『X-メン』シリーズで知られる映画監督ブライアン・シンガー(52)が、性的暴行で訴えられたと芸能サイト「TMZ」が報じた。訴えた男性によると、ブライアンは「自分に逆らったら、この業界では働けなくなる」と脅しながら、当時17歳だった彼にイラマチオを強要。その後、無理やりアナル・レイプしたというのだ。ブライアンが性的暴行で訴えられるのは初めてではなく、これまでは「金目当てだろう」と同情されていた。しかし今回は、ハリウッドの性的搾取が相次いで告発され大騒ぎとなっているタイミングでの訴訟案件だけに、厳しい目が向けられている。
ブライアンは、2000年にスタートした映画『X-メン』シリーズや『スーパーマン リターンズ』(06)、トム・クルーズ主演の『ワルキューレ』(08)、人気テレビシリーズ『Dr.HOUSE』(04~12)などの監督を務め、ハリウッドの第一線で活躍してきた。バイセクシュアルであることをオープンにしており、14年には25年来の親友である女優ミシェル・クラニーとの間に子どもをもうけている。「代理母契約を結んだのか」と取り沙汰されたが、ミシェルは「私はブライアンと自分の子どもを妊娠し、出産する。ゲイの男性が、代理母経由ではなく子どもをもうけるケースを聞いたことがないから、みんな混乱しているんでしょうね」「大親友と一緒に子どもを育てることがいかに幸せなのか、今後多くの女性たちは気がつき、このようなケースが増えると思う」と発言し、2人の間の実子だと説明していた。15年1月には息子が無事誕生したが結婚はせず、親友として子育てパートナーとして、良い関係を保ち続けていると伝えられている。
実はこの子作りについて、ブライアンの性的暴行騒動からのイメージ回復を狙ったものではないかという説があった。ブライアンは14年4月に、マイケル・イーガンという男から「17歳の時にレイプされた」と提訴されているのだ。マイケルは「1999年にマーク・コリンズ・レクターが主催したカリフォルニアのパーティーでブライアンと知り合い、その後、ハワイに連れていかれ、ドラッグと酒を与えられた上で強姦された」と主張。マーク自身が04年に未成年への性犯罪で有罪になっている実業家で、「そんな男と交流があるなんて、ブライアンもクロなんじゃないか」と白い目で見られたものだった。
これに対してブライアンは「でっち上げだ」と主張し、「反訴も辞さない」と強気な姿勢を見せた。裁判所に「原告が強姦されたと主張している時期、2人ともハワイにはいなかった」という証拠を提出し、14年8月、訴えは却下された。
同年、ブライアンはイギリス人男性からも「14歳の時にレイプされた」と訴えられている。「03年にプロデューサーのゲイリー・ゴダートが、ソーシャルメディアを通して連絡してきた。ブライアンを紹介できる、役者になれるとアプローチされた。ゲイリーとは、15歳のときからオンラインセックスをするようになり、06年の『スーパーマン リターンズ』プレミア上映でゲイリーとブライアンがイギリスに来て、ブライアンにホテルで強姦された」と提訴されたのだ。しかし、結局この訴えも7月に却下されている。
実は97年4月、ブライアン監督作の『ゴールデンボーイ』(98)に出演していたエキストラ少年(当時14歳)の両親が「我々保護者の許可なく、全裸でシャワーを浴びるシーンを撮影した」「桃色のGストリングス(Tバック状の下着)をはいていたのに、撮影直前に『脱げ』と命じた」とブライアンを訴える騒ぎを起こしたことがあった。結局この訴えも証拠不十分で却下されていた。
立て続けに騒動が起きた14年、ブライアンは米誌「Out」のインタビューを受け、自分のセクシュアリティについて「ここ5年で2人の女性と交際した。最初に真剣交際したのはミシェル」「でも情緒的には男性に惹かれる。だからゲイと呼ばれてもよいと思っている」と告白している。
しかし、もちろん男なら誰でもよいわけではないはずだ。誰にでもタイプというものがあるわけで、ブライアンの場合はそれが「つるつるで滑らかな肌の少年」だと長年うわさされてきた。というのも、ゲイであることを公にしている映画監督のローランド・エメリッヒが、11年に同性愛者専門誌「The Advocate」のインタビューで、ブライアンが主催するプライド・パレード・パーティーやニューイヤーズ・パーティーには「トゥインク」がたくさん招待されていることを暴露したからだ。「トゥインク」とは、若くてスリムで体毛が薄くすべすべした、少年のようなタイプのゲイ男性を指す。これまでにブライアンを訴えた男性たちも、被害に遭ったのは10代の頃で、「やっぱり少年が好きなんだ」と確信を持たれることとなった。
そして16年6月、米「ニューヨーク・マガジン」電子版に掲載された、俳優ノア・ギャルビンのインタビューが、この疑惑をより大きなものにする。「ブライアン・シンガーは小さい男の子たちを自宅プールに招いて、夜暗くなってから騙してファックするんだよ(笑)。自分は、そういうのには関わりたくない。ロサンゼルスでは、チャンスをつかむためならなんでもするようなホモセクシュアルがいるんだよね。ニューヨークのゲイ・コミュニティはとても健康的だけど、ロサンゼルスはそうではない」と語ったノアの発言が、掲載後すぐに削除されたのだ。同マガジン編集部は「このような論議を招くような発言は削除したほうがよいと決断した」と弁解するも「ブライアン=ペドフィリアの強姦魔」という噂はどんどんと膨れ上がっていった。
ハリウッドでは、ディズニー・チャンネルやニコロディオンの番組にレギュラー出演する子役はアイドルとして大ブレークするし、テレビコメディやドラマなどで子役が人気者になり、破格のギャラを手に入れて大成功を収めることがよくある。当然多くの子役たちがこれを夢見ており、彼ら・彼女らを「有名にしてやる」という言葉で釣って性的に搾取する犯罪が、ハリウッドで横行しているとのうわさは、長年まことしやかにささやかれていた。
今年10月、ハリウッドの重鎮で権力者として知られていた映画プロデューサーのハービー・ワインスタインが、過去30年にわたって女優やアシスタントに性的嫌がらせをしたとメディアに暴露され、ハービーが失脚した後には、女優たちが「キャリアアップと引き換えに、体の関係を迫られた/強要された」と告発し始めた。
この流れに乗ろうとしたのが、ドキュメンタリー『An Open Secret』の制作者たちだ。ハリウッドでの成功を夢見る少年たちが、業界の男たちにどのように性の餌食にされてきたかを告発した作品で、14年に作られた。当然ながらハリウッド配給会社などの協力はまったく得られず、多くの人に見てもらう機会をつくれなかった。「ハリウッドの闇を暴こうという声が高まっている今なら」ということで、10月12日にVimeoで配信を開始。最初の2週間で300万人が視聴するヒットとなった。
そして29日、アカデミー俳優のケヴィン・スペイシーから14歳の時に性的行為を強要されそうになったと俳優のアンソニー・ラップが暴露。その後、次々とケヴィンに性的行為を強いられたと告発する男性が現れ、彼の悪事もこれまた長年にわたる公然の秘密だったことが発覚し、ますます『An Open Secret』は注目を集めた。
同時期、以前より「ハリウッドはペドフィリアばかり」だと声を大にしてきた元・名子役のコリー・フェルドマン(『グーニーズ』『スタンド・バイ・ミー』ほか)が、「ハリウッドのペドフィリアを暴露するドキュメンタリー映画を作る。6人名前を挙げられるが、そのうちの1人はとてつもない権力者だ」とぶち上げ、製作のために必要な1,000万ドル(約11億円)をクラウドファンディングで求める活動を開始する。すると、この「権力者」とは、ブライアンのことではないかと臆測が飛び交った。
31日、20世紀フォックスがブライアンのプロダクション会社と契約を更新しなかったことが報じられると、「業界内でも見切りをつけ始めたのでは?」とうわさされるようになる。そして11月1日、今度はジャスティン・スミスという男性が、ツイッターで「2000年に彼氏からブライアンを紹介されたんだけど、いつも『ちんこ見せて』『おしり見せて』ってうるさかった」「ブライアンはハイになると、こうなんだって」「50~70代のラリった男たちと16〜17歳以下の少年たちが5~10人くらいでパーティーするんだよ」「ブライアンはいつもオレとやりたがって、『「X-メン2」に出させてあげる』なんて言われたけど、オレはいつも『ノー』って拒否ってた」などとブライアンの悪事を次々と暴露投稿。ブライアンのツイッターアカウントは大炎上し、閉鎖に追い込まれた。
11月10日になると、人気ドラマシリーズ『ER 緊急救命室』でブレークしたアンソニー・エドワーズが、ゲイリー・ゴダードから性的暴行を受けてきたことを告白。ゲイリーといえば、14年にブライアンを訴えたイギリス人男性に、最初に「ブライアンを紹介する」と接触してきたプロデューサーだ。
12月1日になると、ブライアンがイギリスのロックバンド・クイーンの伝記映画『Bohemian Rhapsody』の現場に無断で来なくなっており、撮影が中断していると報じられる。4日、20世紀フォックスは「ブライアンをクビにした」と発表。ブライアンは5日に「両親の健康状態が理由で、どうしようもなかった」と弁解したが、「白々しい」という反応が大半だった。
そして今月7日、米大手ゴシップ芸能サイト「TMZ」が、ある男性が「17歳の時にイラマチオを強要された上、レイプされた」とブライアンを提訴したことを報じた。
「TMZ」によると、原告はシーザー・サンチェス・グズマンという男性だ。シーザーは17歳だった03年、裕福な投資家が所有する豪華ヨットで開催されたパーティーに、たくさんの若いゲイたちとともに招かれた。そこでブライアンから「ヨットの中を見せてあげる」と誘われたが、部屋で2人きりになるとブライアンは豹変。シーザーを無理やりひざまずかせたという。
ブライアンはパンツからイチモツを取り出し、それでシーザーの頬を叩きながら「しゃぶれ」と命令。躊躇する彼の口に無理やり押し込み、イラマチオを強要した。シーザーは窒息しかけ、「やめてほしい」と繰り返したものの聞き入れてもらえず、最後にはアナルレイプされたという。
事が終わった後、ブライアンは「黙ってれば、お前に役を与えてやる」「俺はハリウッドでは、とても権力があるプロデューサーだからな」「もし誰かに今日起こったことを言っても、誰もお前を信じないだろう。そして、俺はお前を潰す」と脅されたそうだ。シーザーはショックで心身を病み、トラウマに苦しむようになったと主張。怖くて今まで誰にも言えなかったが、勇気を振り絞って起訴を決意したとしている。
ブライアンの弁護士は、今回も真っ向から否定している。相手側の弁護士が、14年のマイケル・イーガンのときと同じ人物であるのがうさんくさいとし、当のイーガンがその後別件の詐欺罪で禁錮刑に処されたことも持ち出して「何もかも金目ての訴訟」と強くアピールした。
しかし世間は、『An Open Secret』があまりにも生々しかったことから、ブライアンが少年たちに権力を振りかざし、性的暴行しているのは間違いないだろうと見ている。ネット上でも、「ペドフィリアの強姦魔」「ゲイ版/ペドフィリア版ハービー」などと叩かれまくっている。
ハービー同様、年内にはブライアンもハリウッドから追放されるのではないかと推測する声が上がっているが、今後、どのような展開になるのだろうか?ペドフィリアは、想像以上に世の中に多いとされている。ほかにも、芋づる式に告発される大物が出てくるのか。続報に注目したい。