ビートたけし、タモリも……テレ東『充電させてもらえませんか?』にかかる熱い期待

 テレビ東京の『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』14日放送分の平均視聴率が、番組初の2ケタとなる13.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。

 同日放送分には、出川が何度も直接オファーしていたという明石家さんまが出演。テレビ東京にさんまが出演するのは34年ぶりということもあり、放送前から注目が集まっていたが、しっかりと結果を出した形。番組内では、さんまが同局との確執を生んだ深夜番組について詳細を話すなど、見どころが多かった。

 テレビ東京が他の在京地上波テレビキー局と比べて予算、人員ともに半分ほどで放送していることは有名な話。バラエティー番組を手掛ける中堅放送作家は「さんまさんを引っ張り出し、しかも2ケタの数字が出たのは、すごいの一言。正直、この番組のことは他局でも話題になっており、脅威に感じていますよ」と話す。

 その中で、テレ東サイドは次なる「大物共演プラン」を出川に託したいようだ。

「プランとして名前が挙がっているのは、ビートたけしとタモリの2人です。すでにさんまさんが出ているので、昔の“お笑いBIG3”がそろう形にもなる。たけしさんはすでにテレビ東京でレギュラー番組を持っているので交渉は可能。問題はタモリさん。同じロケ番組の『ブラタモリ』(NHK)が裏番組で被ってしまう。ただ、策はなくもない。出川の番組は例年、正月に特番があるのですが、曜日や時間帯が異なる。そこでキャスティングできないか探る可能性が高い」(同)

 久々に出現したテレビ東京らしい“お化け番組”は、どこまで進化を遂げるか。

共演NG同士をつなげ! 『充電』大成功の出川哲朗に求められる“新たな役割”とは?

 7月14日放送の『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』(テレビ東京系)に明石家さんまが出演し話題となっている。さんまの同局への出演は実に34年ぶり。平均視聴率は13.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、番組の歴代最高記録となった。

 これを受け、出川の新たな役割に期待する声も上がりそうだ。それが大物タレントの共演に際しての橋渡し役である。

「出川さんは、このところ好感度が急上昇ですが、その魅力はなんといっても老若男女に愛される柔和なキャラクターにあるといえるでしょう。ともすればギスギスしがちな芸能界において、笑顔や天然ボケの要素で人と人をつなげる立場にあるといえます。これは、一定のキャリアがある彼しかできないものでしょう」(放送作家)

 出川は今や、バラエティ番組には欠かせないプレイヤーであるといえよう。当然ながら交流関係も幅広い。

「ウッチャンナンチャンとは専門学校時代の共通の友人ですから、実質的な解散状態にあるコンビ共演の橋渡しとなるのは間違いないですね。さらにダウンタウンの番組に出演するほか、とんねるずとも親交があります。特に石橋貴明には同じ野球経験者としてかわいがられています。『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の最終回以来、期待される両コンビの共演のクッション役ともなりそうですね。さらにはナインティナインの岡村隆史とは定期的に酒をくみかわす仲であり、とっつきづらいと思われがちな岡村とも対等に話せる人物です。もちろん若手芸人にも顔が広い。芸能界のあらゆるポジションを自在につなげられる存在だといえます」(同)

 タレント出川哲朗の需要は、これからさらに伸びていきそうだ。
(文=平田宏利)

『アド街』「東京・町田」回がナゾの高視聴率! 鎌倉、浅草を超えた数字に迫る

 6月23日放送の『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系)が、11.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の高視聴率をマークしていたことがわかった。出没した街は「東京都町田市」。市の大半が神奈川県に隣接していることから『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)では「神奈川県である方が収まりが良い」とイジられるなど、悲哀に満ちた町田に、いったい何が起きているのか?

 まず、ここ最近の『アド街』の推移を見てみよう。5月26日「鎌倉・二階堂」8.2%、6月2日「チャーミングな埼玉ベスト20」9.1%、6月9日「日比谷」7.5%、6月16日「浅草千束」9.7%、6月30日「飯田橋」8.7% 、7月7日「栃木市」8.4%と、いずれも2ケタ回はない。つまり、「町田」が突出していることがわかるだろう。

 では、この日の裏番組はどうだったのか? 『エンタの神様大爆笑の最強ネタ大連発SP』(日本テレビ系)13.2%、『2018 FIFA ワールドカップロシア ベルギー対チュニジア』(フジテレビ系)12.4%、『世界ふしぎ発見!』(TBS系)8.0%、『サタデーステーション』(テレビ朝日系)7.2%となっている。

 これら番組の中で11.7%を獲得したことは大健闘といえるが、「町田」がここまで伸びた理由には何が考えられるだろうか? 

「まず1つ、日本テレビが通常放送の『嵐にしやがれ』を休止したことで、その層が流入してきたことが推察できる。また『エンタの神様SP』の夜9時台は、芋洗坂係長、我が家、タイムマシーン3号といったメンツでしたが、10時台はひょっこりはん、ANZEN漫才、NON STYLE、サンドウィッチマンと、さらに人気の高いメンツがラインナップされていました。ですから、『エンタ』を見ようとしていた視聴者も、10時台をメインに楽しみ、9時台はザッピングしていた可能性もありますね」(制作会社スタッフ)

 そうした浮遊票があったとはいえ、より積極的に見ようという視聴者がいなければ12%に迫る結果は残せないだろう。

「町田は、一時期ブームになった昭和の快男児、白洲次郎とその妻・正子が晩年まで暮らしていた場所。そこで『アド街』でも『白洲次郎と正子が暮らした町田』というテロップを全編にわたって表示し、2人の邸宅を訪ねたり、生前の次郎を知る人物を取材したことも大きいかもしれません。また、郊外の田園を生かして『週末農業』ができる場所として紹介したり、駅前に増えつつあるアニメショップを訪ねたり、青山学院大学の駅伝チーム御用達のレストランを案内したりと、老若男女が引っかかる要素が散りばめられていました。かと思えば、いわゆる『夜ふかし』的に、何かと神奈川と一緒にされる悲哀を住民に語らせるなど、硬軟織り交ぜたバランスの良い回でした」(芸能ライター)

 総じて言えば、町田のさまざまな魅力が圧縮された回だったともいえる。隠れた視聴率コンテンツとして、これから再注目されるかもしれない。
(村上春虎)

明石家さんまの「テレ東」だけじゃない! ダウンタウン、伊集院光……芸能人“逆出禁”の歴史

 明石家さんまがテレビ東京に34年ぶりに出演し、話題となっている。人気番組『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』の7月14日放送分にゲスト出演する。さんまは、テレ東を30年以上にわたって“逆出禁”にしてきた。

 さんまは、1981年の東京進出直後に同局の『サタデーナイトショー』の司会を務めた。お色気番組だったが、深夜帯にもかかわらず13%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を超える高視聴率を記録する。

 しかし、「最高視聴率番組がお色気番組なのは体裁が悪い」として、局上層部の“鶴の一声”により打ち切りとなってしまった。この強引なやり方に不満を持ったさんまは、以降、テレ東から距離を置いてきた。タレントから出演NGを通達する“逆出禁”例は、ほかにもある。

「ダウンタウンは『リンカーン』『水曜日のダウンタウン』を始めるまで、長らくTBSのプライムタイムへの出演を行っていませんでした。これは1992年から93年にかけて放送された『生生生生ダウンタウン』のスタッフが『学校の放送部レベル』だったことに、松本人志が腹を立てたためといわれていますね。この番組は今田耕司、東野幸治、木村祐一、山崎邦正(現・月亭方正)と軌保博光からなるTEAM-0など、ダウンタウンファミリーが勢ぞろいした番組で注目も集まっていましたが、リニューアルを繰り返すなど迷走を続け、わずか1年で打ち切りに。その後、ダウンタウンはTBSの深夜帯では番組を持つものの、プライムタイムへの出演は行っていませんでした」(放送作家)

 さらに、テレビばかりではなく、ラジオにおいても同様の例が存在する。

「さんまも長らく出演していなかったニッポン放送では、伊集院光が出入り禁止状態でした。伊集院はもともとはニッポン放送のオーディション番組で『謎のオペラ歌手』として見いだされ『オールナイトニッポン』『伊集院光のOh!デカナイト』といったレギュラー番組を持ち、同局の看板パーソナリティ的な存在でした。しかし、スタッフとの確執から95年の4月に『Oh!デカ』が終了。5カ月後の同年10月にTBSラジオで『伊集院光 深夜の馬鹿力』を始め、放送初回でニッポン放送との決別を表明します。事実上の“逆出禁”宣言ですね。そのため97年にニッポン放送が有楽町からお台場へ移転するイベントにも呼ばれないなど、長らく絶縁状態が続いていましたが、近年はいくつかの番組にゲスト出演を果たしています」(同)

 社会において、一度信頼を失ってしまうと、回復するのは難しい。それは放送業界においても同じようだ。

(文=平田宏利)

『孤独のグルメ』最終回は、まさかの角野卓造登場!“本当の名店”のかつてないニラ玉で最終飯

 いよいよ最終回を迎えた『孤独のグルメ Season7』(テレビ東京系)。今や局を代表するドラマと言っても過言ではない本作。第12話「東京都中央区八丁堀 ニラ玉ライスとエビチリ」を振り返る。

(前回までのレビューはこちらから)

■久住バンドの生演奏からスタート

 今回、井之頭五郎(松重豊)が訪れたのは東京は中央区八丁堀。いつもと冒頭のBGM(松重“五郎”豊のテーマ 「STAY ALONE」)の雰囲気が違うと思ったら、まさかの原作者・久住昌之擁するザ・スクリーントーンズご本人による生演奏。

 五郎が商談で訪れたライブハウスでリハーサルをしていたのがスクリーントーンズだったという設定。目の前で「アイリッシュ・スプーン」(Season7のOP曲)の演奏が開始され「あ、なんか始まっちゃった」と慌てる五郎。からの、そのまま生演奏を活かしてのオープニングで「最終飯」を彩る。

 久住とすれ違う瞬間、五郎は「あれ、あの人……?」と何かに気付きかけるが「……ま、いっか」とやり過ごす。正直よくある手法だが、五郎風に言わせてもらえば「こういうの、なんかうれしい」。

 ちなみにこのライブハウスのマスター「五十嵐さん」を演じるのは大友康平。無茶を平気で言ってくる一見粗野な客だが、五郎もそれを受け入れ、逆に遠慮なく言い返せる認め合った間柄のよう。

 店を出た五郎に今期最後の「空腹」の波が。あんこうやフグなど高級そうな店ばかりの中「もっと庶民の店はないのかな」とさすらう。ようやく見つけた「中華シブヤ」という「教科書通りの町の中華屋」に安堵する五郎。

「庶民メシにありつけそうだ」と暖簾をくぐる。暖簾はなかったが。

 

■角野卓造が中華店にいるパラレル感

「いらっしゃい」

 迎え撃つ大将が、まさかの角野卓造。言わずと知れた「幸楽」(@TBS系『渡る世間は鬼ばかり』)のマスター。漂うラスボス感。

 しかし、この日は白い割烹着や帽子を着用していないので、パラレルワールド感がすごい。当然だが、いつまで経っても泉ピン子やえなりかずきは顔を出さない。

 あの橋田壽賀子が創造した天地とは別の異世界が広がる。メガネもしていないし、黒いポロシャツなんか着てる。もちろん何を着ててもいいのだが、やはり「中華店」に「角野」とハメてきたことで、ちょっとした部分が気になる。

 なんたって、ここの「勇」(渡る世間~での角野の役名)は調理でなくフロア担当だ。もう違和感だけでお腹がいっぱいになりそうだ。

 しかし、

「この赤地に白で手書き文字のオーソドックスなメニュー、これは信頼できそうだ」

 と、ラスボス・角野の撒き散らす「違和感」に気を取られることなく、いつものようにメニューを凝視、熟考する五郎。

「エビトースト? ちょっと気になるじゃないか……」

「ニラ玉かぁ……いやエビチリが俺を呼んでいる気がする……」

「ニラ玉かエビチリか、うーん……気絶するほど悩ましい」

 で、どうするのかと思ったら、

「すみません、ニラ玉とエビチリとライス。あとエビトーストください」

「全部頼む」という解決法。たしかにこれなら気絶しなくて済むが、ずるい。

 

■客が全員注文するメニューとは?

 さっそく出てきたのは「エビトースト」。

 四つ切りにした食パン(耳なし)にエビのすり身的なものを塗り、油でカラッと揚げたもの。

「想像してたのと違う」と、いきなりうれしい誤算。本品もうまそうだが、五郎の想像していた「エビトースト」も気になる。

 そうこうしてるうちに正午を回り、近くのサラリーマンがなだれ込んでくる。

 3人グループのサラリーマンは全員ニラ玉とライス。2人組もニラ玉とライス。さらに後から来た別の2人組がニラ玉丼と、全員がニラ玉だけを欲する異様な状況。

「何? みんなニラ玉? だって『ニラ玉』だよ? いったい何この店?」

 言いたいことはわかるぞ、五郎。だって「ニラ玉」だもん。

 餃子やレバニラなど、いわゆるメインを張る人気者に比べ、ひっそりと野に咲く地味なポジション。そんな「ニラ玉」に今、引く手数多のオファーが。

 そして、その渦中の「ニラ玉」が到着。驚くのはその見た目。

 たっぷりのニラを炒めたその上に、ドーンとでかい卵炒めが覆いかぶさっている。「中華ニラオムレツ」とでも言えばいいだろうか。

 いわゆる我々の知る、ニラと卵が規則正しく入り混じるあの色の配分ではない。真っ黄色の塊の下から少しだけ濃緑がはみ出て見える。

 卵でニラを包むようにして口へ。

「おーーなんじゃこりゃ。ニラ、味が濃い、強い、そして太い」

「野生の裸のニラの旨味だ」

 五郎の顔が至福で歪む。

「これは美味い。注文が殺到するわけだ」

「こんなにもニラの味がダイレクトに飛び込んでくるとは。豚肉もここではニラのサポートに徹してる感じだ」

「卵を一緒に炒めないのはこのためか!」

 一人でどんどん「事件」を解明していく味探偵・五郎。

 別々に炒めているからこそ、一緒に食べた時、味の具合が変化する。口に入れた時、初めて「ニラ玉」が完成する。食べたかのように語らせてもらったが推測だ。

 ついには白米だけを口に入れて「ニラ玉の余韻だけで、ご飯がぐいぐい進む。やっぱり俺は骨の髄から白いご飯至上主義者なんだな」と五郎、自分再発見。白米至上主義者って米国の差別団体みたいで、ちょっと怖い。

 最終的に五郎は「ニラ玉に対する認識がひっくり返った」とまで言っていた。

■エビチリで終わりかと思いきや

 さらにエビチリが到着。絶妙なオレンジ色のとろみ餡が艶かしく光る。

 大きめのエビを頬張り「これはいいエビチリだ。生姜が効いてる」と絶賛。

 筆者は過去に料理本を見ながら拙くもエビチリを作ってみたことがあるのだが、確かにニンニクも生姜も刻んで入れた。しかし、まず第一声でエビを差し置いて生姜を褒めるのが、さすがだ。

「エビチリからのエビトー(スト)」とエビリレー。

 前回はガリガリ君(ガーリックスープにガーリックトースト)だったが、さしずめ今回は「エビエビ君」か。

 さらにエビトーに食べるラー油をかけて「味変え」。どこまでも楽しみ尽くす五郎。

 メニューにない「ニラ玉ラーメン」を頼む常連客が「(味がぼやけるけど)どっちも食べたいんだもん」と笑うのを聞きながら、

「その気持ちわかります。俺とてニラ玉、エビチリ、どっちも食いたい、どうしようもない奴です」と勝手に心の中で自己紹介。

 いつもそうだが、五郎はまわりの雰囲気も「食べて」いる。

 気づけば回りのテーブルが「ニラ玉」で埋め尽くされていくのが壮観。

「ノーヒントで店の看板メニューを引き当てた自分を褒めてやりたい」と自画自賛したくなる気持ちもよくわかる。グルメサイトで得た情報で食べた時には得られない快感。

 パセリも完食し、いよいよ今期も終了かと思いきや、「追加でチャーシュー麺ください」ときた。常連客の「ニラ玉ラーメン」を見て我慢できなくなったのだ。これぞ五郎。

 Season7の初回、とんかつを食べた後に「追いステーキ」という荒技を見せてくれたが、今回もいわば「追いチャーシュー麺」。

 予想を超える追加に角野もたじろぐ。

 

■庶民中華とは何か

 出てきたのはオーソドックスなチャーシュー麺。五郎はチャーシューを噛みしめなごら「この店の誠実さが染み込んでいる」と、うれしそう。面と向かって言われたら「うるせえな」と思ってしまいそうだが、心の中だからOK。

 そして麺をすすりながら「これこれ、『庶民中華』のラーメンだ」と喜ぶ。

 今日は「庶民メシ」「庶民味」とやたら「庶民」という言葉を乱発しているが、今回も昼からメイン3品、しかもラーメンじゃなくチャーシュー麺というブルジョワ・オーダー。

 むしろ「庶民」を乱発しすぎて、逆に五郎がお忍びで下界にやってきた王家の人間に見えて来る。一度でいいから五郎の収支を見てみたい。

 いわゆるこの場合の「庶民中華」は、やたら志を掲げるラーメン専門店とかでない「町中華」という意味なのだろう。五郎は最後にSeason7を総括するように、こう言っている。

「こういう普通のラーメンがいいんだよ。『どうだどうだ』という押し付けがましさが微塵もない、町の定番。でもこんなラーメンを食べられる店が、都会ではどんどん減っている」

「毎日、八丁堀界隈で働く人々に普通の美味しさを淡々と提供し続ける。時代に媚びず、背伸びもせず、地道な味の工夫で客の心をがっちり掴んでいる。こういう店こそが本当の名店だと思う」

 一瞬、宮沢賢治の詩かと思ったが、五郎のコメントをほぼ添削しているという原作者・久住の想いがこもった言葉だ。

「最後はチャーシュー1枚締め。よーーお。(ぺろり)」で終了。チャーシューを用意して一緒に「締め」たかった。

「気持ちいい食べっぷりですね、見てる私までお腹いっぱいになっちゃいましたよ」と角野もご満悦。「お会計お願いします」と言われた時の角野の「あいよ!」の声が心地よく響いた。

「まだまだ、すごい店があるもんだ。明日は浅草か。何を食おうかな。」と街に消えていく五郎。

 つづく「ふらっとQUESUMI」も最終回だからと特段変わった部分もなく、いつも通り酒を飲んで申し訳程度の挨拶をしておしまい。

 気取らない最終回ながら、最後の「本当の名店」に対する台詞には熱い想いを感じた。

 当然あるであろうSeason8に期待もかかるが、力を抜いて作り続けて欲しい。
(文=柿田太郎)

原作ファンを裏切った真利子監督の“宮本愛”!! エンドマークなき閉幕『宮本から君へ』第12話

 池松壮亮演じる主人公・宮本浩が勤めている弱小文具メーカーは、まるでサッカーW杯で優勝を遂げたかのような大騒ぎです。大手製薬会社へのクリアファイル納品のプレゼン結果が伝えられ、「ありがとうございます!」と涙ながらに絶叫する宮本を見て、みんな奇跡が起きたとばかりにクラッカーを鳴らして、祝福します。新米サラリーマン・宮本が最後の大暴走を見せた『宮本から君へ』(テレビ東京系)第12話を振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 文具問屋の安達(高橋和也)から、宮本の携帯電話に連絡が入りました。同僚の田島(柄本時生)らはコンペに勝ったと勘違いして大喜びしますが、残念ながらコンペには破れ、益戸(浅香航大)のいる大手文具メーカーが納品することに正式決定したのでした。小田課長(星田英利)に「勝っても負けても、結果を噛み締めたい」とサウナで全裸宣言していた宮本は、全力を尽くしても敗者となった結果をとことん噛み締めます。誰も宮本に声を掛けられずにいる中、岡崎部長(古舘寛治)が歩み寄り、「けじめだ。これを持って、朝いちでお詫びにいけ」と商品券の入った紙包みを渡します。お土産や金券を用意して、相手のご機嫌をとる営業スタイルは宮本がずっと拒んできたものですが、岡崎部長はそれを命じたのです。宮本が大暴走の末、手に入れた結果です。どんなにつらくても、この結果を噛み締めるしかありません。

 翌朝、大手製薬会社との仲介役だった「ワカムラ文具」の島貫部長(酒井敏也)のもとに、宮本は一連の騒ぎの謝罪に向かいます。先輩の神保(松山ケンイチ)と小田課長も付き添っていますが、宮本はひとりで詫びに行かせてくださいと頼みます。自分のケツは自分でぬぐいたいという宮本のこだわりでした。小田課長は「無駄骨も喰おうと思えば喰える」と、宮本を「ワカムラ文具」へと送り出します。本当、宮本は上司と先輩に恵まれています。

 島貫部長のいる営業部のドアをノックしようとした瞬間、島貫にいつもお茶汲みを命じられている女子社員の富永ちゃん(桜まゆみ)が出てきました。富永ちゃんは宮本がコンペに破れた真相を打ち明けます。宮本の土下座攻勢に島貫部長は根負けして見積書を書いたと思いきや、島貫は見積書の金額を宮本の提示額よりも高く設定して、大手製薬会社に送っていたのでした。何というタヌキ親父ぶりでしょうか。怒りで震える宮本ですが、宮本が島貫を敵に回したことにも責任があります。意を決した宮本がドアを開けると、島貫だけでなく、コンペに勝ったお礼を伝えにきた益戸も待ち構えていました。宮本が上司を誰も連れていないことに、島貫は顔をこわばらせます。営業先が再び修羅場と化していきます。

 宮本はスーツの内ポケットに手を入れたまま、ツカツカと島貫のいるデスクの前まで進みます。これが菅原文太か高倉健ならチャカかドスをギラリと取り出すところですが、一介のサラリーマンである宮本は残念ながら拳銃も刃物も持ち合わせていません。岡崎部長から渡された商品券を渡すのか? いや、宮本が内ポケットから出したのは、「営業 宮本浩」と記された一枚の名刺でした。「ふざけているのか!」と顔を真っ赤にした島貫に対し、宮本は執拗に名刺を差し出します。「名刺」という名のとおり、宮本浩という名前を何度も何度も島貫に突き刺そうとするのでした。見かねた益戸が宮本を後ろから羽交い締めにしながら「転職しろ! お前には営業は無理だ!!」と諭します。宮本とは水と油の関係だった益戸ですが、宮本のこれからのことを親身になって考えた上での本音だったような気がします。

 

■ズタボロの宮本の前に現われたヒロインは……?

 しがない中小企業の営業マンたちの熱い祭りは終わりました。宮本の過剰な情熱なら、もしかしたらビジネスの常識を覆すことができるかもしれないと信じた小田課長と神保でしたが、彼らの一瞬の夢も潰えて、日常業務へと戻ることになります。神保はこの負け戦を最後に、新会社を設立しなくてはいけません。「ドン・キホーテ」という、あまりにも自虐的な店名のカラオケパブで、慰労会を開く宮本、神保、小田課長の3人でした。

 何ひとつ思いどおりに物事が進まないことにフラストレーションが溜まっている宮本は、隣席のサラリーマンがぶつかったことをきちんと謝らないことに腹を立てます。自分も島貫に詫びを入れることができなかったのに、他人の不手際はカチンとくるものです。宮本はこの頭を下げることのできないサラリーマン・佐々木(松澤匠)と殴り合いのケンカを始めますが、相手はボクシング経験者で宮本は血だるまにされてしまいます。宮本も殴り返すものの、むしろそのことが宮本は頭にきます。ボクシング経験者なら、初心者のパンチは簡単に避けることができるはず。宮本は「ボクサーなら、俺のパンチをかわせよ」と叫びますが、「僕も、ただのサラリーマンです、ボクサーじゃありません」と相手は冷静に返すのでした。日々の業務に鬱屈を感じているのは宮本だけではありません。酔っぱらい同士のケンカでも、宮本はみじめに完敗を喫するのでした。

 全力を出し切れば、満足できる結果が待っていると信じて、ここまで突っ走ってきた宮本ですが、残念ながら入社して1年ちょいのサラリーマンが1週間そこら頑張ったことに報いるほど、世間は甘くありません。身も心もズタボロになった宮本がひとりで夜の外濠公園を歩いていると、そこには夜空を眺めている子どもたちがいました。大都会・東京でも晴れた夜にはシリウスやベガなどの明るい星を見つけることができるようです。ふと目をやると、子どもたちの横には甲田美沙子(華村あすか)が佇んでいました。以前、外濠公園で転んだ子どもに手を差し伸べていた美沙子と、またまた遭遇してしまったのです。美沙子は相変わらずキュートなルックスで、思わず声を掛ける宮本でした。

■視聴者を置いてけぼりにした驚愕の幕切れ

 4月からスタートした『宮本から君へ』は第12話となる今回が最終回です。コンペに破れた宮本は、原作どおり年上のOL・中野靖子(蒼井優)との仲を深め、これからの希望を感じさせるエンディングになるのだろうと予測していたのでしたが、真利子哲也監督はそんな原作ファンの期待をあっけなく破りました。第1話から第11話までずっと新井英樹の原作コミックに忠実に映像化してきた真利子監督は、熟考に熟考を重ねた挙げ句、最後の最後で暴走してみせたのです。人生のどん底にいる宮本の前に、包容力のある大人の女・靖子ではなく、過去の女・美沙子を出すのでは意味合いがまったく異なります。

 再会を果たした宮本と美沙子はバーに立ち寄り、カクテルを傾けながら近況を伝え合います。美沙子と付き合っていたのは、わずか数カ月前のことなのに、ずいぶん昔のことのように思えてきます。美沙子には酷い捨てられ方をした宮本ですが、昔と同じような笑顔を浮かべる美沙子を見ているとどうでもよくなってきます。美沙子は甘く囁きます。「私たちあのまま付き合っていたら、どうなっていたかな。相性はよかったんだよ」と。美沙子とは1回だけSEXした直後に別れたのですが、美沙子は「相性はよかった」と証言しているので、SEXが別れた原因ではなかったようです。宮本ならずとも男性視聴者がホッとした瞬間です。

 美沙子は宮本を捨てて、元カレとヨリを戻したわけですが、結局はまたそのカレに捨てられたそうです。捨てられた翌日に宮本と遭遇したので、美沙子は宮本こそが自分にとっての“運命の人”だと感じているようです。美沙子をもう一度抱いて、仕事の悔しさを忘れればいいじゃないか。これは一生懸命頑張った自分への、神さまからのご褒美に違いない。宮本の頭の中には、そんな考えが去来したことでしょう。ですが、宮本は棚から落ちてきたボタモチは決して口にしようとはしません。自分の手で掴み取って豪快に食べてこそのボタモチなのです。

宮本「ぶっ殺すぞ! このクソったれ女! 俺とてめえの関係は憎むか惚れるかの二つに一つだ。どっちだ、八方美人さんよお! てめーがいい顔すれば、誰だって尻尾振ると思ってんのか!?」

 バーを出た宮本はあらん限りの暴言で、追いすがろうとする美沙子を罵倒し尽くします。つらいことがあるとどうしても身近な男性に依存してしまう美沙子に対する、宮本なりの精一杯のエールでした。「宮本さんのバカッ!」という美沙子の怒声を背中に浴び、宮本は「くそ! くそ!」とつぶやきながら夜の街へと消えていくのでした――。

「えっ、これが終わり?」と多くの視聴者が驚いたTVドラマ版『宮本から君へ』のエンディングです。原作コミックの三分の一も消化できていないので、第2シーズン、第3シーズンに期待を寄せる声もネットには上がっています。本編そのものには「終わり」とも「完」とも打たれていませんが、でもTVドラマ版『宮本から君へ』はこのブツ切れ感ある終わり方がやはりベストでしょう。靖子でも美沙子でも、宮本が異性との恋愛に生きる希望を見出しての終わり方では、宮本が美沙子に誘われて会社をサボって海へ出掛けた第3話の頃からちっとも成長していないことになるからです。人間はそう簡単には成長しません。でも、宮本はどん底の中で辛酸を舐め尽くすことで、さらにパワーアップした猛烈な暴走をいつかまた見せてくれるはずです。

 孤高の漫画家・新井英樹の会社員時代の体験をベースにした原作コミック『宮本から君へ』ですが、実際に新井英樹は飯田橋にあった文具メーカーを1年2カ月で辞め、漫画家へと転職します。『宮本から君へ』で長編デビューを果たして以降、その過激さに拍車が掛かり、漫画史に残る『愛しのアイリーン』(安田顕主演映画として、9月14日より劇場公開)や『ザ・ワールド・イズ・マイン』といった大暴走ドラマを生み出すことになるのです。

 池松壮亮が全力で演じ切った宮本浩は、結局は仕事も恋愛も何ひとつうまく収まりませんでしたが、そのガムシャラな暴走ぶりは、まるで夜空を彩る流れ星のように観る者の心に焼き付きました。そして、夜の街へと人知れず消えていきました。宮本が残したものは一体、何だったのでしょう? 職場や飲み会の席で、受け取ったり、差し出す名刺が、今後はこれまでになく重く感じられるのではないでしょうか。とてもちっぽけだけど、名刺一枚分の熱さと重さを視聴者に伝えて、宮本は去っていったように思います。3カ月間にわたる大暴走の熱い余韻を残し、宮本浩は伝説のサラリーマンとなったのです。
(文=長野辰次)

“洗脳”された風俗嬢と、彼女を救った客……深夜版『家、ついて行ってイイですか?』がパンチありすぎ!

 “洗脳”、普段の生活ではあまり耳なじみのない響きだ。例えばどこかの新興宗教だったり、例えば元オセロの中島知子だったり、ニュースやワイドショーでのみ見聞きする言葉とばかり思っていた。

■ビデオボックスの店長と、内縁の妻

 7月2日深夜に放送された『家、ついて行ってイイですか?~女性にとって未知の世界! 深夜ディープSP~』(テレビ東京系)で、過度にディープな人生を送る市井の人が登場した。何しろ、ゴールデンタイムでは流せないであろうVTRをオンエアするのが、この「深夜ディープSP」である。

 ロケ隊が錦糸町で声をかけたのは、あるスーツ姿の中年男性。職業を尋ねると「ざっくり言うとサービス業」「癒やしを求めて来られる方の接客をする」と、煙に巻くようなファジーな答えが返ってくる。彼に「家、ついて行ってイイですか?」と申し出ると、驚きながらも「いいですけど(笑)」と快諾。家には内縁の妻がいるようだが、事前に連絡を入れず、直接自宅へ向かう模様。妻は怒らないだろうか……? 不安なままに到着し、男性が事情を説明すると、「ああ、いつも見てます!」と妻のリアクションは良好だった。

 彼女の趣味はぬいぐるみ作りで、男性が仕事に出ている間は裁縫をしながらテレビを見て過ごすのが常らしい。

 家の中を見渡すと、「辞令」と書かれた紙が額縁に収まって飾ってある。それを読み進めると、「宝島24○○店の店長に任命します」と書かれている。この男性、どうやら大手ビデオボックス店の店長を任されているらしい。確かにざっくり言えばサービス業だし、癒やしを求める人の接客をしている。

 さらに部屋を見渡すと、妻がまとめた料理のレシピノートを見つけることができる。

「(料理は)大好きです。死んだおじいちゃんが教えてくれて」(妻)

 男性も、彼女の趣味を優しげに見守る。

「子どもができたら、(レシピを)残したい」(男性)

■洗脳され、風俗に落とされ、食い物にされていた妻

 2人は3年前からこの家で共に暮らし始めたそう。ロケ隊が両者の出会いを尋ねると、ほんわかした雰囲気が一変する。

「危ない方向の仕事をしてたんですよ。言われるがままに、その仕事で働いてた。風俗ですね」(妻)

 男性は客として風俗店へ行き、そこでこの妻と出会った。

「辞めたいなって思ってた時に、すごい来てくれて。電話かけていろいろと話を聞いてもらってたら、いつの間にか2人でお酒飲んでたんだっけ? それからよくしてもらっちゃって、こうなってます」(妻)

 男性も、ネクタイを緩めながら当時を振り返る。

「話を聞いてると、完全に食い物だったんでね。そうじゃないですか、やっぱりその業界って」(男性)

 妻は、さらに当時の境遇を告白した。

「言われるがまま、仕事してたんですよ。スナック、倉庫の仕事、あとピンサロとか」

 客が風俗嬢へ過度な思いを一方的に募らせるのはよくある話。しかし、この男性の行動は、本当に風俗嬢の救いとなった。

男性「このままじゃこの子はダメになるって思って、なんか気持ちが入っちゃったんだよねえ。で、私なりにいろいろアクションを起こしたんですけど、なかなかやっぱりね……。(妻を指して)まあ、洗脳されてるって言ったらアレだけども、そういうのが強かったから、なかなか私の話を聞かないんですよ」

妻「だってその時、アレだもん! 仕事出ないと……」

男性「だから、そっち(洗脳)が強くて。時間はかかりましたよね。いろんな思いもしましたよ、私も。ケンカもしましたし」

妻「(辞めろって)言ってくれる人がいなかったので……。その時、初めて人(男性)の前で泣けました」

 かたくなな風俗嬢と向き合い、脱出するよう必死に説得する。映画『タクシードライバー』(1976)のロバート・デ・ニーロとジョディ・フォスターを思わせる関係性だ。「風俗嬢と客」という、出会った時の関係性を除けばだが……。

 正直、矛盾を感じなくはない構図。風俗の嬢と客という立場で出会い、客が「こんな仕事はやめろ!」と訴えている。彼女の境遇はよほど目に余ったのだろう。

「(夫から)『この仕事をしていて本当に楽しい?』って言われました。別に、自分が好きでこの仕事をやってるわけじゃないから……」(妻)

 好きでやってるわけじゃないのに、やっている。要するに、「洗脳」が最大の障壁だった。

妻「(辞めようと思っても)なかなか辞められないです」

男性「そりゃそうですよ。結局、スカウトがいて、スカウトが“うち”の(妻のこと)を店に落とし、“うち”のが仕事したことによって跳ね返ってくるシステムなんで。やっぱり、ガンガンガンガン働かせたいわけですよ」

 話しているうち、男性の語気は荒くなっていった。

「いろんなのを相手にして、病んでいくのは“うち”のなわけで。すぐに足を洗わせなきゃいけないって、人としては思うわけですよ。気持ちがあればね」(男性)

「いろんなの」の内に、当初は自分も含まれていた。でも、いつしか彼女に対する「気持ち」が芽生えた。この「気持ち」が過干渉ではなく、本当に救いの手になったのは奇跡だ。

 ふと横を見ると、妻が泣きそうになっている。風俗に落とされ、洗脳されたのにはひとつの理由があった。

「おじいちゃんが死んじゃったんですよ。それから……自分の居場所がなくなっちゃって。で、そういうサイトで知り合った人に『いい仕事があるよ』って言われて、そこを紹介してもらって。朝の10時くらいから夜の8時まで」(妻)

 料理を教えてくれたおじいちゃんが亡くなり、心が弱った。その時、魔の手が忍び寄ってきた。相手からすれば、すべてが容易かったはずだ。

「その時は(日給が)3万円とか。たぶん、安いお店だったからそれぐらいしか稼げなかった」(妻)

 本当にそうなのだろうか。搾取されていたのではないか?

 市井の人の日常を切り取るのが、この番組のコンセプト。こんな過去を持つ人も、市井には確実に存在するということだ。

■裏街道を歩んできた妻と夢見るのは“平凡な家庭”

 祖父の他界をきっかけに居場所を失くした彼女。両親は支えにならなかったのだろうか?

「うちのクソ親父はあんまり好きじゃない。高校時代の友だちに手出しちゃったから」(妻)

 高1の時、友人を家へ招くと、父親は「泊まっていけば?」と友人に宿泊を勧めたそう。その翌朝、気付いたらなぜか父親と友だちが2人して一緒に寝ていたという。

 父親が頼りにならないのは、よくわかった。では、母親はどうか?

「お母さんじゃないです、あの人。私が小さい頃に男と家で一緒に抱き合って寝てました。スナックやってたから、いろんな男と抱き合ってたりしてたんですよ。要するに、スナックの姉ちゃんとブサイクなおっさんが意気投合しちゃった」(妻)

 気付くと、この両親は離婚していた。

 波乱万丈な境遇で育った彼女。一方、男性の人生も荒波だった。

「私は、中卒なのね。高校行ったんだけど、途中で辞めちゃったの。遊びすぎちゃって。中途半端に悪さしてたからね」

「トラックも乗ったし、ホテルに勤めたこともあるし」

「私、バツイチなのね」

「前妻と別れてから何もなくなっちゃって、新天地でイチから……イチからと言うかマイナスだよね。何もないからね。その時にたまたまうちの会社の求人を見て、『寮完備』『日払いできます』っていう条件だったから、まずは飛び込んでみよう! と思い、入ったが今日(に至る)」(男性)

 4年の勤務を経て、今では店長にまで上り詰めた男性。彼の帰宅を、妻はおじいちゃんから教わった料理を作って待っていた。

「(味噌汁を飲みながら)うん、うまい。やっぱ、落ち着くね」(男性)

 男性は、明確に2人の未来を頭に描いている。

「ごく平凡ですけど今の形を維持して、2人仲良くね。で、休みの時は時間をちゃんと共有して、それを発展させていったらね。自分の足跡を残していけたらいいかなって」(男性)

 過酷な家庭環境で育ち、洗脳された過去を持つ妻。中学を卒業し、歯を食いしばりながら店長職にたどり着いた男性。そもそもの出会いはハードだが、2人が先に思い描くのは“平凡な家庭”である。

 妻がふと、味噌汁をよそいに台所へ立った。激務で疲れた男性を思っての行動である。彼女の後ろ姿を目で追ってみた。Tシャツの背面には、「裏街道まっしぐら」という文字がプリントされていた……。

(文=寺西ジャジューカ)

池松壮亮の『宮本から君へ』が、屈指の青春ドラマとなり得たワケ

金曜深夜に放送されている『宮本から君へ』(テレビ東京系)は、文具メーカー・マルキタの営業として働く新卒のサラリーマン・宮本浩(池松壮亮)を主人公としたドラマだ。仕事に対して情熱を持てずにいた宮本が、駅のホームでいつも見かける女性・甲田美佐沙子(華村あすか)に声をかけたことをきっかけに物語は動き出す。

 原作は90年代前半に週刊モーニング(講談社)で連載されていた新井英樹の同名漫画。物語は二部構成となっており、1~4話は宮本と甲田美紗子の甘酸っぱくも痛々しい恋愛模様を描いており、5話以降は、先輩・神保和夫(松山ケンイチ)から引き継いだ営業先における新規案件の入札をめぐる、ライバル会社との激しい対決が描かれている。

 『宮本から君へ』が連載されたのは、バブル崩壊直後とはいえ、一度会社に入れば安定した生活が保障されると思われていた、まだ豊かな時代。汗水垂らして一生懸命に働くなんてカッコ悪いというのが、当時の空気だった。そんな時代のカウンターとして本作は描かれ、仕事にも恋愛にも一生懸命の暑苦しい男・宮本浩の生き方は、読者の間で賛否を呼んだ。

 舞台が現代に変わったドラマ版には、漫画のような賛否を呼ぶ破壊力はないものの、会社を舞台にした青春ドラマの傑作に仕上がっている。

 何より、役者が素晴らしい。今作が女優デビューとなる華村あすかの初々しい演技、松山ケンイチ、蒼井優、星田英利、柄本時生といった実力は俳優が脇を固めていて、深夜ドラマとは思えない豪華さだ。中でも一番目が行くのは、やはり主人公の宮本を演じる池松壮亮だろう。

 池松は、最近では是枝裕和監督の映画『万引き家族』等に出演している、27歳の実力派俳優。テレビドラマでは、福本伸行の漫画を映像化した『銀と金』(テレビ東京系)で主演を務めている。『銀と金』は、池松が演じるフリーターの青年・森田鉄雄が、銀さん(リリー・フランキー)と呼ばれる謎の男の導きによって、億単位の金が動く裏社会のマネーゲームに巻き込まれていく物語で、ドラマ自体は面白かったものの、森田を演じた池松の演技に対しては、若干の疑問があった。

 森田という存在は、当初、冴えない青年だったのが裏社会の荒波に揉まれることで、勝負師としての才能に目覚めていく男だが、池松演じる森田は、最初から目が血走っていて、狂気を秘めた迫力があった。本来、最初に見せるべき“普通の青年”の側面が機能していないように感じられたのだ。

 かつて、小栗旬は「クイック・ジャパン vol.115」(太田出版)に掲載された鈴木亮平との対談で、染谷将太と池松壮亮に関して「本当に死んだ目ができる」俳優だと絶賛し、(自分にはできない)熱のない芝居ができる彼らに憧れると語っていた。しかし、『銀と金』ではその死んだ目がもたらす狂気がマイナスに働き、平凡な青年役はあまり向いていないのだろう、と思ったのだ。

 そのため、『宮本から君へ』の宮本のような平凡な人間が一生懸命、足掻いている時の暑苦しさを演じることができるのか懸念したが、池松自身も不安があったようだ。

同誌vol.137のインタビューで、池松は『宮本から君へ』の大ファンで、初めて読んだ22歳の時は宮本を演じたいと思ったが、宮本は「手放しの前向きさ」を持ったヒーローであり、自分はそのようにはなれなかった人間なのだ、と語っている。そのうえで、今の時代に自分が演じるのであれば、漫画版とは違う「人間としての宮本」を演じるしかないという。

 ドラマを見ていると納得できる発言だ。ドラマの宮本は、行動こそ原作と同じで、自分の中に信念を貫こうとするあまりに、恋愛でも仕事でも周囲を傷つけ、上司からは自分のことしか愛せない「究極のエゴイスト」だと言われる。だが、宮本はそのことに自覚的で、自分の行動が身勝手な自己満足でしかないことをわかっている。この自覚的な部分が強調されているのがドラマ版といえる。

 ライバル会社の社員と喧嘩したり、見積書をもらうために横断歩道で土下座したりといった荒々しい場面に目が行きだが、ドラマで一番印象に残るのはナレーションだ。つぶやくように語られる心の声は内省的なもので、宮本が自身を醒めた目で見ているように感じる。そして、これは池松が本来得意とする熱のない演技だ。このナレーションが随所に挟まれることで、ドラマ版の宮本は、自分の信念を貫くために、あえて熱い人間として振舞っていると思えてくる。

 上記のインタビューで、池松は「嫌でも、前を向かなきゃいけないんじゃないか。強引にでも笑わなきゃいけないんじゃないか、という気分はおそらく入るだろう」と語っていたが、この、嫌でも前向きであろうとする宮本のあり方と、宮本を演じようとする池松の気持ちがリンクしたからこそ、ドラマの宮本にリアリティが生まれ、現代にも通用する屈指の青春ドラマとなり得たのだ。
(成馬零一)

元モーニング娘。紺野あさ美の復帰に現実味! 夫・杉浦投手は2軍暮らし、新居建築構想で……

 結成20周年を迎えたアイドルグループ、モーニング娘。のOGによる活動が、ここにきて活発化してきた。6月27日にテレビ東京系で放送された『テレ東音楽祭』では、中澤裕子、石黒彩、飯田圭織、福田明日香、保田圭、矢口真里、吉澤ひとみに加え、後藤真希が出演し、ファンを狂喜乱舞させた。

 さらに、2007年に2回目の未成年での喫煙騒動で、所属事務所アップフロント・エージェンシー(当時)から契約解除され、約11年間、公式にはグループと接点のなかった“問題児”加護亜依が、8月25日、26日に東京・中野サンプラザホールで開催される『Hello!Project2018 SUMMER』に出演することが決まった。同イベントはハロプロ20周年を記念したもので、そのほかのモー娘。OGたちも登場する。

 そこで、注目されるのが、OGで、元テレビ東京アナウンサーの紺野あさ美の存在だ。紺野は09年3月にハロプロを卒業。その後、テレ東に入社したが、昨年元日に当時、東京ヤクルト・スワローズに所属していた杉浦稔大投手と結婚。家庭に専念するため、同7月いっぱいで同局を退社。同9月15日に、第1子となる女児を出産した。

 夫である杉浦投手は、成績不振もあって、同7月24日、北海道日本ハムファイターズにトレードされた。だが、故障が響き、移籍後、昨季1軍登板はなく、年俸は1,460万円(推定)まで下がった。

 今季で5年目となった杉浦投手は、「今年こそ」の期待がかかったが、6月28日現在、1度も1軍での登板はなく、2軍でもわずか6試合、12イニングを投げただけという惨状。このまま不振が続けば、オフには今年も年俸ダウンは必至。ヘタをすれば、戦力外通告を受ける可能性だってあるだろう。

 そんな中、主婦業に専念する紺野は、ブログで頻繁に料理の写真、コメントをアップして、「良妻賢母」ぶりをアピールしているが、肝心の夫が2軍暮らしでは、あまり説得力がないのは確か。

 そのブログでは、札幌市内で新居を建築する構想があることを明かしているが、ネット上では「紺野は無職なのに、購入資金はどうするの?」「2軍選手で、住宅ローンの審査は通るの?」「日本ハムの2軍の本拠地は千葉(鎌ケ谷)なのに、札幌に家を建てたら、別居生活になるじゃない!」といった辛辣な声も上がっているようだ。

 現実として、杉浦投手は13年度のドラフト1位指名選手で、契約金は1億円超(推定)。紺野もモー娘。時代に稼いでいただけに、共に散財していなければ、キャッシュでの購入も可能なのだろう。

「結婚、出産後も、夫の2軍暮らしが長く続いて、紺野もイライラしているでしょうね。このままでは、『下げマン』扱いされかねません。そんなとき、モー娘。OGたちが派手な舞台で復活し、絶縁状態にあった加護ですら復帰するんですから、紺野が『私も……』と思うのは自然な流れ。プロ野球選手でありながら、夫は稼ぎが悪い。そうなれば、新居購入資金のためにも、復帰する可能性もありそうです。本格復帰は難しいでしょうが、まだ幼い子どもは札幌の実家に預ければいいのでは?」(芸能関係者)

「夫が苦労している時期に、芸能活動をしていいのか?」というイメージの問題はあるが、“ハロプロ20周年”ということで、大目に見てもいいのではないか。果たして、紺野は8月の記念コンサートに出てくるのか、注目されるところ。
(文=田中七男)

今夜Season7最終飯!『孤独のグルメ』五郎オリジナルの“ガリガリ君”の食べ方とは?

 今晩、早くも最終回を迎える『孤独のグルメ Season7』(テレビ東京系)。ラスト前となる11話も、前回が海外編(ソウル)だったとは思えないほどの「いつも」っぷりだった。

 第11話「千葉市千葉市の特製ニンニクスープと生鮭のバター焼き」を振り返る。

(前回までのレビューはこちらから)

■カレーの匂いに刺激されたが、カレーは食えず

 今回、商談で井之頭五郎(松重豊)が訪れたのは、千葉の西登戸(にしのぶと)。神奈川に登戸(のぼりと)という街があるが、もちろん無関係。

 商談先のインド料理屋で、やけに関西弁の上手いインド人っぽい店主(デニス・植野行雄)に軽快なネタ話を披露されながらも、店内に染み付いたスパイスの匂いで食欲を刺激されてしまい、相当に上の空な五郎。

 そんなことおかまいなしに「見た目ガイジンなのに関西人丸出し」という、デニス植野のために当て書きされたようなインド人っぽい店主は、おしゃべりエンジン全開。

「僕ねお父さんはインド人やけど、生まれも育ちも大阪の鶴橋ですわ。どっちかといったらね、キムチと焼肉がソウルフードですわ」

 なかなかに興味深い内容だが、今の五郎の琴線には一切響かず。もしかしたら苦手なタイプなのかもしれない。

「突発性カレー欲」が収まらず、ついには「ここでカレーを食わせてくれ」と店主に懇願するが、定休日のため食材が一切ないと言われ撃沈。

 五郎は、値引きしてくれとすがる店主を振り切り、食事処を探しに店外へ飛び出すが、2階から降りたその1階が洋食屋(味のレストラン えびすや)なのを発見。店探しの時のあのBGMが、イントロクイズ並みの短さで終了し、即決で入店する。

 

■サービスに流されず、お得なセットになびかない姿勢

 店に入るなり、客の食べているオムライスとハンバーグを横目でマーク、そのクオリティを確認。さすが手馴れている。

 表紙が剥げかけた年季の入った革張りのメニューなど、古き良き洋食店といった感じだが、個人的には女将さんらしき女性を演じるのが藤田弓子なだけで、もう美味そう。

 店内に漂う「特製ニンニクスープ」の匂いに刺激され、1品目はすぐ決定。今日の五郎はやたら嗅覚が鋭い。

 しかし周りのテーブルの料理がみな美味そうで、なかなかもう1品が決まらない。

「惑わされるな、胃袋の声を聞け」

「フィッシュorミート」×3

 碇シンジのようなテンションで悩みに悩んだ五郎が注文したのは、フィッシュ=「生鮭のバター焼き」。

 ニンニクスープと合わせるならと藤田弓子女将にセットメニューを推奨されるも、「カニピラフも頼みたいんで単品でお願いします」と、あっさり拒否。サービスに流されないマイペースぶりがさすが。

 

■滋養強壮に効く“ガリガリ君”

 グラタン皿に入れられ、グツグツと沸き立ちながら運ばれてきた「特製ニンニクスープ」。中で生卵が今まさに半熟となりかけてる、あのズルいやつ。

 まずはニンニクの大きな欠片をサルベージしながら、胃袋に風味が広がるのを楽しむ。

 続いて女将に言われた通り、卵を溶いて粗く混ぜ合わせる。

「最強の滋養強壮スープ」とのことで、疲れてる時にこれだけ飲みに行きたい。

「こいつは脇役じゃない。メインを張れる逸品だ」と五郎のお墨付きのスープだが、実際この店一番の名物らしい。

 そして何やら思いついた五郎はガーリックトーストを追加注文。

 それをドブンとスープに浸し、「ガーリックにガーリックで『ガリガリ君』だ」と悪い顔で微笑む。思いついてもやらなそうなことを即行動に移すのがすごい。そして、味の染み込んだパンを貪りながら言った「まるでニンニクの高野豆腐」は秀逸な表現。ここのガーリックトーストはフランスパンでなくロールパンなのが珍しく、万人受けしそうだ。

 厨房では白髪のマスターがピラフの入った鍋をリズミカルに振る。一朝一夕にはできない年季の入った腰使い。「調理人の手際が見事すぎる場合、役者でなく本人」というのは『孤独~』あるあるだが、今回もそうだった。

■タルタリスト・五郎復活!

 そのカニピラフと生鮭のバター焼きが同時に到着。

 どろりとタルタルソースがかかったバター焼きを見て「タルタリストにはサプライズプレゼント」と喜ぶ五郎。

 今期第8話(中野区・チキン南蛮)で出た「タルタリスト」の名乗りが、またしても聞けるとは。バターにタルタル、さらにレモン汁を絞ってと、そんなのもう絶対美味に決まってる。

「これはお出かけ、よそ行きの美味しさだ。いつも定食屋でテレビ見ながら食べるシャケとは別物」と五郎は言っていたが、その定食屋のシャケだって、絶対美味しそうに食べてるはずなのに。

 付け合わせのニンジンも食べつつ「洋食の付け合わせは、とっても大事。これらの味がいい店はきっと長続きする」と、勝手に太鼓判を押す五郎。確かに、お通しや定食のサラダや漬物が手抜きだと、メインがどんなに美味くても満足度が一気に下がってしまう。そもそも五郎はこの甘いニンジンが「隠れた大好物」とのこと。初耳だ。

 そして、カニピラフ。一口食って「これは大好きな味です」と思わず敬語になってしまうほどの美味さ。

 マッシュルームやピーマン、もちろん蒲鉾ではない本物らしきカニの身も見え隠れし、やや茶色がかった味の濃そうな色味。

「ちょい焼き飯寄りのピラフ。なんで知ってるんだ? 俺がこうゆうのに弱いの」

 完全に浮かれている五郎。

「カニとシャケの豪華共演による洋食シーフード祭り」も、いよいよクライマックス。

「こういうのはどうだ?」と、ガーリックトーストの上にタルタルをたっぷり乗せたシャケの乗っけてかぶりつく。この日、一番食欲を刺激されたシーン。

「おほほーー、いい、いい!」「誰かに教えたい」

 残り汁をご飯に絡めたりするアレンジ食いを五郎はよく披露するが、今回は白米を頼んでいないのでガーリックトーストがその役割を担っていた。もはや途中から「ガリトー」と、まるで「ブリトー」のごとく呼んでいた。

 最後にガリトー in ニンニクスープ・アゲイン。「気取らないよそ行き味」のラストを“ガリガリ君”で締めくくった。

 

■最終飯のメニューは?

 お会計かと思いきや、女将がセットのデザートとコーヒーをつけるか聞いてくる。これが有料なのかサービスなのか解釈がわかれるところだが、なんにせよ食べっぷりがいいから勧めたくなった気持ちはよくわかる。

 女将の手作りプリンとアイスコーヒーで完全にフィニッシュ。

 店を出るなり仕事の電話。五郎は明日も仕事が詰まってるようで「疲れたら美味い飯に助けてもらおう」と、ニヤリと店を振り返り、帰路につく。まるで今回が最終回っぽくも見えたが、あと1回のモチベーションがグーンと上がるいい演出。

 原作者の久住昌之が同店を訪れる「ふらっとQUSUMI」のコーナーでは、「生ハムのサラダ仕立て」や「カキとキノコのオーブン焼き」のほか、「スペイン風スパイシーおじや」が気になった。「特製ニンニクスープ」のような熱々に加熱された鍋に、香辛料の効いてそうなスープとご飯と生卵が入り煮立っている。

 さらに「知ってる人にたまに出す」という「ナスとピーマンの味噌炒め」「ホウレン草のゴマ和え」をサービスで。他にも「切り干し大根」や「ヒジキ煮たやつ」が出たりするらしく、和のお惣菜丸出しで、このフランクさがいい。

 ちなみにこの「えびすや」は何店もあり、ここは幸町店とのこと。JRの千葉駅からでも千葉みなと駅からでもがんばれば歩けるくらいの距離なので、行ける方は是非。

 さて、いよいよ今晩最終飯。東京の八丁堀でニラ玉ライスとエビチリを食らうらしい。予告動画では「こういう店こそが本当の名店だと思う」と、しみじみ語る五郎の姿が。最後も見ながらみんなでお腹を減らしましょう。
(文=柿田太郎)