望校を選んでいることが模試のデータなどでも明らかです。逆に言えば、最上位校は受験者減が見込まれますから、一発に賭けるのも1つの選択でしょう」(大学関係者)

 そんななか、俄然存在感を増している学校があるという。大学の志願者数は毎年、必ず増減があるが、受験雑誌記者によれば、志願者が増える要素がいくつもあるのが筑波大学だという。

「志願者数増加の第一の理由は、ラグビーW杯で活躍した福岡堅樹選手です。彼は県下トップクラスの進学校から筑波大に進み、将来は医師を目指していることを公言して話題になりました。W杯と同時期には、26年ぶりに箱根駅伝への出場も決めています。さらに大河ドラマ『いだてん』のモデルとなった金栗四三も、筑波大学の前身の東京師範学校の出身です。昔から文武両道の大学でしたが、改めてアピールポイントが注目された形です

 また、今年の受験生は、来年度の大学入試改革を控え、東大や一橋などの最難関校を狙う子がレベルを1つ下げれば、選択肢は自ずと筑波になって来ます。10年以上前なら筑波=一人暮らしでしたが、近年、つくばエクスプレスの開通により、都内からの通学も可能になりました。箱根駅伝に国立大学が出場するのは久々ですから、中継ではそのことが連呼されるはず。もし上位に入るようなことでもあれば、一気に志願者は増えるでしょう」(週刊誌記者)

 英語民間試験は萩生田光一文科相の“身の丈発言”で吹っ飛んだが、今年の受験者の“身の丈”に合うのは筑波大学かも?

2020年大学受験に異変!? 少子化が進む中で人気爆上げ気配の大学とは?

大学進学率が50%を超える一方で、少子化もグングンと進行。大学間で生徒の激しい奪い合いが展開されているが、様々な追い風が吹いたことにより、来年の入試で受験生が飛躍的に伸びそうな大学があるという。

 予定されていた英語民間試験が直前になって延期され、大人の思惑に翻弄される今年度の受験生たち。2021年の入試で導入が予定されている記述式問題についても、受験を控えた現役高校生や関係者から問題点を指摘する声が噴出し、ドタバタが続くなか、2020年の受験には大きな特徴があるという。大学関係者がいう。

「今年度の入試は、現在行われているセンター試験が最後の年となり、来年度から試験問題の傾向が変わるため、浪人を極端に嫌う傾向が強く出ています。そのため、志望校をワンランクもツーランクも下げて受ける予定の受験生が多く、とにかく安全志向で志望校を選んでいることが模試のデータなどでも明らかです。逆に言えば、最上位校は受験者減が見込まれますから、一発に賭けるのも1つの選択でしょう」(大学関係者)

 そんななか、俄然存在感を増している学校があるという。大学の志願者数は毎年、必ず増減があるが、受験雑誌記者によれば、志願者が増える要素がいくつもあるのが筑波大学だという。

「志願者数増加の第一の理由は、ラグビーW杯で活躍した福岡堅樹選手です。彼は県下トップクラスの進学校から筑波大に進み、将来は医師を目指していることを公言して話題になりました。W杯と同時期には、26年ぶりに箱根駅伝への出場も決めています。さらに大河ドラマ『いだてん』のモデルとなった金栗四三も、筑波大学の前身の東京師範学校の出身です。昔から文武両道の大学でしたが、改めてアピールポイントが注目された形です

 また、今年の受験生は、来年度の大学入試改革を控え、東大や一橋などの最難関校を狙う子がレベルを1つ下げれば、選択肢は自ずと筑波になって来ます。10年以上前なら筑波=一人暮らしでしたが、近年、つくばエクスプレスの開通により、都内からの通学も可能になりました。箱根駅伝に国立大学が出場するのは久々ですから、中継ではそのことが連呼されるはず。もし上位に入るようなことでもあれば、一気に志願者は増えるでしょう」(週刊誌記者)

 英語民間試験は萩生田光一文科相の“身の丈発言”で吹っ飛んだが、今年の受験者の“身の丈”に合うのは筑波大学かも?

取り締り件数は年間84万件にも! スマホやカーナビの「ながら運転」大幅厳罰化で即前科者に

「携帯電話使用中に交通事故を起こせば、即、免許停止で刑事罰」

 いよいよ12月1日から「ながら運転」の厳罰化を実施する改正道路交通法がスタートする。「ながら運転」とは、「携帯電話使用等違反」を指し、スマートフォンや携帯電話だけではなく、カーナビゲーション等も対象となる。「ながら運転」では大幅な厳罰化が行われる。

 警察庁によると、2018年中にスマートフォンや携帯電話の操作などが原因で発生した人身事故は2,790件で、13年の2,038件と比べて1.4倍の水準。このうち45件は死亡事故で、死亡事故率を比較すると携帯電話使用等の場合には、使用なしと比較して約2.1倍と高い。 警察は携帯電話などのながら運転の取り締まりを強化しており、携帯使用等の年間取り締り件数は約84万件で道交法違反全体の14%を占めている。それでも、ながら運転による事故が減少しないことから、今回の厳罰化につながった。

 12月1日からスタートする厳罰化は、罰則・違反点数・反則金で大幅に引き上げがなされており、かなり厳しいものとなっている。

 例えば、運転中の携帯電話(※以下、スマートフォン、カーナビを含む)などを使用した場合には、改正前は5万円以下の罰金だったが、改正後には6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金に、運転中に携帯電話などを使用していて事故など交通の危険に結びついた場合には、改正前は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金だったのが、改正後には1年以下の懲役または30万円以下の罰金となる。

 改正点は以下の通り。

<携帯電話使用等により交通の危険を生じさせた場合>
【罰則】
(改正前)3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
    (改正後)1年以下の懲役または 30万円以下の罰金
【違反点数】
(改正前)2点 (酒気帯びの場合14点)
    (改正後)6点=免許停止(酒気帯びの場合16点=免許取消)
【反則金】
    (改正前)
大型  1万2000円
     普通    9,000円
     二輪    7,000円
     小特等   6,000円
    (改正後)
     非反則行為となり、すべて罰則を適用

<携帯電話の使用等をした場合>
【罰則】
(改正前)5万円以下の罰金
    (改正後)6月以下の懲役または10万円以下の罰金
【違反点数】
(改正前)1点 (酒気帯びの場合14点)
(改正後)3点 (酒気帯びの場合15点=免許取消)
【反則金】
    (改正前)
     大型  7,000円
     普通  6,000円
     二輪  6,000円
     小特等 5,000円
    (改正後)
     大型  2万5,000円
     普通  1万8,000円
     二輪  1万5,000円
     小特等 1万2,000円

 携帯電話を使用した「ながら運転」を行っただけで、反則金は約3倍に、違反点数も3倍に、そして罰則に至っては懲役罰まで新設されている。しかし、厳罰化がもっとも端的に表れているのは、携帯電話使用等により交通の危険を生じさせた場合だ。即座に免許停止となるのはもとより、反則金がなくなり、すべて罰則が適用されることになっている。

 反則金と罰則の違いは、わかりやすく言えば、「反則金」は、「交通反則告知書(通称:青キップ)が切られ、まあ、反則金を払えば、罪に問うにはやめておきましょう」というものだが、「罰則」は「告知書(通称:赤キップ)刑事罰に問われ、裁判が行われ、前科となる」。これだけ、今回の改正は厳しいものとなっているのだ。

 犯罪を防止するための方法としては、確かに厳罰化も一つの選択肢だろう。しかし、道路交通法の改正が認知されていないのでは、何の意味もない。「ながら運転」についても、多くのドライバーにその危険度や罰則が十分に知れ渡っているのかは、いささか疑問だ。まずは、運転教育を一層充実させることの方が重要に思うのだが。

取り締り件数は年間84万件にも! スマホやカーナビの「ながら運転」大幅厳罰化で即前科者に

「携帯電話使用中に交通事故を起こせば、即、免許停止で刑事罰」

 いよいよ12月1日から「ながら運転」の厳罰化を実施する改正道路交通法がスタートする。「ながら運転」とは、「携帯電話使用等違反」を指し、スマートフォンや携帯電話だけではなく、カーナビゲーション等も対象となる。「ながら運転」では大幅な厳罰化が行われる。

 警察庁によると、2018年中にスマートフォンや携帯電話の操作などが原因で発生した人身事故は2,790件で、13年の2,038件と比べて1.4倍の水準。このうち45件は死亡事故で、死亡事故率を比較すると携帯電話使用等の場合には、使用なしと比較して約2.1倍と高い。 警察は携帯電話などのながら運転の取り締まりを強化しており、携帯使用等の年間取り締り件数は約84万件で道交法違反全体の14%を占めている。それでも、ながら運転による事故が減少しないことから、今回の厳罰化につながった。

 12月1日からスタートする厳罰化は、罰則・違反点数・反則金で大幅に引き上げがなされており、かなり厳しいものとなっている。

 例えば、運転中の携帯電話(※以下、スマートフォン、カーナビを含む)などを使用した場合には、改正前は5万円以下の罰金だったが、改正後には6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金に、運転中に携帯電話などを使用していて事故など交通の危険に結びついた場合には、改正前は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金だったのが、改正後には1年以下の懲役または30万円以下の罰金となる。

 改正点は以下の通り。

<携帯電話使用等により交通の危険を生じさせた場合>
【罰則】
(改正前)3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
    (改正後)1年以下の懲役または 30万円以下の罰金
【違反点数】
(改正前)2点 (酒気帯びの場合14点)
    (改正後)6点=免許停止(酒気帯びの場合16点=免許取消)
【反則金】
    (改正前)
大型  1万2000円
     普通    9,000円
     二輪    7,000円
     小特等   6,000円
    (改正後)
     非反則行為となり、すべて罰則を適用

<携帯電話の使用等をした場合>
【罰則】
(改正前)5万円以下の罰金
    (改正後)6月以下の懲役または10万円以下の罰金
【違反点数】
(改正前)1点 (酒気帯びの場合14点)
(改正後)3点 (酒気帯びの場合15点=免許取消)
【反則金】
    (改正前)
     大型  7,000円
     普通  6,000円
     二輪  6,000円
     小特等 5,000円
    (改正後)
     大型  2万5,000円
     普通  1万8,000円
     二輪  1万5,000円
     小特等 1万2,000円

 携帯電話を使用した「ながら運転」を行っただけで、反則金は約3倍に、違反点数も3倍に、そして罰則に至っては懲役罰まで新設されている。しかし、厳罰化がもっとも端的に表れているのは、携帯電話使用等により交通の危険を生じさせた場合だ。即座に免許停止となるのはもとより、反則金がなくなり、すべて罰則が適用されることになっている。

 反則金と罰則の違いは、わかりやすく言えば、「反則金」は、「交通反則告知書(通称:青キップ)が切られ、まあ、反則金を払えば、罪に問うにはやめておきましょう」というものだが、「罰則」は「告知書(通称:赤キップ)刑事罰に問われ、裁判が行われ、前科となる」。これだけ、今回の改正は厳しいものとなっているのだ。

 犯罪を防止するための方法としては、確かに厳罰化も一つの選択肢だろう。しかし、道路交通法の改正が認知されていないのでは、何の意味もない。「ながら運転」についても、多くのドライバーにその危険度や罰則が十分に知れ渡っているのかは、いささか疑問だ。まずは、運転教育を一層充実させることの方が重要に思うのだが。

「人は信じたいものしか信じない」山口連続殺人放火事件に見る、限界集落とSNSの共通点

 2013年7月21日、山口県周南市の限界集落で起きた連続殺人放火事件。集落の住人だった当時63歳の男が近隣に住む高齢者5人を殺害し、被害者宅を放火するという忌まわしい事件は「現代の八つ墓村」などと騒がれ、「犯人の男は村八分にされていた」などといった噂がネット上でまことしやかに語られた。事件から6年がたった今年8月、最高裁で男の死刑が確定したが、男は妄想性障害が進行しており、その動機についてはもはややぶの中だ。

 そんな事件の真相に迫ったルポ『つけびの村』(晶文社)が話題になっている。ノンフィクションライターの高橋ユキ氏は複数回にわたって現地取材を行うも、掲載媒体が見つからず、“最後の手段”とnoteで有料記事としてアップしたところ大反響を呼び、大幅な加筆を加えて出版された。「事件ノンフィクションの定型」とは一線を画す手法で、高橋氏がたどり着いた事件の真相とは――。

***

――今年9月に刊行された『つけびの村』が扱っている山口連続殺人放火事件は、2013年に起きた事件です。本書によれば、高橋さんが取材を始めたのは17年とのことですが、なぜこの時期だったんでしょうか?

高橋 ある月刊誌からの依頼で最初の取材をしたんですが、特に何かがあったタイミングではなかったですね。本にも書いた通り、くだんの集落では戦中まで「夜這い」があったという話が別の媒体で記事になって、それについてちょっと取材に行ってきてくれ、と。ずいぶん不思議な時期に依頼が来るものだな、と思いました。

――夜這いの風習があったことが今回の事件の因縁につながっている、という話ですよね。正直、わりと眉唾な話に聞こえると思うのですが、それを元に現地に取材に行くというのがまずすごいな、と。

高橋 さすがに月刊誌でも珍しい依頼だと思います。戦中に夜這いがあったかどうかの証言を今さら取ってくるって、かなり難しいですからね。その頃、思春期だった方ももう亡くなっているかもしれないですし。だから「これは空振りに終わるんだろうな」と思いながら取材に行きました。

――結局、その月刊誌では掲載できなくて実話誌に載せてもらったということでしたが、取材費は月刊誌のほうから出たんですか?

高橋 そうですね。それはありがたかったです。どんどん休刊になっていますが、事件モノをやるには、月刊誌の存在はすごく大切でした。大きいテーマで継続的に取材をして、自分なりに結論をつけて最終的に本にするという流れが立ち行かなくなっていると感じます。

――犯人がつかまって裁判にまで至っている、世間的にはひとまず「終わった」事件を追いかけるのも、ネットメディアではなかなかやれないことだと思いました。

高橋 私も普段、ネットメディアで事件モノを書かせてもらうときは、判決があったり控訴・上告があったりしたタイミングで編集さんに話をします。それくらいしか書けるチャンスがないんですね。この事件は今年7月に最高裁で判決があったので、個人的にはやっと一区切りがついたタイミングだったかな、と。

――本書の結末も、最高裁の死刑判決について高橋さん自身が考え続けるところで終わります。保見光成 (ほみ・こうせい)死刑囚は妄想性障害と判断されていて、妄想の世界を生きている人に贖罪は可能なのか、というしこりを感じていることが率直に書かれていて、これは裁判傍聴を続けてきた高橋さんならではじゃないかと思いました。

高橋 個人的に「どうなんだろうな」と思っていることを書きました。解釈はさまざまにあって、「妄想性障害であっても完全責任能力が認定されたんだから死刑になるのが当然だ」と思う人もいれば、「この状態で死刑にするのは人権的にどうなのか」と思う人もいるので、読んだ人にも考えてもらえるといいな、と。今でもまだ自分の考えはまとまっていないですね。本にも書いた通り、私は当事者でもないし遺族でもないので、どうあるのが一番いいのかはまだわかりません。

――その「当事者でもないし遺族でもない」というところで終わるのが、この本のすごいところだと思います。あとがきで「いま、普通の“事件ノンフィクション”には、一種の定型が出来上がってしまったように感じている」と書かれていましたよね。事件に至った経緯、周辺情報、遺族、本人への取材を経て結論を出して、事件が内包する社会問題を提示する――という。

高橋 売れる本はどこが読者を惹きつけているか知りたくて、Amazonで殺人関連のノンフィクションをランキング上位から順に買って読んだんですが、そういうパターンが多いかな、と感じます。もちろん、私はそうしたノンフィクションも好きです。でも、読者として読んでいて「これはさすがに想像じゃないか?」「ちょっとついていけないかも」と複雑な思いを抱くときもあったので、定型をあまり意識しないで書いてみようと思いました。

――とはいえ最初は、そのスタンダードなスタイルにはめ込むように取材を重ねていた、とも書かれていました。

高橋 そうなんです。最後に本人から「私は本当はこういう動機で罪を犯しました」という話を聞き出して、それをクライマックスにして結論を出すという構成を考えていたんですが、取材をする中で、村の「噂」がかなり興味深いと感じたことと、面会した保見死刑囚は妄想性障害が相当進行していて事件の動機を語れない印象だったことで、その構成は頓挫しました。困ったんですが、それなら「噂」をテーマにしたノンフィクションはあまり見たことがないからそっちを中心にしよう、と切り替えました。

――「コープの寄り合い」で生まれていた噂の中身に迫っていくところは、特に引き込まれました。でもその後、後半では一転して村のお祭りの話が続きます。あの構成には、どういった意図があったのですか?

高橋 お祭りの話、長かったですよね、すみません(笑)。最初に原稿をnoteで公開したとき、「異様な村」「怖い村」ととらえている反応が多くて、それがちょっとひっかかったんです。確かに事件は起きたけど、同じように噂話ばかりしている集落は全国でほかにもあるはずで、私が住んでいた地元もそうでした。かつてはこの村も栄えていたときがあって、いろんな人が住んでいて地元を愛していたんだけれど、人口が少なくなったせいで噂が娯楽としての強度をだんだん増していったんだということがわかるように、栄えていた時期のことをきちんと入れたいと思ったんです。

 それに、ネットの一部では「村八分」説(編注:犯人が村民から村八分に遭っており、嫌がらせを受けていたことが犯行理由とする説)が今も根強く残っていて、住んでいる人たちは事件で怖い目に遭ったのにそんなことを言われ続けるのは気の毒だな、という思いもかなりありました。

――一方で、住人の方々の家を訪れたり加害者のお姉さんたちのもとを訪ねたり、口が重いであろう当事者の方々を直撃されてますよね。私は経験がないのですが、直撃取材は怖くないんでしょうか?

高橋 私は週刊誌でも仕事をしているんですが、週刊誌記者ってわりと直撃が多いですよね。先輩記者には“猛者”と呼ばれるような人もいますが、みんな「ピンポンするのは気が重いな」って言うんです。私もすごく怖いです。でも、先輩記者たちが気が重いというのであれば、私も怖くて当然だ! と思ってピンポンを押しました。相手の方の生活を乱すことになるので罪悪感はあるし、冷たく対応されたら悲しいけど、当然だなと思ってしょんぼりします。普通の人と同じように怖いんですよ(笑)。

――加害者のお姉さん3人の取材はすべて断られてしまいますが、加害者側も残された人たちは大変な思いをするんだと、そのぶん強く感じました。

高橋 都会だったら事件が風化する速度は速そうですが、田舎だと「あの人は今どこそこに住んでる」「騒ぎになって逃げた」とか、みんながよく知ってるんですよね。これが当人だったらつらいだろうな、と取材をしていても思いました。

――濃淡の差はありますが、娯楽としての噂というのは、どこにでも存在しますよね。SNSで日々起こっていることもそうだといえますし。

高橋 そうなんですよね。SNS上で、会ったこともない人をすごく批判したり、何か決めつけてかかったりするのも、似たようなマインドだと思います。この事件についても、「村八分」説をいまだに強固に信じている人がすごくいて、人は信じたいものしか信じないんだな、というのは強く感じます。逆に今は「なんでこの人はここまでこの説を信じているんだろう? どんな事情があるのか?」っていうほうが、だんだん興味が湧いてきていますね。

――先ほどのノンフィクションの定型の話に通じるのかもしれませんが、わかりやすく一本筋が通って聞こえるストーリーを消費したいという感覚があるのかな、と思いました。

 かつてのノンフィクションでは、犯人が異常な事件を起こした理由を生まれ育ちに帰結させて読者を納得させている部分があったのかなと思うんですが、実際はそれだけではないですよね。保見死刑囚も、生まれや育ちは村のほかの人とさほど変わりはないんです。ただ妄想性障害がひどくなってしまったという事情がある。でも、病気であるという結論は、読者は納得しづらいと思うんです。こんなに不条理な事件が起こったのに理由は病気か、って。その感覚もよくわかるので、『つけびの村』はそこがモヤモヤする人もいるかもしれません。ほかの書き手の方だったら、別の結論のつけ方をしたのかもしれない――と、想像はめぐらせます。でもやっぱり事件の取材をすると、こういう場合もあるんだということを、きちんと出したかったんです。

(取材・文=斎藤岬)

 

●たかはし・ゆき
1974年生まれ、福岡県出身。2005年、女性4人で構成された裁判傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成。殺人等の刑事事件を中心とした裁判傍聴記を、雑誌、書籍等に発表。現在はフリーライターとして、裁判傍聴のほか、さまざまなメディアで活躍中。著書に、『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)『霞っ子クラブの裁判傍聴入門』(宝島社)『あなたが猟奇殺人犯を裁く日』(扶桑社)(以上、霞っ子クラブ名義)、『木嶋佳苗 法廷証言』(宝島社、神林広恵氏との共著)『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社)ほか。Web「東洋経済オンライン」「Wezzy」「サイゾーウーマン」等にて連載中。

 

「人は信じたいものしか信じない」山口連続殺人放火事件に見る、限界集落とSNSの共通点

 2013年7月21日、山口県周南市の限界集落で起きた連続殺人放火事件。集落の住人だった当時63歳の男が近隣に住む高齢者5人を殺害し、被害者宅を放火するという忌まわしい事件は「現代の八つ墓村」などと騒がれ、「犯人の男は村八分にされていた」などといった噂がネット上でまことしやかに語られた。事件から6年がたった今年8月、最高裁で男の死刑が確定したが、男は妄想性障害が進行しており、その動機についてはもはややぶの中だ。

 そんな事件の真相に迫ったルポ『つけびの村』(晶文社)が話題になっている。ノンフィクションライターの高橋ユキ氏は複数回にわたって現地取材を行うも、掲載媒体が見つからず、“最後の手段”とnoteで有料記事としてアップしたところ大反響を呼び、大幅な加筆を加えて出版された。「事件ノンフィクションの定型」とは一線を画す手法で、高橋氏がたどり着いた事件の真相とは――。

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――今年9月に刊行された『つけびの村』が扱っている山口連続殺人放火事件は、2013年に起きた事件です。本書によれば、高橋さんが取材を始めたのは17年とのことですが、なぜこの時期だったんでしょうか?

高橋 ある月刊誌からの依頼で最初の取材をしたんですが、特に何かがあったタイミングではなかったですね。本にも書いた通り、くだんの集落では戦中まで「夜這い」があったという話が別の媒体で記事になって、それについてちょっと取材に行ってきてくれ、と。ずいぶん不思議な時期に依頼が来るものだな、と思いました。

――夜這いの風習があったことが今回の事件の因縁につながっている、という話ですよね。正直、わりと眉唾な話に聞こえると思うのですが、それを元に現地に取材に行くというのがまずすごいな、と。

高橋 さすがに月刊誌でも珍しい依頼だと思います。戦中に夜這いがあったかどうかの証言を今さら取ってくるって、かなり難しいですからね。その頃、思春期だった方ももう亡くなっているかもしれないですし。だから「これは空振りに終わるんだろうな」と思いながら取材に行きました。

――結局、その月刊誌では掲載できなくて実話誌に載せてもらったということでしたが、取材費は月刊誌のほうから出たんですか?

高橋 そうですね。それはありがたかったです。どんどん休刊になっていますが、事件モノをやるには、月刊誌の存在はすごく大切でした。大きいテーマで継続的に取材をして、自分なりに結論をつけて最終的に本にするという流れが立ち行かなくなっていると感じます。

――犯人がつかまって裁判にまで至っている、世間的にはひとまず「終わった」事件を追いかけるのも、ネットメディアではなかなかやれないことだと思いました。

高橋 私も普段、ネットメディアで事件モノを書かせてもらうときは、判決があったり控訴・上告があったりしたタイミングで編集さんに話をします。それくらいしか書けるチャンスがないんですね。この事件は今年7月に最高裁で判決があったので、個人的にはやっと一区切りがついたタイミングだったかな、と。

――本書の結末も、最高裁の死刑判決について高橋さん自身が考え続けるところで終わります。保見光成 (ほみ・こうせい)死刑囚は妄想性障害と判断されていて、妄想の世界を生きている人に贖罪は可能なのか、というしこりを感じていることが率直に書かれていて、これは裁判傍聴を続けてきた高橋さんならではじゃないかと思いました。

高橋 個人的に「どうなんだろうな」と思っていることを書きました。解釈はさまざまにあって、「妄想性障害であっても完全責任能力が認定されたんだから死刑になるのが当然だ」と思う人もいれば、「この状態で死刑にするのは人権的にどうなのか」と思う人もいるので、読んだ人にも考えてもらえるといいな、と。今でもまだ自分の考えはまとまっていないですね。本にも書いた通り、私は当事者でもないし遺族でもないので、どうあるのが一番いいのかはまだわかりません。

――その「当事者でもないし遺族でもない」というところで終わるのが、この本のすごいところだと思います。あとがきで「いま、普通の“事件ノンフィクション”には、一種の定型が出来上がってしまったように感じている」と書かれていましたよね。事件に至った経緯、周辺情報、遺族、本人への取材を経て結論を出して、事件が内包する社会問題を提示する――という。

高橋 売れる本はどこが読者を惹きつけているか知りたくて、Amazonで殺人関連のノンフィクションをランキング上位から順に買って読んだんですが、そういうパターンが多いかな、と感じます。もちろん、私はそうしたノンフィクションも好きです。でも、読者として読んでいて「これはさすがに想像じゃないか?」「ちょっとついていけないかも」と複雑な思いを抱くときもあったので、定型をあまり意識しないで書いてみようと思いました。

――とはいえ最初は、そのスタンダードなスタイルにはめ込むように取材を重ねていた、とも書かれていました。

高橋 そうなんです。最後に本人から「私は本当はこういう動機で罪を犯しました」という話を聞き出して、それをクライマックスにして結論を出すという構成を考えていたんですが、取材をする中で、村の「噂」がかなり興味深いと感じたことと、面会した保見死刑囚は妄想性障害が相当進行していて事件の動機を語れない印象だったことで、その構成は頓挫しました。困ったんですが、それなら「噂」をテーマにしたノンフィクションはあまり見たことがないからそっちを中心にしよう、と切り替えました。

――「コープの寄り合い」で生まれていた噂の中身に迫っていくところは、特に引き込まれました。でもその後、後半では一転して村のお祭りの話が続きます。あの構成には、どういった意図があったのですか?

高橋 お祭りの話、長かったですよね、すみません(笑)。最初に原稿をnoteで公開したとき、「異様な村」「怖い村」ととらえている反応が多くて、それがちょっとひっかかったんです。確かに事件は起きたけど、同じように噂話ばかりしている集落は全国でほかにもあるはずで、私が住んでいた地元もそうでした。かつてはこの村も栄えていたときがあって、いろんな人が住んでいて地元を愛していたんだけれど、人口が少なくなったせいで噂が娯楽としての強度をだんだん増していったんだということがわかるように、栄えていた時期のことをきちんと入れたいと思ったんです。

 それに、ネットの一部では「村八分」説(編注:犯人が村民から村八分に遭っており、嫌がらせを受けていたことが犯行理由とする説)が今も根強く残っていて、住んでいる人たちは事件で怖い目に遭ったのにそんなことを言われ続けるのは気の毒だな、という思いもかなりありました。

――一方で、住人の方々の家を訪れたり加害者のお姉さんたちのもとを訪ねたり、口が重いであろう当事者の方々を直撃されてますよね。私は経験がないのですが、直撃取材は怖くないんでしょうか?

高橋 私は週刊誌でも仕事をしているんですが、週刊誌記者ってわりと直撃が多いですよね。先輩記者には“猛者”と呼ばれるような人もいますが、みんな「ピンポンするのは気が重いな」って言うんです。私もすごく怖いです。でも、先輩記者たちが気が重いというのであれば、私も怖くて当然だ! と思ってピンポンを押しました。相手の方の生活を乱すことになるので罪悪感はあるし、冷たく対応されたら悲しいけど、当然だなと思ってしょんぼりします。普通の人と同じように怖いんですよ(笑)。

――加害者のお姉さん3人の取材はすべて断られてしまいますが、加害者側も残された人たちは大変な思いをするんだと、そのぶん強く感じました。

高橋 都会だったら事件が風化する速度は速そうですが、田舎だと「あの人は今どこそこに住んでる」「騒ぎになって逃げた」とか、みんながよく知ってるんですよね。これが当人だったらつらいだろうな、と取材をしていても思いました。

――濃淡の差はありますが、娯楽としての噂というのは、どこにでも存在しますよね。SNSで日々起こっていることもそうだといえますし。

高橋 そうなんですよね。SNS上で、会ったこともない人をすごく批判したり、何か決めつけてかかったりするのも、似たようなマインドだと思います。この事件についても、「村八分」説をいまだに強固に信じている人がすごくいて、人は信じたいものしか信じないんだな、というのは強く感じます。逆に今は「なんでこの人はここまでこの説を信じているんだろう? どんな事情があるのか?」っていうほうが、だんだん興味が湧いてきていますね。

――先ほどのノンフィクションの定型の話に通じるのかもしれませんが、わかりやすく一本筋が通って聞こえるストーリーを消費したいという感覚があるのかな、と思いました。

 かつてのノンフィクションでは、犯人が異常な事件を起こした理由を生まれ育ちに帰結させて読者を納得させている部分があったのかなと思うんですが、実際はそれだけではないですよね。保見死刑囚も、生まれや育ちは村のほかの人とさほど変わりはないんです。ただ妄想性障害がひどくなってしまったという事情がある。でも、病気であるという結論は、読者は納得しづらいと思うんです。こんなに不条理な事件が起こったのに理由は病気か、って。その感覚もよくわかるので、『つけびの村』はそこがモヤモヤする人もいるかもしれません。ほかの書き手の方だったら、別の結論のつけ方をしたのかもしれない――と、想像はめぐらせます。でもやっぱり事件の取材をすると、こういう場合もあるんだということを、きちんと出したかったんです。

(取材・文=斎藤岬)

 

●たかはし・ゆき
1974年生まれ、福岡県出身。2005年、女性4人で構成された裁判傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成。殺人等の刑事事件を中心とした裁判傍聴記を、雑誌、書籍等に発表。現在はフリーライターとして、裁判傍聴のほか、さまざまなメディアで活躍中。著書に、『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)『霞っ子クラブの裁判傍聴入門』(宝島社)『あなたが猟奇殺人犯を裁く日』(扶桑社)(以上、霞っ子クラブ名義)、『木嶋佳苗 法廷証言』(宝島社、神林広恵氏との共著)『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社)ほか。Web「東洋経済オンライン」「Wezzy」「サイゾーウーマン」等にて連載中。

 

欧米では当たり前、お隣韓国でも実施する「性犯罪者への薬物投与」で再犯防止はどうなるか?

 性犯罪者の再犯を防止するための方法として、薬物による治療があるのをご存知だろうか。この薬物治療、欧米では広く採用されており、国内でも取り入れようという動きが出ている。

法務省を中心に薬物治療の導入を検討

 2018年8月に「性犯罪の出所者らに国費で薬物治療」という一部報道があった。その内容は、「法務省が同種の犯罪を繰り返す傾向があるとされる性犯罪者や薬物犯、窃盗犯らの再犯防止策として、満期出所した元受刑者らに国費で薬物治療や認知行動療法を受けさせる制度を整備する方針を固め、19年度から実施の見通し」というものだった。

 今のところ、元受刑者らに実際に薬物治療が行われたという報道はないものの、法務省を中心に性犯罪者などに対して、薬物治療の導入が検討されている。

 性犯罪者に対する薬物治療は欧米では広く行われており、お隣の韓国でも取り入れられている。薬物の効果で性犯罪者の性的欲求や性衝動を抑制するのは「化学的去勢」と呼ばれ、薬物を注射や錠剤により定期的に投与することで再犯を防止する治療法だ。具体的には、薬物により性犯罪者の男性ホルモンの水準を低下させる。

 このため、食欲減退や吐き気など様々な副作用があり、“乳房が膨らんでくる”といった女性化の副作用が出ることもある。ただ、投与を中止すると副作用もなくなり、性的欲求や性衝動も回復する。

 06年の法務省の「性犯罪者処遇プログラム研究会報告書」(http://www.moj.go.jp/content/000002036.pdf)では、
「薬物治療について、性犯罪者の薬物療法は、現在日本において薬事法承認済みの薬剤を使用したとしても、いずれも承認された効能・効果外の使用であり、通常の矯正施設において提供される医療の範囲を超えることになり、本人の同意の任意性が担保できない以上、医療倫理の問題も生じる。さらに、断薬により症状がぶり返す傾向を考え合わせると、矯正施設出所後、あるいは保護観察終了後も継続的に薬物療法を受ける環境が整って初めて、矯正処遇あるいは保護観察処遇の一環としての薬物療法が有意義になると考えられる」としている。

 つまり、

①使用される薬物は、日本では複数の製薬会社からの薬剤が承認されているが、そのほとんどは例えば抗うつ剤のように効能・効果外の使用となる。

②副作用などがあり、本人の同意が必要となる。

③薬物の使用を中止すると、性的欲求や性衝動も回復する。

④出所後、継続して薬物療法を受けられる環境などの問題がある。

ということだ。

 その上、実際に薬物治療を行っている欧米でも、薬物の有効性や再犯防止への効果を疑問視する声もあり、また、プライバシーや人権といった問題も関わってくる。決して、強制的に薬物治療を受けさせるわけにはいかないからだ。

 もうひとつの問題として、女性性犯罪者の問題もある。これまでの薬物治療は男性の性犯罪者を主としているが、数は少ないものの女性にも性犯罪者は存在する。実は、女性性犯罪者に対する薬物治療の研究は少なく、薬物治療そのものが困難な状況にある。

 また、仮に薬物治療を行ったとしても、薬物の有効性や再犯防止への効果があるのかはまだまだ実証されていない。

 確かに18年の犯罪白書によると、17年中の再犯率は強制性交等罪で4.8%、強制わいせつ罪で8.2%となっている。しかし、これは刑法犯全体の再犯率15.1%と比較すると少ないことも、また、確かだ。

 現在、性犯罪者などは刑務所で認知行動療法に基づく再犯防止指導の受講が義務付けられ、仮出所者は保護観察所に通いながら指導を受けなければならない。だが、満期出所者は指導を受ける必要はなく、また、指導を受ける場合は全額自己負担となっている。例えば、薬物治療を受ける場合も同様だ。しかし今回の法務省の検討では、満期出所者が治療や認知行動療法を受ける場合には、国費により賄われることになる。

 再犯の防止は重要だ。これは性犯罪だけではなく、刑法犯全体にも言えることだ。しかしながら、薬物を使っての再犯防止には、まだまだ研究・実証する必要があり、また、人権に対する配慮なども必要となってきそうだ。

周辺ではボヤ騒ぎも……首里城の出火原因にヤンキーの「たき火説」が浮上⁉

 沖縄県民のみならず、日本全土に衝撃を走らせた首里城の大火災。10月31日未明に発生した火災では正殿、南殿、北殿など計7棟が焼失し、「沖縄のシンボル」は壊滅的なダメージを受けた。

「首里城は沖縄戦で焼失後、少しずつ復元されてきたが、本格的な復元事業が立ち上がったのは、本土復帰から14年後の1986年から。92年には正殿が復元され、今年1月、30年に及ぶ事業がようやく完了したばかりだった。それだけに、事業に関わった人たちには落胆が広がっています」(地元紙記者)

 現在までにはっきりした火災原因は判明していないが、地元の消防当局によれば、正殿内部の焼損が激しく、「火元はここではないかといわれている」(同)という。

 地元消防当局によると、火災が発生したのは31日午前2時40分ごろ。

人の出入りのない時間帯で、火の気のない場所からの出火だということもあり、一部メディアや捜査関係者の間では「人為的」な原因による出火の可能性が取り沙汰された。背景には沖縄の“特殊事情”も絡んでいるのだという。

「現場の状況などから、地元警察は出火原因について漏電なども含めた失火の可能性が高いとみているようです。首里城は木造である上、建物の壁面に火が燃え広がりやすい漆を塗りつけていた。正殿内部で発火し、密閉された空間の中で火が勢いを増したとの見方が強くなっています」(前出の記者)

 ただ、当初はそうした見立てとは別に、外部の何者かによる放火や火の不始末の線も疑われていたようだ。

「地元警察は出火して間もなく、出火原因についてあらゆる可能性を想定して未成年への聴取も行ったようだ。というのも、なぜか沖縄では『たき火』をするというのが、非行少年たちの“定番”の遊びとして定着しているからだ。たき火をした時の火が燃え移ったのではないか、との疑いが持たれたというわけだ」(地元関係者)

 夜遊びの場所が限られている沖縄では、暇をもてあました少年らが夜な夜な砂浜などで火を囲んで「ゆんたく」(おしゃべり)して憂さを晴らすことが珍しくないのだという。

 その「たき火」のスポットのひとつが、くだんの首里城だったとの話もある。

 那覇市出身で、学生時代に暴走族に入って非行を重ねていた30代の会社員はこう明かす。

「首里城近くの公園は、昔から『やなわらばー(悪ガキ)』たちのたまり場になっていましたよ。警備もゆるいから『肝試し』なんて言って、たまに城内に忍び込んだりもしました。僕自身も火事の一報を聞いた時、ガキがやらかしたんでは、と疑いましたよ。周辺では、若者の『たき火』の不始末で、ボヤ騒ぎが起きたこともありましたからね」

 首里城火災をめぐっては、TwitterやYouTubeで「火をつけたのは自分」と名乗り出る愉快犯も続出している。世界遺産の焼失というのは、そうしたおかしな自己顕示欲を持つ者たちにとってもインパクトがあったということなのだろう。

 いずれにしても、「県民の心のよりどころ」となっている建物だけに、早期の原因解明と再建が求められるのは間違いない。

(文=赤羽博嗣)