“女優”イモトアヤコが『下町ロケット』シリーズの転機に?

 お笑いと演技は親和性が高く、最近でもバカリズムやサンドウィッチマンの富澤たけしなど、俳優としても高い評価を受けている芸人は多い。一方、渡辺直美、ブルゾンちえみなどの女芸人がドラマに出演する機会も増えている。

 しかし、彼女たちが演じる役は、コミカルな三枚目や、モテないことを卑屈に語るようなネガティブな女性像ばかりで、いまいち演技力を生かしきれているとは言い切れない。

 これは、そういう役柄しか与えることができない作り手の問題が大きいのだが、そんな中、面白かったのが『下町ロケット』(TBS系)におけるイモトアヤコの起用方法だ。

 2015年に放送された第1作の続編で、今回は無人走行技術を搭載したトラクターの開発をめぐる開発競争が描かれた。前作では佃製作所が衝突する相手は、帝国重工という大企業や悪徳弁護士といったわかりやすい権力者だったのだが、今回は、かつて帝国重工に被害を被った中小企業や会社から追い出された技術者たちが敵として現れる。佃製作所は帝国重工とともに、彼らにトラクターの技術競争を挑む展開となっていく

『下町ロケット ゴースト』『下町ロケット ヤタガラス』の2作が原作で、ゴーストというタイトルは、佃製作所が対立するベンチャー企業「ギアゴースト」が由来だが、大手企業に虐げられて潰されてきた弱小企業の幽霊(ゴースト)という意味もあるのだろう。物語中盤でギアゴーストの開発したトラクターが「下町トラクター」と呼ばれ、大企業に立ち向かう彼らの物語がマスコミで神格化されていく展開は、池井戸潤が書いてきた必勝パターンだが、それが敵役の物語となっているところが面白いところだ。

『半沢直樹』以降、池井戸原作ドラマが大ヒットしてきたのは、弱者が強者に一矢報いる姿が爽快感につながっていたからだ。しかし今回、中小企業が悪役として登場する姿を見ていると、このシリーズも転機を迎えているのかもしれないと感じた。

 それはキャスティングにも強く現れている。もともとこのシリーズは、さまざまな分野から演者を連れてくることに定評がある。吉田鋼太郎や手塚とおるが広く知られるきっかけとなったことは有名な話だが、立川談春のような落語家からスポーツ解説者の松岡修造まで、実にさまざま。今回は古舘伊知郎と福澤朗という男性アナウンサーも出演していた。

 その意味で毎回、どんな俳優が登場するのか? というのも見どころのひとつなのだが、なんといっても素晴らしかったのは、ギアゴーストの女性技術者で、後に佃製作所と共闘することになる島津裕を演じたイモトアヤコを起用したことだろう。

 セーラー服に太い眉毛がトレードマークのイモトは、バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)で珍獣ハンター・イモトとして世界中を旅する姿が話題となり、高い人気を獲得した。

 俳優としては、13年のドラマ『ご縁ハンター』(NHK)で婚活に苦しむ女性を演じ、一部で高い評価を受けていたが、近年では16年の北川景子主演ドラマ『家売るオンナ』(日本テレビ系)に出演。不動産会社で働く、やる気のない女性社員・白洲美加を演じた。当初は女芸人ということもあり、単純なコメディリリーフかと思ったが、物語が進むにつれて成長し、裏主人公とでもいうような存在感を見せていた。先日スタートした続編『家売るオンナの逆襲』にも引き続き出演しており、本作に欠かせない存在となっている。

『下町ロケット』でイモトが演じた島津は有能な技術者だが、それ以外は30代の地味な女性だ。普段は自信なさげに見えるが、独身であることを卑下したりといった女芸人的な振る舞いを見せる場面はほとんどない。佃社長とボウリング対決をする場面など、思わずクスッと笑ってしまうシーンはあるのだが、コメディ要素は薄く、抑制された芝居を見せている。つまり、等身大の働く女性として魅力的だったのだ。もしも華やかな女優が颯爽と演じていたら、女技術者としての島津に説得力は生まれなかっただろう。

『下町ロケット』にイモトが出演し、魅力的な女性を演じたことは、おじさんたちの物語だった本作にとっても大きな転機となるだろう。演技のうまい女芸人による等身大の女性が登場する作品はどんどん増えるはず。本作が、そのきっかけになればと思う。

●なりま・れいいち
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

◆「女優の花道」過去記事はこちらから◆

『下町ロケット』大団円もリアル農家が“怒りのツイート”連打

 フィクションとしては十分面白かったのだが……。

 1月2日に放送された阿部寛主演の『下町ロケット』特別編(TBS系)の平均視聴率が14.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったことがわかった。同作は、昨年10月クールの日曜劇場として全話平均13.9%を記録していたが、年をまたいで楽しみにしていた視聴者が多かったようだ。

「特別編は『台風編』と名付けられ、北陸地方に大型台風が直撃する前に米を収穫するという手に汗握るシーンが見所でした。ほとんど嵐のような状況の中、佃製作所がエンジンとトランスミッションを手掛けた無人農業用ロボット『ランドクロウ』が大活躍。クライマックスでは嵐の中、帝国重工の財前道生(吉川晃司)が率いるコンバイン・ランドクロウを乗せたキャラバンが到着し、不測のトラブルを乗り越えながら台風直撃寸前で全ての収穫をなんとか終えることができた、という内容でした」(テレビ誌ライター)

 佃航平(阿部)にかけられた「少しは日本の農業を救えたか?」の一言は視聴者に感動を与えた一方、放送後のTwitterでは“リアル農家”の人たちからの「あり得ない」という怒りのツッコミが続出。

「台風の雨の中での稲刈りはあり得ない。籾が濡れて品質が落ちるしコンバインが壊れる。そもそも通常の台風では大した被害は出ません」
「濡れていたら最新鋭のコンバインであっても詰まって稲刈りなんてできない。それくらいシビア。それにあんなに青かったんじゃ売り物にはならない。ドラマとはいえちょっとダメすぎ」
「実際は台風が過ぎた後、倒れた奴を時間かけて刈るのがリアルです。爆あんな青いやつ刈っても価値ねーよ」
「あのシーンの後で米作りとか日本の農業の未来とかを熱く語られてもねぇ」

 などと、本職の人たちはあきれ返っていたようだ。

 現場で頑張っている人の心に寄り添うのがテーマのドラマだったが、やや詰めが甘かったのか!?

実写版サンダーバードだった『下町ロケット』SP 映画、ラグビーW杯へと続く池井戸ユニバース!

 お正月もやっぱり熱かった、阿部寛主演の熱血理系ドラマ『下町ロケット』(TBS系)。昨年12月23日に最終回を迎えた『下町ロケット』第2シリーズは「ダーウィン・プロジェクト」と雌雄を決することなく終わったために消化不良状態でしたが、1月2日にオンエアされた実質的な最終回『下町ロケット 新春ドラマ特別編』は爽快感溢れる大団円となりました。感動のフィナーレを振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 まずは最終話で描かれなかった、「帝国重工」のダーティ重役・的場(神田正輝)vs.重田(古舘伊知郎)&伊丹(尾上菊之助)ら下町連合による「ダーウィン・プロジェクト」との決着戦です。重田たちの農業ロボット「ダーウィン」は“下町トラクター”として農家に大好評、一方「帝国重工」が売り出した農業ロボット「ランドクロウ」は営業的な苦戦を強いられます。社内での立場が危うい的場は、なりふり構わず「ダーウィン」を潰しに掛かります。

 的場のやり口とは、「ダーウィン・プロジェクト」に関係している下請け企業に、「今後は帝国重工で仕事ができなくなるよ」と脅すという卑劣なものでした。長いものには巻かれろと、多くの中小企業は「ダーウィン・プロジェクト」を抜けることに。一時的に重田たちは窮地に追い込まれますが、人を呪わば穴二つです。的場は自分で自分の墓穴を掘ってしまいました。

 

■的場も巨人軍も設計思想が古い

 重田たちのピンチを救ったのは、あの悪徳弁護士・中川(池畑慎之介)でした。弁護士資格は剥奪されたはずですが、重田の会社「ダイダロス」の法律顧問として復活したのです。毒は毒をもって制す。中川元弁護士は、的場の下請け企業いじめを公正取引委員会に訴え、さらに「週刊ポスト」にネタをリークするのでした。「佃製作所」を苦しめてきた中川ですが、的場を社会的に葬り去るという大きな仕事をやり遂げます。ヘビ野郎、グッドジョブです!

 佃社長(阿部寛)は複雑な心境で、的場と重田たちの抗争をマスコミを通して見守っていました。技術力やサービスで競い合うのならともかく、これではお互いの足を引っ張り合うだけで、ユーザーである農家のためにはなりません。佃社長の不安は的中しました。的場への長年の復讐を果たした重田と伊丹ですが、終わってみれば復讐を遂げたことを一緒に喜んでくれる家族も仲間もいません。残るのは空虚な気持ちだけです。そうしている間にも、「ダーウィン」が農作業中に停止してしまうという事故が多発するのでした。

 謝罪会見を開いた的場は「帝国重工」を辞職しますが、すれ違った財前部長(吉川晃司)に向かって「帝国重工は勝つしかないんだ」と捨て台詞を吐いて去っていきます。でも、これはどうなんでしょうか。プロ野球の巨人軍は強豪チームの主力選手を抜き取ることで目先の勝利を得ることを常套手段としていますが、それではいつまでもチーム力の底上げにはなりません。的場が指揮した農業ロボット「アルファ1」は審査機関から「設計思想が古い」と酷評されました。的場も巨人軍も、目先の勝利しか考えない発想事体がもう古くさいのではないでしょうか。そういった思考回路では、業界の盟主になることは到底不可能です。

 

■災害救助隊、出動せり!!

 場面は新潟県燕市へと移り、物語はいっきに佳境へと向かいます。「帝国重工」と「佃製作所」が提携して完成させた「コンバイン・ランドクロウ」の零号機が、殿村(立川談春)の実家の田んぼに導入されます。当初は農業ロボットを毛嫌いしていた殿村パパ(山本學)も大喜びです。そんな折、大型台風が接近。天気予報では関東地方に進むはずだったのに、台風は進路を変えて信越地方を直撃します。「ランドクロウ」のお陰で、殿村家は稲刈りを台風前に済ませる算段が立ちましたが、殿村にひとりの男が泣いてすがってきました。

 殿村に泣きついてきたのは、これ見よがしに「ダーウィン」を購入した稲本(岡田浩暉)でした。農林協の吉井(古川雄大)と一緒になって殿村家にせこい嫌がらせをしてきた稲本ですが、稲本家の稲が全滅することは放っておけない殿村は、絵に描いたようなお人よしです。殿村家のサポートに駆け付けてきた佃社長と天才エンジニアの島津(イモトアヤコ)は、「ランドクロウ」に入力されている地図データを「ダーウィン」のものと書き換え、「ランドクロウ」を稲本家の田んぼへと向かわせます。その陰には、北海道農業大学の野木教授(森崎博之)と「帝国重工」側の責任者・財前部長の理解と協力がありました。

 大型台風が間近に迫り、猛烈な暴風雨が襲い掛かります。果たして1台の「ランドクロウ」だけで収穫は終わるのでしょうか。絶望マックス状態のとき、地平線の向こうからヘッドライトが輝き始めました。自然災害対策にと「帝国重工」がスタンバイしていた「ランドクロウ・キャラバン」が、財前部長の出動命令でついにその全貌を明らかにしたのです。コンテナに搭載されていた初号機から六号機、そして零号機を含めた計7台の「ランドクロウ」が稲本家の田んぼへと降り立ち、黙々と作業を開始します。まるで往年の特撮人形劇『サンダーバード』(1966年~67年)の実写版を観ているかのような大スペクタクルシーンです。真っ赤なレインコートを来た吉川晃司は、戦隊ヒーローの司令官のようなかっこよさでした。地味な展開が続いた『下町ロケット』第2シリーズでしたが、SFパニック映画を思わせる迫力満点なクライマックスが用意されていたことにびっくりです。

■企業が抱える問題点は映画で描かれることに

 台風に立ち向かう「ランドクロウ」たちの一昼夜にわたる奮戦を、軽部(徳重聡)たちは「佃製作所」のテレビで見守っています。ひねくれ者だった軽部ですが、自分たちが開発した「ランドクロウ」に向かって「がんばれよ~」と父親らしい表情でエールを送ります。すっかり残業大好き人間になった軽部。心臓が弱い実の娘の病院への送り迎えは奥さんに任せているのかが、ちょっと気になりますが……。

 台風の夜が、そして「ランドクロウ」たちの無言の働きぶりが、みんなの心を変えました。立花(竹内涼真)は自分たちが苦労して開発した特許を、トランスミッションの不具合が発覚した「ダーウィン」に使わせることに大反対していましたが、考えを改めました。藤間社長(杉良太郎)の「我が社が作っているのは心だ。下請け企業が力を発揮できる環境をつくってこそ帝国重工だ」という決め台詞によって、「帝国重工」も他社への特許使用を認めることに。かくして、ライバルだった「ダーウィン」は製造中止の事態を免れたのです。すべては目先の利益や勝ち負けではなく、日本の農業を、そして日本の未来を明るいものにしたいという佃社長の英断から生まれたものでした。「帝国重工」への復讐のためにダースベイダー化していた伊丹社長は、人間らしい素顔に戻り、感謝の涙を流すのでした。
 
「ダーウィン」の不具合を開発主任の氷室(高橋努)が黙殺しようとしたり、「帝国重工」の製造部長・奥沢(福澤朗)が「アルファ1」の不備を野木教授や「佃製作所」の責任に押しつけようとした商品の安全性に関する問題点は、2月1日(金)から全国公開される池井戸潤原作の映画『七つの会議』でより深く掘り下げられることになります。監督は『下町ロケット』の福澤克雄チーフディレクターです。さらに9月20日(金)から日本で開催される国際的ビッグイベント「ラグビーワールドカップ2019」に先駆けて、7月期には池井戸原作&福澤ディレクターによる連続ドラマが予定されているそうです。福澤ディレクターは慶應大学時代にラグビー部の主力選手として日本一に輝いています。熱さ200%のスポーツドラマになることでしょう。

 異例となる年またぎで完結した『下町ロケット』第2シリーズ。『新春ドラマ特別編』の視聴率は14.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。お正月3日間のゴールデン帯とプライムタイム帯で全局トップに立ったテレビ朝日の看板ドラマ『相棒season17元旦スペシャル』が15.5%、1月3日放送の『科捜研の女 正月スペシャル』が11.4%だったので、かなりの健闘だったと思います。内容的にも満足度の高い2時間15分でした。

 大企業から転職してTBSに途中入社した福澤ディレクターが1964年生まれ、理系大学出身の伊輿田英徳プロデューサーが1967年生まれ。『新春ドラマ特別編』は国際救助隊が活躍する『サンダーバード』の実写版であり、また年末に放映された最終話には『ウルトラセブン』(TBS系)に主演した森次晃嗣が首相役を演じました。福澤ディレクターや伊輿田プロデューサーたちが子どもの頃に夢中になっていたスーパーヒーローたちを現代に蘇らせたのが、『下町ロケット』だったのではないでしょうか。佃社長や財前部長に憧れるエンジニアの卵が、『下町ロケット』から生まれるといいなと思います。
(文=長野辰次)

『下町ロケット』今夜特別編放送も、最終回に寄せられた“不満の声”はやまず……

 昨年12月23日に放送された『下町ロケット』(TBS系)最終回の平均視聴率は16.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だった。それまでの最高視聴率を最終回で更新し、有終の美を飾ったことになる。

「初回は13.9%とまずまずのスタートでしたが、第9話まではなかなか視聴率が伸びませんでした。特に第8話は11.5%を記録して、一時は1ケタ台へ転落かとささやかれたこともありましたが、ラストスパートでは、さすがの人気ドラマシリーズとして地力を見せました。番組関係者もホッと胸をなで下ろしていたといいます。しかし、第1シリーズは平均18.5%を記録しており、最高が22.3%、最低が16.1%であったことを考えると、今シリーズの視聴率がかなり見劣りするのは否めません」(テレビ情報誌記者)

 また、最高視聴率を記録したとはいえ、この最終回には視聴者から不満の声が寄せられた。その多くは、「こんなの最終回じゃない」という声だ。

「何しろ、伏線の多くが回収されていないですから、スッキリしないこと、この上ない。今回は無人農業トラクターの開発をめぐって、下町の中小企業連合軍vs. 佃製作所・帝国重工ペアの対立構図が描かれたのですが、最終回なのにその雌雄が決していません。また、かつて帝国重工の役員・的場(神田正輝)に苦汁をなめさせられた、ギアゴースト社長の伊丹(尾上菊之助)とダイダロス社長の重田(古舘伊知郎)が的場に復讐を果たそうとするのですが、その結末も描かれていません。全てが宙ぶらりんのまま、ドラマが終了してしまうのです。もっとも、これらは1月2日に放送される特別編で描かれるようですが、だったら“特別編”などと銘打たずに、最初から新春の放送回を“最終回”にしておけばよかったと思いますよ」(同)

 10月クールの連続ドラマが年をまたぎ、正月ドラマになるのは極めて異例のこと。序盤での思わぬ視聴率の苦戦に対するテコ入れ策だったのだろうか? 勧善懲悪が池井戸ドラマの魅力だけに、今度こそスッキリさせてほしいものだが……。

『下町ロケット』阿部寛の“不適切発言”に批判が続出「冗談を言ってる場合か!」

 果たして、冗談を言っていい場面だったのか? 12月23日、阿部寛主演のドラマ『下町ロケット』(TBS系)の最終話が放送され平均視聴率16.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と自己最高を記録。1月2日に放送される「特別編」に弾みをつけた。

 同作は、前作のロケットから農業にテーマを変え、佃製作所が無人トラクターの開発に挑むというストーリーだ。

 最終話のクライマックスは、阿部が社長を務める佃製作所が帝国重工と無人農業ロボットのエンジンとトランスミッションの性能をモーター技研によるテストで競い勝利するシーン。社員全員で喜びを分かち合う姿に視聴者もグッときたようだ。しかし、その際に阿部演じる佃社長のセリフには批判の声が上がっているという。

「トランスミッションの性能評価テストは帝国重工とのガチンコ対決。勝てばロケットとトラクターの仕事を総取りする一方、負ければ全て失うまさに社運がかかった絶対に負けられない戦いでした。さらに、直前で見つかったたった1回の不具合に対して、開発チームだけでなく社員全員が夜を徹して働き続けて、なんとか原因を突き止めることができた。テスト結果は書面で送られてくるため、バイク便が来るたびに社員全員が緊張。そんなギリギリの戦いの中で、テスト結果を見た佃社長は『みんな……残念ながら……圧勝だー』と報告したのです。一回落としたことで、社員全員が下を向いて落胆。その後、歓喜に包まれたのですが、これには視聴者からは『社運かかってる場面で残念ながら圧勝だとか言われたらキレるやろ』『バラエティじゃないんだから』と批判の声が相次ぎました。もっとも、9話でも『残念ながら……うちのバルブシステムの採用が決定した』とこのフレーズを使っていたことから、視聴者は勝利を確信していたようですが」(テレビ誌ライター)

 現実世界で同じことを言ったら、社員からボコボコにされたかも?

『下町ロケット』阿部寛の“不適切発言”に批判が続出「冗談を言ってる場合か!」

 果たして、冗談を言っていい場面だったのか? 12月23日、阿部寛主演のドラマ『下町ロケット』(TBS系)の最終話が放送され平均視聴率16.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と自己最高を記録。1月2日に放送される「特別編」に弾みをつけた。

 同作は、前作のロケットから農業にテーマを変え、佃製作所が無人トラクターの開発に挑むというストーリーだ。

 最終話のクライマックスは、阿部が社長を務める佃製作所が帝国重工と無人農業ロボットのエンジンとトランスミッションの性能をモーター技研によるテストで競い勝利するシーン。社員全員で喜びを分かち合う姿に視聴者もグッときたようだ。しかし、その際に阿部演じる佃社長のセリフには批判の声が上がっているという。

「トランスミッションの性能評価テストは帝国重工とのガチンコ対決。勝てばロケットとトラクターの仕事を総取りする一方、負ければ全て失うまさに社運がかかった絶対に負けられない戦いでした。さらに、直前で見つかったたった1回の不具合に対して、開発チームだけでなく社員全員が夜を徹して働き続けて、なんとか原因を突き止めることができた。テスト結果は書面で送られてくるため、バイク便が来るたびに社員全員が緊張。そんなギリギリの戦いの中で、テスト結果を見た佃社長は『みんな……残念ながら……圧勝だー』と報告したのです。一回落としたことで、社員全員が下を向いて落胆。その後、歓喜に包まれたのですが、これには視聴者からは『社運かかってる場面で残念ながら圧勝だとか言われたらキレるやろ』『バラエティじゃないんだから』と批判の声が相次ぎました。もっとも、9話でも『残念ながら……うちのバルブシステムの採用が決定した』とこのフレーズを使っていたことから、視聴者は勝利を確信していたようですが」(テレビ誌ライター)

 現実世界で同じことを言ったら、社員からボコボコにされたかも?

壮大な会社コントとして終わった第2シリーズ!! ブラック企業と紙一重な『下町ロケット』最終話

 直木賞作家・池井戸潤のベストセラー小説を原作にした、阿部寛主演の熱血理系ドラマ『下町ロケット』(TBS系)。ロケット開発を夢見てきた中小企業の社長の決断が、日本の農業を、そして技術立国・日本の未来を明るいものへと変えていきます。さまざまな悪役が登場した第2シリーズは、どのような結末を迎えたのでしょうか。『下町ロケット ヤタガラス』最終話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 佃社長(阿部寛)率いる「佃製作所」が開発した小型エンジンとトランスミッションを搭載した改良型農業ロボット「アルファ1」。敵対する重田社長(古舘伊知郎)が主導して完成させた「ダーウィン」とリターンマッチする機会が訪れました。農業ロボットの評判を耳にした首相の前で、再びデモンストレーション対決することになったのです。

 メインキャストに落語家の立川談春、バラエティータレントのイモトアヤコといった意外性のあるキャストを起用したことで話題となった『下町ロケット』ですが、最終話も「そう来たか!」と思わせるキャスティングでした。首相役は誰かと思いきや、SFドラマの金字塔である『ウルトラセブン』(TBS系)の主人公モロボシ・ダンを演じた森次晃嗣ではありませんか。地球を侵略宇宙人や凶暴な怪獣たちから守ってくれたスーパーヒーローが、日本国総理大臣に就任していたとは驚きです。恋仲だったアンヌ隊員(ひし美ゆり子)と無事に結ばれ、日本国籍を手に入れたのでしょう。

 多忙な首相は、「ダーウィン」のデモだけ見たら、さっさと帰るそうです。このことを知った「帝国重工」の重役・的場(神田正輝)は首相の前へ走り寄り「ぜひ、我が社のデモもご覧ください」と直訴します。的場をチラ見した首相は「的場さん? あんまり中小企業をいじめないでくださいよ」とチクリ。首相の皮肉の効いた返しに観客はドッと沸きます。かつてのスーパーヒーローも、長い政界暮らしの中で変身せずとも相手の弱点を突く巧みな攻撃方法を身に付けたようです。

 先行した「ダーウィン」のデモを見届けた首相が退席するのに合わせて、会場に集まっていた観客のほとんども帰ってしまいました。がらんとした会場で改良型「アルファ1」は粛々とデモを行います。前回よりも格段に性能アップしてデモを無事に終えた「アルファ1」ですが、「佃製作所」に再就職した天才エンジニア・島津(イモトアヤコ)だけは浮かない顔をしたままです。親知らずが痛いわけではなさそうです。

 

■最終回を締めたのは、やっぱりアイツだった!

 新潟県燕市にある殿村(立川談春)の実家の田んぼを借りて、実地テストを重ねた「アルファ1」の発売日がようやく決まります。ところが、ここでまた難問発生。3カ月発売日を早めた「ダーウィン」に合わせて、「アルファ1」も発売を早めたい、さらに的場が極秘に自社開発を進めていたものと性能テストを競ってほしいと「帝国重工」側から突き付けられたのです。そんなとき、島津が感じていた不安が現実のものとなりました。荒れた土地を耕す農業ロボットは予想以上に消耗が激しく、トランスミッションの耐久性をアップしなければ市販できないことが分かったのです。

 次々と襲い掛かるトラブルに対し、佃社長は動じることなくドンと構えてみせるのでした。それらのトラブルをクリアできないようでは、農業ロボットが農家の人たちの信頼を勝ち取ることはできないからです。「佃製作所」社員全員で、この難局を乗り切ることになりました。これまでずっとコミュ障っぽかった変人・軽部(徳重聡)ですが、島津がチームリーダーになってからは表情がずいぶん明るくなりました。島津のお陰で、立花(竹内涼真)とアキ(朝倉あき)の面倒を看なくて済み、気が楽になったのです。

 ギアの耐久性をアップすべし、という問題点がはっきりしました。それまでは定時で退社していた軽部に向かって年下の立花が喰ってかかり、そのたびに険悪な空気に包まれていた技術開発部ですが、この日は違いました。いつもは「定時なので帰りま~す」と去っていた軽部が、この日ばかりは「よ~し、残業だぁ!」と自分からキャラ崩壊を宣言したのです。軽部の意外なひと言に、技術開発部のみんなは大盛り上がり、そして視聴者はドテッ。いつもはクールだった軽部の放ったテンション高めな残業ギャグが、結局は第2シリーズ最終話のハイライトとなったのでした。

 的場への復讐に燃える「ギアゴースト」の伊丹社長(尾上菊之助)&重田社長の決着エピソードが年明けの「新春ドラマ特別編」に持ち越されたことで、『下町ロケット』第2シリーズは、ずっと残業を断り続けてきた軽部の心境の変化を描いた3カ月越しの壮大な会社コントとして幕を閉じたことになりました。ひとりの社員が残業を断れない状況に追い込まれるのは、現実ではアウトですが、コントだと思えば笑って済ませられます。

 軽部には生まれつき心臓の弱い娘がおり、病院への送り迎えのために軽部は残業ができないという理由が第10話で明かされました。きっと、娘の体調が最近は安定しているのでしょう。「残業だぁ!」と言った軽部の表情が明るかったことからも、それがうかがえます。もし、そうでなければ、軽部家の犠牲の上で改良型「アルファ1」、あらため「ランドクロウ」は完成したことになってしまいます。それでは、あまりにも悲惨すぎます。

■過去の人気番組を貪欲に取り入れた下町ブランド

 最終話がオンエアされた12月23日は、折しも毎年恒例となっている「ブラック企業大賞」の発表が行われました。平成最後の年となる2018年の「ブラック企業大賞」に選ばれた不名誉な企業は、三菱電機でした。システム開発者や研究職の男性社員5人が、長時間労働が原因で精神障害や脳疾患を発症し、そのうち2人が過労自死を遂げています。「佃製作所」も一歩間違えればブラック企業に認定されかねません。社員が一致団結するのは悪いことではありませんが、残業を断れず、有休も申請できない雰囲気の職場はダメだと思います。

 要は職場のトップ次第でしょう。軽部の上司である山崎部長(安田顕)は軽部の家庭事情を理解していましたし、佃社長も社員それぞれとコミュニケーションを図って、職場の風通しはよさそうです。社会に役立つモノづくりを理想に掲げる佃社長がいることで、給料はなかなか上がりそうにない「佃製作所」の社員たちも不満を漏らさずに済んでいるようです。他人がどれだけ給料をもらっているかを気にするだけの人生では、寂しすぎます。企業名が有名かどうかではなく、働きがいのある職場かどうか。そんなシンプルな問いを『下町ロケット』は投げ掛けているようです。

 イモトアヤコ、古舘伊知郎ら俳優を本業にしていないタレントやフリーアナウンサーたちの起用が目立った『下町ロケット』第2シリーズ。ストーリー展開がやたら速く、バラエティー番組を見ているかのような騒々しさがありました。最終話がまるでコントのようだったこともあり、TBSの往年の看板番組『8時だヨ! 全員集合』の世界を彷彿させました。いかりや長介率いるザ・ドリフターズが笑いに貪欲だったように、『下町ロケット』も面白いドラマをなることに貪欲でした。

 勧善懲悪の分かりやすい世界観は『水戸黄門』(TBS系)、農林協の職員・吉井(古川雄大)のような嫌味なキャラが続々と登場する展開は『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)、中島みゆきの名曲が感動シーンに流れる演出は、『プロジェクトX』(NHK総合)からのいただきです。最終話には『ウルトラセブン』(TBS系)の森次晃司がゲスト出演しました。ベタと思われようが、かつてお茶の間に集まった家族がみんなでテレビを楽しんでいた、そんな古き善き時代のエンターテイメント番組への回帰を目指していたように思われます。「古きを学び、新しきを知る」、それが『下町ロケット』だったのではないでしょうか。

 佃社長たちが情熱を注いだ改良型ロボットが、的場のロボットに性能テストで圧倒的勝利を収めたことで幕を閉じた最終話。的場は「設計思想が古い」と第三機関からダメ出しされるおまけつきでした。そして、最終話の気になる視聴率は16.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。第1シリーズの最終回22.3%には及ばなかったものの、第2シリーズでは最高視聴率となり、1月2日(水)にオンエアされる本当の最終回「新春ドラマ特別編」への期待をつないだかっこうです。

 また、『下町ロケット』の福澤克雄チーフディレクターが監督した池井戸潤原作の映画『七つの会議』が2月1日(金)から全国公開されることも決まっています。『下町ロケット』では大企業「帝国重工」の融通の効かない保守的な体質が下請けである佃社長たちを苦しめましたが、『七つの会議』はそんな大企業の問題体質にメスを入れる社会派サスペンスとなっています。『下町ロケット』でアキを好演した朝倉あきがヒロイン役で出ているのもチェックポイントです。アキが握ってくれたおにぎりを頬張る夢を見て、平成最後の新年を迎えたいと思います。それでは、みなさんよいお年を。
(文=長野辰次)

『下町ロケット』第10話 下町の舞台・大田区を襲う蒲田くんを迎え撃て!! 明かされた軽部の素顔

 阿部寛主演の熱血理系ドラマ『下町ロケット』(TBS系)もいよいよクライマックスです。裏番組ではテレビ朝日が大ヒット映画『シン・ゴジラ』(16年)という強力な刺客を差し向けてきましたが、『下町ロケット』も復活のイモトアヤコ、変人・軽部の意外な素顔、そして吉川晃司の華麗なボウリングフォームといった見せ場で応戦しました。エンジンフル稼働状態となった『下町ロケット ヤタガラス』第10話を振り返りましょう。

 後半戦に入って出番がすっかり減り、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)のやらせ問題も尾を引き、心配されていたイモトアヤコ扮する天才エンジニア・島津ですが、第10話で完全復活です。プー子生活を脱して、大学の非常勤講師として働き始めた島津は、念願叶ってカリフォルニアの工業大学で研究職に就けるチャンスも手に入れます。また、「帝国重工」時代から苦楽を共にしてきた「ギアゴースト」の伊丹社長(尾上菊之助)からも戻ってきてほしいと頼まれます。

 しかし、島津が選んだ再就職先は、佃社長(阿部寛)率いる中小企業「佃製作所」でした。自分を本当に必要としている職場で働くことが彼女の仕事のモチベーションだったのです。日本の農業を救いたいという佃社長の熱い想いに協力することにしたのです。

 三顧の礼をもって「佃製作所」に迎え入れられた島津は、さっそく社名入りの作業着に着替えます。あまりに作業着姿がぴったり似合うため、「佃製作所」の社員たちは大喜びです。「帝国重工」の財前部長(吉川晃司)の勝負服が高級感漂うスリーピース・スーツなら、天才エンジニア・島津はシンプルな作業着こそが勝負服なのです。

(前回までのレビューはこちらから)

■島ちゃん軽ちゃんコンビの誕生!

 気になるのは、「佃製作所」きっての変人・軽部(徳重聡)のリアクションです。途中入社の島津が役員待遇で、軽部がそれまでリーダーだったトランスミッション開発チームを担当することになりました。島津が「ギアゴースト」を退職した際には、目から「一緒に働こうよ」ビームを発していた軽部ですが、カメラは無言のままの軽部を映し出すだけです。しかも、相変わらず定時になると帰社してしまいます。立花(竹内涼真)とアキ(朝倉あき)は、島津にチームリーダーの座を奪われたことが面白くないのではと勘ぐってしまいます。トランスミッション開発チームに不穏な空気が漂います。

 開発部長の山崎(安田顕)は立花とアキをおでん屋に誘い、軽部の家庭の事情について説明します。軽部には生まれつき心臓の弱い娘がおり、妻も共働きのため、病院への送り迎えは軽部がしなくてはいけなかったのです。職場ではぶっきらぼうな軽部ですが、娘には子煩悩そうな優しい表情を見せていました。

「帝国重工」が開発した農業ロボット「アルファ1」の内部に不具合があることに気づいた軽部が「アルファ1」を思い遣るような表情を見せ、出来たばかりの「佃製作所」の試作ロボットに「がんばれ!」と声援を送っていたのは、自分の娘とロボットたちを重ね合わせて見ていたからだったのです。

 軽部がいつも定時で退社し、週末を利用した農作業ボランティアにも参加しなかった理由がこれで分かりました。しかも、立花やアキがおでん屋で呑んでいる間、軽部は会社に戻って黙々とひとりで作業を続けていたのです。タイムカードは一度押しているので、これはサービス残業でしょう。

 天才エンジニアの島津は、軽部の堅実な仕事ぶりをしっかり理解していました。きっちりの自分の担当パートを仕上げてみせた軽部のことを「これからもよろしくね、軽ちゃん!」とねぎらう島津に対し、「よろしく、島ちゃん♪」と応える軽部でした。才能ある人間同士が認め合うことで、トランスミッション開発チームは急激な進化を遂げていくのでした。軽部のことを過小評価していた立花とアキは、エンジニアとしても社会人としてもまだまだ次元が下だったのです。

 島津の歓迎会を兼ねたボウリング大会が開かれます。「アルファ1」の改良を「佃製作所」に依頼している財前部長も、途中参加することに。上着だけ脱いだスーツ姿で、パーフェクトな投球フォームを披露する財前部長。改良型「アルファ1」完成への祝砲代わりとばかりに、見事なストライクを決めてみせます。

■ドラマと現実世界をつなげたクボタのCM

 裏番組の『シン・ゴジラ』では「佃製作所」の所在地である東京都大田区にゴジラの第二形態である“蒲田くん”が上陸し、下町をメタメタに蹂躙します。一方の『下町ロケット』も大変な事態を迎えました。記録的な大豪雨という自然災害が、新潟県燕市を襲ったのです。元「佃製作所」の経理部長・殿村(立川談春)は実家の田んぼの稲刈りを間近に控えていたのですが、成す術なく稲は全滅してしまいました。脱サラした殿村があれだけ苦労して育て上げたのに、たった一夜の大雨がすべてを奪い去ったのです。自然と触れ合いながら、田舎生活を満喫していた殿村は、農業で食べていくことの恐ろしさを身を持って体感したのでした。

 さらに自然災害以上に恐ろしいのが、田舎の人間関係です。農業法人に参加することを断り、独自ブランド米の販売を続けてきた殿村に対し、農林協の職員・吉井(古川雄大)は容赦ありません。本年度の収穫ゼロとなった殿村が農林協に500万円の融資を申し込むと、窓口に現われた吉井は「農業法人に入らないから、こんなことになったんですよ」とニヤニヤ顔で対応します。勝手なことをするから、災害に遭ったのだと言わんばかりです。ブランド米を止めて、今後はこちらに服従するなら融資を考えるという悪代官ぶりです。閉鎖的社会の恐ろしさがまざまざと描かれます。

 さまざまな悪役が登場する『下町ロケット』ですが、殿村家を村八分扱いする吉井は最上級のゲス野郎です。殿村が絶望しながら去った後、吉井の上司が「農林協は農家の人の助けになるためにあるんだ」とフォローを入れましたが、もっとしっかり部下の仕事内容をチェックしてほしいものです。しかし、ここまで嫌な奴は、役とはいえなかなか演じられるものではありません。古川雄大はミュージカルの舞台というホームグランドがあるからこそ、徹底して悪役を演じられるのでしょう。舞台とテレビの仕事をうまく使い分ける、古川雄大のクレバーさにも恐れ入ります。

 第10話では、CM中に他局にチャンネルを変えられないための秘策も投じられました。クボタが開発して実用化に成功した「アグリロボトラクタ」の勇姿がCMとして流れたのです。『下町ロケット』の世界が現実化したようなリアルな映像で、CMかドラマなのか分からないほどでした。日本の農業を守りたいという佃社長や財前部長たちの願いが現実のものになりつつあることに、驚きを覚えた第10話でした。

 驚いたといえば、軽部が結婚して、娘もいたこともショックでした。軽部には根っからの変人でいてほしかったなというのが、正直な思いです。残業は頑なにやらない頑固者であっても、「佃製作所」は活躍できる理想の職場であってほしかったからです。サービス残業以外にも、会社に貢献できる方法はあると思います。まぁ、社員が自主的に黙々と残業する姿を映すことが、テレビドラマとしては分かりやすい盛り上げ方なのでしょう。日本に本当の意味での「働き方改革」が浸透するのはまだまだ先のことのようです。

 分かりやすい盛り上げ方に徹したことで、15分拡大スペシャルだった第10話の視聴率は15.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、第8話の11.5%、第9話の12.6%からグ~ンと数字を伸ばしました。次週の最終回は、前シリーズの最終回22.1%にどこまでまで迫ることができるのでしょうか。首相の前で実演が行なわれる小型ロボット「ダーウィン」と進化を遂げて生まれ変わった「アルファ1」とのリターンマッチの行方に注目です。
(文=長野辰次)

TBS大誤算!? 視聴率低迷の『下町ロケット』正月スペシャルは爆死濃厚か

 TBS日曜劇場枠で放送されている連続ドラマ『下町ロケット』(阿部寛主演)の「新春ドラマ特別編」が、来年1月2日午後9時から2時間15分枠でオンエアされることがわかった。だが、業界内外では「TBSの大誤算」といった声が漏れ伝わってくる。

 10月期の連ドラが年をまたいで、正月ドラマになるのは、極めて異例なことだが、同局の挑戦は“不発”に終わる可能性も高そうだ。

 23日放送の第11話が日曜劇場枠でのラストとなるが、正月スペシャルでは、さらにその続きが描かれるというから、それが実質的な“最終回”になりそうだ。

 同ドラマの原作は、『半沢直樹』などで知られる人気作家・池井戸潤氏の同名小説。2015年10月期に、同じ日曜劇場枠でシーズン1が放送され、全話平均18.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の高視聴率をマークする大ヒットとなった。

 3年ぶりに制作されたシーズン2も、当然高い数字が期待されたものの、第9話(9日)を終えた時点で、最高が第3話の14.7%、最低は第8話の11.5%で、ここまでの平均は13.0%とパッとしない。シーズン1の最低は16.1%で、1度も15%を割ることはなかったが、シーズン2は、逆に現状一度も15%超えを果たせていない。

 ここ最近の同枠ドラマでは、昨年10月期『陸王』(役所広司主演)が平均16.0%、1月期『99.9―刑事専門弁護士― SEASONⅡ』(嵐・松本潤主演)が17.6%、4月期『ブラックペアン』(嵐・二宮和也主演)が14.3%を獲得しており、『下町ロケット』シーズン2は、それらに大差をつけられている状況だ。

「シーズン2は脚本家が替わったことで、ストーリー上の問題も物議を醸していますし、マンネリも叫ばれています。それに今シリーズには、イモトアヤコ、福澤朗、古舘伊知郎らの役者ではないキャストが多数出演しているため、“学芸会”と揶揄されるなど、不評を買っている面があります。そのへんが敗因ではないでしょうか」(テレビ誌関係者)

 同局としては、「『下町ロケット』なら高い視聴率が取れる」と判断して、早い段階で正月スペシャルを編成したと思われるが、さすがにここまで低調が続くのは、“計算外”だったに違いない。

「そもそも正月三が日は帰省や旅行、初詣などで、ふだんより在宅率が下がりますし、なんせ忙しいわけです。2時間ドラマをじっくり見るような環境にはなかなかならないでしょう。そのうえ、ゴールデン・プライム帯では、各局とも毎年恒例の人気バラエティー番組を並べてきます。『相棒』(水谷豊主演/テレビ朝日系)の元日スペシャルのように慣例化されていれば話は別ですが、レギュラー枠でもイマイチの『下町ロケット』はなんとも分が悪いでしょう。2ケタに乗せられればいいですが、爆死の可能性も十分あるでしょうね」(テレビ関係者)

 ストーリー上、正月スペシャルを見なければ完結しないようなら、ファンにとっては、ある意味はた迷惑な話かもしれない。編成上、どうしても年をまたぎたかったのであれば、1月6日日曜に最終回を通常放送した方が、よっぽど数字が取れるかもしれない。
(文=田中七男)

TBS大誤算!? 視聴率低迷の『下町ロケット』正月スペシャルは爆死濃厚か

 TBS日曜劇場枠で放送されている連続ドラマ『下町ロケット』(阿部寛主演)の「新春ドラマ特別編」が、来年1月2日午後9時から2時間15分枠でオンエアされることがわかった。だが、業界内外では「TBSの大誤算」といった声が漏れ伝わってくる。

 10月期の連ドラが年をまたいで、正月ドラマになるのは、極めて異例なことだが、同局の挑戦は“不発”に終わる可能性も高そうだ。

 23日放送の第11話が日曜劇場枠でのラストとなるが、正月スペシャルでは、さらにその続きが描かれるというから、それが実質的な“最終回”になりそうだ。

 同ドラマの原作は、『半沢直樹』などで知られる人気作家・池井戸潤氏の同名小説。2015年10月期に、同じ日曜劇場枠でシーズン1が放送され、全話平均18.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の高視聴率をマークする大ヒットとなった。

 3年ぶりに制作されたシーズン2も、当然高い数字が期待されたものの、第9話(9日)を終えた時点で、最高が第3話の14.7%、最低は第8話の11.5%で、ここまでの平均は13.0%とパッとしない。シーズン1の最低は16.1%で、1度も15%を割ることはなかったが、シーズン2は、逆に現状一度も15%超えを果たせていない。

 ここ最近の同枠ドラマでは、昨年10月期『陸王』(役所広司主演)が平均16.0%、1月期『99.9―刑事専門弁護士― SEASONⅡ』(嵐・松本潤主演)が17.6%、4月期『ブラックペアン』(嵐・二宮和也主演)が14.3%を獲得しており、『下町ロケット』シーズン2は、それらに大差をつけられている状況だ。

「シーズン2は脚本家が替わったことで、ストーリー上の問題も物議を醸していますし、マンネリも叫ばれています。それに今シリーズには、イモトアヤコ、福澤朗、古舘伊知郎らの役者ではないキャストが多数出演しているため、“学芸会”と揶揄されるなど、不評を買っている面があります。そのへんが敗因ではないでしょうか」(テレビ誌関係者)

 同局としては、「『下町ロケット』なら高い視聴率が取れる」と判断して、早い段階で正月スペシャルを編成したと思われるが、さすがにここまで低調が続くのは、“計算外”だったに違いない。

「そもそも正月三が日は帰省や旅行、初詣などで、ふだんより在宅率が下がりますし、なんせ忙しいわけです。2時間ドラマをじっくり見るような環境にはなかなかならないでしょう。そのうえ、ゴールデン・プライム帯では、各局とも毎年恒例の人気バラエティー番組を並べてきます。『相棒』(水谷豊主演/テレビ朝日系)の元日スペシャルのように慣例化されていれば話は別ですが、レギュラー枠でもイマイチの『下町ロケット』はなんとも分が悪いでしょう。2ケタに乗せられればいいですが、爆死の可能性も十分あるでしょうね」(テレビ関係者)

 ストーリー上、正月スペシャルを見なければ完結しないようなら、ファンにとっては、ある意味はた迷惑な話かもしれない。編成上、どうしても年をまたぎたかったのであれば、1月6日日曜に最終回を通常放送した方が、よっぽど数字が取れるかもしれない。
(文=田中七男)