『見取り図じゃん』盛山がコロチキ・ナダルを弁護する回で過激トーク連発

「おもしろいものを作る」を目標に、日々切磋琢磨している若手芸人。彼らがお笑い番組を見るとき、必然その目線は厳しくなる。そんな芸人間で評価される番組は、掛け値なしにおもしろいと言っていい。この企画は現役の芸人をゲストに呼び、「最近芸人が一番おもしろいと感じた番組」を紹介してもらう対談企画である。

 今回のプレゼンターは芸歴14年目のAさん。

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吉本興業の”芸人ステマ”は京都市の宣伝だけじゃない? 1回5万円の有償投稿を続ける芸人たち

 吉本興業所属の漫才コンビ・ミキやコロコロチキチキペッパーズ・ナダルが、京都市の施策を宣伝するツイートをしていた“ステマ疑惑”。さらに、複数の吉本所属タレントも同様に京都市をPRするツイートをしていたことが発覚した。

「京都市は、フォロワーが20万人以上の芸人のツイートに対して、1回あたり50万円を支払う契約になっていたとのこと。実際にミキ亜生とナダルは20万人以上のフォロワーがいます。そのほかには、木村祐一、タナからイケダ、元NMB48の福本愛菜も京都市PRツイートを投稿していて、それらについても何らかの形での“有償”であったと思われます」(メディア関係者)

 今回の京都市PRツイートについては「PR」であることが明示されていなかったため、ステルスマーケティングではないかと批判を受けている。「PR表記の有無に関係なく、外部からの依頼でSNSに有償の投稿をしている吉本芸人は少なくないと思います」そう話すのは、とある芸能プロダクション関係者だ。

「1回の舞台でのネタ披露で1万円のギャラももらえないようなレベルの芸人でも、有償の投稿であれば、1回で5万円くらいのギャラがもらえるのだそうです。芸人にしてみれば、あまりにも楽な仕事なので、喜んでやっています。ステマという感覚もまったくないと思いますね。さらにいえば、芸人のギャラは投稿1回で5万円でも、吉本はその何倍もの対価を受け取っているわけですからね。吉本にとってもこんなにオイシイ仕事はありません」

 SNSへの投稿という楽な仕事に精を出すのは芸人だけではないという。

「モデルなんかはSNSのフォロワーも多いし宣伝力も高いので、PR依頼も多い。当然、投稿1回あたりの単価も高くなって、より一層オイシイ仕事になる。以前であれば、若いうちはモデルをやって、そこからタレントや女優に転身するというパターンが多かったんですが、最近はキャリアアップを避けてモデルのままSNSで儲けようというパターンが増えています。タレントにとって、こんなに効率がいい仕事はないですからね」(前出・芸能プロダクション関係者)

 芸能界ではかなり重要な飯の種となっているSNSにおける有償の投稿。今回の京都市と吉本のステマ疑惑など、氷山の一角にすぎないのだ。

コロチキ・ナダルが投げかけた「コマネチ」本当に面白いのか問題

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(9月8~14日)見たテレビの気になる発言をピックアップします。

細川たかし「電車、初めて乗りましたね。満員でしたね」   

 私たちは多くのことを知らない。数学の難問の答えを知らないし、未解決事件の犯人を知らない。不倫発覚後の原田龍二が繰り返し口にする「深い反省」が本当かどうかも知らない。けれどこれらは、世界中の数学者が考え続けたり、警察の捜査が進んだりすれば、いつか答えが出るかもしれない。原田についても、今後また不倫するかどうかで答えを知ることができるかもしれない。知りたいかどうかはともかくとして。

 他方で、世界中の数学者がそこに難問があることに気づいていなかったり、誰にも気づかれずに犯人が事件を完遂していたり、原田の不倫が報じられずに家庭内でのみ問題になっていたとしたらどうだろう。このとき私たちは、問いの答えを知らないのではなく、そこに問いがあることにすら気づいていない。知らないということすら、知らない状態にあるのだ。

 そんな、知らないことすら知らなかったという場面を、先週のテレビの中からいくつか報告したい。

 たとえば、15日の『カンニング竹山の新しい人生、始めます!』(BSテレ東)で、あご勇が密着されていた。かつて芸人として一世を風靡したあご。一時期はテレビとラジオのレギュラー番組が12本、年収は3,000万円に上ったというが、その姿をメディアで見なくなって久しい。そんなあごは、2年ほど前から日帰りバスツアーの添乗員として活躍しているという。

 あるいは、12日の『勇者ああああ』(テレビ東京系)。この日は、メインMCのアルコ&ピースとゲストがスタジオでVTRを見る形式の企画だったが、そのVTRに、にしおかすみこが出ていた。女王様に扮したピン芸人として活躍していた彼女。しかし、今回画面に映っていたにしおかは、普通の清楚な服に身を包んでいた。なお、お化け屋敷に入ろうとするシーンがあったのだけれど、にしおかは過去に失神したことがあるので、お化け屋敷はNGらしい。

 そして、9日の『ごごナマ』(NHK総合)。関東方面を台風が襲ったこの日のゲストは、細川たかしとその弟子の杜このみ。しかし、細川は生放送の冒頭に姿がなかった。台風の影響で到着が遅れている細川は、車をあきらめ電車での移動に切り替えたらしい。杜は、電車に乗るのが初めてだという師匠を心配する。

「切符の買い方とかわかるかな?」

 細川は番組開始から41分ほどたったところで到着。開口一番、69歳にして初体験だという満員電車の様子をリポートし、しみじみと感想を漏らした。

「電車、初めて乗りましたね。満員でしたね」

「あれを通勤の朝やってると思ったら、大変なことですね」

 さらに、台風のため衣装が届いていなかった細川の装いは、いつものような着物ではなく私服だった。胸のところにドクロマークの入った、テカテカ光る素材の黒いブルゾンのようなものと、黒のズボン。そんな黒ずくめの格好で新曲「冬嵐」を歌い上げた。なお、歌声と髪形はいつもと変わらなかった。

 私たちは多くのことを知らない。しかし、あご勇の現在、にしおかすみこの現在とNG項目、細川たかしの電車経験の有無と私服。これらは、そもそも多くの人が疑問にすら思っていなかったことだ。そんな知らないということすら知らなかった数々のことを、先週もテレビを通じて知ることができた。

 知りたかったかどうかはともかくとして。

 9日の『痛快! 明石家電視台』(毎日放送)に、コロコロチキチキペッパーズが出演していた。「キングオブコント」でコロチキが優勝したのは2015年。その後、特にナダルは「ポンコツ」なキャラクターがウケて、バラエティ番組(の中でも、特にお笑い色の強い番組)でよく見かけるようになった。この日も、相方の西野が、ナダルの「ポンコツ」ぶりを示すエピソードを紹介していた。

 たとえば、ナダルは、その発言がしばしばネットニュースになる。そこに寄せられるコメントは、「ホントにナダル大嫌い」とか「コイツが出てたらチャンネル変える」といった批判的なものらしい。しかしその中にひとつだけ、「本当にナダルは面白い。これからのお笑いを背負っていく」というコメントがあった。しかし、実はこれ、ナダルが自分で書き込んだもの。真相を問われたナダルは、真っすぐな目で答える。

「これからも投稿しますよ。かわいそうやもん」

 すがすがしいまでの自作自演。なお、アカウント名は「チェンジアップ」らしい。

 また西野いわく、ナダルは千鳥よりも自分が面白いと思っているという。千鳥がMCを務める番組に出演したときのこと。ナダルはいつものように「ポンコツ」ぶりを披露し、それをノブらがツッコミ、笑いに変えていた。しかし、ナダルは、それが不服だったらしい。収録後に楽屋に戻り、「千鳥さん、しんどいな」と口にした。

 さんまによると、今田耕司を怒らせたこともある。今田がナダルを飲みに誘ったとき、朝6時開始の学園祭を理由に断られた。あからさまな「ウソ」にキレる今田。しかし、ナダルにしてみるとこれはギャグで、「そんな学園祭があるわけない」とツッコんでほしかったのだという。そんなことがあったので、ナダルは今田を力不足だと思っているらしい。

 このように「ポンコツ」ぶりを示すエピソードに事欠かないナダルだが、ひそかに先輩たちを含む芸人のギャグのランキングもつけているという。自身のギャグである「やっべぇぞ」の順位は200位と低い。「だってウケないですもん」と評価は冷静だ。他方で201位はというと、ビートたけしの「コマネチ」だという。

「コマネチ、全盛期はすごかったです。冷静に、冷静にね、今たけしさんここ出てきてコマネチやったとするでしょ。誰が笑いますか?」

 とっさに「笑うやろ」と、周囲の芸人が反射的にツッコむ。しかし、コマネチが「面白い」かどうかあらためて問われると、少し悩んでしまう。

 もちろん、状況次第では笑えることもあるはずだ。けれど多くの場面でのコマネチは、もはや爆笑を狙ったギャグというか縁起物、あるいは始球式に近い気もする。だからむしろ、かしこまった舞台でたけしがコマネチをやると、ちゃんとウケる。そんな「コマネチ」をほかのギャグと同列に並べ、笑いの量で比べるのは適切ではないのかもしれないが、いずれにせよ、反射的に「笑うやろ」と却下できない洞察がナダルの問いにはあるようにも思えて厄介。さんまも少しズラす形で、この問いには応答していた。

「コマネチでは……そら笑われへんやん。オレら同業者やしやな、次の展開考えるよな、どうしても。コマネチやった後」

 これまであまり問われなかったことを、ナダルが問う。番組内で答えは出なかったし、別に出す必要はないわけだけれど、さて、たけしのコマネチは面白いのか。最後に面倒な問いを抱え込んでしまった。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

 

年齢サバ読み、詐欺、浮気……恋人に騙されていた芸能人たちのエピソード

 お笑いコンビ・コロコロチキチキペッパーズのナダルが、11月22日に6歳年上の一般女性と結婚。いわゆる“姉さん女房”になるが、実は交際時に女性が13歳もサバを読んでいたことがナダルの口から明かされ、大きな話題を呼んだ。

 ナダルは結婚前の9月に開催された「コヤブソニック2018」で、主催者の小籔千豊にネタを促されて彼女のサバ読みについて告白。当初は“27歳”と聞いていたものの、実家への挨拶を前に本当の年齢は“40歳”だと明かされたという。

 ナダルの自虐的な暴露トークに、ネット上では「13歳のサバ読みはヒドい。人生考えさせられるな」「それだけサバ読まれても別れなかったんだから偉いもんだ」「のちのち離婚要因にならなきゃいいけどな」とさまざまな声が溢れ返った。そこで今回はナダルのように、“恋人に騙された”経験を持つ芸能人たちをご紹介していこう。

 

●はるな愛

 タレントのはるな愛は、かつて交際関係にあった男性に騙されて億単位の借金を背負わされそうになった経験が。2017年10月放送の『良かれと思って!』(フジテレビ系)に出演したはるなが、その詳細について明かしている。

 はるなによると相手の男性は、はるなの本名“大西賢示”になりすまして2億円もの金額を借り入れ。はるなのもとに届いた身に覚えのない書類で発覚し、詐欺と認められたため返済義務は免れたという。はるなの告白にネット上では、「マジでクズだな」「世の中にはそんな酷いヤツがいるものなんだね」と同情の声が続出。一方でスケールが大きいエピソードのため、「さすがに億単位の話はウソ臭く思えるな」「話盛りすぎじゃない? 個人に億なんて金額貸すと思えないけど」と懐疑的な反応も見られた。

 

●LINA

 ダンスグループ・MAXのLINAは、恋愛遍歴において16歳・22歳・28歳・33歳のときに不幸を経験することに。その内容が2017年12月放送の『独身女と新婚有田2~有名人896人の人生に学ぶ幸せの掴み方! 年末SP~』で明かされている。

 まず16歳でイケメン彼氏に浮気され、22歳のときは交際していたつもりが“遊ばれていただけ”だったというLINA。28歳のときにはワイ在住の男性と交際するも、音信不通の果てに別の女性の存在が発覚。極めつけは結婚直前に至った33歳時のエピソードで、相手は複数の女性と浮気をして大量の裸画像を保存。さらに、他界したと聞いていた両親が存命しており、彼はバツイチの既婚者だったという。不幸の連続を経験したLINAに、「男を見る目が絶望的すぎる」「顔とかお金目当てで選ぼうとして失敗してるんじゃないの?」といった声が相次いだ。

『さんまのお笑い向上委員会』でザブングル・加藤とコロチキ・ナダルが見せた「虚構でしか描けない真実」

 尼神インターの渚は、『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)のことを「でっかい大会」と称し、銀シャリの橋本直は「スケジュール見て『でっかい大会入った』って言ってます」と告白する。(ともに3月17日放送分)

 もちろん、あくまでギャグとして放たれた一言だが、芸人にとって、それくらい無駄にプレッシャーの掛かる番組であることは間違いない。

 爪痕を残そうと奮闘する者、空回りから脱出できず震えが止まらなくなる者、怖気づいたがゆえ、波風立てず無傷であろうとする者。

 明石家さんまが好むのは、当然“爪痕を残そうと奮闘する者”である。「俺らがなんとかフォローしたるさかい!」「空回りしたって笑いになったらええやないか!」、場所を提供する向上長の懐は意外に深いが、そこには「自己責任」の4文字も付いて回る。だからこそ、芸人からは感情の揺れ動きがあからさまに透けて見える。あのスタジオで起こる出来事は、バラエティであり、もはやドキュメンタリーでもある。

 

■見せ場をナダルに横取りされた加藤が立ちすくむ

 

 面白い流れが発生すると夢中になり、バランスの喪失も厭わなくなるさんまの司会術。ひな壇トークはチームプレイだとよく言われるが、前に出ようとする芸人が複数存在すると、途端にチームワークは破綻する。

 同番組の4月7日放送分がすごかった。ケガを恐れ、置きに行く芸人も少なくない中、異常なモチベーションで前に出ていくのはザブングルの加藤歩とコロコロチキチキペッパーズのナダルだ。

 この日、ゲストとして出演した加藤は意気込んでいた。「芸人は芸一筋であるべき!」と主張し、「いろんな特技がある奴は芸人辞めてしまえ!」というクレームを用意して、アート界で活躍する野性爆弾のくっきーや、コメンテーターでもあるカンニング竹山を攻撃するのだ。

 すると、ナダルが「僕も特技ないんです」と、話の流れに割り込み始める。彼は基本的に、チームワーク無視だ。流れを止めておいて、なのに「手押し相撲が特技です」と中途半端なことを言い、不思議な形で流れを着地させてしまった。まさに、インターセプト! すっかり、話の主役は加藤からナダルへと移ってしまう。立ちすくむ加藤は、黙っていられない。

「ナダル! お前、やってくれたなあ。僕もいろいろあったんですよ。いつ言おうかなと思ったら、こいつがやってくれましたわ!」

 見せ場を奪われた加藤とナダルの対立構造が、見事にできあがった。

■本気のネタを見せ、本気で心が折れたナダルに、本気で心配する加藤

 

 ゆりやんレトリィバァは、世界進出を狙っているらしい。番組はチャド・マレーンを呼び、各芸人の“世界に寄せたネタ”を披露させる。

 もちろん、爪痕を残したい加藤とナダルも名乗りを上げた。まずは、ナダルの出番。想像の架空の友だちを紹介するというネタを、チャドの前で行ったのだ。

「チャドさん、紹介します。鹿児島から来た青森君です。2人目は、世界の山ちゃんで働いてる松ちゃんです。3人目は、のっぽ王国から来てくれたチビです」

 いつまで経っても笑いは起きない。次第に、ナダルの表情は引きつり始める。今度は、加藤が割り込んだ。

加藤 なんやねん、今の。スベる前提でやってるやんけ。

ナダル そんなことない、あと5人やったらメチャメチャ爆笑になっとたんや!

加藤 本気のやつやってくれよ!

ナダル わかった、わかった。……座っとってくださいよっ!!

 爪痕を残したいナダルはネタを続行する。

「デジタル帝国から来た手作業です。大自然王国から来たメトロポリスです。……(ふてくされた表情で)おもろいやろ」

 勝手に舞台を降りようとするナダルに、加藤が近付いて行った。

「待てよ。ちょっ、マジで。なんや、芸人辞めるんか?」

 この日一番の爆笑は、ここだ。手練の芸人らの笑い声がスタジオにこだまする。真剣にネタをやり、ガチで心の折れたナダルに、ドンピシャの言葉をかける加藤。心象風景が痛いほどわかる芸人らは、うれしくて仕方がない。身に覚えがあるし、シンパシーを感じるし、バラエティ番組に不相応なガチ展開との温度差に笑いを禁じ得ない。

 ナダルに続いて加藤もネタを披露したが、彼もスベってしまっている。涙を流す加藤と、うなだれるナダルに、さんまは「まだやれるって、明日があんねんから! やまない雨はないもんな!」と言葉を掛けた。芸人の悲哀を見せた2人に、酸いも甘いも知り尽くした大御所が掛けるねぎらいの言葉。素晴らしい大団円だ。

 社会生活を送る上で、人間は生身の感情を出すことに抵抗を感じている。空気を読み、大人の態度を貫いてカモフラージュしがちだ。

「虚構の中でしか描けない真実」というものは、絶対にある。芸人が流れの中で道化を演じ、笑いを起こすために生身をさらけ出すことも厭わない。そこで浮かび上がるのは、人間としての“本気”だ。

 この日の『さんまのお笑い向上委員会』は、「虚構の中でしか描けない真実」を確実にあぶり出していた。日常生活では滅多に目撃できない真実が見れたからこそ、笑いは発生した。すごいものを見たからこそ起こる種類の笑い。

 勇気を持ってまな板の上の鯉になった加藤とナダルにも、拍手を贈りたい。
(文=寺西ジャジューカ)

『さんまのお笑い向上委員会』でザブングル・加藤とコロチキ・ナダルが見せた「虚構でしか描けない真実」

 尼神インターの渚は、『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)のことを「でっかい大会」と称し、銀シャリの橋本直は「スケジュール見て『でっかい大会入った』って言ってます」と告白する。(ともに3月17日放送分)

 もちろん、あくまでギャグとして放たれた一言だが、芸人にとって、それくらい無駄にプレッシャーの掛かる番組であることは間違いない。

 爪痕を残そうと奮闘する者、空回りから脱出できず震えが止まらなくなる者、怖気づいたがゆえ、波風立てず無傷であろうとする者。

 明石家さんまが好むのは、当然“爪痕を残そうと奮闘する者”である。「俺らがなんとかフォローしたるさかい!」「空回りしたって笑いになったらええやないか!」、場所を提供する向上長の懐は意外に深いが、そこには「自己責任」の4文字も付いて回る。だからこそ、芸人からは感情の揺れ動きがあからさまに透けて見える。あのスタジオで起こる出来事は、バラエティであり、もはやドキュメンタリーでもある。

 

■見せ場をナダルに横取りされた加藤が立ちすくむ

 

 面白い流れが発生すると夢中になり、バランスの喪失も厭わなくなるさんまの司会術。ひな壇トークはチームプレイだとよく言われるが、前に出ようとする芸人が複数存在すると、途端にチームワークは破綻する。

 同番組の4月7日放送分がすごかった。ケガを恐れ、置きに行く芸人も少なくない中、異常なモチベーションで前に出ていくのはザブングルの加藤歩とコロコロチキチキペッパーズのナダルだ。

 この日、ゲストとして出演した加藤は意気込んでいた。「芸人は芸一筋であるべき!」と主張し、「いろんな特技がある奴は芸人辞めてしまえ!」というクレームを用意して、アート界で活躍する野性爆弾のくっきーや、コメンテーターでもあるカンニング竹山を攻撃するのだ。

 すると、ナダルが「僕も特技ないんです」と、話の流れに割り込み始める。彼は基本的に、チームワーク無視だ。流れを止めておいて、なのに「手押し相撲が特技です」と中途半端なことを言い、不思議な形で流れを着地させてしまった。まさに、インターセプト! すっかり、話の主役は加藤からナダルへと移ってしまう。立ちすくむ加藤は、黙っていられない。

「ナダル! お前、やってくれたなあ。僕もいろいろあったんですよ。いつ言おうかなと思ったら、こいつがやってくれましたわ!」

 見せ場を奪われた加藤とナダルの対立構造が、見事にできあがった。

■本気のネタを見せ、本気で心が折れたナダルに、本気で心配する加藤

 

 ゆりやんレトリィバァは、世界進出を狙っているらしい。番組はチャド・マレーンを呼び、各芸人の“世界に寄せたネタ”を披露させる。

 もちろん、爪痕を残したい加藤とナダルも名乗りを上げた。まずは、ナダルの出番。想像の架空の友だちを紹介するというネタを、チャドの前で行ったのだ。

「チャドさん、紹介します。鹿児島から来た青森君です。2人目は、世界の山ちゃんで働いてる松ちゃんです。3人目は、のっぽ王国から来てくれたチビです」

 いつまで経っても笑いは起きない。次第に、ナダルの表情は引きつり始める。今度は、加藤が割り込んだ。

加藤 なんやねん、今の。スベる前提でやってるやんけ。

ナダル そんなことない、あと5人やったらメチャメチャ爆笑になっとたんや!

加藤 本気のやつやってくれよ!

ナダル わかった、わかった。……座っとってくださいよっ!!

 爪痕を残したいナダルはネタを続行する。

「デジタル帝国から来た手作業です。大自然王国から来たメトロポリスです。……(ふてくされた表情で)おもろいやろ」

 勝手に舞台を降りようとするナダルに、加藤が近付いて行った。

「待てよ。ちょっ、マジで。なんや、芸人辞めるんか?」

 この日一番の爆笑は、ここだ。手練の芸人らの笑い声がスタジオにこだまする。真剣にネタをやり、ガチで心の折れたナダルに、ドンピシャの言葉をかける加藤。心象風景が痛いほどわかる芸人らは、うれしくて仕方がない。身に覚えがあるし、シンパシーを感じるし、バラエティ番組に不相応なガチ展開との温度差に笑いを禁じ得ない。

 ナダルに続いて加藤もネタを披露したが、彼もスベってしまっている。涙を流す加藤と、うなだれるナダルに、さんまは「まだやれるって、明日があんねんから! やまない雨はないもんな!」と言葉を掛けた。芸人の悲哀を見せた2人に、酸いも甘いも知り尽くした大御所が掛けるねぎらいの言葉。素晴らしい大団円だ。

 社会生活を送る上で、人間は生身の感情を出すことに抵抗を感じている。空気を読み、大人の態度を貫いてカモフラージュしがちだ。

「虚構の中でしか描けない真実」というものは、絶対にある。芸人が流れの中で道化を演じ、笑いを起こすために生身をさらけ出すことも厭わない。そこで浮かび上がるのは、人間としての“本気”だ。

 この日の『さんまのお笑い向上委員会』は、「虚構の中でしか描けない真実」を確実にあぶり出していた。日常生活では滅多に目撃できない真実が見れたからこそ、笑いは発生した。すごいものを見たからこそ起こる種類の笑い。

 勇気を持ってまな板の上の鯉になった加藤とナダルにも、拍手を贈りたい。
(文=寺西ジャジューカ)

誠子、ナダルへのイジリは愛? それともイジメ? バラエティ番組の“やりすぎドッキリ企画”が深刻化!

 バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)が炎上している。

 2月28日に放送されたドッキリ企画に、「さすがにヤリ過ぎ」「かわいそうで不快になった」と批判が噴出したのだ。

「“『ベッドの中に人がいる』が結局一番怖い説”の検証企画で、女性お笑いコンビの尼神インター・誠子がドッキリのターゲットにされました。一人暮らしの部屋に帰ってきた誠子が、カメラに気づかず部屋着のジャージに着替えるシーンでは体にモザイクがかかり、ベッドで寛ごうとしたところ違和感に気づき布団をめくると、見ず知らずの男が登場。腰を抜かして悲鳴を上げ続ける誠子の姿が放送されました」(テレビ雑誌記者)

 番組中では乳首に直接挟んだ洗濯バサミを引っ張る“乳首洗濯ばさみ”を一発ギャグに、時にナマ乳を見せることもいとわない誠子だが、

「だからといって、自室で“芸人スイッチ”をオフにした一人の女性に、トラウマ級の恐怖を与えるドッキリを仕掛けるのは、さすがにヤリ過ぎだったかもしれません。同番組は『悪意とこだわりの演出術』(双葉社)の著書もある、自主規制だらけのテレビ界にあって攻めた演出が持ち味のTBSの名物プロデューサー・藤井健太郎の番組。同著の帯には、『藤井健太郎がまとっている悪意の裏地は愛でできている』という、千原ジュニアのコメントがあり、実際にそう感じる企画が多いのも本当ですが、このドッキリに関しては“愛”が伝わりづらかったのは、その通りでしょう」(同)

 また、2月1日の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)では、やはり批判を呼んだ、こんなシーンがあった。

「コロコロチキチキペッパーズのナダルの部屋に隠されていたAVのタイトルを後輩芸人に暴露させたところ、人妻・熟女ものに大きく趣味が偏っていたことが笑いを生んでいました。番組は、ナダルのセコく小狡い人間性を、仲のいい芸人が暴露するものでしたが、その本筋と、個人の性癖を暴露して笑うというのは、まったく話の文脈が違うため、後味の悪さを感じた視聴者は多かったようです。『あの部分はヤリ過ぎだった、差別やイジメを助長するのでは』との意見が、社内からも出たそうです」(放送作家)

『アメトーーク!』プロデューサーの加地倫三は、かつて仕事術について語ったインタビューの中で、「アメトーーク!の場合、ずっと攻め続けなきゃいけないという気持ちは、常に持っています」という言葉を残しているが、こちらも、今回は攻めどころを間違えたといえそうだ。

 炎上を恐れ、視聴者やスポンサーの顔色ばかりうかがっていては、面白い番組ができない――というのはその通りだが、“攻めた企画”と“ヤリ過ぎ”の境界線を見誤っては、やはり面白い番組にはならないのである。

 だが、その境界線へのギリギリのアプローチを真摯に続け、新しい笑いを提示しようとする芸人やスタッフをこそ、応援したくなるもの。両番組には、変わらずチャレンジングであってほしい、というのも多くの視聴者の思いだろう。

(取材・文/田畑(でん☆ぱた)豊作)