なに出汁なのか、どんなタレなのか、そもそもラーメンだったのか!?
京都……。
名前の響きとしては、雅やかで伝統を受け継ぐ文化の街というイメージが、日本人を含む外国人の頭にさえインプットされている。しかし、こと、グルメとなるとちと違う。

もちろん、京野菜や鱧料理を始めとする、いわゆる「京料理」は有名だが、「古都」のイメージとは大きく異なる超珍級なグルメがあるのもまた、京都の一面なのだ。
北野天満宮近くにある「妖怪通り」は、毎年秋に妖怪仮装行列「一条百鬼夜行」が開催される通りである。仮装行列が先なのか、妖怪が先なのか、近くにあった児童館の職員さんに尋ねると、
「そうねぇ……確か芸能人……女優さんが来て……なんか言うとったな……」
腕組みをして頭を傾げたまま考え込んでしまったので、深い事情があるのだろうと納得して目的の店へ向かうことにした。
その店は、妖怪通りの一番端っこ、その角地にあった。この通りに並ぶ店の多くは、店先に置物に化けた妖怪が待ち構え、お出迎えしてくれるのだが、この店はその数が若干多い。

店内を覗いてみると、お昼時ということもあり、テーブル席は埋まり、小さなカウンターにも1人客が座っていた。その雰囲気は、どこの町にもある古ぼけたラーメン屋という感じなのだが、「妖怪通り」という地域柄、妖怪の絵やグッズが賑やかしになっている。
壁に貼られたメニューも妖怪だらけで、それはそれでけっこうおもしろい。その中にいくつか赤字で書かれたメニューがあるのだが、そのひとつがこの店を訪れた目的、そう、「妖怪ラーメン」なのだ!

壁に貼られた絵にそっくりな三つ目のオヤジに「妖怪ラーメン」を注文すると、オヤジは澄ました顔して「あいよ」的な返事を。
本当は、(おっ、こいつ、妖怪ラーメン食うのか!?)みたいなことを思っているに違いないのだが、あえて表情に出さないのが若干ハラ立つ……。
数分後、ラーメン屋のおばちゃんに化けた女狐が運んで来たのが、黒い丼の黒いラーメンだった。

そう、今日はこれを食べに来たのだ!
パッと見、なんの料理かわからないかもしれないが、ラーメンである。スープが黒くて、そのせいで麺も黒みがかり、紫色っぽく変色している。いったい何を煮込めばこんなに黒いスープができるのか?
トッピングはというと、一応、チャーシューは乗っているのだが、果たして何のチャーシューかは……。そしてきわめつけは、ゆで卵だ。普通は味玉だが、この卵は、真っ黒いピータンなのだった! これだって、何のピータンだか……(笑)。

疑えば疑うほど怪しく見えてくる黒いラーメン。実は、写真を撮ってる時から感じてはいたのだが、丼から立ち上る匂いが……生臭い。きっと、妖怪の香りに違いない。ならばどんな出汁がでているのかと、レンゲですくってひと口ズズズ……。

「くっせ~! イカスミ風味の妖怪汁かぁ~」
匂いといい味といい、イカスミ風だが、たぶん妖怪出汁だろう。ニラやピータンの匂いも混じっているに違いない。
勇気を決して紫色の麺をズズッとすすると、鼻から抜ける香しい妖怪の香り。何だかわからないチャーシューも、本物の豚の味がして美味いのだ。

しかし、問題はコレ。レンゲですくうと、何かの目ん玉に見えてきた。血走ったように見えるのは、パプリカパウダー風の妖怪粉に違いない。思い切ってひとくちで頬張ると、これまたホンモノのピータン風で、けっこう美味だった。

最初は臭かった妖怪の煮汁も、慣れてしまうと後を引き、もうひと口、もうひと口と泥沼に引き込んでいく。そう、まるで、台湾の臭った豆腐のように……。
気がついた時には丼のほとんどを食い尽くしていて、「ああ、これでオイラも妖怪の仲間か…」そう、大きくため息をつくのだった。
妖怪ラーメン、うもうござ……。
北野白梅 いのうえ「妖怪ラーメン」750円
SNS映え ☆☆
味 (゜ロ゜)!!
珍級度 ☆☆☆
(写真・文=よしよし)




















































