ワークマン、作業着チェーン店が躍進したワケーー「イージス」「靴」「パーカー」専門家を唸らせる3商品とは?

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 大量閉店や大量リストラ、老舗企業の経営破綻など暗いニュースが多い現在の衣料品業界において、「ワークマン」の躍進は数少ない明るい話題の1つです。ワーキングユニフォーム専門のチェーン店だったワークマンが一躍注目を浴びたきっかけは、数年前に透湿防水ジャケット「イージス」がSNS上で話題となったことにありました。

 低価格である上に、しっかりとした防水透湿機能が備わっていて、さらにデザインもワーキングユニフォームっぽくないことからデイリーカジュアルとしても使えるため、急速に支持者が増えました。

 この「イージス」を始まりとして、ワークマンの商品は全てが「低価格高機能」であることが世間に浸透し、一躍人気店になったのです。

 ワークマンは、どうして低価格高機能商品を揃え続けられているのでしょうか。それはずばり「ワーキングユニフォーム販売店」だから。作業着やワーキングユニフォームを着用する肉体労働者は、夏は暑く、冬は寒い中で作業をしなくてはなりません。また風の強い日や雨の降る日にも外で働かなければいけないのです。こうした過酷な自然環境下でも、肉体を傷めず、疲労を蓄積させないために、作業着やワーキングユニフォームには高機能性が求められます。また、オシャレ着ではなく仕事着なので、最初に“一式揃える”ことが必須となり、また作業によって必ず傷むため買い替えの必要もある……そうなると、“安さ”も重要視されるのです。

 この“安さ”について、消費者目線でもう少し言及すると、例えば、自分の趣味で購入を決めるオシャレ着であれば、「3万円のジーンズ」でも「30万円のコート」でも、気に入れば高額品であっても手に取ると思います。しかし、作業着や制服、仕事着に、そこまで出しても構わないと考える人はほとんどいません。ましてや必ず買い替えが生じますから、「安くなくては困る」と言っても過言ではないでしょう。そのため、何もワークマンに限らず、ワーキングユニフォーム業界全体が、何十年も前から「低価格高機能商品」を企画生産し続けてきたわけです。しかし、長らく一般的に話題とならなかったのは、デザインが作業着然としていたから。いくら安くて機能性が高くても、デイリーカジュアルとして着用するには無理がありました。

 それが近年、ワーキング各社の商品のデザイン性がマシになってきたのです。完全にとは言いませんが、デイリーカジュアルブランドと遜色のない商品が増えました。その中で、ワークマンが最も注目されたのは、全国800店舗以上の店舗数(大部分はフランチャイズ店ですが)があり、各地方で認知度が高かったこと、以前から歌手の吉幾三さんを起用したり、近年では有名ダンサーが作業着でブレイクダンスを披露するといったテレビCMを積極的に流し、販促に力を入れていたことが大きな理由だと考えられます。

 なお、一般的にはワークマンが話題ですが、ワーキング業界では、バートルというメーカーが急速に売上高を伸ばしており、来期は売上高100億円を突破する見込みとなっています。社名をクロカメ被服からバートルへと変更し、ファン付き作業服が大当たりしましたが、商品デザインも今風に改めた結果、ワーキング店からの引き合いが増えて売上高を伸ばしているのです。

 また、一方では、カジュアル業界やスポーツ業界が、ワーキング分野へ進出する動きも活発化しています。例えば、アシックスやプーマ、ディアドラなどのスポーツブランドが安全靴を相次いで発売。また、新興ジーンズカジュアルメーカーのブリッツワークスは、オリジナルブランド「ブルーモンスタークロージング(BMC)」をカジュアル店とワーキング店両方に卸していて、取り扱い店舗数は合計で400店に達しています。

 このように、ワーキング業界・分野では、ワークマン躍進以外にも、注目すべき動向が目白押しなのです。

 さて、そんなワークマンの中で個人的に注目しているレディース商品をいくつか取り上げてみます。デイリーカジュアルと遜色ないデザインの商品が増えたとは言え、全てがそうではありませんし、また、メンズ商品の構成比率が高く、レディース比率がまだまだ低いこともあるので、提示する商品は自ずと偏ってしまうことはご承知おきください。

1.レディース撥水マウンテンパーカー

 レディース専用品が少ない中で、デザイン的にデイリーカジュアルに使いやすいことに注目しました。黙って着ていれば、ワークマンの商品だとは誰も気が付かないでしょう。2,900円という安値ですが、ポリエステルの裏地も付けられています。ただ一点気をつけてほしいのは、機能性の部分。この商品には、撥水加工が施されていますが、あくまでも水を弾く加工であって、完全に水の侵入を防ぐ防水機能はありません。そのため、激しい雨の中だと、水が浸入してしまうので、そのあたりはお間違えのないように。

2.Wクッション キャンバスシューズ

  機能性で特筆すべきところは「クッション性」くらいしかありませんが、コンバースオールスターやジャックパーセルのようなテイストのベーシックなキャンバス地スニーカーで、使い勝手が抜群、加えて980円という安さにより、大人気商品となっています。ユニセックス商品ではあるものの、特にベージュがレディースに大好評で、25センチまでの小さいサイズに売り切れが多く出ています。無印良品のキャンバススニーカーよりも2,000円近く安いというコスパの良さが特徴です。

3.防寒レインジャケットPERFECT

 ワークマンが注目されるきっかけとなった防水透湿の「イージス」シリーズの中でも、特に、3,900円というコスパに優れている点に注目しました。防寒対応のため、裏にフリースが貼られていて、この値段。ほかのイージスシリーズよりも1,000~3,000円も安く価格設定されています。それでいて、耐水圧10000mm、透湿度8000g/m2/24hという優れた防水透湿機能が備わっているのです。全部で6色展開、黒かネイビーを選べば、どこのブランドなのかまったくわからないベーシックなデザインも、またグッドでしょう。

 今挙げた3点以外にも「これはカジュアルに使える」という商品はありますが、逆にやっぱり作業着然とした商品も数多くあります。ワークマンをカジュアル使いするなら、デザインやサイズもよく吟味する必要があると言えるでしょう。一歩間違えてしまうと、休憩中の作業現場の人みたいに見えてしまいますよ。
(南充浩)