香港を代表するアクションスター、ジャッキー・チェンが揺れている。
7月頭に北京で行われた中国映画家協会のシンポジウムに参加したジャッキーは中国共産党を絶賛し、「私も党員になりたい」と中国共産党に入党したい意思を明らかにしたのだ。中国が香港で反社会的な活動を規制する香港国家安全維持法には多くの香港市民や映画関係者が反対したにも関わらず、ジャッキーは支持を表明していた。
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香港を代表するアクションスター、ジャッキー・チェンが揺れている。
7月頭に北京で行われた中国映画家協会のシンポジウムに参加したジャッキーは中国共産党を絶賛し、「私も党員になりたい」と中国共産党に入党したい意思を明らかにしたのだ。中国が香港で反社会的な活動を規制する香港国家安全維持法には多くの香港市民や映画関係者が反対したにも関わらず、ジャッキーは支持を表明していた。
…香港で長期化している「逃亡犯条例」への反対デモに対し、これまでSNSで一切発言をしてこなかった香港を代表する映画スター、ジャッキー・チェンが、ついに沈黙を破った。しかし、それはTwitterでもFacebookでもInstagramでもない。中国版Twitter「微博」だった。
デモの参加者に中国国旗である五星紅旗を海に投げ捨てられたことを受け、中国の国営放送・中国中央電視台(CCTV)はSNS上で「#五星紅旗有14億護旗手(五星紅旗には14億の旗手がいる)」キャンペーンを展開。8月4日、ニュース専門チャンネル「央視新聞(CCTV-新聞)」が五星紅旗の画像を添付して投稿すると、ジャッキーはすぐにリツイートし、「我是護旗手!(私は旗手を守る!)」とコメントしたのだ。13日にはCCTV-新聞のインタビューに応じ、即座にリツイートした理由について「一人の香港人、一人の中国人として、最も基本にあるのは愛国の心であり、私も一人の旗手であることを示すため」と改めて愛国者であることを強調。中国人民政治協商会議委員としての務めを果たしたということだろうか?
こうしたジャッキーの姿勢に対し、冷ややかな反応を示しているのは香港や台湾 のネット民だ。「今日新聞(NOW NEWS)」15日付)などによると、台湾の掲示板サイトに、ジャッキーの30年前の映像と写真が投稿された。それは天安門事件当時、香港と台湾の芸能人が集まって民主化を訴えるイベントを開催し、「歴史的傷口」という中国政府を批判する歌を合唱した時のものだという。つまり、ジャッキーはこの30年でまったく逆の立場に立っているのだ。30年前に民主化を訴える歌を歌っていたジャッキーが、皮肉なことに香港で大規模デモが行われた18日には、北京オリンピック体育館で、愛国の歌である「国家」を披露している。この30年前の出来事を中国人が知ったら、どう思うのだろうか?
このジャッキーの“転向”に対して、香港と台湾のネットでは「日和見主義の卑怯なコウモリ野郎め!」「英雄を演じる人間のクズ」など、非難が殺到している。今後、ジャッキーが香港や台湾で活動する姿を見ることはできなくなるかもしれない!?
(文=大橋史彦)
刑事事件の容疑者を中国に引き渡せるようにする「逃亡犯条例」改正への反発から、香港では大規模なデモに発展しているが、芸能界も揺れている。大陸との関わりも少なくない彼らにとって、大っぴらにはデモを支持しづらい状況にあるが、SNSで「香港加油(頑張れ)」のハッシュタグを付けるなどして支持を表明する芸能人も少なくない。さらにはデモに参加する芸能人もおり、現地メディア「852郵報」(6月9日付)によると、歌手のアンソニー・ウォン(黃耀明)やデニス・ホー(何韻詩)は9日、香港政府総部前でBEYONDの「抗戦二十年」 を熱唱した。
一方で、香港が生んだ大スター、ジャッキー・チェン(成龍)は一連の騒動に対して冷淡で、その言動に批判が集まっている。「晴報(SKY POST)」(同13日付)によると、ジャッキーは同日、台湾・台北市で12日にリリースしたアルバムをPRするための記者会見に臨んでいた。前日には香港で大規模デモが行われたことから、記者からそれに関する質問があったのだ が、ジャッキーは「昨日初めて香港で大きなデモがあったことを知った。どんな事情があったのか、まったく知らない」と答えたのだ。
故郷・香港を突き放すような発言に対し、SNS上では「失望した」「共産党の手先め」「過去のジャッキー出演作のDVDはすべて廃棄することに決めた」など、批判が相次いだ。
また同日、台湾の人気歌手、ジェイ・チョウ(周杰倫)が、自身のインスタグラムでジャッキーと杯を交わす写真を投稿したが、これにもファンからは「ジェイ、香港で彼を好きな人はひとりもいない。彼は人民元のために魂を売った」「なぜジャッキーなんていうゴミと一緒にいるの?」といった厳しいコメントが寄せられている。
さらに11日には、X JAPANのYOSHIKIがジャッキーと会食したことがYOSHIKIのインスタへの投稿で明らかになったが、そこでも炎上し、YOSHIKIが謝罪する事態に陥っている。
これだけの批判を浴びつつも、今までのところ当のジャッキーは、自身のSNSでデモについても一切触れていない。デモに賛同したと見なされれば、彼にとって重要な市場である中国大陸からバッシングを受けることになりかねないだけに、沈黙を貫いている部分もあるだろうが、それだけではない。
中国事情に詳しいフリーライターの吉井透氏は話す。
「ジャッキーは現在、中国人民政治協商会議(いわゆる上院)の委員を務めていますし、過去には、中国からの模造品持ち出し禁止を呼びかける政府広報ビデオにも出演したことがあるなど、中国共産党との関わりは深い。2014年に息子のジェイシー・チャンが北京で大麻使用で逮捕された一件では、押収された乾燥大麻が100グラム以上と大量で、第三者に大麻を使用する場所も提供していたために、薬物犯罪が重罪とされている中国では、極刑の可能性もありといわれていた。しかし、実際は懲役6カ月と数万円の罰金で済んだのですが、ジャッキーが党上層部に減刑を嘆願したためといわれています」
無敵のカンフーマスターも、中国共産党には頭が上がらないということか……。
(文=大橋史彦)
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