ラブホテルという非日常で育った女の“節目”を描いた『ホテルローヤル』

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『ホテルローヤル』/集英社

■今回の官能小説
『ホテルローヤル』(桜木紫乃、集英社)

 「ラブホテル」という場所がある。それがどういう場所なのか知らなかった子どもの頃は、おもちゃのような原色のお城を指差して、「あのお城、なあに?」と、無邪気に両親に訊ねたりしたこともあった。今思い返すと、何ともばつの悪い空気が流れていたことだろう。

 「ラブホテル」とは、ふと冷静に考えると非常に不可思議な場所である。なぜなら、男と女が、ただセックスをするためだけに集結する場所だからだ。不倫カップルがたまの逢瀬をむさぼる部屋もあれば、性欲を満たすだけにホテトル嬢を呼んでいる部屋もある。目的とする行為は1つだけれど、それに至るまでの物語は、壁1枚を隔てて十人十色――それぞれの部屋で、わずか数時間ばかりの、男と女のさまざまなドラマが繰り広げられている。
 
 今回ご紹介する『ホテルローヤル』(集英社)は、北海道の片田舎にあるラブホテルが舞台となる連作短編集である。1年のほとんどが厚い雲で覆われ、寒さから身を守るように人々が身体を寄せ合って生きている――そんな人のぬくもりが人一倍恋しくなるような北海道の片隅に、ひっそりと「ホテルローヤル」は建っている。

ラブホテルという非日常で育った女の“節目”を描いた『ホテルローヤル』

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『ホテルローヤル』/集英社

■今回の官能小説
『ホテルローヤル』(桜木紫乃、集英社)

 「ラブホテル」という場所がある。それがどういう場所なのか知らなかった子どもの頃は、おもちゃのような原色のお城を指差して、「あのお城、なあに?」と、無邪気に両親に訊ねたりしたこともあった。今思い返すと、何ともばつの悪い空気が流れていたことだろう。

 「ラブホテル」とは、ふと冷静に考えると非常に不可思議な場所である。なぜなら、男と女が、ただセックスをするためだけに集結する場所だからだ。不倫カップルがたまの逢瀬をむさぼる部屋もあれば、性欲を満たすだけにホテトル嬢を呼んでいる部屋もある。目的とする行為は1つだけれど、それに至るまでの物語は、壁1枚を隔てて十人十色――それぞれの部屋で、わずか数時間ばかりの、男と女のさまざまなドラマが繰り広げられている。
 
 今回ご紹介する『ホテルローヤル』(集英社)は、北海道の片田舎にあるラブホテルが舞台となる連作短編集である。1年のほとんどが厚い雲で覆われ、寒さから身を守るように人々が身体を寄せ合って生きている――そんな人のぬくもりが人一倍恋しくなるような北海道の片隅に、ひっそりと「ホテルローヤル」は建っている。