『ザ・ノンフィクション』子どもの適応力と、ウクライナの故郷に帰りたい大人

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。3月5日は「たどりついた家族 2 後編 ~帰りたい 戦火の故郷へ~」というテーマで放送された。

『ザ・ノンフィクション』あらすじ

 2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻。ウクライナ首都キーウ(キエフ)から400キロ離れた同国東部の街、ドニプロで暮らしていた45歳の母マーヤと、7歳の娘レギナ、5歳の息子マトヴェイは、開戦から10日ほどたった3月5日、日本へ避難するためにドニプロを発つ。日本にはマーヤの長子であり、レギナとマトヴェイにとって年の離れた姉・アナスタシアが、日本人の夫・和真と結婚し新宿で暮らしているからだ。当初、一家3人は和真の家に身を寄せていたが、その後は都営住宅で生活するようになる。

 一方、マーヤには障害のある兄ジェニャがおり、ジェニャの世話を亡き夫の高齢の母サーシャに頼み日本に来ていたため、マーヤは10月11日、日本を発ちウクライナ・ドニプロへ戻る。ドバイ経由でウクライナ隣国ポーランドのワルシャワまで行き、そこからバス、電車を乗り継ぐ長旅だ。途中リビウ(ウクライナ西部の都市)では外出禁止令が出され、駅でそのまま寝泊まりする事態に。さらに、帰路でマーヤは肺に穴があく肺気胸を患い、入院生活を余儀なくされる。

 日本では和真とアナスタシアが、レギナとマトヴェイを世話することになる。アナスタシアは、日本の大学で学ぶために必要な「日本留学試験」の受験勉強中だ。「日本留学試験」は日本語能力だけではなく、文系でも数学が科目に含まれ、かなり広範な知識、学習が求められる試験。試験当日、帰宅したアナスタシアは浮かない顔で、和真と話す中で泣いてしまった。

 また、ホームシック気味にも見えたマトヴェイだが、日本語で世話をする和真との日々のコミュニケーションを通じ、急速に日本語を覚えていき、幼稚園でできた友達と日本語で遊んでいる姿も見られるようになる。

 そして12月12日、予定より遅くなるもマーヤが日本に戻ってくる。ジェニャの世話は引き続きサーシャが見てくれることになったという。なお、7カ月ぶりに戻ったウクライナの自宅には、大きな蜘蛛の巣ができており、帰宅中は自分の真上をロシア軍の自爆型のドローンが飛んでいたこともあったという。マーヤも当初は一時的な避難で日本に来ている認識だったようだが、日本語学習を始めるなど心境の変化がうかがえた。

 日本時間の2023年1月1日朝7時前、ウクライナが日本から7時間遅れで新年を迎える際、マーヤ、アナスタシア、レギナ、マトヴェイはゼレンスキー大統領の新年のメッセージをテレビで見つめていた。

『ザ・ノンフィクション』日本の生活に適応していく子どもたち

 和真、アナスタシア夫妻にとってはマーヤが帰国していた2カ月間は、7歳、5歳の子どもの世話に追われる大変な日々だったと思う。しかし、レギナに比べ日本語も苦手でホームシック気味な弟マトヴェイの日本語能力、しいては日本への適応力はマーヤ不在の2カ月で飛躍的に向上したように見えた。「日本語を使う必要に迫られた“母マーヤの不在”」が大きかったとえ思うが、それ以外にもやはり「子どもの適応能力の高さ」もあるだろう。

 『ザ・ノンフィクション』では過去にも日本語を習得する外国人をテーマにした回が何度かあった。が「小学校中学年」あたりに明らかに境界線があると感じるくらい、それ以下とそれ以上の年齢で、日本語習得における苦労はケタ違いに見える。

 小学生でも高学年くらいになると、日本語の習得は大人同様に大変そうで、小学校低学年以下のレギナやマトヴェイのような、「気が付いたら日本人の友達と日本語で遊んでいた」感じとは様子が違う。日本語を例に出したが、日本人が外国語を学ぶ時も同様に思う。

『ザ・ノンフィクション』故郷に帰りたい大人

 マーヤが帰国していた間、ウクライナは停電もよくあったよう。何より自分の真上をロシア軍の自爆型ドローンが飛んでいるなど、生命の危険すらある環境下においても、マーヤは2023年を「(ウクライナへの)帰還の年」と話しており、彼女にとって住まうべきふるさとは、当然ウクライナなのだろう。障害のある兄を高齢の義母に任せている状況が変わっていないことに対する思いもあるだろうが。

 次回は『新宿二丁目の深夜食堂 前編 ~人生を奏でるビール瓶~』。新宿二丁目で深夜0時に開店し、午前9時まで営業する深夜食堂「クイン」の77歳名物ママと同い年の夫、ママを訪ねる客を見つめる。

『ねほりんぱほりん』友情結婚なのに、妻に“容姿と料理”を求めてしまうのはナゼ?

 NHK Eテレの人気番組『ねほりんぱほりん』のシーズン7が昨年10月7日よりスタートした。かわいらしいモグラの人形ねほりん(山里亮太)とぱほりん(YOU)が、ブタの人形に扮した“顔出しNG”の訳ありゲストに、聞きにくい話題を“ねほりはほり”聞き出す新感覚トークショーだ。

※本記事は『ねほりんぱほりん』シーズン7「友情結婚した人」のネタバレを含みます

『ねほりんぱほりん』友情結婚でも見た目は大事!? 日向坂46レベルが理想

 今回のテーマは「友情結婚した人」。友情結婚とは、さまざまな事情によって恋愛とはまた別の感情で結ばれる結婚のこと。ゲストには2年前に友情結婚をしたハルさんが登場した。

 ハルさんは男性として生まれ、恋愛対象は男性、好きなタイプはking&Princeの岸優太という40代。ハルさんの解釈によれば、「世間体を気にする人たちが、周りからは普通の結婚をしているというふうに見られるために友情結婚をしている人が多いかなって気がしています」とのこと。ハルさんも、両親や職場にゲイであることを隠して生活しており、「性的指向を隠したい」「両親を安心させたい」「自分の子どもを育てたい」などの理由で友情結婚を選択したそうだ。

 結婚相手となった女性との出会いは、「友情結婚を専門にしている結婚相談所」。ハルさんによると、その相談所は「入会金約10万円」「月会費約1万円」「月1回希望条件にあった人を紹介される」「成婚料は30万円」と、一般的な結婚相談所と同じようなシステム。相談所が作った冊子をもとに、「同居か別居か」「家事分担」「お金の管理方法」「子どもを希望するか」「結婚後の性的欲求への対処」など条件を細かく決め、マッチングした相手とお見合いをする流れだそうだ。

 恋愛結婚と同じく、友情結婚にも見た目は重要なポイントだそう。「最初3カ月で月1で3人くらい会ったんです。話自体は弾むんですけど、見た目がタイプじゃなかった」と振り返るハルさん。「女性に対しても“推し”みたいな感じで、かわいいなとか、そういったことは普通に感情としてはあるんですね。かわいいって思える女性と結婚できたら、それが一番理想的なのかなって考えてました」とのこと。

 確かに、相手の見た目が生理的にタイプではない場合、長い人生を同じ空間で過ごしていくのはストレスになりそう。しかし、「タイプはアイドルみたいな。今で言うと日向坂みたいな感じの子。日向坂のメンバーは(相談所には)やっぱりいなかったですよね」と語るハルさん、理想が高すぎやしないか……?

 結局、4人目に会った女性が「自分の(OKと感じる)範囲内」だったため、その方と友情結婚が成立。両親は「クソ喜んでいた」そうで、「あれだけ喜んでくれると、友情結婚してよかったなって思いました」と、自分の決断に納得している様子だった。

『ねほりんぱほりん』友情結婚、それでも女性には手の込んだ料理を求める

 ハルさんと結婚したお相手は、「性行為が苦手」「恋愛対象が女性か男性かもわからない」という女性で、事前に「お互い恋人を外に作ってもいい」と決めているという。「僕の場合は恋愛感情が男性に向かっているので、せめて形だけは“普通の結婚”っていう理想的な形にして、心の部分については、本当に自分が好きな人で補っていく。そういうことができるのが、友情結婚のメリットかなって」とハルさんは語った。

 デメリットは、「恋愛感情がないので、結構物事をシビアに考えちゃう部分」だそう。例えば、収入が妻より多いハルさんは、家事をこなす量が平等ではないのでは? と考えてしまうとか。「一緒に生活を始めてまだ3日目くらいのときに、麺に粉末スープかけただけの焼きそばみたいな、そんなのが出てきた」と具体例を挙げた。

 「結婚相談所の冊子には『一般的な料理なら作れます』って書いてあった」ことから、ハルさんの中では期待外れだった様子。「好きな気持ちがあれば、3日目でそれは出てこないと思う」「好きな人には出さないよな……と」「好きな人だったら、料理を自分から作ってあげたいって思えると思うんです」と語っていた。

 どうやらハルさんには、「麺に粉末スープをかけただけの焼きそば」は相手への愛情不足であるという考えと、「好きな人には料理を自分から作ってあげたいと思うはず」との偏見にも似た決めつけがあるよう。それゆえ、「恋愛感情は持ってほしくないけど、もっと大事にはしてほしい」という複雑な感情に悩まされているようだった。

 恋愛や結婚をめぐって、世間体というものに悩まされ続けているハルさんだからこそ……なのか、固定観念にがんじがらめになりやすいタイプにも見える。

 ハルさん夫婦はともに子どもを望んでおり、現在は人工授精で妊活中。同時にハルさんは職場の後輩男性に恋愛感情を抱き始めていて、「後輩だったら、時間がないときでも無理して時間を作って一緒に話したいなとか思えるんですけど、奥さんにはそこまでの感情はちょっとまだない」という。

 奥さんとは「外に恋人を作ってOK」というルールを共有しているが、結婚した後に「恋人ができても言わないでほしい」「聞きたくない」と頼まれたそうで、奥さん側にも複雑な気持ちが生まれている様子だ。

 子どもを授かったら友情結婚であることは隠し通すと夫婦で決めているものの、ハルさんいわく「もし子どもが性的マイノリティーだったら、その子が好きな人と結婚できるような、結婚しやすいような社会に(将来は)なっていたらいいなとは、すごい思いますね」とのこと。しかし現状、「制度として同性婚が認められたとしても、まだ好奇の目で見られることが多いと思う。だから、今の社会で僕が友情結婚を選択したのは自分にとってはベストなのかなって」と語っていた。

 これから恋人ができたり、子どもができたりしたら、夫婦のバランスがまた大きく変わりそうではある。ハルさんはもちろん、ハルさんの奥さん、2人の間の子どもにも幸せが続いてほしいと切に願う。

『ザ・ノンフィクション』親子でウクライナから日本に避難――適応する娘とホームシックになる息子

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。2月26日は「たどりついた家族 2 前編 ~戦火の故郷と母の涙~」というテーマで放送された。

『ザ・ノンフィクション』あらすじ

 2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻。プーチン大統領は同年秋口から、核兵器の使用もほのめかしている。

 ウクライナ首都キーウ(キエフ)から400キロ離れた同国東部の街、ドニプロで暮らしていた45歳の母マーヤと、7歳の娘レギナ、5歳の息子マトヴェイは、開戦から10日ほどたった3月5日、日本へ避難するためにドニプロを発つ。日本にはマーヤの長子であり、レギナとマトヴェイにとって年の離れた姉・アナスタシアが、日本人の夫・和真と結婚し、新宿で暮らしているからだ。

 ドニプロを発った一家3人は、ウクライナの西に隣接するポーランドの首都・ワルシャワまで2日間かけ電車で移動。ワルシャワの駅はウクライナから難を逃れてきた人でごった返していた。その後、一家は生まれて初めての飛行機を3本乗り継ぎ、出発した日から12日かけて、ようやく日本にたどり着く。

 当初、一家3人はアナスタシアの夫・和真の家に身を寄せていたが、その後は都営住宅で暮らすことに。小学生のレギナは友達を家に呼び、運動会ではお気に入りの『鬼滅の刃』(TOKYO MXほか)の歌で踊り、ひらがなの表を読むなど、日本の暮らしに適応しているように見える。一方、幼稚園に通うマトヴェイはホームシックになっているようで「夏にはウクライナに帰ると思ってたよ」とマーヤにこぼし、ウクライナ国旗の元に3人(マーヤ、レギナ、マトヴェイ)がいると思われる絵を描く。

 和真、アナスタシアも、マーヤに日本に留まるよう話すも、彼女にはウクライナに戻らないといけない事情があった。マーヤには障害のある兄・ジェニャがおり、ジェニャの世話を高齢の義理の母、サーシャに頼み日本に来ていたからだ。なお、マーヤの夫は心臓発作で侵攻前に亡くなっている。

 そんな中、新型コロナウイルスの流行で延期になっていた和真とアナスタシアの結婚披露宴が行われることに。マーヤはアナスタシアのため、2日がかりで伝統的なパンを焼く。ウクライナの結婚式では、そのパンを新郎新婦が食べさせ合う風習があるという。娘の晴れ姿を見つめるマーヤだったが決意は変わらず、レギナとマトヴェイを和真とアナスタシアに託し、ウクライナに一時帰国することを決めた。

 マーヤは、ウクライナに戻ることに対し、番組スタッフへ「もちろん恐怖心はあります」「兄のことがなければ日本に残ったわ」と心中を明かす。

 この時点でマーヤ一家がウクライナを発った侵攻当初から半年ほどが経過しており、その間もロシア軍はウクライナ国内の鉄道はじめ、交通インフラの爆撃を繰り返したため、国内の鉄道の運行状況もはっきりしない状況だ。日本からウクライナの鉄道の切符を予約しようとしても、そもそも鉄道会社のサイトさえ見ることができない。

 さらにマーヤが日本を発つ前日に、彼女が帰るドニプロにロシアのミサイルが着弾したと報じられる。マンションやビル数棟が飲み込まれてしまうような巨大な爆発雲の映像が伝えられていた。マーヤは「カメラの前で全ての感情を見せるわけにはいかないけど、心の奥底には不安と恐怖しか……」と話す。

 そして10月11日、マーヤは日本を発つ。レギナもマトヴェイもマーヤにしがみついて泣いていた。成田空港の出発ゲートを通った後、マーヤは振り向いて笑顔で手を振っていた。

『ザ・ノンフィクション』長引く戦争と失われる関心

 ウクライナ侵攻は当初、早期終戦になるという専門家の意見も多く報道されていたが、1年がたっても終わりの兆しが見えない。開戦直後は日本のテレビでも、ウクライナとロシアを特集した多くの番組が組まれ、個人でも終戦への願いを込めてか、SNSのアイコンにウクライナの水色と黄色の国旗の絵文字を付ける人がたくさんいた。

 しかし1年たつと、ウクライナのことをメディアが取り上げる機会は激減しているし、開戦直後ほどウクライナ国旗をSNSアカウントにつけている人は見かけない気がする。遠い国の戦争から日常へと興味が移り変わったといえばそれまでだが、その点で『ザ・ノンフィクション』が今、ウクライナの人々について放送することには大きな意義がある。私も今回の原稿料の一部を然るべき支援団体に寄付したい。

 来週は今回の後編。ウクライナに戻ったマーヤの身に起ったこととは。また一方で、日本で弟、妹たちの面倒をみることになった長女・アナスタシアも生活の変化を余儀なくされる。

『ザ・ノンフィクション』起業したい若者の選択――なぜ「会社勤め」は毛嫌いされる?

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。2月19日は「CEOになりたくて ~ポンタの上京物語~」というテーマで放送された。

『ザ・ノンフィクション』あらすじ

 水井飛空(ひゅう)は広島から上京してきた21歳。「ポンタ」と自分のことを呼んでほしいと話し、起業家を目指す若者が集まる「U-25起業家シェアハウス」で暮らす。シェアハウスは4人部屋で家賃は一人4.5万円だが、オーナー主催の勉強会を無料で受けられる。

 中学生の頃から起業に憧れていたというポンタ。当時、高校生起業家をメディアがもてはやしていたことも影響しているようだ。人間モバイルバッテリーとして充電装置を持って街頭に立つなど、事業のようなことをした経験もあるそう。

 現在は、TikTokを用いてホテルの紹介動画から宿泊予約ができる事業プランを思いつき、ライバルに楽天トラベルやブッキングドットコムを挙げるものの、ポンタの事業プランの場合、TikTokに通じた技術者が必要。技術者を探しつつ、動画撮影をするためホテルへの飛び込み営業を続ける。ほぼ空振りに終わるが、撮影協力に応じてくれるホテルもあった。

 ただ、地元の父親は「(ポンタは)来年くらい福山に帰ってきて就職するかなと思っている」と冷静だ。番組スタッフの前では愛想のいいポンタも、父親の前ではぶっきらぼうな態度になり、「(父親は)『お前(ポンタ)ならできるよ』って言えばいい話」と不満げ。

 「U-25起業家シェアハウス」には、野望を熱く語る者もいれば、夢を追うことを中断し、出ていく人もいる。20歳の前田あかりは高校生で会社を設立し、かつてはメディアに華々しく取り上げていた起業家だった。前田の事業は、虐待サバイバーの子どもたちを低価格のシェアハウスを提供し就職活動につなげていくもの。前田自身も精神疾患やいじめで学校に行けない時期があり、当時の彼女にとっては、高校生での起業や、それにともなうワークショップに通うことが生きる支えになっていたようだ。

 しかし、前田には高校の学費などを含め500万円ほどの借金があり、事業どころではなく、キャバクラ勤めで借金返済に追われる日々。まずは自分の生活を立て直すため、シェアハウスを去る決意をした。

 一方、ポンタは協力者を得る。TikTokで52万人以上のフォロワーを持つ動画配信者の編集を担う19歳のゆうせいだ。ゆうせいはポンタの撮影したホテルの動画に、撮影者の足が映ると「一気に現実に戻されてしまう」から避けたほうがいいなど、的確な指摘をする。ただ、ゆうせいはかなり多忙のよう。

 そして、TikTokの技術者が見つからなかったのか、ポンタはホテル動画を紹介するためのインスタグラムアカウントを開設。興味を持ったホテルから撮影依頼を受けていた。番組の最後、ポンタの上京生活は半年を過ぎ、まだ事業の収益は得られていないが「U-25起業家シェアハウス」を出て、次はイノベーターの育成学校「MAKERS UNIVERSITY」に通うと話していたのだった。

『ザ・ノンフィクション』CEO適性を最も感じたのは……

 番組内では起業家を目指す若者が多数出てきたが、個人的に最もCEO適性を感じたのは、CEOを目指していない、動画編集者・ゆうせいだった。

 まず人柄だ。ゆうせいは19歳とは思えぬ落ち着きぶりで、ポンタの起業ビジョンにもウンウンと頷いて聞いており、案の定ポンタを骨抜きにしていた。19歳、まだまだ浮かれていてもいい時期なのに、ゆうせいには“人生2回目”なのかと思うほどの風格を感じた。

 そして何より、ゆうせいには動画編集という自分で培った確かな「技術」がある。一方、TikTokを用いた旅行予約事業を考えるポンタも、エンジニアとチームを組んで事業プランを練っている「U-25起業家シェアハウス」の住人・柴田、石井もそうだが、「技術ありき」な事業を興す場合、「それって、技術者だけいればいいんじゃないの?」という問題が出てくる。そうした事業の場合、そもそも技術者がCEOをやればいいのではないか。

 ポンタ自身にもこの疑問はあったようで、柴田と組んでいるエンジニアがどういったモチベーションで柴田と仕事をしているのか問うシーンがあった。柴田本人は「人」「ビジョン」と回答していたが、実際のところ「有力者とのコネがあり、橋渡しができる」「業務内容を熟知している」「金を引っ張ってこられる」などのほうが、「技術事業だけれど、技術能力を持たないCEO」に求められる能力だと思う。ただ、こういった能力を社会に出たことのない若者に求めるのは酷だ。

 起業する前に数年、起業したい業界で働けば、その実態・実情もわかり人脈もでき、その後の起業も一気にスムーズになるはずだ。番組に出てくる起業家志望の若者たちは、近道をしたいようで、かえって遠回りをしているように見えた。

 そして、起業家志望の若者たちは「会社勤め」へのネガティブな発言が多かったが、なぜしたこともないのに毛嫌いするのだろうか。「自分には適性がなさそうだからやりたくない」という気持ちはわかるものの、実際やってみればそこまで嫌じゃなかった、と気がつくことだってある。起業がテーマの回だったが、「とりあえず会社で働いてみればいいのに」と思った回だった。

 次回は「たどりついた家族2 前編 ~戦火の故郷と母の涙~」都営住宅で暮らすウクライナ人の親子、母マーヤと娘のレギナと息子のマトヴェイ。子どもたちは日本の暮らしになじんでいく一方で、マーヤには戦火のウクライナに帰る理由があり……。

『ザ・ノンフィクション』兄の死後に発覚した“ストリップ”という意外な趣味、妹は困惑も……

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。2月12日の放送は「私が踊り続けるわけ2 ~56歳のストリッパー物語~後編」。

『ザ・ノンフィクション』あらすじ

 星愛美、56歳。ストリッパーの中では国内最高齢と言われている。愛美の「神々しい」ステージでの姿や、自身のファン、番組スタッフ、後輩ストリッパーに対する穏やかな物腰からは想像できないが、かつての愛美は相当な非行少女で、暴走族に入り15歳までに2度の人工妊娠中絶を経験。19歳で結婚するも死産の末、21歳で離婚。AV女優、ストリッパー、水商売と職を転々とし、45歳でストリッパーとして再出発した。

 また、愛美は37歳でがんを患い子宮を摘出。ステージではエネルギッシュな姿を見せているが、腰や背中にも痛みを抱え、舞台裏では膝を曲げるのもままならない。自身の引き際について考えてもいるようだ。

 愛美のファンネームは「星組」だが、星組の一人である長崎在住のスーさんも、大腸がんのステージ4と診断された。スーさんは警察官を定年退職後、旅先のストリップ劇場で愛美の踊りを見て、それ以来全国の公演を訪ねるなど、熱心に愛美の「推し活」をしてきた。しかし、スーさんの体調は年々悪化。愛美のステージ以外はロビーの椅子に座り、つらそうにうなだれていた。

 2022年5月、スーさんは愛美のホームである大阪、晃生ショー劇場で行われた彼女の誕生日イベントにも足を運ぶが、これがスーさんにとって愛美の最後のステージとなった。その後もスーさんと愛美は電話でやりとりをしていたものの、スーさんと連絡の取れない日が続くように。そして、スーさんの弟から愛美に、8月21日にスーさんが永眠したこと、「生前は、いろいろお世話になりありがとうございました。」とのメッセージが届いた。

 また、スーさんの妹からも愛美に手紙が届く。妹は最初、兄がストリップにはまっていたことを知りショックだったそう。ただ、恐る恐る遺品の中にあった、以前、愛美を特集した同番組のDVDを見たことで、イメージが変わったのだろう。手紙の最後は愛美の体調を気遣う言葉で締めくくられていたという。

 なお、おそらくDVDはこちらの放送回だと思われる。

 そして、星組を取り仕切るひこにゃんも、厚生労働省が定める指定難病の一つである潰瘍性大腸炎を患いながらも同10月の愛美の33周年イベントに足を運ぶ。スーさんの死に思うところがあったようだ。ひこにゃんは観客席でなじみの「同担」たちと抱擁を交わし、愛美も後輩ストリッパー、浜崎るりと共にひこにゃんを出迎える。

 最後に、愛美は番組スタッフに対し「引退できません」と宣言。「『いつまでも踊り続けてください』って言葉を正直に受け止めるなら、そうしたいです、いつまでも」と前を向いた。

『ザ・ノンフィクション』亡き家族の意外な趣味

 スーさんの妹は、兄がストリップにはまっていたことがショックだったという。スーさんは元警察官であり、番組内でも「体がしんどい」以外の感情をあまり出していなかった。そんな静かな兄と、ストリップという趣味がつながらなかったのだろう。

 筆者もストリップは見たことがあるが、事前に想像していた“淫靡”な感じはなく、“人間賛歌”的なものであり、生身の人間が放つ熱を感じた。ストリップ以上に「事前の印象」と「実際に見た感想」が違うものを私は知らない。そのくらい違う。

 『ザ・ノンフィクション』の愛美のドキュメンタリーも、「人間賛歌としてのストリップ」を知れる回だったと思う。番組DVDがなかったら、スーさんの妹は兄の死後、兄を誤解したままだったのかもしれないと思うと怖い。

 「自分が死んだあとのことは関係ない」という考え方もあると思うが、遺品を整理するのは遺族だ。「説明が必要そうな遺品」が私もないわけではないので、思いがけず終活についても考えさせられる放送だった。

 次回は『CEOになりたくて ~ポンタの上京物語~』。広島から上京し、「U-25起業家シェアハウス」で起業家を目指す21歳のポンタ。動画を利用した旅行アプリというアイデアはあるものの、アプリ開発スキルもなく……。

『ねほりんぱほりん』コンカフェゾンビなる存在とは?【2022年シーズン7】

 NHK Eテレの人気番組『ねほりんぱほりん』のシーズン7が昨年10月7日よりスタートした。かわいらしいモグラの人形ねほりん(山里亮太)とぱほりん(YOU)が、ブタの人形に扮した“顔出しNG”の訳ありゲストに、聞きにくい話題を“ねほりはほり”聞き出す新感覚トークショーだ。

※本記事は『ねほりんぱほりん』シーズン7「コンカフェのキャストと経営者」のネタバレをみます

『ねほりんぱほりん』コンカフェとは、脱法キャバクラorアイドルごっこできる場?

 『ねほりんぱほりん』2月10日放送回のテーマは「コンカフェのキャストと経営者」。ゲストには現役のコンカフェキャストであるマイさん(20代・キャスト歴4年・専業)とヒヨリさん(20代・キャスト歴2年・大学生)、コンカフェを全国で展開する経営者のカズさん(40代・経営歴15年)の3人が登場した。

 コンカフェとは、キャストがさまざまなコンセプトの衣装に身を包む「コンセプトカフェ」の通称。カズさんは「妖精カフェ」「和装カフェ」などを経営し、直近では年収3000万円を稼いでいるそうだが、コンセプトは実際には「ないようなもの」と言う。

 コンセプトを固めすぎてしまうとマニアから知識を問われてしまい、「それが面倒くさいってキャストさんが思ってしまうんで、求人が集まらなくなるんです」とのこと。力を入れるのは、コンセプトより「かわいい衣装」だそうで、「経営者としては、どれだけかわいい子を集められるかの勝負になってるんで、かわいい衣装を作って求人かける、みたいな。ほとんどの子が衣装で選びましたって(面接に)来る」らしい。

 カフェと言いつつ、メニューもお酒がメイン。「シャンパンが多かったり、何百万円のボトルとかもあったりするんですよ。キャストの誕生日とかお祝い事の席に開けにきてくれるお客さんとかいますね」(マイさん)と、かなりキャバクラっぽい印象。

 つまりコンカフェとは、イメクラとキャバクラを掛け合わせたようなお店ということかな? ……という疑問が浮かぶ。しかし、コンカフェは隣に座って接待するキャバクラとは違い、「あくまでも飲食を提供する中でのお客さんとのコミュニケーション」(カズさん)のため、キャバクラのような風俗営業法の許可は必要ないそう。そのため営業時間の縛りもなく、稼げるようだ。違法にならないギリギリのゾーンを狙っているようにも見える。

 キャバクラとの違いは、キャストに同伴やアフター業務がない点も挙げられる。代わりに、ほとんどのコンカフェには「チェキ」や「ライブ」のサービスがあるそうで、チェキ1枚1,000円、ライブ1曲1,000円ほどで、10~50%のバックがキャストに入る仕組みだそうだ。

 もともとアイドル願望があったというヒヨリさんは、「チェキにメッセージ書いているときは、ちょっとしたアイドル気分になれる」「私が歌ったり踊ったりするとお客さんがペンライト振ってくれるので、アイドルになりたい願望をそれで実現できる」「普通の同年代の女の子とは違うんだなって気持ちになれる」と楽しんでいる様子。マイさんも太客を掴み、「高校生で最高月収40万円」を稼ぐなど、地下アイドル以上の収入を得ているようだった。コンカフェとは、客にとっては安く女の子と飲める脱法キャバクラであり、キャストにとっては“なんちゃってアイドルごっこ”ができる場なのかもしれない。

 コンカフェの客層で多いのは、マイさんいわく「いにしえのオタク」、ヒヨリさんいわく「オタクのおっさん」。ヒヨリさんは、「コンカフェのお仕事って基本的に介護」と辛口で、「コミュニケーション取るのがすごい苦手で、普段は集団とかコミュニティーの主役になれない人が、お金を払って主役になろうとしに来てる」とブッタ斬った。

 『ねほりんぱほりん』は、お客さん側にもインタビュー。そのうちの1人、男性のボンベイさん(30代)は、「コンカフェは、手っ取り早く素人の年下の女の子とコスパよく出会える場所」「正直ヤリ目のところもあるんですけど、最終的にはキャストと結婚したいですね」と語るハンター。「店の外で会ったのは20人くらい。付き合ったってなると8人くらい」と明かした。意外と付き合ってしまうキャストが多いことに驚く。

 ヒヨリさんも過去にお客さんと交際したことがあるそう。コミュニケーションベタなオタクのおっさんに囲まれていると、たまに遭遇するハンターに魅力を感じるのだろうか。

『ねほりんぱほりん』コンカフェ、「かわいくなって認められたい」に感じるキャストの心の闇

 お客さんにはオタクが多いが、キャストには「“元3軍”の人が多い」というのがヒヨリさんの意見。ヒヨリさんは「1軍は生まれながらにしてかわいいから、女子アナ目指したりとか女優になったりして。2軍は勉強や運動ができて、外見以外に強みがある人たち。3軍は外見とかにコンプレックスがあって、努力してなんとかかわいくなって遅咲きのかわいさを手に入れる、みたいな」と、独断と偏見に満ちたヒヨリさん的スクールカーストを解説。「そのリベンジをしようとするのがコンカフェっていう舞台」と持論を展開した。

 ヒヨリさんいわく、「特別じゃない人間ができるのは、外見や若さの切り売りでチヤホヤしてもうらうっていうことだけ」。その考えに則って、ヒヨリさんは「かわいくなって認めてもらおうと思って整形しました」とのこと。かなり偏った考えで、ヒヨリさんの闇を感じるが、「目とか鼻とか口とか、あわせて200万円くらい。変わりましたね、男の子が大学でもチヤホヤしてくれたり」と本人は満足げだった。

 だったら大学でリベンジできているのでは? と思いきや、ヒヨリさんは「できない」と断言。「大学っていうのは、サル山でいうなら結構大きな山。サル山の大将になれるのはミスコンだったり飲みサーにいるような人たちで、やっぱそれはムリなので。まぁ、コンカフェっていう小さい山の大将でいようかなって」とのことだった。

 コンカフェに来るお客さんやコンカフェ自体を見下しつつも、自分のアイドル願望を簡単に満たせる場所として受け入れているようだ。「そんなに見下しているなら、もっと高い山を目指したらどうだ……?」と思わないでもない。

 キャストには30歳を過ぎてもコンカフェでしか働いていない人も多いそう。マイさんは「そういう人たちのことを『コンカフェゾンビ』って呼んでるんですけど。かわいい文化にハマり続けて、抜け出せなくなった悲しき世界のモンスター……」とモンスター扱い。

 ヒヨリさんも「1店舗に2人はいますね」と同調し、「(三十路過ぎのキャストは)昔のモデルの、今ははやっていないようなブランドカバンをボロボロになっても大事そうに持ってたり。あと、頬のもたつきとか、明らかに年齢が違うなって」。コンカフェゾンビをかなり見下しているようだった。

 「私はフツーに、大学卒業したら就職しようかなって思ってます。でも(キャストを)辞めるつもりはなくて、兼業というか。兼業なら一応メインのお昼のお仕事は持っているので人にも言えるし、ゾンビじゃないなって自分的には思ってて~」と語るヒヨリさん。

 しかし、ここまでのヒヨリさんの考え方の偏り具合から判断するに、ヒヨリさんは確実に数年後、後輩キャストから「コンカフェゾンビ」と陰で呼ばれる存在になるであろう……と筆者は予想する。

『ザ・ノンフィクション』満身創痍の56歳ストリッパー、その“オタク”たちに思うこと

『ザ・ノンフィクション』あらすじ

 星愛美、56歳。ストリッパーの中では国内最高齢と言われている。ストリップ劇場の興行は一劇場につき10日間で、愛美は大きなスーツケースと共に、全国の劇場を巡る日々を送る。愛美の熱心なファンたちは「星組」と呼ばれ、女性ファンも多い。

 愛美の「神々しい」とも言われるステージでの姿や、星組、番組スタッフ、後輩ストリッパーに対する穏やかな物腰からは想像できないが、かつて愛美は相当な非行少女で、暴走族に入り15歳までに2度の人工妊娠中絶、19歳で結婚するも死産の末、21歳で離婚。AV女優、ストリッパー、水商売と職を転々とし、45歳でストリッパーとして再出発した。信じていた人に騙され、借金を背負ったこともあったという。

 また、愛美は37歳でがんを患い子宮を摘出。その影響により自力で排尿ができないため、カテーテルを持参して巡業を行っている。さらにがんが転移したリンパ節も除去したため、内ももがリンパ浮腫でむくんでしまうという。ステージではエネルギッシュな姿を見せる愛美だが、腰や背中にも痛みを抱え、舞台裏では膝を曲げるのもままならないよう。愛美は自身の進退について考えており、「痛々しくてもう見ていられないようなステージだったら、身を引くしかない」と番組スタッフに話す。

 愛美と同じく、星組の中にも満身創痍の人がいる。大腸がんのステージ4と診断された長崎在住のスーさんだ。警察官を定年退職したスーさんは、10年前に旅先のストリップ劇場で愛美の踊りを見て、それ以来フォトブックを作るなど、熱心に愛美の「推し活」をしていたが、病状の悪化で手も荒れ、愛美の踊りに合わせ手拍子をするのもつらいという。ストリップ劇場を訪れた際も、愛美のステージ以外はロビーの椅子に座っていた。

 2022年5月、愛美のホームである大阪、晃生ショー劇場で愛美の誕生日イベントが行われる。「スーさんは体調から来られないのでは」と愛美は話していたが、劇場に現れたスーさん。終演後、愛美はスーさんを見送り、スーさんは「ほかの劇場での愛美の公演を予約しているが、行けないかもしれない」と告げる。どうやら、これがスーさんと愛美の最後の別れだったようだ。

『ザ・ノンフィクション』星組に感じた“オタク”としての共通点

 私自身は二次創作をする“オタク”なので、畑違いではあるのだが、星組の人たちにはオタクとして通ずるものを感じた。

 番組内では、女性ファンからと思われる、色とりどりの封筒に熱心な思いがつづられた愛美への多くのファンレターが映されていたが、思いをしたためられずにはいられないオタクの気持ちはとてもよくわかる。本人に手紙を出さずとも、SNSで同様のことをしているオタクは星の数ほどいる。

 また、スーさんは愛美の公演を地元の長崎から足しげく訪ねていたのだが、一方で「周年イベント」などイベントごとはあまり好きではなく、通常のストリップのステージを中心とした推し活だったそう。スーさんのオタクとしてのスタンスは、個人的に「同じだ」と思った。

『ザ・ノンフィクション』ファン交流が好きなオタクと、興味がないオタク

 オタクにも流派があり、「ファン同士の交流に積極的な人」と「ファン同士の交流に消極的な人」がいる。星組の人たちを見ていても、おそらく星組を仕切っているであろうひこにゃんは「ファン交流積極派」であり、ファンの交流が多いイベントごとはあまり好きではないスーさんは「ファン交流消極派」であると見た。

 SNSでは「〇〇ファンの人たちってほんとに最高~」とつぶやくオタクをよく見るが、こういうオタクは「ファン交流積極派」だろう。ファンである「私たち」という意識も大切にする人たちだ。一方、私は推しがいればそれでいい「ファン交流消極派」なので、スーさんがイベントに参加したくない気持ち、わかる! とスーさんに伝えたいほどだった。

 ただこの「ファン交流積極派」「ファン交流消極派」は白黒はっきり分かれるものではない。私も積極的な交流は気疲れしてしまうので遠慮したいが、同担のオタクと温かな触れ合いがあれば当然うれしいし、オタクのつぶやきを見ること自体は大好きだ。何より、これはどっちがいいとか悪いというものではなく、オタクとしてのスタンスの違いにすぎないだろう。どこのオタクも、根本は変わらないのだなとうれしくなった。

 次週は今回の後編。スーさんの安否は、そして愛美の進退は。

『ねほりんぱほりん』元K-POPアイドル練習生のブラックすぎる実態【2022年シーズン7】

 NHK Eテレの人気番組『ねほりんぱほりん』のシーズン7が昨年10月7日よりスタートした。かわいらしいモグラの人形ねほりん(山里亮太)とぱほりん(YOU)が、ブタの人形に扮した“顔出しNG”の訳ありゲストに、聞きにくい話題を“ねほりはほり”聞き出す新感覚トークショーだ。

※本記事は『ねほりんぱほりん』シーズン7「元K-POPアイドル練習生」のネタバレをみます

『ねほりんぱほりん』元K-POPアイドル練習生、オーディションで「整形できる?」

 今回のテーマは「元K-POPアイドル練習生」。ゲストには、韓国人男性のキム・チョルスさんと日本人女性のななこさん(共に仮名・20代)の2人が登場した。

 現在、日本で大学に通うななこさんは、高校卒業後の約1年間、韓国・ソウルの芸能事務所に練習生として所属。キムさんは、現在、日本で作曲活動などを行っているが、高校3年生~19歳までの約2年間、別の事務所にやはり練習生として籍を置いていた。

 K-POPアイドルは、練習生になるだけでも難関。世界各国で開催される歌・ダンスの厳しいオーディションを突破しなければならず、多くの事務所で応募資格は10代に限定されているという。ななこさんは「高1から3年まで100回近くオーディションを受けた」ものの、なかなか合格できず、「目指していた3年間は毎晩、涙を流して。つらかったです」と振り返る。

 また面接では「整形できる?」と聞かれることも。「私は、整形は抵抗がなかったので……。ほかにも『学校辞められる?』とか『彼氏いる?』とか。相手(元カレ)がどのような写真を持っていて、それがのちのち流出して問題にならないかっていうのを気にしている」と面接での質問内容を明かした。

 一方、ラップが得意なキムさんは、ラッパーグループのメンバーを募集している事務所を見つけ、1回目のオーディションで即合格。「実力も大事なんですけど、(事務所との)方向性が合ったらすぐ入れたりとか。結構、運が大事だと思います」と語った。

『ねほりんぱほりん』元K-POPアイドル練習生、1カ月コーヒーだけの過酷なダイエット

 ななこさんいわく、K-POPアイドルになるには「スキルはもちろんなんですけど、頭身(のバランス)がすべて」。練習生オーディションを繰り返した3年間、ななこさんはスタイルがよく見えるようにと、毎日筋トレやダイエットに励み、「朝:サラダ・鶏むね肉、昼:サラダ・さつまいも、夜:なし」というメニューを続けたとそうだ。

 その努力が実って練習生になれた後も、ダイエットはエスカレート。ななこさんは、「だいたいは、身長-体重で120(がK-POPアイドルの理想)。私は163cmなので43kgを目標に頑張ってて、でも44kgの壁がどうしても越えられなくって。本当はよくないんですけど、コーヒー1日2杯だけで1カ月間過ごしていました」と明かした。もちろん倒れてしまったそうだが、「あそこまで自分は限界を迎えられるんだって、そのときはすごく達成感がありました」とのこと。しかし「ストレッチ中に肋骨が折れた」とも語っていたななこさんは、ほぼ確実に栄養失調である。

 ねほりんぱほりんスタッフが、別の韓国の芸能事務所社長に行ったインタビューによると、事務所に欲しい練習生は「言うことを聞く人」「会社が決めた方針についてこられる人」「完全に自分を捨てられる人」。ブラック企業の欲しがる人材そのもので、つまり事務所の方針に逆らった人は切り捨てられる厳しい世界のようだ。

 その厳しさの象徴が、毎月行われる「月末テスト」。「事務所の一番偉い人たちの前で1カ月準備した曲とかを見せる場」(キムさん)だそうで、その結果、即クビになることもあるという。キムさんは、親しくしていたメンバーが月末テストでクビになり、連絡もつかず消息不明になってしまった……という経験もあり、「テスト前は毎日朝まで練習」の日々だったそうだ。

 また、ななこさんの事務所の月末テストでは「ビジュアル審査」という項目も。「月末評価の当日の朝に、みんなでBLACKPINKさんとかが通われてる美容室に行くんですよ。ヘアスタイルだったりメイクをオーダーして、自己プロデュース能力っていうのも審査される項目がありました」と明かした。

『ねほりんぱほりん』元K-POPアイドル練習生、「倒産でデビュー白紙」「違約金100万円を取られる」

 練習生になれたものの、今は別の道を歩む2人。その理由はというと、キムさんは事務所の倒産、ななこさんは事務所の急な方針転換だった。

 キムさんは一度、デビューが決定。社長に「来月から音楽番組に出るから準備しておいて」と言われていたが、当月になっても音沙汰なし。そのうち突然、事務所の電気がつかなくなり、プロデューサーから「お前たちの社長は刑務所に行った」と知らされたそう。事務所は金銭問題で倒産していたことも同時に教えられたという。「もうTT(TWICEのTTポーズ)」と明るく振り返るキムさん。結局、自分たちではどうもできず解散に至ったそうだ。

 ななこさんも、事務所から「もうちょっとでガールズグループのデビューがある」「君がデビューに一番近い」と聞かされていたが、一転白紙に。「男の子の中で知名度ある方が2人入ってきて、その子を先にデビューさせようっていうので、事務所が女の子から男の子にシフトしちゃって」と事情を語った。韓国の芸能事務所は、男性グループと女性グループのデビューは数年おきであることが多いという。数年後もデビュー組でいられるのか不安になったななこさんは、そこで辞めることを決意した。

 2人とも“事務所都合”での撤退とも見えるが、ななこさんの場合は自己都合扱いに。韓国では、レッスン代・宿舎代・美容代などすべて事務所が払ってくれるが、自己都合で辞める場合は違約金を支払うという恐ろしい掟がある。ななこさんは「100万円を超える額」を請求されてしまったそう。「1カ月以内に払えって言われた」という冷たさに驚くが、ななこさんの頑張りを見ていた母親が払ってくれ、帰国できたという。

 そんなななこさんいわく、「自分を犠牲にしてまでも完璧であり続けられて、運をつかめる方がK-POPアイドルなのかな」。華やかなデビュー組の背後には、数えきれないほどのキムさん、ななこさんのような人がいるのだろう。今後、K-POPアイドルを見る目が変わってしまうことは避けられない。

『大病院占拠』櫻井翔は、演技がヘタなのか? ドラマ評論家が語る「欠点」と「持ち味」

 嵐・櫻井翔が主演を務める連続ドラマ『大病院占拠』(日本テレビ系)の第3話が、1月28日午後10時から放送される。

 『大病院占拠』は、櫻井演じる休職中の捜査官・武蔵三郎(櫻井)が、大病院「界星堂病院」を占拠した謎の武装集団「百鬼夜行」と攻防戦を繰り広げるノンストップ籠城サスペンス。

 同枠でスマッシュヒットを記録した唐沢寿明主演『ボイス 110緊急指令室』(同)の制作陣が集結した同作は、視聴者の期待値が高かったものの、実際にスタートしてみると、SNSでは櫻井の演技力への不満が爆発する事態となっている。

 緊迫したシーンが続く中、櫻井の演技が浮いて見えるのか、「笑ってしまう」「おままごとみたい」など、ツッコミが続出。中には、別の役者をキャスティングすべきだったという辛辣な意見も見られる。

 『木更津キャッツアイ』(TBS系)、『謎解きはディナーのあとで』『家族ゲーム』(ともにフジテレビ系)など、これまで、数々のヒットドラマに主演してきた櫻井。彼の演技力はプロの評論家の目にどう映るのか――今回、過去にサイゾーウーマンが配信した、ドラマ評論家・成馬零一氏の「嵐・櫻井翔『先に生まれただけの僕』で持ち味になった、役者としての『欠点』」という記事を再掲載する。
(編集部)


(初出:2017年10月30日)
嵐・櫻井翔『先に生まれただけの僕』で持ち味になった、役者としての「欠点」

 日本テレビ系で土曜午後10時から放送されている『先に生まれただけの僕』は、総合商社から高校に出向してきた35歳の青年が、校長として経営を立て直そうとする異色の学園ドラマだ。主人公の鳴海涼介を演じるのは、嵐の櫻井翔。脚本は木村拓哉が型破りの検事を演じた『HERO』(フジテレビ系)や、大河ドラマ『龍馬伝』(NHK)といった作品で知られる福田靖。

 福田の脚本は、明るい社会派とでも言うようなテイストで、少し癖のある型破りの変人キャラの主人公が周囲をかき乱しながら、問題を解決していくという物語を得意としている。本作も、商社マンが校長として学校の経営に挑むという物語を入り口に、今の学校が抱える奨学金制度やいじめの問題などを扱い、重たい題材を軽快に見せることに成功している。その意味で福田作品で一番近いのは、沢村一樹演じる医師が病院の立て直しを行う『DOCTORS~最強の名医~』(テレビ朝日系)ではないかと思う。

 しかし、普段の福田脚本にある全編を通しての喉越しの良さが、今作では感じられない。見ている時の緊張感も後味の悪さも普段とは段違いだ。理由はチーフ演出の水田伸生の演出だろう。坂元裕二・脚本の『Mother』(日本テレビ系)や『Woman』(同)を筆頭に、ハードな社会派ドラマを得意とする水田の映像は暗くて重苦しいものとなっている。

 福田のライトな脚本を、水田が重苦しく演出しているため、チグハグなところがいくつかあるのだが、それが予定調和で終わらない緊張感をドラマに与えていて、面白い相互作用を起こしているように思う。コメディ色の強い脚本家・宮藤官九郎と『ゆとりですがなにか』(同)を手掛けた時も、宮藤の軽さと水田の重々しい演出が相互作用を起こして面白いドラマとなっていたが、本作にも同じことがいえるだろう。

 とはいえ、軽さと重さという正反対の要請が脚本と演出から来るのだから、演じる役者は大変ではないかと思う。特に、櫻井翔が演じる鳴海というキャラクターはこの作風の象徴のような存在で、軽さの中に重たい内面が見え隠れする難しい役どころだ。そのため、演技のさじ加減が難しいと思うのだが、鳴海の中にある分裂した要素を見事に統合している。これは櫻井にしかできないことではないかと思う。

 俳優としての櫻井翔を初めて意識したのは2002年の『木更津キャッツアイ』(TBS系)だ。

 本作は5人の若者の青春群像劇で、櫻井が演じた「バンビ」というあだ名の青年は、1人だけ童貞で、他4人とは違って大学生でもあり、体育会系のグループの中に1人だけいる繊細で頭のいい醒めた男の子という立ち位置だった。しかし、実際に出来上がった作品では、そういうキャラ設定はあまり生きてなくて、仲間に溶け込んで一緒に盛り上がっている末っ子の弟分的な立ち位置となっていた。それはそれで、当時の櫻井の持つ初々しいかわいらしさが出てきて魅力的だったので結果オーライだったが、バンビを演じるには、当時の櫻井には演技力が足りなかったのだろうと今は思う。

 それは09年の『ザ・クイズ・ショウ』(日本テレビ系)にも同様のことがいえる。この作品で櫻井は、軽薄なトーンで人の心の闇をえぐっていく冷酷なクイズ司会者を演じた。ニュース番組の司会をやるような知性派の櫻井に、露悪的なトリックスターを演じさせたいという作り手の意図はわかるのだが、与えられた役柄の奥にある「凄み」を、櫻井が演じきれているとは思わなかった。

 櫻井の演技は基本的に軽くて平坦だ。その軽さは、例えば映画『YATTERMAN~ヤッターマン~』の主人公・ヤッターマン1号やドラマ『謎解きはディナーのあとで』(フジテレビ系)の皮肉を言う執事のような、記号的なキャラクターを演じる際にはすさまじいポテンシャルを発揮する。

 しかし、軽い振る舞いの中に複雑な内面を抱えた人間を演じるとなると、裏側にある奥行きをうまく出せず、単純に軽くて薄っぺらい人間に見えてしまう、ということが初期の作品では続いていた。

 そんな中、大きな転機となったのは13年の『家族ゲーム』(日本テレビ系)だろう。本作で櫻井は何を考えているのかわからない不気味な家庭教師を演じ、この役には今までとは違う説得力があった。これはキャリアを積んで、櫻井の演技力が上がったからともいえるが、櫻井が30代になったことも大きいのではないかと思う。

 櫻井と同世代にあたる、30代で頭角を現した若手政治家やベンチャー企業の若手社長といわれている人たちを見ていると、年齢よりも幼く見えて心配になるが、ネットの普及以降に思春期を過ごした人間が持つ、合理的な考え方とフットワークの軽さに可能性を感じることも多い。そんな彼らと『先に生まれただけの僕』の鳴海は重なるものがある。

 その意味で、櫻井が演じてきた頭でっかちな青年は、今の30代にとってはリアリティのあるロールモデルとなっているのだろう。櫻井の軽くて平坦な芝居は、かつては欠点だったが、今はその軽さこそが役柄の説得力につながっているのだ。
(成馬零一)

『ザ・ノンフィクション』やくざの妻だったママ、元ツッパリのマスターも「酒と涙と女たちの歌2 ~塙山キャバレー物語~ 後編」

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。1月22日の放送は「酒と涙と女たちの歌2 ~塙山キャバレー物語~ 後編」。

『ザ・ノンフィクション』あらすじ

 茨城県北部、日立製作所の企業城下町でもある日立市。全国チェーン系の商業施設や、飲食店が並ぶ国道沿いには、昭和で時が止まったかのような簡素な青いトタン張りのスナックや居酒屋が並ぶ「塙山(はなやま)キャバレー」と呼ばれる一画がある。60年ほど前に誕生し、現在は14軒が営業中だ。

 塙山のママたちは“人生のベテラン”勢が多いが、2021年に30歳で店を始めた若いママもいる。「あーちゃん」(以下カギカッコは店名)のママは、母親が精神疾患にかかり、誰にも話せず、家にも帰りたくなく塙山で酒を飲んでいたところ、「わいわい」のママに話を聞いてもらい、励ましてもらっていたという。

 「あーちゃん」開店の日、塙山のママたちは自分の店は開けっぱなしにして「あーちゃん」を訪ね、カウンターで酒を飲んだり、さらには自分の店の客を「あーちゃん」に行かせるなど、新米ママを歓迎する先輩ママたちの懐の深さを見せていた。

 先輩ママたちのバックグラウンドはさまざまだ。「わいわい」のママの夫はやくざの組長だった。安全のため夫から家に居ることを命じられ、籠の鳥状態で過ごしてきたという。ママが50歳を過ぎた頃に夫が亡くなり、やくざの世界とは縁を切って、これからは好きにやると水商売を始め、塙山キャバレーにたどり着く。今も、ママを慕う強面の男たちが、カウンターを囲むときもある。

 「酔った」のママは人見知りで、「嫌な人は嫌なんだもん」と話し、客のカラオケ熱唱に背を向けていることもあるが、客たちはそんな「塩対応」もたまらないようだ。ママの夫・静雄は大工の棟梁で、不自由ない暮らしをしていたそうだが、25年前に静雄が仕事で約1億円の負債を抱えることになる。ママに負担をかけないために離婚、いっとき音信不通になるも2人はその後、再会。静雄は75歳となった今も大工の仕事をしながら、日々、ママが営む「酔った」に通う。毎回それほど飲み食いはしないものの、お会計は一律5,000円だ。

 塙山には男性店主もいる。「永ちゃん」マスターは、料理は苦手でシシャモを魚焼き網に焦げ付かせてしまうが、塙山キャバレーのトタンでできた共同トイレに60年なかった換気扇を手際よく取り付けられる貴重な男手だ。

 「永ちゃん」のマスターは、塙山キャバレー最年長店主である82歳の「京子」ママの息子。高校時代はリーゼントを決めたツッパリで将来を危ぶまれていたものの、今は「永ちゃん」を切り盛りしつつ、昼間は大工のアルバイトと、かいがいしく働いている。

 なお、前編で内縁の夫を亡くし、店のやる気も失いかけた「ラブ」のママだが、塙山のママや客たち、また娘の支えもあり、店を続けている。

『ザ・ノンフィクション』百戦錬磨のママたちが見せた優しい顔

 前回21年の放送回では、当時30歳の「あーちゃん」ママが塙山で開業しようと準備し、先輩ママたちがそれを気遣う様子が伝えられていた。先輩ママたちは、普段は割烹着でタバコをくゆらせカラオケを熱唱し、酔客をこともなげにあしらう百戦錬磨の風格を漂わせているが、新米のあーちゃんママの開業準備を見守るまなざしは、娘の晴れ着姿を眺める母親のような穏やかで優しいものだったのが印象深かった。塙山に若いママが来てくれたのが、先輩ママたちにはよほどうれしかったのだろう。

コロナで変わった酒の飲み方

 新型コロナウイルスが蔓延しだしもうすぐ3年がたつが、「酒の飲み方」も大きく変わった。「オンライン飲み」はまさに新しい酒の飲み方だ。あれが苦手だと話す人も多いが、筆者は、いつでも寝られるし、退屈だと思うときはパソコンで堂々とほかのことをしていてもバレないし、安く済むし……と、いつまでもオンライン飲みの風習が残ってほしいと思うくらい気に入っている。

 オンライン飲みになじめなかった人はまた外に飲みに行くのだろうが、私のようにオンライン飲みになじんだ酒好きにとっては、「外で飲む楽しみ、外で飲む動機」がかなり薄れてしまっているのではないだろうか。外で飲めば、金はかかるし、出歩くために気合を入れないといけないしなど、デメリットを挙げればきりがない。

 一方で、「外で飲む楽しみ」は今回の前後編が教えてくれた。「人っていいな」としみじみ思うのはやはり、オンラインよりカウンターだ。

 21年の放送を見て「絶対塙山キャバレーに行く」と決めたが、コロナ対策で塙山キャバレーの営業が不明瞭な時期もあったこともあり、ずるずると2年近くたってしまった。前編で、火事を起こした元ラーメン屋・のぼるが亡くなったと伝えられたが、永遠はない。日立に連泊し、塙山キャバレーハシゴ酒ツアーを今年春に行いたい。

 次週は「ザ・ノンフィクション 私が踊り続けるわけ2~56歳のストリッパー物語~前編」。日本最高齢・56歳となるストリッパー・星愛美。彼女に魅せられたファンは「星組」と呼ばれ、星組同士の絆も深い。一方で、星自身も体力の限界を感じており……。前回の星や、星組の様子はこちらから。