6月13日放送『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)にて「楽屋あいさつ男前選手権」なる企画が行われた。共演する女性タレントが楽屋へあいさつに来た際の返事「ウィッス」をどうカッコ良く言えるか競う選手権だ。
例えば、今回出場したブラックマヨネーズの小杉竜一は乃木坂46の秋元真夏から新曲のCDを渡され、キリっとした表情で「フーッ、ウィッス!」と返答した。どこか二枚目感を醸す態度だ。アイド…
6月13日放送『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)にて「楽屋あいさつ男前選手権」なる企画が行われた。共演する女性タレントが楽屋へあいさつに来た際の返事「ウィッス」をどうカッコ良く言えるか競う選手権だ。
例えば、今回出場したブラックマヨネーズの小杉竜一は乃木坂46の秋元真夏から新曲のCDを渡され、キリっとした表情で「フーッ、ウィッス!」と返答した。どこか二枚目感を醸す態度だ。アイド…
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(110月20~26日)見たテレビの気になる発言をピックアップします。
千鳥・大悟「一日中、海見て、タバコをワンカートン吸うだけや」
「これは薬物を吸っているのではなく、時間を吸っているのだ」
昔読んだ本に、そんなことが書いてあった。タバコについてのエッセイだったと思う。出典を覚えていないので正確ではないものの、確か、タバコを吸うのは薬物中毒とかというよりも、居心地が悪かったり手持ち無沙汰だったりする時間を埋めるためなのだと、そんなことが書いてあった。愛煙家がタバコにこだわる理由をずっと疑問に思っていた非喫煙者の僕は、なんとなくそれで納得した。医学的には間違っているのかもしれないけれど。
そんなタバコに関する話題を、なぜか先週はテレビでよく見かけた。ここでは2本だけ取り上げる(どちらも千鳥の番組だが)。
まず、22日の『相席食堂』(朝日放送)。野性爆弾のくっきー!が京都府・伊根町を、ピースの又吉直樹が大分県・保戸島をそれぞれ訪れていた。で、又吉のロケが最高だった。
「むちゃくちゃ向いてないんちゃうかな」
港町でのふれあい旅を前に、そう不安を口にしていた又吉。船着き場から離れ、誰もいない道をトボトボと歩く。そこで、海のそばのベンチにひとり座る男性(76)に出会う。老人 は、黒い肌に白い帽子、白いストライプのシャツ。そして、胸ポケットにはタバコが入っている(大悟によると銘柄はハイライト)。
「どういう島ですか?」
そう又吉に尋ねられ、老人は答える。
「まぁ、昔の……」
その声が、なんとも特徴的。ガラッガラ。あまりにもガラッガラのハスキーボイスなのだ。おそらくタバコの影響で仕上がったのだろう。その声を聞いた千鳥の2人は、すかさず「ちょっと待てい!」ボタンを押した。
老人の語りは続く。かつてこの島ではマグロの遠洋漁業が盛んだった。自分も昔は船に乗っていた。しかし、漁船を減らし、魚の価格を上げようとした国策もあり、補償金と入れ替えに船を降りた。そんなあれこれを語っているときのこと、突然、耳慣れない音がした。
「ちーよ」
老人から発された声だ。たぶん、「えーと」とか「んーと」みたいな会話の合間に入れる声だと思うのだけれど、島の方言も入っているのか、何よりタバコの影響のためか、その声は聞き取りにくく「ちーよ」に聞こえる。声というか、セミが鳴いているようですらある。
又吉は、この老人の案内で島を巡ることに。島で唯一の食堂に連れて行ってもらい、マグロ料理に舌鼓を打つ。これまた一軒しかない理髪店に行き、マッサージをしてもらう。最後は老人の自宅に上がらせてもらい、コーヒーをごちそうになる。そしてその間、何度も絶妙なタイミングで、例の声が老人から漏れる。
「ちーよ」
声がする、というよりも、音が漏れる、という表現が近いかもしれないその「ちーよ」を聞くたびに、千鳥は膝から崩れ落ちて笑う。テレビを見ているこちらも腹を抱えた。
それにしても、実際のところ老人は何を言っていたのだろう。そういえばVTRを見ていた大悟が、こんな解説を入れていた。
「ワシな、島で生まれたからわかんねんけど、ホンマにもうなんもないねん、することが。一日中、海見て、タバコをワンカートン吸うだけや。そんならこれが仕上がる」
マグロ漁で栄えた島の時間、漁業が衰退していく時間、高齢化率が高まっていく時間――。なるほど、タバコを吸うことが時間を吸うことだとすると、あの老人は、海を見ながら島の時間を吸い続けてきたのかもしれない。あの「ちーよ」は、圧縮された島の時間が軋む音だったのか。
たぶん大悟は、いま一番テレビでタバコを吸う姿を見せている芸能人だと思う。次点で、相撲芸人のあかつだろうか。明石家さんまや浜田雅功、矢部浩之も結構見る。新人では、納言の薄幸が追い上げているかもしれない。紅蘭はテレビであまり見かけなくなった。
そんな千鳥の看板番組『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)のオリジナル企画が22日、AbemaTVで配信された。題して「喫煙所探訪」。テレ朝をスタート地点に、都内の喫煙所を巡って、大悟がただただタバコを吸う。そういうロケである。「たばこ」の文字があしらわれた服を着た大悟が、今回の企画趣旨を語る。
大悟「来年の4月に向けてな、タバコの吸えるスペースがどんどん減っていってるのよ。どんどん街の喫煙所っていうのもなくなってきてるわ」
ノブ「それはオリンピックに向けてね、クリーンな日本をアピールするっていう意味ではいいんじゃないですか?」
大悟「それがクリーンなんかどうなんかも、ワシはわからんけどな。喫茶店や雀荘、パチンコ屋までもが禁煙になっていく時代なんよ。だからここ、最後やろうな。今回が最後、そういう喫煙所を巡りたい」
テレ朝でさっそく一服した後、千鳥の2人は街に繰り出す。交差点の角にある昔ながらのタバコ店を訪れ、円筒形の灰皿の手触りを確かめる。そこでスパスパ。そこから歩いて3分の道沿いのタバコ店で、店主のおばあさんが手作りしたおにぎりを食べる。そこでスパスパ。荒川を渡った先にあるバイク店の軒先で、停車した原付バイクに乗ってスパスパ。角打ちの店内で魚肉ソーセージを缶チューハイで流し込みながらスパスパ(この時点で1箱消費)。JT本社を訪れ、シトラスミントの香りをたいたり外に煙が漏れないように整備された喫煙スペースで、社員と一緒にスパスパ。
エンディングは、テレ朝の屋上の喫煙所。東京タワーをバックに、レモンサワーを飲みながら煙をくゆらせる。灰皿を抱いた大悟がつぶやく。
「今日いろいろ回ったけどホンマに、今年中にやってしまわんと、これ無理やったかもしれんな」
東京五輪を前に、来年4月からは改正健康増進法が施行される。タバコの規制と分煙化が、これまで以上に厳格となる。特に、街のタバコ店にある喫煙所の風景は、これから少なくなっていくのかもしれない。
なんだかちょっと、郷愁的だ。
だが、ここで大悟が今回のロケを次のように総括した。今日学んだことは、タバコは自分の好きなタイミングで吸わないとおいしくない、ということだ。無理やり吸うのは、はっきり言ってキツかった。ロケ中、初めてタバコをやめようとすら思った。おかしい。あんなに好きだったのに――。そう語り、改めてタバコの煙を肺に入れた大悟が、せき込みながら言う。
「まずい」
タバコの吸いすぎには注意しましょう。そんな一種の啓発番組として終わった『テレビ千鳥』の特別版でした。
ところで番組中には、千鳥のロケでたびたび披露される、大悟によるおかしなキャラクターへの変身も随所で見られた。真っ白なつなぎを着た林修先生好きの元暴走族、枕ワンカートンさん(49)。着流し姿の元プロ野球選手で資産家のニコチン三郎さん(63)。新婦に結婚式をドタキャンされた足でタバコを吸いに来た新郎の煙田しけもくさん(28)――。
なんだか、あの「ちーよ」の老人も、大悟に思えてきた。
AmazonプライムやNetflix、AbemaTVなどネット配信の番組が制作される際、「放送コードを気にしなくていい」と枷(かせ)を外すことで寄りがちになるのは、エロやグロ、もしくは過激で反社会的なテーマを主題に据えた振り切り方だ。
それらとは一線を画し、なおかつ地上波でははばかられるであろう笑いに到達した貴重なバラエティを観た心境。テレビ朝日とAbemaの連動企画「テレビ朝日×アベマTV秋のリレーーーー→WEEK」にて『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)が10月22日よりAbemaで配信するのは「喫煙所探訪」なる企画である。
なんてことのない趣旨だ。都内のさまざまな喫煙所を巡り、リポートするだけの内容。果たして、これだけで1時間持つのか?
大悟「全然、持ちます。いろんなアイドルが出てくると思ってください。喫煙所という名の」
無茶な振り切り方だが、確かに地上波じゃ難しいかもしれない。嫌煙家からクレームが殺到する恐れがある。だから、Abemaでやるだけの理由はあるのだ。
大悟「緩いやん、Abemaは。たばこ8本、チンポ2本まで大丈夫やから。計10本までは。逆にたばこ1本のときはチンポ9本まで大丈夫」
はっきり言って、町の喫煙所にそんなに差異はないと思うのだ。
例えば、荒川区町屋のたばこ店に隣接の喫煙所へ立ち寄った大悟は、シルバーで棒状の灰皿に注目した。どう見てもよくあるタイプだが、大悟は事細かにリポートしていく。灰皿の側面を手の甲でなでながら「どの女の内ももよりええわ」と恍惚の表情を浮かべる偏執的な愛。
この喫煙所を離れると、荒川区にある別の喫煙所に向かう大悟。見たところ、さっきの喫煙所と違いがまったくわからないが、大悟は「全然違うやん」と言い張った。
大悟「さっきの喫煙所は角にあったけど、ここは道沿いにある。道が前にあるから、子どもらが歩いたり、町の流れが見えるよな。町をあてに吸うてる感じかな」
ノブ「一緒やって! さっきと何が違うん」
違いは立地だけじゃない。大悟は灰皿の表面のタバコを入れる穴を指し「普通に穴開けりゃええだけやけど、全部穴の形変えたりしてるやん」と指摘するのだ。さらに、灰まみれのたばこ穴を指でなでて拭いてみせる。
ノブ「おいおいおい、そんなとこ触んなよ! 汚いやろ」
大悟「いや、見てあげて」
ノブ「嫁の死に顔か。“見てあげて”じゃないねん」
最後は、虎ノ門のオフィス街へ足を運んだ千鳥。実はこの街にはJTのビルがあるのだ。
ビルに足を踏み入れた大悟は「JTさんにはたばこで20年近くお世話になってるので、挨拶しとかないとと思って今日来ました。遅れました、ごめんなさい」と一礼。すごい腰の低さである。おなじみ「JT」のロゴマークが視界に入ると「あの刺青入れようかな」とうかつなことを言いだすし。きっと、深きたばこ愛ゆえだろう。まあ、大悟が吸っているのはアメリカンスピリットなのだが……。
JTの喫煙所がまた広い。今、どの飲食店も職場も喫煙スペースを狭める傾向にあるのに、ここだけは違った。たばこに火をつけた大悟は感無量の表情だ。
大悟「あ~、なんかたばこも喜んでます。“ただいま~”って言ってるわ。親の元に帰ったような感じやろうな」
JTの喫煙所は、窓から見る風景も違う。景色がすごくいいのだ。
大悟「(ビルの)1本1本がたばこみたいやね、こうやって見ると」
ノブ「どうかしとるんか」
確かにどうかしてる企画だ。今回、同番組は、なぜこんな企画を決行したのだろう? その理由は、時代の流れ。健康増進法の一部改正が2020年4月に全面施行となり、喫煙スペースの規制・分煙はより厳格化される。喫茶店や雀荘、パチンコ店までが禁煙になっていく流れがあるのだ。
大悟「最後に喫煙所を巡りたい。今年中にやらな、無理やったかもしれん」
もちろん、来年に開催されるオリンピックも時代の流れと無関係ではない。
大悟 「わし、オリンピック会場でたばこ吸うて捕まっちゃろうかな、来年(笑)」
図らずも、この企画は失われゆく風景を記録する機能を果たしている。再開発前の駅前写真のような、20年前に録画したVHSに残るCM映像のような。ある種、タイムカプセル的な役割を担っているのだ。
喫煙者が自己主張しにくくなっている昨今。やはり、地上波で放送するのは難しい企画だったと思う。だからこそ、好事家の目を引いた。不毛な企画に見せかけて、一部の層にとっては決して不毛じゃなかった。
(文=寺西ジャジューカ)
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(8月11~17日)見たテレビの気になる発言をピックアップします。
いま「寵愛」と聞いて思い浮かぶのは、どの芸能人か。明石家さんまと加藤綾子。松本人志と指原莉乃。上沼恵美子と梶原雄太(カジサック)。有吉弘行と藤田ニコル、または池田美優(みちょぱ)。周囲がゴシップ的に取り上げるものも含めていろいろな組み合わせがあるだろうけれど、個人的には、志村けんと千鳥・大悟の関係をおいてほかにない。
先週は、そんな志村と千鳥の組み合わせを何度も見た。14日の『志村けんのだいじょうぶだぁ』(フジテレビ系)では、千鳥の2人がそれぞれ志村とコントを演じていた。電車運転士の大悟が酔っぱらいの志村を電車から降ろそうとするコントと、交番に道を尋ねに来たノブに警察官の志村が道案内をするコントだ。
こんなふうに、テレビでの共演も珍しくない志村と千鳥。しかし、本人がいないところでも千鳥は頻繁に志村の名前を出す。平均して1番組に1.5志村は出してる感覚だ。あくまでも感覚で。
たとえば、特番として放送された15日の『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)。大悟が「攻めた夏服」を買いに行く前半の企画も面白かったけれど、後半の企画がまた傑作だった。題して「Lemonを歌いたいんじゃ!!」。米津玄師のヒット曲「Lemon」をカッコよく歌い上げたいというノブがボイストレーニングを重ね、1カ月後の収録で披露するという企画だ。
まず、2人はボイストレーナーのもとを訪れる。しかし、手始めに「Lemon」を歌うノブの歌声に、大悟は終始しかめっ面。実はノブ、カラオケがコンプレックスになるほど歌がひど い のだ。しかも、博多大吉や光浦靖子といったタイプの、音程が大きく外れたりリズム感が絶望的に欠けていたりといった「音痴」ではなく、単に歌唱力に乏しい「ヘタ」に分類されるであろう歌声。バラエティ的にはすぐに笑いに結びつきにくいやつだ。しばらく聞いていた大悟は、1番が終わったあたりで曲を止め、歌詞を引用しながらツッコんだ。
「ホンマにみんなが『夢ならば』と思ったよ」
ノブの歌唱力の現状が確認できたところで、トレーナーによる指導が始まる。あくびをする感覚で歌ってみる、イケメンになったつもりで歌ってみる、首の力を抜いて歌ってみるなど、さまざまな方法が試された。しかし、ノブの歌はあまりうまくなったようには聞こえない。そこでトレーナーが意外なことを言い始める。
「米津玄師さんって、ちょっと声の芯が志村けんさんみたいなところにあるんですよ」
この発言に、当然、志村と親交の深い大悟が食いつく。ここからは、大悟主導での志村式歌唱法のトレーニングの開始である。見本として、志村のモノマネを交えながら歌う大悟。それを見て、ノブが嘆く。
「今日俺、志村さん習うん?」
歌唱指導は、難関のサビに差し掛かる。トレーナーによると、ここは特に志村ボイスが使えるところ。大悟はノブの横で変なおじさんのダンスを始める。ノブは大悟の指導のもと、サビの「愛」の歌詞で「アイーン」と叫ぶ。最終的には、ハゲヅラをかぶり、例のメイクをマジックペンで描いて変なおじさんになったノブが「Lemon」を歌い上げるのだった。ここだけ見た人はわけがわからないやつだ。
ノブが「Lemon」を上手に歌いたい。今回の企画は、それだけといえばそれだけである。しかし、特にこの『テレビ千鳥』がそうだけれど、100円だけ持ってゲームセンターに行くとか、ノブの車で海を見に行くとか、日サロで肌を焼くとか、料理を作って食べるとか、ドラクエをするとか、「それだけといえばそれだけ」のシンプルな企画を、千鳥はほぼ2人のやりとりだけで随一のバラエティ番組に昇華する。それが千鳥の真骨頂だ。
そして、そんな千鳥のやりとりには、高頻度で志村が顔をのぞかせている。
先週テレビで見た、志村と千鳥の組み合わせ。続いては、12日深夜に放送されたレギュラー回の『テレビ千鳥』。公開収録だったこの日は、ほぼ千鳥の2人だけでのフリートークが展開された。
トークは初っ端から志村の話題だ。ノブは語る。自分と志村はインスタグラムをやっている。で、自分が写真を上げても基本的に志村は反応しないのだが、例外がある。
「大悟が出てる写真にだけ、『いいね!』をしてくるんですよ。こんなカワイイことあります?」
この志村トークに、当然のように大悟も追随する。大悟いわく、日本に住むほとんどの人が、子どものころに志村で笑わされた経験があるといっても過言ではない。それほど長く、志村はテレビの世界で笑いを提供してきた。そんなレジェンドと大悟が一緒に歩いていたときのこと。よく考えてみればそれだけでもすごいことだが、前を歩いていた志村は振り返って言った。
「振り向いてお前がいるとうれしいんだよな」
志村と大悟の寵愛関係を象徴するかのようなエピソード。それを、「こんなことある? こんなうれしいこと」と紅潮気味に語る大悟。そこにノブが立て続けにツッコむ。
「恋人やん」
「キスする前やん」
もちろん、志村と大悟は先輩と後輩の関係にある。師匠と弟子の関係に近いのかもしれない。大悟はいま志村と深夜番組でコントをやっているが、そこでは多くの学びがあるという。
大悟によると、自分たちは中学生のときにダウンタウンの笑いを全身に浴びて育ってきた。お笑いのスタート地点、基準点として、ダウンタウンが刷り込まれたのだ。しかし、それは次のことを帰結してしまった 。
「お笑いの教科書でいうと10ページ目から始めちゃってんのよ。ダウンタウンさんのページから始めて、ダウンタウンさんのページに憧れて芸人の世界入ってるから。実は20年、お笑いの1ページ目をやらずに育ってきたわけ」
そして、芸人になって20年。大悟はようやく、これまで読み飛ばされてきたお笑いの教科書の1ページ目に触れることになる。そこにはずっと、志村がいた。
俳優、歌手、作家、コメンテーター、イベンター、映画監督、絵本作家、焼肉店経営 など、芸人の活躍の場は横に広がってきた。お笑いとは別の教科書を開く者も出てきた。しかし、大悟は活動を横に広げるというより縦に掘る。お笑いの教科書の1ページ目にさかのぼり、そこで学ぶ。
志村の背中を見ながら、大悟は歩く。「振り向いてお前がいるとうれしいんだよな」と言われながら。
さて、以上のように、先週は志村と千鳥の組み合わせがテレビで多く見られたのだが、1点、気になったことがある。『だいじょうぶだぁ』でのダチョウ倶楽部・上島の扱いだ。以前より、志村と親密な関係を築いてきた上島は、プライベートでもよく飲みに行く仲として有名だった。『だいじょうぶだぁ』や『バカ殿』のレギュラーも長年務めてきた。
しかし、約2時間に及んだ今回の放送中、上島が出演していたコントは4つ。そのすべてがその他大勢としての役回り、モブ的なキャラクターでの出演だった。
この状況を、上島が「夢ならば」と思ったかどうかはわからない。
(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(8月11~17日)見たテレビの気になる発言をピックアップします。
いま「寵愛」と聞いて思い浮かぶのは、どの芸能人か。明石家さんまと加藤綾子。松本人志と指原莉乃。上沼恵美子と梶原雄太(カジサック)。有吉弘行と藤田ニコル、または池田美優(みちょぱ)。周囲がゴシップ的に取り上げるものも含めていろいろな組み合わせがあるだろうけれど、個人的には、志村けんと千鳥・大悟の関係をおいてほかにない。
先週は、そんな志村と千鳥の組み合わせを何度も見た。14日の『志村けんのだいじょうぶだぁ』(フジテレビ系)では、千鳥の2人がそれぞれ志村とコントを演じていた。電車運転士の大悟が酔っぱらいの志村を電車から降ろそうとするコントと、交番に道を尋ねに来たノブに警察官の志村が道案内をするコントだ。
こんなふうに、テレビでの共演も珍しくない志村と千鳥。しかし、本人がいないところでも千鳥は頻繁に志村の名前を出す。平均して1番組に1.5志村は出してる感覚だ。あくまでも感覚で。
たとえば、特番として放送された15日の『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)。大悟が「攻めた夏服」を買いに行く前半の企画も面白かったけれど、後半の企画がまた傑作だった。題して「Lemonを歌いたいんじゃ!!」。米津玄師のヒット曲「Lemon」をカッコよく歌い上げたいというノブがボイストレーニングを重ね、1カ月後の収録で披露するという企画だ。
まず、2人はボイストレーナーのもとを訪れる。しかし、手始めに「Lemon」を歌うノブの歌声に、大悟は終始しかめっ面。実はノブ、カラオケがコンプレックスになるほど歌がひど い のだ。しかも、博多大吉や光浦靖子といったタイプの、音程が大きく外れたりリズム感が絶望的に欠けていたりといった「音痴」ではなく、単に歌唱力に乏しい「ヘタ」に分類されるであろう歌声。バラエティ的にはすぐに笑いに結びつきにくいやつだ。しばらく聞いていた大悟は、1番が終わったあたりで曲を止め、歌詞を引用しながらツッコんだ。
「ホンマにみんなが『夢ならば』と思ったよ」
ノブの歌唱力の現状が確認できたところで、トレーナーによる指導が始まる。あくびをする感覚で歌ってみる、イケメンになったつもりで歌ってみる、首の力を抜いて歌ってみるなど、さまざまな方法が試された。しかし、ノブの歌はあまりうまくなったようには聞こえない。そこでトレーナーが意外なことを言い始める。
「米津玄師さんって、ちょっと声の芯が志村けんさんみたいなところにあるんですよ」
この発言に、当然、志村と親交の深い大悟が食いつく。ここからは、大悟主導での志村式歌唱法のトレーニングの開始である。見本として、志村のモノマネを交えながら歌う大悟。それを見て、ノブが嘆く。
「今日俺、志村さん習うん?」
歌唱指導は、難関のサビに差し掛かる。トレーナーによると、ここは特に志村ボイスが使えるところ。大悟はノブの横で変なおじさんのダンスを始める。ノブは大悟の指導のもと、サビの「愛」の歌詞で「アイーン」と叫ぶ。最終的には、ハゲヅラをかぶり、例のメイクをマジックペンで描いて変なおじさんになったノブが「Lemon」を歌い上げるのだった。ここだけ見た人はわけがわからないやつだ。
ノブが「Lemon」を上手に歌いたい。今回の企画は、それだけといえばそれだけである。しかし、特にこの『テレビ千鳥』がそうだけれど、100円だけ持ってゲームセンターに行くとか、ノブの車で海を見に行くとか、日サロで肌を焼くとか、料理を作って食べるとか、ドラクエをするとか、「それだけといえばそれだけ」のシンプルな企画を、千鳥はほぼ2人のやりとりだけで随一のバラエティ番組に昇華する。それが千鳥の真骨頂だ。
そして、そんな千鳥のやりとりには、高頻度で志村が顔をのぞかせている。
先週テレビで見た、志村と千鳥の組み合わせ。続いては、12日深夜に放送されたレギュラー回の『テレビ千鳥』。公開収録だったこの日は、ほぼ千鳥の2人だけでのフリートークが展開された。
トークは初っ端から志村の話題だ。ノブは語る。自分と志村はインスタグラムをやっている。で、自分が写真を上げても基本的に志村は反応しないのだが、例外がある。
「大悟が出てる写真にだけ、『いいね!』をしてくるんですよ。こんなカワイイことあります?」
この志村トークに、当然のように大悟も追随する。大悟いわく、日本に住むほとんどの人が、子どものころに志村で笑わされた経験があるといっても過言ではない。それほど長く、志村はテレビの世界で笑いを提供してきた。そんなレジェンドと大悟が一緒に歩いていたときのこと。よく考えてみればそれだけでもすごいことだが、前を歩いていた志村は振り返って言った。
「振り向いてお前がいるとうれしいんだよな」
志村と大悟の寵愛関係を象徴するかのようなエピソード。それを、「こんなことある? こんなうれしいこと」と紅潮気味に語る大悟。そこにノブが立て続けにツッコむ。
「恋人やん」
「キスする前やん」
もちろん、志村と大悟は先輩と後輩の関係にある。師匠と弟子の関係に近いのかもしれない。大悟はいま志村と深夜番組でコントをやっているが、そこでは多くの学びがあるという。
大悟によると、自分たちは中学生のときにダウンタウンの笑いを全身に浴びて育ってきた。お笑いのスタート地点、基準点として、ダウンタウンが刷り込まれたのだ。しかし、それは次のことを帰結してしまった 。
「お笑いの教科書でいうと10ページ目から始めちゃってんのよ。ダウンタウンさんのページから始めて、ダウンタウンさんのページに憧れて芸人の世界入ってるから。実は20年、お笑いの1ページ目をやらずに育ってきたわけ」
そして、芸人になって20年。大悟はようやく、これまで読み飛ばされてきたお笑いの教科書の1ページ目に触れることになる。そこにはずっと、志村がいた。
俳優、歌手、作家、コメンテーター、イベンター、映画監督、絵本作家、焼肉店経営 など、芸人の活躍の場は横に広がってきた。お笑いとは別の教科書を開く者も出てきた。しかし、大悟は活動を横に広げるというより縦に掘る。お笑いの教科書の1ページ目にさかのぼり、そこで学ぶ。
志村の背中を見ながら、大悟は歩く。「振り向いてお前がいるとうれしいんだよな」と言われながら。
さて、以上のように、先週は志村と千鳥の組み合わせがテレビで多く見られたのだが、1点、気になったことがある。『だいじょうぶだぁ』でのダチョウ倶楽部・上島の扱いだ。以前より、志村と親密な関係を築いてきた上島は、プライベートでもよく飲みに行く仲として有名だった。『だいじょうぶだぁ』や『バカ殿』のレギュラーも長年務めてきた。
しかし、約2時間に及んだ今回の放送中、上島が出演していたコントは4つ。そのすべてがその他大勢としての役回り、モブ的なキャラクターでの出演だった。
この状況を、上島が「夢ならば」と思ったかどうかはわからない。
(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)
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