暗い夜空を、月は優しく照らしてくれる。いつも一定の距離を保ちながら、地球を見守り続けている。だが、そんな月の裏側は、まだ誰も見たことがない。2020年の「本屋大賞」を受賞した凪良ゆうの小説『流浪の月』(東京創元社)は、他人には知られたくない過去、見られたくない顔を持つ2人の男女を主人公にした繊細な物語だ。広瀬すず、松坂桃李が主人公を演じる映画『流浪の月』が、5月13日(金)より劇場公開され…
「パンドラ映画館」カテゴリーアーカイブ
連続殺人鬼との遭遇が退屈な人生を激変させた! 白石和彌監督作『死刑にいたる病』
劇薬は、希釈して効果的に使えば良薬にもなりうるが、使い方を誤ると取り返しのつかない事態を招いてしまう。サイコホラー小説の旗手・櫛木理宇が2015年に発表した『チェインドッグ』――文庫化の際に改題された『死刑にいたる病』(早川書房)は、死んだような毎日を過ごす大学生が連続殺人鬼と遭遇することによって生きる気力が湧いてくるという逆説的な物語だ。犯罪サスペンスを得意とする白石和彌監督が、阿部サダ…
山窩(サンカ)と呼ばれる漂泊民が日本にいた! 謎多き“山の民”との遭遇劇『山歌』
かつて日本には、山窩(サンカ)と呼ばれる放浪の民が存在したことをご存知だろうか。戸籍を持たず、山から山へと渡り歩き、川魚を獲ったり、農具の箕(み)を編むことを生業としていた。都市伝説的に、日本の先住民族とも、秘密結社的な謎の集団として語られることもあった。
映画の世界では、中島貞夫監督が萩原健一を主演に迎えた『瀬降り物語』(85)で戦時中のサンカたちの生態を描いている。また…
華やかなファストファッション業界の裏側を描く映画『メイド・イン・バングラデシュ』
Tシャツが1500円、パンツ類も3000円以下で手に入るファストファッションは、庶民の生活に欠かせないものとなっている。だが、その格安衣料を、誰がどのようにして作っているのかまで想いを巡らす機会は少ない。映画『メイド・イン・バングラデシュ』は、ユニクロやGAP、H&Mなどの世界的なアパレルメーカーの下請け先として知られるバングラデシュの縫製工場を舞台にした社会派ドラマだ。パワハラや…
SNS上での評価が人生を大きく左右する? 美談の男が詐欺師に転落『英雄の証明』
SNSに投稿した自分のコメントに多くの「いいね」が集まると、気分が高揚する。逆にスルーされてしまうと、ヘコんでしまう。投稿するコメントの言い回しや画像を、注目が集まりやすいよう工夫するようになる。SNS上のリアクションは、実生活にも確実に影響を与えるようになってきた。そんなSNS文化は、欧米や日本だけでなく中東圏にも浸透している。イラン映画『英雄の証明』は、ひとりの男性がSNS上の評判によ…
カンヌも絶賛、人間の隠された心の闇を旅する西島秀俊主演の話題作『ドライブ・マイ・カー』
人間が犯した過ちは、いつまで責められ続けるのだろうか。過去の言動やかつて発表した作品内容の一部を問われ、表舞台からの退場することになったクリエイターたちが近年は少なくない。村上春樹の短編小説を『寝ても覚めても』(18)の濱口竜介監督が映画化した『ドライブ・マイ・カー』は、主人公が亡くなった妻の犯した過ちと向き合い、ひと筋縄では済まない人間の多面性を受け入れていく物語となっている。
…社会への絶望感が自動小銃の引き金を引かせた…豪州で起きた無差別殺人描く『ニトラム』
日曜日の出来事だった。1996年4月28日、豪州タスマニア島の観光地・ポートアーサーで無差別大量殺人は起きた。死者35名、負傷者は23名に及んだ。ライフルを手に凶行に走った犯人は、マーティン・ブライアント。長い金髪の、ハンサムな顔立ちの20代の若者だった。「人づきあいが嫌いだった」という証言が残るマーティンだが、「シャイで優しい青年だった」という声もあった。風光明媚な観光地で、なぜマーティ…
見世物小屋の人気芸人は上流社会で成功するか? ギレルモ監督の心理劇『ナイトメア・アリー』
人間は誰しも、他人には知られたくない過去を抱えている。普段は心の奥に慎重に隠しているが、誰かに打ち明けることで、身軽になりたいという願望もある。そんな心のダークサイドをノックする人物が現れたなら、あなたはどう対処するだろうか? ダークファンタジーの名作『パンズ・ラビリンス』(06)やアカデミー賞4冠の『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)などで知られるギレルモ・デル・トロ監督の新作映画『ナ…
今泉力哉&城定秀夫の魅惑のタッグ作! 大人の恋愛コメディ『猫は逃げた』
邦画ファンなら気になる、注目の顔合わせの新作映画が公開される。恋愛映画を一気にアップデイトしてみせた『愛がなんだ』(19)の今泉力哉監督、イケてない高校生たちの群像劇『アルプススタンドのはしの方』(20)が高い評価を受けた城定秀夫監督。業界注目度の高い、この2人のタッグ作となる恋愛コメディ『猫は逃げた』が、3月18日(金)より全国公開となる。
俳優たちの魅力を巧みに引き出し…
実在のセクハラ事件が題材の社会派ミステリー 被害者が追い詰められる『ある職場』
セクハラに遭ったヒロインを、事件後も苦しめ続けている真犯人が同じ密室の中にいる。セクハラ問題をSNSに広め、炎上させた真犯人は誰なのか? そして追い詰められたヒロインは、この事態にどんな決断を下すのか? 実際に起きたセクハラ事件をモチーフにした映画『ある職場』は、最後まで見逃せないミステリータッチの社会派ドラマとなっている。
有名ホテルに勤める早紀たちは、湘南にある社員用の…