どうしてあのタレントは人気なのか? なぜ、あんなにテレビに出ているのか? その理由を、業界目線でズバッと斬る「ズバッと芸能人」。
オリエンタルラジオ藤森慎吾が、ここのところ俳優づいている。興行収入20億円を突破した大ヒット映画『七つの会議』に続き、山下智久主演の金曜ドラマ『インハンド』(TBS系)では、実質4番手。さらに、6月公開のV6岡田准一主演『ザ・ファブル』にも出演。演技経験はそれほどあるわけではないが、どうしてそこまで求められているのだろうか?
”俳優芸人”として絶妙な立ち位置をキープ
野村萬斎主演の『七つの会議』には、香川照之をはじめ、及川光博、片岡愛之助、鹿賀丈史、北大路欣也など、日本俳優界のトップが集結。そんな中で、藤森の存在感は異彩を放っていた。
お笑い芸人がドラマや映画に出ると、往々にして画面から浮いてしまうことがあるのだが、藤森の場合はそこからはみ出さず、かといって埋もれることのない絶妙な立ち位置を保っていた。
同作での藤森の役どころは、営業部のアラ探しに執着する経理部課長代理・新田雄介。新田は当然、営業一課の万年係長・八角(野村)と衝突することになるのだが、野村の存在感と遜色なく、白熱した“つばぜり合い”を展開。
今年1月に『王様のブランチ』(TBS系)でメイキングシーンが紹介された際、映画コメンテーターのLiLiCoは彼の演技を「本当にすごい」と絶賛、「役者の道に行ったほうがいい」と勧めていたほどだった。
そんな演技への“開眼”ぶりのウワサが広まったのか、4月から始まった『インハンド』で連ドラ初出演を果たした藤森。菜々緒演じる美人官僚・牧野巴の同僚・御子柴隼人を好演している。
共通しているのは、いずれも藤森にしか出せない、クセのある役ということだ。『七つの会議』では斜に構えたクズとして豪華キャストのアクセントとなり、『インハンド』では、キレ者かと思いきや周りに流される風見鶏キャラ。『ザ・ファブル』では、女性のことしか頭にないチャラ男を演じているという。
考えてみればオリラジほど、毎度のごとく復活するお笑いコンビも珍しい。2人が最初にブレークしたのは2005年のテレビデビュー直後。リズム芸「武勇伝」で火がつき、いきなり冠番組を含むレギュラー番組を10本獲得。だが、それから急失速し、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)以外のすべての全国ネット地上波レギュラー番組を失うことになった。
ところが11年、慶応大卒の中田敦彦はインテリキャラ、そして藤森はチャラ男キャラで再ブレーク。その5年後の16年、ダンス&ボーカルユニット「RADIO FISH」として「PERFECT HUMAN」で再々ブレーク。
「武勇伝」を第1次ブームとした場合、第2次が「チャラ男」、第3次が「PERFECT HUMAN」ということになろう。この後、相方の中田がビジネス展開を始めてからコンビの方向性が見えなくなったが、藤森が新天地を見つけたことで、逆にバランスは取れている印象がある。そして、「第4次」があるとしたら、藤森の俳優大ブレークだろう。今後、彼には姑息な役はもちろん、一転、晴れ渡るような好青年も演じてもらいたいところだ。ゆくゆくは、朝ドラや大河ドラマも期待できよう。
とはいえ、これまでも自身で嫌というほど経験しているであろうが、一度頂点に上れば、あとは下るだけ。「上り調子」ぐらいの状態をキープし、今のようにバラエティで「俳優ですもんね」とイジられているぐらいのほうが、見ているほうも気構えなくていい。そういう「ブレークしかかっている」状態をキープして長続きさせるすべは身についているはずだ。それでも、俳優・藤森慎吾としてどこまで勢力を拡大できるか? 新たな武勇伝に期待したいところだ。
(文=都築雄一郎)
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