先日、惜しまれつつも最終回を迎えたドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)。おじさんが年の離れた女子に恋するストーリーなのかと思いきや、モテない33歳の主人公・春田創一(田中圭)が、その上司である55歳の部長・黒澤武蔵(吉田鋼太郎)やイケメンの後輩・牧凌太(林遣都)らに迫られるという、メンズだらけの胸キュンラブコメディでした。
つまり恋愛ドラマだけど、上司(♂)×部下(♂)、先輩(♂)×後輩(♂)みたいなカップリングがメイン。深夜帯とはいえ、地上波で乙女チックなハートを持つおじさんが部下を全力で口説くシーンは、かなりのインパクトがありました。
そんな中、もっともっと、鳥肌が立つほどに濃厚なおっさん同士のピュア・ラブが読めるマンガが発売されましたよ。その名も『なかよし番外地』(KADOKAWA)。真のおっさんずラブは、このマンガを読まずして語れない!
作者は中川ホメオパシー先生。『抱かれたい道場』(秋田書店)、『干支天使チアラット』(リイド社)などなど、一見かわいらしくもちょっと頭がイカれてる作品ばかり繰り出すことでおなじみの中川先生による新境地は、ヤ◯ザなルックスの、コワモテおじさん同士のBLです。
登場人物は、いったいどこのドン・ファンだよ! みたいな、明らかにカタギじゃない雰囲気を持つ「兄貴」と、頭がパッパラパーな舎弟分「辰」。本作品で描かれるのは完全に2人だけのラブラブな世界であり、そこにはラブコメにありがちな三角関係などは存在しません。
■顔とセリフのギャップがとにかくスゴイ
本作は、そのとろけそうにスウィートなセリフだけを見れば、少女マンガとなんら変わらないのですが、決定的に違うのは2人のビジュアル。常にスーツ、サングラス、傷だらけの顔にオールバックという、控えめに言っても「組長」クラス(たぶん50代?)の兄貴と、ものすごいチンピラ臭を漂わせつつ、ヤバいクスリやっているかのように目がブッ飛んでる、舎弟分の辰(40代?)、この2人のおっさんが……
「やめてよ兄貴…ゲレンデが溶けちゃうよ…」
「辰は本当にフルーティーなコだね」
みたいな愛のセレナーデの応酬を見せつけてくれます。ゲレンデが溶けるまで恋したいのは広瀬香美だけではなかったんですね……。
そんなわけで、素人が興味本位で手を出したら間違いなく「オエェーッ!」となる、でも慣れてくると抜け出せなくなる、まるで1週間寝かせたドリアンのような特濃の世界観が繰り広げられているのです。
■ヘタな乙女よりもピュアな2人の愛
まるで殺人鬼のような邪悪なマスクを持った兄貴と辰の♂×♂カップルですが、そこには暴力もエロもない、ひたすらピュアで善良なラブ空間があるのみです。作品に漂うほっこりムードは、癒やしすら感じさせてくれます。
ゲーセンのモグラたたきの台の前で何もせず佇む兄貴を見て、辰が「どしたの兄貴? 早くたたかなきゃ」と尋ねます。
すると兄貴は、
「俺はたたかないよ… だってこのコ(モグラ)たちをたたく理由がないもの…」
モグラたたきのモグラすら思いやる兄貴の優しさに惚れ直してしまう辰なのでした。
ね!? 実にほっこりエピソードでしょう? でも実際は、2人の顔が極悪すぎるのでそんなにほっこりしないんですが。このギャップ、言葉だけでは説明が難しい……。
ほかにも、節分のエピソードでは、鬼をやろうとする兄貴に対して
「えーーーッ、兄貴に豆をぶつけられないよォ!」
と、代わりに鬼をやろうとする辰に対して
「辰に豆をぶつけるぐらいなら死んだほうがマシさ…」
などと、お互いを思いやる気持ちが爆発! 結局、2人仲良く鬼をやることになるのです。なんなのこの展開……。
とにかくどのシーンも、ゲレンデだけじゃなく脳まで溶けそうなのです。でも2人の顔を見ると我に返ります。このギャップ、伝わりますかね……。
■画に慣れたら後は、ひたすら甘くとろけるようなセリフを浴びるだけ!
実は作中、兄貴と辰はヤ◯ザであるとは一度も明示されていません。それどころか、この2人は一体どんな職業で、何歳で、どんな関係性なのかも説明されてないのです。あんな顔してるけど、もしかしたら2人は心優しき妖精さんなのかもしれません。そう、ティンカーベル的な。
そんな2人のビジュアルに慣れたら、あとはとろけるようなセリフのやりとりを浴び続けるだけです。
「なんでこんなイタズラするの兄貴…?」
「辰の困った顔が急に見たくなったから…」
「辰の怒った顔もすごくイイね…」
「…なんだよソレ… チェッ…調子狂っちゃうなァ」
「辰もよく見たらまつ毛がすっごく長いんだね…」
「ちょ…どこ見てんの兄貴ィ…(ハート)」
うーん、キモカワ! しかも、キモとカワの比率が9.8:0.2くらいです。というわけで、『おっさんずラブ』とは次元が違う、おっさん同士の特濃BL『なかよし番外地』を紹介しました。
『おっさんずラブ』、そして『なかよし番外地』……今まで、世間的にはほぼタブーだったおじさん同士のラブストーリーが解禁され始めているこの流れ、サイゾー読者の皆さんも「もしかしたら俺もそっち系なのかも」と、新しい扉を開くタイミングがついに到来したのかもしれません。大丈夫! 本作の魅力がわかるなら、あなたもその素質ありです!
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)
◆「ザオリク的マンガ読み」過去記事はこちらから