『ザ・ノンフィクション』マキとジョンが「やらせ」告発! 「アイドル」「農家の嫁」も番組側にクレームの過去

 7月7日発売の「週刊女性」(主婦と生活社)にて、ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)の人気シリーズ「マキさんの老後」に出演していた女装のゲイ・マキさんと、男装のレズビアン・ジョンさん夫婦が登場。同番組のやらせや過剰演出、さらにはセクハラについて告発している。

 記事では、マキさんとジョンさんが同番組に出演する際、スタッフに台本を渡されていたことをはじめ、やらせやねつ造が多数あったと伝えている。

「同番組では、マキさんとジョンさんのケンカシーンがたびたび放送されていましたが、今回ジョンさんは、『とにかく「ケンカしてください」と言われるんです。ケンカするまで(スタッフが)帰ってくれない』と、やらせの詳細を告白。またディレクターは、マキさんを『“ヒモオカマ”として描こうとして』いたといい、『たった2万円しか生活費を入れずに威張り腐っているオカマとして放送された』とも訴えています。さらにはジョンさんが、『酔ったディレクターに胸を触られる』というセクハラ行為を受けたことも明かしているんです。同シリーズのファンにとっては、どれも衝撃的な告発と言えるでしょう」(芸能ライター)

 『ザ・ノンフィクション』の出演者が、番組の演出について告発したのは初めてではない。2011年5月に放送された企画「アイドルすかんぴん」に登場したアイドルが、放送後にブログで番組内容に異を唱えたことがあった。

「彼女は、グラドルや女優として活動し、AV界にも進出。その後、パニック障害で休業していたという過去があります。しかし、番組では、アダルトの仕事を中心に編集されたそうで、放送後に『あれだけ沢山撮って使うのは結局アダルト、脱ぎ、それがメインか』『何より裏切られたことが辛い。悲しい、やっぱそういう目で見て取材してたんだなって』と、自身のブログで告白。さらに別の日には、番組ディレクターと電話で話し、『彼への不信感は怒りに変わりました』ともつづっていました」(同)

 今年1月に放送された企画「私って嫁ですか 妻ですか ~農家に嫁いだ友紀子の結婚~」に出演していた岩立友紀子さんも、放送後にとあるYouTubeチャンネルに登場し、「『ザ・ノンフィクション』というタイトルのわりにだいぶフィクションだった」「編集に嘘が多い」「(自身を)100倍くらいダメな奴に描かれた」と明かしている。

「岩立さんは専業農家の長男と結婚した女性なのですが、農作業を手伝うことはなく、農家専門の婚活サイトを立ち上げるなど婚活事業を行っています。番組では岩立さんが、婚活応援バーの経営に乗り出したものの失敗したため、突然妊活を始め、農作業を手伝うようになった……という流れが展開され、当時、視聴者からは『自分勝手すぎる』などと批判が噴出。しかし、彼女いわく『婚活バーが失敗したから妊活を始めた』のは嘘で、以前から妊活をしていたというんです。同番組は、さまざまな人々のリアルな生き方が描かれたドキュメンタリーとして人気を博していますが、実際には演出で済まされる問題ではないレベルのものもあるのかもしれません」(同)

 5月にはリアリティ番組『テラスハウス』(Netflix配信、フジテレビ系でも放送)に出演中だった女子プロレスラー・木村花さんが急死。その原因には、番組側の過剰演出によって、木村さんに「悪役」としてのイメージが定着してしまい、ネット上で誹謗中傷が相次いだことも関係するのではと言われている。前出のマキさんとジョンさんも、『ザ・ノンフィクション』の演出によって本来とは異なるイメージが根付き、アンチからの誹謗中傷を受けたと告白していることから、今後は同番組にも厳しい目が向けられるかもしれない。

坂上忍、『バイキング』9月打ち切り報道! 「逆らえない雰囲気?」視聴者からも相次ぐパワハラ疑惑

 坂上忍がMCを務める情報トークバラエティ『バイキング』(フジテレビ系)について、6月16日発売の「週刊女性」(主婦と生活社)が“年内終了”の可能性を報じている。とはいえ、同番組はこれまでにもたびたび“打ち切り説”が浮上しているが……。

「『バイキング』は、2014年3月で終了した長寿番組『笑っていいとも!』の後継番組で、当初は曜日ごとに異なるMCが起用されていましたが、15年3月末から、坂上が全曜日の総合MCを担当しています。『いいとも』が終焉を迎える数年前から、頻繁に打ち切りがささやかれていたのと同じように、『バイキング』もすでに何度か『終わる』という情報が浮上。今回の『週刊女性』では、9月末での終了が決まったと伝えられました」(芸能ライター)

 同誌は、打ち切り決定の理由として、坂上の“パワハラ”を挙げているが、記者の直撃を受けた坂上は、番組終了もパワハラ疑惑も否定している。

「しかし、坂上に関しては、16年4月発売の『女性セブン』(小学館)でも、『バイキング』打ち上げでのスタッフに対するパワハラを報じられていました。当時、この打ち上げに参加していたというプロダクション関係者に話を聞くと、『確かに、あれはひどかった』と、今でも眉をひそめるほどです」(テレビ局関係者)

 スタートした頃の『バイキング』はバラエティ色が強かったものの、現在は“典型的なワイドショー”という構成になっており、ネット上では「坂上が毒吐きすぎてて不愉快」などと言われているほか、「出演者に対しての坂上の当たりが強すぎる」「コメンテーターもスタッフも、坂上に逆らえない雰囲気なのでは?」といった声も目立つ。

「カメラの回っていないところでは、スタッフに対して露骨なパワハラが行われていた可能性も否定できません。それゆえ、打ち切りに……という流れがあっても不思議ではないですが、坂上は『週刊女性』に対し、番組が9月で終わるとしたら、MCである自分に6月の段階で伝えられていないのはおかしい、といった主張をしています。通常、出演者に番組打ち切りを伝えるのは“3カ月前”という定説はあるものの、総合MCの立場なら、確かにもっと早くから知らされていてもおかしくはないでしょう。ちなみに、ここ数年、フジは積極的に坂上を起用しているため、一部業界関係者の間では、『フジと坂上は蜜月関係』とまで言われている。これで本当に9月をもって『バイキング』が終了となったら、一番驚くのは坂上本人かもしれませんね」(同)

 坂上率いる『バイキング』は、今後も“荒波”を乗り越えて生き延びるのだろうか。

『テラスハウス』木村花さん死去めぐり、フジテレビ内で行われたという“信じがたい”やりとり

 5月23日に急死した『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』(Netflix先行配信、フジテレビ系)の出演者である、女子プロレスラー・木村花さんをめぐって、週刊誌では番組の“過剰演出”や“ヤラセ”を批判する記事が連発されている。

 『テラスハウス』は、「見ず知らずの男女6人が共同生活する様子をただただ記録したものです。用意したのはステキなお家とステキな車だけです。台本は一切ございません」と説明されているものの、28日発売の「女性セブン」(小学館)では、「出演者同士がキスすると5万円のボーナス」「番組幹部の意向を無視するとオンエアを削られる」など、番組の根底を覆しかねない衝撃の内幕がつづられているが、一連の事件をめぐるフジテレビの対応について、放送業界内からは呆れた声が続出しているという。

「『テラハ』はフジテレビと、イースト・エンタテインメントの共同制作となっていますが、実際に番組作りを担当しているのは制作会社のイースト。企画から演出まで、フジは実質ノータッチなんです」(芸能ライター)

 木村さんの訃報が流れた2日後、25日放送の情報番組『とくダネ!』(フジテレビ系)では、木村さんについて「SNSで木村さんに対する誹謗中傷が繰り返されていた」などと伝えた後に、フジテレビによる談話の文面がモニター表示され、そのまま読み上げられた。

「木村さんへのお悔やみとともに、『テラハ』の放送は見合わせること、また『SNSなどで心ないコメントがあったこと非常に残念に思います』という言葉も伝えられたのですが、どこか他人事のような内容だっただけに、ネット上には多くの批判の声が上がっていました」(別のキー局関係者)

 さらに、この談話をめぐって、フジ内では、にわかに信じがたいやりとりが行われていたという。

「談話の名義を『フジではなく、イーストにすべきだ』という声が局内で出ていたんです。確かに放送責任はフジにあるものの、実際に番組を作り、出演者を追い込んだのは、イーストの責任だろう……と。さすがに、それではさらなるバッシングを招くことは火を見るより明らかなだけに、フジ名義になりました」(同)

 27日、『テラハ』の打ち切りが正式発表された。来年以降に再開する可能性を残しているようだが、フジは新たになんらかのコメントを発表する予定はあるのだろうか。

日テレ『ZIP!』、フジ『めざましテレビ』に勝てないワケとは? 「謎の降板劇」「付け焼き刃」の制作体制

 平日朝の情報番組『めざましテレビ』(フジテレビ系、朝5時25分〜8時)で、番組最後の恒例フレーズが変わったのはご存じだろうか? これまではアナウンサーが、「今日も元気に行ってらっしゃい」と、仕事や学校などに送り出すような言葉だったのが、外出自粛要請に合わせて「今日も良い一日をお過ごしください」に差し替えられている。

 一方、『めざましテレビ』と同時間帯、朝5時50分から8時まで放送されている情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)のフレーズは、「今日という日が皆さんにとって、よりよい一日でありますように」というものだ。放送時間帯だけでなく、恒例フレーズまで似通ってきた両番組について、現在の状況を追ってみた。

 まずは、2番組の視聴率を見てみよう。4月17日の『ZIP!』は7.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、同時間帯の『めざましテレビ第2部』(6時10分〜8時)は8.2%となっている。また20日は、『ZIP!』が7.5%で『めざましテレビ』は8.0%。これらに限らず、連日0.5~0.8ポイントの開きが見られる。

 両番組とも、その内容は最新のニュース・天気予報・スポーツ・エンターテインメントと、日本の今を伝える情報が中心だ。大きな違いはないと思われるが、『めざまし』が視聴者をつかむ差はどこにあるのだろうか?

 まずは『めざまし』の持つアドバンテージだ。『めざましテレビ』の強みは、実は本編の『めざましテレビ 第1部』が始まる前に、『めざましテレビ全部見せ』(4時55分~)という30分番組が存在していることだ。これは、この後の『めざまし』で放送される内容を凝縮した、いわばダイジェスト版。

「スタジオにはCGの巨大ボードが浮かんでおり、そこに、このあとの『めざまし』で紹介するニュースの見出しが大量に書かれてあるのです。ボードは『ニュース』『スポーツ』『エンターテインメント』の3枚あり、それぞれのボードに15項目ありますから、合計45項目の情報が一目でわかります。例えば4月24日の『ニュース』の場合は、『コロナ 岡江久美子さん(63)死去』『慶応病院 コロナ以外の患者 約6%が陽性』『埼玉 別の自宅待機男性も死亡』『国内 1日の死者 最多の29人』など。今日はこんなことを紹介しますよと、予告するのです」(芸能ライター)

 その詳細を、このあとの『めざまし』で取り上げるという戦法。この二段構えによって、視聴の固定を促しているのだ。

 『めざまし』は1994年、大塚範一、八木亜希子アナウンサーの2人で始まったもので、今年放送26年目となる長寿番組。現在は、三宅正治アナウンサーと永島優美アナウンサーがメインキャスターを務めている。

「女性キャスターの歴史は、八木アナから順に小島奈津子・木佐彩子・高島彩・生野陽子・加藤綾子、そして現在の永島へとバトンが受け継がれてきた。『めざまし』の特徴は、番組のサブ的な立場で小さい話題を紹介してきたアナウンサーが、その後、司会に昇格していくシステムにあります。例えば生野、加藤、永島がそれです。視聴者は、女子アナの成長を目にすることになり、毎日その姿を見ることで、自分とともに人生を歩いている感覚すら湧いてくる。だから、彼女たちが春、卒業するときは、多くの視聴者の涙を誘うんです」(放送作家)

 また『局を代表する女性アナウンサーを「めざまし」から売り出す』というフジの姿勢が、はっきり見て取れる。

 では、『ZIP!』はどうだろう。番組は出演者のことを「ZIP!ファミリー」と呼んで家族感を打ち出している一方で、レギュラーの変動が激しいようだ。曜日パーソナリティーを見ると、月曜日を担当していたネプチューン・原田泰造が抜擢からわずか5カ月で降板するなど、多くのタレントが次々と交代している。番組の売りの一つだった女性有名人の総合司会についても、関根麻里、北乃きい、川島海荷と、3代まで続いたものの、その後撤廃。

 パーソナリティーから司会まで目まぐるしく変動し、当然、コーナーも次々と消滅、名物コーナーまで唐突に終了してしまうのだ。象徴的なのは、放送開始から番組人気を支えた、速水もこみちの料理コーナー「MOCO'Sキッチン」の終了だろう。

「19年3月にコーナーが終わってからも、もこみち関連で何かしらのイベントPRはあったはずですが、番組のエンターテインメントコーナーでは紹介されておらず、遺恨を残しているのではないかと勘ぐってしまう。『めざまし』は、出演者が去ってもコミュニケーションをとっているようで、仲の良さそうな感じが伝わってきますが、『ZIP!』はビジネスライクな関係が透けて見える。そんなところも、視聴者は見抜いているのかもしれません」(業界関係者)

 さらに、金曜に据えている“月間パーソナリティー”という存在も「付け焼き刃に感じる」(同)という。もともと金曜パーソナリティーの吉田沙保里に加えて、今一番人気のある女優やタレントが抜擢されることが“売り”となっている。

「これまでEXITや、りんごちゃん、山田裕貴、橋本環奈、上白石萌歌などが登場。吉沢亮が出た2月は高視聴率を連発したそうですが、やはりビッグネームを出し続けるのは難しい。3月の佐野勇斗、4月の玉城ティナは、そこまで話題にならなかった。それに比べて『めざまし』は、比較的流行を追わないキャスティングと言えるかもしれません」(前出・放送作家)

 出演者の移り変わりが激しい番組に、視聴者が信用を置くのは容易ではないだろう。番組の企画うんぬんというわけではなく、上に立って作る側、制作者側のマインドが2番組の最も大きな違いだろう。

 番組全体で人を育て、卒業後も大事にする『めざまし』と、話題性で人を選び、去ってからは音沙汰もない『ZIP!』。これでは、出演者に愛されているのはどちらかなのは、明白な気がするが……。
(村上春虎)

「痛々しくなりそう!」「見なくても想像つく」早くも批判続出の4月期ドラマ3作

Sexy Zoneの中島健人とKing&Princeの平野紫耀が、4月スタートの土曜ドラマ『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)でダブル主演を務める。警察学校の生徒である2人が“最強バディ”となり、難事件に挑む予測不能なクライムサスペンスだ。

「早くもファンの間で期待が高まる一方で、ネット上では韓国映画のリメーク作なのに、その表記がないことについて批判や疑問の声が上がっています。今回のドラマは、2018年に日本で公開された韓国映画『ミッドナイト・ランナー』のリメークとみて間違いないのですが、報道でさえも触れることはなく、マスコミ向けのリリースにも原作についての記載がなかったといいます」(芸能ライター)

 また、主演の2人は3月25日に放送される大型歌番組『Premium Music 2020』(同)で初MCを務めることが決定。ともに地上波でMCを務めるのは今回が初めてとなるが、抜てきの理由の背景にはドラマの番宣が絡んでいるといわれている。それだけに、ネット上では、「ドラマのための特番MCなんて、番組の私物化」「相変わらず日テレはジャニとズブズブ」といった声が後を絶たない。

 『未満警察』と同じく4月スタートのドラマの中には、13年ぶりの続編となる篠原涼子主演『ハケンの品格2』(同)もある。しかし、こちらも早々にげんなりした声が聞こえてきた。

「07年の放送時には、全話平均視聴率20.1%という高い数字を叩き出した超話題作で、前作から引き続き主演は篠原が務めます。派遣社員を題材とした作品で、篠原はどんなに大変な仕事でも勤務時間内に必ず仕上げ、会社に舞い込むピンチやトラブルを次々解決していく超人的なスキルの“スーパーハケン”を熱演し、好評でした。ところが、13年ぶりの続編には『篠原涼子がデキる女を演じるのは、もうおなかいっぱい』『年下男との恋愛とか絡めてきそうで、痛々しくなりそう』『アラフィフ独身非正規の女なんて、将来大丈夫かな? と心配になる』と悲観的な声が目立ちます」(同)

 フジテレビのドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』にも注目が集まっている。主演を務めるのは、このところ主演ドラマの低迷が続いている石原さとみ。

「同作は、『月刊コミックゼノン』(徳間書店)で18年から連載されている、荒井ママレ氏の漫画『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』が原作で、主に患者の薬の調剤、製剤を行う“病院薬剤師”たちの知られざる舞台裏を描いています。かつて石原は、主演した連ドラが4作連続でヒットを放ち“高視聴率女優”と称されてきました。しかし、18年7月期主演の『高嶺の花』(日本テレビ系)、昨年7月期『Heaven?~ご苦楽レストラン~』(TBS系)が2作連続で大コケ。“主役級女優”という立場が危うくなりつつある石原、このドラマに女優人生を懸けて臨むことになりそうです」(同)

 しかし、ネット上では、「見なくてもどういう演技か想像つく」「口数少ない役か、まくしたてる系のどちらかしか演技できない」「もう石原さとみには飽きたよ」との意見が上がっている。 

 これらのほか、4月期ドラマは各局で大物俳優のドラマが揃っている。番組たスタートすれば、視聴率争奪戦でも話題を振りまきそうだ。

新型コロナの影響でテレビ業界に大打撃ーー「公開収録中止」「ドラマロケ地拒否」で現場も辟易

 コンサートや舞台の中止・延期が相次ぎ、新型コロナウイルスの影響がエンタメに多大なる損害を与えてるいるが、テレビ業界も例外ではない。

 3月8日に放送されたピン芸人の賞レース『R-1ぐらんぷり』(フジテレビ系)では、大会史上初めて観覧客を入れない“無観客開催”を決行。新型コロナウイルスの感染拡大防止のための施策とはいえ、かつてない異様な雰囲気を感じ取った視聴者も多かったはずだ。優勝したマヂカルラブリー・野田クリスタルは、過去に出演していた『あらびき団』(TBS系)を挙げて「あれに比べれば全然マシ」と見事笑いをとっていたが、一方で、テレビの制作現場はまったく笑えない事態に陥っている。

「音楽番組やバラエティ番組で観覧客が入れられないのはもちろん、ドラマの撮影にも影響が出ています。いまもっとも悩ましいのは、ロケ予定だった場所に断られることですね。どれだけ小規模にしても20〜30人のスタッフが現場に入るので、飲食店や娯楽施設では感染リスクを恐れて受け入れてもらえなくなっている」(テレビ局関係者)

 現在まさに、4月スタートのテレビドラマが続々とクランクインしている時期だが、スタッフたちは感染リスク回避と撮影スケジュール調整に頭を悩ませ続けているという。

「個人的には、石原さとみの新ドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)は大丈夫かな? と心配しています。医療モノの場合、本当の病院で撮影することもありますが、このご時世で撮影許可を出してくれる病院があるのかどうか……そこで感染者が出たらシャレになりませんからね」(同)

 こうした事態の中、制作者たちとしても撮影させてくれという無理強いは当然できない。とはいえ、撮影地等の変更はそのままコストになって跳ね返ってくる。

「ドラマなら代わりのロケ地をすぐ探しますが、見つからない場合はスケジュールが伸びるなどして、結果として予算がかさみます。2019年10月の台風19号でも同じような事態を経験しているので、現場スタッフたちは『またかよ』と頭を抱えていますよ」(同)

 なお、ロケが難航しているのはドラマだけではない。“街歩き系”のバラエティや街頭インタビューなど、アポなしで一般人と絡むロケもリスクを考え、控えられるようになっている。さらに、悪影響はこれだけにとどまらない。

「4月クールの新番組に向けて、そろそろ出演者たちによる記者会見やインタビュー稼働が組まれる時期ですが、それも危ぶまれています。各種媒体の記者やカメラマンが大勢集まるので、当然リスクがある。会見の配信や、遠隔でのインタビューといった代替策をとるテレビ局も出てくるかもしれません」(同)

 番組の宣伝をするためには、こうしたパブリシティ取材の場は欠かせない。それがなくなれば、放送前に十分な宣伝ができず、視聴率に悪い影響が出る可能性もある。また、取材をする側も、特にエンタメ系ウェブ媒体やテレビ誌では、改編期にはそうした記事を掲載することを見越して動いている。特に、誌面に穴を空けるわけにいかない紙媒体は影響が大きいだろう。

 一方で、こうした新型コロナウイルスの影響が生んだ“ラッキー”な側面も一部にはあるという。前出のテレビ局関係者がこう続ける。

「3〜4月の舞台や映画の撮影が飛んだ役者さんが多いため、『◯◯さん、予定空いたらしいよ』という情報がよく入るようになりました(苦笑)。特に舞台は長期間にわたってスケジュールを押さえているため、なくなるとぽっかり空いてしまう。おかげで、スケジュール都合で諦めていたキャスティングが実現するケースもあるにはあります。救いはそれくらいですね……」(同)

 この自粛ムードがいつ終息を迎えるかわからないまま、本格的な春が近づいてきている。これからしばらくテレビを見るときは、制作者たちの苦労と工夫に思いを馳せながら楽しむのもいいかもしれない。

『ザ・ノンフィクション』不良少女を怒り、叱るという意味『モモコと熱血和尚 おじさん、ありがとう』

根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。2月2日放送のテーマは『モモコと熱血和尚 おじさん、ありがとう』。家出や反抗を繰り返す中学生、モモコが“熱血和尚”の廣中邦充さんの元で再生するまでを追う。そして、廣中さんと妻・待子さんの人生について。

あらすじ

 愛知県岡崎市にある「平成の駆け込み寺」こと西居院の住職、廣中邦充さんは、非行、虐待、いじめ、引きこもり、薬物依存といったさまざまな事情から親元で暮らせない子どもを、無償で引き取り、更生させてきた。その数20年で1,000人以上。

 九州からやってきた中学2年生のモモコも寺に引き取られる。モモコは親に対しては反抗的な態度をとり、家の壁を殴って壊したりもするが、寺では人懐っこく、勉強にも積極的に取り組むなど一見問題なさそうに過ごす。しかし、休日のたびに派手に化粧をして町に繰り出し、男に自分から声をかける生活を送っていた。モモコが無断で外泊し、廣中さんや寺のほかの子どもたちは方々を探し回る。その後、親によって見つけられたモモコは両親とともに寺に現れ、廣中さんや寺の子どもたち、さらにそれまでモモコにあまり時間を割かなかった父親にも叱られたことで、ようやく変わるきっかけをつかむ。

 廣中さんは2012年にステージ4の肺がんが見つかり、治療をしながらその後も精力的に講演活動を続けるが、17年にがんが脳に転移。19年4月、妻、待子さんや多くの寺の子どもたちに看取られ69歳の生涯を終える。

「誰もてめぇのこと信じなくなるぞ!」という怒り

 廣中さんを主役にした『ザ・ノンフィクション』シリーズは、「おじさん、ありがとう ~ショウとタクマと熱血和尚~」として昨年も放送されている

 この回では、改造学ランなど昭和の雰囲気を色濃く残した古風なヤンキー・ショウが、生気のないヤンキー・タクマの無断外泊に対し、ものすごく怒り、叱っていた。そして今回も、一見明るくソツなく振る舞いながら、町に繰り出し男に声をかけ、挙句に無断外泊するなど危うい行動をとるモモコに対し、寺の先輩格であるマヤは胸ぐらをつかみ「誰もてめぇのこと信じなくなるぞ!」と真剣に怒っていた。モモコは廣中さんにも親にも叱られていたが、姉のような存在であるマヤが叱ったことも効いたのではないだろうか。この寺では、生活を共にする仲間が怒り、叱るのだ。

 廣中さんといい、ショウといいマヤといい、他人がした悪事や迷惑に対し本気に怒り、叱れる人は、愛情のある優しい人だと思う。問題のある人に対し、令和の今、「怒る、叱る」よりも「面倒なやつだから金輪際関わらない」ほうを選択する人は多いだろうし、荒れる自分の子どもに対してすら「関わりたくない」と他人事のように思っている親も、すでに大勢いるだろう。

 廣中さんは講演で大人たちに「担任の先生も教育委員会も、確かに原因はあるかもしれないけども家庭の中にもう一つ大きな原因があるんじゃないだろうか? 自分の大好きな娘や息子が自殺をしてしまうまで気が付かない親は親じゃない!」 と訴えた。いじめられていることを親にだけは知られたくないと隠す子どもも多い。しかし、廣中さんの発言からは、子どもが隠しているようなことでも、親は気にかけ、関わり、気づいてやれなければいけないんだ、という強い思いを感じた。これは生半可な人間が言っても説得力がまるでないだろうが、1,000人を更生させた廣中さんが言うからこそ響く言葉ではないか。

 1,000人以上の子どもを更生させた廣中家では、20年にわたり、常に家には大勢の子どもたちがいた。その環境についてどう思うのか、番組スタッフが廣中さんの妻・待子さんに聞いたところ、「一人になりたいこともあるよ。だけどお父さんと二人だけだったらこの家は寂しいと思うし」「良くもあり悪くもありだ」 と笑っていた。

 待子は廣中さんが闘病中、毎日病院を訪れていた。廣中さんは最晩年、足元もおぼつかなくなってきたが、大勢が集まる説法の場で、「ありがとうって言える、今日はちょうどいい機会なんですよ」 とゆったりとした口調で待子さんに感謝を告げる。待子さんは、番組スタッフに「いずれ人間は亡くなるんだろうけどでも、お父さんは何もなくても何もできなくてもいいから、じっとそこに居(お)って欲しい」 と廣中さんへの思いを話していて、廣中夫妻のお互いへの強く深い愛情を感じた。待子さんあっての廣中さんの超人的な活動だったのだと思う。

 廣中夫妻が問題を抱えた子どもたちや、そしてお互いに対しここまで愛情豊かになれたのは、もともとの性格や仏教の教えもあるのかもしれないが、「人と関わることから逃げない」生活で育まれたものもあるのかもしれない。愛の反対は「無関心」だとマザーテレサも言っている。

 次週のザ・ノンフィクションは『はぐれ者で生きていく ~借金とギャンブルと夢の行方~』。プロの落語家だが、寄席や大ホールの高座に上がることはできず、飲食店やスナックで落語会を開く「落語界の“はぐれ者”」に憧れた、もう一人の「はぐれ者」の話。

『ザ・ノンフィクション』不良少女を怒り、叱るという意味『モモコと熱血和尚 おじさん、ありがとう』

根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。2月2日放送のテーマは『モモコと熱血和尚 おじさん、ありがとう』。家出や反抗を繰り返す中学生、モモコが“熱血和尚”の廣中邦充さんの元で再生するまでを追う。そして、廣中さんと妻・待子さんの人生について。

あらすじ

 愛知県岡崎市にある「平成の駆け込み寺」こと西居院の住職、廣中邦充さんは、非行、虐待、いじめ、引きこもり、薬物依存といったさまざまな事情から親元で暮らせない子どもを、無償で引き取り、更生させてきた。その数20年で1,000人以上。

 九州からやってきた中学2年生のモモコも寺に引き取られる。モモコは親に対しては反抗的な態度をとり、家の壁を殴って壊したりもするが、寺では人懐っこく、勉強にも積極的に取り組むなど一見問題なさそうに過ごす。しかし、休日のたびに派手に化粧をして町に繰り出し、男に自分から声をかける生活を送っていた。モモコが無断で外泊し、廣中さんや寺のほかの子どもたちは方々を探し回る。その後、親によって見つけられたモモコは両親とともに寺に現れ、廣中さんや寺の子どもたち、さらにそれまでモモコにあまり時間を割かなかった父親にも叱られたことで、ようやく変わるきっかけをつかむ。

 廣中さんは2012年にステージ4の肺がんが見つかり、治療をしながらその後も精力的に講演活動を続けるが、17年にがんが脳に転移。19年4月、妻、待子さんや多くの寺の子どもたちに看取られ69歳の生涯を終える。

「誰もてめぇのこと信じなくなるぞ!」という怒り

 廣中さんを主役にした『ザ・ノンフィクション』シリーズは、「おじさん、ありがとう ~ショウとタクマと熱血和尚~」として昨年も放送されている

 この回では、改造学ランなど昭和の雰囲気を色濃く残した古風なヤンキー・ショウが、生気のないヤンキー・タクマの無断外泊に対し、ものすごく怒り、叱っていた。そして今回も、一見明るくソツなく振る舞いながら、町に繰り出し男に声をかけ、挙句に無断外泊するなど危うい行動をとるモモコに対し、寺の先輩格であるマヤは胸ぐらをつかみ「誰もてめぇのこと信じなくなるぞ!」と真剣に怒っていた。モモコは廣中さんにも親にも叱られていたが、姉のような存在であるマヤが叱ったことも効いたのではないだろうか。この寺では、生活を共にする仲間が怒り、叱るのだ。

 廣中さんといい、ショウといいマヤといい、他人がした悪事や迷惑に対し本気に怒り、叱れる人は、愛情のある優しい人だと思う。問題のある人に対し、令和の今、「怒る、叱る」よりも「面倒なやつだから金輪際関わらない」ほうを選択する人は多いだろうし、荒れる自分の子どもに対してすら「関わりたくない」と他人事のように思っている親も、すでに大勢いるだろう。

 廣中さんは講演で大人たちに「担任の先生も教育委員会も、確かに原因はあるかもしれないけども家庭の中にもう一つ大きな原因があるんじゃないだろうか? 自分の大好きな娘や息子が自殺をしてしまうまで気が付かない親は親じゃない!」 と訴えた。いじめられていることを親にだけは知られたくないと隠す子どもも多い。しかし、廣中さんの発言からは、子どもが隠しているようなことでも、親は気にかけ、関わり、気づいてやれなければいけないんだ、という強い思いを感じた。これは生半可な人間が言っても説得力がまるでないだろうが、1,000人を更生させた廣中さんが言うからこそ響く言葉ではないか。

 1,000人以上の子どもを更生させた廣中家では、20年にわたり、常に家には大勢の子どもたちがいた。その環境についてどう思うのか、番組スタッフが廣中さんの妻・待子さんに聞いたところ、「一人になりたいこともあるよ。だけどお父さんと二人だけだったらこの家は寂しいと思うし」「良くもあり悪くもありだ」 と笑っていた。

 待子は廣中さんが闘病中、毎日病院を訪れていた。廣中さんは最晩年、足元もおぼつかなくなってきたが、大勢が集まる説法の場で、「ありがとうって言える、今日はちょうどいい機会なんですよ」 とゆったりとした口調で待子さんに感謝を告げる。待子さんは、番組スタッフに「いずれ人間は亡くなるんだろうけどでも、お父さんは何もなくても何もできなくてもいいから、じっとそこに居(お)って欲しい」 と廣中さんへの思いを話していて、廣中夫妻のお互いへの強く深い愛情を感じた。待子さんあっての廣中さんの超人的な活動だったのだと思う。

 廣中夫妻が問題を抱えた子どもたちや、そしてお互いに対しここまで愛情豊かになれたのは、もともとの性格や仏教の教えもあるのかもしれないが、「人と関わることから逃げない」生活で育まれたものもあるのかもしれない。愛の反対は「無関心」だとマザーテレサも言っている。

 次週のザ・ノンフィクションは『はぐれ者で生きていく ~借金とギャンブルと夢の行方~』。プロの落語家だが、寄席や大ホールの高座に上がることはできず、飲食店やスナックで落語会を開く「落語界の“はぐれ者”」に憧れた、もう一人の「はぐれ者」の話。

『ザ・ノンフィクション』農家の嫁の反抗期『私って嫁ですか 妻ですか ~農家に嫁いだ友紀子の結婚~』

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。1月19日の放送は「私って嫁ですか 妻ですか ~農家に嫁いだ友紀子の結婚~」。「子どもはつくらない」「農業は手伝わない」と宣言する農家に嫁いだ女性と、その夫の生活を追った。

あらすじ

 岩立友紀子、現在32歳。サラリーマン家庭に育つが、街コンをきっかけに500年続く柏市の専業農家の長男、昌之と結婚し6年。義両親の家の敷地内に建てた夫婦の家で暮らしている。友紀子は「子どもは嫌いでつくる予定はない」「農業は手伝わない」と宣言。農家の男性を対象にした婚活サイトを立ち上げるなど婚活事業に邁進し、さらには婚活バーを昌之の金で開業するも、客が来ず1カ月半で閉店となってしまう。

 そんな友紀子は、徐々に農業を手伝い始め、子どもに関しても人工授精による妊活を始める。4度の人工授精で妊娠はかなわなかったが、由紀子の婚活サイトは15組目の農家夫婦を誕生させた。

農家界の革命児か? 反抗期か?

 番組では友紀子の婚活サイトに登録している米農家の青年が紹介されていた。さわやかで物腰柔らかなイケメンだったが、婚活では苦戦していると話していて「農業男子」の厳しい現実をあらためて感じた。農家の人たちがいなければコンビニで野菜サラダもおにぎりも食べられない。命を支える仕事をしている人たちが、結婚できないという焦燥感や、つらい思いを抱えて生活しているのは切ない。

 しかし、家族総出で農作業する“オールドスタイル”を崩さない農家サイドにも問題はあると思う。「嫁=農作業人員+子づくり要員」は、令和の労働観、ジェンダー観にしてみれば、無理な話と思う女性の方が多いだろう。

 友紀子はそのような中で「家業は手伝わない」「子どもはつくらない」との方針を打ち立てた。オールドスタイルをぶっ壊す革命児なのか、と思ったが、番組後半になって家業を手伝いだし、結婚6年目で妊活も開始する。番組スタッフから、子どもは作らない主義では、と聞かれると、「(子どもは)好きじゃないけど農家に嫁いだ時点でそこは覚悟してますよ 」と話していた。「家業を手伝わない」「子どもをつくらない」との宣言は、新たな農家の妻像を作りだしてやるといった信念より、最初から“イエ(家制度)”に従うのはしゃくだという反抗期のようなものだったのかもしれない。

 しかし人は反抗期を過ぎることで大人になれる。これから農家と婚活サイトを兼業していく……と思いきや、番組の最後、妊活をいったん終了させた友紀子は、ゲストハウスをやりたいと語っていた。昌之に開業資金を出させたバーを1 カ月半で閉店した前科があるにもかかわらず、新たな「事業」を立ち上げるという。友紀子に限らず、猪突猛進タイプは始めるまでは勢いがあるが、続けることが苦手な人が多い。

 昌之は、嫁に来てもらった負い目があるのかもしれないが、とりあえず友紀子に金をあまり渡さないほうがいいのでは、と他人事ながら思う。一方で、なし崩し的に“嫁”にならない友紀子のしぶとさにはたくましさも感じた。

 見たところ岩立夫婦は「猪突猛進で我の強い妻・友紀子と、穏やかで辛抱強い夫・昌之」という構図に映るし、大体の場面ではそうなのだろう。しかし友紀子にだって夫への不満がある。

 友紀子は夫婦間の家事負担について、昌之が担当するはずの家事を行わないため、結局、自分がしていると番組スタッフに話していた。さらに妊活は、当初は自然妊娠を考えていたものの、友紀子が「この日だ」という日を夫に伝えても、今日は無理、疲れたと協力してくれず、それで人工授精になったのだという。

 妊活関係の記事を読むと、「いかに夫のプライドに抵触せず、その日その気になってもらうか」といったものが多い。しかし、そんな妻側だけの努力でいいのだろうか。しかも、岩立夫妻の場合は友紀子ではなく、昌之が子どもを望んでいるのだ。それなのに、「今日は無理」との理由で、手間も費用も、そして友紀子の体にも負担がかかる人工授精を4度も行っている。これでは友紀子の気持ちが妊活から離れ、ゲストハウスという新規事業に向くのも仕方ない気がする。

 感情をあらわにする友紀子のワガママは目立つが、一見穏やかな昌之の「いつの間にか家事負担は妻の方へ」「妊活時の『今日は無理』」というワガママは見えにくい。そしてこれらは昌之固有のワガママというより、少なくない男性が共通して持っているワガママともいえるのではないだろうか。

 こうしたワガママの根底には、少なくない男性が意識的/無意識的に持つ「面倒なことは女がやればいい」という考えを感じさせる。夫たちは、おそらく自分がワガママを言っている自覚すらなく、むしろ妻がうるさいことを言っている程度にしか思っていないのではないか。夫たちのこうした態度に、イラついている妻たちは多いだろう。昌之のこうした無自覚に対し、友紀子が腹を立てることに関しては、大いに応援したい。

『ザ・ノンフィクション』農家の嫁の反抗期『私って嫁ですか 妻ですか ~農家に嫁いだ友紀子の結婚~』

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。1月19日の放送は「私って嫁ですか 妻ですか ~農家に嫁いだ友紀子の結婚~」。「子どもはつくらない」「農業は手伝わない」と宣言する農家に嫁いだ女性と、その夫の生活を追った。

あらすじ

 岩立友紀子、現在32歳。サラリーマン家庭に育つが、街コンをきっかけに500年続く柏市の専業農家の長男、昌之と結婚し6年。義両親の家の敷地内に建てた夫婦の家で暮らしている。友紀子は「子どもは嫌いでつくる予定はない」「農業は手伝わない」と宣言。農家の男性を対象にした婚活サイトを立ち上げるなど婚活事業に邁進し、さらには婚活バーを昌之の金で開業するも、客が来ず1カ月半で閉店となってしまう。

 そんな友紀子は、徐々に農業を手伝い始め、子どもに関しても人工授精による妊活を始める。4度の人工授精で妊娠はかなわなかったが、由紀子の婚活サイトは15組目の農家夫婦を誕生させた。

農家界の革命児か? 反抗期か?

 番組では友紀子の婚活サイトに登録している米農家の青年が紹介されていた。さわやかで物腰柔らかなイケメンだったが、婚活では苦戦していると話していて「農業男子」の厳しい現実をあらためて感じた。農家の人たちがいなければコンビニで野菜サラダもおにぎりも食べられない。命を支える仕事をしている人たちが、結婚できないという焦燥感や、つらい思いを抱えて生活しているのは切ない。

 しかし、家族総出で農作業する“オールドスタイル”を崩さない農家サイドにも問題はあると思う。「嫁=農作業人員+子づくり要員」は、令和の労働観、ジェンダー観にしてみれば、無理な話と思う女性の方が多いだろう。

 友紀子はそのような中で「家業は手伝わない」「子どもはつくらない」との方針を打ち立てた。オールドスタイルをぶっ壊す革命児なのか、と思ったが、番組後半になって家業を手伝いだし、結婚6年目で妊活も開始する。番組スタッフから、子どもは作らない主義では、と聞かれると、「(子どもは)好きじゃないけど農家に嫁いだ時点でそこは覚悟してますよ 」と話していた。「家業を手伝わない」「子どもをつくらない」との宣言は、新たな農家の妻像を作りだしてやるといった信念より、最初から“イエ(家制度)”に従うのはしゃくだという反抗期のようなものだったのかもしれない。

 しかし人は反抗期を過ぎることで大人になれる。これから農家と婚活サイトを兼業していく……と思いきや、番組の最後、妊活をいったん終了させた友紀子は、ゲストハウスをやりたいと語っていた。昌之に開業資金を出させたバーを1 カ月半で閉店した前科があるにもかかわらず、新たな「事業」を立ち上げるという。友紀子に限らず、猪突猛進タイプは始めるまでは勢いがあるが、続けることが苦手な人が多い。

 昌之は、嫁に来てもらった負い目があるのかもしれないが、とりあえず友紀子に金をあまり渡さないほうがいいのでは、と他人事ながら思う。一方で、なし崩し的に“嫁”にならない友紀子のしぶとさにはたくましさも感じた。

 見たところ岩立夫婦は「猪突猛進で我の強い妻・友紀子と、穏やかで辛抱強い夫・昌之」という構図に映るし、大体の場面ではそうなのだろう。しかし友紀子にだって夫への不満がある。

 友紀子は夫婦間の家事負担について、昌之が担当するはずの家事を行わないため、結局、自分がしていると番組スタッフに話していた。さらに妊活は、当初は自然妊娠を考えていたものの、友紀子が「この日だ」という日を夫に伝えても、今日は無理、疲れたと協力してくれず、それで人工授精になったのだという。

 妊活関係の記事を読むと、「いかに夫のプライドに抵触せず、その日その気になってもらうか」といったものが多い。しかし、そんな妻側だけの努力でいいのだろうか。しかも、岩立夫妻の場合は友紀子ではなく、昌之が子どもを望んでいるのだ。それなのに、「今日は無理」との理由で、手間も費用も、そして友紀子の体にも負担がかかる人工授精を4度も行っている。これでは友紀子の気持ちが妊活から離れ、ゲストハウスという新規事業に向くのも仕方ない気がする。

 感情をあらわにする友紀子のワガママは目立つが、一見穏やかな昌之の「いつの間にか家事負担は妻の方へ」「妊活時の『今日は無理』」というワガママは見えにくい。そしてこれらは昌之固有のワガママというより、少なくない男性が共通して持っているワガママともいえるのではないだろうか。

 こうしたワガママの根底には、少なくない男性が意識的/無意識的に持つ「面倒なことは女がやればいい」という考えを感じさせる。夫たちは、おそらく自分がワガママを言っている自覚すらなく、むしろ妻がうるさいことを言っている程度にしか思っていないのではないか。夫たちのこうした態度に、イラついている妻たちは多いだろう。昌之のこうした無自覚に対し、友紀子が腹を立てることに関しては、大いに応援したい。