今年の干支といえば「亥」。つまり猪(イノシシ)ですよ。どうせ三が日過ぎたら忘れられる存在ですが、せめてこの時期だけは注目してあげたい―――。というわけで、今回は「イノシシ」が登場するマンガ特集です。
■『美味しんぼ 』
僕が初めてマンガでイノシシを認識したのは,『美味しんぼ』でした。出てくるのは21巻に収録の「新しい企画」というストーリーで、主人公の山岡士郎とその一行が、山にイノシシ狩りに出かけていったところ、突如飛び出してきたイノシシに襲われ、大ピンチ……というところで連れてきた猟犬・コロに命を救われます。
その後は、倒したイノシシで、イノシシ鍋パーティーが始まるのですが……
「イノシシの肉に味噌味が合います」
「イノシシ鍋を牡丹鍋ともいうんです」
「おひょお! イノシシっていうから肉が固いと思ってたら、柔らかいんだね!」
などといった、美味しんぼならではのテンションでイノシシ鍋豆知識が披露され、大変勉強になります。イノシシ肉は柔らかい! 僕はこのマンガがきっかけで、まったく興味のなかったイノシシ情報をゲットできていたのでした。
■『山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記』
リアル猟師マンガの先駆けともいえる『山賊ダイアリー』。単行本2巻は表紙がイノシシで、まさしくイノシシがメインともいえる内容です。
主人公がキジ狩りに行ったところ、たまたまイノシシに遭遇し、イノシシを狩ることに。そこから始まるイノシシのガチ解体ストーリー。
血抜きや内臓取り出し、皮剥ぎなどなど……解体をしつつも、途中で取り出した心臓(ハツ)を焼いて舌鼓を打ったり。レバーは血抜きのために切れ目を入れて水につける、肋骨と背骨の間にナイフを入れてアバラを外すなどなど、ガチなイノシシ解体の解説がマンガで描かれています。そんなに詳しく描かれたところで、到底真似できないんですが……。
で、最後は焼き肉になるイノシシ。やっぱりイノシシ肉は脂が乗ってっておいしいそうですよ。なんか来年の干支のはずなのに食われる話ばっかりだな……。
■『罠ガール』
田舎町の女子高生・朝比奈千代丸。家業が農家で、畑を荒らす野生動物に対抗するため、18歳にして「わな猟免許」を取得。罠をめぐって千代丸と動物の知恵比べが始まる、というマンガです。うーん、マニアック……。森ガール、山ガールときて、ついに罠ガールが出てくる時代ですよ、皆さん。
その罠ガールが記念すべき第1話でバトルする動物がイノシシなのです。友人の畑を荒らすイノシシに対抗する罠は「くくり罠」。地面に隠しておいて、イノシシが罠を踏んだら、ワイヤーが締まってイノシシの足がギュッとなる罠です。このマンガでもやはりイノシシが突進してきて大ピンチに陥るシーンがあります。
イノシシが出てくる場合、必ず人間に向かって突進してくるシーンがあるのはマンガ界における法則のようです。猪突猛進とはよく言ったもんです。
■『ミミック』
お嬢様なルックスでいつもバイオリンのケースを持ち、毛皮のコートを羽織った美少女女子高生、姫小松にしき。まわりからは超お嬢様と思われているが、実はバイオリンケースにはボウガンやサバイバルナイフが入っており、毛皮のコートは買ったものではなく、父親が山で熊を仕留めた際の毛皮を使ったものという、山の中の洞窟でワイルドライフを送っている少女なのでした。
第1話はにしきの秘密を知ろうと後をついてきた同級生・万星彦が森の中で突如現れたイノシシに襲われたところを、にしきがボウガンで仕留めて助けるというストーリーです。もちろん、仕留めたイノシシのお肉は牡丹鍋にしておいしくいただきました。
イノシシが出てくるマンガって、展開が似てきてしまうのはどうしようもないのでしょうか……。
■『戦国小町苦労譚』
こちらは、同名小説をコミカライズした作品です。農業高校に通う歴史大好き女子高生、綾小路静子がある日突然タイムスリップしてしまい、戦国時代へ行ってしまいます。
命を助けてもらった織田信長に仕えることになった静子は、授業 で習った最新の農耕技術を披露したところ、とんでもない量の米が収穫でき、尾張の国で農業改革を起こしてしまうという、なかなかぶっ飛んだ農耕ファンタジーです。
イノシシが出てくるのは、単行本2巻第6話で、「稲作ばかりでなく、タンパク源も必要」と猟に出た静子が、突如現れた手負いのイノシシに襲われ、大ピンチのところを猟犬に助けてもらうというもので、イノシシについては安心と信頼の同じパターンでした。
■『鬼滅の刃』
最後にご紹介するのは、「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載中で、来年アニメ化も決定している作品『鬼滅の刃(きめつのやいば)』です。
時は大正時代、炭売りの少年、炭治郎の家族がある日、何者かに皆殺しにされてしまいま。唯一、生き残った妹・禰豆子(ねずこ)は「鬼」に変貌してしまっていました。妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を倒すため、炭治郎が修行の旅に出るというストーリーです。
鬼にかまれるとかまれた人間も鬼になってしまうという、いわゆるゾンビ感染系マンガと似ている設定なのですが、イノシシの扱いは、ほかのマンガとは全然違いました。
単行本3巻から登場し、主人公・炭治郎とともに鬼と戦う、嘴平伊之助(はしびらいのすけ)というキャラクターがいるのですが、イノシシに育てられ、イノシシのマスクをかぶって獣のように戦うのです。他の作品では狩られたり鍋にされたりする運命だったイノシシが、この作品では一躍準主役級のポジションに。まさに、マンガ界におけるイノシシのイメージを覆す、期待の新星といえる存在でしょう。
***
今年の干支「亥」にちなんでイノシシマンガを紹介しましたが、いかがだったでしょうか? イノシシマニアにはたまらない特集だったと思いますが、問題はこのコラムを読む人の中に猪マニアなんているのか、というところです。今年もこんな感じでマンガをご紹介していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)
◆「ザオリク的マンガ読み」過去記事はこちらから