磯村勇斗初主演映画『ビリーバーズ』 カルト宗教を題材にした社会派エロス!

 新興宗教とセックスを題材にした山本直樹の青年漫画『ビリーバーズ』(小学館)が、ピンク映画出身の城定秀夫監督によって実写映画化された。冴えない高校生たちの青春群像劇『アルプススタンドのはしの方』(20)が高い評価を得て、一般映画でも注目を集めるようになった城定監督が長年望んでいた企画だった。孤島で暮らす3人の男女の関係性が、信仰心と性欲のせめぎ合いによって大きく変化していく様子が描かれている…

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人間を本能に忠実にさせる感染症が蔓延! 台湾発のR18ホラー『哭悲/THE SADNESS』

 ウイルスは変異を繰り返すことで、自然界の環境に適応しようとする。台湾発のホラー映画『哭悲(こくひ)/THE SADNESS』は、そんな変異型ウイルスのような作品だ。未知のウイルスに感染した人たちが凶暴化し、次々と周囲の人々に襲いかかるというゾンビ映画のフォーマットを踏襲しながら、より現代的にアップデートされた恐怖を描いている。R18指定されているので、観る人は振り切ったスプラッターシーンの…

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岸井ゆきのを「ゲスかわ女優」と呼びたくなるムロツヨシとの共演作『神は見返りを求める』

 こんなにも「ゲスかわいい」と思える女優には、そうそうお目には掛かれないだろう。吉田恵輔監督のオリジナル脚本作『神は見返りを求める』で底辺YouTuber・ゆりちゃんを演じる岸井ゆきのは、女の持つゲスな一面をたっぷりと見せてくれる。それでいて、そんな彼女のゲスさに、スクリーンを観ている観客は堪らなく魅了されてしまう。岸井ゆきののことを「世界一のゲスかわ女優」と呼びたい。まぁ、呼ばれても本人は…

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庇護者の不在を描いた『ベイビー・ブローカー』と現代の姥捨山物語『PLAN 75』

 カンヌ映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した『万引き家族』(18)の是枝裕和監督、アカデミー賞作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』(19)の主演男優ソン・ガンホがタッグを組んだ『ベイビー・ブローカー』が公開される。是枝監督にとって初めての韓国映画であり、今年のカンヌ映画祭で最優秀男優賞(ソン・ガンホ)とエキュメニカル審査員賞の2冠に輝いたことでも話題となっている。

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大河ドキュメンタリー『スープとイデオロギー』 ホームビデオが映した母の秘密とは?

 ホームビデオには、ひとつの家族の何気ない日常のひとコマが記録されている。家族同士の屈託のないやりとりが、思わず笑いを誘う。そして、そんな家族のひとコマが連なっていくことで、家族の歴史や家族が生きてきた社会の歴史も同時に浮かび上がってくる。ヤン ヨンヒ監督の11年ぶりとなるドキュメンタリー映画『スープとイデオロギー』は、彼女の家族を記録した3本目の作品だ。日本、韓国、そして北朝鮮を繋ぐ、壮大…

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阪本監督が撮った伊藤健太郎の復帰作『冬薔薇』 現実認識の甘かった男の行く末は?

 若手俳優・伊藤健太郎の映画復帰作として注目を集めているのが、阪本順治監督のオリジナル脚本作『冬薔薇(ふゆそうび)』だ。寒い時期に咲く冬薔薇は、一見すると華やかだがどこか寂しげな雰囲気も感じさせる。2020年10月28日に乗用車でバイクとの衝突事故を起こした伊藤健太郎にとって、事故直後の11月6日に公開された『十二単衣を着た悪魔』(20)以来となる2年ぶりの映画主演作となる。

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実話をベースにした珠玉作『義足のボクサー』 世間の常識と闘う主人公が異郷で手にした自由とは

 檻の中に閉じ込められていた魂が自由を手に入れて、見違えるように輝きを放ち始める。そして、そんな魂と魂とのやりとりには、言語の違いやハンディキャップのあるなしは関係ないことを痛感させられる。日本とフィリピンとの合作映画『義足のボクサー GENSAN PUNCH』は、日本初の“義足のボクサー”となった土山直純氏の実体験をドラマ化したもの。フィリピン映画界の巨匠であり、国際的に活躍するブリランテ…

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「部落問題」を明るく語り合うドキュメンタリー『私のはなし 部落のはなし』

 マスコミタブーのひとつ、よく分からないから近づかないようにしている、迂闊に触れるとクレームが殺到しそう……。「部落問題」について、そんなイメージを持つ人は多いのではないだろうか。正体の分からない曖昧なイメージのものほど、人間は恐ろしく感じてしまいがちだ。

 ドキュメンタリー映画『私のはなし 部落のはなし』は、そんな「部落問題」に関する曖昧なイメージを一掃する作品となっている。…

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夢を実現させた後の“セカンドキャリア”を描く 木幡竜主演作『生きててよかった』

 夢を叶えることは容易ではないが、それ以上に難しいのは夢を叶えた後の人生をどう生きるかだ。憧れの職業に就くことができても、憧れの世界でサバイバルを続けることは困難を極める。最愛の相手と結ばれても、生涯を共にできるケースは稀だろう。鈴木太一監督&脚本、木幡竜主演のアクション映画『生きててよかった』は、プロボクサーの“セカンドキャリア”をモチーフに、夢を追い続けることの難しさを描いた注目すべき作…

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大杉漣さんが企画に参加していた犯罪サスペンス 追われし者が「跳ぶ」瞬間を描く『夜を走る』

 2018年2月に亡くなった俳優・大杉漣さんは、名バイプレイヤーとして知られ、「300の顔を持つ男」と呼ばれるほど多くの映画やTVドラマに出演した。作品規模に関係なく、制作現場を愛し続けた大杉漣さんは、晩年にもうひとつ別の顔も持つようになっていた。それは映画プロデューサーとしての顔だった。2018年10月に公開された『教誨師』は、大杉漣さん最後の主演映画であり、初のプロデュース作品でもあった…

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