『セックス依存症になりました。』というマンガがネット上で話題になっています。セックス依存症というと、タイガー・ウッズやマイケル・ダグラス、エディ・マーフィーなどが有名ですが、とにかく海外セレブみたいなモテまくりの奴らだけがかかる特殊な病気っていうイメージがありました。
なので、本作のタイトルを初めて見たときは、モテ男による「モテてモテて困っちゃう、俺病気なのかなあ~(笑)」みたいなマンガなぞ死んでも読むまい、という信念というか怨念のような意気込みがあったのですが、実は「セックス依存症」は女性でもかかる可能性があるし、非モテ――なんなら、童貞でもかかる可能性がある身近な病気だというのです! 「童貞でセックス依存症」ってこの世の地獄では……!? がぜん興味が湧いてしまったので、読んでみることにしました。
本作は現在、ウェブサイト「週プレNEWS」で読むことができます。「セックス依存症」「プレイボーイ」……やはりモテ男向けのマンガじゃないか!! と怒髪天をつく勢いで怒るのは早計でして、実は万人が知っておく必要がある、衝撃的なメンタルヘルスのお話でした。
オイッ! なんだこのハーレム状態のオープニングは!! 非モテをあおってんのか!?(怒)などと言いたくなる雰囲気ですが、この女に不自由なし、モテまくり、ヤリまくりな主人公「津島隆太」 が、精神科医の先生と面談しているシーンから始まります。しかも、なんだか顔面も体もボロボロの傷だらけです。
傷だらけの理由とは、津島が交際していた彼女(通称ハンマーちゃん)に、元カノとも定期的に会っているのがバレて、ハンマーとバリカンで一方的に暴行されたことにあります。
“なんだそれ自業自得じゃん、ざまぁw”と男子諸君は思うかもしれません。しかし、このことがきっかけで津島には、不眠症と摂食障害、そして抑えることのできない過剰な性衝動や幻覚・幻聴までが襲うようになります。
いくら自慰をしても風俗に行っても性欲が収まることはなく、セックスがしたくて吐き気に襲われ、その場でうずくまって動けなくなるほどの症状……。表面的にはズバリ「変態」の一言で片付けられてしまいそうな案件ではありますが、やはりどう考えてもヤバイ類いの病気でしょう。
そう、セックス依存症とは、精神疾患であり、自分ではどうしようもない病気なのです。変態じゃないんです!! ……などといっても、普通は理解できないですよね。実際、僕もこのあたりはまったく理解できないし、共感もできませんでした。しかし、だからといってまったく自分が無関係かというと、そう単純な話でもありませんでした。
「セックス依存症はセックスをしていなくてもなり得ます。性的経験がない童貞・処女でもです」
「ポルノ収集や自慰も歯止めが効かなければ病気です」
「女性でもポルノ小説やBL等で私生活に支障が出るほど熱中していれば同じくセックス依存症です」
衝撃的な事実……。急に「セックス依存症」が身近なものに感じられてきませんか? “もしかして俺も依存症かも?”とか思ったりしませんでしたか? ちなみに第2話で「セックス依存症チェック」診断ができるようになっていますので、心当たりのある方はチェックしてみたらいいかもしれません。
一度「セックス依存症」になってしまうと、改善はしても完治することはないそうです。そのあたりはアルコール依存症や薬物依存症などと同じなのです。いよいよ、ガチな病気なんだということがわかってきましたね。しかし、童貞のままセックス依存症になって、完治することはないと言われた日には、背負ったカルマが重すぎて……前世で何かとんでもない罪を犯したんじゃないかと疑うレベルです。
彼女に殺人未遂級の暴行をされていながら恨むこともなく、幼少期に父親に監禁同然の虐待を受けていながら、そのぐらいの体罰は当然だと思っている津島。面談をしていくうちに、どうやら津島のセックス依存症の根源には、何か過去のトラウマが関係しているのでは? という話になってきました。そして、過去のトラウマをあぶり出すEMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法) という治療を行うことになったのですが……。
EMDRは、目を左右にキョロキョロさせる眼球運動によってトラウマを解消させるという治療法。こんなのでトラウマが解消できるの? と半信半疑でしたが、回数をこなすうちに次第に変化が表れてきます。そして……
自らが無意識のうちに記憶を封印していた恐るべきトラウマ……自分の父親に口淫させられてい たという事実が、フラッシュバックで蘇ったのです。えーー! 何この急にヘヴィすぎる展開!! 単なる女にだらしないチャラ男マンガだと思ってて、すんませんでした!
ついに封印されていたトラウマに行き当たった津島。その後は本格的に「セックス依存症」克服への道を模索する段階に入っていきます。
海外ドラマによくありがちなグループセラピーに参加して、新たな展開が。セックス依存症以外にもさまざまなタイプの依存症の人たちばかりが集まり、次々に衝撃の告白が始まります。
たとえば、痴漢の依存症。極めすぎて、電車に乗った瞬間に痴漢ができそうなターゲットがすぐに見えてしまうのだとか。ゲーム感覚で痴漢とか、マジ迷惑!
露出しないと気が済まないという依存症もあるのだとか。季節の変わり目に出てくる露出狂のオッサンとかって、この類いの病気なのでしょうか……。
下着泥棒の依存症もあるようです。しかも、ニックネームは「王子」。下着泥棒の王子とか、どんな情けない王族だよ……。
ちなみにこの王子も、幼少期のトラウマが原因で下着泥棒に目覚めました。風呂に入っている叔母の下着に興味を示していたら、肛門に歯ブラシを何度も突っ込まれるせっかんを受けたのだそうです。叔母……やることがマニアックすぎるだろ、恐ろしすぎてトラウマにもなるわ!
そのほかにも、売春がやめられない60代女性なども出てます。そして、津島と同じセックス依存症の人も。
なんと、この清楚系美女「グリーン」さんが、まさかまさかのセックス依存症!! たった500円で、おっさんに体を売りまくっていたのだそう。
このグリーンさんの登場で、津島の依存症克服ストーリーは、いよいよ佳境に入っていきます。
『セックス依存症になりました。』は毎話毎話が絶妙なところで終わっており、ものすごく次の話が読みたくなる構成になっています。初めは斜に構えて読んでましたが、いつの間にか続きが気になって気になって……やめられなくなってしまいました。今ではすっかり「『セックス依存症になりました。』依存症」です。責任取ってください!
●「週プレNEWS」
https://wpb.shueisha.co.jp/comic/2018/04/13/102935/