今や日常生活において、かかせないツールとなっているコミュニケーションアプリ「LINE」。かつては子どもの送迎時に、ママたちが立ち話をしているような光景が見かけられたが、時間に追われ忙しく過ごす共働き世帯が増えた今、ママたちのコミュニケーションの場は、LINEのグループチャットになっているという。そんな、ママたちの「グループチャット」から浮き彫りになった、彼女たちの悩みや、苦悩、気になる話題を覗いてみる。
既婚者の女性同士が集まって、夫の愚痴を語り合う光景をよく見かける。同じ妻という立場だけに、お互いに共感し合える部分が多いのだろう。一方で、前回、ママ友間の「子ども自慢」に関して取り上げたが、親同士が自分の子どもについて愚痴ることはあるのだろうか。ママ友のグループチャットを覗いてみよう。
「割り算もできないの……」自虐を装いながら先取り学習を自慢するママ
都内にある小学校に8歳になる男児を通わせている早苗さん(仮名)は、約2カ月に及ぶ休校期間が明け、ママ友とのグループチャットでは、小学校生活での話題が飛び交うようになったという。
「子どもの宿題を親が見ているかどうか、また授業に必要なものの準備などについて、メッセージのやりとりをしています。特に休校の影響で、学習内容についての話題が多くなった気がします。うちの子は今年、小学校3年生なのですが、せっかく覚えた九九も、お休みの間に忘れてしまったようで、たまに間違えることがあるんです。でもまだ小3だしと、のんびり構えていました」
しかし、休校期間が明けた今、家庭ごとに学習差が出ている事実に気付いたという早苗さん。
「休校期間中に勉強を進めていた家庭もあるようです。ママ友が『うちは〇〇までできるようになったよ』と、グループチャットで話していて、内心焦ってしまいましたよ……。なかでも、息子と仲が良い男の子のママ・Mさんの話にはヒヤッとさせられました。Mさんは、『うちの子、3ケタのかけ算のひっ算が苦手で、しょっちゅう間違ってしまうの』と、グループチャットで愚痴っていたんですが、3ケタのひっ算は学校でまだ習っていないんですよ。彼女は子どもを公文に通わせたり、通信講座も受講させたりしているため、先取り学習をしているという意識がないみたいなんです」
早苗さんは、先日Mさんから直接送られてきたメッセージの返答に困ってしまったという。
「『息子が割り算でつまずいてる』という自虐的な内容だったんですが、『それは大変だね』と同調するわけにもいかず、結局『大丈夫、うちの子はまだ掛け算も間違えちゃうの』と返信しました。Mさんは謙遜のつもりかもしれないのですが、私の息子がまだ習ってもいないことにについて、『こんな簡単なこともできないのよ』と言われるのは、ちょっとモヤっとしてしまうんです」
一見、子どもに対する愚痴のように聞こえるエピソードも、ママ友同士では、そう捉えられないケースもあるようだ。
「Mさんは、『うちの子はできない』と言いつつ、相手から『うちはもっとできない』という話を聞くことで、安心しているようなんですよね。特に学力に差が出る算数に関しては、明らかに難しい問題を例に出して、『息子がつまづいていて困っている』とメッセージを送ってくるのです。これって逆に自慢ですよね……」
乳幼児の子どもを持つママたちは、成長過程での不安や悩みをグループチャットで分かち合うというが、子どもの年齢が上がるにつれ、ママたちの目は、成長過程より学力に向いてしまう。学力は個人差も大きいだけに、グループチャットで語るのは配慮が必要な話題だろう。
奈緒美さん(仮名)は、都内にある小学校に5年生になる女児を通わせている。彼女は、難関大学の理系学部を卒業しており、娘の勉強を自宅で見ているという。
「私は一人っ子で、小学校高学年から塾へ通い、受験をして私立中学に入学しました。学校でも成績は優秀なほうで、希望していた大学に進学。娘はまだ小5とはいえ、同じ頃の自分と比べると、簡単な問題を間違えるし、運動神経も良くなく、何をやらせても失敗ばかりでイライラしてしまうんです」
奈緒美さんは、低学年の頃から親しいママ友数人と、グループチャットでなにげない会話をしている。しかし、その中のあるママから距離を置かれてしまったそうだ。
「以前、みんなでファミレスに出かけた際、私が娘の前で『この子はピアノを習わせているのに、私よりヘタ』『娘は足も遅くて、徒競走で後ろのほうだった』『本当グズで嫌になる』と愚痴ったのが、気に障ったようなんです……。相手の子どもの悪口とかは一切言っていないのに、どうしてだろうと思って、ママ友に『なにか気に障ることを言った?』と聞いてみたら、『〇〇ちゃんがかわいそう』って、娘のことを言われてしまって……」
子どもの頃に優秀だった親は、過度に息子や娘に期待をしてしまい、つい人前で自分の子どもをけなしてしまう傾向があるのでは……奈緒美さんは、ママ友からそう忠告されたという。
「自分では単なる愚痴のつもりだったのですが、周りからは毒親のように見られていたみたいでショックでした。私からの話題はなんとなくスルーされているというか、ハブられているようなので、ママ友とのグループチャットでは、今は相づちのような返信だけするようにしています」
関東近県にある小学校に4年生になる娘を通わせている梓さん(仮名)は、ママ友とのグループチャットで、「女の子は、自分のことは自分でできるからいいわよね」と言われるのが面倒だという。
「ちょっとやんちゃな男の子のママが、よくグループチャットに、『うちの子は、ランドセルの中からぐちゃぐちゃになったプリントが出てくるの』『脱いだものも脱ぎっぱなしで困っちゃう』というような愚痴を送ってくるんです。それに加えて『女の子はしっかりしていていいわよね』と言われるんですが、うちの娘もプリントの出し忘れはしょっちゅうだし、靴下も脱ぎ捨てたままにしたりしていたり、全然しっかりしていない(笑)。メッセージを見ていると“男の子の育児は女の子よりも大変”と言いたいんだろうなって、わかるんですが……。別のママ友と『女の子も手間がかかるよね』と言い合っていますよ」
ママたちは子を持つ者同士、わかり合える部分も多いからこそ、仕事や家事の合間に子育ての悩みや愚痴をメッセージで送り、励まし合うことができる。しかし、程度をはき違えてしまうと、相手に不快感を与えてしまう可能性もぬぐえない。今は面と向かって話す機会が少なく、誤解が生じやすい面もあるため、子どもの愚痴に聞こえるような話題は、避けたほうが無難なのかもしれない。
