『フリークス学園』は“中学の時イケてない芸人”が作った!? 米ポップカルチャーを身近にする『ヤング・アダルトU.S.A.』

<p> 日本人にとって、“最も身近な外国”の1つといえるアメリカ。『glee/グリー』『トワイライト』『アメリカン・アイドル』といった映画やドラマ、オーディション番組のみならず、ヤングアダルト小説やアイドルまで、ジャンルの壁を越えて「アメリカの思春期」を表現した膨大なポップカルチャーの変遷を追っている一冊が『ヤング・アダルトU.S.A.』だ。</p>

楽しさ、孤独、不自由さ……疑似家族の繊細かつユニークな日々を丁寧に描いた3作品

<p> 家族、恋人、若さ、健康、財産……生きる上で、失いたくないものは人それぞれだ。そんな、失いたくない何かをなくしたところから始まる日々を、ユーモラスに描いた小説、『何度でも、おかえりを言おう』。</p>

「10年続く店は1割」の飲食業界で、豆腐メンタルの一人旅で。静かに道を拓いた人間に迫る

<p> 私たちは死んだら、どんな段階を踏んで棺に収められ、どのように焼かれ、弔われていくのか。誰もが関わる業界でありながら、その実際はあまりにも知られていない。『葬送の仕事師たち』は、そんな日本の葬送業に携わるさまざまな職種――葬儀社のスタッフや、遺体を生前の姿に近づける復元師、火葬場技術員――に取材したノンフィクションだ。</p> <p> 時に理解のない人々から心ない言葉を吐かれることもある葬送業という仕事。著者が冷静に描写する、事故や闘病で緑や黒色になった肌の色を元に近づけるエンバーマーの技や、火葬場で「ご遺体を綺麗に焼いてあげるための」手順は、どれも熟練した高度な技術と遺族の前で遺体と向き合う精神力が必要とされ、真剣に取り組まなければ決して長くは続けられないものだ。</p>

男・女らしさや恋愛のフォーマットから解き放たれることで得られる、生きやすさと強さ

<p> 40代・既婚・異性愛者の著者が、ふとしたきっかけで女装にのめり込んだ1年間をつづったノンフィクション。TV番組や映画のプロデューサーとして活躍し、妻との関係も良好だった著者が、“初めてのストッキング”から始まり、ブラジャー、化粧、女子会、婦人科検診……とさまざまな経験を経て、女性観、そして男性観を変えていく日々がコミカルに描かれている。</p> <p> 本書から伝わってくるのは、著者のように、社会から期待される「男性らしさ」に実直に応えようとするタイプの男性が、中年時に抱える“しんどさ”だ。仕事ができ、女性にもモテて、一見なんの問題も抱えていないような男性。まさにそんなタイプだった著者は、女装をすることで、今まで嫌っていたウインドーショッピングが大好きになったり、女性をあらゆる面でリード“しない”自分を許せるようになったり、これまで無意識に自身の「男らしくない」面を抑圧していたことに気づく。そして、周りからの「オカマ」「軟弱」という批判の声にシンプルに答える。「僕は好きな時に、好きなように、強くもなり、弱くもなりたいのだ」。</p>

「女はかわいい方が得」という刷り込みの、“かわいい”の曖昧さを探る

<p> 「もっとかわいかったら人生違うかなー」と考えたことのある女性は多いだろう。“容姿の美醜で人生はどのくらい変わるのか”という誰もが持つ疑問を、経済学から真面目に考察しているのが『美貌格差』だ。経済学者である著者は、さまざまな統計調査から「美形の方が生涯収入が高い」「容姿が重要な職業(モデルなど)以外でも、その収入差は現れる」「職業以外にも、結婚、就職、人間関係、融資などの面で美形の方が得」と、具体的な数字を出して考察する。<br /> </p>

『映画系女子がゆく!』が示した、イタさも錯乱も内包する「女」という生き物の面白さ

<p> 「元日本経済新聞記者が人気AV女優だった!」と、週刊誌にスキャンダラスに書き立てられたのは去年のこと。『身体を売ったらサヨウナラ』は、平均以上のお嬢様として育ち、慶應大学、東大大学院、日本経済新聞社へと進みながら、同時進行で女子高生時代にブルセラショップで稼ぎ、銀座のクラブで稼ぎ、AV女優を経た鈴木涼美氏のエッセイ集だ。</p> <p> 冒頭で「シャネルに囲まれて独りぼっちで夜を過ごすのは嫌だし、だけどどんなに働いてもシャネル1つ買えないのはもっと嫌だし、高い服を着たいし高い商品でありたいし、愛してくれないと嫌で、愛してくれるだけじゃ嫌なのだ」と吐く彼女による、『pink』(岡崎京子、マガジンハウス)、『ハッピー・マニア』(安野モモコ、祥伝社)を思わせるような、都会と愛と消費の日々がつづられる。</p>

異端児、魔女、韓流ドラマ……「男性優位社会の脅威となる女性」の変遷をたどる

<p> 『女の哲学』は、その生涯が映画化され、日本でも静かなブームを呼んだハンナ・アーレントら、7人の女性哲学者や芸術家の生涯と思想を紹介する一冊だ。最初に彼女らの波瀾万丈な生き方を取り上げることで、「哲学」に敷居の高さを感じる人でも手に取りやすい入門書となっている。</p> <p> サルトルと契約結婚を交わしたシモーヌ・ド・ボーヴォワールや、妹との浮気を知りパートナーとの性的関係を断ったフリーダ・カーロ、結婚と離婚を繰り返すスタール夫人――。時に周囲から理解されず、奔放な変わり者として見られる彼女らの言動は、愚直に自分の生き方を模索した足跡でもある。迷いながらも、当時の常識や世間からはみ出すことを選んだ彼女たちの道筋は、自分の人生を周囲から「変わった人」と言われない枠内に修正しがちな私たちの視界を揺さぶり、開いてくれる。</p>