2017年9月に線維筋痛症のため活動休止することを発表した、歌手のレディー・ガガ。それまであまり知られていなかった難病だが、ガガのおかげで「全身/または体の一部に激しい痛みが現れる病」と認知度が高まった。
あまりの痛みに寝たきりになる患者も多いという線維筋痛症だが、ガガは18年5月には仕事に復帰。ブラッドリー・クーパーとW主演した映画『アリー/スター誕生』のプレミア上映や、多くの授賞式にも出席。同年12月には自身のラスベガス常設公演もスタートさせ、ファンをほっとさせた。
そんなガガが1月4日、米テレビ界の女帝として名高いオプラ・ウィンフリーが司会を務める『Oprah 2020 Vision Tour』にゲスト出演した。
人々がポジティヴなヴィジョンを持てるような話をゲストと語るトークイベントツアー『Oprah 2020 Vision Tour』、ゲスト第1号として出演したガガは、まず高校時代にいじめられていたことを振り返り、「“ガガ”というのは、まさに自分がなりたいヴィジョンだったの」と告白。「自分の弱みや痛みを正直に見せることで、多くの人を救いたい。メンタルヘルスは、私が最も気にかけていることのひとつだから」と真剣な面持ちで語った。
続けて、「私はメンタルヘルスの問題、そして慢性的な痛みに苦しんでいる。線維筋痛症という病名なんだけど」「常に痛みがあって。今、この瞬間もつま先に痛みがあるわ」と説明。オプラからメンタルヘルスの問題について詳しく聞かせてほしいと促されると、「私は19歳の時に、繰り返しレイプされたの。その結果、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症して。でも、助けてくれる人も、相談できる人もいなかった。セラピストや精神科医にかかっていなかったから」「そうこうしているうちに、突然スターになったわ。世界中を回り、ホテルからステージへ、リムジンからステージへと移動する生活を送るようになり、PTSDにきちんと向き合えなくなったの。そしたらある日、突然、全身がすさまじい痛みに襲われたの。レイプ後に感じたような痛みを」と淡々と語り、「まさしく心的外傷反応だった」と明かした。
いまだ謎の多い病だが、「PTSDが線維筋痛症を引き起こす」という説を支持しているガガは、「線維筋痛症は、神経心理学的な面があり、また免疫学的な面もある病」「今日、ここに誓うわ。メンタルヘルス危機を解決するめに、科学者、医者、精神科医、数学者、研究者、学者をひとつの部屋に集めて、問題にひとつずつ取り組んでもらうことを」と熱く語り、オプラの手をガッチリと握った。
昨年、雑誌でオプラと対談した際には、ガガは自傷行為をしていた過去を明かしていた。今回のトークイベントではオプラからそのことについて触れられ、なぜ自傷行為をするのかを問われた。そこでガガは、「自傷することでもともとの痛みを忘れることができるから、自分を切りつけてしまうの」「周囲の人に、痛みを見せたい気持ちもあるわ」と自傷行為をする人の心境を説明。
線維筋痛症から比較的短期間で立ち直れた理由について聞かれると、真っ先に「ファンのおかげよ」と述べた上で、「物議を醸すことは承知の上で言うけど、(精神)薬のおかげ」と告白。安易に手に入るものではなく、精神科医が処方した薬なら安全だと強調した。薬を飲まないとけいれんをこともあるというガガの病が、まだまだ深刻な状態だと知ったオプラは、厳しい表情を浮かべていた。
ガガは投薬治療のほかに、行動療法、認知療法などのセラピーを受けているそう。性暴力からのサバイバーとなるため努力し続けているガガに、会場から大きな拍手が巻き起こった。
なお、ガガを繰り返しレイプした加害者は知人だという。ガガは18年にも米誌「VOGUE」で「19歳の時に音楽プロデューサーに性的暴行を受けたことがトラウマとなり、線維筋痛症を引き起こしたと思う」と告白。治療を重ねるごとに、病の原因を確信したようである。
日本でも年末に元フジテレビアナウンサーの八木亜希子氏が発症を公表した線維筋痛症。ガガのほかにも、俳優のモーガン・フリーマン、シンガーソングライターのシネイド・オコナーらセレブが患っており、みな「信じられないような激痛だ」と、その病気の苛烈さを表現している。
痛みに苦しみながら病に立ち向かっていく姿を、会場に詰めかけた大勢のファンに見せたガガ。彼女は身体的な痛みとメンタルヘルスについて気丈に語っていたが、ネット上では「なんだかつらそう」「無理しているのでは」と心配する人も少なくないようだ。