東京・有楽町・日比谷エリアにある帝国劇場、通称・帝劇。明治44年、日本最初の近代的洋式劇場として創設された帝劇は、現在、日本を代表する劇場の1つとして広く知られている。1年を通してさまざまなミュージカルが上演され、「帝劇=日本ミュージカルの聖地」と見る者も少なくない。
そんな帝劇に関して、ネットを中心に議論されているのが、“観劇時のファッションマナー”。帝劇に、“格式ある劇場”というイメージを抱いている人は少なくないだけに、ジャージやTシャツなどのラフな格好、また露出度の高い派手すぎる格好で来場する人たちに対し、「ふさわしくないのでは?」といった議論が巻き起こっているのである。
さらに、特定のファンの間では、さらにこの議論が活発化している。帝劇では、堂本光一主演の『Endless SHOCK』、KAT‐TUN・亀梨和也やKis-My-Ft2・玉森裕太らが主演を務めてきた『DREAM BOYS』、またジャニーズJr.が一挙に介する『JOHNNYS’YOU&ME IsLAND(ジャニーズYOU&ME アイランド)』など、ジャニーズ事務所所属タレントがメインの舞台が頻繁に上演されている。また、昨年夏の『王家の紋章』に宮野真守、今年夏の『ビューティフル』に水樹奈々など、人気声優が帝劇のステージに立つこともある。
そんな中、帝劇に訪れたファンの中に、彼らのツアーTシャツを着用していた者がいたと、ネット上で波紋を呼んだのだ。「帝劇はコンサート会場ではない」「ほかの出演者の方に失礼」「マナー違反」といった声が飛び交う一方、「Tシャツを着ていること自体は誰の迷惑にもなっていないと思う」「ファンが勝手にルールを作るのは息苦しい」などの反論も。さらに、帝劇に出演する声優が演じるアニメキャラクターの“痛バッグ”(推しキャラの缶バッチやぬいぐるみなどをあしらった「痛々しいバッグ」の意味)を持っていたファンに批判の声が渦巻くなどの炎上が起こったこともある。
では、実際に、帝劇側は観劇のファッションマナーに関してどのような考えを持っているのだろうか。帝劇を運営する東宝演劇部宣伝室に問い合わせをしたところ、帝劇オフィシャルサイトの「よくあるご質問」にある「ドレスコードはありますか?」で記載している通りだといい、「それ以上のコメントは特にございません」との回答を得た。
実際にサイトを確認してみると、「ドレスコードはございません。お客様のくつろげる装いでお気軽にお越しくださいませ。しかしながら、他にご観劇をされるお客様も多くいらっしゃいますので、他のお客様のご観劇の妨げにならないような装いを意識していただけますと幸いでございます。例:後方のお客様にご迷惑になるような髪型・髪飾り 背もたれに背中がつかず、前のめり姿勢になる恐れのある厚めの帯の着物など」とある。
来場者の良識が問われる内容だけに、判断に悩む部分もあるが、これまで3000回以上劇場に通い、観劇マナーに関する番組にも出演する演劇ライターの上村由紀子氏は、この問題にどのような考えを持っているのだろうか。
まず、上村氏は、観劇時のファッションに関する議論が起こる背景について、「普段あまり舞台の仕事をしないキャストが出演すると、観劇に慣れていないファンの方が劇場に訪れることが増えます。すると、既存の舞台ファンとの間に温度差が生じて、マナー問題で揉めやすいという面があると思います」と語る。
確かに、帝劇という場所に思い入れがある人ほど、軽装や露出度の高いファッションに「ふさわしくない」という思いを抱きやすいかもしれない。しかし上村氏は、「周囲の観客に迷惑でなければ問題はない」と考えているといい、ただし、「個人的には、ジャージや肌を露出した服だと、劇場内で目立ちますし、浮いてしまいますから、『それでも構わないという強い心を持っているなら思いを通すのもアリ』という感じです。それに、劇場内は空調が効いているので、肌を出していると寒くてツラいですよ」(上村氏、以下同)。
また、出演者のツアーTシャツを着てくる行為に関しては、「『ほかの出演者の方に失礼』という意見もあるようですが、そこまでの心遣いができるのは素晴らしいこと。『マナー完璧!』と感動します。ただ一方で、ツアーTシャツ自体が迷惑をかけるわけではないので、それを着ることで、その人自身の気持ちがアガるというのなら、特に問題はないと思います」とのこと。
さらに、ネット上で猛批判を浴びていた“痛バッグ”に関しても、「缶バッチの音がうるさくなければ」といった点に気をつければ、帝劇に持っていくのも問題はないと語る。
「『王家の紋章』に声優の宮野さんが出演された際、“痛バッグ”を持ったファンの方がいて、ネット上で物議を醸していました。そういったファンのせいで『宮野さんが恥ずかしい思いをする』といわれていたようですが、宮野さんご自身はおおらかでファンを大切にする方ですので、むしろファン同士がいざこざを起こす方が心を痛める気も。それに“痛バッグ”以上に、出待ちの際に撮影禁止の俳優さんに対して勝手に写真や動画を撮る、洋服等を触るといった行為の方が問題視されるべきではないでしょうか」
帝劇でのファッションマナーに関しては、「ロイヤルホストで晩ごはんを食べられる格好」を意識していれば問題ないとのこと。
「ファミレスの中ではちょっとグレードの高いロイヤルホストに行く服装をイメージしてもらえれば。なので、デニムやサンダルでももちろんOK。帝劇に行くのは就職試験に行くのとは違いますから。それに、ここ5年で観劇マナーはかなり向上している印象もありますし、演劇界に新しいファンを呼び込むためにも、そんなに締め付ける必要はないと思っています」
上村氏は、「ちゃんとした服装をしていても、人に迷惑をかけるマナー違反をしている人がいて、そちらの方が問題」という。観劇時において「高さ(後ろの席の人が見えにくくなるようなお団子や盛り髪、帽子など)」「匂い(香水やハンドクリーム、また汗の匂いなど)」「光(スマホ画面、照明を反射するスパンコールの服など)」「音(スマホの着信&バイブ音、ダウンジャケットの“シャカシャカ”音、ビニール袋の“ガサガサ”音など)」の4つを出さないことを心がけるべきとし、また「大きな荷物や、かさばるダウンやコート類なども邪魔になるので、劇場内のクロークやロッカーに預けるといいと思います。劇場のサービスで利用できるものはどんどん利用しましょう」と語る。
帝劇でのファッションマナー問題は、今後もネット上で議論を呼ぶだろうが、その際は「果たしてそれは、人に迷惑をかけているのか?」という視点を持つべきかもしれない。

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