Snow Manラウールの言葉が現実に? STARTO社がチケット転売対策に本腰でサイト運営会社と裁判へ

 Snow Manらのコンサートチケットが高額で転売されていることへの対策として、所属先のSTARTO ENTERTAINMENTは大手転売サイトに対し、出品者情報の開示を求める裁判手続きに入ったと発表した。別の大手サイトは開示請求に応じており、STARTO社が旧ジャニーズ時代から悩まされていた「高額転売」の撲滅に向けて本腰を入れたとして期待を集めている。

 かねてから問題とな…

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King & Prince、ツアー開幕も「本人確認なし入場」が物議…実施を願う声が続出

 7月25日から全国アリーナツアー『King & Prince CONCERT TOUR 2021 ~Re:Sense~』をスタートさせたKing & Prince。ファンの間ではチケットが高額転売されていることが以前から話題となっていたが、いざ公演が始まると、今度は入場の際に本人確認が行われなかったとしてファンから批判が殺到しているようだ。

 今回のツアーは7…

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チケット転売の舞台となる売買サイトやTwitterはどうなる? チケット転売規制法を弁護士がスッキリ解説!

 6月に施行される「チケット転売規制法」を、弁護士法人ALG&Associates山岸純弁護士から、2回にわたり解説してもらっている。

【前編】チケット転売規制法は「高額チケットに苦しむ国民救済」が目的じゃない! 弁護士がスッキリ解説
【中編】「当選権利は対象?」「サイン会は?」「ディズニーランドは?」チケット転売規制法を弁護士がスッキリ解説!

 最終回となる今回は、高額転売の舞台にチケット転売サイトやtwitterやメルカリといったサイトは罪になるのか? という点や、一部チケットではすでにおなじみの「チケットの記名者以外は入場無効」という文言の法的な根拠について伺う。

 

チケット転売の「プラットフォーム」は罪に問われる?

――高額転売が問題となったチケット転売サイト「チケットキャンプ」は2018年に閉鎖されましたが、類似サイトは今だ存在します。こういったサービスは、法律施行後は存在しえないのでしょうか?

山岸純弁護士(以下、山岸) こういったサイトは高額転売の場所を提供しているだけなんですよね。 チケット転売規制法を見ると、不正転売をしてはいけない、そして不正転売を目的に買ってはいけないとありますが「場所の提供者」は規制の対象になっていません。

 これはソープランドの構造に似ているんです。ソープランドの経営者は売春に違反していません。なぜなら、あそこでお客さんと女性が「たまたま」恋愛関係になり、たまたまそこに金銭が発生しているという構図なんです。

 こういったチケット転売サイトが「どうしてもコンサートに行きたい人とコンサートに行けなくなってしまった人をマッチングするサービスです」ときれいにうたっていれば、ぐうの音も出ないわけです。ただ、もし「儲けたい人集まれ! 高額転売可!」と記載していればアウトでしょう。これでは犯罪を教唆しており、教唆犯になります。

 ただそこは当然、うまくやるんでしょうね。どこの会社も「当社は転売目的の利用を禁止しています」とか「転売をして利益を得ようと思っている利用者は当社の規則により排除します」と規約に書くのでしょう。 そこで何かあったとしても「売り手がたまたま行けなくなったからと言っている以上、うちとしてはこれ以上突っ込めない」と言えばもう、どうしようもない。これはメルカリなどのフリマサイトでも同じことが言えます。

――歯がゆいですね。

山岸 でも、このあたりはAIの活躍に期待できます。AIが「この人は1ヶ月に5回も「どうしても行けなくなってしまった」と出品している。不自然だ」と自動的に出品停止にする。実際こういう風に動いていくはずなので、改善されていくとは思いますよ。

――Twitterでもチケットを買いたい、売りたいというやりとりをよく見ますが、Twitter社は問題にならないのでしょうか。

山岸 おそらく、利用約款などでこういう投稿を禁止したりしているのだと思いますよ。「当社はしっかりと取り締まっています」とアピールするためにね。

――ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)の入場チケットは営利目的の有無にかかわらず、すべての転売を禁止しておりキャンセルも認めていません。それに対し、NPO法人消費者支援機構関西が規約改善を申し入れています。

 USJの場合、中編(記事はこちらから)で説明頂いた通り、遊戯施設であり今回のチケット転売規制法には該当しませんよね。そうなると、USJが掲げる転売禁止などの規制は、どこまで効力のあるものなのでしょうか。

山岸 そのチケットに名前が書いてある場合、法律上それは「記名式債券」と呼ばれます。

 チケットとは、あることができる権利を紙の上にのせたものです。「切符」がそうですよね。130円区間を乗車することができる権利が紙きれに乗っかっているんです。 切符には名前が書いていませんよね。切符を持ってる人は誰でも130円分の区間に乗れます。

 一方で、記名式債権は「この書かれた名前の人のみに、うちはサービスを提供します」という債権です。「定期券」がそうですよね。

――確かに、ほかの人の定期券は使えないですよね。

山岸 鉄道会社の定期券は記名者以外は使えないという条件のもと発行しています。同様に、USJがチケットに「入場券・山岸純」と記載している場合、私しか使ってはいけないでしょうね。ただ、私以外の人がそのチケットを使って入ろうとする場合、最終的に入場を拒否するかどうかは施設側の判断になります。

――なるほど。6月に施行されるチケット転売規制法以外に、既存の「記名式債券のルール」もあるんですね。

 遊戯施設のようなチケット転売規制法の対象ではないチケットでも、記名されたチケットならば「記名式債券のルール」に基づいて、チケットの名義と入場者が異なると施設側から入場を拒まれる可能性があると。

山岸 はい。あとは施設側の判断によることになります。

 最後に、繰り返しになりますが、今回の「チケット転売規制法」は直接的には興行主のために作られた法律になります。高額でしかチケットを入手できず、競合興行先へファンが流れることを防止することが主目的です。

 ただ誤解しないでいただきたいのは、広い目で見れば、すべての法律は国民のために作られている、という点です。チケットが高額で出回らないようにすれば、今チケットを高額でしか購入できず困っている人だけでなく、将来あるアイドルのファンになりチケットを購入しようとしたものの、定価で買えず、転売価格が高すぎて購入できない、という人にとっても助けになりますよね。今この時だけではなく、法律の対象は「広くあまねく国民のため」なのです。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

「当選権利は対象?」「サイン会は?」「ディズニーランドは?」チケット転売規制法を弁護士がスッキリ解説!

 6月に施行され、東京オリンピックのチケットも関係する「チケット転売規制法」。弁護士法人ALG&Associates山岸純弁護士から前回(記事はこちらから)「そもそもこの法律は消費者保護が目的ではない」という意外な事実を伺った。引き続き今回は、チケット転売規制法の詳細について見ていきたい。

 

ポイント①双方向でなく「一方通行」の興行が対象

――チケット転売規制法の対象となるのは、どのような興行なのでしょうか。

山岸純弁護士(以下、山岸) 「この法律において「興行」とは、映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他の芸術及び芸能又はスポーツを不特定又は多数の者に見せ、又は聴かせること」とあります。

 よって、飛行機、新幹線といった交通チケットは対象外です。ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンといったレジャー施設の入場券も「見せる、聴かせる」でなく体験させるタイプのものなので対象外です。

――握手会やサイン会のチケットは含まれないとみていいのでしょうか。

山岸 アイドルと握手をしたり、サインをするのは芸能を「見せる、聴かせる」ではないので、対象外でしょうね。見せるだけ、聴かせるだけといった「一方通行感」がポイントです。

 

ポイント②反復する意思があるとアウト!

――法律を見ると、業(ぎょう)として興行主やその委託を受けた販売業者の事前の同意を得ないで、販売価格を超える金額で(チケットを)有償譲渡すれば、売り手、書い手ともに罰せられる。とありますね。「業」って、なんなんでしょう?

山岸 法律上の業とは「ある動作を反復継続する意思があるか、実際にそれをやっているか」ということです。車で人を轢いてしまう罪を、今は自動車運転致死傷罪と言いますが、以前は業務上過失致傷罪と言っていました。この業務上という言葉も「業」と同じです。車の運転は「繰り返し」するものですよね。別に営利目的でなくても、何回も繰り返そうとしている行動であれば「業」にあたります。

――なぜ無職の人が車で人を轢いたときに「業務上過失致傷罪」になるのか不思議だったのですが、「仕事中」でなく「繰り返す行為」という意味なんですね。

山岸 はい。法律上の業は「何度も繰り返す」という意味です。ただ、営利目的であればそのこと自体で既に「業」にはなりますね。営利目的ならば「何回も繰り返す」ことが想定されますから。

――つまり、何回も転売を繰り返す職業としてのダフ屋は、当然チケット転売規制法において「業」となり、アウトなんですね。ダフ屋は定額より高い金額でチケットを売ったらアウトだし、ダフ屋から定額より高い金額で購入した人もアウトだと。

山岸 はい。しかし「今回一回だけ、どうしても金欠なので、チケットを1万円で売りました」という場合は「業」にはあたりません。

 ポイントは「繰り返し」です。定価からどれだけの金額を上乗せしたかは全く関係ありません。500円のチケットを510円で売ったとして、それを繰り返し行えば「業」ですし、個人が一回きりで5,000円のチケットを10万円で売っても、それは業には当たりません。

――そうなると、チケット転売規制法ができても「一回きり」で高額転売をする人は規制の対象にならないということですね。歯がゆい気もしますが……。

山岸 前回(記事はこちらから)でお話した通り、チケット転売規制法が保護する対象は「高額チケットで苦しむ個人」でなく「興行主」です。個人の一度きりの転売を規制するのではなく、それよりも数が多いであろう「業」として転売を続ける業者を規制の対象としているのです。

――チケット転売規制法における対象のチケットは、
「興行主やその委託を受けた販売業者が、販売時に
A:同意のない有償譲渡を禁止し、
B:入場資格者又は購入者の氏名・連絡先を確認した上で、
ABが券面などに表示されている興業であり、かつ興行の日時・場所のほか、入場資格者又は座席が指定されているもの」とあります。

 近年は転売防止のため、指定席でも座席が当日にならないと判明しないチケットもありますが、こういったチケットも規制の対象でしょうか?

山岸 はい。上記ABの条件に該当していれば、座席が当日にならないとわからないチケットも規制の対象です。

 

 

ポイント④「チケット」ではなく「当選権利」は規制の対象?

――チケットそのものではなく「あなたはこのコンサートに当選しました。 いつまでに●●円を振り込み、その際に今回の整理番号を入力してください」というような「当選権利」が当たるケースもあります。振込票番号を入力し、代金を支払った後チケットが発券される形になります。こういったチケットになる前の当選権利は、チケット転売規制法の対象になるのでしょうか。

山岸 当選権利は対象外ですね。この法律が規制する対象は「チケット(電子チケットの場合も含む)」です。 「当選権利」は「チケット」ではないからです。

――似たようなものにも思えるのですが、なぜでしょう?

山岸 処罰がある法律は「類推解釈」してはいけない法律の原則があります。チケット転売規制法では、9条で「(違反した場合)一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められています。 よってこの法律では「チケットでは」と特定されているため、当選権利までの類推はできないのです。

――ほかに、チケット予約を本人に代わって代行するサービスもありますが、ではこちらもチケット転売規制法の対象ではないですよね。

山岸 はい。チケットを取ることを本人に代わってやっているだけであり、今回の法律の対象外です。

 

ポイント⑤チケットに抱き合わせて販売はセーフ?

――チケットに支払手数料や送料等を抱き合わせるのは問題ないでしょうか。

山岸 この法律における不正転売の定義はもともとのチケットの販売価格を超えて売ることになります。ただ、支払手数料や送料は付随する話なので、問題ないでしょう。

――では、チケットにグッズ等を抱き合わせるのはどうでしょうか。

山岸 100円のブロマイドをつけて、チケットが5,000円の場合、5,100円で売るのは問題ありません。ただ、5万円で販売したら、アウトでしょうね。

* * *

 チケット転売規制法が施行されても「業として」ではない、一回きりの個人の転売は今まで通り問題ないのだ。では、チケット転売専用サイトやメルカリ、twitterといった、個人間の売買時によく使われる「ウェブサービス」は罪に問われないのだろうか? 引き続き山岸弁護士に伺う。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

チケット転売規制法は「高額チケットに苦しむ国民救済」が目的じゃない! 弁護士がスッキリ解説

 東京オリンピックを視野に6月に施行される「チケット転売規制法」。チケットの高額転売はあとを絶たず、中学生がジャニーズのチケットを売るフリをして金をだまし取り、書類送検される事件も起きている。高額チケット転売はもはや見過ごせない社会問題であり、困っている国民のためこの法律が施行されると思っている人も多いかもしれない。

 しかし、弁護士法人ALG&Associates山岸純弁護士によると「報道のされ方でそう思っている人がほとんどですが、そういう趣旨の法律ではないんです」とのこと。読めばスッキリ、チケット転売規制法がこれでわかる!

 

高額チケットに苦しむファンのための法律ではない

――「チケット転売規制法」は転売された高額チケットに苦しむ国民のための法律ではないのでしょうか。

山岸純弁護士(以下、山岸)はい。この法律は「消費者のためのもの」ではないんです。

 なお、政府の電子図書館において「チケット転売規制法」はまだ正式なものにはなっておらず、現時点では衆議院のホームページに出ている「案」に基づいて説明します。

※ 衆議院ホームページ:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律

 この法律は「興行主」、例えばジャニーズアイドルのコンサートなら「ジャニーズ事務所」を守るためのものなんです。

 

ほとんどの人が誤解している「プロバイダー責任制限法」

山岸 報道のされ方で誤解されている法律は他にもあります。例えば、「プロバイダー責任制限法」もそうですね。「2ちゃんねるなどで名誉毀損の書き込みをされた人が、プロバイダーに対し、書き込んだ人のIPアドレスに紐づいた個人情報の開示請求をすることができる法律」と理解している方も多いかと思います。

――そう思っていました。「名誉毀損された人を守るための法律」という印象を受けます。

山岸 報道を見ると確かにそう思ってしまいますよね。でも、実際は違います。そもそも名称が「プロバイダー責任制限法」であり、プロバイダーの責任を制限する、つまり“プロバイダーを守るため”の法律なんです。

 流れで見ていきましょう。まず、ネット上で名誉毀損された人はプロバイダーに書き込んだ人の個人情報を教えてほしいと言います。ただ、プロバイダーは素直に教えていいか迷いますよね。守秘義務だってありますし。書き込んだ人から「なんで勝手に教えるんだ」と報復される可能性もある。

 そのためプロバイダーは、書き込んだ人に「名誉毀損された人にあなたの個人情報を教えていいですか?」と聞くんです。そこで書き込んだ人が「教えてはダメ」と言えば、プロバイダーは個人情報を名誉毀損された人に教えなくていい。

 この一連の手順を踏みさえすれば、プロバイダーは名誉毀損された側に「なんで書き込んだ人間の個人情報を教えてくれないんだ! このプロバイダーを訴えてやる!」と言われても、損害賠償などの責任を負わなくていい、というのがこの法律の趣旨なんです。

――でも、書き込みをした人にしてみれば、自分の個人情報なんて当然教えたくないですよね?

山岸 はい。ですので、プロバイダーから名誉毀損された人に対して「書き込んだ人は自分の個人情報を教えたくないと言っている」という情報が通知されたあと、名誉毀損された人は個人情報開示のための裁判を起こすことができます。

 そうすれば裁判官によって、それぞれの事例が名誉毀損にあたるかどうかの判断が行われ、個人情報の開示が必要な場合は、裁判所からプロバイダーに開示するよう指示がいきます。「裁判所に言われたから個人情報を開示しました」となれば、書き込んだ人もプロバイダーに対して何も言えないですよね。

 チケット転売規制法の話に戻りますが、この法律でも同じような認識の間違いがあるんです。「高額でチケットを買わざるを得ない国民を救済する」ためではなく「興業主が、コンサートのチケット定価が5,000円であったら、その金額で行き渡らせるようにする」ための法律なんです。

――興行主は、なぜ定価でチケットを行き渡らせたいのでしょうか? 転売され高額になろうとも、その分は興行主の儲けには関係ないですよね。

山岸 それを理解するために、また別の法律、さまざまな経済活動を規制する「独占禁止法」についてお話します。独占禁止法には「廉価販売」の禁止があります。簡単に言えば、仕入れ価格より安く売ってはいけないよ、ということです。なぜだかわかりますか?

――消費者にしてみれば「安ければいい」とも言えますよね。

山岸 そうですね。でも法律というものは、とても広く、長期的な視野で考えているんです。

 例えばA、B、C社が原価が80円の中華まんを100円で売っていたとしましょう。 しかし、A社が70円で売り出す廉価販売をしたとします。こうなると国民が皆、A社の安い中華まんを購入しますよね。結果、 B、C 社は潰れてしまい、中華まん業界はA社の独占になってしまいます。ライバルがいなくなったのを見計らって、A 社が中華まんを120円に値上げするかもしれないですよね。それを防ぐために廉価販売をあらかじめ禁止しているんです。

 チケット転売規制法も考え方は似ています。ある興行主が「うちのアイドルの定価5,000円のチケットが5万円でじゃんじゃん転売されているが、うちとしては全く構わない」と言い切れるのであれば、構わないんです。でも、そのような状況が続いたらどうなるでしょうか。

――ファンは金にものを言わせるつらい消耗戦になるでしょうね。さらに「このアイドルのチケットはまず定価で入手できず、転売で相当高額になる」という情報は今はTwitterなどのSNSですぐ知ることができますから、新しくそのアイドルのファンになりかけた人がその過酷な争奪戦を知り、やっぱり本格的にハマるのはやめとこう、となるかもしれないですね。

山岸 そうなんです。転売されず高く買わずに済む他の興行主のアイドルの方がいいや、と競合に流れていってしまう可能性だってあります。それでは興行主側も困るわけです。

 チケット転売規制法は、直接的にはチケットを定価で売ろうとする興行主を守ることが趣旨です。ただ、法律は一番大きく考えれば広くあまねく国民のためです。そういった意味では国民のため、という論調のマスコミも間違ってはいないんですけどね。「直接的には業者のため、でも広く考えると国民のためである」という階層の構造をしているんです。

 このチケット転売規制法も含め、近年の法律は「目的」欄がありますから、そちらを見ると、誰のための法律なのかすぐわかりますよ。

――プロバイダー責任制限法はプロバイダーのため、チケット転売規制法は興行主のため。となると「特定の被害を受けて困っている個人たち」のために作られる法律というのは、ほとんどないのでしょうか。

山岸 ほぼないです。法律は特定の個人を守るものではなく「一般抽象的な国民のためのものである」と法学部の学生は憲法の授業で学びます。

* *

「誰に向けた法律なのかを理解すること」「法律は「特定の個人」ではなく、広くあまねく国民のため」――法律のこの二つの原則を理解すれば、チケット転売規制法にかかわらず、今後さまざまな法律が出ても理解の指針になるはずだ。次回も山岸弁護士に、より詳細に「チケット転売規制法」について伺っていく。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

転売防止は無理!? スマホと免許証を借りれば余裕でパス、デジタルチケットのユルユルな現状

 コンサートのチケット転売抑止に向けて、音楽業界全体が取り組んでいる昨今。転売できないように、紙のチケットではなく、スマートフォンに送られる「デジタルチケット」を採用するアーティストも増えている。しかし、実際にはデジタルチケットにおいても、転売が行われているのだという。

 デジタルチケットを採用する場合は、原則的にチケットの購入者本人でないと会場に入れないこととなっている。入場時にはデジタルチケットを受け取ったスマホと、本人であるということを示すための顔写真付きの身分証明書が必要となる。しかし、この2点さえあれば、購入者本人でなくても入場できてしまうことがあるというのだ。

 実際に他人が購入したデジタルチケットを譲り受けて、コンサートの会場に入場した経験があるという男性Aさんはこう話す。

「とある知り合いから、デジタルチケットを売りたがっている人がいると紹介を受けて、それでチケットを買いました。事前にデジタルチケットがダウンロードされているスマホと購入者の運転免許証を借りて、そのまま入場時のIDチェックを受けたんですが、問題なくパスすることができました。チケットを売ってくれた人と私の年齢が同じくらいで、共にメガネをかけていたという共通点があったので、スルーされたのかもしれません」

 デジタルチケットを採用している場合は、厳しいIDチェックが実施されているはずなのに、そうではなかったというこの現実。音楽業界関係者は次のように語る。

「運営サイドとしては、デジタルチケットの時点で、転売はある程度抑止できているという判断。もちろんIDチェックはするけど、そもそも『誰かから借りたスマホと免許証で入ってこようとする人は少ないだろう』との思い込みもある。だから、IDチェックが少々ゆるくなっている部分もあるのでしょう」

 ちなみに、Aさんが他人のデジタルチケットで入ったコンサートは、30~40代の男性ファンが多いガールズグループ。

「メガネをかけていて髪形も似たような感じだったら、30~40代のおじさんなんて、みんな同じように見えてしまうのでしょう。しかも、広い会場でのコンサートであれば、相当な数のIDチェックをしなければならないわけで、時間も限られているし、チェックも甘くなる。デジタルチケットとはいっても、転売を抑止するには不完全なんです」(同)

 チケット転売を防ぐために音楽業界が克服すべき課題は、まだまだ多そうだ。

転売防止は無理!? スマホと免許証を借りれば余裕でパス、デジタルチケットのユルユルな現状

 コンサートのチケット転売抑止に向けて、音楽業界全体が取り組んでいる昨今。転売できないように、紙のチケットではなく、スマートフォンに送られる「デジタルチケット」を採用するアーティストも増えている。しかし、実際にはデジタルチケットにおいても、転売が行われているのだという。

 デジタルチケットを採用する場合は、原則的にチケットの購入者本人でないと会場に入れないこととなっている。入場時にはデジタルチケットを受け取ったスマホと、本人であるということを示すための顔写真付きの身分証明書が必要となる。しかし、この2点さえあれば、購入者本人でなくても入場できてしまうことがあるというのだ。

 実際に他人が購入したデジタルチケットを譲り受けて、コンサートの会場に入場した経験があるという男性Aさんはこう話す。

「とある知り合いから、デジタルチケットを売りたがっている人がいると紹介を受けて、それでチケットを買いました。事前にデジタルチケットがダウンロードされているスマホと購入者の運転免許証を借りて、そのまま入場時のIDチェックを受けたんですが、問題なくパスすることができました。チケットを売ってくれた人と私の年齢が同じくらいで、共にメガネをかけていたという共通点があったので、スルーされたのかもしれません」

 デジタルチケットを採用している場合は、厳しいIDチェックが実施されているはずなのに、そうではなかったというこの現実。音楽業界関係者は次のように語る。

「運営サイドとしては、デジタルチケットの時点で、転売はある程度抑止できているという判断。もちろんIDチェックはするけど、そもそも『誰かから借りたスマホと免許証で入ってこようとする人は少ないだろう』との思い込みもある。だから、IDチェックが少々ゆるくなっている部分もあるのでしょう」

 ちなみに、Aさんが他人のデジタルチケットで入ったコンサートは、30~40代の男性ファンが多いガールズグループ。

「メガネをかけていて髪形も似たような感じだったら、30~40代のおじさんなんて、みんな同じように見えてしまうのでしょう。しかも、広い会場でのコンサートであれば、相当な数のIDチェックをしなければならないわけで、時間も限られているし、チェックも甘くなる。デジタルチケットとはいっても、転売を抑止するには不完全なんです」(同)

 チケット転売を防ぐために音楽業界が克服すべき課題は、まだまだ多そうだ。