まるで読書版『魁!!男塾』!? 『どくヤン! 』読書✕ヤンキーの画期的なコラボ! 

 もしも読書好きのヤンキーがいたら……いやいや、そんなことあるはずがない。本来ヤンキーと書物は相いれないものであり、本を読むヤンキーがいたらそれはヤンキーではなく、普通の学生なのだ――そんな偏見の目で見ていた時期が私にもありました。しかし、マンガの世界は時として、そんな先入観をいともたやすく崩壊させてしまう。そう、読書するヤンキーは確かに存在したのだ!!(ドギャーン)

 なぜか往年の水曜スペシャル『川口浩探検隊』風の出だしになってしまいましたが、今回は読書とヤンキーをカップリングさせたらとんでもないことになってしまったマンガ『どくヤン!』をご紹介します。

 本作は現在、「Dモーニング」で隔週連載中。講談社の6誌共同WEBサイト「コミックDAYS」でも読むことができます。

『どくヤン!』とは?

『どくヤン!』の舞台は、他校のヤンキーが恐れおののく筋金入りのヤンキーの巣窟「毘武輪凰(ビブリオ)高校」。ここは、あるひとつのルールさえ守れば、どんな不良生徒でも通うことができ、しかも学費は無料という魅力的な高校なのです。そのルールとは……

 

「読書」をすることなのです。つまり、ビブ高のヤンキーたちは皆、ヤンキーのくせに読書を愛するという、突然変異ヤンキー……これがすなわち『どくヤン!』なのです。

 すべてにおいて「読書」が優先されるビブ高ですから、その教育方針は相当変わっています。ある意味『魁!!男塾』(宮下あきら/ジャンプ・コミックス)よりも狂っています 。

 教育理念は「読書上等!」。なんでケンカ腰やねん。

 なんと、時間割はすべて読書! ……もはや時間割が存在する意味すらわからない。ビブ高がいかに尋常じゃないか、その片鱗がわかってもらえるかと思います。

 なんだかんだいっても筋金入りのヤンキー高ですので、校内には ヤンキーがやりがちな行動様式がはびこっています。

 ヤンキーが自分より弱い者に対して金を要求する行為といえば……そう「カツアゲ」ですよね。ただし、ビブ高のカツアゲは少々特殊です。

 金欠ならぬ「本欠」のヤンキーたちが「本」をカツアゲします。これが「ブッカツ」(ブックカツアゲ)です。自分の読んでいる本を奪われ、「てめーはフリーペーパーでも読んでな!」とケリを入れられる。いろんな意味で不条理です。

 そしてヤンキー的行為の代名詞といえばこれ!「アンパン」。袋に入れたシンナーを吸ってラリっちゃうやつ。今の若者には信じられないかもしれませんが、昭和の時代には「アンパン」やりすぎて前歯が溶けてなくなるヤンキーがたくさんいたんですよ!! そんなヤンキーの伝統芸能たる「アンパン」も、ビブ高流はちょっと違います。

 シンナーの代わりに、袋に入れた本の紙やインクの匂いを嗅ぐ……その名も、アンパンならぬ「本パン」。常習性があるため校則で禁止されている危険行為です……っていうか、本のインクって常習性あるんだ!! しかも、ビジュアル的にはこっちのがやべーよ。

 そこら中の壁にスプレーとかで落書きしちゃうのも、ヤンキーにありがちな習性ですよね。「喧嘩上等」とか「夜露死苦」とか。ビブ高にも当然あるにはあるんですが……

 自分の好きな作家名を壁にスプレーしちゃう。確かに「団鬼六」とか、すげー強そうだけども……。

 ビブ高のヤンキーたちにも派閥があります。当然ながら派閥同士によるケンカが毎日のように繰り広げられているわけですが、その派閥とは……

 主に好きな本のジャンルによって分けられています。SF小説ヤンキー、歴史小説ヤンキー、探偵小説ヤンキー、官能小説ヤンキー……

 レシピ本ヤンキー、ジュブナイルヤンキー、恐怖小説ヤンキーなんてものまでいます! バラエティに富みすぎてるだろ! あと個人的に、官能小説ヤンキーとレシピ本ヤンキーは、なんか認めたくない気がする 。

 数あるヤンキーの中でも私小説ヤンキーの獅翔雪太(ししょう・せつた)は、弱い者いじめが嫌いな正義感のある男です。私小説をこよなく愛す、人一倍傷つきやすいが、受けた苦痛は100倍にして返す男。あれ、もしかして……?

 うん、一瞬マトモな生徒なのかと思いましたが、やっぱりヤバイやつでした。

 ちなみに先ほどご紹介したレシピ本ヤンキーは、敵に襲われると、栗原はるみ本から潜在的凶暴性を引き出して闘います。

 ビブ高の生徒はヤンキーとはいえ、授業で読書ばかりしているので、文章を体で覚えてしまっているわけです。たとえば夏目漱石の『こころ』ぐらいなら、余裕で全員暗唱できます。

 いやいや、これってすごくないですか? もしかしたらビブ高の生徒たちって、実はメチャクチャ頭がいいんじゃないでしょうか……? しかし、そんなビブ高生たちが最も恐れる課題は、「ドッカン」と呼ばれる読書感想文でした。

 月1回の提出ができないと即退学となってしまうという厳しい課題なのですが、読書好きな上に、漱石が暗唱できるぐらいだから、そんなに恐れる必要なんかないのでは……?

 ところがどっこい! ビブ高の生徒たちは、本は読めても字が書けないという致命的な弱点があったのでした!! そこは頑張って書けるようにしておけよ……。

 そんな感じで毎回、読書をテーマにバイオレンスの限りが尽くされる読書版『魁!!男塾』ともいえる作品なのですが、ちゃんとラストでテーマになったお勧め書籍が紹介される構成になっています。なんだかんだいっても、やっぱり読書マンガなんですよね!

 ……まあ、ちょっと書籍のチョイスが独特すぎるのが難点ですが。とにかく、読書とヤンキーの画期的すぎるマンガ『どくヤン!』。このムチャすぎるコンセプトで、果たしてどこまでいけるのか? 今後の展開が見逃せません。

(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)

●Dモーニング http://d.morningmanga.jp/

●コミックDAYS https://comic-days.com/episode/10834108156683883577

まるで読書版『魁!!男塾』!? 『どくヤン! 』読書✕ヤンキーの画期的なコラボ! 

 もしも読書好きのヤンキーがいたら……いやいや、そんなことあるはずがない。本来ヤンキーと書物は相いれないものであり、本を読むヤンキーがいたらそれはヤンキーではなく、普通の学生なのだ――そんな偏見の目で見ていた時期が私にもありました。しかし、マンガの世界は時として、そんな先入観をいともたやすく崩壊させてしまう。そう、読書するヤンキーは確かに存在したのだ!!(ドギャーン)

 なぜか往年の水曜スペシャル『川口浩探検隊』風の出だしになってしまいましたが、今回は読書とヤンキーをカップリングさせたらとんでもないことになってしまったマンガ『どくヤン!』をご紹介します。

 本作は現在、「Dモーニング」で隔週連載中。講談社の6誌共同WEBサイト「コミックDAYS」でも読むことができます。

『どくヤン!』とは?

『どくヤン!』の舞台は、他校のヤンキーが恐れおののく筋金入りのヤンキーの巣窟「毘武輪凰(ビブリオ)高校」。ここは、あるひとつのルールさえ守れば、どんな不良生徒でも通うことができ、しかも学費は無料という魅力的な高校なのです。そのルールとは……

 

「読書」をすることなのです。つまり、ビブ高のヤンキーたちは皆、ヤンキーのくせに読書を愛するという、突然変異ヤンキー……これがすなわち『どくヤン!』なのです。

 すべてにおいて「読書」が優先されるビブ高ですから、その教育方針は相当変わっています。ある意味『魁!!男塾』(宮下あきら/ジャンプ・コミックス)よりも狂っています 。

 教育理念は「読書上等!」。なんでケンカ腰やねん。

 なんと、時間割はすべて読書! ……もはや時間割が存在する意味すらわからない。ビブ高がいかに尋常じゃないか、その片鱗がわかってもらえるかと思います。

 なんだかんだいっても筋金入りのヤンキー高ですので、校内には ヤンキーがやりがちな行動様式がはびこっています。

 ヤンキーが自分より弱い者に対して金を要求する行為といえば……そう「カツアゲ」ですよね。ただし、ビブ高のカツアゲは少々特殊です。

 金欠ならぬ「本欠」のヤンキーたちが「本」をカツアゲします。これが「ブッカツ」(ブックカツアゲ)です。自分の読んでいる本を奪われ、「てめーはフリーペーパーでも読んでな!」とケリを入れられる。いろんな意味で不条理です。

 そしてヤンキー的行為の代名詞といえばこれ!「アンパン」。袋に入れたシンナーを吸ってラリっちゃうやつ。今の若者には信じられないかもしれませんが、昭和の時代には「アンパン」やりすぎて前歯が溶けてなくなるヤンキーがたくさんいたんですよ!! そんなヤンキーの伝統芸能たる「アンパン」も、ビブ高流はちょっと違います。

 シンナーの代わりに、袋に入れた本の紙やインクの匂いを嗅ぐ……その名も、アンパンならぬ「本パン」。常習性があるため校則で禁止されている危険行為です……っていうか、本のインクって常習性あるんだ!! しかも、ビジュアル的にはこっちのがやべーよ。

 そこら中の壁にスプレーとかで落書きしちゃうのも、ヤンキーにありがちな習性ですよね。「喧嘩上等」とか「夜露死苦」とか。ビブ高にも当然あるにはあるんですが……

 自分の好きな作家名を壁にスプレーしちゃう。確かに「団鬼六」とか、すげー強そうだけども……。

 ビブ高のヤンキーたちにも派閥があります。当然ながら派閥同士によるケンカが毎日のように繰り広げられているわけですが、その派閥とは……

 主に好きな本のジャンルによって分けられています。SF小説ヤンキー、歴史小説ヤンキー、探偵小説ヤンキー、官能小説ヤンキー……

 レシピ本ヤンキー、ジュブナイルヤンキー、恐怖小説ヤンキーなんてものまでいます! バラエティに富みすぎてるだろ! あと個人的に、官能小説ヤンキーとレシピ本ヤンキーは、なんか認めたくない気がする 。

 数あるヤンキーの中でも私小説ヤンキーの獅翔雪太(ししょう・せつた)は、弱い者いじめが嫌いな正義感のある男です。私小説をこよなく愛す、人一倍傷つきやすいが、受けた苦痛は100倍にして返す男。あれ、もしかして……?

 うん、一瞬マトモな生徒なのかと思いましたが、やっぱりヤバイやつでした。

 ちなみに先ほどご紹介したレシピ本ヤンキーは、敵に襲われると、栗原はるみ本から潜在的凶暴性を引き出して闘います。

 ビブ高の生徒はヤンキーとはいえ、授業で読書ばかりしているので、文章を体で覚えてしまっているわけです。たとえば夏目漱石の『こころ』ぐらいなら、余裕で全員暗唱できます。

 いやいや、これってすごくないですか? もしかしたらビブ高の生徒たちって、実はメチャクチャ頭がいいんじゃないでしょうか……? しかし、そんなビブ高生たちが最も恐れる課題は、「ドッカン」と呼ばれる読書感想文でした。

 月1回の提出ができないと即退学となってしまうという厳しい課題なのですが、読書好きな上に、漱石が暗唱できるぐらいだから、そんなに恐れる必要なんかないのでは……?

 ところがどっこい! ビブ高の生徒たちは、本は読めても字が書けないという致命的な弱点があったのでした!! そこは頑張って書けるようにしておけよ……。

 そんな感じで毎回、読書をテーマにバイオレンスの限りが尽くされる読書版『魁!!男塾』ともいえる作品なのですが、ちゃんとラストでテーマになったお勧め書籍が紹介される構成になっています。なんだかんだいっても、やっぱり読書マンガなんですよね!

 ……まあ、ちょっと書籍のチョイスが独特すぎるのが難点ですが。とにかく、読書とヤンキーの画期的すぎるマンガ『どくヤン!』。このムチャすぎるコンセプトで、果たしてどこまでいけるのか? 今後の展開が見逃せません。

(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)

●Dモーニング http://d.morningmanga.jp/

●コミックDAYS https://comic-days.com/episode/10834108156683883577

非モテも童貞も、ひとごとじゃない!? エッセイ漫画『セックス依存症になりました。』

『セックス依存症になりました。』というマンガがネット上で話題になっています。セックス依存症というと、タイガー・ウッズやマイケル・ダグラス、エディ・マーフィーなどが有名ですが、とにかく海外セレブみたいなモテまくりの奴らだけがかかる特殊な病気っていうイメージがありました。

 なので、本作のタイトルを初めて見たときは、モテ男による「モテてモテて困っちゃう、俺病気なのかなあ~(笑)」みたいなマンガなぞ死んでも読むまい、という信念というか怨念のような意気込みがあったのですが、実は「セックス依存症」は女性でもかかる可能性があるし、非モテ――なんなら、童貞でもかかる可能性がある身近な病気だというのです! 「童貞でセックス依存症」ってこの世の地獄では……!? がぜん興味が湧いてしまったので、読んでみることにしました。

 本作は現在、ウェブサイト「週プレNEWS」で読むことができます。「セックス依存症」「プレイボーイ」……やはりモテ男向けのマンガじゃないか!! と怒髪天をつく勢いで怒るのは早計でして、実は万人が知っておく必要がある、衝撃的なメンタルヘルスのお話でした。

 オイッ! なんだこのハーレム状態のオープニングは!! 非モテをあおってんのか!?(怒)などと言いたくなる雰囲気ですが、この女に不自由なし、モテまくり、ヤリまくりな主人公「津島隆太」 が、精神科医の先生と面談しているシーンから始まります。しかも、なんだか顔面も体もボロボロの傷だらけです。

 傷だらけの理由とは、津島が交際していた彼女(通称ハンマーちゃん)に、元カノとも定期的に会っているのがバレて、ハンマーとバリカンで一方的に暴行されたことにあります。

“なんだそれ自業自得じゃん、ざまぁw”と男子諸君は思うかもしれません。しかし、このことがきっかけで津島には、不眠症と摂食障害、そして抑えることのできない過剰な性衝動や幻覚・幻聴までが襲うようになります。

 いくら自慰をしても風俗に行っても性欲が収まることはなく、セックスがしたくて吐き気に襲われ、その場でうずくまって動けなくなるほどの症状……。表面的にはズバリ「変態」の一言で片付けられてしまいそうな案件ではありますが、やはりどう考えてもヤバイ類いの病気でしょう。

 そう、セックス依存症とは、精神疾患であり、自分ではどうしようもない病気なのです。変態じゃないんです!! ……などといっても、普通は理解できないですよね。実際、僕もこのあたりはまったく理解できないし、共感もできませんでした。しかし、だからといってまったく自分が無関係かというと、そう単純な話でもありませんでした。

「セックス依存症はセックスをしていなくてもなり得ます。性的経験がない童貞・処女でもです」

「ポルノ収集や自慰も歯止めが効かなければ病気です」

「女性でもポルノ小説やBL等で私生活に支障が出るほど熱中していれば同じくセックス依存症です」

 衝撃的な事実……。急に「セックス依存症」が身近なものに感じられてきませんか? “もしかして俺も依存症かも?”とか思ったりしませんでしたか? ちなみに第2話で「セックス依存症チェック」診断ができるようになっていますので、心当たりのある方はチェックしてみたらいいかもしれません。

 一度「セックス依存症」になってしまうと、改善はしても完治することはないそうです。そのあたりはアルコール依存症や薬物依存症などと同じなのです。いよいよ、ガチな病気なんだということがわかってきましたね。しかし、童貞のままセックス依存症になって、完治することはないと言われた日には、背負ったカルマが重すぎて……前世で何かとんでもない罪を犯したんじゃないかと疑うレベルです。

 彼女に殺人未遂級の暴行をされていながら恨むこともなく、幼少期に父親に監禁同然の虐待を受けていながら、そのぐらいの体罰は当然だと思っている津島。面談をしていくうちに、どうやら津島のセックス依存症の根源には、何か過去のトラウマが関係しているのでは? という話になってきました。そして、過去のトラウマをあぶり出すEMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法) という治療を行うことになったのですが……。

 EMDRは、目を左右にキョロキョロさせる眼球運動によってトラウマを解消させるという治療法。こんなのでトラウマが解消できるの? と半信半疑でしたが、回数をこなすうちに次第に変化が表れてきます。そして……

 自らが無意識のうちに記憶を封印していた恐るべきトラウマ……自分の父親に口淫させられてい たという事実が、フラッシュバックで蘇ったのです。えーー! 何この急にヘヴィすぎる展開!! 単なる女にだらしないチャラ男マンガだと思ってて、すんませんでした!

 ついに封印されていたトラウマに行き当たった津島。その後は本格的に「セックス依存症」克服への道を模索する段階に入っていきます。

 海外ドラマによくありがちなグループセラピーに参加して、新たな展開が。セックス依存症以外にもさまざまなタイプの依存症の人たちばかりが集まり、次々に衝撃の告白が始まります。

 たとえば、痴漢の依存症。極めすぎて、電車に乗った瞬間に痴漢ができそうなターゲットがすぐに見えてしまうのだとか。ゲーム感覚で痴漢とか、マジ迷惑!

 露出しないと気が済まないという依存症もあるのだとか。季節の変わり目に出てくる露出狂のオッサンとかって、この類いの病気なのでしょうか……。

 下着泥棒の依存症もあるようです。しかも、ニックネームは「王子」。下着泥棒の王子とか、どんな情けない王族だよ……。

 ちなみにこの王子も、幼少期のトラウマが原因で下着泥棒に目覚めました。風呂に入っている叔母の下着に興味を示していたら、肛門に歯ブラシを何度も突っ込まれるせっかんを受けたのだそうです。叔母……やることがマニアックすぎるだろ、恐ろしすぎてトラウマにもなるわ!

 そのほかにも、売春がやめられない60代女性なども出てます。そして、津島と同じセックス依存症の人も。

 なんと、この清楚系美女「グリーン」さんが、まさかまさかのセックス依存症!! たった500円で、おっさんに体を売りまくっていたのだそう。

 このグリーンさんの登場で、津島の依存症克服ストーリーは、いよいよ佳境に入っていきます。

『セックス依存症になりました。』は毎話毎話が絶妙なところで終わっており、ものすごく次の話が読みたくなる構成になっています。初めは斜に構えて読んでましたが、いつの間にか続きが気になって気になって……やめられなくなってしまいました。今ではすっかり「『セックス依存症になりました。』依存症」です。責任取ってください!

●「週プレNEWS」

https://wpb.shueisha.co.jp/comic/2018/04/13/102935/

ゆるふわ度ゼロ! 超絶ストイックな狩りガールマンガ『クマ撃ちの女』

 毎年この時期になると、たびたび報じられる「クマ出没」のニュース。今年も北海道の住宅街にクマが出没したことが大きなニュースになりました。住宅街にクマって……。地元の人にとっては、シャレにならない事態ですよね。

 今回ご紹介するのは、現在「くらげバンチ」で連載中の、クマ狩りハンターのマンガ『クマ撃ちの女』です。どストレートなタイトルからもわかる通り、主人公は女猟師、いわゆる「狩りガール」なのですが、クマを撃つことに対する異常なまでの執着心とストイックさがすごすぎて、ただならぬテンションになっています。タイトルからして「クマうちっ!」とかじゃなくて「クマ撃ちの“”女”」ですから、ガーリーさとかゆるふわさみたいなものはハナから排除されているのです。

 本作のヒロインは小坂チアキ。31歳の兼業猟師です。猟師だけでは食べていけないのでバイトもしているのですが、ファッション感覚で猟師をするような雰囲気は一切ありません。なにしろチアキの狙いは鳥やイノシシ、鹿などではなく、日本最強生物「ヒグマ」です。とにかく、ヒグマに対する異常な執着を持っています。

 山中でヒグマのフンを見つければ、このようにスイーツを見ているかのように目を輝かせます。クマのフンを見てこんなにルンルンしている女子って、考えられないですよね。ルンルンしている理由はもちろん近くにクマ(ターゲット)がいるからです。

 しかもこの後、自分の気配を消すためにクマのフンを体に塗りたくったりもします。変態ではありません。あくまでガチのクマハンターです。

 こんな感じで、撃ったエゾシカの解体なんかもサクッとやっちゃう男勝りな狩りガールなのです。

 そんなチアキのもとに、駆け出しのフリーライター・伊藤カズキが訪ねてきます。伊藤はフリーとして独立したてで、本を出して一発当てるためにチアキに同行取材を依頼します。女だてらに クマを撃ったことがあるということで話題性も十分です。初めは渋っていたチアキも、撃った獣を解体したり運んだりする労働力に使えると踏んで、伊藤の同行取材を承諾。両者の思惑が一致し、デンジャラスすぎるクマ撃ち取材が敢行されます。

 

 なにしろ一歩間違えば命を落とすクマ撃ち取材ですから、モタモタしてたらこんな感じでチアキにぶん殴られます。……首、折れ曲がってますね。

 伊藤の同行取材を許可しているとはいえ、なによりクマ撃ちが最優先のチアキ。もし、取材中に伊藤が死んだとしてもクマ撃ちを優先させると宣言。

 あまりにストイックすぎるチアキですが、どうやらクマに憎悪を燃やす因縁めいた過去がある模様。そこはまだ作中で明らかにされていません。

 過酷な同行取材もだんだん慣れてきたところで、油断したのか、雨で足を滑らせて崖から転落したチアキ。しかし、そこにはヒグマが。銃を構える時間もなく、完全に不意を打たれてしまい、このままでは殺される、そんな時……。

 なんと、同行していた伊藤にクマの注意を向けるという大胆なオトリ作戦を敢行するチアキ。一転、伊藤が大ピンチ。伊藤が死んでも熊を撃つ……有言実行すぎる女、チアキです。

 そして見事、クマ撃ちに成功しました。まさに危機一髪です。

 思いっきり伊藤をオトリにした後で、これですからね……。もはやサイコパスの域です。しかし、結果的にクマ撃ちを見ることができた伊藤にとっても、取材は大成功だったのでした。まさに結果オーライです。

 こんな感じで猟の時のテンションがすさまじいマンガなのですが、一転して獲った獣をさば いて食べるオフシーンも魅力。さばいた鹿肉を持ってウットリするチアキの表情を見てください。繰り返しますが、スイーツじゃないですよ。獣肉です。

 次から次へと熊や鹿などのジビエ料理が出てきます。実にうまそうですね。

 また、「恋人はライフル」なスタンスなので、銃に対するマニアックな解説もいろいろ登場します。そういえば、チアキはバリバリのハンターですが、なぜかしゃべり方だけはギャルっぽくてゆるふわです。ネットでも、チアキのしゃべり方のヤバさが話題になっているようです。

 今回、クマを仕留めて満足なのかと思いきや……。

「私は一流のクマ撃ちになりたいんです。圧倒したいんです。何頭も何頭も撃ちたいんです」

 なぜ、ここまでクマ撃ちに執着するのか……。チアキは、心の中にいろいろ闇を抱えてそうなのです。猟が思い通りにいかず、壁に頭をガンガン打ちつけるシーンも。ゆるふわどころかメッチャ情緒不安定、メンタルがヤバいです。一体、過去に何があったのか……おそらく、そのあたりも、のちに明らかにされていくのでしょう。とにかく、今後の展開が楽しみなマンガです。

(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)

●くらげバンチ『クマ撃ちの女

『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』貧乳問題、十万石まんじゅう、しまむら……JKが地元をイジり倒す!

 原作マンガも映画も大ヒットした『翔んで埼玉』、皆さんはご覧になりましたでしょうか?(参照記事) あの作品のおかげで、埼玉県は事実上「イジってもいい県」第1位の座を獲得。次点となる群馬県や茨城県を大きく引き離し、その地位を不動のものにしたといえます。全然うれしくない地位かもしれませんが……。

 今回ご紹介するのは、埼玉に住む女子高生が地元埼玉をイジり倒し、それでいてあふれる埼玉愛も感じることができるという、一風変わったマンガ『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』。まるで鋭利な刃物のように埼玉をディスる『翔んで埼玉』とは180度違ったほのぼの感、安心感のある埼玉イジりが堪能できます。

『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』は渡邉ポポ先生による作品で、「コミックバンチ」で読むことができます。埼玉県行田市の仲良しJKトリオが、ゆるーいノリで埼玉に生まれ育った自分たちの境遇を嘆いたり、呪ったり、喜んだり、誇ったり……そして、東京に対する圧倒的な劣等感を抱いたりする作品です。

 メインとなる3人のJKはこんな感じです。

【白鳥小鳩】埼玉県行田市生まれ、貧乳でイモっぽいルックスの自分を嘆く、ややネガティブな性格。本人は気がついていないだけで、周りからは結構かわいいと思われている。東京に対する劣等感がスゴい。

【姫宮アグリ】埼玉県行田市生まれの小鳩の幼なじみ。同じく貧乳。実家が埼玉の由緒ある神社のため、巫女姿になったりもする。性格はサバサバしていて男っぽく、ポジティブ。いつも小鳩をフォローしてくれる友達思い。

【東上みなと】東京都港区赤坂出身で巨乳。埼玉に転校してきてまだ1カ月だが、埼玉になじもうとして一生懸命なJK。随所で都会っぽさが垣間見えるため「東京風吹かせてる」などと小鳩やアグリにイジられがち。

 本作の第1話目は、かなりの衝撃テーマ「埼玉貧乳問題」です。埼玉県といえば、いろいろな名産や観光地がある中で、最初に紹介するものが「貧乳」とはこれいかに。

 冒頭から、自分のルックスのイモっぽさと胸の貧しさを嘆く小鳩。そして、それらはすべて自分が埼玉県民だからではないかというのです。

 いやいや、それはいくらなんでも埼玉をディスりすぎだろ……と思うわけですが、実はまったく根拠のない話でもないのです。それがすなわち「埼玉貧乳問題」。

「埼玉貧乳問題」とは、全都道府県の胸のサイズを測定して平均のサイズを算出したところ、全国で埼玉県のみが平均Aカップだった――という、誰が得するのかよくわからない調査結果です。埼玉県は彩の国であり、貧乳の国でもあったのですね。

 小鳩とアグリはお互いに、埼玉女子として、貧乳でイモっぽいことを受け入れ、励まし合うのですが、そこに東上みなと(巨乳)が現れたため、変な空気に。しかし、東上はまだ東京から埼玉に来て1カ月だからルール破りの巨乳なのもしょうがない、という結論になります。

 そういう他愛のないJKの会話が延々続くマンガなのです。

 第2話目は、埼玉が誇る銘菓「十万石まんじゅう」が紹介されます。初めての十万石体験にルンルン気分の東上に対して、「学校帰りに十万石行くぐらいで…あんなにテンション上げられるかな?」と疑問を呈する小鳩。

 ここでも、地元の銘菓に対してネガティブなスタンスですね。

 十万石まんじゅうを目の前にして、ハイテンションな東上。まんじゅうを見て「かわいい!」って、なかなか出てこないセリフですよね。そう、十万石まんじゅうは都会出身のギャルにとってはかわいいのです! もしかしたら、タピオカの次は十万石が来るかも(来ません)。

 ちなみに、埼玉県民にとっては十万石まんじゅうの「うまい、うますぎる……」のテレビCMはなじみ深いものですが、実は埼玉ローカルのCMであることを知って驚愕する小鳩。ペヤングソースやきそばのCMが全国区だと思っていたら関東限定だったとか、タケモトピアノのCMが関西限定だったとか……ローカルCMあるあるですね。

 最近は東京でもよく見かけるようになった「ファッションセンターしまむら」ですが、実は埼玉が発祥なんです。第3話は、小鳩と中学生の妹・小鞠(こまり)が、しまむらでショッピングする話です。

 なんと、ラフォーレ原宿で売っているおしゃれスカートと似ているデザインの服が、しまむらなら3分の1の安心価格で手に入るのです。全埼玉女子の強い味方、それがしまむら。

 なんかちょっとバカにしているような気がしないでもないのですが、きっと気のせいですよね!!

「大宮!? これが!? 東京じゃなくて!?」

 行田のJK、小鳩にとっては、大宮は東京も同然の大都会。大宮のスケールのデカさに、いちいち圧倒されてしまうのです。そんなにスゴかったのか……大宮。

 そして、その大宮でスタバと並ぶおしゃれグルメスポット、クリスピー・クリーム・ドーナツに初チャレンジする小鳩たちですが……

 トングで選べない、ポンデがない……なんとかグレーズドとか注文するのが恥ずかしいということで注文できず、すっかり萎縮してしまいます。いや、ミスドに慣らされすぎだろ!

 そのほかにも、さきたま古墳群が「めざせ世界遺産!」(世界遺産だとは言ってない)だったり……

 スタバに行けないかわりに、「わたぼく」コーヒーミルクで妥協感のあるカフェタイムを過ごしたり……

 JKが他愛のない会話をしながら、軽く埼玉をディスって笑いを誘いつつ、気がついたら埼玉ならではの魅力をきっちり紹介しているという、実に見事な構成となっています。

 なんといっても、舞台が行田市というのが絶妙。ふつう埼玉といえば、大宮とか浦和とか所沢とかの都市をイメージしがちですが、そこまで知名度はなく、ほどほどに田舎っぽいけど生活に不便がない程度には栄えている、なんともいえないポジションなのが行田市。それがまた実にいい味出してます。

 そんな行田市には、名前と見た目のギャップがスゴいB級グルメ「ゼリーフライ」がありますし、お隣の鴻巣市にはピラミッドみたいなひな壇のインパクトがスゴい「びっくりひな祭り」とか、東松山市名物・豚肉の「やきとり」など、まだまだ紹介されてないツッコミどころのあるネタが存在しているので、今後の登場が期待されます。しみじみ、やっぱり埼玉っていいところかも、そんなふうに思わせてくれる作品です。

(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)

●『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』

http://www.comicbunch.com/manga/thu/saitama/

『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』貧乳問題、十万石まんじゅう、しまむら……JKが地元をイジり倒す!

 原作マンガも映画も大ヒットした『翔んで埼玉』、皆さんはご覧になりましたでしょうか?(参照記事) あの作品のおかげで、埼玉県は事実上「イジってもいい県」第1位の座を獲得。次点となる群馬県や茨城県を大きく引き離し、その地位を不動のものにしたといえます。全然うれしくない地位かもしれませんが……。

 今回ご紹介するのは、埼玉に住む女子高生が地元埼玉をイジり倒し、それでいてあふれる埼玉愛も感じることができるという、一風変わったマンガ『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』。まるで鋭利な刃物のように埼玉をディスる『翔んで埼玉』とは180度違ったほのぼの感、安心感のある埼玉イジりが堪能できます。

『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』は渡邉ポポ先生による作品で、「コミックバンチ」で読むことができます。埼玉県行田市の仲良しJKトリオが、ゆるーいノリで埼玉に生まれ育った自分たちの境遇を嘆いたり、呪ったり、喜んだり、誇ったり……そして、東京に対する圧倒的な劣等感を抱いたりする作品です。

 メインとなる3人のJKはこんな感じです。

【白鳥小鳩】埼玉県行田市生まれ、貧乳でイモっぽいルックスの自分を嘆く、ややネガティブな性格。本人は気がついていないだけで、周りからは結構かわいいと思われている。東京に対する劣等感がスゴい。

【姫宮アグリ】埼玉県行田市生まれの小鳩の幼なじみ。同じく貧乳。実家が埼玉の由緒ある神社のため、巫女姿になったりもする。性格はサバサバしていて男っぽく、ポジティブ。いつも小鳩をフォローしてくれる友達思い。

【東上みなと】東京都港区赤坂出身で巨乳。埼玉に転校してきてまだ1カ月だが、埼玉になじもうとして一生懸命なJK。随所で都会っぽさが垣間見えるため「東京風吹かせてる」などと小鳩やアグリにイジられがち。

 本作の第1話目は、かなりの衝撃テーマ「埼玉貧乳問題」です。埼玉県といえば、いろいろな名産や観光地がある中で、最初に紹介するものが「貧乳」とはこれいかに。

 冒頭から、自分のルックスのイモっぽさと胸の貧しさを嘆く小鳩。そして、それらはすべて自分が埼玉県民だからではないかというのです。

 いやいや、それはいくらなんでも埼玉をディスりすぎだろ……と思うわけですが、実はまったく根拠のない話でもないのです。それがすなわち「埼玉貧乳問題」。

「埼玉貧乳問題」とは、全都道府県の胸のサイズを測定して平均のサイズを算出したところ、全国で埼玉県のみが平均Aカップだった――という、誰が得するのかよくわからない調査結果です。埼玉県は彩の国であり、貧乳の国でもあったのですね。

 小鳩とアグリはお互いに、埼玉女子として、貧乳でイモっぽいことを受け入れ、励まし合うのですが、そこに東上みなと(巨乳)が現れたため、変な空気に。しかし、東上はまだ東京から埼玉に来て1カ月だからルール破りの巨乳なのもしょうがない、という結論になります。

 そういう他愛のないJKの会話が延々続くマンガなのです。

 第2話目は、埼玉が誇る銘菓「十万石まんじゅう」が紹介されます。初めての十万石体験にルンルン気分の東上に対して、「学校帰りに十万石行くぐらいで…あんなにテンション上げられるかな?」と疑問を呈する小鳩。

 ここでも、地元の銘菓に対してネガティブなスタンスですね。

 十万石まんじゅうを目の前にして、ハイテンションな東上。まんじゅうを見て「かわいい!」って、なかなか出てこないセリフですよね。そう、十万石まんじゅうは都会出身のギャルにとってはかわいいのです! もしかしたら、タピオカの次は十万石が来るかも(来ません)。

 ちなみに、埼玉県民にとっては十万石まんじゅうの「うまい、うますぎる……」のテレビCMはなじみ深いものですが、実は埼玉ローカルのCMであることを知って驚愕する小鳩。ペヤングソースやきそばのCMが全国区だと思っていたら関東限定だったとか、タケモトピアノのCMが関西限定だったとか……ローカルCMあるあるですね。

 最近は東京でもよく見かけるようになった「ファッションセンターしまむら」ですが、実は埼玉が発祥なんです。第3話は、小鳩と中学生の妹・小鞠(こまり)が、しまむらでショッピングする話です。

 なんと、ラフォーレ原宿で売っているおしゃれスカートと似ているデザインの服が、しまむらなら3分の1の安心価格で手に入るのです。全埼玉女子の強い味方、それがしまむら。

 なんかちょっとバカにしているような気がしないでもないのですが、きっと気のせいですよね!!

「大宮!? これが!? 東京じゃなくて!?」

 行田のJK、小鳩にとっては、大宮は東京も同然の大都会。大宮のスケールのデカさに、いちいち圧倒されてしまうのです。そんなにスゴかったのか……大宮。

 そして、その大宮でスタバと並ぶおしゃれグルメスポット、クリスピー・クリーム・ドーナツに初チャレンジする小鳩たちですが……

 トングで選べない、ポンデがない……なんとかグレーズドとか注文するのが恥ずかしいということで注文できず、すっかり萎縮してしまいます。いや、ミスドに慣らされすぎだろ!

 そのほかにも、さきたま古墳群が「めざせ世界遺産!」(世界遺産だとは言ってない)だったり……

 スタバに行けないかわりに、「わたぼく」コーヒーミルクで妥協感のあるカフェタイムを過ごしたり……

 JKが他愛のない会話をしながら、軽く埼玉をディスって笑いを誘いつつ、気がついたら埼玉ならではの魅力をきっちり紹介しているという、実に見事な構成となっています。

 なんといっても、舞台が行田市というのが絶妙。ふつう埼玉といえば、大宮とか浦和とか所沢とかの都市をイメージしがちですが、そこまで知名度はなく、ほどほどに田舎っぽいけど生活に不便がない程度には栄えている、なんともいえないポジションなのが行田市。それがまた実にいい味出してます。

 そんな行田市には、名前と見た目のギャップがスゴいB級グルメ「ゼリーフライ」がありますし、お隣の鴻巣市にはピラミッドみたいなひな壇のインパクトがスゴい「びっくりひな祭り」とか、東松山市名物・豚肉の「やきとり」など、まだまだ紹介されてないツッコミどころのあるネタが存在しているので、今後の登場が期待されます。しみじみ、やっぱり埼玉っていいところかも、そんなふうに思わせてくれる作品です。

(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)

●『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』

http://www.comicbunch.com/manga/thu/saitama/

『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』貧乳問題、十万石まんじゅう、しまむら……JKが地元をイジり倒す!

 原作マンガも映画も大ヒットした『翔んで埼玉』、皆さんはご覧になりましたでしょうか?(参照記事) あの作品のおかげで、埼玉県は事実上「イジってもいい県」第1位の座を獲得。次点となる群馬県や茨城県を大きく引き離し、その地位を不動のものにしたといえます。全然うれしくない地位かもしれませんが……。

 今回ご紹介するのは、埼玉に住む女子高生が地元埼玉をイジり倒し、それでいてあふれる埼玉愛も感じることができるという、一風変わったマンガ『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』。まるで鋭利な刃物のように埼玉をディスる『翔んで埼玉』とは180度違ったほのぼの感、安心感のある埼玉イジりが堪能できます。

『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』は渡邉ポポ先生による作品で、「コミックバンチ」で読むことができます。埼玉県行田市の仲良しJKトリオが、ゆるーいノリで埼玉に生まれ育った自分たちの境遇を嘆いたり、呪ったり、喜んだり、誇ったり……そして、東京に対する圧倒的な劣等感を抱いたりする作品です。

 メインとなる3人のJKはこんな感じです。

【白鳥小鳩】埼玉県行田市生まれ、貧乳でイモっぽいルックスの自分を嘆く、ややネガティブな性格。本人は気がついていないだけで、周りからは結構かわいいと思われている。東京に対する劣等感がスゴい。

【姫宮アグリ】埼玉県行田市生まれの小鳩の幼なじみ。同じく貧乳。実家が埼玉の由緒ある神社のため、巫女姿になったりもする。性格はサバサバしていて男っぽく、ポジティブ。いつも小鳩をフォローしてくれる友達思い。

【東上みなと】東京都港区赤坂出身で巨乳。埼玉に転校してきてまだ1カ月だが、埼玉になじもうとして一生懸命なJK。随所で都会っぽさが垣間見えるため「東京風吹かせてる」などと小鳩やアグリにイジられがち。

 本作の第1話目は、かなりの衝撃テーマ「埼玉貧乳問題」です。埼玉県といえば、いろいろな名産や観光地がある中で、最初に紹介するものが「貧乳」とはこれいかに。

 冒頭から、自分のルックスのイモっぽさと胸の貧しさを嘆く小鳩。そして、それらはすべて自分が埼玉県民だからではないかというのです。

 いやいや、それはいくらなんでも埼玉をディスりすぎだろ……と思うわけですが、実はまったく根拠のない話でもないのです。それがすなわち「埼玉貧乳問題」。

「埼玉貧乳問題」とは、全都道府県の胸のサイズを測定して平均のサイズを算出したところ、全国で埼玉県のみが平均Aカップだった――という、誰が得するのかよくわからない調査結果です。埼玉県は彩の国であり、貧乳の国でもあったのですね。

 小鳩とアグリはお互いに、埼玉女子として、貧乳でイモっぽいことを受け入れ、励まし合うのですが、そこに東上みなと(巨乳)が現れたため、変な空気に。しかし、東上はまだ東京から埼玉に来て1カ月だからルール破りの巨乳なのもしょうがない、という結論になります。

 そういう他愛のないJKの会話が延々続くマンガなのです。

 第2話目は、埼玉が誇る銘菓「十万石まんじゅう」が紹介されます。初めての十万石体験にルンルン気分の東上に対して、「学校帰りに十万石行くぐらいで…あんなにテンション上げられるかな?」と疑問を呈する小鳩。

 ここでも、地元の銘菓に対してネガティブなスタンスですね。

 十万石まんじゅうを目の前にして、ハイテンションな東上。まんじゅうを見て「かわいい!」って、なかなか出てこないセリフですよね。そう、十万石まんじゅうは都会出身のギャルにとってはかわいいのです! もしかしたら、タピオカの次は十万石が来るかも(来ません)。

 ちなみに、埼玉県民にとっては十万石まんじゅうの「うまい、うますぎる……」のテレビCMはなじみ深いものですが、実は埼玉ローカルのCMであることを知って驚愕する小鳩。ペヤングソースやきそばのCMが全国区だと思っていたら関東限定だったとか、タケモトピアノのCMが関西限定だったとか……ローカルCMあるあるですね。

 最近は東京でもよく見かけるようになった「ファッションセンターしまむら」ですが、実は埼玉が発祥なんです。第3話は、小鳩と中学生の妹・小鞠(こまり)が、しまむらでショッピングする話です。

 なんと、ラフォーレ原宿で売っているおしゃれスカートと似ているデザインの服が、しまむらなら3分の1の安心価格で手に入るのです。全埼玉女子の強い味方、それがしまむら。

 なんかちょっとバカにしているような気がしないでもないのですが、きっと気のせいですよね!!

「大宮!? これが!? 東京じゃなくて!?」

 行田のJK、小鳩にとっては、大宮は東京も同然の大都会。大宮のスケールのデカさに、いちいち圧倒されてしまうのです。そんなにスゴかったのか……大宮。

 そして、その大宮でスタバと並ぶおしゃれグルメスポット、クリスピー・クリーム・ドーナツに初チャレンジする小鳩たちですが……

 トングで選べない、ポンデがない……なんとかグレーズドとか注文するのが恥ずかしいということで注文できず、すっかり萎縮してしまいます。いや、ミスドに慣らされすぎだろ!

 そのほかにも、さきたま古墳群が「めざせ世界遺産!」(世界遺産だとは言ってない)だったり……

 スタバに行けないかわりに、「わたぼく」コーヒーミルクで妥協感のあるカフェタイムを過ごしたり……

 JKが他愛のない会話をしながら、軽く埼玉をディスって笑いを誘いつつ、気がついたら埼玉ならではの魅力をきっちり紹介しているという、実に見事な構成となっています。

 なんといっても、舞台が行田市というのが絶妙。ふつう埼玉といえば、大宮とか浦和とか所沢とかの都市をイメージしがちですが、そこまで知名度はなく、ほどほどに田舎っぽいけど生活に不便がない程度には栄えている、なんともいえないポジションなのが行田市。それがまた実にいい味出してます。

 そんな行田市には、名前と見た目のギャップがスゴいB級グルメ「ゼリーフライ」がありますし、お隣の鴻巣市にはピラミッドみたいなひな壇のインパクトがスゴい「びっくりひな祭り」とか、東松山市名物・豚肉の「やきとり」など、まだまだ紹介されてないツッコミどころのあるネタが存在しているので、今後の登場が期待されます。しみじみ、やっぱり埼玉っていいところかも、そんなふうに思わせてくれる作品です。

(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)

●『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』

http://www.comicbunch.com/manga/thu/saitama/

『どるから』元K-1プロデューサー・石井館長が転生したら女子高生だった件

 今回ご紹介する『どるから』、単行本の表紙とこのタイトルから、「ああ、アイドルみたいな美少女が格闘技に目覚めるマンガなのかな? ありがちな設定だよねー!」なんて思うかもしれません。確かに当たらずといえども遠からずなのですが、この『どるから』が普通の格闘技マンガとは根本的に違う部分が1点あります。それは……

 本作のヒロインとなる女子高生が元K-1プロデューサーの石井館長が転生した姿だということです! 今なぜ、還暦をとうに過ぎたオッサンをJKにする必要があったのか、そのコンセプトも謎ですが、驚くべきことにアイドル格闘技マンガなのは仮の姿。実は、ゼニの匂いがプンプンする興行ビジネスマンガなのです。

『どるから』は「WEBコミックガンマ」で連載中の作品。1990~2000年代にかけて、アンディ・フグ、マイク・ベルナルド、ミルコ・クロコップ等々のK-1ファイターを生み出し、K-1ブームの立役者となった石井和義・正道会館館長が主人公です。K-1ブームが去ってからは脱税容疑での逮捕など、何かとドス黒いイメージがあり、最近では「あの人は今」状態だったはずですが……。

 ストーリーはまさしく、その石井館長が刑期を終えて出所するシーンから始まります。脱税と証拠隠滅教唆容疑により懲役1年10カ月、ようやっとシャバに出られ、本業である空手家に立ち戻って第二の人生を歩もうとしたその矢先に……

 トラックにはねられ、即死してしまいます。なんという不運。しかし、その魂は同じ時期に自殺したJK・一ノ瀬ケイの体に乗り移っていたのでした。いわゆる石井館長(66)、「転生したら女子高生だった件」です。いま流行りの転生モノを無理やり取り入れた感満載の、ぶっ飛んだ設定ですね。

 病院で目覚めたら自分の体がJKになっていて、乳もデカくなっていた石井館長。とりま、揉みますよね、やっぱり。何がなんだか状況がわからないまま、病院を脱出。しかし……

 石井館長が転生したケイには、次から次へとヤンキーやら暴漢やらが襲ってきます。どうやら、生前のケイも相当なワケありな存在だった模様。ワケもわからず、持ち前の空手で暴漢たちをなぎ倒します。さすが正道会館館長、転生してもめっちゃ強いです!

 さて、ここからが本作の面白いところ。実は、ケイの父親の経営する空手道場が父の死とともに経営難に陥り、ケイが道場再建に奮闘するものの、借金苦により自殺してしまった……という経緯だったのです。くしくも日本屈指の空手道場の経営者である石井館長の魂が乗り移ったのですから、なんという偶然でしょうか。

 刑務所に入っていたとはいえ、石井館長はバブル時代に億単位の金を動かした元K-1プロデューサー。その経営手腕は人並み外れています。ケイの生前の記憶がフラッシュバックし、やっと事情を理解した石井館長はケイの姿を借りて道場再建に乗りだすのです。

 美少女空手家の背後にチラチラ見えるコテコテ関西弁のオッサン(石井館長)の姿が、いい感じに萎えさせてくれますね。もしかして『どるから』の“どる”って、アイドルの“ドル”ではなく、金のほうの“ドル”の話なのか……? このあたりから読者はこのマンガが単なる美少女格闘マンガではないことに気がつくはずです。

 石井館長の頭脳を持ったJKから次々あふれ出す道場再建のアイデア。「月謝袋から自動引落に変えるだけで退会者は三割減る!」「空手道場の経営はストック型ビジネスいうんや!」などなど、実に生々しいビジネスライクなセリフが飛び出します。見た目はJKですが、セリフが完全に商人(あきんど)です。

 リスティング広告だのSEO対策だの、Facebook、Googleなどのキーワードも飛び出します。どうやら、WEBマーケティングの知識にも精通している模様。石井館長……本当に刑務所に入ってたんでしょうか? 四六時中ネットやってる人にしか見えません。

 まだまだビジネスの話は続きます。石井館長の目指す新しい道場スタイルは、女子をターゲットにしたキレイでおしゃれな道場、その名も「スタバ空手」。経営コンサルタント顔負けのうさんくさ……斬新な発想ですね。これが元K-1プロデューサーの実力。しかも、サラッとレッドオーシャンとか言ってるし。刑務所から出所したてな割に、意識高すぎでしょ。

 そんな感じでドップリとビジネスの話に行くのかと思いきや、突然展開が変わって道場再建話そっちのけ、AKBみたいなアイドルグループで研究生をやることになります。文字通り『どるから』な展開になっていくのか? 

 さらに話が変わって、女子格闘技イベントのプロデューサーを任されることになったりと、次々ストーリーが展開。結局、このマンガはどこへ向かっているのかわからなくなってきています。目の離せない混沌っぷりというか、いい意味での迷走っぷりも魅力。

 それにしても、ひとたびイベント興行の話になると、めちゃくちゃリアルなビジネス話になります。チケットの売れ行きの悪いイベントでいかに盛り上がってるかのように見せる方法とか、実践的すぎます。イベント関係者にはめちゃくちゃお役立ち知識なんでしょうけど……これが読者のニーズに合っているかどうかは、まったく不明。

 というわけで、美少女格闘マンガの皮をかぶったゴリゴリのビジネスマンガ、ただし、今後また全然違う方向性になる可能性も秘めている『どるから』を紹介しました。格闘技に興味がない人も楽しめる要注目マンガです。

(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)

 

●『どるから』

https://webcomicgamma.takeshobo.co.jp/manga/dorukara/

 

 

 

 

『どるから』元K-1プロデューサー・石井館長が転生したら女子高生だった件

 今回ご紹介する『どるから』、単行本の表紙とこのタイトルから、「ああ、アイドルみたいな美少女が格闘技に目覚めるマンガなのかな? ありがちな設定だよねー!」なんて思うかもしれません。確かに当たらずといえども遠からずなのですが、この『どるから』が普通の格闘技マンガとは根本的に違う部分が1点あります。それは……

 本作のヒロインとなる女子高生が元K-1プロデューサーの石井館長が転生した姿だということです! 今なぜ、還暦をとうに過ぎたオッサンをJKにする必要があったのか、そのコンセプトも謎ですが、驚くべきことにアイドル格闘技マンガなのは仮の姿。実は、ゼニの匂いがプンプンする興行ビジネスマンガなのです。

『どるから』は「WEBコミックガンマ」で連載中の作品。1990~2000年代にかけて、アンディ・フグ、マイク・ベルナルド、ミルコ・クロコップ等々のK-1ファイターを生み出し、K-1ブームの立役者となった石井和義・正道会館館長が主人公です。K-1ブームが去ってからは脱税容疑での逮捕など、何かとドス黒いイメージがあり、最近では「あの人は今」状態だったはずですが……。

 ストーリーはまさしく、その石井館長が刑期を終えて出所するシーンから始まります。脱税と証拠隠滅教唆容疑により懲役1年10カ月、ようやっとシャバに出られ、本業である空手家に立ち戻って第二の人生を歩もうとしたその矢先に……

 トラックにはねられ、即死してしまいます。なんという不運。しかし、その魂は同じ時期に自殺したJK・一ノ瀬ケイの体に乗り移っていたのでした。いわゆる石井館長(66)、「転生したら女子高生だった件」です。いま流行りの転生モノを無理やり取り入れた感満載の、ぶっ飛んだ設定ですね。

 病院で目覚めたら自分の体がJKになっていて、乳もデカくなっていた石井館長。とりま、揉みますよね、やっぱり。何がなんだか状況がわからないまま、病院を脱出。しかし……

 石井館長が転生したケイには、次から次へとヤンキーやら暴漢やらが襲ってきます。どうやら、生前のケイも相当なワケありな存在だった模様。ワケもわからず、持ち前の空手で暴漢たちをなぎ倒します。さすが正道会館館長、転生してもめっちゃ強いです!

 さて、ここからが本作の面白いところ。実は、ケイの父親の経営する空手道場が父の死とともに経営難に陥り、ケイが道場再建に奮闘するものの、借金苦により自殺してしまった……という経緯だったのです。くしくも日本屈指の空手道場の経営者である石井館長の魂が乗り移ったのですから、なんという偶然でしょうか。

 刑務所に入っていたとはいえ、石井館長はバブル時代に億単位の金を動かした元K-1プロデューサー。その経営手腕は人並み外れています。ケイの生前の記憶がフラッシュバックし、やっと事情を理解した石井館長はケイの姿を借りて道場再建に乗りだすのです。

 美少女空手家の背後にチラチラ見えるコテコテ関西弁のオッサン(石井館長)の姿が、いい感じに萎えさせてくれますね。もしかして『どるから』の“どる”って、アイドルの“ドル”ではなく、金のほうの“ドル”の話なのか……? このあたりから読者はこのマンガが単なる美少女格闘マンガではないことに気がつくはずです。

 石井館長の頭脳を持ったJKから次々あふれ出す道場再建のアイデア。「月謝袋から自動引落に変えるだけで退会者は三割減る!」「空手道場の経営はストック型ビジネスいうんや!」などなど、実に生々しいビジネスライクなセリフが飛び出します。見た目はJKですが、セリフが完全に商人(あきんど)です。

 リスティング広告だのSEO対策だの、Facebook、Googleなどのキーワードも飛び出します。どうやら、WEBマーケティングの知識にも精通している模様。石井館長……本当に刑務所に入ってたんでしょうか? 四六時中ネットやってる人にしか見えません。

 まだまだビジネスの話は続きます。石井館長の目指す新しい道場スタイルは、女子をターゲットにしたキレイでおしゃれな道場、その名も「スタバ空手」。経営コンサルタント顔負けのうさんくさ……斬新な発想ですね。これが元K-1プロデューサーの実力。しかも、サラッとレッドオーシャンとか言ってるし。刑務所から出所したてな割に、意識高すぎでしょ。

 そんな感じでドップリとビジネスの話に行くのかと思いきや、突然展開が変わって道場再建話そっちのけ、AKBみたいなアイドルグループで研究生をやることになります。文字通り『どるから』な展開になっていくのか? 

 さらに話が変わって、女子格闘技イベントのプロデューサーを任されることになったりと、次々ストーリーが展開。結局、このマンガはどこへ向かっているのかわからなくなってきています。目の離せない混沌っぷりというか、いい意味での迷走っぷりも魅力。

 それにしても、ひとたびイベント興行の話になると、めちゃくちゃリアルなビジネス話になります。チケットの売れ行きの悪いイベントでいかに盛り上がってるかのように見せる方法とか、実践的すぎます。イベント関係者にはめちゃくちゃお役立ち知識なんでしょうけど……これが読者のニーズに合っているかどうかは、まったく不明。

 というわけで、美少女格闘マンガの皮をかぶったゴリゴリのビジネスマンガ、ただし、今後また全然違う方向性になる可能性も秘めている『どるから』を紹介しました。格闘技に興味がない人も楽しめる要注目マンガです。

(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)

 

●『どるから』

https://webcomicgamma.takeshobo.co.jp/manga/dorukara/

 

 

 

 

マッチョな女編集長が大活躍! 次世代型編集者マンガ『ようこそ!アマゾネス☆ポケット編集部へ』

 前回紹介した『マンガに、編集って必要ですか?』(参照記事)は、出版業界を揺るがす過激なタイトルでした。とはいえ、基本的に編集者の仕事ってカッコいいと思うんですよね。最前線で活躍するギョーカイ人って感じで。まあ、職場によってはかなりブラックな仕事みたいですけど、それでも世間一般では編集者っていったら憧れの職業ですよね。名作『編集王』でも「集めて編むのが俺たちの仕事だ」なんて名ゼリフが出てきますけど、カッコよすぎてマジで濡れる。いや尿モレの話じゃなくって。

 今回は打って変わって、文芸小説の編集者がテーマのマンガ『ようこそ!アマゾネス☆ポケット編集部へ』を紹介したいと思います。こちらはどっちかっていうと編集者全肯定、出版業界サイコー! 的なアツい……いや、とても暑苦しいテイストで、マッチョな女傑の編集長が、かつてないほどものすごい采配を振るう編集マンガです。

 作者はジェントルメン中村先生。もともとは講談社の文庫情報誌「IN☆POCKET」内に掲載されていた作品ですが、現在は講談社文庫のwebサイト上でバックナンバーを読むことができます。

 豪談社の文芸誌「アウト・ポケット」の女だらけの編集部を舞台に、新人編集者・白柳紀乃子(きのこ)が気難しい小説家先生やクセのある出版業界人たちを相手に毎回奮闘する話なのですが、大ピンチに陥ると助けてくれるのが、我らが女傑“アマゾネス”才堂厚子編集長。

 このチョモランマ山脈のような上腕二頭筋を持つ女史が才堂編集長です。『北斗の拳』に出てきてもおかしくないラスボス感がスゴい! 本作は、そんな彼女のスゴ腕加減を堪能するマンガと言っても過言ではありません。

 舞台は文学賞の受賞パーティー。華やかな場での豪華な料理……しかし、ここでの編集者たちの重要なミッションはズバリ、受賞者の作家に自分の雑誌で書いてもらう約束を取り付けること――いわば商談の場でもあるわけです。

「言ってみりゃァ文学賞のパーティーってのは…“感性の野獣”(ショウセツカ)” を捕まえるための狩り場よォ‼」

 受賞パーティーって、狩り場だったんですね! 全然知らなかった‼ それにしても「感性の野獣」と書いて「ショウセツカ」と読ませる当て字のセンスが尋常じゃないし、自分自身が野獣みたいに肉喰ってるこのシーンもスゴい。ただただインパクトしかない。

 今回のパーティーの獲物は、女流作家の江田良子先生。連載を取り付けるために取り囲むライバル誌の編集者たち。「大ファンです、先生の同人誌時代の作品まで読んでます!」「少・中・高の卒業文集まで読んでます‼」なんて口説きに入るのですが、江田先生には全然響きません。それどころか……

「卒業文集など、私には教師に強要されて書いた文章(ブン)‼ 何の思い入れもないし、読まれて嬉しくとも何とも無いわ‼」

 なんて逆ギレされて、取り付く島もない感じです。いやあ、『美味しんぼ』の海原雄山並みに面倒くさそうな先生ですね。そこに、我らがアマゾネスはどう動くのか?

「少しお時間いただけないですかね、江田良子先生…否、『AYASHI好き好きはんぺん娘』さん‼」

 なんと、先生が15年前にアイドルグループ「AYASHI」のファン掲示板にカキコしていた時のハンドルネームで呼びかけたのです。それだけだったら黒歴史の暴露みたいで恥ずかしいだけですが、実は同時期に編集長も「AYASHIに夢中なうさぎっ子」のハンドルネームで活動しており、その頃からずっと先生の文体に注目していたというのです! なんという先見の明‼

「素敵(うまそう)な文体(エモノ)は決して忘れぬ、それが編集者(ハンター)って生き物(モン)ですから‼」

 豪快な当て字だらけのセリフがガツンと決まり、意気投合。見事に江田良子先生を口説き落としたのです。

 ピリピリムードから一気にホッコリムードへ、そう毎回マッチョな展開から必ずホッコリしたオチを迎えるのがジェントルメン中村先生の匠の技(ワザ)です。え? 画的には全然ホッコリしてないって⁉ コマの中に「ホッコリ」って描いてあるんだからホッコリしてんだよ‼(強引)

 あと、すでにいくつか紹介済みですが、このマンガは豪快すぎる業界用語の当て字が多数出てくるところも魅力です。「茶坊主」と書いて「イエスマン」、「編集」と書いて「タントウ」、「武器」と書いて「コトバ」、「戦友」と書いて「アイボウ」などなど、いちいち言い換えるのが無駄にカッコいいです。さすがに「編集」って書いてタントウって読ませるなら、初めっから「担当」って書いとけよって気もしますけど、ここでツッコんだら負けです。

 というわけで、次世代型編集者マンガ『ようこそ!アマゾネス☆ポケット編集部へ』をご紹介しました。「働く女子を応援(ハート)」というテーマになってますけど、男子が読んでもモンスターエナジーを3本一気飲みするのと同等レベルで元気になれる要注目マンガです。(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)

●『ようこそ!アマゾネス☆ポケット編集部へ

●ジェントルメン中村@gentlemennkmr‎