知人ホストから現金3万円を脅し取ろうとして逮捕された、AV女優のANRIこと坂口杏里。彼女の「ベッド写真をバラまく」という脅し文句は普通、男性側が使いそうな言葉だが、歌舞伎町で長期間ナンバーワンを務めていた元ホストのT氏は、「客から受ける脅迫トラブルはよくある」と話す。実際に起こったトラブルをT氏に聞いた。
■肉体関係を迫る客がストーカー化
「吉原で働いていたお客さんに、色恋営業をかけて店に呼んでいたんです。色恋営業といっても、セックスなしの『ヤラず色恋』というやつです。その客は、店に来ると必ず『いつ抱いてくれるの?』とか『1回でいいからホテルに行こう』と誘ってきましたが、枕目的の客はネット掲示板で客に枕したとバラされるリスクが高いので、一度も抱くことはなかったです」
その客を「ヤラず色恋」で1年ほど引っ張っていたT氏だが、ある日、妙な違和感を抱いたという。
「そのお客さんがベロベロに酔っ払った日があって、突然言われたんです。『Tくんの部屋って、カーテン青色だよね?』と。当時住んでいた部屋のカーテンは確かに青色。『なんで知ってるんだ?』と一瞬思いましたが、僕も酔ってたので適当に流したんです」
その出来事をすっかり忘れ、後日、T氏は引っ越しすることになった。
「引っ越しの翌日、それまで歩いて帰っていた家から少し遠くになったので、タクシーで家に向かってました。すると、僕が乗っているタクシーの後を、別のタクシーがついてきたんです。偶然かなと思いましたが、次の日、店に来た例のお客さんに言われたんです。『昨日、どうしてタクシーで帰ったの?』って……。それを聞いた瞬間、『ヤバイ!』と思いました」
身の危険を感じたT氏は、すぐにその客を出入り禁止(出禁)にすることを決めたという。
「出禁にしたんですが、店の前で待ち伏せ、さらに家の前でも待ち伏せされ、せっかく引っ越したのに家にも帰れなくなり、店の寮に寝泊まりするようになりました。彼女には『もう、これっきりにしてくれ』とメールで伝えましたが、話を聞いてくれず、『私を切るつもり?』『切る前に1回だけ抱いてほしい』『抱いてくれないなら、これからも付きまとう』と、ストーカー宣言されました。それだけは拒み続け、結局それから1年以上付きまとわれましたね。最終的には、彼女に別の彼氏(ホスト)ができて、離れてくれましたけど……」
このように肉体関係を求められて脅迫されるケースは珍しいが、「売掛金(ツケ)によるトラブルは非常に多い」とT氏は語る。
「『ホストに無理やり、高額なボトルを入れさせられたと、警察や弁護士に相談する』と脅し、売掛金を飛ぼうとする(払わずに済まそうとする)客の話はよく聞きます。『相談する』という脅しだけなら、まだなだめられますが、もし本当に飛ばれたら、自腹で払わなければなりません。大手のグループだと、専属の弁護士が付いている店もあるのですが、それ以外の店では、自分で解決しなければいけません。なのでホストによっては、客の働いている店(風俗店など)のHPの写真を保存したり、水商売や風俗の専属スカウトマンから客の個人情報を聞き出したりと、トラブルに備えて客情報を徹底的に管理している人もいますね」
坂口のように少額の脅迫ならば、ホスト自身で解決できそうな印象もあるが、なぜ、逮捕にまで至ったのだろうか?
「坂口は3日で釈放されたとのことです。臆測ですが、脅迫されたホストは大手グループのナンバーワンといううわさなので、弁護士を使って、被害届を取り下げる代わりに示談にしたのではないですかね」
つまり、T氏の見解通りなら、脅迫されたホストは坂口の裏をかいて示談金をもらったということになる。とすれば、ホスト側が得したといえるのかもしれない。
脅迫が刑法に触れることは、一般的に考えればわかるはずだが、その感覚を麻痺させてしまうのは、ホストにハマった女の狂気なのか、それとも歌舞伎町という街の魔力なのか……。
(カワノアユミ)
