『ゴッドタン』の愛すべき“らしさ”を甦らせた、フジモンVSみなみかわ「転機はヘキサゴンです」

 2021年7月21日放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)にゲスト出演した放送作家のオークラは、テレビプロデューサーである佐久間宣行にこう伝えている。

「最近の“お笑い愛”を語る風潮を作り上げたのは、佐久間さんなんじゃないか」(オークラ)

 佐久間がプロデューサーを務める『ゴッドタン』(テレビ…

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『ゴッドタン』劇団ひとりが雑ボケ連発で銀シャリ橋本が覚醒

芸歴10年目の吉松ゴリラとマジマンドリルが、今週あったお笑い番組のトピックをご紹介! 今回は5月1日放送の『ゴッドタン』(テレビ東京)の「銀シャリ橋本のテクニックを抜いてあげよう」企画です。

ゴリラ この間の『ゴッドタン』「銀シャリ橋本のテクニックを抜いてあげよう」が、めちゃくちゃおもしろかったね!続きを読む

『トークサバイバー』ヒットの裏にある、佐久間宣行の芸人を信じる姿勢

 お笑いブームがいよいよ極まってきている。ただただ楽しく観るのもいいが、ふとした瞬間に現代社会を映す鏡となるのもお笑いの面白いところ。だったらちょっと真面目にお笑いを語ってみてもいいのではないか──というわけで、お笑いウォッチャー・タカ&ユージが気になる動きを勝手に読み解く!

※本稿には『トークサバイバー!~トークが面白いと生き残れるドラマ~』のネタバレを含みます。

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『ゴッドタン』でしか放送されない! 謎のCM「ザ・リーヴ」とプロレス団体「NOAH」の出会い

『科捜研の女』(テレビ朝日系)視聴者にはビスケット「ルヴァンプライム」のCMがおなじみだし、『笑点』(日本テレビ系)視聴者には線香「毎日香」のCMがおなじみ。特定の番組ファンにのみ強くアピールする商品、サービスというものは存在する。

 ところで、プロレスラーばかりキャスティングされた「ザ・リーヴ」のCMはご存知だろうか? 3月13日放送『週刊さんまとマツコ』(TBS系)が、同社…

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ダイアン津田「この水飲めますよー!」 “上に弱くて下に強い”個性は唯一無二のかわいげ

 長らく、お笑い界では力量が凸凹の2人で組むコンビが多かった。だからこそ「じゃないほう芸人」という言葉が生まれたのだし、「うなずきトリオ」(ビートきよし、島田洋八、松本竜介)はそのルーツ的存在だ。

 一方、力量が50:50の2人組といえば? パッと思い浮かぶのはとんねるず、ダウンタウン、さまぁ~ずなどだ。ある時期まで、こういうコンビはなかなかにレアだった。

 ただ…

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『ゴッドタン』がEXIT兼近の不祥事をネタとして昇華! 芸能界“ろ過装置”令和バージョンの奇跡

 9月14日放送『ゴッドタン』(テレビ東京系)にて、名物企画「芸能界ストイック暗記王」が行われた。あるテーマ(森山直太朗の人気楽曲10曲、関東近郊の人気サバゲーフィールド10選など)を制限時間内に暗記し、全問正解すると10万円獲得。しかし、眼前で展開するミニコントに無理やり参加させられるなど、挑戦者にはさまざまな妨害が襲う。それらに打ち勝って暗記するのが、同企画成功の鉄則だ。

 今回、暗記に挑戦したのはEXITの兼近大樹。机に向かった彼めがけて繰り広げられるのは寸劇である。相方・りんたろー。がマスコミの仕掛けるハニートラップに引っ掛かるというストーリーだ。

 バーでEXITファンの女性たちが飲んでいると、そこにりんたろー。が現れた。パブリックイメージそのままチャラさ満点でファンと接しつつ、老人ホームでアルバイトする私生活を下敷きに「お年寄り、大好きぃ~!」と真面目な面もチラ見せするソツのなさ。EXITは「チャラいけど、本当は真面目」というキャラが世にウケているのだ。

 ファンがいなくなるや、りんたろー。の様子は一変した。ため息をつき、思いつめたようにテキーラを飲み干すのはなぜか? バーのマスター役を演じる劇団ひとりが話しかけた。

ひとり「一見チャラそうに見えて実は真面目。人気も出るはずだ」

りんたろー。「僕はそんな人間じゃないんです! 俺たちはお互い、過去にいろいろあった者同士がコンビ組んでて、だから、2人で“これからだぞ”って頑張ってきたんです」

 EXITの『ゴッドタン』初登場は2018年7月7日。「東京の遊びはやり尽くしたが、漫才が一番楽しかった」と豪語する2人に対し、MC陣は「チャラい割に漫才の構成がしっかりしてる」と指摘。さらに、兼近が「お酒は飲めない」と口を滑らせ、彼女の有無を聞かれると「恋愛してないとバレたくないから、その手の質問はやめてくれとスタッフに頼み込んでいた」と告白し、いきなり「チャラく見えて本当は真面目」という彼らのキャラは出来上がった。

 寸劇でりんたろー。は、人気者ゆえの悩みを吐露する。

「違うんです。俺の相方の兼近は、本当にいい奴なんです。その点、俺は、あいつほど真面目でもいい奴でもない。ただのチャラ男なんです。だから、あいつと一緒にいると、あいつを裏切ってるようで、世間にウソついてるようで、心が苦しいんです」

 りんたろー。が飲んだテキーラには薬が盛られており、すぐに彼は気を失った。その隙にりんたろー。は既婚女性とホテルで寝ている捏造写真を撮られてしまう。バーのマスターを演じる劇団ひとりの正体は、写真週刊誌の記者だった。ハニトラ写真の掲載は間近。りんたろー。は「兼近にだけは迷惑をかけたくない」と引退を決意した。

 そんなりんたろー。に、劇団ひとりは罵声を浴びせる。

「キレイごと言ってんじゃねえぞ。お前はあいつを裏切ったんだよ。あいつはまた地獄に落ちるんだよ。そして、お前はその十字架を背負っていくんだよ!」

 目の前のミニコントを、不自然なほど真顔で見続ける兼近。

兼近「オーイ! 許すに決まってんじゃん。俺がいなきゃ、お前輝けねえだろ!」

りんたろー。「俺を見捨てればよかったんだよ!」

兼近「見捨てられるわけなくね!? 俺たちは求められるなら、いつだってチャラ男にも真面目にもなる。俺たちは国民のマリオネットだ!」

「週刊文春」9月12日号(文藝春秋)の報道で、兼近は未成年時の逮捕歴( 11年に少女売春あっせん)を明かされた。その事実を踏まえて「ストイック暗記王」を振り返ると、ミニコントの内容には驚くばかりである。

 りんたろー。や劇団ひとりが発したセリフは、まさに兼近の心の内にある葛藤を代弁していたかのよう。

 タレントにスキャンダラスな出来事が起きた場合、以前と同じように露出させてよいものか逡巡するテレビ局はきっと出てくる。こういうときに機能する独特の“ろ過装置”が、かつての芸能界には存在した。

 真っ先に思い浮かぶのは、1996年まで放送されていたバラエティ番組『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!! 』(日本テレビ系)だ。飯星景子や山本モナ、新藤恵美など“何か”のおかげで十字架を背負ってしまった面々を率先して出演させるのが、この番組の手法だった。統一教会に入信しワイドショーをにぎわせた飯星が脱会するや、彼女をアシスタントの立場に据え「優勝者には飯星さんから特別に壺が贈られます」と発言するたけし。スキャンダルを笑いにしてタブーをタブーでないものにし、すねに傷持つ者の芸能界復帰を後押しする。しかし、世の中全体の締め付けが厳しくなるにつれ、この手のろ過装置は受け入れられなくなっていった。

「QUIZ JAPAN」(ほるぷ出版)vol.6に、『お笑いウルトラクイズ』で構成作家を務めたダンカンのインタビューが掲載されている。

「極楽(とんぼ)の山本(圭壱)君だとか、もしかしたらあそこぐらいから世の中変わったのかな? お笑いの人って、みんなバカで悪くて当たり前なのに」

「キングオブコメディの高橋(健一)君なんか、あの当時だったら“しめた!”って言われてたのかな。彼はおそらく、もうこの世界では無理だけど、あの時代だったら1年ぐらいの謹慎程度で戻ってきてたと思うんだよ。だって、人を殺 めてるわけじゃないしね。間違いなく引っ張り出して『女子校侵入クイズ』をやってますよね(笑)」

 なぜ、十字架を背負うタレントを引っ張り出し、ネタにして笑おうとするのか? 死屍に鞭打つ行為だと受け取られかねない。いや、違うのだ。真意はまるで異なる。

「日景(忠男)さんなんて実際はつらいんだもん、愛する人(1983年に自殺した、俳優・沖雅也のこと)が自ら命を絶って、自分もホモだって報道されて。それを腫れ物みたいに、みんなからそういう目で見られるとさらにつらくなるから。でも、開き直って“ホモなんですよ、この人”ってやると、妙に市民権得ちゃって“そうなんですよ私は”って開き直れてね。一度失敗しちゃったからって突き放してたら、その人たちはこれからどうやって生きていくかっていうことでね。人生長いんだから、そんなに冷たくしないでもいいのに。そういう意味では、たけしさんがみんなを救ったところはあるな」(同)

 80~90年代とは社会のありようが変わった現在。当時のろ過装置をそのまま起動させたら、おそらく賛否出るだろう。兼近の葛藤を他者に吐かせ、立場を逆転させることで失敗をネタにした今回の『ゴッドタン』は、そういう意味で塩梅がちょうどよかった。時代にチャンネルを合わせた、見事なろ過っぷりだったと思う。

 ここで気になるのは、今回の「ストイック暗記王」は文春報道よりも前に収録が行われたものなのか? ということ。同番組の佐久間宣行プロデューサーは『ゴッドタン』放送中の15日午前2時6分に、以下のツイートを発信している。

「2ヶ月前に撮ってるから、全部偶然です。」

 現代と歩調を合わせた令和バージョンのろ過装置は、なんの計算もなく無邪気に起動されていた。

 それにしてもEXIT、すごいものを背負うコンビになった。十字架のことを言っているのではない。2人の過去を知った上でコンビ名「EXIT」の意味を深読みしてみると、なかなかにグッとくる。

(文=寺西ジャジューカ)

エンタメ界の新たな指標に!? グラドル谷桃子とレスラー飯塚高史が見せた“やり切る有終の美”

 3月2日深夜放送『ゴッドタンゴッドタン』(テレビ東京系)が「引退記念 谷桃子メモリアル」と銘打って、昨年末をもって芸能界を引退した谷桃子の名場面を振り返った。

 今回紹介された名場面、メチャクチャの極みだった。さすが、“伝説の女”である。例えば、「ウエディング」をお題に謎掛けを振られた谷は、こんな風に返している。

「ウエディングと掛けまして、小さな子猫と解きます。そのこころは、『入れ歯が外れちゃった』」

 ウエディングも子猫も入れ歯も、ひとつも掛かってない。何がどうなってるのか、不安になってしまう。また、結婚後に同番組へ出演した谷は、夫の職業を聞かれ「旦那さんは生姜磨いてまーす!」と、ものすごい顔つきでアンサーする始末だ。このとき、彼女は新婚なのに……。

 バラエティに進出するグラビアアイドルは珍しくないが、こんなグラドルは見たことがなかった。芸人とのキャッチボールに順応し、番組の戦力になろうと“必死さ”を売りにする人材は数多い。しかし、谷は「本当にこんな子なんじゃないか?」と思わせる狂気がにじみ出ていた。アクが強すぎるゆえ、『ゴッドタン』でしか、この流儀にニーズはなかったが……。

■最後まで隙を見せなかった谷と飯塚

 話は変わって、2月21日に新日本プロレス所属のプロレスラー・飯塚高史が32年の現役生活に幕を閉じた。

 マスクが良く、サンボ仕込みのグラウンドテクニックに定評があり、現場監督時代の長州力のお気に入りだった飯塚。期待された時期もあったが、押しの弱い性格ゆえ、なかなかブレークの時は訪れなかった。そして、2008年。名脇役のポジションを見つけていた飯塚が、突如としてヒールターンを果たした。整った容姿の彼が髪を剃り上げ、ヒゲを伸ばし、言葉をしゃべらず奇声を上げる狂乱キャラへと変身したのだ。

 飯塚がキャラ変したのは、“友情タッグ”を組んでいたパートナー・天山広吉への裏切りが契機だった。当時、エンタメへの造詣では新日の数歩先を行っていたプロレス団体DDTのバックステージは「新日本がついに振り切った」と、この話題で持ち切りになったという。

 後楽園ホールで行われた飯塚の引退興行が、『ワールドプロレスリング』(テレビ朝日系)の3月2日深夜分で放送されている。引退試合のカードは、飯塚高史&鈴木みのる&タイチ組 VS オカダ・カズチカ&天山広吉&矢野通組。狂乱ファイトを貫きつつ、オカダのフィニッシュホールド「レインメーカー」を膝十字固めで切り返すなど、飯塚はレスラーとして最後までキレキレだった。

 試合は、飯塚が天山のムーンサルトプレスにピンフォールを奪われた。直後、飯塚は天山から和解を申し出されるも、観客の期待に反して拒否! そして、かつての相棒に得意のアイアンフィンガーフロムヘルをお見舞いした。

 そのまま、場内を怪しげに徘徊する飯塚。ファンに引退の挨拶を一言も発さず、狂ったまま会場を後にするラストデイ。そんな彼のバックに響き渡るは、鈴木みのるが叩く10カウントゴング。最後まで全うしたこの日の主役。こんな引退試合は、今までに見たことがない。

 話を『ゴッドタン』に戻そう。現在、夫を支えるため福岡に住まいを移した谷から、レギュラー陣に最後のメッセージが送られてきた。その内容は以下だ。

「遅くなりすみません!! だっだーん! ボヨヨンボヨヨン! あっああ~~~!!! アイルビーバック!! ~to be continued~」

 谷も最後までキレキレである。そして、やはり最後まで隙を見せていない。

 おぎやはぎの矢作兼が、真顔で谷について語った。

「谷桃子のことを見習っていかなきゃいけないと思ったことが本当にある。困ったときに、『谷ならどうする?』って」

 谷のやり切る姿に感銘を受けたと告白したのだ。

 プロレスもバラエティも、今のファンは成熟している。谷も飯塚も素性は愚直ということは、恐らくみんなにバレバレだろう。最後に素の姿を見せ、ネタバレしてオチを付ける必要はない。

 テレ朝とテレ東の同日同時間帯で、両者の去りゆく姿は放送された。ただの偶然でしかないのに、だからこそこじつけたくなってしまう。やり切った2人の有終の美は、今のエンタテインメントの指針になり得る。「こんなときに谷ならどうする?」「こんなときに飯塚ならどうする?」と、リトマス紙代わりになると思う。湿っぽさを狙うのではなく、感動を拒絶する姿勢だからこそ、余計に感動した。

(文=寺西ジャジューカ)