『毎日逢いたい』が描く、「男は女に寛容」という罪深き理想

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『毎日逢いたい!』(牧村久実、講談社)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてけぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史にさんぜんと輝く「迷」作を、ひもといていきます。

 最近ちまたでは、嫁の作ったまずい飯を食べ続けることで、愛情を示さなければならない夫たちがいるようである。ネットでその報告を読んでいると、夫の書き込み自体が創作なんじゃないかと思えてくるほど、嫁の料理は奇想天外である。でもまあ嫁に家事やらせるつもりなら、最初っから見極めておくべきであり、それができなかったのは、ひとえに自分が料理をしないからだろってことで、どうにもこうにも彼らに同情の余地はあんまりない。

 しかし『毎日逢いたい』(講談社)の晶は、かなりかわいそうな男子である。彼は高校生ながら、日本中の誰もが知ってる、いわば尾田栄一郎バリの人気マンガ家だ。そこへ、なんかモヤモヤして家出をしてきた有夏が、ひょんなことから晶の家の家政婦をすることになる。晶は売れっ子なので超金持ちでしかもイケメン。もちろん有夏にあてがわれた恋愛相手だ。つまり“毎日逢いたい”のは晶と有夏。こうして「高校生同士なのに当たり前のように同棲」というお膳立てができあがり、晶は「家政婦募集」という張り紙を出してまっとうな家政婦を欲しがったのに、「まずい飯」以上の苦行に耐えることとなった。