King&Princのデビュー成功で考える、ジャニーさんの「早く見せたい」病と世間の温度

 5月23日にジャニーズ事務所からKing&Princeが「シンデレラガール」でCDデビューした。平野紫耀がメインキャストとして出演する連続ドラマ『花のち晴れ~花男Next Season~』(TBS系)の主題歌であること、5種展開ということや、ハイタッチイベント招待のキャンペーンがあることなどを差し引いて考えても、初日で31.8万枚、Billboad JAPANシングルセールス5月21~23日集計分で45万6,783枚という数字は、近年のジャニーズデビュー曲としては異例の売り上げといえるだろう。

 人気Jr.たちで作られたグループの待ちに待ったCDデビューには、祝福の声がネット上にあふれた。そんなKing&Princeの華々しいデビュー日に、Twitterのトレンドにはジャニーズ関連の話題がいくつも並んでいた。

 1つは関ジャニ∞の5大ドームツアーの当落発表で、もう1つはHey!Say!JUMPの宮城観光キャンペーンキャラクター就任、そして『サマステ』である。

 『テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭りSUMMER STATION2018』の公式サイトは5月30日現在、「COMING SOON」の状態にある。しかし、ジャニーズジュニア情報局からのメールで『サマステジャニーズJr.2018』の告知があるや、「ブログ・SNS等を通じて、会員以外の方へ伝わることのないよう、ご理解・ご協力をお願いいたします」とわざわざ断りが入っているにもかかわらず、Jr.ファンたちの間で『サマステ』が多数呟かれ、トレンド入りした。

 公表前の情報についてメールで知らせる際、以前は「他言無用」と記されていたが、言葉の意味のわからない若年層などを中心に情報が広められた経緯があったせいか、今回はわかりやすい言葉で伝えられていた。しかし、それもやはり効果はなかったようだ。

 さらに、このサマステ関連でもう1つ、ジャニーズ以外では考えにくいワードセンスの「ちびっこ忍者」もトレンド入りしていた。サマステのメイン出演者が「HiHi Jets」「東京B少年」であることは多くのファンが予想した通りだろう。そこにシアタークリエ『ジャニーズ銀座』でサプライズとして発表された「7 MEN侍」が加わることも想定内だ。

 しかし、それだけで終わらないのが、ジャニーさん流。今回のサプライズとして、さらりと入れてきたのが、先述の「ちびっこ忍者」である。この正体はまだわかっていない。一部では、道枝駿佑、長尾謙杜を中心とした『ちびっ子お笑い七変化 少年KABUKI』の関西ジャニーズJr.勢ではないかともウワサされている。

 ともあれ、ジャニーさんは『サマステ』のこと、「ちびっこ忍者」のことを早く言いたくて言いたくて仕方なかったが、King&Princeデビュー関連情報が一段落するまでは、その邪魔をしないよう、ストップをかけられていたのではないだろうか。

 これまでも、ジャニーさんのレイザーラモンRG的「あるある早く言いたい」病は、キラリと輝く素材を手にしたとき、いつも発動してきた。Hey!Say!JUMP・中島裕翔らに夢中だったときも、「YOUはとびきりカッコいいよ」のSexy Zone・佐藤勝利を見つけた瞬間も、その素材の輝きを早くみんなに見せてあげたいと思うし、「東京B少年」佐藤龍我が学校行事のために『ジャニーズ銀座』の一部公演に出られないとわかったときも、いち早くみんなにお知らせしたいと思う。

 おそらくKing&Princeに関しても、ジャニーさんはこれまで何度も「早く言いたい」状態になっていたはず(Kingがお気に入りのイメージが強いが、Princeの3人ももともとHey!Say!JUMPの公演のJr.コーナーでピッチングや空手を披露したり、舞台に抜てきしたりと、本来お気に入りだったように見える)。

 そのRG的衝動から『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)などで、彼らをお披露目したかと思えば、引き離したり、自分の元に置いたり、取り出してまた遊んでみたりを繰り返しつつ、とうとう彼らは巣立っていった。その結果、ここまでの大ヒットにつながったわけだから、King&Princeはちょうど良い具合に機が熟したということなのだろう。

 例えば、『ジャニーズ大運動会2017』で東京B少年の「BYAKUYA」を見たとき、そのあまりの眩さに「きた!」と感じた。ジャニーさんの「早く言いたい・早く見せたい」がビンビンに伝わってくる気がした。

 でも、そういう素材そのものの眩い輝きというのは、あくまでオタクに響くものであって、世間でウケる要素とは異質のものなのだろう。

 ある意味、ジャニーさんの「早く言いたい」熱が落ち着いた頃が、世間にとってちょうど良い温度。King&Princeのデビューは近年稀に見る最適なタイミングだったのではないか。

『ブラックペアン』嵐・二宮和也の荒っぽいセリフに見え隠れする、「殺せんせー」風味

 今回ツッコませていただくのは、4月22日に初回が放送された『ブラックペアン』(TBS系)。

 この作品は、TBS「日曜劇場」という人気枠で医療モノ、おまけに『チーム・バチスタ』シリーズ(フジテレビ系)の原作者・海堂尊×『陸王』(TBS系)の伊與田英徳プロデューサー×福澤克雄演出と手堅く固められ、ヒットが最初から約束されているように見えた。唯一の不安点といえば、硬派で大人な医療モノの世界と、小柄・童顔・小僧風味の嵐・二宮和也の相性がどうかというくらい。

 しかし、それも、二宮演じる渡海征司郎が「天才的な外科医ながら、手術でミスした医師に代わり、手術を成功させる見返りとして、高額な金銭を要求する“オペ室の悪魔”」というキャラクターとわかり、妙な安心感に変わった。ただの医療モノでなく、「天才で傲慢で周囲から孤立したダークヒーロー」なら、おそらく間違いないだろうと思った。

 実際、放送が開始されても、オペ室で竹内涼真や内野聖陽、小泉孝太郎などが演じる高身長医師に囲まれる二宮は、明らかに「孤立」「孤高」のキャラに見えるし、物語の中にピタリとハマっている。

 「邪魔!」という乱暴な物言いも、死にそうな患者(山村紅葉)を目の前にして、担当医(竹内)に「このバアさん死んだら、お前も死ね!」と詰めるキレ方も、まさに悪魔。視聴者の多くは、「お前も死ね!」と言われた竹内より、瀕死のときに目の前で「このばあさん死んだら」と大きな声で言われる山村の気持ちになってしまったのではないだろうか。

 この衝撃だけでも、気持ちの弱い人だったら、軽く殺せそうな悪魔ぶりだ。

 それにしても、「患者はモノだよ!」「うるせーな!」といった荒っぽい物言いから、新しい医療器具をプレゼンする医師(小泉)との賭けにおいて、「彼に辞表を書いてもらいたいのですが……よろしいですか(ニヤリ)」と条件を出す、不敵で慇懃な物言いに至るまで、不思議なほどのハマり方である。

 いやにしっくりくるなと思っていたら、実は映画『暗殺教室』で二宮が演じた「殺せんせー」の人間だった頃、「死神」と呼ばれた殺し屋時代と話し方がソックリだった。

 劣悪なスラム街で育ち、天才的な頭脳と豊富な知識、力と技を駆使していろいろな立場の、さまざまな人を殺してきた「死神」。しかし、反物質(0.1gから核爆弾並みのエネルギーを放出する物質)の体内生成を目指す科学者により、人体実験を繰り返され、ついに人間ではないものになる。

 これが一度頭に浮かんでしまうと、もう「オペ室の悪魔」が殺せんせーに見えてしまって仕方ない。天才的なオペの技術も、殺せんせーなら納得だし、挑発的な物言いも、きっと奥底には深い愛があってのものだろうと思えてくる。

 同じことを考えていた人は少なからずいたようで、Twitterなどにも「殺せんせー感(笑)」「まだ人間の時の、殺せんせーですよね」「殺せんせーの時の後ろ姿に似てる!」「語尾に、若干の殺せんせー感が」「怖い殺せんせーって感じ」「殺せんせーと雰囲気似てるよな」などの呟きがわいていた。

 二宮の演じる「天才性」「ダークヒーロー」感には説得力を感じるし、何の違和感もない。しかし、その一方で、チラチラ見え隠れする「殺せんせー」風味は、今後ひそかな楽しみの1つになってしまいそうだ。
(田幸和歌子)

 

『花より男子』の名場面&決めゼリフから考える、『花のち晴れ』の“いただけない”点

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 『花より男子』(TBS系)のF4が卒業してから10年後の英徳学園高校を舞台としたドラマ『花のち晴れ~花男Next Season~』(同)が始まった。

人気ドラマのその後の世界を描く作品で、デビュー前のKing&Prince・平野紫耀がメインキャストを務めるのは、かなりの大抜てきだが、荷が重い部分はあるだろう。そのため、初回から過去映像やホログラムで道明寺司役の嵐・松本潤を出演させるなど、援護射撃も万全……のはずだった。

しかし、これはサプライズ出演だったこともあり、第1話の視聴率は7.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と苦戦。特に、平野を含めたメインキャストについては、「知名度不足」「地味でキラキラ感が足りない」などという声が、放送開始前から引き続き多数出ている。

とはいえ、もともと「英徳学園の人気が低下し、生徒数が減少する中、かつてのF4時代の勢いを取り戻そうとしている」設定。ドラマも映画も続編モノはたいてい衰退・堕落した状況から始まるのが定番なのだから、「キラキラ感が足りない」のは、ドラマの世界観と矛盾していない。

だが、それよりも気になるのは、「道明寺の出演」という切り札を第1話で出してしまったことによる先細り感と、何より物語のキーとなる場面の見せ方に盛り上がりがないことだ。

『花男』で幾度となく繰り返されたのは、牧野つくしが道明寺を殴る名場面。今でもすぐに思い出せる人が多いだろう。

母親の手作り弁当を道明寺に踏まれ、臨戦態勢でぴょんぴょんジャンプするつくしの足元をスローモーションのヨリの画で見せ、これから起こりうる展開を想像させる。視聴者が「くるぞ、くるぞ」と期待する中、道明寺にパンチがクリーンヒットし、「自分で稼いだこともないガキが、調子こいてんじゃねーよ!」のセリフで、視聴者のイライラは解消される。

と同時に、これは、雷に打たれたような衝撃を受けた道明寺が「恋に落ちた」瞬間であることも明示される。

実に少女漫画らしいベタな展開を、徹底的にベタな演出で盛り上げてくれていたのが、『花男』の魅力の1つだった。

 一方、『花晴れ』では、ヒロイン・江戸川音(杉咲花)が神楽木晴(平野紫耀)を「肉で殴る」シーンが登場する。これは同名の原作漫画通りの設定で、原作ではコントラストも明確でインパクトあるシーンなのだが、実際に映像を見ると、なんだか物足りない。

 夜の暗いシーンで、「高級肉の大きな肉塊で殴る」ことによって、引きの画が「なんか茶色い固まり? で殴っている」くらいにしか見えないのだ。原作の「肉殴り」も肉塊だったが、ドラマでは「手から落ちそうになるくらい大きな肉」と杉咲花が会見で語っているように、大きい肉を用意してはいるが、画的インパクトが非常に弱い。

 肉で殴るなら、原作と同じ肉塊で、大きさを「盛る」よりも、せめて「骨つき肉」など画的にわかりやすいものにしても、よかったのではないだろうか。

 さらに、つくしの「ありえないっつーの!」に匹敵する、音の決めゼリフ「しょうもない!」も、杉咲花の台詞回しがなめらかでナチュラルであるためか、溜めがなく、決めゼリフ感が出ない。もしかしたら高い演技力がアダとなっているのかもしれない。

  また、ヘタレの晴が勇気を奮い起こし、「英徳学園を守る」ためにチンピラに立ち向かうシーンも、いただけない。

 校門前で女生徒がチンピラにからまれているとき、見て見ぬフリをする晴に対して音が暴言を吐き、自ら救いに行くのだが、「女生徒、校門前でチンピラにからまれるの図」も、「ヘタレな晴がよろけたことで偶然当たったラッキーパンチからの、つられて倒れるチンピラ仲間の図」も、ドラマ的、漫画的、さらにコント的ですらない、中途半端な陳腐さが拭えないのだ。

 リアリティの有無や原作の再現度について「ドラマなんだから、そう目くじら立てなくとも」という指摘はよくある。自分もこれには同感だ。

  特に少女漫画原作のドラマにリアリティなんてなくていいと思うし、原作通りに作ることが最善とも思わない。でも、だからこそ、もっと徹底したベタで良い、ドラマとしてのワクワク感、キラキラ感をきっちり作り出してほしいと思うのだ。

 『花晴れ』の話題は少なくとも現時点では、「豪華なセット」「肉の大きさ」「道明寺の登場」などばかりで、ドラマの世界観に作り手が浸っている様子も、楽しみ尽くす覚悟も感じられないのは、どうにも寂しい限りだ。
(田幸和歌子)

トンチキ世界観に高いスキル……Hey!Say!JUMPとこぶしファクトリーに重なる7つの共通点

 ジャニーズのファンと、ハロー!プロジェクトのファンを兼ねている人は、時々いる。「嵐ファンだったら、○○」「V6ファンなら……」などとハロー!プロジェクトのグループを勧めるブログなどもある。

 Hey!Say!JUMPの場合は、「メンバー同士がわちゃわちゃ仲良し+大人数のフォーメー ションダンス」という点から「アンジュルム」を、またエース・宮本佳林のプロ意識の高さが山田涼介と重ね合わせて語られることから「Juice=Juice」を推す意見をよく見かける。

 しかし、個人的には、JUMPファンに勧めたいのは断然「こぶしファクトリー」だ。以下に、Hey!Say!JUMPとこぶしファクトリーの共通点を挙げてみたい。

■寄せ集めメンバーのエリートグループで、風当たりが強かった

 ジャニーズJr.のトップにいた薮宏太や八乙女光などから、Jr.経験がほとんどなかった岡本圭人まで“寄せ集め”で作られたHey!Say!JUMP。Jr.ユニットが解体され、涙を飲んだJr.やファンもいた。下積みがあまりなく、若くしてデビューしたエリートグループということから、他グループやファンに冷ややかに見られることも多かった。

 一方、こぶしファクトリーは“研修生トップ”的な存在だった浜浦彩乃を中心に、つんくが手がける外部プロジェクトの「ナイスガールトレイニー」から、歌唱力の高い広瀬彩海と井上玲音を引き入れて作られた「寄せ集め」グループ。ユニット結成からデビューまでが非常に速いエリートで、しかも、広瀬は外部から来た存在でありながら「リーダー」に就任。グループ内にギクシャクした空気が流れた。

■猛プッシュ&華々しいデビュー

JUMPの場合は、デビューコンサートがいきなり東京ドーム。こぶしファクトリーも早々にツアーが組まれたり、『レコード大賞最優秀新人賞』を受賞したりと、順調すぎる滑り出しを見せる。

■事務所や社長の寵愛を受け、変な曲ばかり歌わされる

「あのファッショングラっと来て もうグラッチェグラッチェちぇけらうよ♪」(「『ありがとう』~世界のどこにいても~」)とか「家族、担任 おざなり Over♪」(「OVER」)とか、とてつもなくヘンテコな曲を歌ってきたJUMP。水太鼓や龍、綱渡りや空中ブランコ、犬と一緒に大縄跳びなどにもチャレンジし、摩訶不思議な世界を数年間にわたって表現してきた。

 一方、こぶしはメジャーデビュー曲が「ドスコイ!ケンキョにダイタン」。「相撲」である。3枚目のシングル「サンバ!こぶしジャネイロ」なんかも、ジャニーズ的なおかしなセンスの曲名だ。そして、「忍者」が主人公の舞台と映画に主演し、忍者ファッションで「エエジャナイカ ニンジャナイカ」という妙な歌を歌った。

 トークが不得手で、ガツガツしたところがあまりなく、おっとりした雰囲気のJUMPは、彼らの世代に引っ掛けて、他グループのファンから「ゆとり」と揶揄されてきた。

 一方、こぶしの現在のメンバーたちは天然度の高いタイプが多く、MCものんびり。「エース」の浜浦はラーメンばかり食べているし、グループのシンボル的存在の井上玲音は、美人なのに「すましていると思われること」に悩み、変顔の練習に余念がない。また、実力・人気ともに上昇中の野村みな美は、パフォーマンスがカッコいいのに、普段は超マイペースで、パンに夢中。

 和田桜子は恵まれた声質と、グループの緩衝材的な役割を持ち、しっかり者に見えるリーダー・広瀬は、重い性格ながらどこかヌケている。また、新曲が発表されるたびに毎回「これまでにない大人のJUMPを」「今までと違う大人っぽいこぶしファクトリーを」などと、お約束のフレーズで語るところも似ている。

■悲しい出来事が続き、どん底にあった

 JUMPの場合、一部メンバーの喫煙・活動休止(のちに脱退)や、マネジメントの管轄替えによる“干され”の危機、メンバーのスキャンダルなど、「いよいよ売れそう」という予感が漂っては、何度も予感が消えてきた。

 こぶしの場合、2016年11月発売のアルバムに収録された名曲「辛夷の花」で「売れそう!」感が漂っていた中、翌年、メンバー3人がスキャンダルなどで次々に脱退・卒業してしまう。

■重い話し合い&ちょっとズレてる工夫

 Sexy Zoneがデビューした後、『カミスン!』(TBS系)に出演したJUMPは、MC・中居正広に「後輩もできたことですし、頑張りましょうね」と真顔で説教されていた。自分たちでも不甲斐なさを感じていた彼らは、グループで何度も重い話し合いをしている。

 チケットの売れ行きが芳しくなかった13年の東京ドームコンサートでは、空席を無数の風船で埋めたり、機関車を走らせたりと、手作り感あふれるコンサートを演出。幼い工夫に、ファンは涙した。

 また、こぶしの場合、YouTubeチャンネル『ハロ!ステ』で、スタッフからスキャンダルの多さについて「デビューから応援して下さっていた沢山の方々の期待を裏切った」と公開説教されてしまう。「裏切った」のは、この5人じゃないのに。さらに、これからの方向性について、合宿で話し合ってもいる。

 ちなみに、レコ大最優秀新人賞を受賞したときの白い衣装は、バラされ、別の衣装にリメイクされてしまった。精一杯の工夫だったのだろう。でも、取っておけばよかったのに……。

■悲しい出来事を乗り越え、気づけばスキル集団になっている

 低迷期に、ひたすらダンスを揃えることにこだわり、技術を磨いたJUMP。今では9人が複雑なフォーメーションダンスを一糸乱れぬ美しい動きで見せたり、コンサートでは「無音ダンス」の群舞で圧倒してみせたりする。

 こぶしの場合、もともと歌のうまいメンバーが多かったが、3人脱退した今、奇跡的にも「5人全員が歌のうまいグループ」になった。ボイパやラップ、アカペラなどの練習もさせられ、「迷走か」とも思ったが、完成した曲は素晴らしい出来栄えである。実は、現時点で、ハロプロ内だけでなく、業界全体を見回しても「全員歌がうまいアイドルグループ」というのは、こぶしのほかにほとんどいない気がする。

 しかも、CD音源よりも生歌の方が断然うまく、テレビよりもコンサートやイベントで直に聞く方がさらにうまい。ちなみに、どん底にいたときのJUMPは、頼りなさの一方で、内に秘めた闘志と努力が少しずつ実を結び始め、今にもあふれ出しそうなエネルギーに満ちていた。そして、今ではジャニーズ事務所の稼ぎ頭の一角を担っている。

 同様に、いま苦境にあるこぶしは、当時の彼らを思い出させるような熱さ、キラキラ感を身にまとってきている。3月28日に発売された、こぶしの新曲「これからだ!/明日テンキになあれ」は、そんな彼女たちの物語にピタリと重なる曲。そう、まさしく「これからだ!」。
(田幸和歌子)

笑い飯のツッコミ特訓で引き出された、Sexy Zone・佐藤勝利の類まれな「ボケ」ぶり

 ジャニーズでツッコミのうまい人といえば? 中居正広や関ジャニ∞・村上信五、嵐・二宮和也など、パッと浮かぶ顔はたくさんある。TOKIOなどは山口達也、松岡昌宏、国分太一と、3人も取り揃えている豪華さだ。

 逆に、メンバーがボケたがり屋ばかりで、グループ内にツッコミがいないために、消去法でツッコミに回ることになってしまったパターンもある。

 Hey!Say!JUMP・山田涼介などはその典型で、本来は一番の天然キャラにも思えるが、ほかが全員ボケるために、8対1で全員にツッコミせざるを得なくなっている。

 そして、山田に近いタイプが、Sexy Zoneの佐藤勝利だと思っていた。

 佐藤の場合は天然ではないが、中島健人、菊池風磨という「ボケたがり」(中島の場合はボケをかましているつもりではないかも)と、松島聡という「天然」、さらに異次元のボケをかますマリウス葉に囲まれ、自然とツッコミ役になっていった。

 今ではメンバーと息の合った漫才のようなやりとりも見せるが、山田と同じく本来は真面目な性格でツッコミ体質ではないだけに、「訂正係」あるいは、混沌としたトークの「交通整理」係に近い。

 そんな佐藤が、Sexy Zone初の冠番組『Sexy Zoneのたった3日間で人生は変わるのか!?』(4月11日放送、日本テレビ系)で一皮むけた成長を見せた。番組内容は、「たった3日間で人生が変わるのか!?」をコンセプトに、メンバー5人全員がそれぞれ体当たりのロケを決行するというもの。

 佐藤に与えられたお題は「たった3日間でツッコミ職人に生まれ変わるのか?」というもので、ゴールとなるのはSexy ZoneのコンサートMC中に、「メンバーたちにキレキレのツッコミを炸裂させること」である。

 ツッコミの師匠として、佐藤と3日間同居することになったのは、千鳥とかつて同居し、そのツッコミ力を鍛えた芸人「笑い飯」の2人。

 最初に顔を合わせた途端、「塩くんのことはね」とボケられた佐藤は、すかさず「いや、勝利ですよ」とツッコむ。しかし、このボケは「佐藤=砂糖」にかけたものだったわけで、「そっちか~!」と、うなだれる佐藤。ボケの趣旨を理解していないだけに、ツッコミではなく、ただの「訂正」になってしまっていた。

 そこから「動物図鑑にツッコミ」「じゃんけんのルールを忘れた2人にツッコミ」「お風呂場から全裸ツッコミ」などをやらされ、1日目だけでツッコんだ回数は計168回に。

 ちなみに、お風呂場でのツッコミは、1人で入浴したいと言っている佐藤に対して、「怒ってる?」と執拗に聞きながら全裸で乱入してくる2人にツッコミを入れるという、シュールで難度の高そうなお題である。これには佐藤、「意味わかんねー!」と笑いながら、ややご立腹にも見えた。

 しかし、2日目。佐藤がトイレに入ると、再び前日の風呂と同じ展開が繰り返される。

「怒ってんの?」「怒って、閉じこもってんの?」

 トイレの前から問いかけるも、黙る佐藤に、2人は「あかんわ……」と言いながら戻る。しかし、その瞬間大きな声で、

「いや、来ないんか~い!?」

と、お手本のような見事なツッコミをみせた。ノリにノッてきたのか、その日は寝るときに「金魚が明るい!」と水槽にまでツッコミを入れていた。

 3日目。3人が同居している部屋の本来の持ち主であるコロコロチキチキペッパーズのナダルが帰宅すると、次々に強めのツッコミを入れる佐藤。そのたびに、ナダルは「ヒャハハハ」と甲高い声を上げて大ウケする。

 しかし、これがいけなかった。ナダルとの相性の良さを見た笑い飯が、佐藤にこんなアドバイスをしてしまう。

「Sexy Zoneのメンバーをナダルと思え」

 そして、いよいよ3日間の成果を見せるときがきた。

 コンサートのMCで、18歳の誕生日プレゼントとして靴をもらったマリウスが、うれしそうに「飾ろう」と言うと、「いや、はけよ!」と高速で前のめりのツッコミをみせる佐藤。

 さらに、マリウスのママが朝にケーキを焼いてくれるという話題で、「朝ケーキは食べづらい! 夜だよ、普通は」とツッコむ。ここまでは良かったのだが……。

「ナダルか、普通に!」

 ポカーンとするメンバーたち。その後も、ことあるごとに

「ナダルか、お前は?」
「エロいな! ナダルか!」
「なんだ、ホントにナダルか?」
「タイミング違うだろ、ナダルか!」

と繰り出す。また、マリウスがずっとテンションが高いことについても「ナダルか!」。意味不明の「ナダルか!」を、ことごとく繰り返す佐藤。

 「メンバーをナダルと思え」というアドバイスのどこをどう間違えると、なんでもナダルにたとえる「ナダルか!」ツッコミになるのか。

 しかし、意味不明すぎて、ずっと聞いているうちに不条理なコントのようにも思え、じわじわ面白くなってきてしまった。

 コンサートに潜入し、弟子・佐藤の成長ぶりを見守っていた笑い飯・西田の評価は「15点」。だが、辛抱強く使い続ければ、この意味のない「ナダルか!」ツッコミも、いつかはやりそうな気もしてくる。

 結局、真面目で一生懸命な「消去法のツッコミ役」と思っていた佐藤が、意外にも引き出されてしまったのは「ボケ」の部分だったようだ。
(田幸和歌子)

「ジャニー社長っぽさ」を感じられなかった、King&Princeデビュー会見に思う今後

 「King & Prince」(平野紫耀、永瀬廉、髙橋海人、岸優太、神宮寺勇太、岩橋玄樹)のCDデビュー日が5月23日に決定。

 先日、六本木ヒルズアリーナで開催されたイベントでは、1,000人のファンを前にデビュー曲「シンデレラガール」はお披露目された。期間限定ショップも企画されているという。イベントの模様を見て思ったのは、「キンプリからは、もうジャニー社長の手が完全に離れているんだな」ということ。

 ファンが固唾をのんで見守る中、リムジンから1人ずつ降り、レッドカーペットを歩いてくるという豪華な登場シーンは、一見「ジャニーズならではのキラキラ感」のようである。

 だが、ジャニーさんだったら、リムジン&レッドカーペットを「特別」とはたぶん思わない。リムジンで現れるのはむしろ自分自身で、イベントが終わってから大量のちびっこJr.を乗せて帰りそう。また、ジャニーさんが気合を入れてイベントを企画するなら、「キングとプリンスだから、馬車で登場しちゃおうYO!」などと、もっととんでもないことを言いだしたうえで、「無理なの? だったら、馬は? 馬事公苑貸し切ろうよ! え? 東京五輪準備でいま、入れないの? しょうがないな~。だったら、お城でやろうYO!」くらい言いそうだ。

 また、一部ファンが「プリキュアみたい」と言っていた、メンバーカラーを取り入れた白のヒラヒラ王子様&王様衣装も、外から見た「ジャニーズ」っぽく、可愛いが、普通。

 デビュー曲「シンデレラガール」は、明るく可愛い曲ではあるものの、バラをくわえるでもないし、変声前の天使のような少年が風を切るわけでもないし、やっぱりちょっと普通。6人全員がちゃんと大人で、それなりに舞台慣れしていて、見た目も垢ぬけてキレイにまとまっていて、サプライズはない。

 ジャニーさんが本気を出してくるときには、必ず何らかの悲劇を伴うだけに、この珍しいほどに平和なデビューは、「普通」な印象すぎて、少々物足りなさも感じるくらい。でも、だからこそ、最初からそこそこ売れそうな気がする。

 もともと、Mr.King Vs Mr.Princeを作ったのはジャニーさんではなく、別の人だといわれているが、それをKingとPrinceの3人ずつに分け、別々の活動をさせたり、いじくり回していたところまでは、ジャニーさん臭がすごかった。それが、6人に戻ったところで「卒業」になったのだろうか。

 6人に戻ったせいか、キンプリの場合、デビュー曲も、彼ら自身のまとう雰囲気も、新しくデビューするグループというより、「再デビュー」に近い感じがある。

 ジャニーさんらしいほど“売れない”

 残念ながら、近年は、ジャニーさんらしければらしいほど、世間一般にはウケず、ジャニーさん臭がなくなってくると徐々に売れてくるという傾向がある。Hey!Say!JUMPが自ら希望してジャニーさんからジュリー管轄に移動して以降の活躍や、Sexy Zone、ジャニーズWESTの活動や流れを見ると、十分成熟し、まとまってからのキンプリデビューは、最初からジャニーさん臭が薄いことで、世間にそこそこ受け入れられそう。

 あとは、平野の出演する連続ドラマ『花のち晴れ~花男Next Season~』(TBS系)がどこまで健闘できるか。と同時に、「親しみやすさ」担当として初代リーダー・岸のバラエティ力をうまく生かせるかどうかにかかっている気がする。
(田幸和歌子)

「ジャニー社長っぽさ」を感じられなかった、King&Princeデビュー会見に思う今後

 「King & Prince」(平野紫耀、永瀬廉、髙橋海人、岸優太、神宮寺勇太、岩橋玄樹)のCDデビュー日が5月23日に決定。

 先日、六本木ヒルズアリーナで開催されたイベントでは、1,000人のファンを前にデビュー曲「シンデレラガール」はお披露目された。期間限定ショップも企画されているという。イベントの模様を見て思ったのは、「キンプリからは、もうジャニー社長の手が完全に離れているんだな」ということ。

 ファンが固唾をのんで見守る中、リムジンから1人ずつ降り、レッドカーペットを歩いてくるという豪華な登場シーンは、一見「ジャニーズならではのキラキラ感」のようである。

 だが、ジャニーさんだったら、リムジン&レッドカーペットを「特別」とはたぶん思わない。リムジンで現れるのはむしろ自分自身で、イベントが終わってから大量のちびっこJr.を乗せて帰りそう。また、ジャニーさんが気合を入れてイベントを企画するなら、「キングとプリンスだから、馬車で登場しちゃおうYO!」などと、もっととんでもないことを言いだしたうえで、「無理なの? だったら、馬は? 馬事公苑貸し切ろうよ! え? 東京五輪準備でいま、入れないの? しょうがないな~。だったら、お城でやろうYO!」くらい言いそうだ。

 また、一部ファンが「プリキュアみたい」と言っていた、メンバーカラーを取り入れた白のヒラヒラ王子様&王様衣装も、外から見た「ジャニーズ」っぽく、可愛いが、普通。

 デビュー曲「シンデレラガール」は、明るく可愛い曲ではあるものの、バラをくわえるでもないし、変声前の天使のような少年が風を切るわけでもないし、やっぱりちょっと普通。6人全員がちゃんと大人で、それなりに舞台慣れしていて、見た目も垢ぬけてキレイにまとまっていて、サプライズはない。

 ジャニーさんが本気を出してくるときには、必ず何らかの悲劇を伴うだけに、この珍しいほどに平和なデビューは、「普通」な印象すぎて、少々物足りなさも感じるくらい。でも、だからこそ、最初からそこそこ売れそうな気がする。

 もともと、Mr.King Vs Mr.Princeを作ったのはジャニーさんではなく、別の人だといわれているが、それをKingとPrinceの3人ずつに分け、別々の活動をさせたり、いじくり回していたところまでは、ジャニーさん臭がすごかった。それが、6人に戻ったところで「卒業」になったのだろうか。

 6人に戻ったせいか、キンプリの場合、デビュー曲も、彼ら自身のまとう雰囲気も、新しくデビューするグループというより、「再デビュー」に近い感じがある。

 ジャニーさんらしいほど“売れない”

 残念ながら、近年は、ジャニーさんらしければらしいほど、世間一般にはウケず、ジャニーさん臭がなくなってくると徐々に売れてくるという傾向がある。Hey!Say!JUMPが自ら希望してジャニーさんからジュリー管轄に移動して以降の活躍や、Sexy Zone、ジャニーズWESTの活動や流れを見ると、十分成熟し、まとまってからのキンプリデビューは、最初からジャニーさん臭が薄いことで、世間にそこそこ受け入れられそう。

 あとは、平野の出演する連続ドラマ『花のち晴れ~花男Next Season~』(TBS系)がどこまで健闘できるか。と同時に、「親しみやすさ」担当として初代リーダー・岸のバラエティ力をうまく生かせるかどうかにかかっている気がする。
(田幸和歌子)

番組観覧で驚かされた、中居正広「真のMC力」とSexy Zone・菊池風磨「コメント力」

 今回ツッコませていただくのは、3月10日に放送分『のどじまんTHEワールド!2018春』(日本テレビ系)番組観覧で感じた、Sexy Zone・菊池風磨のコメント力と、中居正広の“真のMC力”。

 日本の歌を愛する外国人が集まり、「世界一日本の歌がうまい外国人」を決めるチャンピオン大会。

 大御所歌手等の審査員とは別に、審査しない「ゲスト」の1人として菊池風磨が登場した途端、「え? なんで?」というざわめきが会場のあちこちから聞こえた。菊池はSexy Zoneの中では、歌担当ではあると思う。しかし、事務所全体では、歌唱力で名前の挙がる先輩がもっとたくさんいるはず。

 Sexy Zoneは今年の『24時間テレビ 愛は地球を救う』(同)のメインMCを務めるだけに、プッシュしたいのだろう……と思ったが、結論からいうと、菊池風磨はかなり賢く、バラエティ的に“使える人材”だった。

「テレビで母と一緒に見てたんですけど。ニコラスさん、めちゃめちゃカッコいいって言ってて。生ニコラスさんに会えたって、いま複雑な興奮してます」と笑いも取りつつ、ホメたり、女性出場者には「シンプルにタイプです(笑)!」と、会場を盛り上げたりする。また、「こんなにうまく歌えたらモテるだろうなあ」「ここまでうまく歌えないから、ひとりカラオケ行く」などと自虐もする。

 中居が「あんまり歌うまくないんですか?」とツッコミを入れると、「はい……ここまでは」と答える菊池に、「あ~、仲良くなれそうです(笑顔)!」「ありがとうございます!」なんて具合に息の合ったやりとりも見せる。

 芸人と張り合ってグイグイ前に出るでもなく、かといって「歌手」として評論してみせるでもない。立場をわきまえつつ、それでいて無難ではなく、毎回さまざまなパターンでちょっぴり笑いも取りながら、自分の言葉でコメントする菊池。

 空気が読めて、押しも引きもでき、頭の回転も速く、語彙力があってウィットに富んだコメントができる菊池には、この番組のように「何かを見て、外の立場からコメントする」仕事はぴったりだ。ひな壇仕事なども向いていそうな気がする。

 さらに、SMAPのコンサートには何度か足を運んでいるものの、テレビ番組での司会を生で初めて見た中居の「MC力」には、驚かされた。

 数々の番組で見る中居のMCのうまさというと、「相手をリラックスさせて、本音を語らせたり、いろんな表情を引き出したりすること」「トークを回すこと」「イジって笑いをとること」などのイメージがある。だが、画面には映らない部分で、こんなにも細やかに、こんなにもたくさんの仕事を1人で行っているとは思わなかった。

 会場に登場するなり、まず軽く観客をイジって空気を和ませたかと思うと、合間にちょこちょこメモを取っている。小道具がステージ上に残っていると、さりげなくスタッフに指差しと目配せで知らせ、指示を与える。

 歌を聞きながら口ずさみ、審査員にコメントを求め、そのコメントが冗長になったり、会場がなんとなくシーンとしたりすると、すかさずゲストをイジるなどして空気を変え、テンポをアップさせる。歌に関係ないゲストたちが配置されていたのも、番組の流れにメリハリをつける上で必要だったのかもしれない。

 さらに、出場者の伴奏の楽器に音声トラブルがあったときには、演奏をストップさせ、「ゆっくりでいいですよ」「もう1回チェックした方がいいんじゃないかな?」と自らが出場者の元に行き、楽器のチェックを念入りにする。そして、何度も「申し訳ない」「こちらのミスですから」「本当にすみません」と出場者たちに声をかける。

 テレビで見ていると、こうした部分はわからない。通常、トラブルが起こった際には、スタッフが動くものとばかり思っていたが、中居は自ら出場者に声をかけ、謝罪し、チェックし、その間も審査員やゲスト、観客を置き去りにしないよう、絶えずおしゃべりを続ける。

 トラブル時にも流れを止めず、細部まで目を配りながら、番組を動かしていく。番組の大きな流れから、隅々の細部まで、1人で仕切っているように見える。

 この仕事ぶりは、一般的にイメージする「進行役」というよりも、1,600人もの観客を含めたオーケストラの指揮者のようだ。

 中居のMCが高く評価されるのは、楽しいおしゃべりやトークの回しよりも、実は画面に映らない、こうした番組の表から裏まで、大きな柱から細部までの全てを掌握する力があってのことではないか。あらためて「真のMC力」を思い知らされた。
(田幸和歌子)

『もみ消して冬』が明らかにした、Hey!Say!JUMP・山田の“ちょんまげ頭”という破壊力

 5~7話と、平昌オリンピックの「直撃」を見事に受け、一時は視聴率で苦戦を強いられたHey!Say!JUMP・山田涼介主演の『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系、土曜午後10時~/以下、『もみ冬』)。

 「エリート一家が、家族に起こったトラブルを、法律や常識よりも家族ルールを優先して全力で解決していく」というストーリーは、大きな感動を与えるわけでも、余韻を残すわけでもない。しかし、このドラマが成し遂げた功績はいくつもある。

 1つは、作品のテイストと曜日・時間帯との相性が、いかに重要か明らかにしたこと。ドラマの世界では、作品を語る際の基準が、「視聴率」と「評価・クオリティ」に二極化しがちだが、この作品はどちらに主軸を置くでもなく、どちらもそこそこ。ただし、軽く楽しめるテイストは、土曜夜の気分との一致度において、「最適な温度」を導き出した。その最適な温度は、このドラマの構成要素「キレイ・可愛い+笑い+ちょっぴり切ない+ちょっぴり感動」の配分が、金子茂樹脚本により、巧みに計算されているからだ。

 さらに、主演・山田涼介の俳優としての新たな顔を引き出した意義もある。山田は数々のドラマや映画に主演し、観客動員数においてもジャニーズの若手エースポジションにあるが、俳優としての将来性においては「小柄」「童顔」に加え、「顔が整いすぎていること」がネックとされ続けてきた。

 しかし、『もみ冬』の末っ子・秀作は、弱く、情けなく、小動物のように愛らしい。その「不憫可愛さ」を醸し出すうえで、小柄であること、童顔であることは間違いなく大きな武器になっている。さらに、「顔が整いすぎている」弱点は、くるくる変わる劇画タッチの変顔連発により、打ち砕かれた。

 最初は、オーバーな表情、くどい語り口、そしてBGMと、見ていてやや引く面もあったが、途中からは劇画タッチのギャグマンガを見るような気分になっている。山田は、瞬時に涙を流せることから、映画『鋼の錬金術師』『ナミヤ雑貨店の奇跡』など、さまざまな作品でシリアスな泣きの演技を求められることが多いが、今作では「泣き笑い」や「安堵の泣き」「小さな幸せ泣き」「成長の泣き」など、バカバカしくも複雑な感情が涙となってあふれ出している。こんなにも多彩な泣き顔ができるとは、ちょっとした驚きだった。

 『理想の息子』(同)のときから思っていたが、やはり山田はコメディが良い。共演者と呼吸を合わせるテンポの良さは、バラエティ番組『スクール革命!』(同)などで培われた部分もあるかもしれない。そもそも、山田の「普通の男」「ちょっと残念で、不憫可愛い」といったイメージも、『スクール革命!』が長年温め、育んできたものである。

 ついでに、山田の意外な力が発揮されたのは、『もみ冬』3月10日放送回だ。

 赤ん坊時代に、山田と加藤諒が「取り違え」てそれぞれの家庭に引き取られていた過去が発覚。1週間、本来の家で生活を入れ替えることになり、最初はパリッとしたスーツ姿で庶民の家のこたつにあたっていた山田だが、家庭の温かさに触れるうち、その生活に馴染んでいく。そして、最終場面で現れたのは、前髪をちょんまげにし、半纏姿で寝ころんで漫画を読み、煎餅を食べる姿。

 この「ちょんまげ+半纏」は、まさしく『理想の息子』で演じていた姿ではないか。と思ったら、Twitterのトレンド上位には山田の役名「秀作」がランクイン。

「前髪を結った山田涼介の破壊力がすごい」「のびのびしてる山田涼介くん、可愛すぎて無理……」「庶民に馴染んだ山田さん可愛すぎじゃない?」

 わずか1~2分のシーンにもかかわらず、こうした絶叫にも近い興奮の呟きは数時間にわたって続出していた。序盤のシャワーシーンなんかよりもよっぽど、ボサボサちょんまげ頭+半纏で女性たちを狂わせる山田。

 胸元を大きくはだけたり、口が悪く、ときにオラついてみせるところを見ると、山田自身はおそらく自覚していなさそうだが、実はこうした「無防備さ」こそが山田の真の破壊力だと思う。

 残るはあと1話。続きがさほど気になるわけでもない1話完結のおバカドラマなのに、この温度が失われるのは、ちょっぴり寂しい。
(田幸和歌子)

ジャニーズ新スター「7 MEN侍」、全貌不明ながらも輝く“ジャニーさん”の一流ぶり

 

 シアタークリエで開催される公演『ジャニーズ銀座2018』の日程詳細が発表された。

 テレビ番組を見ているときや、イベントや新企画などが発表されたときに、「あ、ジャニーさん来てるな」と感じる“ジャニー色”の濃いものがある。

 お家騒動以降、それを感じる機会はグンと減り、その一方でネットでの写真解禁が進むなど、事務所は確実に変化してきている。良い面ももちろんあるが、「ジャニー色は今後ますます薄まるのだろうか」と不安に思っていた。しかし、そんな中、届いたクリエの公演詳細メールは、これ以上なく絶好調に「ジャニー節」全開だった。

 公演タイトル『「ジャニーズ銀座2018」見なきゃソン! ボクたちの作るジャニカルとスペシャルショータイム』の「ジャニーズのミュージカル=ジャニカル」なんて常識的な略し方は、ちょっとジャニーさんっぽくない。それに「ボクたち」というのも、外から見たジャニーさん風である。

 それよりも、ジャニー色が甚だしいのは、HiHi Jets、東京B少年のほかに日替わり出演するとして発表されたJr.の中の「さらなるNEWスター 『7 MEN侍』」だ。この数字+ローマ字+漢字という、理解不能のすごいセンスは、ジャニー流以外の何物でもない。

 また、今春にKing&Princeのデビューが決まり、さらに、お兄さんJr.たちに横浜アリーナでの公演を設けたことで、「いよいよHiHi&B少年をど真ん中に据えてきたな」と思ったら、そこからもう1枚サプライズを入れてくるのも、ジャニーさんらしい。

 読み方が予想もできないのも、やっぱりジャニー流。ネット上ではすでにさまざまな読み方の予想と、7 MEN侍の構成メンバー予想が広がっている。

 さらに驚いたのは、公演日程のすぐ下に、※印つきで記されていた一文。

「※佐藤龍我は、5月22日(火)・23日(水)は休演とさせていただきます」

 この時点でわかっている予定といえば、学校の行事だろう。龍我は4月から高校生になるため、進学予定の高校がどこなのか、その予定がどんな行事なのか、ファンの間ではすでに予想が出回っている。

 それにしても、「7 MEN侍」なんてわけのわからない名前で、新ユニット情報をサラリと入れてくる大胆さの一方で、超局所的にとんでもなく繊細な気遣いが発生するのもジャニー流。

 龍我はメンバーたちからも「赤ちゃん」扱いされるベビーフェイス&幼いキャラだが、ジャニーさんは同じく東京B少年の「顔」担当で聡明な那須雄登に、「佐藤龍我はYOUに任せた」と言っているくらいだから、龍我のことが気になって仕方ないのだろう。

 ところで、ファンにとっては非常にありがたい「休演日程」情報ではあるが、ちょっと疑問。うわさ通り、進学先が芸能人の多数通う高校だとしたら、おそらく龍我以外にも4月に入学するJr.はいるのでは? ちょっと前の『ザ少年倶楽部』(BSプレミアム)で、“今年中学を卒業する人”が挙手した際に、何人もいた気がするけど……。

 まさかとは思うが、ジャニーさん、龍我の予定だけをどうしても早く知りたくて、その上でみんなに公演日をお知らせしたかったのだろうか。「YOU、出られないの!? 大変だYO~! 那須、どうするの~?」なんて慌てながら、大急ぎでファンに龍我の休演日を含めた日程を発表してくれたとしたら、ちょっと可愛い気がしてくる。

 さらに、この情報を見てから、他Jr.たち何人もが「ジャニーさん、僕も5月22日と23日、クリエ出られません」「なんで!?」「僕も学校行事で」「え!? YOUも高校行くの!? どこ!? いつから!?」なんてやりとりがあったりして……。
(田幸和歌子)