フジ月9『絶対零度』初回10.6%! 本田翼の演技が酷評、一方「見応えある」と絶賛されたシーンは?

 沢村一樹が主演を務める月9ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)の初回が1月6日に放送され、平均視聴率10.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。ギリギリ2ケタ発進となった中、ネット上では、メインキャスト・本田翼の演技について「いつまでたっても上達しないな」「アクションはカッコいい」と賛否が分かれている。

 同作は、2010年に連続ドラマとして上戸彩主演で放送された『絶対零度』シリーズの4作目。18年の3作目からは、沢村が主演を引き継いでいる。

「前作同様、沢村演じるリーダー・井沢範人を中心に、未然に犯罪を防ぐ『未然犯罪捜査班(通称:ミハン)』の活躍を描く内容となっていますが、前作まで物語の鍵を握っていた上戸演じる捜査官・桜木泉の出演はないようです。今回は新たなミハンチームが作られ、前作の山内徹(関ジャニ∞・横山裕)、小田切唯(本田)に加え、キャリア研修中の吉岡拓海(森永悠希)、世界的ハッカーの加賀美聡介(柄本明)が新メンバーとして迎えられました。そして、水野美紀演じるミハン統括責任者の香坂朱里も新キャラクターとして加わっています」(芸能ライター)

 そんな同作だが、ネット上では初回から、本田の演技に批判の声が集まっている。

「本田は、重要な役どころを担っているのですが、『本田ってなんでこんなにヘタなのに、ドラマにたくさん出演できるの?』との声が相次いでいます。ただ、一方で『アクションシーンはカッコいい』『アクションは見応えがある』との声も見受けられ、評価は賛否分かれているようです」(同)

 また、ストーリーについても苦言が上がっているという。初回のエンディング間際には、血のついたピストルを握って立ち尽くす井沢、その横で血を流して倒れている香坂、さらに2人を発見して茫然とする小田切という三者の姿が映し出されるシーンがあった。これは、ドラマ本編で描かれる「73日後」に起こる事件であると劇中で示唆されており、今シーズンは、この出来事の真相が暴かれる過程が描かれるようだ。

「これについて、ネット上では『わかりづらい……』といった苦言も散見されます。『絶対零度』は、前作ですでに話が完結していることから、『話の設定に無理があるのでは?』との指摘も見られますね。フジテレビとしては、安定した視聴率を稼いでくれる作品だけに、どうしても続編を制作したかったというところでしょうが」(同)

 ここからどう話を盛り上げていくのか、今後の展開に期待したいところだ。

木村拓哉、『教場』称賛も……明石家さんま“サプライズ出演”に「興醒め」「台無し」批判

 木村拓哉が主演を務めたスペシャルドラマ『フジテレビ開局60周年特別企画 教場』が2夜連続で放送され、1月4日の前編は15.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)、5日の後編も15.0%と高視聴率を記録。「映画レベルの重厚感があって面白かった」「キムタクの迫力がスゴくて、思っていた以上に良いドラマだった」と好意的な感想が多く上がっている中、“サプライズ出演”を果たした明石家さんまに批判が続出しているという。

 同ドラマはベストセラーとなった長岡弘樹氏の『教場』(小学館)シリーズが原作の大作エンターテインメント・ミステリー。警察学校を舞台に、木村は冷徹なカリスマ教官・風間公親を熱演。三浦翔平、工藤阿須加、川口春奈、林遣都、葵わかな、大島優子、関西ジャニーズJr.・なにわ男子の西畑大吾ら豪華キャストが顔を揃えたほか、義眼や白髪姿を含めてこれまでの木村にはないビジュアルの役柄が注目を集めていた。

「ドラマの放送を記念し、昨年12月からは、さんまと木村がダブル主演した2002年のドラマ『空から降る一億の星』を一挙オンエアーするなど、フジは『教場』の宣伝にかなり力を入れていた印象です。また、木村は年明け1月3日放送の『VS嵐2020 賀正 新春豪華3時間スペシャル』に番宣でゲスト出演し、同番組の後には木村主演映画『マスカレード・ホテル』(19年1月公開)も地上波で初放送されました。その結果、2日連続の『教場』はともに15%台をマークし、フジや主演の木村もホッと胸をなでおろしていることでしょう。視聴者の間でも評判が良く、続編を期待する声が上がっています」(ジャニーズに詳しい記者)

 そんな中、最も視聴者が落胆していた演出は、後編の終盤でさんまが登場したシーンだ。さんまは胸元に「神奈川県警察 POLICE」と刻印された制服に身を包み、警官役で同作に参加。警察学校を退校し、実家の旅館を継いだ枝元祐奈(富田望生)が女将として奮闘する様子を描いた場面で、「だいぶ板についてきたなぁ」(警官)「いえ、まだまだです」(枝元)「かまぼこ超えたで。小田原だけに。最初の頃は硬かったからやなぁ。笑顔もさまになって。ちょっと笑ってみ」(警官)「もう笑ってます」(枝元)「それ笑ってんの? あぁ、そうか。じゃあ、また」(警官)といったセリフのやりとりがあった。

 多くの視聴者にとって予想外のキャストだった上に、ドラマ出演者の俳優・和田正人も寝耳に水だったのようで、「さんまさんーーーーーっ!!し、知らなかった。昨年末の #空から降る一億の星 再放送にはこんなフリがあったのか」とTwitterに投稿。木村ファンや一般の視聴者からは、「最後のさんまさんは蛇足。フジの悪いところが最後に出た」「最後のさんまさんで台なし。世界観をぶっ壊されてしまった感が否めず、残念」「さんまさんがいるとコントっぽくなっちゃうから、いらなかった」「さんまはなんで出したんだろう。あれ、演技と言えない。頑張った生徒たちに失礼」という声がネット上に上がっている。

 木村とさんまといえば、プライベートでも親交のある間柄で、毎年1月1日の放送が恒例の特番『さんたく』(同)でもタッグを組んでいる。そうした関係の上で、さんまは『教場』に出たようだが、「木村くんとさんまさんをセットにするのはもうやめたら? 結構シラける」「木村さんと仲いいから出たんだろうけど、そこだけ残念」「木村さんがいい演技してるから、さんまは完全に邪魔。あの演出いらないし、興醒め」と、否定的なコメントも見られる。

 わずかに「枝元役の富田望生さんとさんまさんのシーン、とっても温かかった」といった好反応が見受けられたものの、ドラマの公式Twitterアカウントに対しても、「さんまさんの出演は残念でした」「正直言って最後のさんまさんで冷めました」「素晴らしい作品だと思ったからこそ、さんまさんが出た時のガッカリ感……」と、批判的なメッセージが寄せられている。

「さんまは木村主演映画『マスカレード・ホテル』の撮影中に自ら出演を志願し、エキストラとして参加しています。今回の『教場』も一瞬の後ろ姿などが映り込む程度で、セリフがなければもう少し非難の声は少なかったのかもしれませんね。ちなみに、今年元日の『さんタク』にて、さんまは『「教場」っていうドラマ、(放送)いつやったっけ、あれ? 4日・5日。忙しい中、ロケ行って。ほんっとに俺、忙しい……』と、口走っていたんです。以降のトークは音楽でかき消され、『やっぱりしゃべっちゃった明石家さんま』とのテロップが。物語の展開に関わるためか、木村はスタッフに『言っちゃってたけど、あそこ全部切って(カットして)ね。言っちゃいけないこと、全部今言ってるから』と、呼びかけていました。ドラマを見た木村ファンからは『トークが全カットだったわけがよくわかった』と、納得の声が出ています」(同)

 一体どういう経緯でさんまが“友情出演”する流れになったのか、あらためて裏話を聞ける機会に期待したい。

『ザ・ノンフィクション』思い出がもたらす生きる力「父を殺した母へ あれからの日々~無理心中から17年目の旅~」

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。12月22日の放送は「父を殺した母へ あれからの日々~無理心中から17年目の旅~」。同作は北米最大級のメディアコンクール「ニューヨーク・フェスティバル2019」のドキュメンタリー・人物・伝記部門で銅賞を受賞。今回の『ザ・ノンフィクション』では受賞作品を再編集した「特別編」が放送された。

あらすじ

 前田勝は台湾人の父と韓国人の母、ヒュンスクとの間に生まれる。両親の離婚の後、母が日本に出稼ぎに行ったことから、韓国で親戚の間をたらい回しにされ幼少期を過ごす。その後、父と台湾で暮らすが13歳の時に母の再婚に伴い呼びよせられる形で、日本で暮らし始める。しかし勝が高校を卒業した直後、浮気をしていた勝の継父をヒュンスクは撲殺し直後に投身自殺、無理心中を図る。勝は喪失感の中、大学を中退。仕事を転々とし、現在はアルバイトをしながら自分の母親の事件をテーマとした舞台に、勝が「自分役」として出演している。

自分を棄てた母親を憎んでいた勝だったが、韓国の親戚、台湾にいる実父に会い、母の思い出を話すことで前向きに生きる力を取り戻していく。

「里帰り」の効能とは

 勝の母、ヒュンスクはきっと「とんでもなくパワフル」な人だったのだろうと思う。勝の実父や、韓国の親戚たちが「男っぽい」「情熱的」と懐かしんだヒュンスクの性格は、近くにいたら疲れる人ともいえそうだ。心中事件を起こし子どもの心に傷を植え付けないわけがない。離婚という選択肢もある中で、自分の憎しみを優先させたヒュンスクはとても自分勝手な人だと思う。

 番組は、勝がヒュンスクから自分が愛されていた事実を知り、生きる力を取り戻していく、という構成になっていたものの、一視聴者の私の心には、ヒュンスクの勝手さは、引っかかり続けた。ヒュンスクが勝を韓国に置いて日本に出稼ぎしていたのは、勝の大学進学を願っていたから、とあったが、「勝が大学に進学したい」ではなく「勝を大学に進学させたい」というヒュンスクの希望だ。置き去りにされ、親戚間でたらい回しにされた勝の韓国の幼年時代は、いまだ暗い影を落としている。ヒュンスクの愛情は自分本位だったように思えてならない。

 また、ヒュンスクだけでなく、韓国のヒュンスクの親戚も台湾の父親にも違和感を覚えた。幼少期の勝をないがしろにした親戚は、会いに来た勝に「許してほしい」と酒席の一言だけで、過去を水に流そうとしていた。父親は、ヒュンスクが亡くなってからも勝に連絡することはなく、勝が会いに行った際には、「ヒュンスクが夢の中で自分に会いに来てくれた」という話を最後に通訳へ残して去った。通訳ナシでも会話ができる2人なのに、通訳をわざわざ介して伝えるのは、なぜだろうか。「ちょっといい話」を、もったいぶった素振りで披露し、それで話をまとめようとしているように見えた。

 しかし何より勝自身が、自分の縁者に会うことで生きていく力が得られたのならば、これでよかったのだとも思う。事件以降、勝は心中事件を舞台にし、勝が自分役で出演するといった大胆な公開を続ける一方で、韓国にも台湾にも「帰省」をしていなかった。自分の心の中でだけ“発酵”してきて、舞台で演じても演じても消化しきれないどころか、かえって膨らむどうしようもない母への思いを、里帰りをして、親類縁者の話を聞き、かつて過ごした町を見ることでガス抜きができ、それで前に進む力を得たのではないかと思えた。

 勝にとって、親類縁者に会うことだけでなく「かつて自分の暮らした町や家を見ること」自体が果たした役割も大きいように思う。勝は台湾でかつて暮らした家を探すとき、途中まではスマホの地図アプリを頼って半信半疑で町を歩いていたものの、一つ道を曲がって、見覚えのある道や果物屋が見えた途端、表情がぱっと明るくなった。幼少期を過ごした韓国の家も、外壁は変わっていたものの記憶がよみがえり、近くの海で遊んだことも次々に思い出していて、その表情も明るかった。「親族をたらい回しにされ、ないがしろにされた韓国時代」も事実だったのだろうが、それ以外の幸福な記憶もよみがえったことで、過去の色合いが変わったのだろう。

 私は引っ越しが好きだ。引っ越し魔といえるほど転々としているが、それで得られる財産というと、思い出のある町がたくさんできたことだ。旅行した町を再訪し「前にもこの道を通った、この電車に乗った」と思い出すことはうれしいもので、それがかつて住んでいた町となると格別だ。当時よく行っていたスーパーやファストフード店が相変わらずそこにあることだけでうれしくなり、気分が上がるのだ。勝ほど壮絶な過去がなくても、思い出は、思いがけないほどに自分を支えている。

“爆死俳優”の汚名返上できず!? フジテレビ「月9枠」にディーン・フジオカ起用で大惨敗

「だから、言わんこっちゃない!」といったところか……。

 フジテレビは今クール、看板ドラマ枠“月9”で放送した連続ドラマ『シャーロック』の主演に、業界内では“爆死俳優”とも称されるディーン・フジオカを起用したが、またしても視聴率は振るわなかった。

 初回は、原作である『シャーロック・ホームズ』の人気もあってか12.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・以下同)と好発進したが、第2話で9.3%と急降下。第3話で9.9%、第4話で10.6%と戻したが、第5話以降は8~9%台が続き、最終回(第11話)も9.8%どまりだった。全話平均は9.9%で、2ケタに乗せることはできなかった。

 かつて、我が世の春を謳歌した同枠ドラマだが、近年低迷し、どんな作品をオンエアしても視聴率は長らく1ケタ台が続いた。一時は枠自体の廃止すら取りざたされたようだが、昨年7月期『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(沢村一樹主演)が平均10.6%をマークして、1年ぶりに2ケタ台をマークすると、流れが変わった。

 同10月期『SUITS/スーツ』(織田裕二主演)は10.8%、1月期『トレース~科捜研の男~』(関ジャニ∞=当時=錦戸亮主演)が10.8%、4月期『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(窪田正孝主演)が12.2%、7月期『監察医 朝顔』(上野樹里主演)が12.6%と5クール連続で10%を突破した。しかも前クールの『監察医』は11話すべてで2ケタを記録する完ぺきさで、看板枠の“復活”を印象付けていたものだ。

 ところが、ここに来て、ディーンの『シャーロック』が1ケタ台に沈んで、連続2ケタ記録も5クールでストップし、せっかくのいい流れに完全に水を差してしまった。

 ディーンは2015年後期のNHK連続テレビ小説『あさが来た』(波瑠主演)で五代友厚役を演じ、“五代様”と呼ばれて、女性層を中心にブレークを果たした。

 だが、その後に主演したドラマは、『今からあなたを脅迫します』(日本テレビ系、武井咲とのダブル主演、17年10月期)が6.2%、『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-』(フジ系、昨年4月期)が6.2%と、いずれも壮絶な爆死に終わっている。

 1月6日に放送されたスペシャルドラマ『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』(同、井浦新とのダブル主演)も、7.0%と大コケしており、主演ドラマがどれも惨敗続きで、いつしか“爆死俳優”と称されるようになってしまった。

「フジでは、ディーンの所属事務所アミューズに気を遣ってか、『モンテ・クリスト伯』のリベンジをさせたかったんでしょうが、だったら“木10”枠でよかったはず。好調の“月9”枠なら、ディーンでも数字を獲れるのではないかと思って、主演させたのでしょうが、やはり無理がありました。これはもうフジの采配ミスですよ」(スポーツ紙記者)

 ディーンによって、せっかくのいい流れを寸断されてしまった“月9”枠。来年1月期には、『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』の続編を1年半ぶりに放送する。もともと『絶対零度』シリーズは上戸彩が主演で、シーズン1(10年4月期)は14.4%、シーズン2(11年7月期)は13.1%の高視聴率をマークした。ところが前作(シーズン3)では主演が沢村にすり替わり、上戸は“特別出演”の形になって、ファンのひんしゅくを買っていた。次期シリーズでは上戸の出演自体がないため、苦戦する可能性もありそうだ。

 2クール連続で1ケタ台に終わるようなことがあれば、復活していた“月9”は再び暗闇に入ってしまいかねない。その意味で、好調ぶりにストップをかけたディーンの責任は重いといえるだろう。

『ザ・ノンフィクション』同い年の女性と結婚したくない中年男性の“無自覚”『結婚したい男と女 ~婚活クルーズ それから~』

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。12月15日の放送は「結婚したい男と女 ~婚活クルーズ それから~」。結婚相談所「ノッツェ」が開催する婚活クルーズは、『ザ・ノンフィクション』の人気シリーズの一つだ。今回は、中年男性二人の奮闘や、前回参加者のその後を追う。

前回の「婚活クルーズ」記事はこちら

あらすじ

 今回の主人公は男性二人。一人は秋本智仁、43歳。 不動産屋のアルバイトをしつつお笑い芸人として活動を続けている。かつて彼女と同棲していたものの、自身の収入面の不安から結婚には踏み切れなかった。周囲も結婚しだし、寂しさから婚活クルーズへの参加を決意する。

 二人目の主人公は村瀬裕二、51歳。 地元の工場に30年勤務する、手堅い「いい人」だが、40歳をすぎて真剣に婚活を始めたところ、交際相手の親に反対されるといった壁が立ちふさがった。婚活クルーズへの参加は4回目となるベテランで、本人も「背水の陣」と語る。二人とも紆余曲折の末、告白した女性から「お友達から」ながらもカップル成立となる。

男40歳「そろそろ結婚しようかな、28歳の女の子と」

 主人公・智仁、裕二のほかに、今回はもうひとりの男性が登場した。過去に同クルーズへ参加した舞台役者・賢茂エイジ、45歳だ 。この三人の結婚観には共通点がある。そしてそれは、都市部で暮らす男性にとってスタンダードなものにも思える。

 その結婚観とは、かなり底意地の悪い感じで言ってしまうと、「30代は気楽に自由に生きたいし、結婚なんて考えられなかったけど、40歳になったし、人目も気になるし寂しくなってきたから、そろそろ結婚したい。28歳の女の子と」となる。というのも、三人とも、自分と同い年の女性は眼中にないらしく、告白相手の年齢は自身よりかなり年下だった(裕二のお相手女性の年齢は表示されていなかったが、見た限りは裕二よりかなり若いように見えた)。

 断っておくが、この三人の男性たちは悪人ではなく感じはいい。番組を見る限り、参加していた中高年の女性参加者に対して差別的な反応をしていたわけでは決してない。なのだが、「自分と同世代の女性」は選択肢としてそもそもすっぽり抜けている、視界にハナから入っていない感じがする。

 この婚活クルーズは女性側の費用は1万円 ほどだが、男性側の費用は16.8万円から。 「高い金払ったんだから若い子に行かせてよ」という気持ちは重々理解できる。だが、若い女性とて、中高年男性と付き合うならば、自分の若さを差し出す分の見返りがほしいところだろう。

 今回ナレーションを務めたのは、女優の剛力彩芽。その元カレ・前澤友作氏は以前、紗栄子とも付き合っていたが、前澤氏は資産家であるため「金=女性の若さと美しさ」という等価交換が成り立っているように思う。しかし、金があるわけでもない中高年男性は、自分の何が等価交換できると思っているのだろう。まさか、「大人の人間性で勝負」とでも思っているのだろうか。

 繰り返しになるが、今回の主人公二人もエイジも皆悪い人ではない。そんな「普通の男性」とて「同い年の女性はそもそも視界に入らない」という無自覚な高望みがある。おじさんである自分を棚に上げていて、さらに、そのことに気がついていない。これは非婚社会が進むなと思った。

 過去に同クルーズに参加し、カップルが成立した人々も今回登場した。このクルーズで披露宴を挙げたのだ。そこには前回のクルーズで、通常は男性による告白タイム中に、あえて女性側から「初日からいろいろな話をして将来のことも話した。これからも歩んでいけたら」「結婚を前提にお付き合いさせていただきたい」と力強く告白し、見事カップル成就となったサヨの姿もあった。

 しかしカップルが成立しても、その後成婚に至らないカップルも当然いる。年下の女性とのカップルが成立したエイジは、その後、舞い上がってしまったのだろうか。彼女から、LINEで「一回り年下に浮かれてないで、芸磨くなり、働くなり、営業するなりしてください。一生懸命さがいいなと思ったのに」 と手厳しい指摘を受け、そのまま振られる形で終わってしまっていた。

 エイジや、そして智仁のクルーズ参加理由は「年も年だし、寂しいし……」といった、自分の都合によるものだ。サヨの「これからも歩んでいけたら」という、この人と二人でやっていこうという意志を見ていてあまり感じなかった。

 一方、裕二は結婚したいという強い意志を感じる。しかし、クルーズ中に疲れたのか酔っ払ったのか、椅子にぐったりと腰掛けている姿は“終電で寝過ごし高尾駅まで行ってしまったサラリーマン”といった趣で、旅をしながら一日中一緒に過ごすという体力勝負のクルーズは、51歳にはそもそも合っていない気がした。普通のお見合いではなく、クルーズを選ぶというセンスがズレているように思う。

 裕二のズレはそれだけでない。告白時に男性は女性にプレゼントを用意するが、ほかの人がぬいぐるみなど手頃なものを選んでいる中、裕二は6万円のダイヤのネックレスを持参し、「それは重すぎる」とスタッフに止められていた。裕二のような「いい人なんだけど……」タイプは、こうした“ズレ”を醸していることが多い。やる気はあるのに、方向がズレているのだ。智仁も裕二もカップル成立となったとはいえ、先行きは大丈夫だろうかと他人事ながら心配だ。

『ザ・ノンフィクション』同い年の女性と結婚したくない中年男性の“無自覚”『結婚したい男と女 ~婚活クルーズ それから~』

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。12月15日の放送は「結婚したい男と女 ~婚活クルーズ それから~」。結婚相談所「ノッツェ」が開催する婚活クルーズは、『ザ・ノンフィクション』の人気シリーズの一つだ。今回は、中年男性二人の奮闘や、前回参加者のその後を追う。

前回の「婚活クルーズ」記事はこちら

あらすじ

 今回の主人公は男性二人。一人は秋本智仁、43歳。 不動産屋のアルバイトをしつつお笑い芸人として活動を続けている。かつて彼女と同棲していたものの、自身の収入面の不安から結婚には踏み切れなかった。周囲も結婚しだし、寂しさから婚活クルーズへの参加を決意する。

 二人目の主人公は村瀬裕二、51歳。 地元の工場に30年勤務する、手堅い「いい人」だが、40歳をすぎて真剣に婚活を始めたところ、交際相手の親に反対されるといった壁が立ちふさがった。婚活クルーズへの参加は4回目となるベテランで、本人も「背水の陣」と語る。二人とも紆余曲折の末、告白した女性から「お友達から」ながらもカップル成立となる。

男40歳「そろそろ結婚しようかな、28歳の女の子と」

 主人公・智仁、裕二のほかに、今回はもうひとりの男性が登場した。過去に同クルーズへ参加した舞台役者・賢茂エイジ、45歳だ 。この三人の結婚観には共通点がある。そしてそれは、都市部で暮らす男性にとってスタンダードなものにも思える。

 その結婚観とは、かなり底意地の悪い感じで言ってしまうと、「30代は気楽に自由に生きたいし、結婚なんて考えられなかったけど、40歳になったし、人目も気になるし寂しくなってきたから、そろそろ結婚したい。28歳の女の子と」となる。というのも、三人とも、自分と同い年の女性は眼中にないらしく、告白相手の年齢は自身よりかなり年下だった(裕二のお相手女性の年齢は表示されていなかったが、見た限りは裕二よりかなり若いように見えた)。

 断っておくが、この三人の男性たちは悪人ではなく感じはいい。番組を見る限り、参加していた中高年の女性参加者に対して差別的な反応をしていたわけでは決してない。なのだが、「自分と同世代の女性」は選択肢としてそもそもすっぽり抜けている、視界にハナから入っていない感じがする。

 この婚活クルーズは女性側の費用は1万円 ほどだが、男性側の費用は16.8万円から。 「高い金払ったんだから若い子に行かせてよ」という気持ちは重々理解できる。だが、若い女性とて、中高年男性と付き合うならば、自分の若さを差し出す分の見返りがほしいところだろう。

 今回ナレーションを務めたのは、女優の剛力彩芽。その元カレ・前澤友作氏は以前、紗栄子とも付き合っていたが、前澤氏は資産家であるため「金=女性の若さと美しさ」という等価交換が成り立っているように思う。しかし、金があるわけでもない中高年男性は、自分の何が等価交換できると思っているのだろう。まさか、「大人の人間性で勝負」とでも思っているのだろうか。

 繰り返しになるが、今回の主人公二人もエイジも皆悪い人ではない。そんな「普通の男性」とて「同い年の女性はそもそも視界に入らない」という無自覚な高望みがある。おじさんである自分を棚に上げていて、さらに、そのことに気がついていない。これは非婚社会が進むなと思った。

 過去に同クルーズに参加し、カップルが成立した人々も今回登場した。このクルーズで披露宴を挙げたのだ。そこには前回のクルーズで、通常は男性による告白タイム中に、あえて女性側から「初日からいろいろな話をして将来のことも話した。これからも歩んでいけたら」「結婚を前提にお付き合いさせていただきたい」と力強く告白し、見事カップル成就となったサヨの姿もあった。

 しかしカップルが成立しても、その後成婚に至らないカップルも当然いる。年下の女性とのカップルが成立したエイジは、その後、舞い上がってしまったのだろうか。彼女から、LINEで「一回り年下に浮かれてないで、芸磨くなり、働くなり、営業するなりしてください。一生懸命さがいいなと思ったのに」 と手厳しい指摘を受け、そのまま振られる形で終わってしまっていた。

 エイジや、そして智仁のクルーズ参加理由は「年も年だし、寂しいし……」といった、自分の都合によるものだ。サヨの「これからも歩んでいけたら」という、この人と二人でやっていこうという意志を見ていてあまり感じなかった。

 一方、裕二は結婚したいという強い意志を感じる。しかし、クルーズ中に疲れたのか酔っ払ったのか、椅子にぐったりと腰掛けている姿は“終電で寝過ごし高尾駅まで行ってしまったサラリーマン”といった趣で、旅をしながら一日中一緒に過ごすという体力勝負のクルーズは、51歳にはそもそも合っていない気がした。普通のお見合いではなく、クルーズを選ぶというセンスがズレているように思う。

 裕二のズレはそれだけでない。告白時に男性は女性にプレゼントを用意するが、ほかの人がぬいぐるみなど手頃なものを選んでいる中、裕二は6万円のダイヤのネックレスを持参し、「それは重すぎる」とスタッフに止められていた。裕二のような「いい人なんだけど……」タイプは、こうした“ズレ”を醸していることが多い。やる気はあるのに、方向がズレているのだ。智仁も裕二もカップル成立となったとはいえ、先行きは大丈夫だろうかと他人事ながら心配だ。

フジ『グッディ!』、梅宮辰夫さんの“病院中継”に「軽蔑する」「クソすぎ」と苦言相次ぐ

 12月12日放送の『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ系)は、同日朝に亡くなった俳優・梅宮辰夫さんの訃報を取り上げた。しかし、番組の“独自取材”として梅宮さんが搬送された病院前から中継を行ったことで、ネット上には「視聴率のことしか考えてないだろう」と苦言が相次いでいる。

「梅宮さんは昨年9月に前立腺がん、今年1月に尿管がんの手術を受けるなどし、その後は人工透析を受けていましたが、12月12日朝に自宅で容体が急変。病院に搬送されるも、慢性腎不全で死去しました。この日の各局情報番組でも大きく取り上げられ、『グッディ!』も、梅宮さんの人生を振り返るなど特集を組んでいたのですが、その中で『独自 緊急搬送の一部始終』と題し、梅宮さんが搬送された病院前から生中継したことに、ネットユーザーから批判が噴出しています」(芸能ライター)

 中継では「梅宮さんは、午前6時過ぎにこちらの病院に搬送され、死亡が確認された後、午前9時前にはご遺体は別の場所へと移された」などと伝えたほか、“独自”と強調した上で、搬送にも立ち会ったという「梅宮さんと親しくしていた地元の方」にも取材。容体急変時の梅宮さんが「ソファでパジャマ姿」「呼びかけても反応しない状況」だったことや、梅宮さんの妻・クラウディアさんが「取り乱して『パパ、パパ』と叫んでいた」といった情報も明かした。

「現場のキャスターは『病院の関係者の方にお話をうかがい、許可を得て中継をさせていただいております』と前置きしていたものの、ネット上には『独自取材のために遺族の気持ちは無視ですか』『こんな時に病院に押しかけるなよ。人の死を何だと思ってるんだ?』『視聴率のことしか考えてなさそう。軽蔑する』といったコメントが続出。『せめて亡くなったその日くらい、そっとしてあげてほしかった』という意見もありました」(同)

 このところ、立て続けに情報番組の“報道姿勢”が問題視されている。11月24日に元KARAのク・ハラさんが韓国の自宅で亡くなったというニュースをめぐっては、同27日放送の『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)が現場の自宅前から生中継を行い、住所や表札なども映したことで、大バッシングを受けた。

「これについてはニュースサイト『FRIDAYデジタル』が、『ミヤネ屋』に1,000件以上のクレームが届いたということを報じたばかり。ネットユーザーからは『「ミヤネ屋」も「グッディ」も、どっちもクソすぎ』『両方とも、どう考えたって非常識な行為なのに、独自取材のほうが大事なんだろうな』といった呆れた声も聞こえてきます」(同)

 梅宮さんの娘でタレントの梅宮アンナは、12日夜に更新したブログで「今は、きちんとした言葉が見つかりません」「少し時間が必要」などとコメント。『グッディ!』にその言葉は届いているだろうか。

大物俳優のプライドが!? 阿部寛、主演ドラマ『まだ結婚できない男』大不振でフジテレビと絶縁か

 “大物俳優”阿部寛がフジテレビと絶縁する可能性が出てきた。

 阿部は今クール、同局の連続ドラマ『まだ結婚できない男』(火曜午後9時~)で主演したが、全話平均視聴率は9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・以下同)と屈辱の1ケタ台に終わり、同局に不信感を募らせているというのだ。

 同ドラマは系列の関西テレビの制作で、2006年7月期に放送された『結婚できない男』の続編。同作は偏屈で皮肉屋であるため独身生活をしいられている建築家・桑野信介(阿部)を主人公にした物語。第1シリーズは平均17.1%と大ヒットしたが、13年のブランクは厳しかったようだ。

 初回は11.0%と好発進したが、第2話で7.7%と急降下。それでも第3話、第5話では10.0%と2ケタに乗せたが、第6話以降、1ケタ台が続き、最終回(第10話)でも9.7%どまりだった。

「第2話はバレーボール中継のため、65分も遅延。サッカー中継のため、第7話が30分、最終回が35分遅れとなり、ツキに見放された面もあります。第1シリーズから引き続きの出演となったキャストは、後輩役・塚本高史、母役・草笛光子、妹役・三浦理恵子、妹の夫役・尾美としのりの4人だけで、違和感を覚えたファンも少なくないでしょう。さすがに13年のブランクは大きかったようですね。ストーリー自体が決して悪かったわけではなかったですが、オトナ向けのドラマで、若年層にはソッポを向かれてしまったようですね」(テレビ誌記者)

 阿部は12年10月期にも、カンテレの火曜ドラマ枠でオンエアされた『ゴーイング マイ ホーム』で主演したが7.9%と壮絶爆死。それを機に、しばらくドラマから離れ、映画に専念していたが、15年10月期『下町ロケット』(TBS系)で3年ぶりに連ドラで主演し、18.5%の大ヒットを飛ばした。昨年10月期の『下町ロケット』第2シリーズも13.6%と上々で“復活”を果たしていた。

「フジ系(カンテレ)では、黒歴史といえる『ゴーイング マイ ホーム』以来、7年ぶりの主演となりましたが、今回人気ドラマの続編でも1ケタ台に終わってしまい、阿部側も態度を硬化させているといいます。カンテレ制作の火曜ドラマは極度の不振が続いていて、今やまったく数字をもっていませんので、9%台でも御の字かもしれません。ただ阿部としてはプライドを傷つけられてしまった以上、フジ系のドラマから撤退する可能性も十分あるでしょうね」(テレビ制作関係者)

 阿部ほどの大物俳優に、またしても恥をかかせてしまったフジの責任は重いか?

大物俳優のプライドが!? 阿部寛、主演ドラマ『まだ結婚できない男』大不振でフジテレビと絶縁か

 “大物俳優”阿部寛がフジテレビと絶縁する可能性が出てきた。

 阿部は今クール、同局の連続ドラマ『まだ結婚できない男』(火曜午後9時~)で主演したが、全話平均視聴率は9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・以下同)と屈辱の1ケタ台に終わり、同局に不信感を募らせているというのだ。

 同ドラマは系列の関西テレビの制作で、2006年7月期に放送された『結婚できない男』の続編。同作は偏屈で皮肉屋であるため独身生活をしいられている建築家・桑野信介(阿部)を主人公にした物語。第1シリーズは平均17.1%と大ヒットしたが、13年のブランクは厳しかったようだ。

 初回は11.0%と好発進したが、第2話で7.7%と急降下。それでも第3話、第5話では10.0%と2ケタに乗せたが、第6話以降、1ケタ台が続き、最終回(第10話)でも9.7%どまりだった。

「第2話はバレーボール中継のため、65分も遅延。サッカー中継のため、第7話が30分、最終回が35分遅れとなり、ツキに見放された面もあります。第1シリーズから引き続きの出演となったキャストは、後輩役・塚本高史、母役・草笛光子、妹役・三浦理恵子、妹の夫役・尾美としのりの4人だけで、違和感を覚えたファンも少なくないでしょう。さすがに13年のブランクは大きかったようですね。ストーリー自体が決して悪かったわけではなかったですが、オトナ向けのドラマで、若年層にはソッポを向かれてしまったようですね」(テレビ誌記者)

 阿部は12年10月期にも、カンテレの火曜ドラマ枠でオンエアされた『ゴーイング マイ ホーム』で主演したが7.9%と壮絶爆死。それを機に、しばらくドラマから離れ、映画に専念していたが、15年10月期『下町ロケット』(TBS系)で3年ぶりに連ドラで主演し、18.5%の大ヒットを飛ばした。昨年10月期の『下町ロケット』第2シリーズも13.6%と上々で“復活”を果たしていた。

「フジ系(カンテレ)では、黒歴史といえる『ゴーイング マイ ホーム』以来、7年ぶりの主演となりましたが、今回人気ドラマの続編でも1ケタ台に終わってしまい、阿部側も態度を硬化させているといいます。カンテレ制作の火曜ドラマは極度の不振が続いていて、今やまったく数字をもっていませんので、9%台でも御の字かもしれません。ただ阿部としてはプライドを傷つけられてしまった以上、フジ系のドラマから撤退する可能性も十分あるでしょうね」(テレビ制作関係者)

 阿部ほどの大物俳優に、またしても恥をかかせてしまったフジの責任は重いか?

『ザ・ノンフィクション』87歳認知症の母を介護する95歳の父「ぼけますから、よろしくお願いします。 ~特別編~」

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。12月8日の放送は「ぼけますから、よろしくお願いします。 ~特別編~」。認知症になった87歳の母と初めての家事をこなしながら介護を続ける95歳の父を、映像ディレクターの娘が撮影し続けた1200日の記録。同作は2018年に映画公開されており、文化庁映画賞「文化記録映画部門」大賞を受賞。ザ・ノンフィクションでは再編集版が放送された。

あらすじ

 東京で映像ディレクターの仕事をしている信友直子は広島・呉市への帰省のたびに両親の様子を撮影していた。母、文子の様子がおかしいと感じ始めたのは7年ほど前。アルツハイマー型の認知症と診断された文子は、当初、家にリンゴがあるのにまた買ってきてしまう程度で、バス停まで直子を一人見送ることもできたが、年々、その症状は重くなっていく。

 かつて直子が乳がんになったときは、70代後半で上京し、涙に暮れる直子をユーモアを交え励まし、家事をこなしていた文子だが、その姿は見る影もなく、洗っていない洗濯物の上で寝転がったり、小さい子どものような癇癪を起こし、またそんな自分への失望で「死にたい」と口にするようにもなる。だが、老老介護をする父・良則、ヘルパー・道本さんのもと、自宅で生活を続けている。タイトルの「ぼけますからよろしくお願いします。」はすでに認知症の進む文子が、17年の正月に直子へかけた言葉だ。

ヘルパー道本さんの偉大さ――介護における「家族」と「他人」の役割

 認知症の文子と、認知には問題がないものの腰が曲がり、近所のスーパーへの買い物も休み休みでないとできない良則。そんな二人だが、ヘルパーに介護へ来てもらうことに抵抗する。

直子「介護保険はかけよるんじゃけん、要るときはしてもらえばいいんよ」
良則「男の美学があるんじゃ」
文子「それで私が忙しゅうなる」

 この世代の人たちには、「人様に迷惑をかけたくない」という気持ちが特に強いのだろう。しかし、そんなところへ来たヘルパーが道本さんだったことが、落合家の幸福だったように思える。映画版『ぼけますから、よろしくお願いします』は文化庁映画賞受賞作だが、助演女優賞を贈るとしたら道本さんだ。

 信友家に入った道本さんは洗濯にこだわりのある文子を立てて、自分ひとりでやった方がよほど早いであろうに、助手に徹する。終わった後は「お母さんのやり方見せてもろうたわ、勉強になるわ 」とうなずき、横の文子は得意げだった。道本さん、かなりのやり手だ。

 信友家にとっては、道本さんの家事手伝いや介護支援という“実務”は大いに助かったと思うが、何より、道本さんという「他人」が家に来ること自体が、信友家の空気を和らげていたと思う。道本さんが来るときに母は髪を梳いていた。他人が来ることでちゃんとしなくては、という張り合いができたのだろう。

 さらに番組後半、文子が癇癪を起こしたことがあったが、来訪した道本さんは文子の背中をよしよしとさすり、文子は落ち着きを取り戻していた。その後、仕事を終え帰る道本さんに、文子は「また来てね」と、良則は「大ごとじゃねえ、あんたも」と声を掛ける 。これは最大級の「ありがとう」に思えた。あの場で、家族三人だけだったら重たい空気が続いただろうが、道本さんという他人がいたおかげで風穴が開いたように見えた。

 家族だからできることもあれば、逆に他人だからできることもある。介護職従事者は家族にとっていい意味で「他人」であり、かつ認知症など難しい症状を持った人の扱いに長けた「プロ」なのだと感じた。こんな偉大な人たちなのだから、彼女・彼らが「働いていて良かった」と思えるような社会であってほしい。

初めて見る老人が「両親」――『ぼけますから、よろしくお願いします。』が持つ役割

 都市部に核家族で暮らしていると、祖父母との関係が希薄なまま大人になる人も多いだろう。そうなると、初めて目の当たりにする老人が「自分の年老いた両親」になる。もしきょうだいがいれば老いた両親に関する悩みを分かち合う相手が増えただろうに、一人というのはなかなかヘビーだ。(介護方針をめぐり双方の配偶者まで加わっていがみ合い、押し付け合い、冷戦状態になるきょうだいもいるだろうから、一概にいたほうがいいとは決して言えないが)。

 そういう人にとって、『ぼけますから、よろしくお願いします。』の映像が伝えてくれることは計り知れない。淡々と認知症の現実を伝えており、明るい話ではないのだが、現実を知ること自体が救いになるのだと感じた。