選挙特番偏重に一石! 「ボクシング中継で高視聴率獲得」のフジテレビ、次回選挙はどうなる?

「第48回衆議院総選挙」(10月22日投開票)にあたって、NHK、民放キー局で、開票特番が放送されたが、その“あり方”に関して一石を投じたのが、ボクシング中継を強行したフジテレビの姿勢だ。

 同選挙特番で貫禄を見せたのは、やはりNHKで、その『2017衆院選開票速報』は17.1%(第1部=ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の高い視聴率をマークした。民放でトップだったのは、池上彰をメーンキャスターに据えたテレビ東京『池上彰の総選挙ライブ』で9.8%をマーク。これでテレ東は、13年の参院選、14年の衆院選、16年の参院選に続き、国政選挙での特番において、4回連続で民放首位となった。ただ、NHKとは7.3ポイントもの大差がついており、民放の選挙特番の難しさを改めて露呈した。

 民放2位は日本テレビ『ZERO×選挙2017』で9.3%、同3位はテレビ朝日『選挙ステーション』で8.8%、同4位はフジテレビ『FNN選挙特番 ニッポンの決断!2017』で7.2%、同最下位はTBS『激突!与野党大決戦 選挙スタジアム2017』で5.5%の順。

 日テレは日曜ゴールデンの人気バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』『行列のできる法律相談所』、TBSは15日の初回で14.7%の高視聴率を挙げた日曜劇場『陸王』(役所広司主演)を休止してまで選挙特番をオンエアしたが、いずれも1ケタ台に沈んだ。

 そんな中、異例な体制で臨んだのがフジだ。22日、同局は午後7時から9時30分まで、『村田諒太VSエンダム2』を放送した。選挙特番は、午後9時30分からのオンエアとなったが、ボクシング中継は20.5%を記録し、同局の今年すべての番組の中で最高視聴率をマーク。ほかの民放局の選挙特番に大きく水をあけたのだ。試合は7回終了後、エンダムの棄権によるTKO勝ちで、村田が悲願の世界王座奪取を果たす理想的な展開により、視聴率向上につながった。

 そもそも、エンダム対村田の世界戦は、5月20日にWBA世界王座決定戦として行われ、エンダムが判定勝ちを収めたが、不可解な判定が問題となり、再戦に至った経緯がある。その際もフジが中継し、17.8%と高い視聴率を記録した背景があった。いうまでもなく、村田は2012年ロンドン五輪のボクシング・ミドル級金メダリストで、13年のプロ転向後も注目を集め、初の世界戦となったこの一戦は、視聴者の大きな関心を集めていた。

 22日の再戦が、5月の世界戦以上の高視聴率を弾き出せたのは、もともと世の関心が高く、なおかつ、ほかの民放局の番組が弱かったためといえそう。衆院選と重なっていなければ、日テレの強力な番組を裏に回して、苦戦を強いられた可能性が高い。その意味では、同局にとって、衆院選と村田の世界戦の日程がバッティングしたのは“ラッキー”以外の何物でもないだろう。また、村田の試合を録画ではなく、生中継で強行した同局編成部の判断も、結果的にはファインプレーだった。
 村田の試合が高視聴率を獲得したことについて、同局・宮内正喜社長は27日の定例会見で、「『国民の関心が何であるか?』を基本に編成した。結果として難しい調整をいい編成バランスでできた。視聴率、結果も、そのへんが功を奏したと思っております」と評価。

 とはいえ、ボクシング中継後の衆院選特番は7.2%と急降下して、多くの人が他局にチャンネルを替えてしまったのも事実。

 現状、国政選挙の際は、NHKのみならず、民放キー局すべてが、横並びで選挙特番を放送するのが慣例となっている。しかし、今回ボクシングが高視聴率を得たように、多くの視聴者が「選挙特番」を望んでいないのも、これまた現実だ。今回のフジの決断は、国政選挙の際の番組編成のあり方に一石を投じたのは確か。

「フジの措置は、いわば反則技みたいなもので、同局内外で賛否両論出ているようです。やはり国政選挙の際、キー局は“報道機関”としての伝える責務があるからです。ただ、民放が選挙特番をやっても、NHKにかなうわけがなく、低視聴率になるのは明白。今回の視聴率を判断材料として、今後国政選挙のときに選挙特番を放送せず、視聴率至上主義に走る局が、フジ以外にも出てくるかもしれません」(スポーツ紙記者)

 いってみれば、禁じ手ともいえる手法で、高視聴率を獲得したフジ。低視聴率に沈んでいる同局だけに、これに味を占めて、次の国政選挙の際に、同じ手を使う可能性もありそうだ。

(文=田中七男)

『昆虫すごいぜ!』だけじゃない……俳優・香川照之の“偏愛”は、ボクシング界を変えるか

  フジテレビが22日に中継したプロボクシング『村田諒太VSエンダム2』。勝利を手にし、「日本人2人目のミドル級世界王者」「日本人初の五輪メダリスト世界王者」という栄誉を勝ち取ったのはもちろん村田諒太だが、この一戦を通じて、ほかにも手応えを感じた者がいたはずだ。

 まずは中継局のフジテレビ。平均視聴率20.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)は、今年の同局最高視聴率だという。実は前回、5月20日のタイトルマッチもフジが中継し、視聴率は、17.8%を記録。この時点でも、近年のボクシングではトップの数字だった。

 村田は勝利インタビューで、「みんなあんまり好きじゃないかもしれないけど、電通のみなさん。また、あんまり好きじゃないかもしれないけど、フジテレビのみなさん。感謝してます」とコメントし、会場の笑いを誘っていた。

 だが、むしろ感謝したいのはフジテレビのはず。殴り合った直後に、こうした機知に富んだコメントが残せる王者の登場は、苦境が続くフジテレビにとって得難い人材ではないだろうか。

 そしてもうひとりが、ゲスト解説を務めた俳優の香川照之。この試合、村田にとってリベンジマッチだったように、香川にとってもリベンジマッチだった。

 実は香川、前回5月20日の中継でもゲスト解説を務めたのだが、このときはネット上で「ウザい」「試合に集中できない」といった厳しい意見が噴出。それを意識してか、今回の中継では香川のコメント回数は少なく、それでいて熱量のほとばしりはしっかりあって存在感は示す、という見事なゲストぶり。SNSを見ても、前回ほどの拒否反応はないように思えた。

 香川のゲストぶりが成功した理由がもうひとつ。視聴者が香川照之の「好きなものには異常な愛を注ぐ」という姿に慣れ、免疫ができてきた、という点もあるのではないだろうか。

 というのも、5月からの約半年間、熱狂的な人気を誇る『香川照之の昆虫すごいぜ!』(NHK Eテレ)の2回目と3回目が立て続けに放送され、特番の『香川照之の昆虫すごいぜ!特別編~出動!タガメ捜査一課~』も好評。香川の情熱的すぎる昆虫への偏愛は、視聴者に好意的に受け止められた。個性派俳優、という括りで紹介される香川が今年、明らかにブレイクスルーしたわけだ。

 そんな香川が昆虫と同等、それ以上に愛してやまないのがボクシングだ。たとえば、香川は『昆虫すごいぜ!』の番組内で、「本当にやりたい仕事とめぐり会えました」「これが僕の代表作です」と語っているが、実は同様のコメントを、ボクシング関連の話題でも語っていたことがある。

 それは2011年公開の映画『あしたのジョー』で、主人公・矢吹丈のトレーナー・丹下段平役を受けたときのこと。「やっと、ボクシングを仕事で生かすときがきた」「この映画は、僕にとっては映画ではない(中略)ボクシングをどう見せるかというショーに参加したという記憶です」と「映画.com」のインタビューで答えている。

 香川のボクシング解説に関しては、「俳優業の隙間に解説できるほど、ボクシングは甘くない」と辛辣な評価をするネット記事もある。だが、筆者にいわせれば、その評価自体が間違いだ。

 中学生のころからボクシング観戦を始め、以来30余年にわたって情熱を傾けてきたという香川。俳優の仕事が少なかった時代にも、「ボクシングマガジン」(ベースボール・マガジン社)でコラム「香川照之の熱病的思考法」を連載し、フジテレビ以外でもWOWOWなどで世界戦のゲストコメンテーターを務めるなど、ずっとボクシングが仕事であり、心の拠り所でもあった。決して“俳優業の隙間”なんかではないのだ。

 今回、村田諒太という、一般視聴者にとってもわかりやすいアイコンができたボクシング界。一方で、ボクシング人気華やかなりし頃と比べて階級が増え、団体数も増えてしまったため、“強さ”が伝えにくい・わかりにくい競技になった、という声も多い。

 それは今回のタイトルマッチ後、村田自身が「ここにいるボクシングを大好きな人は、僕よりも強いミドル級のチャンピオンがいることも知っています」と語っていたこととも通じる。

 そんな“わかりにくい”競技になってしまったボクシングの人気を再燃させるためには、ボクシングの歴史、選手、逸話、世界との差など、さまざまな側面に関して、わかりやすく、そして熱量込めて伝える存在が必要不可欠。その存在に香川照之こそが適任なのではないだろうか。

 というわけで、フジテレビ様。今こそ、『香川照之のボクシングすごいぜ!』の制作チャンスです。有田哲平がプロレスを語り尽くすことで大きな支持を集めているAmazonプライム番組『有田と週刊プロレスと』のように、鉱脈はきっとあると思うのだが。
(文=オグマナオト)

『昆虫すごいぜ!』だけじゃない……俳優・香川照之の“偏愛”は、ボクシング界を変えるか

  フジテレビが22日に中継したプロボクシング『村田諒太VSエンダム2』。勝利を手にし、「日本人2人目のミドル級世界王者」「日本人初の五輪メダリスト世界王者」という栄誉を勝ち取ったのはもちろん村田諒太だが、この一戦を通じて、ほかにも手応えを感じた者がいたはずだ。

 まずは中継局のフジテレビ。平均視聴率20.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)は、今年の同局最高視聴率だという。実は前回、5月20日のタイトルマッチもフジが中継し、視聴率は、17.8%を記録。この時点でも、近年のボクシングではトップの数字だった。

 村田は勝利インタビューで、「みんなあんまり好きじゃないかもしれないけど、電通のみなさん。また、あんまり好きじゃないかもしれないけど、フジテレビのみなさん。感謝してます」とコメントし、会場の笑いを誘っていた。

 だが、むしろ感謝したいのはフジテレビのはず。殴り合った直後に、こうした機知に富んだコメントが残せる王者の登場は、苦境が続くフジテレビにとって得難い人材ではないだろうか。

 そしてもうひとりが、ゲスト解説を務めた俳優の香川照之。この試合、村田にとってリベンジマッチだったように、香川にとってもリベンジマッチだった。

 実は香川、前回5月20日の中継でもゲスト解説を務めたのだが、このときはネット上で「ウザい」「試合に集中できない」といった厳しい意見が噴出。それを意識してか、今回の中継では香川のコメント回数は少なく、それでいて熱量のほとばしりはしっかりあって存在感は示す、という見事なゲストぶり。SNSを見ても、前回ほどの拒否反応はないように思えた。

 香川のゲストぶりが成功した理由がもうひとつ。視聴者が香川照之の「好きなものには異常な愛を注ぐ」という姿に慣れ、免疫ができてきた、という点もあるのではないだろうか。

 というのも、5月からの約半年間、熱狂的な人気を誇る『香川照之の昆虫すごいぜ!』(NHK Eテレ)の2回目と3回目が立て続けに放送され、特番の『香川照之の昆虫すごいぜ!特別編~出動!タガメ捜査一課~』も好評。香川の情熱的すぎる昆虫への偏愛は、視聴者に好意的に受け止められた。個性派俳優、という括りで紹介される香川が今年、明らかにブレイクスルーしたわけだ。

 そんな香川が昆虫と同等、それ以上に愛してやまないのがボクシングだ。たとえば、香川は『昆虫すごいぜ!』の番組内で、「本当にやりたい仕事とめぐり会えました」「これが僕の代表作です」と語っているが、実は同様のコメントを、ボクシング関連の話題でも語っていたことがある。

 それは2011年公開の映画『あしたのジョー』で、主人公・矢吹丈のトレーナー・丹下段平役を受けたときのこと。「やっと、ボクシングを仕事で生かすときがきた」「この映画は、僕にとっては映画ではない(中略)ボクシングをどう見せるかというショーに参加したという記憶です」と「映画.com」のインタビューで答えている。

 香川のボクシング解説に関しては、「俳優業の隙間に解説できるほど、ボクシングは甘くない」と辛辣な評価をするネット記事もある。だが、筆者にいわせれば、その評価自体が間違いだ。

 中学生のころからボクシング観戦を始め、以来30余年にわたって情熱を傾けてきたという香川。俳優の仕事が少なかった時代にも、「ボクシングマガジン」(ベースボール・マガジン社)でコラム「香川照之の熱病的思考法」を連載し、フジテレビ以外でもWOWOWなどで世界戦のゲストコメンテーターを務めるなど、ずっとボクシングが仕事であり、心の拠り所でもあった。決して“俳優業の隙間”なんかではないのだ。

 今回、村田諒太という、一般視聴者にとってもわかりやすいアイコンができたボクシング界。一方で、ボクシング人気華やかなりし頃と比べて階級が増え、団体数も増えてしまったため、“強さ”が伝えにくい・わかりにくい競技になった、という声も多い。

 それは今回のタイトルマッチ後、村田自身が「ここにいるボクシングを大好きな人は、僕よりも強いミドル級のチャンピオンがいることも知っています」と語っていたこととも通じる。

 そんな“わかりにくい”競技になってしまったボクシングの人気を再燃させるためには、ボクシングの歴史、選手、逸話、世界との差など、さまざまな側面に関して、わかりやすく、そして熱量込めて伝える存在が必要不可欠。その存在に香川照之こそが適任なのではないだろうか。

 というわけで、フジテレビ様。今こそ、『香川照之のボクシングすごいぜ!』の制作チャンスです。有田哲平がプロレスを語り尽くすことで大きな支持を集めているAmazonプライム番組『有田と週刊プロレスと』のように、鉱脈はきっとあると思うのだが。
(文=オグマナオト)

ミドル級新王者・村田諒太のアメリカ進出に“暗雲”!? フジテレビによる「囲い込み」の動きが……

 ボクシングのテレビ視聴率が突き抜けて高かったことで、フジテレビがWBA世界ミドル級新王者・村田諒太の“囲い込み”をしそうだという話が関係者から聞かれた。

「フジテレビは、これからボクシングには、さらに力を入れるようです。村田の所属である帝拳ジムは、来年アメリカで試合をやると言っていましたが、予定が変更になるかもしれません。フジ側がさらに高い放映権料を出して、ジムを説得するみたいです」(プロボクシングの興行関係者)

 10月22日、各局が選挙の開票速報の特番を放送する中で、主要局では唯一ボクシング中継をやっていたのがフジテレビ。その視聴率はダントツの20.5%(ビデリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録した。選挙速報では、トップだったNHKでも17.1%だったのだから、フジは笑いが止まらないだろう。

 というのも、選挙放送が横並びの中、フジがその流れに背いてボクシング中継の英断をしたわけではなかったからだ。安倍晋三首相が衆議院を解散する前から、この放送は決まっていたもので、当初はフジ関係者から「頭が痛い」という弱気な話も聞かれたほどだった。

 村田はロンドン五輪で金メダリストを獲得し、2013年にプロデビュー。フジテレビと広告代理店の電通が大きくバックアップして世界王座奪取プランを描いてきたが、今年5月の世界初挑戦は、まさかの判定負け。その採点結果に抗議の声が巻き起こり、仕切り直しの再戦となったのが今回の試合だった。

 高視聴率には、追い風もあった。前回5月の視聴率は平均17.8%の高数字。採点問題が持ち上がったことで、より村田の知名度は上がり、今回の試合への注目度も増した。

 両国国技館の興行は当日券も販売できないほどの超満員で盛況となり、結果も村田の圧勝TKOだった。

「もともと村田のボクシング中継は、視聴率が7%程度で低迷していたんですが、世界タイトルマッチになって急上昇。フジはこれまで蒔いた種の収穫とばかりに回収をしたいはず。2~3度の高視聴率で満足するようなことはないでしょう」と前出関係者。

 ただ、村田陣営は次戦こそ来春、日本で行う予定だが、その後はアメリカに進出するとしている。アメリカで試合が開催されると、時差の関係で日本での放送は午前中になってしまい、フジテレビがビジネスを主導することもできなくなってしまう。

「アメリカ行きは、村田本人の希望。世界王座を奪取しても、獲った王座は、その上に『スーパーチャンピオン』もいるWBA王座ですから。世界チャンピオンといっても村田が“世界一”になったわけではないので、村田は上を目指したいんです。過去、WBAのチャンピオンになった亀田興毅や井岡一翔は、その上にスーパーチャンピオンがいるのに放送局のTBSが、それを隠すように伝えてました。でも、村田はリング上で『僕より強いチャンピオンがいる』と明言しています」(同)

 そのWBAミドル級のスーパーチャンピオンは、アメリカを主戦場にするのゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)だが、1試合で数億~十数億単位のファイトマネーを稼ぐ超大物。そう簡単に対戦が実現できるわけでもない。

「そこで、アメリカに行かせたくないフジテレビが日本で防衛戦をやらせようとするはず。できるだけ勝てそうな相手との試合にして、長々と防衛させれば、高視聴率を引っ張れるんです。村田が所属する帝拳ジムでは、WBC世界バンダム級チャンピオン時代の山中慎介がアメリカ行きを希望しても、13度も日本で防衛戦をやらせていましたし」(同)

 村田本人がより強い相手を希望しても、周囲はチャンピオンの延命ビジネスに走ってしまうのか。業界内の過去の例を見ると、過保護路線が多々あるだけに、ちょっと心配ではある。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)