能年玲奈実写化で話題の『ホットロード』、ホンマモンの暴走族はこう読んだ! 

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『ホットロード』(集英社)

 ドラマ『あまちゃん』(NHK)のヒロイン・能年玲奈主演の実写映画化が話題となっている『ホットロード』(集英社)。少女漫画ながら80年代の暴走族文化をも描き、当時は女子高生からガテン系の兄ちゃんにまで幅広く読まれていた作品だ。

 昭和47年生まれの筆者は、主人公の春山と同い年の時に漫画『ホットロード』と出会っている。世間一般では、その時代に『ホットロード』を夢中で読んだアラフォーを「ホットロード世代」と呼ぶらしい。そこで本レポートでは、関東の元暴走族で昭和47年~49年までに生まれた3世代を狭義の『ホットロード世代』として、この漫画をリアルタイムにどう読んでいたのかコメントを集めてみた。余談だが、この年の生まれは、ちょうど男の「後厄・本厄・前厄」に当たることを断っておきたい。

暴走族でも不良でもなかった人が、『ホットロード』を懐かしんでしまう理由

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『ホットロード(1)』/集英社

とおーいとおーい昔に、大好きだった少女マンガのことを覚えていますか。知らず知らずのうちに、あの頃の少女マンガが、大人になった私たちの価値観や行動に、影響を与えていることもあるのです。あの頃の少女たちと今の私たちはどうつながっているのか? 少女マンガを研究する慶應義塾大学の大串尚代先生と読み解いてみましょう!

<今回取り上げる作品>
紡木たく『ホットロード』/『別冊マーガレット』(集英社)連載、1986年~1987年

「この道をたどって どこまでも いけるとおもっていた こわくなかった あなたとふたりなら」

 ……とかなんとか、ありもしなかった過去へのノスタルジーにかられて、超ヘボいモノローグで語りたくなってしまうそんな夜。なぜ? なぜこんな気持ちになるの……。それはもちろん、紡木たくの『ホットロード』(集英社)を読んだからなのでした。
 
 『ホットロード』の舞台は湘南。中学2年生、14歳の少女・宮市和希が、友達と万引きをしてお店の人に叱られているところから始まります。ほかの友達は親が迎えに来るのに、和希の母親は仕事を理由に迎えに来ず(父親とは死別)、代わりに担任の先生が警察に現れ、和希を気づかいます。「寂しい」と言えない和希と、娘にどう接していいかわからない母親。母親との間に埋められない溝が少しずつ深まっていくうちに、和希はたまたま友達に誘われ、とある「集会」に参加します。そう、いわゆる族(暴走族)の集会です。そこで和希は、MAD SPECIAL THE NIGHTS横浜本部の頭(ヘッド)の玉見トオル、トオルの彼女の宏子、そしてハルヤマ(春山洋志)に出会うのでした。和希はしだいに家に戻らなくなり、学校にも行かなくなり、ただ「走る」という行為に文字通り命をかけるハルヤマを見守ります。トオルの後を継いでNIGHTSの新たなヘッドになったハルヤマは、ほかの暴走族グループから目をつけられ、争いの日々へと突入してゆくのです。