日本でも『巌窟王』として有名なアレクサンドル・デュマの名作『モンテクリスト伯』(1841年)を現代の日本を舞台に「翻訳」ドラマ化した『モンテ・クリスト伯 ─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。いよいよおディーン様がモンテクリスト伯となって舞い戻る第2話は5.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と微増。振り返りましょう。
(前回までのレビューはこちらから)
■浦島太郎状態の暖
前回の2003年から14年たった17年。一人のホームレスが港町・浜浦町に現れる。腰近くまで伸び切った白髪、ボロボロすぎる衣類に裸足。無実の罪で投獄されたラデル共和国の監獄から脱獄し、舞い戻ってきた紫門暖(ディーン・フジオカ)だ。どうやら船を操り、密入国してきたらしい。更地になっているかつての実家の前で力果て倒れていたところを守尾信一朗(高杉真宙)に助けられる。
暖が平和にこの町で暮らしていた当時、世話になっていた守尾漁業の社長・守尾英一朗(木下ほうか)の息子が信一朗だ。第1話では小学生姿の幼い信一朗が、暖と仲良さげにしており、暖は後に気づくことになるが、信一朗は変わり果てたその老人(に見える)が暖だとは気づかない。
恩人である英一朗は病気で入院中らしく、信一朗はその後を継ぎ、融資も受けられず赤字続きの守尾漁業を立て直そうと奮闘していた。
暖が信一朗から聞いたのは、暖の母・(風吹ジュン)が一人自宅で餓死し、2カ月も誰にも発見されなかったという、つらすぎる現実。
さらに、婚約者のすみれ(山本美月)が暖の親友・南条幸男(関ジャニ∞・大倉忠義)と結婚していたことを知り、ショックを受ける。幸男は俳優として成功し、大スターとなり、すみれも売れっ子料理研究家として、週刊誌に取り上げられるようなセレブ夫婦になっていた。
その事実を、かつてすみれが切り盛りしていた喫茶店で、今はカラオケスナックとなった店のホステスから聞いていた時に、酔って暖に絡んできたのが寺角類(渋川清彦)。暖は帰り道に、寺角から力ずくで真相を聞き出す。
寺角によると、母を騙し、実家の土地を巻き上げたのは、かつての暖の同僚の漁師・神楽清(新井浩文)。それをきっかけに神楽は不動産で成功したという。
さらに前話で暖は亡くなった船長(テロ組織とつながってるとのウワサがあった)から手紙を託されていたのだが、神楽が「暖がやべえ手紙持ってるから通報しよう」と陥れる話を持ちかけ、幸男が実際に通報したという。
次期船長になる暖を羨んだ神楽、すみれと結婚する暖を羨んだ幸男。それぞれ地位と女を妬んだ仲間に裏切られたことを知った暖。
■監獄からどうやって脱出したか?
暖がラデル共和国の監獄から脱獄するまでの様子も回想で描かれた。投獄されてから7年目、11年のある日、暖の独房の床板を外して侵入してきたのは、同じく投獄されている囚人・ファリア・真海(田中泯)。20年にわたってここで暮らしているというこの老人は、数カ国語を操る博識な人物で、この国の元大統領だという。その類い稀な知性で、太陽の位置などから場所を計測、肉の脂で作ったロウソクを明かりに、鳥の羽のペン、すすを溶かして作ったインクでそれらを記し、ベッドのパイプから作ったナイフで何年も床に穴を掘り続けている。
真海と話すうちに、公安の入間公平(高橋克典)が父親の入間貞吉(伊武雅人)を守るため、身代わりで自分を逮捕し、売り飛ばしたことに暖は気づく。同時に、そのきっかけを同僚の神楽が作ったと怪しむ暖は脱獄を決意。掘削の作業をしながら、真海からさまざまな言語や生きるための術だけでなく、歴史や哲学など、真海の持つ叡智の全てを学び、同時に親子のように関係を深める。
しかし、掘り進んだ穴が外に通じる直前、真海は衰弱し、息を引き取ってしまう。暖は、遺体袋に入れられた真海の死体と入れ替わり、海へと投棄され脱出に成功する。
真海が亡くなる間際、すでに数カ国語をマスターした暖が、さまざまな国の言葉を織り交ぜながら会話するのだが、日本語、英語、中国語、スペイン語、イタリア語を操る姿がとても自然で、さすが国際人ディーン様ここにあり! といったシーンでした。
■復讐開始
まず、暖は貨物船に忍び込み、シンガポールへ渡航。亡くなる前に真海から託された莫大な隠し資産をスイス銀行から引き出す。その時の口座名が「モンテ・クリスト伯」。実際、名前とパスワードだけで45,912,654,038ドルもの莫大な金額を引き出せるのかは謎だし、やけにあっさりシンガポールまで来れたなとも思いましたが、「The count of Monte-Cristo」と銀行で名乗るシーンは、とてもかっこよかったです。
ちなみにこれがUSドルなのかシンガポールドルなのかはわかりませんが、USドルなら日本円で約5兆円、シンガポールドルでも約4兆円と、どっちにしてもやべえ額です。
一方、日本では守尾英一朗が亡くなっており、葬儀が行われていたが、ここに集まったのは神楽清、南条幸男、入間公平の「三悪人」。警視庁の刑事部長に出世した入間公平は将来の警視総監候補らしい。神楽と入間がきな臭そうな会話をしているのが気になる。
葬儀後、港で再会を懐かしむ神楽と幸男の元に、サングラスをかけたスーツの紳士が現れる。
「怖くないですか? 今日の海。何か見透かされてしまいそうな気になるな。でも大丈夫か、海は何もしゃべらないから」
莫大な資産を手に復讐に戻ったモンテ・クリスト・真海こと紫門暖だ。
すでに会社を潰し1億円の借金を背負った信一朗に、世話になったお礼として帳消しにする額(1億円)の小切手を渡していた。
不審がる神楽が「地元の方じゃないですよね?」と尋ねても「竜宮城からきました」と煙に巻く。カラオケスナックでホステスに、あまりに世間のことを知らないので「浦島太郎か」とイジられていたのを受けての台詞だ。
港にでかいクルーザーを横付けして去っていく暖を、神楽は「どっかの成金」と言っていたが、そういう意味では成金中の成金かもしれない。いよいよ次週、暖の復讐が始まる。
■今回登場したキャラが原作で相当するのは?
信一朗はマクシミリアン、騎兵大尉で、ピエール・モレル(このドラマでは守尾 英一朗に当たる)の息子だ。暖のよき理解者として描かれる。ファリア・真海は、ファリア神父というイタリアの神父で、独立運動がらみで逮捕、投獄されていて、獄中の展開や脱獄の方法も原作通りだ。
何年も何年も穴を掘り続けて、結局その穴を使わず遺体袋に入って脱出するところがひっかかるかもしれないが、原作もそうなのでご安心ください。
ちなみに原作では、財宝が隠されている場所がモンテ・クリスト島で、そこからモンテ・クリスト伯を名乗ることになっており、シンガポールとかスイス銀行はもちろんドラマでの脚色だ。
今回見終わって気になるのは、ホームレス姿の時は仕方ないにしても、髪を切りこざっぱりした姿(モンテ・クリスト伯)となってからも、間近で顔を晒してるのに旧知の2人がまったくもって暖に気付かないこと。原作では獄中でのあまりの悲惨な暮らしですっかり人相が変わっているから気付かれないという設定なのだが、今回まんま「紫門暖」のままにしか見えないのだ。ある意味「おとぎ話」のような物語なので、細かいことをいうのは野暮だと承知しているが、他の部分が細かく現在に合うように練られているので、逆に、軽い口ヒゲ程度で親友らが気付かないことが気になってしまう。
あと、これも仕方ないのだが、暖があまりに簡単に日本に船で戻ったり、シンガポールに密入国したりする点だ。
原作ではここまで長い距離を移動しないので描かれないが、ここまで航海が多いと渡航中のシーンがなさすぎるのが引っかかってしまう。
しかし、それでもディーン様の語学力(特に英語と中国語)はかっこよく、無駄に嫉妬されて、はめられてしまうのも仕方ないと、勝手にキャスティングに納得してしまいました。次回からの復讐が楽しみです。
(文=どらまっ子HARUちゃん)
