「子宮系女子」の長崎県移住に新たな勢力も!? 2022年、スピリチュアル“教祖様”たちの注目動向

 ネット上には、無責任な理論で集客しては人を食い物にするような、スピリチュアリスト、霊能者、民間資格カウンセラーなどがあふれています。彼らを信じ込んでしまえば、価値観や金銭感覚をゆがめられるのはあっという間。友人や家族を失ってからでは、もう遅い! 「スピリチュアルウォッチャー」黒猫ドラネコが、現代社会にのさばる怪しい“教祖様”を眼光鋭く分析します。

 昨年はいろいろと忙しく、当コラムがあまり更新できませんでした。反省も踏まえ、2021年のエセ・スピリチュアル界隈の出来事をざっくり振り返りつつ、今年はどうなっていくかを考察したいと思います。

 まず、当コラムではおなじみの長崎県壱岐市(壱岐島)に移住して3年目を迎えた「子宮委員長」の動向からお伝えしましょう。昨年はFacebook上で「吉野紗弥佳(さやりんご)」と名乗るようになり、「実業家&アーティストとして行政に頼らない“可愛い”離島活性を目指しています」という自己紹介を公開。オリジナルブランドの化粧品や雑貨などを売りつつ、相変わらず自らを「億女(億を稼ぐ女性)」と称し、オンラインサロンを運営しているようです。

 SNSやブログを見ると、充実感を漂わせる投稿が目に入ります。壱岐島の由緒ある神社の宮司と再婚し、ファンから出資を募ってポルシェを購入したとか(億女がそんなことする……?)。さらに、親族を東北から壱岐市に呼び寄せたことも明かしています。

 そんな悠々自適の暮らしに憧れた熱心な信者たちは、GoToトラベルを利用せずとも、新年は「教祖様詣で」をしたようで、その様子はSNSに投稿されていました。さやりんごとしても、今年も引き続き離島生活を満喫しているとアピールして視線を集めたいでしょうから、信者たちのSNS投稿はいい宣伝になったはずです。

 さやりんごに会うべく壱岐市を訪れる人がいるため、ある意味「島の観光資源」と見る人もいるかもしれませんが、そう単純な話ではないようです。昨年6月には、「週刊新潮」(新潮社)が「『小林麻耶』もハマった”子宮系”が壱岐島に上陸で島民は困惑 『子宮の声を聞く』怪しげな集団」として否定的に取り上げ、私も依頼を受けコメントしました。

 このような話題で耳目を集める存在がいては、観光地として痛手なのではないかと感じます。あるスピウォッチャーさんの情報によると、最近のさやりんごは、やけに家事育児をアピールしているようです。教祖様の私生活の充実なんぞ個人的には全く興味がありませんが、「ママ」をターゲットにした新たなビジネスへの動きもあるそうで、引き続き注目していきたいですね。

 それに加え、「シン・教祖様」とばかりに、今年は新たな勢力も島に上陸する見込み。当コラムでも以前取り上げた、子宮系スピリチュアルから派生した「子宮推命」の考案者・假屋舞氏が、壱岐市に移住を決めたようなのです。

 「子宮推命」は世間的にポピュラーな占い「四柱推命」のような名前ですが、その中身は得体がしれません。假屋氏は自身のブログで「占いの統計データという知識をあてにせず、私自身が今『こうだ!』と思うことを勝手に星の解釈にしている占いです」と説明しており、自他共に認めるデタラメな占い。

 そんなものを布教して一部で名を馳せた假屋氏は、ファンから出資を募り(あなたたち、儲けているなら自分で出しなさいよ……)、壱岐市に居住用の豪華ログハウスを建設するとのこと。ローンもあるでしょうから、移住後の事業拡大は必定だと思われます。

 ちなみに現在は、某漫画家さんが作画したカードを使う高額セッション「イケメンいきものがたり」や、宝石の販売など、「子宮推命」以外にも手広くやっているようです。子宮委員長の信者から“教祖”へと成り上がった假屋氏がどのように活動するのか……。島民は今年も引き続き、「子宮系女子」に頭を悩ませることになるかもしれません。

 子宮系スピ界隈のお歴々が壱岐島に目をつけた発端は、元・壱岐市観光大使で自称スピリチュアリスト・happyの存在が大きいと思われます。昨年1月に「SACHI TAKEKOSHI(サチ・タケコシ)」という名義で歌手デビューしたhappyは、有名デザイナーやスタイリストなどの協力も取り付け、ライブやイベントに力を入れる1年だったようです。

 子宮委員長の親友で、スピリチュアル・ブロガーだった過去をロンダリングするような姿勢にはヒヤヒヤしたものですが、幸い、一般ウケはしませんでしたね。

 しかし、そんなhappyの行動力に声援を送る人は今も健在で、むしろますます盛況のよう。この界隈では、最も固い支持者層を形成した気配すらあります。やはり「機を見るに敏」なhappyは、最近は人数限定で入会金150万円の「ビジネス塾」を開始すると発表。応募が数百人もあった(自称)というから驚きです。

 心配なのは、この塾のために「借金しようか悩む」などという声がネット上にチラホラ見受けられること。「投資して」「お金を恵んで」と、実名や口座番号を晒している人も見かけました。数年前の「子宮系女子」ブーム全盛の頃、このような信者の危うい言動を頻繁に目にしたことを思い出します。

 happyは18年に壱岐島で「縄文祭」というイベントを開催。騒音問題を起こしたり、公園を荒らしたりして、ネット上のみならず地元メディアからもバッシングを浴び、後に観光大使を解嘱。しかし、謝罪せずに姿をくらませ、一連の騒動はうやむやのまま。

 今は当時ほど“スピリチュアル色”を前面に出さずに活動しているとはいえ、高額講座などを続けていることを考えると、再び世間に「危うい人」と認知され、警戒されてほしいものです。

 ビジネスとはいえ、人の金銭感覚を大きく狂わせてしまうようなことが、エセスピ界隈ではいまだに起きています。“個人の趣味”の範疇を越えてこの界隈に入れ込んでも、何も残らないことを知っていただきたいと願っています。

 最後に、子宮委員長やhappyらが長く活動の場としてきた「Amebaブログ」も、今年こそ転換期を迎えることに期待しています。先日、インターネットテレビ局「ABEMA」の番組に生出演させていただく機会があり、思い切って「Amebaブログはエセ・スピリチュアルに甘い」と発言させていただきました。

 コロナ禍において、デマや誤情報の蔓延は特に深刻な問題だと認識され、主要メディアも連日のように取り上げています。そんな中でAmebaブログには、スピリチュアルと関連づけた極端な自然派、反ワクチン、陰謀論めいた言説を繰り広げるブロガーが、いくつかのアクセスランキングで上位に食い込んでしまっています。

 この「人気」が「情報の信頼度」の指数になってしまうようで、書籍の出版やセミナーの開催につながり、その結果「プチカルト」の様相を呈しているケースまで……。Ameba側はこの現状をきちんと把握し、過去さまざまな“教祖様”にお墨付きを与えてしまったことも顧みて、自浄作用を働かせる1年にしていただきたいものです。

 読者の皆様方も引き続き感染予防を心がけることに合わせ、スピリチュアル界隈などの信者ビジネスを繰り広げる怪しい勢力にもぜひ注意してください。今年も油断は禁物ですよ。 

『ねほりんぱほりん』で描かれた「親が“神様”を名乗る」問題は深刻? 信仰を押しつける母と、子どものつらい人生

ネット上には、無責任な理論で集客しては人を食い物にするような、スピリチュアリスト、霊能者、民間資格カウンセラーなどがあふれています。彼らを信じ込んでしまえば、価値観や金銭感覚をゆがめられるのはあっという間。友人や家族を失ってからでは、もう遅い! 「スピリチュアルウォッチャー」黒猫ドラネコが、現代社会にのさばる怪しい“教祖様”を眼光鋭く分析します。

 11月12日にNHK Eテレで放送された『ねほりんぱほりん』は、「親が“神様”を名乗る人」がテーマでした。除霊ができるなどと豪語する母親のもとに生まれた30代女性のインタビューで、どぎつい話もありましたが、人形劇で進む番組のスタンスもあってか緩いトーンだったため、思ったよりも救いのある展開でホッとしました。

 物心ついた頃から、母親は「独自の宗教」のような団体で“教祖様”として君臨。女性は日常の全てを母親に「霊」と結びつけられ、「集まって瞑想」「邪気をお祓い」「手から念を送る修行」などの不可思議な日々を送っていたそう。まさに、生まれた時からエセ・スピリチュアルが身近にある状態です。

 自ら「お母さんは神様だから」とかたる親。その様子を学校でもうわさされ、女性はイジメを受けます。それでも母親には「あなたが引き寄せたのよ」(スピリチュアル界隈でよく聞く言い回しですね)と言われるなどし、高校生の頃に性的被害に遭って自殺未遂をしたときですら、「信仰が足りないからそんな目に遭うのよ。ざまを見なさい」と罵られたエピソードは強烈でした。

 ただ、女性がそんなキツすぎる母親と関わらないで生きていくにはどうすればいいかを考え、遠く離れて暮らしたいと猛勉強して、環境を変えられたのは救いだと思います。離れてから、女性は精神的な治療も受け、母親と初めての大ゲンカをし、今では「遺産目当て」で交流しているとのオチも。何より、こうした番組に出られたことからも、苦難を糧に明るく生きているということがうかがえました。

 しかしながら、この女性のように意志を強く持ち、自分の中で折り合いをつけられる人ばかりではないでしょう。信仰の自由が尊重されるべきなのに、親の信仰を押し付けられて苦しむ「宗教二世」の問題は、かなり深刻だといえます。『ねほりんぱほりん』のような例だけでなく、教育の機会が限定されたり、暴力で縛られたり、一般社会で生活を送る道筋を立ててもらえず、つらい人生を送る人も知っています。

 また、ここまでの被害を受けていなくても、スピリチュアル好きが高じて“プチ教祖”や“信者”と化した親との関係に悩まされる人は、案外多いのではないでしょうか。私のもとにはよく「実家にいる母親が、いつの間にか子宮系スピリチュアルにハマってしまった」「母親がスピリチュアル系の資格を取るために高額セミナーに通っている」などの相談が来ます。子どもが成人してもなお、親子関係にエセ・スピリチュアルの魔の手が迫ることは珍しくないのです。

 今回の『ねほりんぱほりん』では、「子どもは親を選べない」ことの苦悩が語られましたが、そこで思い浮かんだのが、スピリチュアル界隈では有名な「胎内記憶」。これは、「子どもたちが語る、母親のおなかの中や前世の記憶」のことを指すそうですが、いつの間にか「子どもは親を選んで生まれてくる」「虐待をする親を選ぶ子どもがいる」など、「不幸や不遇も自分で決めた」と取れるような形で布教されている“思想”です。「子どもは親を選べない」とは、真逆の説を唱えています。

 絵本作家・のぶみ氏や、元・心理カウンセラーの心屋仁之助氏(歌手に転向したとか……)らが、この思想を特に気に入っているようで、「胎内記憶」は彼らの根強い信者にも支えられているようです。当コラムでも何度か言及しましたが、産婦人科医でもある池川明氏らが「胎内記憶教育協会」なる法人を立ち上げ、新聞広告を出すなどして資格セミナービジネスを広げているのです。

 さも「胎内記憶」は実際にあって、誰もが「親を選んで生まれてきた」かのように語られていますが、実は「子どもたちからの証言」をもとにしているだけで科学的な根拠はなく、現状では「妄想」に近いと感じます。

 「私はお空からやって来た」と言う幼い子どもの無邪気な空想が悪いわけではなく、この思想の問題点について、私は教義を広げていく大人のエゴにあると考えています。「虐待する親を自分で選んだんだから、叩かれてもしょうがない」「周囲に愛を教えるために、この子は障害を背負って生まれた」などと子どもに責任や負担を押しつけ、親が平気で開き直れる理由になっていないかと思うのです。

 胎内記憶に救われるのは、それを固く信じている大人だけでしょう。虐待をしてしまう親が胎内記憶を信じていたら、子どもは殴られっぱなしだし、誰のせいでもないはずの生まれつきの障害は、その子の自己責任ということに……。これでは子どもは救われず、むしろ追い込まれていくだけだと思います。

 今回の『ねほりんぱほりん』出演の女性を胎内記憶に当てはめるとすれば、「明るい人生を知るために、苦難を選んで生まれてきた」というところでしょうか。でも、冷静に考えて、もし選べるならわざわざ“ヤバい母親”のもとなんかに生まれるはずもありません。

 番組の最後に女性は、つらい状況に耐えて生きてきた自分に当てはまる言葉として、「配られたカードで勝負するっきゃないのさ」というスヌーピーの名言を紹介し、生まれた環境からも「逃げられる人は逃げたっていいと思う」と語っていました。いま苦しんでいる人がいたら、信仰を押しつける親からも、エゴ満載のエセ・スピリチュアルからも、なんとかして離れてもらいたいと願うばかりです。 

「ハタチになったら教えてあげる」バイトの先輩に誘われたのは、マルチ商法だった――22歳で700万円の借金を抱えた“経験者”が、実態を赤裸々告白!

 去る10月3日、サイゾーウーマンとWEZZYの合同トークイベント「山田ノジル&黒猫ドラネコの『呪われ注意報』」が、東京・渋谷のLIVE STUDIO LODGEにて開催されました。

 サイゾーウーマンで「スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報」を連載中の黒猫ドラネコ氏と、WEZZYで「スピリチュアル百鬼夜行」を連載中の山田ノジル氏が中心となり、ゲストと一緒にスピ的なテーマであれこれトークするこのイベント。第1回は、マルチ商法にハマった女性を描く話題のサスペンス小説『マルチの子』(徳間書店)の著者で、自身もマルチ商法にハマって700万円の借金を抱えていた西尾潤さんをお招きし、「マルチ商法」と「スピリチュアルビジネス」について深掘りしています。

 今回は、白熱したトーク内容をダイジェストでお届け。気になった方は、同イベントの模様を収めたアーカイブ動画の販売もありますので、下記をチェックしてみてください!

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◎イベント前半+後半/1,000円(税込、以下同)
◎イベント前半のみ/600円
◎イベント後半のみ/600円

20歳で“念願の”マルチデビューから、700万円の借金を抱えるまで

 日曜日の昼下がり、ステージ上に2人と“2匹”が現れた!? 山田ノジルさん、黒猫ドラネコさんは共に顔出しNGのため、ノジルさんは「ハト」、黒猫さんは「黒猫」の被り物を装着して登場しました。客席から温かい拍手で迎えられる中、イベントがスタート。前半パートでは、西尾潤さんがマルチ商法の基礎知識や、実体験を語っています。

 西尾さんは19歳の時、「バイト先で知り合った先輩から誘われた」ことがきっかけで、マルチ商法の世界に足を踏み入れたそう。この時、興味はあったものの未成年だったため、「両親の承諾を得られなかったから、やらなかった」そうですが、ここで食い下がらなかったバイト先の先輩は、「ハタチにならないとできないけど、すっごい面白いビジネスを知ってるよ」「西尾ちゃんがハタチになったら教えてあげるから、それまではこの本を読んで勉強しとき」と、ある本を手渡したとか。

 これによって「やる気満々」になったという西尾さんは、20歳になって“念願の”マルチデビュー。それから、実際に何を売るのか、どんな人に商品を勧めるのか、身内に「嫌な顔をされた」経験など、西尾さんが赤裸々に語っています。ちなみに、ノジルさんと黒猫さんが「楽しみにしているけど、一度も(マルチに)勧誘されたことがない」「周りの人が宗教やマルチの勧誘を受けているのに、私だけ誘われない」と嘆く(?)場面もありました。

 このあと話はさらにディープになり、西尾さんは20歳で「すごくよかった時は月150万円」も稼げるようになったと告白。しかし、22歳で700万円の借金を抱え、「目の前の7万とか10万とかの支払いもできなくなった」ことで、「自己破産」を考えるほど追い詰められたそう。一時は“トッププレイヤー”まで昇りつめた西尾さんですが、借金をきっかけにマルチ商法との付き合い方が変化。ハマるきっかけから辞めたあとの話まで、臨場感たっぷりに語られています。

◎「アーカイブ動画前半のみ」ご購入の方はこちら

 後半では、ノジルさんと黒猫さんを中心にして、「スピリチュアルビジネス」についてもトークを展開。マルチ商法にハマる人はスピリチュアルビジネスにもハマってしまうなど、実は共通点が多いという話題から、「承認欲求」というキーワードが飛び出します。これは『マルチの子』でも大きなテーマになっており、西尾さん自身が「マルチ商法で承認欲求が満たされた」と語っていました。

 では、一体どんな場面で「承認欲求が満たされた」と感じるのでしょうか? マルチ商法では、頑張って成果を上げた人を派手に「表彰する」機会があるそうで、西尾さんいわく、その場には「有名人も呼ぶ」のだとか。一方、スピリチュアルビジネス界隈でも「華やかな舞台に信者を上げる」イベントがあり、ノジルさんと黒猫さんが実際にそこへ潜入して見た意外な“実態”も明かされています。

 そんな中、西尾さんは「自分が自分をちゃんと承認してあげることができてないと、不安感につながると思う」と分析。自分自身だけでなく、家族や周囲の人がマルチ商法やスピリチュアルビジネスにハマっている場合どうしたらいいのか、なぜ“抜け出せない”のかといった問題を考える上で、大きなヒントになる一言でした。

 さらに、マルチ商法に誘う側だった西尾さんが伝授する「マルチに勧誘された時の対処法」や、『マルチの子』に登場する人物のモデルとなった人の“その後”など、ここでしか聞けない話題が盛りだくさん。マルチ商法やスピリチュアルビジネスに興味がある人も、そうでない人もタメになるトークイベントの全貌は、ぜひアーカイブ動画でご確認ください!

◎「アーカイブ動画後半のみ」ご購入の方はこちら

「もう私、死んでいい!?」子宮系女子のスピリチュアルにハマった妹が豹変! 本当にあった“スピ被害”体験談3選

 10月3日(日)、サイゾーウーマンで「スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報」を連載中の黒猫ドラネコ氏と、WEZZYで「スピリチュアル百鬼夜行」を連載中の山田ノジル氏が、合同でトークショーを開催します!

 テーマは「マルチ商法のオモテとウラ」。マルチ商法にハマった女性を描く話題のサスペンス小説『マルチの子』(徳間書店)の著者・西尾潤さんをゲストに迎え、マルチにハマる女の欲望や、マルチの手口に迫ります。西尾さん自身、マルチ商法で月収150万円を稼ぐ一方で700万円もの借金を背負った経験があり、そこに「スピリチュアルビジネス」や「トンデモ健康法」に詳しい黒猫氏&ノジル氏が加わると……? 

 スピリチュアルビジネスやマルチ商法に興味がある人も、あまり知識のない人もイベントを楽しんでいただけるよう、今回は「黒猫ドラネコの“教祖様”注意報」の中から、元信者やその周辺にいた人からの、“スピ被害経験談”をあらためて紹介。実はあなたのすぐそばにも、“教祖様”がいるかもしれません……。

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妹が知らぬ間に“スピ系お茶会”に参加!? 夫からSOSが届き……

 これは黒猫氏自身の体験談。当時、30代前半だった妹が、「抑圧感情が溜まると子宮筋腫になる」「旦那さんの出世や昇給は子宮(女性器)の力」という“子宮メソッド”に影響を受け、不倫を推奨する“教祖様”の「子宮委員長はる」にハマってしまったというのです。

 きっかけは、SNSでたまたま「子宮系女子の“キラキラ”な投稿が目に留まり」、彼女たちと交流するようになったことだとか。ハマっていくうちに家事を一切やめ、会社を退職してしまった妹。貯金まで使い込んでいたことが発覚し、ついに妹の夫から「もう限界」と連絡が届いた時には、後悔すでに遅く……。

「もう私、死んでいい!?」と言い残し、消息を絶った妹

 気づいた時には「参加費5,000円」で“スピ系お茶会”を開き、“教祖様”になろうとしていたという妹。黒猫氏は金遣いの荒さや育児放棄について妹を追及したものの、「何が悪いの?」と悪びれる様子はないばかりか、「幸せになった人もたくさんいる! 宗教なんかじゃないのに!」と怒鳴りつけたそう。

 さらに激昂し、「もう私、死んでいい!?」と自宅のベランダから飛び降りようとしたところを、必死で止めたといいます。その後、「死なないから1人にして!」と叫んで家を飛び出した彼女が、再び黒猫氏の前に現れて放った一言とは――?

「完全に目が覚めた」スピリチュアルから“足を洗った”体験談

 スピリチュアル・ブロガーを名乗るhappyという人物の“元信者”が、「目を覚ました」経験を明かしてくれました。happyは「子宮委員長はる」とも交流がある人物で、スピリチュアル好きな人にはちょっと有名です。

 happyは以前、長崎県壱岐市の観光大使を務めていましたが、同市で行ったスピリチュアルイベント「縄文祭」で炎上騒動を起こしたことをきっかけに、「信者をやめた」という人が何人もいたとか。“教祖様”に失望する理由とは、一体どんなものなのでしょうか?

 トークイベントでは、マルチ商法で借金700万円を背負った西尾さんにも、「ハマったきかっけ・やめた理由」を聞いちゃいます。ここでしか明かされない(かもしれない)リアルな体験談、ぜひお聞き逃しなく!

マルチ商法にハマる女の“欲望”とは? 700万円もの借金を背負った著者が見た、マルチの闇と気味悪さ

WEZZY「スピリチュアル百鬼夜行」より

 これまでの人間関係を焼き払っていくマルチ商法に、正直線引きのよくわからない疑似科学的なもの。育児周りのアレコレや、美容に健康、環境問題……。さまざまなジャンルに怪しいものが限りなく混ざり合い、渡る世間は沼ばかり。秋の夜長に本を読もう! という呼びかけに便乗し、当連載ではぜひ「沼をめぐる物語」を推していきたいと思います。今回セレクトした3冊で紡がれる物語は、誰もが無関係の異次元ではありません。もしかしたら、明日の自分の姿かも……。

女がマルチにハマる理由。承認欲求肥大化時代に読みたい一冊

 マルチ商法とスピリチュアル商法は、双子のようによく似てる。小説『マルチの子』(西尾潤/徳間書店)を読み、これまでも耳にしていたマルチ商法の闇をじっくり追体験させられると同時に、それをしみじみ感じました。

 劣等感や孤独や不安。なかなか得られない自己肯定感。そして今の時代、大いに刺激される承認欲求。多くの人の抱えるそうした闇を絶妙に料理して、魂を奪いにやってくる。

 本作の主人公・真瑠子は地味で目立たない、独身女性。それぞれの才覚で上手に生きる姉妹に囲まれ、家庭内でも安らげず孤独や苛まれていたところ、たまたま出会ったマルチの世界で持ち上げられ、何者かになりたい気持ちが煽られていきます。

 大規模なイベントのステージでスポットがあたったり、マルチ雑誌でインタビューさせたり、会員からは「今注目の!」と羨望の眼差しを向けられたり。そしてドル箱イケメンプレイヤー(あくまでマルチ界隈というのがミソ)から目をかけられる、優越感。日本全国に同士はいるものの、閉ざされた世界で繰り広げられている特殊な感じは、これまで聞いたスピリチュアル教祖様に振り回される信者たちのそれと、そっくりじゃあないですか。傍からみると滑稽で悲しくても、当人たちは一生懸命なところも、シンクロしまくり。そして華やかに見える水面下で、悲しいかな夢ごごちになりきれない、懐事情も……。

 社会から転落していく物語は宮部みゆきの代表作でもある『火車』など数あれど、マルチ商法という舞台の気味悪さは格別でした。嘘の多さと比例して、ポジティブ&クリーンなイメージを前面に押し出してくる点が、実に薄気味悪い!

 タイトルコールは、物語ラストに現れます。マルチの子とは何なのか。冴えないハズだった主人公の本当の武器とは。作者のデビュー作『愚か者の身分』は社会からつまはじきにされてしまった人たちが、短絡的な思考から落ちていくミステリーでしたが、本作は純粋な気持ちが沼の養分となってしまうという切なさが漂っています。

 本作は、著者が実際にマルチにハマり、700万円もの借金を背負ってしまった体験から描かれているのだとか。さらに詳しい話は、トークイベントで聴くことができますので、マルチ沼にご興味のある方は乞うご期待!

トークイベント「呪われ注意報:『マルチの子』作者がアノ世界の“表と裏”、明かします」

開催日:10月3日(日)
時間:15時開演(14時半開場)/17時終演予定
場所:LIVE STUDIO LODGE(ライブスタジオ・ロッジ) 東京都渋谷区代々木1-30-1 代々木パークビルB1
料金:アーカイブ配信付き/1,800円、アーカイブ配信なし/1,300円(どちらもワンドリンク制)

★チケット購入はこちら★

 私は基本、今の時代の科学を信じ、都市伝説レベルの迷信(特に育児周辺)や古い価値観とは距離を置きたいと思って暮らしています。ことにデジタルの進化はすごいですよね。アレクサは呼びかけるだけで電気は消すわ消耗品を注文するわ、義実家とのビデオ通話もつないでくれる。スマホはメッセージの着信や天気予報を教えてくれ、遠方の友人とのコミュニケーションにも欠かせない。使ったことはないけれど、女性の体の悩みをテクノロジーで解決しようというフェムテック分野では、オーガズムのデータを可視化できるバイブまであるというではないですか。いやあ、俺たち未来に生きてるな! スマホに育児をさせないで? そんなの程度の問題でしょ~よ。昨今の知育アプリとか、大人がやってもほんっと面白いですよ。

 でももし、このデジタルライフがさらなる速度で普及したら? 使い分けだのバランスだのと言っている隙もないほど生活のすべてが埋め尽くされ、国策となり、教育も何もかもデジタル一色に。近い未来に実現してもおかしくないそんな世界を、ディストピアとして描いた小説が『あなたにオススメの』(本谷有希子/講談社)です。

 近代社会に生きる人はほぼ全員、この作品で絶望の淵を見る羽目になるんじゃないでしょうか。近代社会から隔離されて生きるアーミッシュやその他の宗教コミュニティの人たちなら、私たちは安全・安心! と心安らかに読めるのかな。

 新生児のうちから極力デジタル漬けにして、個性や多様性は一斉排除。すべてを均一化するのが望ましいとされている世界で、デジタルには一切触れさせず、自然を重んじて学ばせる教育機関が出てくるのも見どころです。そして、急激に進んだデジタル社会を受け入れない異分子として登場するママ友はそれに賛同し、入学説明会に行くものの「ここで育った子供は将来デジタル社会で生きていかれるのか?」という疑問にぶち当たる。ああ、現実世界でも、特殊な育児をしている家庭をみると100%これ思うわあ……。今の時代に順応するのが正しいのか。信念を貫くのが正しいのか。

 社会が変容していくこれからの時代をデフォルメする本作は、科学信者と自然信者、それぞれの歪みを考えさせる傑作です。

 科学至上主義である主人公が家電を扱う大手メーカーに転職し、マイナスイオンドライヤーの担当になってしまった!? そんなあらすじがすでにタイトルで説明されている『科学オタがマイナスイオンの部署に異動しました』(朱野帰子/文藝春秋)は、重い話は読みたくない! という心境の人にもオススメできる一冊。

 現実世界でも私たちの生活のなかで、いろいろな製品に搭載されている「マイナスイオン」。これはひと昔前「健康にいい化学物質」として謳われてブームになったものの、その後「そのような効果はない」と指摘され、疑似科学(科学っぽく装った偽物)リストの定番である存在です。ちなみに現在大手メーカーはマイナスイオンという名称を変更し、手を変え品を変え、似たようなものを出しつづけているのですが(そして私もその後登場した「ナノイー」という機能が搭載されたドライヤーを使っております)。

 疑似科学を正面から「馬鹿か」と否定する主人公には、科学絶対主義者としての姿だけでなく、仕事をするうえで遭遇する矛盾や葛藤、正義感なども垣間見ることができ、働くすべての人に深く刺さりそう。そして科学の子である主人公をとりまくのは、助産師のアドバイスなど非科学的な世界を鵜呑みにする姉。優秀な科学者である親友。主人公と同類であるハズなのに、姉が与えるパワーストーンを受け入れる末期がんの父。消費者たちの反応。それらのあいだで走り回る主人公と一緒に、「人の心に寄り添うすべ」のヒントを教えられます。深く刺さってちょっと泣ける、エンタメ小説です。

山田ノジル
自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。
Twitter:@YamadaNojiru
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※当記事は9月21日WEZZY初出の記事を、一部再構成して掲載しています。

スピリチュアルな教祖様たちも、「反ワクチン」に傾倒? 陰謀論を“利用”する人々の実態

 ネット上には、無責任な理論で集客しては人を食い物にするような、スピリチュアリスト、霊能者、民間資格カウンセラーなどがあふれています。彼らを信じ込んでしまえば、価値観や金銭感覚をゆがめられるのはあっという間。友人や家族を失ってからでは、もう遅い! 「スピリチュアルウォッチャー」黒猫ドラネコが、現代社会にのさばる怪しい“教祖様”を眼光鋭く分析します。

 新型コロナウイルスとの戦いが長引く中、ネット上では不確かな情報がまき散らされてしまっていますね。この1年半で多くのデマや荒唐無稽な話がネットに広がった感がありますが、大手新聞社やメディアでは、特に「陰謀論」が蔓延していることを社会問題として報じています。

 「陰謀論」とは簡単に言えば、「世の中のあらゆる出来事は、利権団体や闇組織の策略や謀略が関与している」とするウワサ話が広がったもの。古くからいくつも“ネタ”があり、一種の“エンターテインメント”としても知られてきたのですが、昨今SNS上で傾倒する人が散見され、まるで「教祖のいないカルト宗教」の様相を呈してきました。

 私も最近はそちらの観察にばかり興味を持っていかれ、胡散臭いスピリチュアル・ビジネスへの監視が疎かになっていたのですが、実は「陰謀論」と「怪しいスピリチュアル」は親和性が高いようなのです。近年、陰謀論を指す「コンスピラシー」に「スピリチュアリティ」を融合させた「コンスピリチュアリティ」という用語もできたほど。それだけ両者は近い距離にあるといえるでしょう。

 まさに私がウォッチしているスピリチュアル教祖様たちの周辺も、FacebookやAmebaブログなどでよく「反ワクチン」に関する陰謀論をシェアしています。このところ、私のもとにも多くの相談や悲痛な声が届いていて、もともと自然派志向でスピリチュアル好きだった母親が、YouTube動画などを見漁った末に「危険だからコロナワクチンは打たないで。ほかの人にも伝えて!」などとFacebookに投稿してしまった……というものもありました。ご家族が同じような状況にあり、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

 陰謀論をうまく使って世間を煽るような人間は、ネット上で熱心に情報を広めています。「新型コロナウイルスワクチンは人口削減のため!?」「注射されたマイクロチップが5Gに反応!?」「ワクチンを打ったら人間じゃなくなる!?」といった衝撃的なタイトルの動画を配信すれば、情報を求める人たちの目に留まって再生数は跳ね上がり、「お金」になるからでしょう。こういった荒唐無稽な話をさも真実かのようにまき散らすことと、それで利益を得ることは、もっと問題視されるべきだと思います。

 陰謀論とお金に関連する話題だと、「読売新聞オンライン」(4月7日配信)に興味深い記事がありました。昨秋のアメリカ大統領選挙の際、「大規模な不正があった」「闇の政府が関与」など語っていた男性YouTuberに取材すると、「最初は、英文法を解説するチャンネルだった」と明かしたそう。

 しかし、再生回数が伸び悩み、「試しに大統領選を取り上げてみた」ところ、再生回数はなんと100倍に跳ね上がり、「毎月、新卒社員の初任給ほどは入る」と話していたといいます。同記事は、陰謀論に“鞍替え”したチャンネルが「30以上あった」とも伝えており、これだけでも、稼げるジャンルだとわかります。

 では、具体的にどんな動画配信者がいるのか、私が注視している人を挙げていきます。まずは、特に新型コロナウイルス関連の陰謀論を煽っている「ポジティブ・エボリューション」こと、ドイツ在住のめいこ氏。YouTubeのチャンネル登録者数は5.5万人で、動画の再生回数は多い時で10万回を超えていました。しかし、どうやらメインチャンネルは“アカウント停止”(BAN)となったようで、現在はセカンドチャンネルで活動しています。

 メインチャンネルで5月に投稿されていた動画内では、「EUワクチン報告済み死亡者数」として、ワクチンを提供している4社と死亡者数を一覧表で紹介。また、ワクチンによって起こった「女性の生殖器と胸部への副作用」の件数も発信し、“反ワクチン”を訴えていました。

 しかし、「情報ソース」として掲載されていたサイトに飛んでみると、カナダの極右ニュースサイト「ライフサイトニュース」だと判明。同メディアはコロナ禍の前から頻繁に陰謀論を取り上げていたようで、今年2月には新型コロナの誤情報を動画で公開したとして、運営していたYouTubeチャンネルが停止になっています。こうした媒体を参考にしている時点で、彼女の発信も疑わざるを得ませんが、オンラインで講演会などにも出演し、“反ワクチン派の女神”的な扱いになっているようです。

 次に、芸能プロデュース業のようなこともやっている、古参の配信者・JOSTAR氏。YouTubeのメインチャンネル「JOSTAR CHANNELジョウ☆スターチャンネル」は登録者数8.7万人で、動画の再生回数は多いもので9万回ほど。派手な帽子を被って、ライブ配信を中心に更新していることもわかります。

 その内容は、JOSTAR氏がマイクを片手に延々と話しているだけですが、どの動画もほぼ1万回以上は再生されているので、ほどほど良い稼ぎになっていそう。なお、「米トラQ 救世主は未来人」「世界怪物大作戦Q」などタイトルに頻出する「Q」とは、米国ではポピュラーになった陰謀論の権化である謎の存在「Qアノン」のこと。日本でも話題になりましたから、耳にしたことがあるかもしれません。彼は日本在住ながら「Q」の“事情通”だと匂わせているのです。

 自身のTwitterでは、日常的に起こる事件や事故、さらに芸能ニュースを紹介しながら、「Qかな」「なんか不思議」「やはり来た予想通り」などとコメント。さも“仕組まれた出来事”であるかのように、意味深な投稿を続けています。最近では、俳優・岡崎二朗の息子である岡本一兵衛氏と行動を共にし、有名人や政治家の写真を取り上げては「ゴム(を被った偽者)」とよく語っていますが、失礼極まりなく、何が面白いのか私にはさっぱりわかりません。

 最後は、以前“スピチューバー”として当コラムで取り上げた、ワンネスyurie氏。なんと、彼女もいつの間にか“陰謀論者”になっていたことがわかりました。「コンスピリチュアリティ」の典型的な例ですね……。

 昨年1月、yurie氏は「あなたがインフルにかかる本当の理由とは?予防法をお伝えします!」というタイトルの動画を公開し、「(インフルエンザは)なりやすい傾向であったり、なっちゃう意味っていうのがあります」「(インフルエンザになりやすいタイプには)共通点がある」などと語っていました。

 それから約1年後の今年2月、今度は「コロナ後の未来を発表&霊視大会」という動画を公開し、「タイガー元大統領(トランプ元大統領のこと。yurie氏は「名前を出すと、垢BANされちゃう」と心配していました……いや、なんで!?)を応援していた方々なら、調べてわかると思うんですけど。政治家には、よくないことをしてた人とかがいて、それもだんだんと(コロナ禍で)表に出てきてるんですよね」「それは市民が目覚め始めて、裏で利権を根絶やしにしようとしている人たちが頑張っていて」などと述べていました。なぜそんなに世界の裏事情に詳しいのか、謎は深まるばかりです。

 そんな彼女でも、運営中のオンラインサロンは好調な様子ですから、どこかに支持者がいるのでしょう。同じ動画の中でyurie氏は、「コロナの患者さんが増えていくことによって、経済がストップしてしまうので、旅館業とか飲食業とか、中小企業とか観光業とか航空会社が打撃を受けてつぶれ始める」「経済的に困窮する人がどんどん増える」などと語っていましたが、そんなこと、テレビでもネットでもニュースを見れば、誰でもわかる話です。しかし、チャット欄には「なるほど~」「納得しました」といったコメントがチラホラ……。YouTube上で小気味よく発信するyurie氏に惹かれ、サロンへ誘導された人もいると思います。

 ちなみに、最近は話題の芸能人をテーマにして「オーラでわかる素顔」「霊視してわかった性質」といった動画を投稿しており、スピリチュアル好きでなくても興味をそそられ、思わず再生したくなる内容にシフトしている様子。今後も彼女はその時々に合わせて、“スピチューバー”として活動を続けていくのでしょう。

 スピリチュアルや都市伝説などは、楽しむ程度で済めばいいと思います。ですが、今回紹介した方々のように、不確かなことを口八丁で断定的に語り、人の不安を煽ったり、踊らせたりするような行為は、「教祖様と信者」の関係につながるのではないかと危惧しています。動画の再生数による稼ぎだけでなく、セミナーでの収入、オンラインサロン運営などにつなげたい狙いは明らか。人を集めて先鋭的な思想で信者をコントロールできるように、陰謀論などの話題を“利用”していると言われても仕方がありません。

 新型コロナと別の話題だと、「有名人の不慮の死」も陰謀論と結び付けられやすいものです。俳優・三浦春馬さんが昨年7月に亡くなってからしばらく、その「真相」があると騙るようなSNS投稿や、動画を多く見かけました。

 所属事務所のアミューズは、悪質な投稿は「すでに警察への相談をさせていただきました」と表明し、該当するブログや動画のURLを公式サイトに掲載。「閲覧されることによる収益を目的としたものもありますので、くれぐれもお気を付けください」と注意喚起を行いました。しかし、現在もネット上にさまざまな“説”が飛び交っているのを見ると、一度信じてしまったことを「違う」と認めるまでには、相当な時間を要するのだと感じます。

 何か不安を感じる情報を見かけた時、「怪しい」と思ってネットで調べてみたら、「真実」を見つけた――「誰も知らない真実を、私は知っている」という、“選ばれた意識”はとても気持ちのいいものでしょう。しかし、周囲の人は心配し、悩み、時には傷付くこともあるのです。スピリチュアルにハマった人やその周囲の苦悩を見続けてきましたが、またネット上に陰謀論という「深い沼」が増えてしまって、とても残念な思いです。

【10月3日午後15時〜】山田ノジル氏とのトークイベント決定!

 同連載の随筆者・黒猫ドラネコ氏と、wezzyで「スピリチュアル百鬼夜行」を連載中の山田ノジル氏が、このたび合同でトークイベントを開催することとなりました! ゲストは、マルチ商法にハマった女性を描く話題のサスペンス小説『マルチの子』(徳間書店)の著者・西尾潤さん。イベントの詳細やチケット情報については、下記をご確認ください。

のぶみ氏の絵本が書店に置かれる危うさとは? 「子どもは親を選んで生まれる」と主張する医師との関係を繙く

 絵本作家・のぶみ氏が、東京オリンピック・パラリンピック文化プログラム「MAZEKOZEアイランドツアー」に参加していると判明し、ネット上で批判の声が噴出。8月22日にはオンライン配信イベントを行う予定だが、7月20日に公式サイトにて「のぶみさんご本人のご意思により出演は辞退されました」と発表されている。

 のぶみ氏はこれまで、『ママがおばけになっちゃった!』『まけずぎらいキティ』(ともに講談社)など、数々の絵本作品を発表しているが、その内容が読者の間で物議を醸すことも少なくない。また、『子どもは親を選んで生まれてくる』(日本教文社)などの著書を持つ池川明医師と関係があることに対し、問題視する向きもある。

 サイゾーウーマンの連載「スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報」では、スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコ氏が、のぶみ氏を取り巻く人物を繙き、「誰もが手に取れる『絵本コーナー』にのぶみさんの本が置かれることへの不安」を訴えていた。ネット上で話題になっている今、同記事をあらためて掲載する。
(編集部)


 誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。

 今月26日、何かとお騒がせな絵本作家・のぶみさんが、サンマーク出版より新作絵本『うまれるまえにきーめた』を発売します。Amazonの商品説明には「ママのお腹へと行く前に、一人ひとり、やりたいことを決めるのです」とありました。のぶみさんご本人が自身のSNSなどで内容を小出しにして宣伝していましたが、生まれる前の子どもが“神様”に促され、自分が欲しい才能や、人生のあらすじを紙に書かせる(でも「ほとんどのじんせいが そのとおりにならない」と言われる)という、摩訶不思議な内容でした。

 のぶみさんは2017年にも『このママにきーめた!』(同)という絵本を出版しており、その中には「ねぇ、どうしてママをえらんだのか、しってる?」「ようし! ぼく、このママにきーめた!」といった子どものセリフが出てきます。また、あとがきには「おなかのなかの記憶がある子どもたちに会って描いた絵本です」とも書かれており、「子どもの証言」を作品に落とし込んでいることがうかがえます。

 のぶみさんといえば、元暴走族の総長で33回も逮捕された(自称)という、絵本作家としても、社会人としても異色の経歴の持ち主。昨年、「あたしおかあさんだから」という歌の歌詞で“自己犠牲”の母親像を礼讃して、ネットを大炎上させました。この時、『このママにきーめた!』をはじめとした他の作品についても疑問の声が上がり、それ以来、嫌悪感を抱く人が増えたようです。よせばいいのに、のぶみさんはたびたび“アンチ”に応戦。しかも「弁護士に相談した」などと、33回の逮捕で学んだのであろう、社会通念上の善悪の規範をチラつかせてくるとか。

 “のぶみアンチ”な方々は、一体彼の何を警戒しているのか。気になった私は、Twitter上で交流のある、のぶみさんを「危険視する」方々から話を聞きました。

「SNSでの支離滅裂な発言、つじつまの合わない経歴、母親を馬鹿にして描いていることを疑問視しています。彼を売り出したメディアや、のぶみさんを起用する公的機関にも責任があると思います」(女性、子育て経験なし)

「命への尊厳とそれを描く技量が欠けているため、子どもに対して暴力的な作用をするのではないでしょうか。無害なふりをして、他の絵本の横に並んでいる恐ろしさがあります」(女性、子育て経験あり)

「作者本人がSNSで講演会開催を熱望したり、10冊や100冊単位で買うようにファンに呼び掛けていることに違和感を覚えます。一部の母親たちを“信者”のように慕わせ、母親たちも『私がのぶみさんを助けなきゃ』と共依存しているように見え、まるで“カルト”のようです」(女性、子育て経験あり)

 このような批判を浴びながらも、のぶみさん自身が“教祖様”さながらに、自身のコミュニティ内でひたすら宣伝を繰り返している点は、私も気になるところです。

 新刊『うまれるまえにきーめた』は、のぶみさん自らが100人の子どもから聞いた「産まれる前の記憶」を、作品に反映させているとのこと。これは「胎内記憶」と呼ばれ、誕生後にその記憶を話す子どももいるそうです。前述の『このママにきーめた!』も、「おなかのなかの記憶がある子どもたちに会って描いた絵本」というあとがきからわかるように、「胎内記憶」に基づいた物語だと考えられます。

 この話題では、日本における胎内記憶の第一人者として多数の著書を世に出し、「日本胎内記憶教育協会」なる団体の代表を務める、池川明医師にも触れなければなりません。池川医師の著書を見ると、『ママのおなかをえらんできたよ。』(リヨン社)『だから、ママのところに来たんだよ』(総合法令出版)『子どもは親を選んで生まれてくる』(日本教文社)といった具合で、「子は親を選ぶ」と主張されています。

 「日本メンタルサービス研究所」の公式サイトに掲載されている池川医師のインタビューでは、保育園で0~6歳の子どもにアンケートを取ったところ、「3歳までで限って言えばだいたい40%位のお子さんに、記憶があるのではないかと思います」とした上で、「『お父さんお母さんを選んできた』って言う子が2割います」と断言しています。また、“流産”についても「子ども達に聞いた」話として、「家族が幸せになるために流産する」「『このお母さんはこのレベルじゃだめだから、一気に成長させてやるか』って、(子どもが)命を賭ける」(すべて原文ママ)などと語っていました。

 これらの空想が、“医師による”ケアだとすれば、すごく乱暴ではありませんか。医師ならば本来、流産しないためにはどうしたらよいか伝えるべきだと思いますが、「あなたに子どもが生まれないのは、選ばれなかったから」「流産してもしょうがない。だって子どもが試練を与えたのだから」などと言われるとしたら、“医学”そのものを疑ってしまいそうです。「胎内記憶」の危うさは、科学的な根拠が皆無だと思われる点と、不妊や流産で悩む人が、いたずらにつらい気持ちを背負わされてしまう可能性があることだと考えます。

 昨年、心理カウンセラーの心屋仁之助氏が、虐待の連鎖に悩む相談者に「キミの娘さん、叩かれるために生まれたのよ」と言い放って騒動になりました。心屋氏もまた、池川医師の提唱する説を信じていることがブログなどからわかり、スピリチュアルや自己啓発界隈には、「胎内記憶」が蔓延していると言えるでしょう。「胎内記憶」は心屋氏のように、都合よく虐待を肯定するための説にさえもなりうるのです。

 「胎内記憶」を唱える界隈では、炎上をものともせず新刊を出し続けるのぶみさんが“広告塔”となり、池川医師の支持者を集める構図が出来上がっています。2人は頻繁にコラボ企画や公演を行っており、“協力関係”であることは明白。誰もが手に取れる「絵本コーナー」にのぶみさんの本が置かれることへの不安は、どうしても拭えません。

 妊娠・出産など、生命の神秘を感じさせるものとスピリチュアルは常に密接です。「お空の上からママを見てた」「お母さんを選んで生まれた」「パパとママを喜ばせるためにやって来た」――。まだ空想と現実の区別がつかない子どもたちの無邪気な言葉を利用して、思想を流布したい大人がいることは、紛れもない事実です。絵本という一見何の害もなく、手に取りやすいイラスト入りの書籍で“教祖様”たちの思想を子どもにまで広げ、“スピリチュアルビジネス”を拡大させようと画策しているなら……。書店や保育関係者にも、慎重なご判断をお願いしたいものです。

※2019年7月24日初出の記事に、再編集を加えています。

小林麻耶が「宇宙ヨガ」夫と離婚協議へ 芸能活動再開にはサポートが必要不可欠

 フリーアナウンサーの小林麻耶が離婚協議に入ったと、7月1日発売の『女性セブン』(小学館)が報じている。小林は2018年に整体師の國光吟氏と結婚し、一旦芸能界を引退。翌年に芸能活動を再開するも、2020年11月に当時レギュラー出演していた『グッとラック!』(TBS系)のロケを欠席し、そのまま降板。さらには同番組スタッフからいじめを受けていたと主張した。

 そして、当時所属してい…

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スピリチュアル系アイドル「バイ柴49」500万円集めたクラファンに疑問……嵐、ももクロのスタッフも協力、“参加費100万円”の行方は

 ネット上には、無責任な理論で集客しては人を食い物にするような、スピリチュアリスト、霊能者、民間資格カウンセラーなどがあふれています。彼らを信じ込んでしまえば、価値観や金銭感覚をゆがめられるのはあっという間。友人や家族を失ってからでは、もう遅い! 「スピリチュアルウォッチャー」黒猫ドラネコが、現代社会にのさばる怪しい“教祖様”を眼光鋭く分析します。

 2月9日付の「琉球新報」に、3人の女性が取り上げられました。「何歳だってアイドル♪ 平均年齢42歳『バイ柴49』に沖縄から3人 MV(ミュージックビデオ)撮影へ『楽しみたい』」というタイトルで紹介された彼女たちは、「昨年5月、世界各国在住の女性起業家ら49人で結成」したアイドルグループ「バイ柴49」のメンバー。沖縄県を中心に発行されている同紙で、地元出身者がこのグループに入ったと報じられたわけです。Yahoo!ニュースや、LINE NEWSにも配信転載され、多くの人の目に触れたことでしょう。 
 
 「49(しきゅう)」と聞けば、当コラム読者の皆様はお気付きのことと思いますが、実はこのグループ、メンバー全員が「子宮系女子」です。「子宮系スピリチュアル」として話題になった子宮委員長・八木さやが販売した、スピリチュアル系情報商材「自分ビジネス講座」の受講生たちが、アイドル活動をしているんです。メンバーの中には、「霊視セッション」「股こりケア」といったスピビジネスを、ブログやSNSを通して展開している人もチラホラ。そんな“信者”な方々と知ってか知らずか、メディアが肯定的に情報を広めてしまったのは、大変な事態だと思います。 
 
 なお、琉球新報には“前科”があります。2019年5月、不登校を推奨する自称少年革命家でYouTuberの「ゆたぼん」をいち早く取り上げたのが、同紙でした。なんだかいろいろ勘ぐってしまいますが、単に取材が甘いだけなのか、話題作りのために突き抜けた人々にも寛容なのか……。どちらにしても、もう少し慎重になっていただきたいものです。 

西野亮廣主催のイベント参加、『紅白』出場を狙っていた?

 バイ柴49のプロデューサーは、雅子スチュワートという人物。米国在住で、自身も子宮委員長の大ファンのようです。一昨年末、「八木紗弥佳(八木さや)総理大臣訪米準備会」というイベントを主催した後、八木さや本人を自宅のあるサンディエゴに招待していた雅子氏。そこで「自分ビジネス世界会議」を行い、盛大にもてなしていました。そんな雅子氏、本人のブログによれば、肩書は「マリッジ・ファミリーセラピスト」で「コスミックコーチ」とのこと。自己紹介文は「地球のアセンションに向けて人類のアセンションの為にも波動を上げていきましょう」と結ばれています。……はい、もう“察した”かと思います。 
 
 雅子氏のブログをさかのぼっていくと、昨年春ごろに「参加費2万3,000円」でバイ柴49のメンバー募集をしていることが確認できます。まずは、キングコング・西野亮廣さん主催のイベント「天才万博」への出演をもくろんでいたこともわかり、『NHK紅白歌合戦』に出たいという野望もつづられていました。また、メンバーも参加するZOOM会議を有料で公開し、バイ柴49のオリジナルTシャツなどをオンライン販売していたようです。 
 
 プロデュース側に近い人物として、「ロンズーさん」こと瀧澤勉氏の名前も頻繁に出てきます。瀧澤氏は元コンサルタント、起業家養成セミナー講師でもあった男性で、八木さやの「自分ビジネス講座」の運営にも関わっていました(現在は、八木さやからこの講座を譲り受け、販売を任されていることもわかっています)。

 こうしてひもといていくと、子宮委員長・八木さやから信頼の厚い雅子氏と瀧澤氏が、参加費を取りつつ子宮委員長のファンを集め、「何歳だってアイドル」という斬新なコンセプトを掲げつつ、グループ結成の軌跡などを見せながら、アイドルビジネスを仕掛けた、という構図が見えてくるのではないでしょうか。 
 
 バイ柴49はアイドルグループとはいえ、今のところ、CDを発売するなどの商業展開はしていませんが、琉球新報が伝えていた通り、MV撮影は行っています。その資金をクラウドファンディングで集めており、募集サイトには「子育てをしながら、仕事をしながら、いつか、アイドルになりたかったという少女の頃の夢を実現していこうとしている熟女のアイドルグループ」「たった1回のステージを体験して解散するという前提で立ち上げました」などと、グループの紹介が書かれています。このように「夢」をかなえ、それに刹那的な意味付けがあるあたり、アイドル好きやスピ好きな人のツボをおさえているな、と感心してしまいます。
 

  「夢を諦めない平均年齢42歳のアイドルグループ!超一流映像制作チームがMV制作!」と銘打ったクラファンは今年1月25日から始まり、19日間で500万円以上の調達に成功。内訳を見ると、50万円の「プレミアムコース」を選択した方が7人もいるようです。

 ちなみに、50万円出資者へのリターンは「ただ楽しんでいるだけで奇跡の連続!そんな雅子スチュワート流!ビジネス・プロジェクト成功の秘訣を、雅子本人が支援者様お一人お一人にお伝えしていきます」とのこと。「10時間 (1回2時間、計5回)ご提供!」と書かれているので、雅子氏は計70時間のコンサルをやることになりますね。ありがたや、ありがたや……じゃなくて、ここである疑問が湧いてきます。 
 
 メンバー49人分の参加費や、ZOOM会議、グッズ販売で得たお金は、一体どこへいったのでしょう? 単純に計算して、参加費だけで100万円以上集まっているのですが、それでもクラファンを行い、「たった1回のステージを体験して解散する」グループのために、500万円も資金を集める必要があったのでしょうか? 

 しかし、バイ柴49の「ゴキゲン氣分」MV撮影スタッフを見ると、大金を集めた理由もわかる気がします。制作陣には、サントリーやパナソニックなど、大企業の広告に携わった映像制作会社社長の中島康雄氏、嵐やももいろクローバーZなどのMVを手掛けた映像ディレクター・福居英晃氏の名前もあり、一度きりの道楽とは思えない豪華さ。さぞ、素晴らしい作品ができたことでしょう(YouTubeで公開されていますので、ご興味ある方は、ぜひその目で確かめてみてください)。
 
 ここまで大ごとになってしまうと、やはり懸念があります。メンバーの多くは、スピリチュアルビジネスで大きく稼ぎ、「第二の子宮委員長」を目指しているといっても過言ではない人々。映像のプロまで巻き込み、メディアにも取り上げられた今回の活動で自信を得て、「私たちみたいに、夢はかなうのよ!」とかのたまいながら、各々が妙なスピリチュアルセッションなどを行えば、何も知らない人たちが“餌食”になってしまうかもしれません。 
 
 私も最初は「信者さんのゴキゲンなお遊び」と思って生ぬるく見守っていましたが、ここまで話が大きくなると、バイ柴49やそれを取り巻く人たちを調子に乗らせないかと不安です。何歳になっても夢を持つのはいいことですが、本当に、一度きりの活動で終わることを祈っています。

西野亮廣『えんとつ町のプペル』、「瞑想アイドル」のアルバムが大ヒット……“教祖様”が一般化することへの懸念

ネット上には、無責任な理論で集客しては人を食い物にするような、スピリチュアリスト、霊能者、民間資格カウンセラーなどがあふれています。彼らを信じ込んでしまえば、価値観や金銭感覚をゆがめられるのはあっという間。友人や家族を失ってからでは、もう遅い! 「スピリチュアルウォッチャー」黒猫ドラネコが、現代社会にのさばる怪しい“教祖様”を眼光鋭く分析します。

 その動きの速さには驚くばかりです。先月の当コラムで「2021年最も注目している“教祖様”の動向」として、自称スピリチュアリスト・happyを挙げ、「世間から『有名人』『すごい人』と誤認されないように注視していきたい」と記しました。最近、芸能界に急接近し、芸能人のような活動もしている彼女ですが、このほど「歌手デビュー」を果たしたんです。信じられない出来事ですが、今回はこの現実についてお知らせしたいと思います。 

『えんとつ町のプペル』っぽい演出を盛り込んだhappyのステージ

 アーティスト名は「SACHI TAKEKOSHI(サチ・タケコシ)」。これは彼女の本名です。これまでも自身が手がけた多くのスピリチュアル・イベントで、オリジナルソングを披露してきたのですが、それら10曲(オフボーカルも10曲)を収録したアルバム『SPiN』が、1月13日に発売されました。SpotifyやApple Musicなどでサブスク登録すれば曲を聞くことができますが、再生するごとにアーティストに課金される仕組みになっているようなので、興味のある方はご注意ください。 
 
 SNS上では「人類意識研究家」「瞑想アイドル」などと自称し、「HAPPY理論研究所」と称したオンラインサロンの運営で熱心なスピ好き信者を抱えているだけあって、アルバム購入率も高かったのでしょう。インスタグラムでの宣伝効果か、発売直後のiTunesデイリーランキングで一時的とはいえ、なんと3位を獲得。嵐、米津玄師、LiSA、ヒプノシスマイクと競り合うという、凄まじい「信者ビジネス」の力強さを示したのです。何も知らない人がランキングを見て「何者だ?」と興味を抱いてもおかしくありません。ランキングに入ること自体が、happyにとってはいい宣伝になったでしょう。彼女は自身のSNSで喜々としてランクインを報告していました。 
 
 happyはアルバムをリリースした勢いそのまま、1月14日に東京ドームシティーホールにて有観客のファーストライブを敢行。このあたりの行動力と資金力は、あまたのスピリチュアル教祖様の中でも抜きん出ています。私は今回も一応、昨年のhappy主催イベント「シンデレラ・プロジェクト」に続いてライブに“潜入”。さすがに会場に出向くことはできず、5,000円のオンラインチケットによる観覧でした。来場用はペンライトがついて7,000円、舞台裏などが見られる特別チケットは、なんと5万円だったようです。 
 
 視聴した限り、感染予防で1席ずつ空いていたとはいえ、最大収容3,000人のほぼすべてが埋まっている状態(さすがにお客さんはみんなマスクをしていました)。オンライン視聴者数は、私が確認できた範囲の表示で、最大1,500人ほどでした。音響や演出は「シンデレラ・プロジェクト」と同じくプロ仕様。約2時間のライブはhappyの歌メインで、彼女お得意の“スピったMC”をいちいち挟まなかったことはよかったと思います。数人のダンサーを従えたhappy自身も、ペンライトを振るファンも楽しそうで、オリジナルのうちわやバルーンを掲げるなど、興奮の坩堝(るつぼ)と化していました。 
 
 さて、特筆すべきはこのライブを通じた演出。ステージ上のスクリーンでは終始オリジナルのアニメーションが流され、そのストーリーに合わせたような曲が始まり、happyが衣装を替えては歌いだす、という展開が続きました。そのアニメの内容は、「ブリキの人形たちが住む世界」「自由になるため絵本の中を旅する」というもので、最近どこかで見たような……。そうです、昨年末に公開されたキングコング・西野亮廣さん製作総指揮・監督・原作の映画『えんとつ町のプペル』へのオマージュに見えて仕方ありませんでした。同じようなテイストのアニメを使うには、あまりにもタイミングがよすぎませんか? 
 
 happyなりの西野作品へのエールだったのかもしれません。というのも、2人は旧知の仲で、何度も対談やトークショーなどでの共演があります。オンラインサロンを運営しているのも共通点ですね。怪しいスピリチュアル界隈や子宮系女子に西野さんのファンが多いのは、数年前からhappyやその取り巻きが熱心に西野さんをイベントに招き、今のような文化人的立ち位置を確立するまで、熱心に支持を続けてきたからといっても過言ではありません。 

 『プペル』の宣伝で表に出ることが増えたせいか、西野さんはネット上で「胡散臭い」などとバッシングを受けています。彼は自身のオンラインサロン参加者に、『プペル』のチケットを原価で仕入れて販売できる権利を売って、ネット上で「マルチ商法のようだ」と批判を浴びました。これだけでなく、「個展会場の撤収を手伝う権利」「西野を休ませる権利」を高額で販売していた過去などが続々と掘り起こされて、また炎上。西野さんに共感してオンラインサロンに入り、世間的に「おかしい」と思われても、彼の持論にハマってしまう人の存在が可視化されている状況といえるでしょう。この姿はなんだか、スピリチュアル教祖様・happyのライブで盛り上がるお客さんたちと重なって見えます。 
 
 サロン生をはじめとした、世間の“警戒する声”が聞こえない層によって『プペル』が動員150万人・20億円のヒットを生み、西野さんは一応「クリエイター」として成功を収めたことになるのでしょう。私が懸念するのはその先で、新たな支持者が増えていくことです。iTunesのランキングで上位に入ったhappyもまた、「歌手」として申し分ないスタートを切ってしまいました。 
 
 もちろん作品自体には罪はなく、あの映画や音楽に惹かれる人がいることも理解はします。しかし、エンタメで結果を残した以上、彼らの活動を一部でも認めざるを得なくなってしまったのです。happyや西野さんが「教祖様」ではなく「歌手」「クリエイター」として多くの人に支持されても、その思想や過去の所業を全肯定する理由にはなりません。にもかかわらず、著しく教祖様が一般化している今の状況は、彼らが今後も繰り出すだろう“商法”までもかすませてしまわないか、とても心配しています。 
 
 作品に感動した人が、楽しげに盛り上がっているファンに引き寄せられてその場所をのぞき込み、いざ足を踏み入れてみたら、閉鎖的なオンラインサロンに行き着く。そこで価値観や金銭感覚をゆがめられて、首が回らなくなるまで課金したり、イベントの宣伝要員になったり、都合のいい労働力になったりしてしまう……という話は、もう実際に起こっているのではないでしょうか? それは「その人(自分)の好きなことだから」という話では、済まされないと思います。 
 
 「信者ビジネス」が一般に溶け込んでいるということは、誰もが「信者」になる可能性があるということ。その恐ろしさを感じてほしいのです。happyや西野さんがどういう狙いで作品を世に出したのかは知りませんが、つくづく嫌な前例を作ったものです。