『ザ・ノンフィクション』ゲーム芸人・フジタの壮絶半生、稀に見る“胸糞”にネット怒号

 数万本のゲームソフトを持つゲーム芸人・フジタが、フジテレビ系のドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』に10月23日、30日の2週にわたって登場。あまりにも不条理な身の上に、ネットではフジタに対する同情の声と、周囲の人間に対する怒りの声が渦巻いている。

『ザ・ノンフィクション』がフジタを取り上げたのは、彼が特異な人生を歩んできたからだ。まず、フジタの両親は再婚同士。2…

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『ザ・ノンフィクション』「聞き屋」がネットで話題に…テレビの定番になりし“ニート密着”の是非

 日曜昼の硬派なドキュメンタリー番組として知られる『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。9月11日の放送では、名古屋の路上で無料の“聞き屋”をする男性に密着した「話を聞いてくれる人 ~空っぽの僕が生きる意味~」が放送された。続きを読む

戦う人々を描き続ける原一男が新作『水俣曼荼羅』に込めた思い

 総上映時間6時間12分、休憩2回の3部構成、一回の料金は3900円。規格外のスケールのドキュメンタリー映画が、日本各地の映画館を巡回している。

 タイトルは『水俣曼荼羅』。監督は原一男。『ゆきゆきて、神軍』『さようならCP』などで知られるドキュメンタリー界の鬼才だ。

 権力や差別など、社会を取り巻く不平等や理不尽と戦う人々を描いてきた原が、今回題材としたのは「水…

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『ザ・ノンフィクション』“山奥ニート”の出産・子育てに密着、あの婚活女性回以上にスゴかった?

 今年1月、婚活に励む30代女性を取り上げ、大きな話題になったばかりの『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。結婚相談所に登録する婚活女性・ミナミさんにネットは騒然としたばかりだが、20日放送の同番組も話題になった。

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菅首相の素顔に迫る映画『パンケーキを毒見する』がゾッとしながら笑える理由

 2021年7月30日より、菅首相の素顔に迫った政治ドキュメンタリー映画『パンケーキを毒見する』が劇場公開される。

 まず、本作は今の政治のさまざまな問題について、「何となく知っている」もしくは「あまり興味がない」くらいのスタンスの方にこそおすすめしたい。そうした層に向けた視点が多く、そられが非常に「フェア」であり、なおかつ小難しさがない、「ゾッとしながら笑える」ブラックコメデ…

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NHK『秋葉原無差別殺傷事件』同じ境遇だった元同僚が自問し続ける「加藤智大と自分の違い」

 NHKのドキュメンタリー『事件の涙「“君の言葉”を聞かせてほしい~秋葉原無差別殺傷事件~」』が話題を呼んでいる。

 2008年6月8日、休日の秋葉原の歩行者天国にトラックが突っ込み、乗っていた男が人々に襲いかかり、死者7人、負傷者10人を出した秋葉原無差別殺傷事件。その場で現行犯逮捕された加藤智大(当時25)は派遣社員だったことから、派遣労働や格差社会の問題、また人間関係の希薄さなどがその原因として語られたが、裁判で加藤が語った「ネット掲示板の『なりすまし』に腹を立てて事件を起こした」という理由に世間は納得できないままでいる。

 一方、事件前に加藤がネット上に書き込んでいた世の中への不満を訴える言葉は、11年たった現在でも拡散され続けている。

「現実でも一人、ネットでも一人」

「勝ち組はみんな死んでしまえ」

「他人に仕事と認められない底辺の仕事ですから」

 社会から孤立し、生きづらさを抱えた人たちが、加藤の言葉に共感している――番組では、そんな現状に疑問を覚え、事件と向き合い続ける2人を追った。

 被害者のひとりで瀕死の重傷を負った湯浅洋さん(65)は、獄中の加藤に手紙を送り続けているが、納得できる回答は得られていない。目の前の人たちを助けられなかったという後悔の念から事件の真意を知りたいと願う湯浅さんだが、理由はそれだけではない。加藤と自分の子どもが同じ年ごろということもあり、「死刑執行までに一人の人間としての言葉を残してほしい」と、複雑な心境を吐露する。

 一方、加藤と同じ職場で働いていた大友秀逸さん(43)は、同じ境遇にいた自分と加藤の違いはなんだったのか、自問し続けている。

 16年前、非正規社員として警備の同じ班に配属された2人は、深夜に交通誘導の仕事をしていた。ドライバーから罵声を浴びせられたり、空き缶をぶつけられたり、といったことも日常茶飯事だった。

「人生の中で一番つらかったというのは振り返ってみて思うし、人として扱われていなかった感があった」(大友さん)

 帰り道、同僚への愚痴、ゲームの話、職場の女性への淡い思いなど、たわいない話を語り合っていたという2人。友人と呼べる関係ではなかったかもしれないが、苦楽を共にしたことで仲間意識は強かったようだ。

「傷のなめ合いかもしれないし、同じ弱者で頑張っているよね、っていう慰め合いかもしれない。こんなひどい会社だけど、お互い頑張っているよねって」(同 )

 その後、会社を辞めた加藤の名前を久々に聞いたのはテレビの報道だった。同じ境遇にいた元同僚が多くの命を奪ったことにショックを受け、まったく眠れない日が続いたという。

「なぜ凶行に至ったのか、聞きたいことは何十時間あっても足りない。あまりにも聞きたいことがありすぎて、その思いを込めて全力でぶん殴ってやるということしかない」(同)

 大友さんは事件後、正社員として採用され、今も当時と同じ仕事を続けている。社会への不満を抱きつつも、仕事に打ち込んできた大友さんと加藤を隔てたものは、加藤の“弱さ”ではないかと言う。

 4年前に死刑判決が言い渡され、現在は東京拘置所に収監されている加藤。昨年、獄中で発表した詩「ファイナルラップ」には、事件前の書き込みと変わらない、自己中心的な一面が垣間見える。

「他者(ひと)楽しませ生きがい増し それ奪ったのが成りすまし」

「気にしていない顔の美醜 望んだのは居場所の補修」

「絞首刑かかって来いや 首に食い込む錆びたワイヤー」

 今年5月に起きた川崎の無差別殺傷事件では秋葉原事件との共通点が取り沙汰されたが、もしも加藤にネット以外の居場所があり、彼の不満に共感してくれる人がいたら事件は起こらなかったという指摘もある。11年たっても、加藤と同じような孤独を感じる人がたくさんいるという現実、そしてそういった人間をつなぎ留める手段を、いま一度考え直す必要があるだろう。

“Made in Japan”の知られざる真実……NHK『ノーナレ』今治タオル工場で働く技能実習生が過酷労働を告発!

 24日に放送されたNHKのドキュメンタリー番組『ノーナレ』が話題を呼んでいる。今回、番組では技能実習生として縫製工場で働いているベトナム人女性からのSOSを受け、その実態を取材。劣悪な住環境の下、低賃金で長時間労働を強いられる彼女たちの日常が明らかとなった。

 告発者は、ベトナムでは洋服を作る会社で管理職として働いていたティエンさん(30)。日本で縫製の技術を学ぶため、1年半前に75万円の借金をして技能実習生として愛媛にやってきた。職種は「婦人子ども服製造」だったが、実際はタオルの縫製で、朝7時から夜11時まで、たった15分の休憩だけで働かされている。毎日、厳しいノルマが課せられ、それが終わらなければ翌朝4〜5時まで働くこともあるといい、「このままでは人が死んでしまう」と、番組スタッフに連絡を取ったという。

 寮は工場内にあり、光熱費含めて3万円。窓がないため昼間でも暗く、28人が身を寄せ合って生活している。もちろん、プライベートな空間などなく、4つ並んだむき出しのシャワーには仕切りもない。

 社長は毎日のように彼女たちを怒鳴りつけ、「(ノルマが達成)できないならベトナムに帰国させる」と脅している。

 そんな中、番組スタッフは技能実習制度の改善に取り組む神戸大学の斉藤善久准教授と共に社長と交渉し、その結果、ティエンさんを含む4人が、佐賀県内のシェルターによって保護されることとなった。

 会社を離れたティエンさんたちの表情には明るさが戻ったが、彼女たちが保護されたことで、社長は態度を硬化。工場に残る実習生の1人から、再びスタッフにSOSが届く。役所の調査が入った時に備え、作業報告書は書かなくなり、これまでの記録はすべて廃棄。さらに、社長に懐柔されている実習生2人が、ほかの実習生を監視しているという。

 そんな中、ティエンさんたちの情報で、役所は会社への立ち入り検査を実施。今回SOSを送ってきた4人も新たに保護された。

 労働基準法および技能実習法違反で調査は続いているものの、最初の保護から7カ月たった6月現在も、会社は変わらず操業。さらに、工場に残った実習生の一人が脳出血で倒れ、現在も意識不明の状態が続いているという。

 番組内では言及されていなかったが、この会社は今治タオルを製造しているとみられ、放送後は視聴者から批判が殺到。「まさに現代の蟹工船」「今治タオルは高品質だから、日本のブランドだからと贔屓にしてた自分が恥ずかしい。外国人実習生からの搾取によりブランドが維持されているなんて知らなかった」「国産の今治タオル、そう、その質の割に安いとどこかで思ってた。こんな辛い思いをしていた外国人技能実習生がいたとは」「今治タオル、不買運動起きても仕方ないな」「日本人として愛媛県民として、恥ずかしすぎるよ」といった意見が噴出している。国産ブランドとして名高い今治タオルが、実習生たちの過酷労働によって支えられているという事実に衝撃を受けた人が多かったようだ。

 番組によると、2018年に日本にやってきた技能実習生は約32万8,000人(うち8万3,000を人がベトナム人)。国際貢献を建前としているが、その実態は実習という名のもと、低賃金・重労働に就かされるケースが少なくない。また、事業主によるセクハラや暴力も横行しており、自殺や事故死も後を絶たない。実習生の多くは来日にあたって多額の借金を背負っており、ティエンさんは第三者のサポートで無事に再就職先が見つかったが、制度上、ブラック企業につかまってしまっても、在留資格が会社とひも付けられているため、勝手に辞めたり、職場を変えるのは難しいというのが現状だ。

 こういった実習生をめぐる問題はたびたび報道されているが、”Made in Japan”の裏に隠された真実にも、しっかりと目を向けるべきだろう。

『ドキュメント72時間』風番組で鮮明になったフジテレビの個性 “撮れ高”を前に興奮するスタッフたち

 3月27日深夜、フジテレビで『東京ハリコミ3ヶ月』なる番組が放送された。年中無休24時間営業の定食屋、街の公衆電話、浅草の花やしき、奥多摩にある秘境駅に数日間張り込み、行き交う人々の生態を観察するのが、この番組の趣旨だ。

 あからさまに既視感がある。NHKの人気番組『ドキュメント72時間』が、真っ先によぎるのだ。ある1つの場所で72時間(3日間)にわたり取材を行い、その場所で見られる人間模様を定点観測するのが、あの番組のコンセプト。かなりの部分で趣旨が重なっていると言っても差し支えないだろう。

 しかし、コンセプトが同じだからこそ、両局の手法の違いはくっきり鮮明になった。

 

■一般客にインタビューするスタッフの質問に込められた悪意

 

『東京ハリコミ3ヶ月』は、新宿にある年中無休の定食屋の店内に昨年の大みそかから定点カメラを設置している。ここまでは『ドキュメント72時間』と変わりないが、基本的に傍観者の立ち位置を崩さぬNHKの手法をフジテレビは踏襲しない。

 夕方からお酒を飲み始めた真面目そうな大学生へ、番組スタッフは取材を申し込んだ。「今、彼女はいらっしゃいますか?」という質問に、大学生はスマホを手にしながら「彼女はこの中に」と返答。待受画面に写っているのは、初音ミクである。

大学生 初音ミクです。
スタッフ いやいやいや、彼女じゃないじゃないですか。
大学生 いや、考えようによっては彼女なんじゃないですか(笑)。

「ミクさんとドライブして霧ヶ峰とか。一昨年はヨーロッパを回ってきました」と、初音ミクとのデートを振り返る彼にかぶさるのは、「ミクさんとのデートはドライブが多い」というテロップ。この演出に意図が込められていることは明白だ。

 大学生は、ヨーロッパ旅行で撮った画像も見せてくれた。そこには、シェーンブルン宮殿の前でポーズを取る初音ミクの姿がある。

スタッフ あれ、2人では写んないんですか?
大学生 ……ちょっと、まあ、システム的に厳しいですかね(苦笑)。
スタッフ システム?
大学生 まあ……。

 質問にもテロップにも編集にも、意図を感じる。それは、率直に「悪意」と呼んでよい種類のものである。

 

■確実な撮れ高に興奮するスタッフたち

 

 この定食屋には、際立った個性の常連客が存在する。女性のビキニ水着姿で来店する男性がいるらしいのだ。

 このウワサをキャッチした番組スタッフは、待ち続けた。なるほど。傍観者的立ち位置を意識するNHKとは違い、おいしいところを収めようとする欲を感じる。テレビ制作者として、当然の感情だろう。

 通称「ビキニさん」が現れるや、「来た、来た!」と興奮を隠せないスタッフたち。そして「目の前にビキニさんが現れました(笑)」と小声で実況する男性スタッフ。当然、番組はビキニさんにインタビューを申し込んだ。

スタッフ ビキニさんは男性ですか?
ビキニさん ……そうです、おっさんですから。
スタッフ ご家族は?
ビキニさん います。奥さんが1人と娘が3人、息子が1人。

 番組スタッフは、店を出て夜遊びするビキニさんに付いていった。冬の夜、新宿をビキニで闊歩する彼を見て振り返る街の人たち。「寒くないですかー?」「風邪引くなよー!」と声を掛ける男女を、カメラは逃さない。

 そのまま、2丁目のバーに訪れたビキニさん。もちろん、共に番組スタッフもお邪魔する。もはや「ハリコミ」ではなく「追跡」の格好だが、撮れ高が確実なのに付いていかない手はないだろう。

 番組を良くしたいがために、意図やツッコミや演出を盛り込むことも厭わないフジテレビ。軸がブレないよう留意し、スタンスを決して崩さないNHK。両者の手法が異なるのは当然で、むしろ同じ方が異常だ。

 あくまで“普通の人”の姿をカメラに収めるNHK。特異で際立った人をフィーチャーし、闇鍋のように紹介するフジテレビ。バラエティやドラマではなく、ドキュメンタリーでこそ差異が露わになったところが面白い。

 なんだかんだ、フジテレビもドキュメントは得意だ。これが、フジの手法である。
(文=寺西ジャジューカ)

「別れさせ屋」「スクープ記者」を完全再現!『99%ノンフィクション』で、逆に浮かび上がった“狩る側のリアル”

 23日深夜、テレビ朝日で、少し変わったタイプのドキュメンタリー(風)番組が放送された。『99%ノンフィクション』と題されたこの番組は「ワケあって世間に顔を出せない人物を役者が演じ、その実態を完全実写化するというノンフィクションに限りなく近いドキュメンタリー番組」とのこと(MC談)。

 あえて雑に言わせてもらうならば、顔を出せない特殊なプロフェッショナルたちの仕事っぷりを、多少豪華な役者を使って再現VTRにして見せる番組だ。

 しかし、この番組が他の再現ものと違うのは、プロフェッショナル本人から「再現VTR」の元となるエピソードを聞き出すインタビュー取材の部分も役者が再現をし「密着ドキュメンタリー風」に演じて見せるというところだ。最近日本でも増えてきたフェイクドキュメンタリーの一種と言えるかもしれない。

 役者は、元となる取材映像を事前に「顔出し」で見ており、それに寄せて役作りをしているので、普通はモザイクがかかるはずの表情がわかり、見やすくなる。

 同じように顔出しできないディープな状況の人物を紹介する番組『ねほりんぱほりん』(NHK Eテレ)が、対象をぬいぐるみとしてキャラクター化し、表情を見えるように(見えているかのように)したのに対し、この番組は影武者に対象を演じさせ、模倣とはいえ本物の表情を与え可視化した。

 そして、ネタ満載な職種にもかかわらず、過剰な演出やドラマ仕立てにはあえてせず、どちらかというと、その変わった仕事内容を淡々とドキュメンタリータッチで見せることで、その特殊性を浮き立たせ、さらにそれらを当たり前のように語る人物そのものに焦点が当たるようになっている。

 今回焦点が当てられたのは、2組の特殊なプロ。

 

■数百組の男女を別れさせた「別れさせ業」工作員

 

 この仕事は、依頼されたターゲットに近づき、男女関係を壊すプロ。「別れさせ屋」という仕事があるとのウワサくらいは聞いたことがあるかもしれない。多いのは不倫や浮気がらみの案件で、今回もある妻(依頼主)からの、「夫が不倫してるから相手の女性と別れさせて、元の結婚生活に戻してほしい」という依頼。

 探偵や興信所なら実態を調査し、報告して終了なのだが、「別れさせ屋」は実際にターゲットに接触、あの手この手で「別れさせ」を実行、もちろんそれが依頼主の差し金であることに気付かれることなく秘密裏に行わねばならない。

「依頼主から吸い上げた情報を元にして、対象に合わせた効果的な作戦を立て、私たち工作員が近づいて……」

 女優・相楽樹は、この工作員歴7年だという橋本未来(仮名・27)になりきってインタビューを受け、取材されているがごとく仕事内容を説明する。

 このあと実際に、どのようにターゲット(夫)に接触し、不倫相手と別れさせたかという手口が、インタビュー取材を元にした「密着ドキュメンタリー風」で再現されるのだが、相楽演じる橋本以外にはモザイクがかかったり、時に隠しカメラの映像っぽく撮影するなど、リアルな臨場感がよい。

・ターゲット(夫)と不倫相手の女性がデート中のスポーツバーに入店、試合の盛り上がりに乗じて、さりげなく会話する(ただし女性側としか話さない)

・後日、その女性だけを誘って飲みに行き、そこに仲間の工作員である男性(おそらくイケメン)を連れて行き、その女性とくっつくように仕向ける

・その女性の気持ちを完全に工作員の男性に向けさせ、ターゲットの夫から「剥がす」ことで、夫は妻のもとに戻る

 という段取りらしい。

 途中途中で、実際に橋本本人が取材で語った内容を、相楽がなりきって語る様子が差し込まれたりして、まさにドキュメンタリーぽい。

「これって今回は失敗なんですか?」

「いえいえ、全然失敗じゃないですよ、私、今まで失敗したことないですから。大門未知子(ドクターX)じゃないですけど(笑)」

「女性としか話してませんでしたよね?」

「だって今回は女性の方と仲良くなる目的だったんで。今回、私は橋渡し的な、つなぐ役割ですね」

 冗談の入れ具合が生々しいのは、まさに本人がインタビューで語ったままを台本に入れ込んでいるからだろう。時折、本人(モザイク付き)のインタビュー取材時の映像も差し込まれるが、同じようなことを言っている。

 他にも、元彼がストーカー化し、いわゆる「リベンジポルノ」で脅してきて復縁を迫って来るという厄介な案件では、その元彼に女性(橋本)がさりげなく接触、本気で好きにさせてから、その後「橋本が嫉妬し、怒ったフリをして」依頼主の写真などを消去させるという手口が紹介される。『インファナル・アフェア』(2002)も真っ青な潜入捜査だ。

 単に「警察に行けば?」との意見もあるかもしれないが、見られたくない写真を証拠として警察に提出したくなかったり、警察が動くことで元彼にヤケになって写真をばら撒かれたりすることがないようにしたいので、別れさせ業に依頼してくるケースが少なくないという。その手口も生々しい。

・自転車のチェーンが外れたフリをしてうずくまり「たまたま」通りかかった「元彼」に助けを求め接触

・背後から近づいてくる「元彼」にタイミングよく振り返り声をかけられるよう、仲間の工作員が車からハザードで合図を出す

・その時はあえて連絡先を聞かず、後日偶然を装い仕事帰りに「たまたま」再会し、「運命」を意識させる

・写真を消去してしばらく後、また別の女性工作員が「元彼」に近づき、親密になり橋本とは別れる、こうやって依頼主の存在をどんどん過去に追いやってから、完全に別れる

・依頼料金は1件につき数十万から

 そして、もう一組の顔出しできない人物の仕事とは……。

 

■現役の芸能スクープ記者

 

 こちらは先ほどの別れさせ業に比べると想像しやすく、ある意味「身近」な職種なのかもしれない。しかし、記事になる前の細かい様子は、さほど知られていないだろう。

「今日はね、クラブへ行こうかと思って、うん、実は某有名俳優が女遊びしてるってウワサがあって、今からその現場を確かめてみようかなって」と、記者歴11年の現役記者・下山明雄(仮名・35)に扮して語るのは役者・福士誠治。

 信頼できる協力者(女性)とクラブに行き、VIPルーム付近で取り巻きにナンパされるように協力者に指示、見事に協力者はナンパされ、ルーム内に潜入。ターゲットの俳優の女遊びの有無を確認する。

 先ほどと同じく、これをこっそり密着取材してる風に再現化。そこにリアルな情報を散りばめる。

・メイクやスタイリスト系の人はネタ情報の宝庫。競合タレントを失墜させるため、他社マネジャーからもネタが入る

・通話のふりしてスマホで撮影、車のワイヤレス・キーに見立てた隠しカメラで撮影などの手口紹介

・各編集部によって触れられないネタがあるので、他の編集部に売ることも

・ヘルメットと作業服を車内に置くことで、張り込み中に警戒されにくくなる

・撮られたタレントの事務所との駆け引きで、ちゃんとしたメイクやスポンサーに配慮した持ち物で撮り直しすることもある(スマホやドリンクなどのCMに出演している場合)

・大きいスクープで1本15万から20万の報酬(経費やカメラマンへのギャラはそこから捻出)

 別の案件では、男とホテルで密会しているある女優への突撃取材中、わざと仲間割れのごとくカメラマンと揉め出し、撮影をやめるよう指示、さも自分は味方のような顔して接することで相手の態度を軟化させ、自分にだけ真相を語らせる手法も再現されていた。

 この手口は、取り調べなどでもよく用いられる懐柔術だが、編集部によっては遠くから刺激しないように撮影するなど、それぞれ方針が異なるという。

 

■他人の人生を動かせるという力

 

 別れさせ業の際にも言った通り、要所要所で、顔にモザイクのかかった「プロフェッショナル」本人の取材映像が、わずかながら盛り込まれており、その本人テイストを垣間見せつつ、役者演じる再現を見せる。

 両者を見比べても、髪をさわる癖だったり、しゃべり方だったり、外見的な部分を役者が意識的に演じていることがわかるのだが、今回もっとも印象的だったのは、どちらの本人映像からも、その「業績」を語っている快感のようなものが垣間見られたこと、そしてその点だけは演技のプロである役者の芝居が追いついていなかったことだ。

 これはもちろん想像だが、どちらの「本人」も「人の人生を手玉に取れる」「自分次第で他人の生活に大きな影響を与えられる」という性質が強い行為を生業としているため、お金以上の喜びをもって働いていると思われる。

 仕事柄、おおっぴらに「語る」ことが許されない立場だけに、禁断の「語り」を許可され、しかもその「業績」を面白がり、ありがたがってくれる状況下で、その快感に酔う姿がより多く映し出されてしまったのではないか。

 記者の方(本人)にいたっては「スクープを撮ることはセックスよりも気持ちいいと思っている」と明言していたほどだ。

 しかも、他人の生活を手玉に取れるほどの「力」を持つ仕事をしていながらも、自分自身にスポットが当たることには慣れていないため、普段の職務中には出さないであろう「自分」へのガードが下がる。

 MCやゲストの芸能人(バカリズムや伊集院光など)も、多分に「影響力」や「快感」を持ち合わせる仕事である。

 だが、彼らは同時に「見え方」に対する警戒心や、チヤホヤされながらも、むしろ「狩られる側」であるという認識も強く持ち合わせているはずだ。

 以下は、別れさせ業の橋本(本人)がこの仕事をしていての罪悪感を問われた時のインタビュー受け答えと、相楽が演技でそれを模した受け答えだ。

・相楽演技「……でもあまあ、仕方がないですよね……世の中の人たちって、全員が全員ハッピーでいられるってことは、そんなにないと思うんですよ……」

・橋本本人「仕方がないですよね。それで成り立ってる世の中なんで、全員がハッピーで回ることは無理だと思います」

 ちょっとした匂いの違いが気になった。

 相楽の芝居の甘さと言ってしまえばそれまでだが、芝居では出せない、この仕事を経験しているからこそ特有のアクのような、自信のようなものが断定口調の中から沁みでていた。

 同じくこの仕事への罪悪感の有無を問われたスクープ記者(本人)は、

「撮られるようなことを、まずするな!」

「自分自身で罪悪感を感じろっていう風に(芸能人に言いたい)」

 と強い口調で断言。そう思っていないとできない仕事なのだろうし、むしろ意図的に自身を鼓舞しているのかもしれない。

 役作りのため記者本人の「顔出し」インタビュー映像を見たという福士は、スタジオでのアフタートークで「ほんのちょっとだけなんですけど」と前置きしながらも「腹立たしいんですよ」「狩る側で、追われてる側じゃないんで、態度も大きめ」だとコメント。確かにそれを踏まえ意識して演じていたようだが、比較するように挿入される本人部分と見比べると、残念ながらその「腹立たしさ」は本物より劣ってしまっていた。

 おそらく役者のなりきりぶりを対比させる尺度として「本人映像」は差し込まれたと思うのだが、結果的にはオリジナルの持つ、模倣しにくいアクのようなものを際立たせる結果となった。

 本人のみの従来のドキュメンタリーだとしたら、さほど気にならなかったかもしれない部分だけに、興味深く見せて頂いた。この企画は『笑×演』の特別枠としてお試し的に放送されており、これ自体を番組化するのかはまだわからないが、次回からも演じ甲斐のあるアクの強い「ご本人」に登場して頂きたい。
(文=柿田太郎)